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ヨーロッパ連合の生涯学習振興策 : その検討状況を中心として

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(1)

ヨーロッパ連合の生涯学習振興策

ーその検討状況を中心として一

藤 田 弘 之

1、 はじめに 本稿は、近年のヨーロッパ連合関係機関の生涯学習振興策検討の進捗状況を明らかにすることを 目的とする。 さて、

1960

年代、

1970

年代において、

UNESCO

を中心として提起された、生涯教育、生涯学習 の考え方は、その後各国、各方面に受け入れられ、今日広くコンセンサスを得ている。そして、社会 的、経済的、政治的、文化的に急速に変化する状況の中で、今日新たな意味を付与され、それが再評 価され、新たな進展をみせている。 フィールド(J.

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)

が言うように、

1

1

9

9

0

年代に転換点があったが、その主要な特徴は、生涯学 習が政府間の会議場を通して進められる単なるスローガンではなくなった点にある。それは、ます ます国民教育や訓練の諸側面の改革や近代化の手段になっているけそれはまた、ヨーロッパの 国々では、市民、市民社会と国家の関係におけるより広い変質を示している。(1) ふたたびフィールドによれば、

1

1

9

9

0

年代初期において、生涯学習の政策課題への登場は本当に 顕著なものであった。

1970

年代との違いは、政府間組織が

1990

年代までに意思決定権限を持った ことである。さらに、

1996

年のヨーロッパ生涯学習年の後に、この概念が国家レヴ、エルの政策論に 吸収され、広い範囲の政策手段を合法化する際において 1つの役割を果たしてきたことである。J(2)

1960

年代、

1970

年代に続く

1980

年代において国際機関、政府、ならびに政府間組織の生涯学習に ついての発言は、必ずしも積極的、または顕著ではなかった。しかし、

1990

年代になると、“新た な活力を持って"、

UNESCO

、OECDなどの国際機関、ヨーロッパ共同体などの政府間組織が、生 涯学習の振興を唱え、具体的な振興策を打ち出してきた。また、近年、すなわち

1

9

9

9

年、

2000

年の G8のサミットで生涯学習が取り上げられ、その重要性が強調された。 (3) こうした状況の中で、とりわけ、ヨーロッパの一体化を目指し、すでに通貨の統合に踏み切った ヨーロッパ連合関係諸機関、及び関係各国が近年、生涯学習の振興に極めて熱心に取り組み、その振 興のための検討を精力的に進めている。 以上のような状況をふまえ、本稿では特に、

2000

年、

2001

年のヨーロッパ連合関係機関の生涯 学習学習振興策検討の進捗状況の一端を明らかにしようとするものである。 2、 ヨーロッパにおける生涯学習の再評価

1960

年代、

1970

年代において生涯教育、生涯学習を提起してきたUNESCOも、

1990

年代の新し い状況の中で、新たに問題を提起し、その振興を唱えている。そして、例えば、

1997

年に会議を開 催し、生涯学習に関する報告書を出した。しかし、それは必ずしも目新しいものはなく、今日的状 況の中で国際機関としてのUNESCOの影響力は、近年大きく低下していると言われている。すでに

1970

年代にあった力はなく、短期的にはマージナル化し、長期的にはその運命は不安定であると 言われている。(4) 門 i 唱E i

(2)

今日、生涯学習の振興について重要な国際機関はOECDである。 OECDの役割は、主に、種々の 地域の経済政策の批判と発展、グローバル経済に関する政策の実効化に関わることである。共産主 義の崩壊の後、それは変化しつつある経済が国際的な取引のルールの下で、作用、存続するのを援 助するという役割を果たしている。 1980年代、 1990年代を通して、 OECDはマクロ経済の安定、構造的調整、生産や分配のグロー バル化を奨励する等の点で、各国政府を援助する目的を達成しようとした。その際、社会的な統合 の保持の問題は、 2次的なものであった。しかし、 1990年代中期にはこうした問題も、 OECDの 重要な政策課題となった。すなわち、 1996年において、「すべてのものに対する生涯学習」という スローガンの下でOECDが各国教育大臣会議を招集したのはこのような背景においてであった。生 涯学習は、ふたたびグローバルな競争圧力、科学や新しい技術によってもたらされている変化の状 況の中で、強調され再評価されたのである。 OECDは、生涯学習を、ライフスパンを通じての意識 的な学習の継続を意味するものと解するとともに、これが仕事においてインフォーマルに行われる 学習、他の人々と話すこと、テレビを見ること、ゲームをすることなどによる学習、つまり人間活 動の全ての形式による学習を含めている。これはOECDが、インフォーマルな学習とフォーマルな 教育訓練のシステムの関係を重視しようとしていることの表れである。 OECDはその後、社会的疎 外の問題に積極的に取り組み、これに生涯学習を関係づけた。またOECDは、グローバル化や技術 変化に伴う新しい政策の挑戦により積極的に応じようとしている。 ヨーロッパ連合は、今日きわめて重要な機関になっている。 1970年代においてヨーロッパ関係 機関の権限は限定的なものであった。しかし、それは次第に権限を獲得し、ヨーロッパ市場の創造 を進める中で、次第に力を獲得していった。そして、 OECDなどの影響を受けつつ、生涯学習政策 の受容、検討も、これとともに進んだ. 生涯学習は、競争や経済成長に関する1994年のヨーロッパ委員会白書、いわゆるデロール白書 において、その基礎となるものであった。一方、教育や訓練に関する委員会白書が、『教授と学 習:学習社会に向けて』というタイトルで1995年に出版された。との白書は、「明日の世界におけ る生活の準備は、知識やノウハウの1回限りの獲得によって満足されない。一一一一全ての方策はそ れゆえ、生涯学習や継続的な訓練を発展し、一般化し、組織化する概念に必然的にもとづかなければ ならないけと述べ、生涯学習の推進を唱えた。 (5)ヨーロッパ委員会はこの白書の提案に基づき、 1996年をヨーロッパ生涯学習年とし、生涯学習の振興に積極的に取り組むことになったのである。 今日、ヨーロッパ連合体はグローバル化、情報技術、科学の応用などの脅威と新たな状況に直面 しており、他の経済大国に対抗しようとするならば、ヨーロッパ連合のメンバ一国は他の政策領域 とともに、教育や訓練の領域に彼らの主権と資源、をプールするべきであるという認識が高まってい る。これはまた、ヨーロッパの市民感覚を発展させ、社会統合を育てる必要があるとされる。こう した立場がますます強くなってきたのである。 3、 ヨーロッパ委員会の生涯学習振興策検討のための覚書 (1)覚書作成の背景と経過 2000年11月に、ヨーロッパ委員会によって、『生涯学習に関する覚書』がまとめられたのは、既 述の国際的な動向、またヨーロッパの動きを背景にしている。

(

6

)

こうした動きや背景を視野に入 れつつ、提出された覚書を基礎にその内容をまとめていく。 n δ 噌 1 4

(3)

既述のように、 1990年代に入ると、ヨーロッパ経済は急激な変化を生じ、こうした変化に人々や システムが対応できなかった。失業が増大し、技能のギャップが生じ、労働力のミスマッチが生じ た。こうした問題を解決するものとして、教育や訓練に目が向けられ、生涯学習が重要視されるよう になった。ヨーロッパ連合加盟国の指導者達は、ヨーロッパは力動的な経済成長を達成し、競争力 を強化しなければならないこと、社会的疎外問題に取り組み、ヨーロッパの社会的統合を強化しなけ ればならないこと、このためにヨーロッパに住む人々は1つのの資産であり、それが政策の焦点に なるべきであることなどで一致した。そして、生涯にわたる教育や訓練のシステムが21世紀の新し い現実に適応しなければならないこと、生涯学習はヨーロッパ市民の育成、社会的統合、雇用の推進 のために核心的政策であるという認識が高まったのである。こうした動きを受けて、 1996年がヨ ーロッパ生涯学習年とされ、種々の事業やプロジェクトが展開された。また、 1998年には、雇用の ためのガイドラインが設けられたが、その中で雇用のために生涯学習の重要性が強調された。こう した動きはあったが、なおその実際の進捗状況は緩慢であった。 生涯学習政策の進展への方向がさらに強まるのは、 2000年3月に開催されたリスボン会議であ った。この会議はヨーロッパ連合の政策と活動に決定的な方向性を示すものであった。すなわちそ れは、ヨーロッパが知識社会へ向かいつつあることを確信し、知識を基盤とした経済や社会への変 化を成功させねばならないことを確認している。そして、生涯学習がこうした状況を基礎に考えら れなければならないとされた。 2000年9月のフェイラ会議は、加盟各国、ヨーロッパ評議会、ヨーロッパ委員会などが、“すべ ての者のための生涯学習"を発展させるために、一貫した戦略と実際的な方策を確定することを求 めた。 上記の覚書は、リスボン会議、フェイラ会議での指示を受けてまとめられたものであり、その目 的は種々のレヴ、エルの関係機関、全ての公的私的生活の領域において生涯学習を振興するために、 全ヨーロッパを対象として包括的な検討と議論に乗り出すことであった。 (2 )覚書にみる生涯学習振興に関わる基本的立場 ①生涯学習振興の必要性、 なぜこの議論が緊急であるのか。また、ヨーロッパ委員会は最優先事項として生涯学習振興 を実施に移さねばならないのか。これについて、覚書は、今日のヨーロッパが直面している知 識社会という挑戦を基礎として述べている。すなわち、 今日のヨーロッパは産業革命のそれに匹敵する規模の変化を経験している。デジタル技術、 バイオ技術はそれ自体生活を変える。世界的規模での取引、旅行、コミュニケーションは人々 の文化的地平を広げている。経済が他国と競争するやり方も変化している。現代的な生活は 人々に機会と選択をもたらしている。しかし、より大きなリスクと不確実性も同時にもたらし ている。人々は多様なライフスタイルを採用する自由を持っている。しかし、同様に自らの生 活を形成する責任も持っている。より多くの人々が教育や訓練をより長く受けるようになって いる。しかし、労働市場において浮遊しつづける十分な資格のある人々と,わきの溝におちてい る人々の問でギャップが拡大している。ヨーロッパの人口は又急速に高齢化している。これは 労働力の構成、社会、健康、教育サービスの需要パターンを変えるであろう。ヨーロッパ社会 はまた、文化問モザイクに変わりつつある。この多様性は生活の全ての領域において創造性と

(4)

-19-イノヴェーションにとって大きな潜在性を保持している。こうした変化は全て知識社会への全 体的な変化の一部である。 生涯学習の振興の必要はこうした変化と密接に関係している。これを再びまとめれば、 第ーに、ヨーロッパは知識を基礎とした社会、経済の方向に向かっていることである。これ まで以上に、最新のd情報や知識への接近が、一一ー自らのために、また全体として共同体のため にこれらの資源を活用する動機と技能を持って 一一一一ヨーロッパの競争力を強化し、労働力 の雇用可能性や適応性を改善する鍵になりつつあることである。 第二は、今日のヨーロッパ人たちが、複雑な社会的政治的な世界に住んでいることである。 これまで以上に、個々人は自らの生活を計画することを望み、積極的に社会に貢献することを 期待されている。また文化的、民族的、言語的な多様性とともに生きなければならない。教育 はその最も広い意味で、これらの挑戦に如何に対応するかを学び、理解する鍵となることであ る。 今日の社会経済的な変化のこれら二つの特徴は相互に関係がある。それらは、二つの同様に 重要な生涯学習の目的、すなわち、積極的な市民性を推進すること、雇用可能性を推進するこ との重要な目標の基礎になることである。 ②振興すべき生涯学習のあり方 生涯学習はなお、異なった国々の背景で異なった目的のために多様な方法で定義されている。 委員会、及び加盟国は、生涯学習を、“ヨーロッパ雇用戦略"

(The European Employment

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において使用されたように、「知識、技能、能力などを改善するという目的をもっ て継続的に行われる全ての目的的な学習活動」として定義している。

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この定義が、今後の 議論や行動の出発点としてこの覚書で採用されたのである。 生涯学習はゆりかご、から墓場まで全ての学習のシームレスな継続として見られる。すべての 者のための高い質の基礎教育は本質的な基礎である。基礎教育をもとに職業教育や訓練が続け られる。これらは、全ての若い人々に知識に基礎をおく経済で必要とされる基礎的な能力を与 える。それは彼らが 学ぶことを学ぶ'のであり、それらは 学習への積極的な方向性"を持 つことを保障される。そしてこの学習への方向性がきわめて重要であるとしている。すなわち、 人々は学習したいと思う場合にのみ彼らの生活を通して一貫した学習活動を計画する。一一 一学習する個々の動機、多様な学習機会は生涯学習をうまく実施するのに究極的に鍵となるこ とである。供給と同様に学習の需要を引き上げることは本質的なことである。 覚書はさらに、学習のあり方についても述べる。すなわち、全ての人々は、特別の目的への あらかじめ定められたルートに従うことを義務ずけられるよりも、彼ら自身の選択の聞かれた 学習の歩みに従うことができるべきである。これは教育や訓練の体系が個々人の需要や必要性 に適合すべきであることを意味する。こうした学習活動には、フォーマル、ノンフォーマル、 インフォーマルの

3

つの種類があり、生涯学習を考える場合は、これらを相互補完的に考える 必要がある。覚書はこれらをを指摘している。 ③生涯学習推進体制 覚書においては、生涯学習を推進する際、すべての関係者や機関が、多様なパートナーシッ ハ U 円 ノ 臼

(5)

プの下で作用することが本質的であると指摘している。各国で政策を発展する大臣や公的な当 局の間の調整、統合、また種々の社会的パートナ一、地方、地域の諸国体、市民社会の組織間 の連携、協力の必要性を指摘している。 ヨーロッパ委員会の教育、訓練、青年計画は、国家を超えた協力、パートナーシップを指示 することにおいて価値を証明し、又よい実践例を交換し、これを発展すべきものとしている。 このように生涯学習は、異なったレヴェルや部門の教育や訓練の制度がお互いに緊密な調和 の中で作用しなければならないことを覚書は指摘している。 (4) 6つの重要提言と検討課題 覚書は、生涯学習振興のための、 6つの重要な提言を示し、議論や検討を求めている。それは以 下の通りである. ①すべてのものに対する新しい基礎的スキルの提供 知識社会に関わっていくために必要とされるスキルを獲得し、更新するための学習への普遍 的、継続的接近を保障することが必要である。基礎的スキルとしては、 IT技術、外国語、技術 文化、起業、社会的スキルなどである。覚書では、知識社会や経済において積極的に参加する ために必要とされる人々の新しいスキルを定義している。 検討課題:全ての市民がスキルを獲得し、更新する個人的な権利は考えられるか。デジタル 能力について現在不利な立場にいる人々を取り込む優先領域は何であるか。知何にしてヨーロ ッパ共通の基礎的スキルが発展され得るか。如何にしてヨーロッパ委員会の計画は貢献出来る か。高齢労働者、パートタイマーや臨時の仕事をしている人々、失業者などに対する成人教育 への接近を改善するためにどのような措置が取られるべきか、等々。 ②人的資源に対するより多くの投資 ヨーロッパの最も重要な資産である人々に対する優先を示すために、人的資源に対する投資 のレヴェルを目に見えるように引き上げるべきことである。(リスボン会議では人的資源への 毎年度の一人あたりの投資を増加するという目標を設定している。) 検討課題:学習に対する投資は、如何にして企業や個人にとってより現実的なものになされ 得るか。どんな誘因や反誘因について注意を必要とするか。如何にして人々は学習に支出する ことを奨励されるか。如何にして進歩的な雇用者達は、家族や労働の責任について学習する時 間を提供するのか。組織的な基金

(

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を含む)は学習のためのインフラ、例えば学習センタ ーを支援するために使用され得るか。どのようにして研究は、学習に投資する社会的経済的価 値を実証できるのか、等々。 ③教授や学習における革新 生涯学習の継続のための効果的な教授・学習方法、背景を開発することである。 教師や、広い意味で教育的な役割を果たす指導者達は、新しい役割、新しい技術、新しい学 習状況、新しい学習者達の挑戦に応じることが可能にあるように現職教育を必要とする。 YB ム 司 L

(6)

検討課題:知何にして、 ICTは人間に基礎を置く教育と関係づけられるか。どのようにして 商業的に生産された学習教材の質が監視されうるか。どのようにして国家を超えたプロジェク トの結果が効果的な学習に関して報告するために使用され得るか。質的なベンチマークは考え られるべきか。どのようにしてノンフォーマルな教育者達の訓練が改善され得るか。加盟国、 またヨーロッパレヴ、エルで教育研究のための優先課題は何か。いかにして実践者達自身が関係 しうるか、等々。 ④学習を評価すること 学習の参加や結果が理解され、文評価される方法を改善する必要がある。(特に、ノンフォ ーマル、インフォーマルな学習に関して。)これまで以上に、より高度な認められた学習に対 する一層の高度な需要がある。資格の体系を近代化することはヨーロッパの全ての領域におい て重要な問題である。さらにより多くの人々や労働市場が学習のための認知を得る必要性があ る。個々人の既存の知識、技能、経験などを評価し、認識する高度な質的体系が必要とされて いる。 検討課題:知何にして、認知の手段を発展しようとする現在のヨーロッパの計画は、拡大さ れうるか、またヨーロッパ共通の履歴書のフォーマットを支持できるか。社会に存在する様々 なパートナーは、より多様な認知の形式の正当性を受け入れることができるか、等々。 ⑤ガイダンスやカウンセリングを再考すること すべてのものがヨーロッパを通じて、また彼らの生活を通して、よい質の情報、学習機会に ついてのアドヴアイスに容易に接近できることを保障する必要がある。今日われわれは、自ら の生活において何度も、又全く予測できない、次に生じることに関する情報やアドヴアイスを 必要としている。ガイダンスは全てにとって継続的に接近し得るサービスであるべきである。 公的部門は基準や資格を必要とすべきではない。ガイダンスを行う人々はブローカーとして行 為するかもしれない。そのサービスは地方で必要とされ、又その知識はより広い段階、個々の 環境や地方の労働市場に関するものを含む。 検討課題:知何にして既存のサービスがヨーロッパじゅうに相互に関係づけられるか。どの ようにしてICTはこの領域で発展され得るか。どんな種類の訓練を教育実践家は必要としてい るか。どのような改善が地方のレヴェルで焦点を定められるべき集団に対して、ガイダンスを より接近可能にするためになされるか。教訓はヨーロッパを通して適用され得るか。質的ガイ ドラインはヨーロッパのレヴ、エルで開発されるべきか、等々。 ⑥学習を家庭により緊密にもたらすこと できるだけ学習者に近く生涯学習の機会を提供することである。学習者達の共同体において、 又適当な場合はどこでもICTに基礎を置く諸施設を通して支援される。ほとんどの人々にとっ て学習は地方で生じる。地方当局はインフラを提供する。同様に、地方の市民社会はインフォ ーマルな学習の主要な源泉を提供する。多くの人々にとって、学習するために家庭や地域を離

(7)

-22-れることは可能ではない。同様の接近は、もし学習が地方の共同体においてICTによって、例 えば地方の学習センターを通して、学習者達に対して届けられる場合にのみ成し遂げられる。 村や町、都市は、多様な学習に対して豊富な機会を提供できる。 検討課題:リスポンサミットは多目的学習センターの設立を提案した。よい実践の例を提供 できるどんな実例がすでに存在しているか?どんな種類のパイロット計画をヨーロッパ連合体 は支持すべきか。どのように学習パートナーシップは地方、地域のレヴェルで、発展され得るか。 どんな種類のインセンティヴが都市や地域に国境を越えたレヴェルでの協力を奨励するか。そ れらは生涯学習のための資源を節約できるか。ヨーロッパの機関とのより緊密なリンクがこの 発展を助けるか、等々。 以上である。最後に委員会は加盟各国が覚書に対する議論や検討の過程に参与することを求めて いる。こうした議論や検討の結果は特別の目的、具体的な行動のための諸点、生涯学習戦略を実施 するためのベンチマークを提案する報告書にまとめられるものとむすんでいる。 4、ECの生涯学習振興策についての暫定報告 (1) 覚書検討の経過 すでに述べたように、ヨーロッパ委員会の作業委員会によって

2000

1

1

月に、生涯学習に関す る覚書が出され、それ以後この覚書についての議論が活発に行われた。議論や検討は、加盟各国、 加盟予定国の関係機関や団体、市民などを含んで広範に行われた。また、ヨーロッパのレヴ、エルに おいても、ヨーロッパ議会、経済社会委員会、地域委員会などの諸機関において議論がなされ、さ らに、

OECD

UNESCO

などの国際機関とも議論がなされた。 覚書に対しては、関係機関などから

3000

以上の書類が提出され、また、約

12000

人の市民が会 合に参加したり、検討過程に関わった。こうした広範囲に及ぶ一連の議論や検討の結果を基礎に、

2001

1

1

月に、『委員会からのコミュニケーションーヨーロッパ地域の生涯学習を現実のものに すること一』という題名で暫定報告が出された。

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)

(

2

)

生涯学習振興に関わるヨーロッパ委員会暫定報告の基本的立場 暫定報告は、

2000

3

月のリスボン会議、

2001

3

月のストックホルム会議で確認された、 “ヨーロッパを世界で最も競争力がありダイナミックな、知識を基礎とする社会にする"という目 標を基礎に、知識社会の挑戦に応じるべく、その戦略上の鍵的要素として生涯学習を確認している。 そして、その要素として、①人生の全ての段階にある個々の市民達に対して、適切な学習機会を提 供すべく教育や訓練を最適化すること、②市民の知識や能力に対する投資を通じて、雇用可能性や 社会的統合を推進すること、③すべての人々のための情報社会を創造すること、④流動性を育てる ことをあげている。 さらに言えば、報告は、生涯学習推進の意味について、次の3点から論じている。第1は、経済 的意味である。市民の雇用可能性と適応性を進めることはヨーロッパが世界で最も競争的でダイナ ミックな社会になるために重要である。競争は人的資本への投資による。知識や能力は経済成長の 強力なエンジンであり、ヨーロッパの将来の鍵である。生涯学習はそれゆえ、雇用のために、また 円 δ 円 ノ “

(8)

熟練し、訓練を受け、適応力ある労働力を確保するのに重要である。第 2は、生涯学習をすすめ、 人々の不平等や社会的疎外の問題を解決することである。しかしこの問題も、労働市場への参加と かかわりで考えられ、結局経済問題に通ずるものであることが読み取れる。第 3は、以上を通じて、 ヨーロッパをよりよい社会にすることである。すなわち、ヨーロッパを共生社会にし、寛容で、民 主的な社会にし、より高い福祉を生じ、犯罪を少なくする等について指摘している。 こうして報告は、ヨーロッパ生涯学習圏を確立する必要性を指摘している。それは、人々の知識 や能力を最大限に利用しつつ、学習場面、仕事、地域、国の聞を自由に移動すること、

EU

やその 加盟各国を、より繁栄したものにし、全ての人を包み込むことなどの目標を達成できるように、教 育や訓練、さらに青年、雇用、社会的統合、研究などに関係した既存のヨーロッパレヴ、エルでの戦 略や計画などの重要な要素を、生涯学習の枠組みの中に合流させる必要性を指摘している。 以上は、すでに覚書においてしばしば指摘されたことであり、覚書を踏襲し、またはその内容を 確認している。 ところで、生涯学習の意味については一定の修正がなされている。すなわち、 覚書は、“ヨーロッパ雇用戦略"の背景で確立された定義を議論の出発点として提示した。相談 の過程では、生涯学習について雇用や労働市場の問題が定義において支配的であることに関心が持 たれた。 覚書に対する返答は、純粋に経済的な見解や単に成人の学習に限らない幅広い生涯学習の定義を 要求した。就学前から退職後まで及ぶ学習を強調することに加え、生涯学習はフォーマル、ノンフ ォーマル、インフォーマルなどの学習の全体的な範囲をカヴ、アーすべきである。また、相談は学習 の目的について、雇用と関係した諸側面と同様に、積極的市民、個個人の完成、社会的統合などの 目的を強調した。 こうして、暫定報告では生涯学習の目的として、全体的に4つの広い、また相互に関係ある目的 にしたがってまとめられた。すなわち、個人の完成、積極的な市民の育成、社会的な統合、雇用可 能性や適応性の増大の4つである。 生涯学習はこの広い範囲の目的を推進することとされ、それにともなって報告の中での生涯学習 についての定義も以下のように広いものになった。 (9)すなわち、 「個人的、市民的、社会的または雇用と関係する見通しを持って、人生を通して、知識、技能、 能力を改善する目的をもって、行われる全ての学習活動。J 相談の過程で、生涯学習を支え、かっその効果的実施を導く基本的原則についても相当の議論を 見た。こうした議論の中で、学習者中心の原則、機会均等、学習機会の質と適切さなどの原則が強 調された。 (3) 生涯学習振興のための戦略 フェイラ会議の結論やヨーロッパ雇用戦略などによって、加盟各国は生涯学習の一貫した包括的 な戦略を発展し、実施することで一致している。ただ、加盟国の問で、生涯学習の進捗状況や推進 状況で実情に差がある。したがって、ヨーロッパ連合における生涯学習振興の

4

つの目的、すなわ ち積極的市民の育成、個人の完成、雇用可能性の拡大、社会的統合の推進、を達成するため、以下 のような戦略的基礎をあげている。 ①パートナーシップの確立 4 つ 白

(9)

全ての関連する行為者が、フォーマルな体系の内外で、戦略上協力しなければならない。そ れは政府レヴ、エルでの政策の統合や調整の主導を始め、さらに地方、市民生活、ヨーロッパレ ヴ、エル等での連携、協力を積極的に進める必要がある。 ②学習需要の把握 様々な組織、共同体、より広い社会、労働市場等とともに、市民、指導者、雇用者のニーズ を把握することが、生涯学習戦略の基礎となる。その際、学習者、または学習の恩恵を受けて いない潜在的な学習者のニーズを特に重視しなければならず、これらのニーズは特に地方レヴ ェルで把握されねばならない。 ③教育資源の確保 すべてのもののための生涯学習のヴ、ィジョンを達成するには、より高いレヴェルの投資が必 要になり、それを政府、公的機関、雇用者、自治体、個々の市民等々がどう分担するかが問題 となる。また、資源の分配は、今後発展すべき教育の形態等を検討してなされねばならず、配 分に際しては透明性、効率性を確保する必要がある。 ④学習機会への接近の容易化 学習者のニーズや関心に学習機会をどうマッチさせるか、また、だれでも、どこでも、いつ でもという学習を可能にする供給面をどのように発展させどうアクセスを促進するかが問題と なる。すなわち、既存のフォーマル部門の学習をより見えやすいものに、柔軟なものに、統合 したものに、効果的なものにする一方、新しい学習過程や環境を開発する必要がある。その際、 機会均等の観点から、教育的に不利をこうむっている集団や人々のニーズに焦点をあて、学習 の形態や機会を保障する必要がある。そのためには、学習に障害となることを取り除き、ノン フォーマル、インフォーマルな学習を考慮、し、特別の学習需用を把握し、情報・ガイダンス・ カウンセリングなどのサービスを充実させる必要がある。 ⑤学習文化の醸成 全ての者にたいする生涯学習という文化を醸成するためには、学習をより望ましいものにし、 学習に対する需要を刺激、喚起し、動機付けること、学習機会への参加のレヴ‘ェルを引き上げ ることが必要である。そのためには、特にノンフォーマル、インフォーマルな学習への褒章の 推進、学習にともなう便益の啓発、財源の重点化、情報・ガイダンス・カウンセリングなどの 提供、等々が考えられる。 ⑥優秀性のための努力 学習経験の質を最大限にするためのシステムが必要である。学習の質は単に提供者の義務で あるのみならず、関係者が学習に投資する重要な要因となる。このため、参加、資源、学習結 果などについて積極的な目標を設定し、これをふまえ評価の指標を導入する必要がある。また、 質を保証するために、基準やガイドライン、査察制度などが必要になる。こうしたことを基礎 に継続的に評価する必要がある。 ﹁ o q L

(10)

(4 ) 実施のための優先事項 報告では、既述の生涯学習に関わるヨーロッパ委員会の目標や原則を達成するために、上述の 6 つの戦略的基礎と関わって、実施のための優先事項が述べられている。これらは、覚書に対する 種々の意見、ヨーロッパにおける既存の政策や方策、委員会独自の分析をもとに検討が進められた ものである。 ①学習の評価 この提案は、学習文化の醸成、学習機会の接近の促進、優秀性に向けての努力、等の戦略の 達成に資するものとされる。ここでは、学習の評価は、ヨーロッパ内での自由な移動の既存の 権利に基づき、ヨーロッパ生涯学習圏の前提条件であると見られている。そして、フォーマル な資格や証書の有効性や相互の認知、またノンフォーマル、インフォーマルな学習の確認、評 価、承認などの提案がなされる。具体的には、 (1)公式の証書や資格の評価づけ -教育や訓練における最低限の質的基準の役割や性格を検討すること。 -資格や証書の透明性に関するヨーロッパにおける手引きを開発すること。 -専門職について、ヨーロッパでより統一され、透明性の高い、柔軟な専門的に認知される 制度を提案すること。 -高等教育の部門での協力を進めること。 -ヨーロッパ資格証、証書などの開発と実施を支援すること。 (2)ノンフォーマル、インフォーマル学習の評価及び経験の交換 -ノンフォーマルな学習の確認、評価、認知の領域で経験や優良な実践の組織的交流を始め ること。 -種々の機関の協力を得て、ノンフォーマル、インフォーマルな学習の評価方法、評価基準 などの開発を進めること。 -上記の方法、体系、標準の一覧表を確立すること。また、これらを実施するための法的枠 組みを整えること。 (3)全ての形式の学習を援助するヨーロッパレヴ、エルでの新しい措置 -全ての段階の教育や訓練について、資格や能力証を一緒にまとめ、提示できる“ポートフ ォーリオの制度"を開発すること0 ・種々の機関や国々での教育や訓練を一緒にできるように、ヨーロッパクレジット移転制度

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System -ECTS)

やユーロパス

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のように、 資格の蓄積のための“モジュラー制度"を開発すること。 ②情報、ガイダンス、カウンセリング これらの提案は、学習機会への接近の促進、学習文化の醸成、生涯学習におけるパートナー シップの推進などの戦略に資するものである。ヨーロッパに広がる情報、ガイダンス、カウン セリングなどを強化するために次のような提言がなされる。 -加盟国、加盟予定国の生涯学習に関する情報を提供する学習機会のインターネットポート を設ける。 -加盟国の関係ある全国的オンラインデータベースの利用を確保する。

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(11)

-対話の奨励、優良な実践の交換、共通問題解決の確認などのために、関係者の代表からな るヨーロッパ・ガイダンス・フォーラムを立ち上げ、このフォーラムはガイダンスの基本 概念、基礎的な原則の共通理解を発展する。 -情報、ガイダンス、カウンセリングなどのヨーロッパの既存のネットワークや構造を検討 し、一貫し、諸部門を貫通した生涯学習の枠組みにふさわしいものを確立する。 ③学習への時間やお金の投資 この提案は、十分な資源の確保、学習機会への接近の促進、優秀性に向けた努力などの戦略 に資するものである。投資は、生涯学習がもたらす基本的な変革を生じる 1つの条件であるが、 達成が難しい問題でもある。報告は以下の提言をなしている。 (1)投資のレヴ、エルを引き上げ、投資をより透明なものにすること。

-ヨーロッパ投資銀行

(European Investment Bank)

、ヨーロッパ再建・開発銀行

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and Development)

、ヨーロッパ投資基金

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などに依頼し、人材の開発・育成、インフラやソフト の整備などへの投資を求める。 -加盟国が人的資源への全体的な投資レヴェルを引き上げる国家的目標を設定するようにす る。 ・加盟国に、生涯学習政策を発展するため、ヨーロッパ社会基金

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以下、

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の一層の利用を働きかける。 ・ヨーロッパ連合は、

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計画の生涯学習への影響について測定する指標や手段を開発する。 (2)投資インセンティヴを高め、投資を可能にすること。 -個々の基金拠出計画の投資、学習への参加、学習結果などへの影響を評価するために、と れらの種々のモデル計画を評価する。 -学習への投資の便益、費用、収益等の研究をヨーロッパ委員会の第6次研究フレームワー クの中で支援する。 (3)投資にともなう高い質の収益や結果を確保すること。 -生涯学習の質的諸側面に関してガイドライン、指標を開発する。 ④学習者と学習機会をより緊密に結びつけること とれは学習文化の醸成、生涯学習におけるパートナーシップの推進、学習の需要の把握など の戦略に資するものであり、共同体、都市、地域での学習、職場での学習などを奨励し、支持 する活動である。これに関しては以下のように述べている。 (1)共同体、都市、地域での学習を奨励し、支援する。また地域学習センターを設置する。 -加盟国は、学校や成人教育施設、その他の諸施設を利用すること。 -青年の諸組織は、ノンフォーマル、インフォーマルな教育の成果を目に見えるようなもの にし、かっその成果を公表すること。 -加盟国は、地方や地域の開発計画の一部として、生涯学習の実施を支援するために、ヨー ロッパ地域開発基金

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(12)

-27--ヨーロッパ委員会は、優良な実践や経験を交流するために、進んだ生涯学習戦略をもって 地域や都市のネットワークの確立を支援する。

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職場における学習を奨励し支援する。 -各当事者達の同意を得て、各職場の従業員が、個々の能力の査定に基づき、また事業体の 全体的な能力開発計画に従って、個々人の能力開発計画を持つようにする。その計画は、 職場の特別なニーズや状況を十分考慮し、専門家のアドヴ、イスを受けるべきである。 ・ヨーロッパ委員会は、生涯学習に投資している事業体の褒賞をはじめ、各職場の生涯学習 において優良な実践について褒賞し、公表する。 ⑤基礎的なスキル これは学習需要の把握、学習文化の醸成、学習機会への接近の促進などの戦略に資するもの とされる。 (1)基礎的なスキルのパッケージが何かを確認する。 -ヨーロッパ委員会は、教育や訓練の体系の具体的な目標に関する報告書の後に設置される 専門グループに、基礎的スキルの内容について検討を依頼する。 (2)基礎的なスキルを真にすべてのものに利用できるようにする。とくに学校において不利益 をこうむっている人々、早期の離学者、成人学習者達に対して利用できるようにする。 -基本権憲章において認められている教育への権利を実質化するために、義務教育への権利 を拡充し、年齢にかかわりなく、全ての市民に対する基礎的スキルへの自由な接近を加盟 国が保障すべきこと。 -加盟国が、若者に対しては、義務教育の一部として、デジタル・リテラシーの習得を保障 し、また失業者達に対しては、基礎的なICTスキルの資格を獲得できるような機会を与え るべきとと。 -全ての労働者に情報社会リテラシーを習得する機会を与えるために、特に低いレヴ、エルの スキルしか持たない労働者、年長労働者にたいして学習機会への接近を保障するようにす る。 -ヨーロッパのNGOに依頼して、基礎的なスキルの習得、主流になっている生涯学習への 参加を妨げ、または促進している諸要因を確認する。 ⑥革新的学習方法 これは学習需要の把握、生涯学習におけるパートナーシップの推進、優秀性に向けた努力等 に資するとされる提案である。 (1)新しい教授・学習方法の開発、教師、指導員、また他の生涯学習関係者の役割の検討 ・ヨーロッパ委員会は、教師や指導員の訓練のネットワーク開発を支援する。これはフォー マル、ノンフォーマルな学習場面での革新的な経験を分析し、交流することを目的とする。 また、教師や指導員の能力や資格の共通枠組みの確立に助けになり、 ICTを基礎とする学 習の挑戦に応じることもできる。

(13)

-28--ノンフォーマル、インフォーマルな教育が重要視されるが、その際生涯学習推進者達の役 割が支持される。

NGO

などは、こうした領域での経験の交流を始めるべきである。 ・ヨーロッパ委員会は、われわれが、フォーマル、ノンフォーマル、インフォーマルな学習 環境の中で如何に学ぶのか、

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はこれらの学習過程にどのように組み入れられ得るのか 等の調査や実験を提案する。 ・ヨーロッパ委員会は、フォーマルな教育、訓練以外の、ボランタリーな学習組織において 目標とされるヨーロッパの質についての勧告を行う。

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生涯学習を可能にし、支援する

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-ヨーロッパ委員会は、国家レヴェルで、

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を基礎とする学習教材、とくにソフトウエ アーの質の開発へのアプローチを検証する。 ・ヨーロッパ委員会は、

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を基礎とする学習を発展させるために、ソクラテス、レオナル ドダヴ、インチ、イーラーニングなどのプロジェクトの支援を継続する。 (5 ) 生涯学習推進のための条件づくり 暫定報告は、以上の議論の後に、さらにヨーロッパ連合における生涯学習推進のために、次のよ うな支援や体制づくりの必要性を述べている。 ①ヨーロッパを広くカヴ、アーするデータベースの開発 すでに指摘してきたように、ヨーロッパにおける生涯学習は、ヨーロッパ連合の関係諸機関 や関係国、関係国内の団体や組織、その他の関係者が協力して進められなければならない。ま た、実施は、既存の諸過程、計画、手段によって行われるが、それらは生涯学習の枠組みへと 収束される。こうした生涯学習推進のためには、モデルとなる実践や経験が交換され、問題や 考え方、優先事項などの確認が必要となる。これらを支援するために、特にヨーロッパ関係機 関が、全てのレヴ、ェルでの生涯学習に関するモデル的実践、情報、経験などについてのデータ ベースを開発する。 ②ヨーロッパレヴ、エルでの既存の諸計画や方策の再検討と調整、連携の推進 ヨーロッパ委員会においてはすでに様々な計画や事業が進行しつつあり、これらは直接的、 間接的に生涯学習の推進と関わりがある。例えば、“教育や訓練体系の具体的目標に関する報 告とそのフォローアップ事業"、“ヨーロッパ雇用戦略"、“スキルと移動性に関するアクション プラン¥“ヨーロッパの社会問題"、“イー・ラーニング アクション・プラン"などの事業が ある。またヨーロッパ社会基金、ヨーロッパ地域開発基金等の基金があり、また研究計画もあ る。これらを見直し、生涯学習の枠組みに位置づけ、調整・連携をはかる。 ③生涯学習の推進状況確認のための指標の開発 一貫した、包括的な生涯学習戦略の推進し、その目標を達成するにあたって、進行状況を確 認し、評価する必要がある。そのためには、比較可能な情報や統計資料が必要である。これま でにもこうした目的のために、幾つかの指標が設定され、使われてきたが、今後、他の領域の 計画や事業における指標を参考に、既存の指標を確認し、種々の新しい指標を開発する。 ④ヨーロッパ生涯学習推進のための協力組織の確立 報告は、ヨーロッパ生涯学習圏の創設を意図しており、そのために全てのレヴェルの関係機 関や関係者が協力し、連携調整する必要をしばしば述べている。覚書やそれについての諮問の 手続きはこうしたことの一貫であったが、こうした手続きを踏まえて、これまでの組織に加え

(14)

-29-て、より革新的でダイナミックな協力組織を作る必要がある。すなわち、各国の生涯学習に責 任を持つ省の代表者からなるトップレヴ、エルの検討グループ、政策統合推進のための各国の省 をカヴ、アーする調整組織、等々である。 5、 むすびにかえて 以上本稿においてヨーロッパ連合関係機関における生涯学習振興のための検討状況について、そ の覚書や暫定報告を基礎に論じてきた。こうした検討は、近年中に終わり、より具体的な計画が推 進される予定である。ここで、今後の方向性を記し、若干のコメントをしておく。 (1)今後の作業日程 2001年11月に出された暫定報告は、その後、ヨーロッパ議会、経済社会委員会、地域委員会、 等の関係機関による検討や討議、バルセロナで開催予定の会合での討議、その他、種々の検討を経 て、正式報告書が提出される予定である。暫定報告では、今後の調査・検討・評価が必要な事項とし て以下の点をあげている。 -学習に対する投資の便益、費用、収益の調査 ・種々の学習者集団に対して効果的、効率的な教育の方法を推進すべく、フォーマル、ノンフォ ーマル、インフォーマルな学習の環境の中でわれわれが如何にして学ぶか、 ICTはこれらの学 習過程に組み込まれ得るかなどの調査 ・透明性を強化するために、国家、地域、事業主体等のそれぞれのレヴ、エルで、生涯学習に対す る投資の公的、私的な記録枠組みの可能性の研究 ・ノンフォーマルな学習、インフォーマルな学習に焦点をあてた調査 -生涯学習におけるパートナーシップを効率的、かつ支持的なものにするための諸要因の評価 ・基本的な技能、成人の読み書き能力の発展に向けての

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全体に及ぶアプローチに関する可能 性の研究 -基本的技能や生涯学習に対する個人の諸権利を提供する既存の機構、学習機会への参加に関す るインパクトの評価。 -不利益をこうむっている諸集団のための生涯学習を受ける際の障害、その様な障害を排除する ための重要な要因の確認。 -その他生涯学習の領域全般にわたるより広い調査の支援。 (2 )とりあえずのコメント これまで述べてきた通り、 1990年代中期以後、世界の主要国で生涯学習が再評価され、これを 基礎に教育や職業訓練の体系を基本から見直す動きがある。中でもヨーロッパ連合、加盟各国にお いてはその動きが加速している。ただ、その実態や進行状況を見ると加盟国によって取り組みや実 情に著しい違いがあり、必ずしも関係機関が意図する方向には向かっていない。覚書や暫定報告に おいて取り上げられた問題についても、より具体的なものにする必要もある。これらについては、 日本においてはすでに相当議論されていることや常識であることも多い。今後の動きや進行状況を 注視するが、ここではとりあえずのコメントをしておく。 上記のように、生涯学習の体制作りや振興方策について、わが国において論じられていることも 多く、また不十分な点も多い。しかし、その基礎にあることを見ると、わが国とはウエイトの置き ハ U n d

(15)

方や熱意が相当程度違っていると考えられる。 前稿において、ニューカッスル会議の報告を手がかりに、日本とヨーロッパの生涯学習の違いを、 消費重視型と生産重視型にとりあえず分けてみた。 (10) 暫定報告においては、若干の修正がある が、ヨーロッパ連合の生涯学習推進の動機が、ヨーロッパ統合のための、社会的統合とともに、急 激に変化する社会・経済状況の中での経済成長や安定にあり、グローバルな競争社会で生き残るた めの人材の育成にあることは明確である。これらはきわめて強い動機となっている。それは、暫定 報告の副題に添えられた、中国の『管子』からの次のような引用から明らかである。

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1年を計画 するには穀物を植えよ。 10年を計画するには木を植えよ。生涯の計画を立てるには、人を訓練し教 育せよ。」しかも、ヨーロッパの主要な国々の教育改革が、経済的動機に支えられ、新たな知識社 会を支える人材の育成に基礎をおいているととも明確である。 フィールドは、「福祉国家はその焦点を、受動的な援助から積極的な付与(i

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の戦略へ と変化している。その最も重要なことは、訓練を含んでいる。それゆえ、個々人は自らの福祉のた めの積極的な責任を引き受けるのに必要とされる技能や知識を獲得できる。生涯学習は既存の階級 や不平等を再生産するのに役立つのみではなく、新しいものを作り出し、合法化する潜在的な可能 性も持っている。J(11)と述べている。わが国では生涯学習の推進が花盛りであり、様々な教育論、 学習論において踊っている。しかし、その現実や方向性を見ると検討することは極めて多いように 思う。 注、

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(4 )この項では、フィールド論文が大変参考になった。

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以下、覚書については、この書類によった。

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(10)藤田弘之、「比較生涯学習政策検討序説」、『滋賀大学生涯教育研究センター研究集録、

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追記、原稿提出後、

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月のバルセロナでのヨーロッパ連合首脳会議関係の文書を入手し た。この中で、生涯学習政策についても述べられており、その概要をまとめておく。 (1)生涯学習への成人の参加を大幅に増大させるという目標はほとんど達成されていないことで ある。すなわち、リスボン会議以来ヨーロッパ連合全体でわずか、

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パーセントの増加しか 示していない。また、早期の離学者たちの数もいぜんとして高い状態が続いている。 (17パー セント)社会の全ての人々に教育を利用できるようにするために、明らかにより多くの行動が 必要とされる。 (2 )投資や雇用に偏重した生涯学習政策を見直すべきことである。すなわち、知識への投資は、次 年度の3つの優先領域の1つとして委員会によって提案されている。しかし、この優先は明ら かに将来の競争や雇用のために進められている。もちろん、社会の中で知識や教育を増大させ ることは、労働市場への積極的なインパクトを持つ。しかし、生涯学習が経済や雇用政策の道 具として見られるべきではなく、社会の全ての人々に対してなされる社会的目標として見ら れるべきである。 (3 )生涯学習政策をヨーロッパ連合内での人々の格差是正を重視して進めるべきことである。すな わち、ヨーロッパの生涯学習政策は、社会共同体や個人の発展、経済的な発展など、学習のよ り広い目標を認め、重視して発展されるべきである。そのような政策は、

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世紀のヨーロッパに おいて、学習の分離、民主的参加の減退、人種主義的行動の増大、貧困地域、また経済的繁栄 やデジタル革命の恩恵を受けない集団の問の不満と疎外等の問題に対応することが必要とさ れる。 (4)生涯学習政策を統合ヨーロッパの実現を視野に入れて考えるべきことである。すなわち、経済 的目標のためだけに生涯学習を道具化することは、「個人的、市民的、社会的、また雇用関係的 な見かたの範囲内で、知識やスキルや能力を改善するという目的をもって人生を通して行われ る全ての学習活動」と定義する生涯学習に関する委員会の最近の報告からの後退である。生涯 学習は、積極的な市民性や民主主義を推進する主要な要因であると同時に統合社会を創造す る重要な要因である。そして、もし知識社会の確実な基礎が確立されるならば、その基礎に基 づいて、評価され推進されるべきものである。

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本稿をまとめるにあたって、ヨーロッパ成人教育協会

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から、資料の提供を受けた。記して謝意を表す る。 っ b q u

参照

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