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秋田県のスモン登録患者の推移 (3)

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Academic year: 2021

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(1)

A. 研究目的

昨年に引き続き、 電話調査での有用性を検討する。

また、 平成元年当初からの登録患者の推移により死亡 時年齢と出生年の関係を求める。

B. 研究方法

電話調査での有用性を ADL 項目の相関で検討した。

平成元年当初からのスモン登録患者の死亡について、

平成 21 年の引継ぎ時資料と平成 21 年からの検診記録 から調査し、 死亡時年齢と出生年の相関を求めた。 こ れを、 国勢調査の人口動態と比較した。

C. 研究結果

電話連絡の妥当性について ADL/介護関連の 3 指標;

Barthel Index、 老研式活動能力指標生活内容 (TMIG Index of Competence)、 日常生活での介護・介助につ いて検討した。 結果を図 1に示す。 積率相関係数はい ずれも 0.95 を超え高い相関を示した。

32 年間で 31 名が死亡し、 男性 9 名 78.9±4.1 歳、 女 性 22 名 88.6± 6.0 歳 で 有 意 に 女 性 が 高 齢 で あ っ た 。 Mann-Whitney 検 定 で は p 値 =0.0001 で 効 果 量 r=

0.63 であった。

死 亡 時 年 齢 と 出 生 年 は 、 積 率 相 関 r=0.508 で 中 等

度の相関を示した。 回帰直線の勾配が−0.4614 でマイ ナスを示し、 出生年が遅くなるごとに死亡時年齢が低 くなることを示した。 男女別の検討を図 2に示す。 女 性 で 、 相 関 係 数 r=0.523 で あ っ た 。 回 帰 直 線 の 勾 配 は−0.3912 で、 出生年が 10 年遅くなると死亡時年齢 が 4 歳程度早くなることを示した。 男性では相関係数 r=0.331 で 弱 い 相 関 を 示 し 、 回 帰 直 線 の 勾 配 は

−0.1805 であった。

一般人口での生命予後を国勢調査人口動態の年代別 変化から求めた。 女性で 1965 年での調査でそれぞれ の年代を 100 として、 その後の人口動態をプロットし、

― 83 ―

秋田県のスモン登録患者の推移 (3)

豊島 至 (国立病院機構あきた病院脳神経内科) 和田 千鶴 (国立病院機構あきた病院脳神経内科)

研究要旨

今回の調査はすべて電話によった。 対象者は 8 名 (男 4 名、 女 4 名) である。 3 年前から 電話調査を加えて悉皆調査になっている。 有効性については ADL 関連事項に関する限り満 たされていると考えられた。 また、 平成元年当初からの登録患者の推移と検診状況について 検討した。 昨年から女 1 名が死亡し、 32 年間の死亡者は 31 名に上った。 死亡時年齢と出生 年の相関を求めると、 出生年が早いほど死亡時年齢が高齢で、 男女別では女性で顕著であっ た。 これは、 若年発症ほど生命予後が悪いことを示唆しており、 SMON 登録患者全体での検 討が望まれる。

図 1 電話調査による ADL 指標の散布図と相関 いずれの組み合わせでも相関が高いことを示している。

(2)

50 と な る 年 齢 で あ る 寿 命 中 位 数 を 求 め た (図 3) 。 1910 年 ま で の 年 代 は ほ ぼ 同 様 で あ る が 、 そ の 後 線 形 に 増 加 し て い る 。 こ れ を 、 図 2と 重 ね る と 、 1920 年 代での寿命中位数と交差し、 スモン登録患者では一般

人口とは違って出生年代が遅くなると死亡年齢が低く なることが分かった (図 4)。

D. 考察

電話連絡による情報収集の信頼性を検討した。 内容 が少しずつ違っているにもかかわらず 3 指標での相関 はきわめて高く、 信頼すべき情報がえられたと判断さ れた。 また、 電話調査により、 初めて悉皆調査が可能 となった。 今後、 患者調査において、 調査票のどの事 項が重要であるのか検討が必要であろう。

死亡時年齢と出生年代について相関を検討した結果、

女性において出生年が早いほど高齢死亡となる傾向が 認められた。 回帰直線の勾配がマイナスを示すことは 若年発症ほど生命予後が悪いことを示唆している。 男 性では出生年による変動は小さく、 生存者 (図 4 オー プンリング) を加えると出生年効果はないことがわか る。

1965 年 で の 年 代 別 の そ の 後 の 人 口 調 査 か ら は 、 出 生年代が遅くなるほど年代別人口減少が緩徐となるこ とが算出され、 秋田県女性スモン患者の死亡年齢の傾 向とは明らかに異なる結果を示した。 この要因につい ては今後の検討を要するが、 発症年代の差が予後に反 映されることを示唆している。 すなわち、 若年発症ほ ど平均余命が短くなるということである。 生存者の年 齢を考慮してもこの傾向は維持されることも推定され た。

E. 結論

秋田県のスモン登録患者について電話連絡による情 報収集により初めて悉皆調査が可能になった。 情報の 信頼性も担保されているものと考えられた。 登録患者 の推移と死亡年齢を検討し、 女性の出生年が早いほど 死亡時年齢が高いことが明らかになった。 その要因に ついては今後の検討が必要である。 また、 この傾向が 秋田県に限定されるのか、 SMON 登録患者全体での 検討が望まれる。

G. 研究発表 1 . 論文発表

1 ) 豊 島 至 : Clioquinol の 毒 性 用 量 と 毒 性 濃 度 . 秋

― 84 ― 図 2 秋田県におけるスモン登録患者の出生年と死亡時年齢

黒が男性、 灰が女性。 R2は回帰係数を示す。

図 3 年代別人口動態から求めた女性の寿命中位数 1965 年当時の女性年齢を基準にして、 その年代ごとの寿命中位 数を求めた。 縦軸は年齢。

図 4 出生年と死亡年齢

女性では出生年が早いと有意に死亡年齢が高くなる。 男性では 出生年による変動は小さく、 生存者 (オープンリング) を加え ると出生年効果はないことがわかる。

(3)

田病院医学雑誌 8 (3):5-13, 2020

2 ) 豊島 至, 和田千鶴:秋田県のスモン患者の出生 年代と死亡年齢の相関. 秋田病院医学雑誌 8 (2):

13-18, 2020 2 . 学会発表

なし

H. 知的財産権の出願・登録状況 なし

I. 文献 なし

― 85 ―

参照

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