九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
フィードフォワード管理会計の構造と展開
丸田, 起大
Graduate School of Economics, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3166617
出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(経済学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
フィードフォワード管理会計の構造と展開
丸田 起大
目 次
序 章 現代管理会計とフィードフォワード概念
l1 問題の所在 1
2 本論文の構成 5
第1部 フィードフォワード管理会計の基礎
8第1章 フィードフォワード概念の基礎
91.1 はじめに 9
1.2 フィードフォワード概念の源流 10
1.2.1 コントロールの「形容詞」としてのフィード フォワード概念 10
1. 2. 2 制御工学と フィード フォワード概念 12 (1) 空間規定一前方と後方- 12 (2) 時間規定一事前と事後一 13 (3) 認識構造一二項対立 14 1.3 フィードフォワード概念の日常性と学際性 16
1. 3.1 医学とフィードフォワード概念 16
1.3.2 経済学とフィードフォワード慨念 18
1. 3.3 経営学とフィードフォワード概念 19
1. 3.4 財務会計論とフィードフォワード概念 22
1.4 おわりに 23
第2章 フィードフォワード管理会計の概念と構造 25
2.1 はじめに 25
2.2 フィードフォワード管理会計の基礎概念 26
2.2.1 フィード フォワード管理会計の要素概念 26 (1) 事前値と事後値 26
(2) 基準値と対象値 27 (3) 上限値と下限値 27
2.2.2 フィード フォワード管理会計の基礎慨念 28 (1) 事後よ限基準値と事後上限対象値 28 (2) 事後下限基準値と事後下限対象値 29 (3) 事前上限基準値と事前上限対象値 30 (4) 事前下限基準値と事前下限対象値 30 2.3 フィードフォワード管理会計の基本構造 31
2.3.1 フィード フォワード管理会計の展開構造 31 (1) フィードパック管理会計の第1局面 31 (2) フィードパック管理会計の第2局面 31 (3) フィード フォワード管理会計の第l局面 32
目 次
(4) フィードフォワード管理会計の第2局面 33 2.3.2 フィードフォワード管理会計の差異概念 33
(1) 基準差異と対象差異 33 (2) 事前差異と事後差異 34 (3) 上限差異と下限差異 34
2.3.3 フィードフォワード管理会計の差異計算構造 35 (1) 損益計算と統制計算における
差引計算の論理一正と負- 35 (2) 上限統制と下限統制における
差引計算の論理 36
(3) フィードフォワード管理会計の差異概念と差異 計算精造の体系 37
2.4 おわりに 37
第3章 フィードフォワード管理会計のフレームワーク
3.1 はじめに 40
3.2 管理会計フレームワーク論の展開と構造 41 3.2.1 管理会計フレームワーク拾の展開 41
(1) 計画一統制 41
(2) 意思決定一業績評価 42
40
(3) 戦略的計画設定一マネジメント ・ コントロール ーオベレーショナル・ コントロール 42 (4) 戦略的計画会計一総合管理会計一現業
統制会計 44
(5) 戦略コントロールーマネジメント ・ コントロー ル一実行コントロール 45
3.2.2 伝統的管理会計フレームワークの構造 46
(1) 管理空間: r外部一内部Jと「全体一部分」
47 (2) 管理時間: r長期一短期Jと「事前一事後」
47 3.3 フィードフォワード管理会計のフレームワーク 48
3.3.1 フィードフォワード概念導入の意義 48
(1) デムスキーの「意思決定一業績コントロールJ 48 (2) 戦略コントロール論の高揚 51
3.3.2 フィードフォワード管理会計のフレームワーク 52 3.4 おわりに 55
第2部 フィードフォワード管理会計の展開
57第4章 フィードフォワード管理会計としての原価企画 58
4.1 はじめに 58
4.2 原価企画論とフィードフォワード概念 59
目 次
4.2.1 原価企画論とフィードフォワード概念 59 4.2.2 日本的管理会計検とフィードフォワード概念、 61 4.2.3 戦略的コスト ・ マネジメント論とフィード
フォワード概念 70
4.3 戦略管理会計としての原価企画のフィードフォワード構造 73 4.3.1 戦略管理会計としての原価企画 73
4.3.2 原価企画のフィードフォワード構造 74
4.3.3 原価企画の成立 ・ 普及とフィードフォワード概念 81 4.4 おわりに 84
第5章 フィードフォワード予算管理への展開 86
5.1 は じ めに 86
5.2 予算管理論におけるフィードフォワード概念 86
5.2.1 予算編成過程とフィードフォワード概念 87
5.2.2 予算伝達過程とフィードフォワード概念 92 5.2.3 予算改訂過程とフィードフォワード概念 95 5.3 フィードフォワード予算管理への展開 101
5.3.1 総合管理会計としての予算管理の構造と機能 101 (1) 総合管理会計としての予算管理 101 (2) 予算管理の構造 102
(3) 予算管理の機能 103
5.3.2 フィードパック予算管理の展開 104 (1) 固定予算の展開 104
(2) 変動予算の展開 107 (3) 事後最適予算の展開 1 10
5.3.3 フィードフォワード予算管理の展開 112
(1) 予算編成方針による戦略的予算編成の展開
(2) 参加型予算編成の展開 113 (3) ローリング予算とBCFの展開 115 5.4 おわりに 118
第6章 フィードフォワード管理簿記の可能性
1216.1 はじめに 121
6.2 管理簿記の発想、と展開 121 6.2.1 管理簿記の発想 121 6.2.2 管理簿記の展開 124
(1) 標準原価簿記の構造と機能 124 (2) 機会原価簿記の構造と機能 128 (3) 目標原価簿記の構造と機能 132 6.3 フィードフォワード管理簿記の原理 141
6.3.1 フィードフォワード管理簿記の分析視角 141 6.3.2 フィードフォワード管理簿記の原理 144
112
目 次
(1) 数値属性 144 (2) 数値時間 160 (3) 記帳時点 164
6.4 フィードフォワード管理簿記の意味 172
6.4.1 工業簿記の形式・実質形態論 172
6.4.2 フィードフォワード管理簿記への展開 174
(1) 形式・実質二元形態の工業簿記 174 (2) 形式・実質一元形態の工業簿記 174 (3) 形式一元・実質二元形態の工業簿記 174 (4) 形式一元 ・ 実質二元形態のフィードパック管理
簿記 175
(5) 形式一死・ 実質三元形態のフィードパック管理 簿記 176
(6) 形式一元・実質四元形態のフィードフォワード 管理簿記 177
6.5 管理簿記とコントローラピリティ 178 6.6 お わりに 180
終 章 管理会計原理とフィードフォワード概念
182 1. 本論文の結論 1822. 課題と展望 185
参考文献
188序 章
現代管理会計とフィードフォワード概念
1.
問題の所在
本論文は, フィードフォワード(Feedforward)という概念を基軸にして構想さ れる フィードフォワード管理会計の構造と展開を描くことを通して , 一方では現 代管理会計を適切に位置づけう る新たな管理会計 フレームワーク の構築を試みな がら, 他方では統制計算(西村明[1989] i頁)としての会計の原理的な在り方に まで考察を及ぼそうとするものである。
この フィードフォワードという概念は, とれと対になる概念であるフィードパッ ク(feedback)概念が非常になじみの深い日常的な概念とな っている(Bogart[1980]
p.234)のに比べれば, その認知度はきわめて低い状況にあるといわざるを得な い。
しかしながらその フィードフォワード概念が, 現代管理会計論における世界的 な関心の的である原価企画を中心とする日本的管理会計実践に関する一つの説明 概念として提起されたのを契機として, 現代管理会計論における一つのキーワー ドとな りつつある。
例えばその主張の端緒はMorgan and Weerakoon[1989]に認められ, 我が国では Ni shim ura[ 1993] [1995]および西村明[1995][1996][1998][1999]によって体系的に 議論されてきている。 またCooper[1995][1997]およびKaplan and Cooper[1998]な
どと いった, アメリカの 管理会計論における著名な論者による検討によって着実 にその意義が高められつつある。
またその意義は原価企画論のみに認められるにとどま らず イギリスにおいて はBromwich and Bhimani[1994]などによって, またドイツにおいてもべア[1999]
などによって, 管理会計の基礎概念としての検討が進められつつあり, また我が
序 章 現代管理会計とフィードフォワード概念
国における原価改善や 先進的な予算管理実践についての説明理論としても提起さ れはじめている。
さらには最近では, 会計学辞典レベルにおいても着実に取り入れられるように なってきており(神戸大学会計学研究室[1997]および角谷光一[1997]など) , 国 内外を問わず現代の管理会計論において, にわかに注目を集めつつある一つの重 要な鍵概念として検討するに値するものであると考えられる。
しかしながら以上のような動向のなかで, 当面の現代的な関心にのみ囚われ
てしまっては, このフィードフォワードという概念はアドホックなものとして片 づけられやがて忘れ去られてしまうかもしれない。 ところがとのフィードフォワー ドという概念は, 単に当面の関心にとってのみ意味のあるアドホックなものに留 まるようなものではなく, きわめて示唆に富む合意をもっエッセンシャルな概念 であることが認識されねばならない。 なぜなら, とのような「現在Jにおける問 題化を待つまでもなく, フィードフォワード概念については, 若干ではあるが賢 明なる先学によって古くから検討されてきた「過去Jがあり, 様々な学際的な考 察を通してその意味内容の「深遠さ」と「広大さJが認められてきているからで
ある。
そもそもとのフィードフォワードという概念の出生の地は制御工学領域に認め られるが, やがて様々な自然科学や社会科学領域へと学際的な「拡がりJを見せ,
次第にその概念内容は豊かなものとなってきている。 またわが国においても竹村 健一[1984][1985]などによって大衆的な啓蒙がはかられた経験などもあり, これ らの考察を検討すれば, 実はフィードフォワードという概念をめぐる問題が「古 くて新しいJものであるということが理解されるであろ う。
もちろん管理会計論においても若干の興味深い考察が残されている。 古くは
Dcmski [1969]に認められ, 我が国においても青柳文司[1971][1974] [1991] [1998]や 石川昭[1993][1997]およびIshikawa[1975]などによって積極的な考察が行われて きた経緯がある。
したがって現代的な視点からにわかに注目を集めているとのフィードフォワー ド概念について, 会計学に留まらず様々な学際領 域におけるとれまでの先学によ
序 章 現代管理会計とフィードフォワード概念
る貴重な成果の蓄積から, 今こそ我々は多くを学ぴとらなければならないと考え ている。
しかしながら一方で, その豊かな学際性が故に, フィードフォワード概念の理 解や規定には一定の混乱が見られるのも事実である。 それは会計学においても例 外ではなく, その概念を援用するに際 しても適切でない概念規定に振り回されて しまっている傾向も否めない。
したがって会計学という立場からではあるが, その混乱状態の解消に一定の努
力を注ぎ, 一方では学際的に通用するフィードフォワード概念の一般的な規定を 求めながら, 他方ではフィードフォワード概念の「会計学J的な定義を目指した 考察を行っていく必要がある。
またこのような過去の成果の蓄積を踏まえつつ再び現在の問題へと立ち戻るな らば, 現在の問題を新たな視角から「相対化Jすることが可能となる。 その際,
その相対化の対象となるものとしては 原価企画と「構造的に同型性をはらんで いるものJ (石川純治[1996]57頁)を抽出することを心掛けた。 つまり一定の構 造的同型性を示すーっの現象群として, 伝統的な管理会計技法のなかから標準原 価計算, 予算統制, 機会原価計算, および工業簿記を選び出し, フィードフォワー ドとフィードパックの視点からそれらを原価企画と比較 ・検討している。 とれに よって, 現代管理会計としての原価企画が相対化され, 伝統的な管理会計技法で ある標準原価計算や予算統制などと原価企画との差異を, さらにはより一般的に 伝統的管理会計と現代管理会計の差異を フィードフォワードとフィードバック という切り口から明らかにしようと試みている。
また管理会計というものが「フィードパックからフィードヲォワードへjとそ の重点を移行させてきたという歴史的な展開構造の析出を試み, さらには伝統的 な管理会計フレームワークをフィードフォワードの視点から批判的に検討して,
現代管理会計の現状に対応できる新たな管理会計フレームワークの構築をも試み ている。
しかしながら, 以上のような考察のみでは, r過去jから「現在Jにわたる管 理会計の発展をフィードフォワード概念を基軸にして「フィードパックJするに
序 章 現代管理会計とフィードフォワード概念
過ぎないという消極的な試みに留まってしまう。 つまり方法論的な意味において も「フィードフォワードj的であるためには, 以上の成果を跨まえてさらに「未 来Jへとその考察を押し進めていぐ必要がある。
確かにとのフィードフォワードという概念は, 一方では原価企画や予算管理と いった既存の多種多様な管理会計諸技法が「何であるのかJという問いについて 一つの説明力を発揮する「説明概念jとして意味を有している。 しかしながら他 方では, 管理会計というものが「何でありうるのかJ(石川純治[1996]115頁)
という問いを立てる ことが認められるのならば, これまでに見いだされていない 新たな管理会計の在り方を導くような創造力をもっ「規範概念Jとしての意義を もそ こに見いだすととができると考えられる。
そこでこのような「説明力と創造力J(石川純治[1994]133頁)を有するフィー ドフォワード概念の視角から検討してみる一つの興味深いの素材として, 本論文 では複式簿記を採り上げている。 そしてフィードフォワードの視点からの複式簿 記分析を通じて, 伝統的にフィードパックによるアカウンタピリティ( account-
abili ty)遂行の装置として優れた役割を担ってきた複式簿記を, フィードフォワー
ドによるコントローラピリティ(control1ability)遂行の装置へと論理的に拡張 する試みの一端を示している。
さて, 以上のように過去・ 現在・未来をめぐって説明力と創造力を発揮するフィー ドフォワード概念のもつ会計的意味内容の深還さと広大さを探る試みは, 一貫し て次のような姿勢に支えられている。
すなわち会計学というものの立場として, 他の何者かである前にまずは「会計 は会計である(accounting is accounting) J (じという視点を重視し, その意識の
うえで「会計に何ができ何ができないのかJ(大下式平[1996]241頁)を明らか にしようしている。
そして本論の直接の主題である管理会計論の課題としては, rコントロールの ために管理会計には何ができるのかJ(大下ズ平[1996]218頁)という機能論的 な問いに加えて, 特定の機能を発揮するコントロールの固有の構造が管理会計の
(1) Kokubu[ 1999]p. 70において紹介されている藤田昌也の見解である.
序 章 現代管理会計とフィードフォワード概念
構造へといかに反映されているのか, 換言すればコントロールの構造がいかに
「会計構造化J (藤田昌也[1997]45頁)されているのかという構造論的な問いを 重視している。
なぜなら近年の管理会計領域の拡大という動向のなかで管理会計を一貫した視 点で捉えていくためには, r管理会計の守備範囲を外部へと拡散させていくので はなく, あくまでも管理会計の内側へと引き戻そうJ (大下丈、平[1996]240頁)
とする試みとそが必要であり, それ こそが「会計にこだわり会計が会計たる所以 をあくまで析出してい こうとする態度J(大下丈平[1996]204頁)であり, r会 計的思考の根底の一端を掴むJ (馬場克三[1975]2頁)試みへと結実していくと 考えるからである。
したがって環境変数や組織形態の様々なバラエティへの対応を重視するコンティ ンジェントな視点よりも, むしろそれらを超越した次元にあるであろう「自我に
埋め込まれた思考様式J (Hoskin and Macve[1994 ]p'92)としての会計の姿を,
とくに計算構造に焦点を当てながら追究しようと試みている。 それゆえ本論文は 管理会計構造論としての一 つの試論でもある。
2.
本論文の構成
以上のような問題意識から, 本論文では以下のように考察が展開されていく。
第1章では, フィードフォワード概念についての基礎的な考察が行われる。 ま ずその出生の地である制御工学領域における考察を通して, r前方と後方Jとい う空間規定, r事前と事後」という時間規定, および「二項対立Jの認識構造と いうフィードフォワード概念とフィードパック概念の関係性を規定するための3 つの軸が抽出される。 そしてその視角を保ちつつ, 医学や経済学, 経営学, およ び財務会計論などの諾領域へと学際的に展開しているフィードフォワード概念を 検討する ことによって, フィードフォワード概念のもつ豊かな意味内容およびそ の一般的な性質を確認していく。
第2章では, フィードフォワード管理会計を構成する基礎概念と, それらの構
序 章 現代管理会計とフィードフォワード概念
成関係から成立してくる基本構造を検討する. とこではフィードフォワード管理 会計を構成する3組の要素概念と, それ らの要素概念の組み合わせである8つの基 礎概念を明かにし, それらの基礎概念の問での差引計算によって産み出される種々 の差異概念を規定している。 さらに, フィードパックからフィードフォワードへ という管理会計の原理的・歴史的な展開構造をも明かにしていく。
第3章では, フィードフォワードの視点から伝統的な管理会計フレームワーク を批判的に継承し, フィードフォワード管理会計を適切に位置づけるととのでき る新たな管理会計フレームワークの構築を試みている。 すなわち「長期一短期J という管理時間の軸と「外部一内部J r全体一部分Jという管理空間の軸の3つ の視点を柱として構成され てきた伝統的な管理会計のフレームワークに, 新たに フィードフォワード概念の視点から「事前一事後Jという管理時点の軸を明示的 に組み込むことによって, 管理会計フレームワークの再構築を試みている。
第4章では, まず原価企画へと注がれるフィードフォワードの視線を紹介・検 討しながら, さらに個別具体的な企業事例をも分析することによって, 原価企画 のフィードフォワード構造を明かにし, それ をフィードフォワード管理会計のー 形態として相対化していく。
第5章では, 予算管理論におけるフィードフォワード概念の検討を踏まえつ
つ, 予算管理のフィードフォワード構造を明かにし, 固定予算から変動予算, 事 後最適予算, そして参加型予算やローリング予算へといたる予算管理の歴史的な 展開が, rフィードパックからフィードフォワードへJという構造展開として理 解できることを示していく。
第6章ではs 伝統的にフィードパックに規定されていた複式簿記を, フィード フォワードの視点から論理的に拡充しようとする一試論を展開している。 すなわ ち「管理簿記Jとしての標準原価簿記, 機会原価簿記, および目標原価簿記の基 本原理を解明することによって, フィードフォワード管理簿記とフィードパック 管理簿記という管理簿記体系の構想を示している。 この構想を基礎に, 管理会計 を基礎づけるアカウンタピリティとコントローラピリティの遂行の装置としての 複式簿記の意義を再検討している。
序 章 現代管理会計とフィードフォワード概念
そして終章では, 本研究から得られた諸見解を有機的に結 びつけて体系的に整 理し, さらに残された課題とその展望を明らかにすることによって結びとしたい。
第1部
フィードフォワード管理会計の基礎
8
第1章
フィードフォワード概念の基礎
1.1 はじめに
本章では, フィードフォワード概念についての基礎的 ・ 一般的な考察を行うこ とを通じて, フィードフォワードという概念のもつ豊かなイメージに触れながら,
フィードフォワードとフィードパックの関係を規定する一般的な要素を拍出して いくと とにしたい。
このフィードフォワードという概念は, これと対になる概念であるフィードパッ ク概念が非常になじみの深い日常的なものとなっている(Bogart [1980]p. 234) のに比べれば, その認知度はきわめて低いと思われる。 しかし ながらその概念は,
我々の身近にあ る様々な日常的な現象を説明する際にも頻繁に用いられる基礎的 な説明概念となっており, それはまた様々な学問領域においても重要な説明概念 とし て位置づいている。 その状況から, その概念のもつイメージはとても豊かな ものとなっており, その重要性は強調するに値するものとなっているといえる。
したがって, まずはフィードフォワード概念への関心を強く喚起する意味で,
フィードフォワード概念とフィードパック概念の関係性を明確にしながら, フィー ドフォワード概念の豊かなイメージを確認していくことにしたい。
ここでとのフィードフォワード概念への関心と理解を高めるには, フィードパッ ク概念との違い を明確にし , その概念の意義と必要性を訴える ことが有効であろ
つ。
例えば, フィードフォワードとフィードパックの違いについては, r先見の明 と後知恵J(Morgan[1992]p.43およびWatls[1993]p.566), í事前行動的と反応 的J (Morgan[1992]p.41および西村明[1995] 91頁), または「予防と治療j
CMorgan [1992]p. 41および西村明[1995] 91頁), í攻めと守りJ (竹村健一[1 9
第1宣言 フィードフォワード概念の基礎
984]212頁)などと例えられたりする。
さらに, フィードパックそのものの性格については, r検死(postmortem)J ( Koontz and Bradspies[1972]p.25)と郷捕されたり, r消火活動J (Luthans and Krei tner [1985]p. 93)などのやや皮肉めいた表現が与えられたりもする。
これらはいずれも, フィードフォワードとフィードパックの機能的な異質性を 十分に認識しながら, フィードフォワード概念の必要性と重要性を強調するため に, 両者の違い をニュアンスとして表現しようとしてい るものと理解でき る。
このようなイメージをもっフィードフォワード概念について, まずはその源流 を訪ねるととから始めること にしたい。
1.2
フィードフォワード概念の源涜
1. 2.1 コント ロールの 「形容詞」と しての フィードフォワード概念
ここで本論文において一般にコントロールというものに対しては, 次のような λ見定を与えておきたい。
コントロールとは, ある目的を達成するために, 一定の事物の状態を把握し, そ の状態とあるべき状態とのギャップを認識し, それを解消する形で事物を一定の 方向へと噂き, 望ましい状態を保とうとする行為である。
そしてそもそもフィードフォワードやフィードパックという概念は, このコン
トロールの いわば「形容詞Jであり, とれらの 概念はそれぞれ特定のコントロー ル ・ プロセスを表現するものとして産まれ出たものである。 したがってこれらの 概念について考察する前に, まずはコントロール ・ プロセスの一般的な構造につ いて確認しておかねばならない。
コントロール ・ プロセスとしては, 一般に次のような規定を与えておくことに する。
①コントロールする上での判断の拠り所として, 目的を反映させた「基準となるも
10
第1章 フィードフォワード概念の基礎
のJを設定する. この基準となるものの設定から出発することの含意は, rどこ
へ行きたいのか分からなければどこへ行っているのか分からないJ (Koontz and Bradspi巴s[1972]p.26)という指摘に端的に現れているであろう.
②その基準となるものをもって判断される「対象となるものJの状態を把握する。
ここでいう対象となるものの状態としては, 2種類が考えられる。
(alすでに起こってしまった過去についての状態の把握であり, 一定の事物につ いての「事後Jの状態把握である.
(blこれから起こるであろう未来についての状態の把握であり, 一定の事物につ いての「事前」の状態把握である。
③その基準となるものと対象となるものの状態のギャップを認識する。 そしてその ギャップの解消のために選択可能な代替案の比較考量を行い, 採るべき措置が決 定される。
④最後にその選択された案が具体的な修正行動として実行される。
そしてこの①~④のプロセスが繰り返されていくことになる(図表, -1)。 すな
わち④の結果を再び②で潰.IJり, ③でギャップを認識して, ④を経てそのギャップ が解消されるまでとのプロセスが繰り返される。 さらには目的や環境の変化に応 じて, ①で設定された基 準となるもの そのものの改訂を行っていくことが必要と なる。 この点は, Demski [1969]をはりめFilley and House[1969]やAnderson[198 4]などフィードフォワード論者の多くが指摘する 重要な部分である。
①基準となるものの状態設定
②対象となるものの状態把握
③基準となるものと対象とな るものの状態のギャップ認識
④修正行為 図表1 -1
11
第1章 フィードフォワード概念の基趨
1. 2. 2 制御工 学 と フィードフォワード概 念
以上のようなコントロール ・ プロセスの一般的な構造を踏まえた上で, フィー ドフォワードと フ ィードパックとの関係について考察していくととにする。
その出発点としては, それらの概念が産まれでた工学的な状況から考察をはじ めていくのが望ましいであろう。 なぜならフィードフォワード概念についての議 論は, 制御工学領域においてすでに1960年代から生じてきているとされており
(Koontz and Bradspies[1972], Belkaoui[1983], Hodge et al.[1984]) , フィー
ドフォワード概念は現在では制御工学のテキストレベルにおける基礎概念とな っ ているからである(例えば高橋安人[1968]および示村悦二郎[1990]など)。
したがってまずとの工学領域の議論を検討しながら, フィードフォワード概念 とフィードパック概念の一般的な規定を与える際に軸となる規定要素を見いだし ていくととにしたい。
(1) 空間規定一前方と後方一
それでは, まずは一つの手がかりとして両概念の言語構成から見ていくことに する。
まずフィードフ ォワードの原語は, feedforwardである。 とれはfeed + forward からな っており, 同じくフィードパックもfeedbackでありfeed + backからなるも のである。 ここでこれらに共通するフィード(feed)は「情報を流す ・ 送る Jと いう意味を表している (Bogart[1980]pp.237・238)。 そしてとれに続くフォワー
ド(forward)は「前方へJという意味を形容し, パック(back)は「後方へ」
という意味を示している。 したがってフィードフォワードは「前方へ情報を送るJ
フィードパックは「後方へ情報を戻すJという意味を表現しているのであり, と れらは直接的には, 前方や後方という「空間関係Jを規定しているといえる。
このような言語構成は, そもそも当初は図表1-2のような図式を前提にしては じめて成立したものである。 すなわち「インプット→プロセス→アウトプットJ
12
第1章 フィードフォワード概念、の基礎
コントロール・システム
⑪ ⑪
L__一一一ーーーーー-J--ーーーーー」ーーー一一一一-
J
図表1-2
という流れの方向を前提に, インプットよりも前に位置するコントロール ・ シス テムからみて「前方 Jにあるインプットやアウトプットに向けて情報を送る行為 がフィードフォワードとされる。 これに対して, アウトプットからみて「後方j にあるコントロール ・ システムへ 向けて情報を戻すのがフィードパックとされる のである。
(2) 時間規定一事 前 と事 後一
またフィードフォワードとフィ ードパックは, 測定のタイミングと情報の源泉 をも異にしている(J ackson and Morgan [1978], Robinson et al. [1986]など)。
すなわちフィードフォワードは, 投入される前のインプットやプロセスの状態 を測定して, それを基礎にアウトプットを予測しようとする。 これに対してフィー ドパックは, 産出された後のアウトプットを直接的に測定するのである。 ここか らフィードフォワードとフィードパックの「時間関係Jを導き出してみることに する。
まずフィードフォワードは, インプットが投入される前のコントロール行為で あるととから, それは「事 前Jの行為であるといえる。 これに対してフィードパッ クは, アウトプット産出後のコントロール行為であり, r事後 Jの行為であると いえる。
13
第1章 フィードフォワード概念の基砲
ここから, フィードフォワードは事前統制という時制をもつものであるのに 対 して, フィードパックは事後統制という時制をもつものであると理解できる。
しかしながらフォワードやパックという用語は, そもそも「時間の不可逆性J から, それそのものとしては時間関係を示し得ないものであることが指摘されて いる(Koontz and Bradspies [1972], 宮本匡章[1978])。 したがってフィードフォ ワード概念やフィードパック概念は, それ自体は言語表現的には「空間関係Jを 示すもの でしかないけ れども, 付随的 ・派生的な形で「時間関係Jをも示すもの であると理解するととにしたい。
(3) 認識構造一二項対立-
さらには, フィードフォワードにおいては, 先のコントロール ・ プロセスの①
~③の過程にあるような「基準となるものと対象となるものとの事前的比較Jと いう「認識様式Jによるギャップ認識が行われている。 同じくフィードパックに おいても, 比較の時制は事後であるが, 同様の様式によるギャップ認識がなされ ている。 つまり両概念の基礎には, 何らかの比較されるものの聞の「二項関係J
が常に成立しており, しかもそこには「基準となるものJと「対象となるものj という形で相互に対立した関係が成立しているのである。
したがって, フィードフォワードとフィードパックという概念は, 言語表現上 は直接的には情報が「前方・後方Jへと流れるという「空間関係」を表現しなが らも, その基礎には「二項対立ωJの「認識構造jや「事前・事後」といった
「時間関係Jが前提されているのである。
したがって以上のような工学的な状況の考察から, フィードフォワード概念と フィードパック概念の関係性を規定する空間関係・時間関係・認識様式という3 つの要素を抽出しておくことにしたい(図表1 -3)。
しかしながら同じ工学的な例においても, 当初は空間関係を直接指示していた フォワードやパックという概念が, 次第に時間関係を前面的に指示するものとし て援用されるようになってくる。
(1) 会計における二項対立思考については, 青柳文司[1991]165-173頁に詳しい。
14
第1章 フィ ードフォワード概念の基礎
フィードフォワード フィー ドパック
認識時点 事 前 事 後
認識源泉 output予測値 output実際値
詑識構造 output基準値とou中ut対象値(予測値・実際値)のギャップ認識
図表1-3
例えばフィードフォワードの例として好んで利用される次のような例を見てみ よう(同様の例が竹村健一[198 5], 青柳文司[1971], Derrner[1977], および遠山 暁[1992]にもある)。
「ヒーターの例で考えてみよう。 ヒーターの仕組みはこうだ。 外気の温度が下がる と 室温もそれにつれて下がる. ある程度まで室温が下がるとセンサーが働いて電 源が入り, それで部屋が暖められる。 そして一定の温度までよがるとスイッチが 切れる。 これはフィードパ ッ クなのだ。 と ころがこの仕組みだと , 部屋が寒くなっ てしまわないと暖房が入らないから, 部屋のなかにいる人聞は多少なりとも寒い 思いをせざるを得ない。 そこで発想を変えてみる。 部屋が寒くなる前の現象とし て外気が下がるのだから, 外気が下がりはじめたときに室温が下がる時間を考慮 に入れて, 電源が入るような装置があれば, 室温は完全に一定に保たれる。 セン サーを外に置くのである。 ・・・これがとりもなおさずフィードフォワードなのだ。 j
(竹村健一[1984]195頁)
すなわちとこでは, 室温が下がったととが認識された「後Jに電源が入る局面 がフィードパックと呼ばれ, 室温が下がる「前Jに外気の変化を認識して電源を
入れる局面がフィードフォワードと呼ばれている。
ここでは結果として, フィードフォワードやフィードパックという概念は, も はや工学独特の状況設定を背景に指示していた空間関係を強調せずに, むしろ事 前や事後という時間関係を表現するものとして用いられている。 つまり認識様式 は依然として暗黙に前提であるが, 工学的な局面であるにもかかわらず, 当初に フォワードやパックによって表現されていた空間規定は強調されず, 事前か事後 かという時間規定のみが前面に出てきており, あたかもフォワードやパックが事 前と事後といった時間関係を表現するもののように位置づけられているのである。
15
第1章 フィードフォワード概念の基礎
また同様に, 当初に工学的な定義を施されたフィードフォワード概念とフィー ドパック概念は, 広く学際的に援用されていくにつれて, そのイメージを豊かな ものにしていく反面, その用いられ方も各領域の要請に応Uて非常に多織化して いくととになる。 以下でその学際的な展開を見てみるととにしよう。
1.3
フィードフォワード概念の日常性と学際性
1. 3.1 医学と フィードフォワード概念
医学関連領域におけるフィードフォワード概念についての議論は豊富である。
そこで, 医学におけるフィードフォワードの発想を端的につかむために, まずは 身近なものを例にとって考えてみよう。
例えば風邪の症状が現れてから, その原因を探り処置を施していくのが治療医 学であるなら, 一方で風邪をひかないように風邪の原因となりうるあらゆる原因 をあらかじ め排除しようとするものは予防医学であると位置づけられている(西 村明[1995]91頁)。 ここで両者の違いは, 風邪という事象を中心にして, 風邪の 症状が現れた「後Jに行動を起こすものが前者であり, 風邪の症状の現れる「前J に行動を起 こすものが後者であるというととろにある。
との治療医学のとるアプローチがフィードパックと呼ばれるのに対して, 予防 医学のそれに該当するのがフィードフォワードであるとされるのである。 とのよ うに, フィードパックは事後に位置する行為であるのに対し, フィードフォワー ドは事前に位置する行為であるととをまずは確認しておとう。
また人間の身体機能に関連した伊jは数多く, それらはフィードフォワード概念 の「日常性Jとその意味内容の持つ「深遠さJを感りさせてくれる。 例えばよく 引用されるのが, 飛ぷ鳥を狙うハンターの行為である(Koontz and Bradspies[19 72]p.30)。
通常ハンターは, 飛ぶ鳥の速さや方角と自らの放つ銃弾の勢いを計算に入れて,
常にその鳥の行く手に狙いを定めねばならない。 このときハンターは, 弾を放つ
16
第1章 フィードフォワード慨念の基礎
「前jに頭のなかで, ある将来時点における鳥の位置と放たれた弾の位置が一致 して命中するように, 銃の角度や 方向を調整している。 とのプロセスがフィード フォワードであるとされる。 そして弾を放った「後J J このハンターは弾が命中 したかどうかを確認する。 命中したのであれば鳥の位置と弾の位置が一致したと いうことが認識されるし, もし弾がはずれた場合には, 鳥の位置と弾の位置がど の程度ずれていたのかと反省することだろう。 とのプロセスがフィードパックで あるとされるのである。
さらにハンターの例と類似したものとしてイ動物の捕食行動の例もある(シー ビオク[1985]148頁)。 すなわちとくに肉食動物は, 獲物の行動パターンを把握 して先回りをする「迎撃j行動をとるが, とれがフィードフォワードであるとさ れる。 そして実際に獲物が現れ, 捕食の成功・失敗が判明する。 これがフィード パックであるとされる。
また自動車を運転しているときのドライパーの行動の例もある(アーピプ [1992]101頁およびKoontz姐d Bradspies[19 72)p.30)。 すなわち自動車が坂に
かかったときに一定の速度を保ちたい場合, 坂にかかつてから速度 計を見て, 一 定速度からはずれた「後Jにア クセルやプレーヰを調整するのがフィードパック であるとされ, 坂にかかる直前に加速して坂にかかってから一定速度を保てるよ うに「あらかじめJアクセルを操作するのがフィードフォワードであるとされる。
さらには, 人間が階段を上り下りするときの説明において援用される場合があ る(Richards[19 68]pp.14・15およびアーピプ[1992]101頁J 280・281頁)。 すなわ ち暗い階段を上り下りするとき, 慣れた階段であれば, 我々は足下を見ないでも 歩くことができる場合がある。 とれは無意識のうちに, 足の接 地のタイミングな どを経験によって「予測Jしているからであり, これがフィードフォワードであ るとされる。 そして「実際Jに足が接地したととが感覚として伝わってくるとき,
これがフィードパックであるとされる。 したがって例えば, 階段の段数を間違え たときに受ける不快な感覚は, フィードフォワード予測に失敗したことがフィー ドパックされたことによって生じているとされている。 また足がしびれてしまっ てうまく歩けないのも足裏からのフィードパックが機能しないからであるとされ
17
第1章 フィードフォワード慨念の基礎
ている。
また人間の身体機能に関する例は数多く, 例えば優れたテニスプレイヤーの 動きCRichards[1968]p.15), 限の動き(スティリングス[1991]329-330頁), 雨が 振る前に傘をさすCKoontz and Bradspies[1972]p.30)などがある。 また心理学な どにおいても重要な鍵概念として検討されており(十島薙蔵[1989]), いず れも 我々の身近にある日常現象の説明において, その概念が多用されていることが分 かるのである。
それでは, 引き続いて我々にとくに身近な学際領域である経済学, 経営学およ び財務会計輸において , フィードフォワード概念にどのような視線が注がれてい るのかを見ていくことにしよう。
1. 3. 2 経済学 とフィードフォ ワード概念
経済学領域においては, 情報と市場の関係の考察においてフィードフォワード とフィードパックという概念を適用しているものがある。
すなわちまず情報のもつフィードフォワード作用というものが次のように捉え られている。
「我々の行為や振る舞いが…情報に左右される傾向があるとすれば, それは社会的 な フィードフォワード機構が実質的に形成されていることを意味する。 フィード フォワードとはフィードパックとベアになる概念であり, 一般にはシステムの安 定度を高めるものとされる. ととでは, 特定の組織や機関による説得・ 誘導とい う機能を果たすものと考えてよい。 そのことには, 社会の効率的な鮪成 というメ リットもあるので あるが, 同時に説得・ 誘導による 社会操作の危険性とい うデメ リットも存在している。 …一方向的で圧倒的に提供される情報は, 我々の生活に 強力なフィードフォワードをかけてぐる。 J (福田豊・須藤修・早見均[ 1998]
164-166頁)
その上で市場と企業の関係について, 企業においては市場から得られる事前の 情報が意思決定を左右しており, そこには企業に対して市場が「フィードフォワー ド作用Jを及ぼしているという関係が成立しているとしている。
またその反面, 市場の「将来を見通そうとする自らの努力によって, システム
18
第1章 フィードフォワード概念の基礎
が過剰反応の状態に陥り , 不幸な不安定作用がもたらされる可能性があるJこと も指摘されている(サイモン[1987])
1. 3. 3 経営学とフィードフォワード概念
次に経営学においては, フィードフォワード 概念への注目度はかなり高く, 標 準的なテキストレベルにおいても早くから基礎概念として着実に定着しつつある (Merriam and Wil ki nson[1977], Bogart [1980], Naylor et al. [1980], Krei tner[ 1
982], Gerloff[1985] , Bartol and Martin [1991], Robins[1991])。
そこでは次のような形で論が展開されている。 まずフィードパックの限界性が 主張され, それは次のような比喰に象徴される。
r (フィードパック ・ システムのもつ)問題点のひとつは, 6月に行われたことが原 因で 10月に損失が出た, という事実が判明するのが1 1月であるという事態である。 j (Koontz and O'Donnell[1976]p.646.カッコ内は引用者による)
すなわちフィードパックに依存する限りにおいては, 11月になって初めて10 月の損失が把握され, そしてその把握を受けて6月の原因が突き止められるとい う手順をとらざるを得ない。 まさに検死(post-mortem)と邦撤される所以であ る(Koontz and Bradspi es [1972]p. 25)。
もっとも, このような事態には, 一方では「クイック ・ フィードパック(quick- feedback) J (浜田正幸[1995])または「適応的フィードパック(adaptive feed- back) J (Ishikawa[1985], 本橋正美[1990], 佐藤宗弥[1981])という形で,
よりリアルタイムに対応することが主張されるととも多い。
しかしながら決定的に重要な事実として, 根本的に「 過去を変えることはでき ないJ (Koontz and Bradspies[1972]p.27)のであり, またそのような状況では
「誤りを是正する最上の策は誤りを犯さないことであるJ (クーンツ=オド ンネ ル[1979]164頁)と言われる通り, 計画や目標からのズレが発生する前に手を打 つことが必要となってくる 。 ことにフィードフォワードが必要となる素地が生
19
フィードフォワード概念の基礎 第1章
フィードフォワード概念の基礎 第1章
を事前的に作り出すことを求めるものなのである。
「リードタイムJ まれるのである。 の
との望ましくない状態の発生と原因の間にあるタイム ・ ギャップを明確に認識 その原因が位置
10月の損失を回避するた めには,
すなわち先の例 で 考えれば,
ここでは原価企画のもたらした図表1-4のようなイメー させてくれるものとして,
する6月に事前に手を打っておかなければならなかったと考えなければならない。
ジを採り上げておこう。
そこで フィードフォワードは次のように定義されるのである。
発 それが決定されてしまう時点に介入 の聞には時 間的なギャップがあるのであり,
生する原価に変更を加えようとするならば,
「原価の決定と発生J すなわち
「フィードフォワード・ コントロールは, 計画業績と実際業績との差異が発生して しまう前に, 予防的な行動をとる予測的コントロールであるJ (Ishikawa[1975]
p. 83) 。 しなければならない。 そして将来の特定時点に望ましい原価を発生さ せるために
望ましくない結果をもたらすと考えら その原価が決定される時点において,
は,
れるあらゆる要素を除去しなければならないのである。
「計画を立てた後に実 すなわち従来のフィードパックを前提にする限りで は,
的に確定し その原価が「量J
発生した原価を認識の対象として,
したがって,
そのズレの事後的な認識によっ (Ishikawa[1975]p.91) ,
際業績を待ってからJ
それとあるべき原価とのギャップを事後に認識して, その結果 てしまった後に,
しかしなが らフィードフォワードは,
てコントロール行為がはじまるととになる。
を受動的に判断するのが フィードパックであるのに対して, 原 についての 「質J
一定の基準をもって「計画それ自体を評価 目標からのズレを未然に防ぐために,
の視点から出発してその原因を認識の対象とし,
「質J 価が決定される時点で ,
Ishikawa and S mi th [1972 b ]pp. 177-1 (Ishikawa and Smith[1972a]p.40,
する 」
それとあるべき原価とのギャップを事前に認 そこから将来の発生原価を予測し,
その背景には「伝統的に 計画設定プロセスとして理解されてき のであり,
78)
を作り込んで
「質Jが もたらされるように能動的に「量j 望ましい
識しながら,
実は部分的には計画設定であるが 部分的にはコントロール ・ プロセス たものが,
つまりフィードパックは「量から質へj いく のがフィードフォワードなのである。
Ishikawa and S mi th [1972b],
Demski [1969],
(Ishikawa[1975]p. 91,
である」
フィードフォワードはそれとは対照的に「質 というアプローチをとるのに対し,
という理解が横た わっている。
Watts [ 1993])
という視点を重視するのである。
から量へ」
(同様の例として また工程管理の領域においても例えば次のような援用がある
,
生 f
nπ f't'''llt'
の・'l 価'''' ' 川
/
,V4・'
tt
J
一備 γ
一一恵 一
一造 γ
,,at- 一製
-
一七十14
〆 一試
'tAa
二発 - 傾ι 二関
原{面の決定
、』ー‘
%
鈴木久[1967]7頁)。 100
そ 75
前工程にフィードパックして,
生産結果を測定し,
「フィードパック管理では,
原501面
% の
1
25次工 (ク 生産結果を測定し,
是正措置をとるJ そこでその工程の作業を符う前に,
こで是正措置をとる。 …フィードフォワード管理では,
ロージング[1996)281-282頁) 程にその情報を送り,
製 造 発
製品化の%一一
田中雅康[1995]10頁 また最近で はマーケティング領域においてもその考察が積極的に進められてい 送
(竹村憲郎[1995]およびTadepalli[1992])。 (出所) るようである
図表1-4
「タイム ズレ発見まで の事後的な
以上のようにフィードフォワードの発想は,
問題解決のた め を克服して,
とズレ修正に要する事後的な「タイムロス」
ラグj
20 21
第1章 フィードフォワード概念の基礎
1. 3. 4 財務会計論と フィードフ ォ ワード概念
また管理会計論にとっての最も身近な学際領域としての財務会計論においても,
フィードフォワード概念が援用 されつつある。 そこではコミュニケーション行為 を中心とした会計現象についての説明理論としての 援用が多く(醍醐聴[1998]7 -9頁, 西土純一[1988]246-248頁, 船本修三[1991]38・39頁), 主として情報の送 信者と受信者の聞の関係というこ者モデルの状況が設定されている。 例えば次の ように説明されている。
「コミュニケーションには一方的コミュニケーションと相互的コミュニケーション がある。 …情報の送り手が受け手の行動に影響を及ぼすコミュニケーションは,
送り手が受け手をコントロールする機能を営む。 情報が “影響力ある知らせ" と な るの もこの伝達によってである。 …そして一方的コミュニケーションにおいて は, 送り手が受け手の反応を事前に予測した伝達はフィードフォワード制御と呼 ばれ, 送り手が受け手の反応を知って事後に情報を修正する伝達はフィードパッ ク制御と呼ばれる. 相互的コミュニケーションにおいては, 受け手と送り手の役 割交代がフィードフォワード制御とフィードパック制御を一層効果的にする。 j
(青柳文司[1997]483 -484頁)
これに具体的な登場人物を当てはめてみれば, r財務諸表の読者である利害関 係者が財務諸表を読んだときの反応を予想して財務諸表作成の糧にするのがフィー
ドフォワード, 実際に読んでからの反応を調べて次回以降の財務諸表の作成に調 節を施すのがフィードパックJ (青柳文司[1974]2 18頁)であるという関係にな
る。 そして例えば粉飾決算や利益捻出などがこのフィードフォワード行為の一つ の表れであるとされ(醍醐聴[1998]8頁), とれらフィードフォワードとフィー ドパックの いずれも, r伝達主体の統制機能であるJ (青柳文司[1991]288頁) とされている。
このコミュニケーションの例 では, まず送り手の側で, 送り手にとって望まし い状態と受け手の反応についての 予測が比較され, そのギャップを事前に認識し て望ましい方向へと導くような情報を提供しようとするのがフィードフォワード,
事後にそのギャップを確認して次回以降にその解消を目指すのがフ ィードパック 22
第1章 フィードフォワード観念の基礎
であるとされている。 そして逆に受け手の側で, 受け手にとって望ましい情報と 送り手から提供 されるであろう情報の予測とが比較され, そのギャップを事前に 認識して, それを解消すぺく受け手の側から送り手の側へ情報要求を行っていく ことがフィード フ ォワードであり, 事後にそのギャップを確認して次回以降の情 報要求に生かしていくのがフィードパックであるとされるのである。 具体的には,
例えば「経営者の不正行為を抑制 するフィードフォワード効果を期待した, 使途 秘匿金等の会計開示要求J (醍醐聴[1998]9頁)などの例が挙げられるであろう。
1.4 おわりに
ととで最後に, フィードフォワードとフィードパックの一般的な関係性を規定 する3要素として図表1-5を 示しておき, さらにいくつかの一般的な 要点を指摘
しておきたい。
まず両者の 関係は, 排他的ではなく相互補完的なもの であり, その機能的な優 劣はともかくとして, 一般にフィードパックが基礎となってフィードフォワード が展開されるといえる。 すなわちフィードフォワードはフィードパックを基礎に 置きそれを内包する形で展開するものである。 したがって次章以下におけるフィー ドフォワードについての考察でも, フィードパックについて適宜言及していく必 要があることを明記しておきたい。
フィードフォワード フィードパック
空間規定 前方へ 後方へ
時間規定 事 前 事 後
認識構造 基準となるものと対象となるものの状態のギャップ認識
図表1-5 23
第1輩 フィードフォワード概念の基礎
またフィードフォワードのもつ「リスクJについても言及しておく必要があろ う。 すなわち不確実性が高まり環境変化が激しくなってくると, フィードパック の限界性が露呈する。 したがってそとにフィードフォワードの必要性の素地が生 まれるが, そのフィードフォワード自体の正否も, 激しく変化する環境をどとま で読み込むことができるかという予測の質に大きく左右される。 したがってフィー ドフォワードは, 予測困難な環境においてその必要性が生まれてきながらも, そ の予測 の精度によってその正否が規定されるという緊張した状況のなかで, その 真価を問われるととになるのである。
以ヒ見てきたように, フィードフォワード概念は, 工学を出発点として医学,
経済学, 経営学そして財務会計論などの様々な分野において援用されている。 も ちろんそとでは, 分野ごとの特性の影響を受けながら様々な用法で用いられてい るが, それゆえに豊かなイメージを獲得することとなり, 既に幅広い市民権を得 ているフィードパック概念との組み合わせによって, それらが重要な基礎概念と なっていることが理解されよう。
さて, それでは以上のような深遠なる日常住と広 大なる学際性という豊かなイ メージをもったフィードフォワード概念は, そこからどのような管理会計の姿を 我々に導き出してくれるのであろうか。 次章以降でこの間いに答えていくととに したい。
24
第2章
フィードフォワード管理会計の概念と構造
2. 1 はじめに
本章では, フィードフォワード概念を基軸に据えて構想されるフィードフォワー ド管理会計の基礎概念と基本構造を明らかにしていく。
前章で見たように, フィードフォワード概念は, 我々の身近にある様々な現象 を説明する際にも頻繁に用いられる基礎的な説明概念となっており, その概念の もつイメージはとても豊かで, その重要性は強調するに値するものである。
しかしながら, さらにフィードフォワード概念は, 単なる説明概念というだけ にとどまらず, フィードパック概念と対となって一つの管理思考体系を形成する 実践的な規範概念としても存在しており, これまでもその発想が強く啓蒙されて きている。 例えばフィードフォワードは, rビジネス哲学の根幹J C竹村健一
[1984]), rコントロールの哲学J CAnderson[1984])などと表現されることも 多い。
管理会計というものを考えるとき, それが一定の管理思考に導かれた管理技法 である(宮本匡章[1998])という考え方を認めるならば, コントロールについて の考え方と管理会計がどのような関係にあるのかを探ることが非常に興味深い課 題となる。 しかしながらそのようなコントロール思考と管理会計の関係を考える 際には, 二つのアプローチが考えられる。
一つは, 既存の管理会計技法にどのようなコントロール思考が「会計構造化J
(藤田昌也[1997]45頁)されているのかという視点でそれを分析することであり,
もう一つは逆に, ある一定のコントロール思考から出発して, そのコントロール 思考を会計構造化するならば, そこにどのような管理会計技法を構 想することが できるのかというものである。
25
第2章 フィードフォワード管理会計の概念と構造
すなわち 前者は既存の管理会計が「何であるのかJという視点からのアプロー チであるのに対して, 後者は管理会計とは「何でありうるのかJという視点をも 探用するものである(石川純治[1996]115頁)。
本章では, この後者の立場に立ち, 一つのコントロール思考体系を形成するフィー ドフォワードとフィードパックの視点から構想される管理会計の一般的な姿を描 くととを試みていく。
しかしながらそこに描かれるのは, 単なる管理会計のー形態という現象形態の 問題ではなく, コントロールのための会計すなわち「統制計算としての会計J (西村明[1989] i頁)の本質的な姿であると考えている。 つまりフィードフォワー ドやフィードパックという概念を基礎において, 統制計算としての会計の本質的 な姿を描き出そうとするのが本章における焦点である。
それでは, まず前章において導き出されたフィードフォワードとフィードパッ クの関係性を規定する3つの要素を手がかりに, フィードフォワード管理会計を
形成する鍵概念を規定していくことにしよう。
2.2
フィードフォワード管理会計の基礎概念
2.2.1 フィー ド フォワード 管理会計の要素概念
(1 ) 事前値と事後値
まずフィードフォワードとフィードパックの関係性を規定する「事前一事後」
という「時間関係Jの軸から見れば, フィードフォワード管理会計とフィードパッ ク管理会計を構成する会計概念の時間 属性としては, r事前値Jと「事後値Jの
2種類が考えられる。 とれが1組自の要素概念である。
ととで事前値とは, これから起とるであろう未来の事象についての状態を事前 に予測したものである。 例えば標準原価や予算利益, 目標原価, および見積原価 などがそれである。 これに対して事後値とは, すでに起とってしまった過去の事 象についての状態を事後に測定したものである。 例えば実際原価, 実際利益 など
26
第2章 フィードフォワード管理会計の慨念と構造
がこれに分類される。
ととでなぜ数値時制としては事前値と事後値の2種類のみを規定し, r事中値J というものを採用していないのかについて言及しておかねばならない。
一般には「事前統制 ・事中統制(または期中統制) ・ 事後統制Jという3分法 が通用しており(例えば上綿康行[1993]159・161頁, 佐藤誠二[1997b]154-155頁,
内山哲彦[1999]84-93頁など) , その視点からすれば 事中値というものも構想さ れるかもしれない。 しかしながら本論では, 基本的に会計は事中を認識し得ない
ものであると捉え, いわゆる期中の会計的認識といわれるものも, そとで測定さ れる測定値は事前値か 事後値かのいずれかの属性しか持ち得ないと理解している。
それゆえに以下では「事前値」と「事後値Jの二分法で論を進めるととにする。
(2) 基準値と対象値
次に, コントロール ・ プロセスにおける「基準となるもの」と「対象となるも のJとの問でのこ項対立的ギャップ認識構造は, 管理会計構造へと反映されてそ の内に「基準値」と「対象値Jを形成する。 これが2組自の要素概念である。
ととで基準値とは, 統制の目的が適切に反映された計数的基準であり, 例えば 標準原価, 目標原価などである。 一方, この基準値にしたがって判断される対象 となる数値が対象値である。 例えば実際原価, 見積原価などである。 との両者が 一組となって二項対立的な構造を作り上げることになる。
(3) 上限値と下限値
最後に, この二項対立のギャップ認識構造の一方を形成する基準値は, 2つの 統制目的に規定されて2種類に分類できる。 これが3組自の要素概念である。
一つは, その基準値が基本的に「上回ってはならないものjとしての「上限j を規定する役割を担っている「上限値Jである。 もう一つは「下回ってはならな いものJとしての「下限」を指示する機能を担っている「下限値Jである。
27
第2章 フィードフォワード管理会計の概念と構造 第2章 フィードフォワード管理会計の概念と精造
図表2-1
〈ウ ⑪
@テ⑨
図表2-2
さらにここから, 統制の時間規定軸としての「事前統制と事後統制Jおよび統 制の目的規定軸としての「上限統制と下限統制Jの組み合わせにより, r事後上 限統制J r事後下限統制J r事前上限統制J r事前下限統制」という4つの統制 属性を導き出すことができる。
以上の「事前値と事後値J I基準値と対象値J I上限値と下限値Jの3組の会
計概念が, フィードフォワード管理会計の要素概念である。 後の議論との関わり からそれらを図表2-1のように配置しておく。 次にこれらの3組の要素概念聞に おける構成関係が, フィードフォワード管理会計の8つの基礎概念を形成してい くことになる。
(2) 事後下限基準値と事後下限対象値
次に, 事後下限統制においては, 事後下限統制における基準値である「事後下 限基準値Jと, 事後下限統制における対象値となる「事後下限対象値Jが導き出
され, それらの問で二項対立のギャップ認識が行われる(図表2-3)。
2.2.2 フィードフォワード管理 会計 の基礎概念
@
@
(1) 事後上限基準値と事後上限対象値
まず事後上限統制の系において基準値と対象値の二項対立を形成するものとし て, 一方には事後上限統制において基準値の属性を持つ「事後上限基準値Jが位 置する。 そして他方には同じく事後上限統制において対象値の属性を持つ「事後 上限対象値」が存在することになる(図表2-2)
図表2-3
29
第2章 フィードフォワード管理会計の概念と構造 第2章 フィードフォワード管理会計の概念、と構造
@
以上により, 8つの基礎概念が先の3組の要素概念から導出されるととになる。次にさらに, 以上の8つの基礎概念の相互間での構成関係から, 4つの局面におい て6つのギャップ認識様式が導き出せる。
⑪
2.3フィードフォワード管理会計の基本構造
2.3.1 フィードフォワード管 理 会 計の展開構造
図表2-4 (1 ) フィードパック管理会計の第1局面
会計的コントロールにおいては, まず何らかの行為を行う前に, その行為の結 果について事前に基準値(事前基準値)が設定されることになる。 そしてその行 為を行った後に, 事後に その行為の結果を対象値(事後対象値)として測定し,
事前基準値と事後対象値のギャップを事後的に把握するという局面がある(①)。
これがフィードパック管理会計の第1局面である(図表2-6)。
(3) 事前上限基準値と事前上限対象値
同様に, 事前上限統制においても, 事前上限統制における基準値となる「事前 上限基準値Jと, 事前上限統制における対象値と なる「事前上限対象値Jが導き
出される(図表2-4)。
(4) 事前下限基準値と事前下限対象値
そして最後に, 事前下限統制においても, 事前下限統制における基準値である
「事前下限基準値Jと, 事前下限統制における対象値となる「事前下限対象値J が位置することになる(図表2-5)。
(2) フィードパック管理会計の第2局面
次に, まず同じく何らかの行為を行う前に, その行為について事前に基準値 (事前基準値)を設定する。 そして行為の遂行後に, その行為の結果を対象値 (事後対象値)として把握するが, しかし一定の条件変化のもとで事前基準値が
事前値
|
事後値@
@
@
対象値 基準値
フィードパック管理会計I
図表2-6 図表2-5
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