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九州大学学術情報リポジトリ

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

分子間相互作用力の異なるポリスチレン誘導体の熱 力学的特性に関する研究

氷室, 昭三

https://doi.org/10.11501/3070061

出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

(2)

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『司圃「

多自 6

6. 1

ポリ( 4ーアセトキシスチレン)とポリ( 4ー ヒドロキシスチレン)の相溶性

糸者

一般に高分子一高分子系は、 混合エントロビー効果が小さく、 溶解し Aわない。 しかし、 近年相浴する高分子対が見い出されてきている。 ま た、 その溶解性の温度および混合組成依存性も詳細に調べられ、 相図が

報告されている。 この異種高分子間の溶解性の理解は新しい性能をもっ 高分子材料の設計や加工性の改良を目指した、 いわゆるポリマーブレン ド技術の基礎として重要である。 経験則としては、 構造が似たものは溶 け合いやすいことがよく知られている。 その異種高分子間の相溶性に作 用する分子間力は、 主として分散力で分子内に大きな相互作用のない場 合が多い。 しかも、 混合によるエントロビー増加が小さいので、 相溶し 難くなる。 したがって、 溶解し合う高分子対の多くは、 分散力以外の何 らかの相互作用が働いていると考えられる。

これに関して、 Colemanら1-5 )は赤外分光法によりポリ( 4ーヒドロキ シスチレン) (P H S )を含む高分子一高分子の相溶性に関する研究を 行ってきている。 彼らは、 フェノールの水酸基とカルボニル基の聞に形 成される分子間水素結合に起因する赤外吸収バンドを見いだした。 この

水素結合による分子聞の相互作用は高分子の相溶性において重要な役割 をなすものと考えられる。

P H Sと他の高分子との相溶性については、 すでにかなり報告されて いる。 P H Sはポリ酢酸ビニル、 ポリメタクリル酸メチル、 ポリメタク

(3)

『司.-

リル酸エチル、 ポリメタクリル酸プロピル、 ポリメタクリル酸イソプロ ピル、 ポリメタクリル酸テトラヒドロフル フリル、 ポリアクリル酸ブチ

ル、 ポリ(4 -ビニルピリジン)と相浴するが、 ポリスチレン(P S )、

ポリメタクリル酸ブチル、 ポリアクリル酸七一プチルとは相溶しないと の報告が ある5-8)。

本章では、 基本構造が類似するP H Sとポリ(4ーアセトキシスチレ ン) (P A S )とのブレンドの相溶性についてフーリエ変換赤外分光

(FT-! R)法と示差走査熱分析(D S C )法を用いて検討し、 この ブレンド系における水素結合の役割を明らかにするものである。

6. 2 三葉三 悪食

6 . 2 . 1 試 料

測定に使用したP H S試料の分子量は、 2.24xI05、 3 .5 2 x

1 0 5、 9.09xI05であり、 またP A S試料の分子量は、 5 . 9 8 x 1 0 4、 9.55xI04、 1.56xI05、 3.47x1 05、 5 . 3 9 x 1 0 5、 2.02xl06である。 これら は、 合成し、 分別したものである。

分子量1.lxI03、 9.1xI03、 3.0XI04のP H S試料はPoly

-sci�nces社から購入した。 25 oc、 ジオキサン溶液中の極限粘度数から、

第3および4章で決定した極限粘度数と分子量の関係式を用いて分子量 を決定した。

(4)

『司",,--

6 . 2. 2 プレンド試料の調製

D S CとF T- 1 R 測定に用いたPH S、 P A SおよびPHS-PA Sブレンドの試料調製は、 次のように共通溶媒であるテトラヒドロフラ ン( T H F )に試料を溶かしてキャステイング法により行った。 なお、

TH Fは市販特級試薬を用いた。 PH S、 P A Sおよびブレンド試料を THFに1 wt %になるように溶かし、 それをテフロン板の上に流延し、

室温でゆっくり溶媒を蒸発させフィルム状にした。 さらに、 4 0 OCで重 変化が認められなくなるまで減圧下で乾燥させた。 また、 アニーリン グによって生じる転移挙動を調べるため、 組成を変えたブレンド試料を いろいろな温度で一定時間アニールした。

6. 2. 2 DSCおよびFT-IRスペクトルの測定

D S C測定は、 第二精工社製のSSC-560S型のDS C装置を用 いた。 熱処理した試料をドライアイスーアセトンを用いて急冷し、 昇温 速度を1 0 K /minとした昇温過程でのサーモグラムからガラス転移温度 を決定した。 すべての場合のガラス転移温度を熱容量曲線のとびの中点、

とした。 FT-IRスペクトルの測定には、 Nicolet社製のlO-DX型 F T- 1 R分光計を用いた。 FT- 1 R分光計の分解能は4 cm-1として

測定した。 得られたF T - 1 Rスペクトルは、 アドバンテージ ・ ソフト ウェアを用いて解析した。

(5)

『圃f

6.' 3 *吉身毛と三3F努要

6 . 3. 1 Tgの分子量依存性

図6.1にP H SとP A Sの分子量とガラス転移温度( T g)との関係 を示した。 一般にTgは高分子の分子量が大きくなるにつれて上昇し、 次

第にある値に収れんするといわれている。 P H SのTgも低分子量領域で は分子量に依存して高くなるが、 1.0X105ぐらいの分子量になると 依存性がなくなり一定値を示した。 比較のため、 畠山ら9)により報告さ れているP SのTgの値も図中に示した。 もっとも簡単には、 分子量が大 きくなり、 末端自由体積の減少とともにTgは上がると考えられている。

また、 高分子の分子問力が強まることによりTgは上がるので、 水素結合 の量が増加するとTgは上がると考えられる。

上記3種の高分子についてP H Sが、 最も高いTgの値を示しているが、

これはP H Sの高分子鎖の動きをおさえるたいへん強い分子間あるいは 分子内相互作用の存在、 すなわち、 P H Sの水酸基による分子間相互作 用の存在によるものであろう。 P A Sの低分子量領域については、 試料 の調製ができなかったため測定していない。 P A SのほうがP Sより同 一分子量ではTgが高くなっている。 これは4位についたアセトキシル基

の立体障害によるものと思われる。 P H Sが低分子量でも高いTgを示す ことは、 その耐熱性が優れていることを示している。

6 . 3. 2 DSCによる相溶性

相溶性の判定は、 直視によるフィルムの透明性およびガラス転移温度 の単一性により行った。 後者はポリマーブレンドの相溶性を判定する方

法のーっとしてよく利用されている。 2成分ブレンド系のTgがただ一つ

(6)

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Polystyrene

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Figure 6.1 P10ts of T g against 10gM w for PHS, PAS and po1ystyrene: (0) obtained in this work; (・)

reported by Hatakeyama et a1.9) The highest va1ues of Tg for PHS observed should be an indication of very strong inter- and intramo1ecu1 ar interactions which

would reduce the mobi1ity of polymer chains.

(7)

だけであるととは、 各成分高分子どうしが 互いに自由体積を共有する結 果であると考えられて相溶性の目安となる。

P H SとPA Sのフレンドの相溶性の 検討には、 Tgの 分子量依存性の ない領域にある3.52xI05のPH Sと1.56xI05のPAS試料

を用いた。 組成の異なるブレンド試料のフィルムは4 0 OC、 8時間アニ ールしでも、 すべての組成で透明であり、 相分離は見られなかった。 ア ニール 試料のDS Cの測定 から、 PHS-PASブレンド系に つ いてす べての組成範囲でTgが1つしか出現せず、 この2つ の高分子 は相溶して いると判断した。

図6 .2に ブレンドのTgを組成に対してプロ ットした。 次のGordbn­

Taylor式10)を用いて検討した。

Tg12= (w1Tg1+ kw2Tg2) / (W1+ kW2) ( 6 - 1 )

ここで、 T g 1 2は ブレンド試料のTg、 Tg 1は高分子iのTg、 Wlは高分 子iの重量分率である。 Prud' hommeら 11-13)はごの(6 -1 )式中のk の値が、 ブレンドにおける高分子一高分子相互作用に関する半定量的尺 度になること を示唆した。 kは、 熱膨張係数の差の比で、 次式で表され ている。

k=L1α2/ ð α1 ( 6 -2 )

ここで、 ムα2とAα1はそれぞれ成分高分子 が、 各々のTgの上下で示す 熱膨張係数の差を表す。 Tg 1とT g2をそれぞれPA SとP H SのTgとし た図6.2の曲線は、 このGordon-Taylor式にしたがって引いたも の で、

(8)

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0.5 1.0

Weight fraction of PHS

Figure 6.2 Glass transition temperatures of blends of PHS and PAS versus weight fraction of PHS. The straight line shows the weight average value of Tg as a function of composition.

(9)

『司",--

kの値はo . 5 0 6となった。 この値からPH SのAα2がPASに比べ て小さいことが示唆される。 また、 図中の直線は、 ( 6 -1 )式におい てkが1のときを示している。 この直線からのずれの大きさが、 2つの 高分子の相互作用の大きさに比例すると思われる。 一般に、 水素結合な どの相互作用が働いて相溶性を示すブレンドの系には、 kが1より大き くなり、 ブレンドのTgがそれぞれのTgを結んだ直線より上の方にずれ る(正のずれ)ことが示されている。

Meftahiられにより報告されたPH Sとポリ(4ーピニルピリジン)の 系においても、 Tgが大きく正にずれる。 しかもセグメントあたりのモル 比1対1の組成比のときが長大にずれる。 これはPH Sとポリ(4ーピ ニルピリジン)が、 水素結合により1対1のコンプレックスを形成して いることを示唆している。 しかしながら、 図6 .2に示されるごとくPH

S-PASブレンドのTgは負のずれを示した。 したがって、 P H Sの水 酸基とPA Sのカルボニル基の聞に強い水素結合が存在すると仮定する と、 この負のずれは説明できない。

6 . 3. 3 FT-IRによる相溶性

P H Sの水酸基とP A Sのカルボニル基の聞 の相互作用についてさ ら に詳しく検討するため、 これらの系についてF T - 1 Rスペクトルを測 定した。 F T - 1 Rスペクトルは、 ミクロな領域で の分子内および分子

間相互作用に関する直接的な情報を与えてくれる。 PH Sの赤外スペク トルにおける各吸収帯の帰属は第1章で述べたが、 そ のなかから水酸基 の吸収帯に着目して検討する。 またPASのカルボニル基の吸収帯につ いても着目した。

(10)

『司",.-

図6. 3に、 P A Sおよび33、 4 0、 5 0、 67wt%PAS-PHS ブレンドの室温におけるF T- 1 Rスペクトルを1650から1 850

cm-1の波数範囲で示した。 PA Sのカルボニル基の吸収帯の変化を追跡 するため、 P A Sの一定量に対しP H Sの量を変えて混合することでプ レンド試料を作成した。 この図からわかるように、 P A Sのみの場合は 1つの吸収帯しか認めらないが、 ブレンド試料にはこの領域でカルボニ ル基の吸収帯が2つに分裂することが認められる。 したがって、 この

1 7 6 5 cm -1をピークの中心とする吸収帯が、 なんの束縛もないフリー のカルボニル基の伸縮娠動に基づく吸収帯である。

ブレンド試料では、 P H Sの濃度が増加してくると、 その吸収帯より 低波数領域である約1 7 3 8 cm - 1を中心とした吸収帯が成長してくるの がわかる。 この17 3 8 cm -1は、 ブレンド試料のカルボニル基のFT-

1 Rスペクトルから純PA S試料のスペクトルを差し引いた差スペクト ルのピーク位置に相当している。 P H Sとポリ酢酸ピニルのブレンドに 関するColemanら5 )の報告から判断し、 この吸収帯は水素結合したカルボ ニル基の吸収帯であると帰属される。 したがって、 P A SとPH Sのブ レンドにおいてカルボニル基と水酸基の聞に水素結合が存在することを

確認できた。

また、 図6 . 3のスペクトルからP H Sの比率が増加するにしたがって P A Sのカルボニル基が水素結合したものに変化するようすが明瞭にみ られるが、 P H Sの濃度がPA Sに比べて高くなってもフリーのカルボ ニルの吸収がかなり存在していることがわかる。 PA SとPH Sは、 水 素結合による1対1のコンプレックスを形成していないことが推測され る。

(11)

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of PHS is increased.

(12)

『咽.r

さらに、 PAS-PHSブレンドの水酸基の吸収帯に着目した。 P H Sの水酸基の赤外スペクトルは、 P H Sどうしの水酸基による水素結合 を形成するため幅広い複雑な吸収帯を示す。 まず、 P H Sの水酸基のF

T- 1 Rスペクトルを温度を変えて測定し、 その吸収帯を明らかにした。

. 4に3 1 0 0から36 0 0 cm-1領域の各温度でのP H SのFT-I Rスペクトルを示す。 温度上昇とともに33 5 4 cm -1の成分は減少する が、 3 5 3 1 cm -1の成分は増加している。 しかも33 5 4 cm-1の成分は、

温度上界にともなって高波数にシフトしている。 この現象は、 温度上昇 とともに分子問および分子内水素結合が切れて、 フリーの水酸基の数が 増えていることを示すものと思われる。 したがって、 3 5 3 1 cm -1を中 心とする比較的幅の狭い吸収帯を水素結合していないフリーの水酸基の 吸収帯、 3 3 5 4 cm-1を中心とする幅広いの吸収帯をP H Sの水酸基ど うしが水素結合した水酸基による吸収帯すなわち自己会合した水酸基の 吸収帯と帰属した。

図6.5にPH Sおよび33、 4 0、 5 0、 67wt%PHS-PASブ レンドの室温で測定した3 1 0 0から3 6 0 0 cm -1領域のFT - 1 Rス ペクトルを示す。 水酸基の吸収帯の変化を追跡するため、 P H Sの一定

に対しPA Sの量を変えて混合することでブレンド試料を作成した。

ブレンド試料のPH Sの含有量が、 6 7から33 wt%に減少すると、

5 3 1 cm -1のフリーの水酸基の吸収帯が次第に減少しているのがわか る。 一方、 3 3 5 4 cm -1のPH Sの自己会合した水酸基の吸収帯は、 P

A S含有量の増加とともに約3 4 8 3 cm -1の高波数へシフトするのがみ られる。 これは、 おそらく自己会合していた水酸基が、 カルボニル基と 水素結合した水酸基に変化するため、 P A S含有量の増加とともにカル

ボニル基と水素結合した水酸基による吸収帯が3 4 8 3 cm -1付近に出現

(13)

『咽・r

3700 3000

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groups. and a much narrower band observed at 3531-1, which is attributed to unassociated

(free) hydroxyl groups.

(14)

3700 3000

Wavenumber (cm-')

Figure 6.5 FTIR spectra recorded at room temper -ature in the 3700-3000cm-1 region for PHS-PAS blends containing: (A) 33, (B) 40, (C) 50, (D)

67 and (E) 100wt完PHS. The intensity of the free hydroxy1 absorption (3531cm-1) gradual1y decreased as the PAS content increased, while the self­

association band of hydroxyl groups in PHS was observed to shift to the higher frequency at the vicinity of 34B3cm-1, which may be attributed to an exchange from hydroxyl-hydroxyl bondings to hydroxyl-carbonyl bondings.

(15)

『司・r

し、 自己会合の水酸基の吸収強度は弱くなったためと解釈できる。 図6. 6にPA SとPH Sの水素結合の状況の模式図を示す。 図中にフリーと 水素結合したカルボニル基および水酸基の吸収ピークの波数も示した。

一般に水酸基の吸収ピークが低波数側ヘシフトするごとは、 水酸基が 質的により完全な水素結合をとることを意味するといわれている14)。

したがって、 フリーの水殴基の吸収波数と水素結合した水酸基の吸収波 数の差が、 分子間相互作用の強さの尺度になる。 図6.5からPH Sの水 酸基とPA Sのカルボニル基の間に形成される水素結合の強さが、 PH Sの自己の水酸基間に形成される水素結合の強さより弱いものであるこ とがわかる。 PH Sの水酸基聞の自己会合性の水素結合が、 水酸基とP A Sのカルボニル基との問のより弱い水素結合に変わっていったことに なる。 これはPH Sと相溶するポリ酢酸ビニルの結果とよく似ている5)。

この水素結合特性の変化が、 6 . 3 . 2に示したTg一組成関係における負 のずれを説明していると思われる。

6. 3. 4 PAS-PHS系の相図

PAS-PHSブレンド試料を高い温度でアニーリングするとTgが2 つ出現する系を見いだした。 そこで相溶温度の上限を調べるために、 実

験の部で述べたようにいろいろの温度でアニ-リングを行い、 それらの 相溶性をD S Cにより調べた。 相分離温度は、 ブレンドのTgが1つのも のをー相領域、 Tgが2つのものを二相領域として判断した。 図6. 7に

その結果を示す。 Oは一相領域で、 .は二相領域を表している。 ブレン ド試料のTgより高いところに、 下限臨界共溶温度を有する L C S T型 の相図が得られた。 その臨界点、は、 P H Sの組成が約3 0 wt%で170

:t 1 0 ocにあると推定される。 これらブレンド試料の熱処理による分解

(16)

『・r

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Hydroxyl group hydrogen-bonded to carbonyl group

Figure 6.6 Schematic diagram of hydrogen bonding in PAS-PHS blend.

(17)

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blends.

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Solid

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phase leads to

period

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annealing.

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a by caused circles not

(18)

-

の可能性についてF T -1 Rを用いて調べたが、 1 6 0 ocで8時間アニ ーリングしても吸収スペクトルにおける変化は見られなかった。

この相分離の機構についてさらに直接的な情報を得るために、 FT-

1 R測定を行った。 室温から2 0 0 OCまで段階的に温度を上げて測定し たところ、 温度上界とともに水素結合した水酸基の吸収帯もカルボニル 基の吸収帯もしだいに単調に減少した。 このことからエンタルビー項の 影響が、 温度上昇とともにしだいになくなって相分離を起こしたと推測 できる。

6 . 4- 糸念 ナ舌

P H SのTgは、 P SやPA SのTgと比べかなり高い値を示した。 こ れは、 P H Sの水酸基の聞に形成される分子問、 分子内水素結合に起因 する分子鎖の内部回転の束縛によると考えられる。 室温で調製したPA S-PHSブレンド試料は、 D S C測定ですべての組成で唯一のTgが観 測されたことから相浴していると判断した。 ごの系では、 ブレンド組成 とTgの関係は Gordon-Taylor式において負のずれを示し、 PHS-ポリ

(4 -ビニルピリジン)系の挙動とは対照的であった。 この負のずれは、

P H Sの水酸基とP A Sのカルボニル基の間の水素結合から生じる相互 作用がP H Sでの水素結合より弱いためであることを示すと考えた。

P H Sの水酸基とPA Sのカルボニル基の聞に水素結合が存在するこ とは、 F T - 1 R測定において組成を変えた水酸基の吸収帯とカルボニ ル基の吸収帯の波数変化から判明した。 ブレンド試料の水酸基の吸収帯 は、 フリーの水酸基の吸収帯、 水酸基どうしが水素結合した水酸基の吸

(19)

『咽咽

収帯、 およびカルボニル基と水素結合した水酸基の吸収帯の3つの吸収 帯からなる。 帰属は、 純PH Sの水酸基の温度変化を追跡することによ り行った。 その波数より、 それぞれの水素結合の強さについて検 討し、

P H Sの水酸基どうしで形成される水素結合の強さより水酸基とカルボ

ニル基の問に形成される水素結合の強さは弱いものであることが判明し

た。 その弱い水素結合が、 Gordon-Tay1or式の負のずれを生じさせる理由 であると結論した。 また、 PAS-PHSブレンド系を高温で熱処理す るとLCST型の相図を与えることがD S C測定により確かめられた。

これは、 第4章で示したPH Sーエステル系溶媒と同様の挙動であり、

水素結合が相溶性において演ずる役割をより明確にしたものといえる。

季きさ三3F コ乞南犬

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言字三 7 糸吉 言命

本研究は、 高分子鎖上の官能基が水素結合する能力をもった高分子の 各種溶媒への溶解性および異種高分子との相溶性に関する熱力学的特性 を明らかにすることを目的とした。 そのモデル高分子として分子間相互 作用力の異なるポリスチレン(p S )の 4位の置換体であるポリ(4 - ヒドロキシスチレン)(PHS)とポリ( 4ーアセトキシスチレン) ( P A S )を選び、 それぞれの熱力学的特性を調べ検討した。

第1章では、 本研究の目的および研究背最について述べた。

第2章では、 P A SとPH Sの各種溶媒への溶解性について検討し、

3種の異なる実験法と3種の計算法を用いて両者の溶解度パラメータを 決定した。 正則溶液論は、 本 来無極性分子に関するものであるが、 有極 性分子について拡張が多くの研究者により行われてきた。 フェノール性 の水酸基を有する極性の大きいPH Sについても、 粘度法やHansenの方 法から求めた6値はよく一致し、 P H Sのような極性高分子系へ溶解度 パラメータ概念、を拡張するのは妥当と考えられる。

A SとPH Sの溶解度パラメータの値は、 他の直鎖状の高分子に比 べてかなり大きい値を示した。 しかし、 Hansenの方法を用いて3成分に 分けると、 分散力の寄与は他の直鎖状の高分子と同程度であるが、 極性 の寄与は、 ポリ(酢酸ビニル)やポリ(メタクリル酸メチル)と同程度 の値を示した。 しかし、 他の直鎖状の高分子に比べてかなり大きい値を 示したのは、 水素結合の寄与Ó 2 hである。 とくに、 P H Sのδ2hは極め

て高い。 これは、 P H Sにおける分子内および分子間水素結合の存在と

よく対応する。 またHansenの3次元溶解度図から、 P A SとPHSとも にエステル類およびケトン類の溶媒が0溶媒になり得る可能性が示唆さ

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ー司.

れた。

第3章では、 高分子の理想配位および溶液の熱力学的性質に対するア セトキシル基の影響を調べた。 PA Sの0溶媒として酢酸イソプロピル と酢酸プチルを見い出し、 。温度をそれぞれ1 9 . 7 ocおよび2 6 . 8 oc と決定した。 ジオキサン、 THF、 酢酸イソプロピル、 酢酸ブチルを溶

媒として用い、 極限粘度数と分子量の関係式を決定した。 上記溶媒にお ける粘度式の分子量の指数の値は、 典型的な鎖状高分子についての値の 範囲内にあり、 本研究で対象としたPA Sはランダムコイルであるとい える。

。温度における極限粘度数の分子量依存性から、 主鎖の回転束縛の尺 度を表すo値を決定した。 この値から判断してPA Sでは主鎖の自由回 転に対する置換基効果は、 置換基体積をパラメータとして解釈でき、 溶 液物性に対するフェニル基の4位についたアセトキシル基の極性効果は

小さいと結論した。

極限粘度数の温度依存性から、 PAS-溶媒間相互作用を表す熱力学 的パラメータをいくつかの溶媒系について決定した。 エンタルビー ・ パ ラメー夕、 エントロビー ・ パラメータともにすべて正の値を示し、 PA

Sが吸熱的に溶解しているごとがわかった。 また、 酢酸イソプロピルと 酢酸ブチルを用いたPA Sの相図はともにP Sーシクロヘキサン系など に見られるu C S T型であった。

第4章では、 高分子の理想、配位および溶液の熱力学的性質に対するP Sのフェニル基の4位に導入された水酸基の影響を調べた。 溶媒として ジオキサン、 T H F、 酢酸イソブチル、 プロピオン酸エチルを用いて、

極限粘度数と分子量の関係式を決定した。 ごれら得られた各種溶媒の粘 度式の分子量の指数の値は、 典型的な鎖状高分子について知られている

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値の範囲にあるので、 P A Sと同様PH Sも溶液中でランダムコイルで あるといえる。

高分子の理想配位に及ぼす水酸基の影響を調べるため、 。値をTanaka やStockmayerらの方法を用いて決定した。 この値の大きさから、 水酸基 が 宇ム鎖c-c結合まわりの内部回転に及ぼす障害は認められるが、 その 影響の大きさは、 置換基の体積による効果とともに置換基の静電的相互 作用とくに双極子能率によっても影響されることが判明した。

一方、 いくつかの貧溶媒と良溶媒を用いて、 極限粘度数の温度依存性 に基づいて、 P H Sと溶媒の相互作用を検討した。 得られたエンタルビ ー ・ パラメータの値は、 貧、 良溶媒にかかわらず発熱系であることがわ かった。 これは、 前章で得られたPA Sの溶液における挙動と対照的で ある。 また 、 P H S系のエントロビー ・ パラメータも、 無極性高分子系 での理論値0 .5に対し、 負の値を示した。 とれは本研究でのPH S一溶 媒系において高分子コイルに溶媒分子が強く束縛されていることを示す ものである。

酢酸イソブチル、 プロピオン酸エチル、 3-ヘプタノンを選び、 P H Sの相分離実験を行い、 いずれもL C S T型の相図を与えることを確か めた。 しかも、 それぞれの溶媒の沸 点よりも低いところにL C S Tが出 現するという特異な系である。 PH S一酢酸イソブチル系の臨界温度と 分子量との関係から、 。温度とエントロビー ・ パラメータを決定した。

光散乱調IJ定によるA2の温度依存性から決定した0温度は、 相図からの値 とよく一致した。 また、 P H Sープロピオン酸プロピル系の相図は、 U

CSTの上側にL C S Tが出現する砂時計型の特異的な相図を示した。

これらのPHS-溶媒系に見られるL C S Tの現象は、 側鎖のフェノー ル性水酸基と溶媒のカルボニル基との間の水素結合が温度上昇とともに

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弱くなり、 溶解性が悪くなり、 二液相分離を引き起こすものと考えられ る。 P H S溶液で高分子と溶媒分子との問に形成される水素結合がこれ ら特異な相挙動を与える原因であるといえる。

第5章では、 P H Sの溶液における高分子鎖の広がりの温度依存性を、

蛍光法と粘度j去を用いて検討した。 P H Sとその単位クロモファーとみ なしうる4ーエチルフェノールのメタノール希薄溶液の吸収スペクトル は、 両者一致した。 P H Sの蛍光スペクトルには、 3 0 8 nmの発光帯の ほかに3 5 6 nmに大きいブロードな発光バンドが認められた。 短波長側 の発光スペクトルは、 4-エチルフェノールと同ーであるが、 長波長側 の蛍光帯が不純物による異常蛍光でないことを確かめた。 3 0 8 nmをピ ークとする発光情は吸収スペクトルと鏡像関係をなすモノマ-バンドに 相当し、 約4 4 0 0 cm -1シフトした3 5 6 nmをピークの中心とする発光 帯は励起分子 の相互作用に基づく二量体のエキサイマ一発光であると同

定した。

また、 ごの系での蛍光スペクトルと極限粘度数の温度依存性を検討し た。 エキサイマーとモノマーの蛍光強度比1 d/ 1 mの値は温度上昇とと もに増加し、 [η]値は温度上界とともに減少した。 ごれらは温度の上 昇によりメタノール中のP H Sの高分子鎖コイルが収縮していることを 示すものである。 しかも、 両者とも3 5。 から40 OC付近で温度依存性 を異にする。 このクロスオーバーは、 P H Sとメタノ-ル聞の水素結合 の切断に対する温度効果と分子鎖国有の束縛回転に対する温度効果とが

重畳した結果、 現れたものと推測した。

第6章では、 高分子-高分子系の相溶性について検討した。 P H Sの Tgは、 分子内の水酸基が分子間あるいは分子内で水素結合を形成するた め、 P SやP A SのTgと比べかなり高い値を示した。 室温で調整したP

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AS-PHSフレンド試料は、 透明で、 D S C測定ですべての組成で唯 一のTgが観測されたことから相溶していると判断した。 この系は、 P H Sーポリ( 4ーピニルピリジン)系の挙動とは対照的に、 ブレンド組成 とTgの関係がGordon-Taylor式において負のずれを示した。 このことか らP H Sの水酸基とPA Sのカルボニル基の聞の水素結合による相互作

用が比較的弱いためであると考えた。

F T- 1 R測定からPA Sのカルボニル基とPH Sの水酸基の聞に水

、結合が存在することが、 組成を変えた水酸基の吸収帯とカルボニル基

の吸収帯の波数変化から判明した。 ブレンド試料の水酸基の吸収帯は、

フリーの水酸基の吸収帯、 水酸基どうしが水素結合した水酸基の吸収帯、

およびカルボニル基と水素結合した水酸基の吸収帯の3つの吸収帯から なることを確認した。 各吸収帯の帰属は、 純PH Sの水酸基のスペクト ルの温度依存性から行った。 その吸収帯の波数より、 P H Sの水酸基ど うしで形成される水素結合の強さより水酸基とカルボニル基の聞に形成 される水素結合の強さは弱いものであるごとを確かめた。 この弱い水素

結合が、 Gordon-Taylor式の負のずれを生じさせる理由であると結論した。

また、 高温熱処理物のDS C測定からPAS-PHSブレンド系がL C ST型の相図を有するごとを確かめた。

以上、 P Sベンゼン環の4位の置換体であり、 分子間相互作用力の異 なるポリ(4ーアセトキシスチレン)およびポリ( 4ーヒドロキシスチ レン)について、 学術的にも工業的にも基本でかつ重要である熱力学的 特性の一端を明らかにすることができた。 溶液においてはPA Sおよび P H Sのコイル全体としての平均の形態については、 アセトキシル基お よび水酸基の効果は強くは現れない。 一方、 P H Sについて溶解性と相 分離挙動には、 水酸基一溶媒聞の局所的水素結合の影響が顕著に現れた。

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また、 P A SとP H Sのブレンド成分間の相互作用は、 両者の聞の水素 結合に基づくものであり、 相溶性の挙動はP H Sーエステル系溶媒の相 挙動に対応して解釈できることを明らかにした。 P H Sヘ耐熱性等の向

上をもたらし、 また高機能性材料としての応用に際し、 水素結合がどの ような影響をおよぼすかを明らかにし得たと考える。

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議討 舌辛

本論文の研究を行うに際して、 有益な御助言と御指導をして下さった 九州大学工学部応用理学教室の高見沢徹一郎教授に心から感謝し、 厚く 御礼申し上げます。 数々の問題点について御助言して下さったことは筆 者にとって非常に有益なものとなりました。 また、 熊本大学教養部化学 教室の有地鎮雄教授には、 絶えず励ましと有益な御助言、 御指導を頂き ました。 心から感謝致します。 また、 九州大学工学部の荒井康彦教授、

梶山千里教授、 松重和美教授には、 懇切に御助言と御指導を頂き、 厚く 御礼申し上げます。 また、 有明工業高等専門学校の竹村哲男名誉教授、

熊本大学教養部の坂本範行教授には、 数々の御教示と励ましを頂き、 心 から感謝致します。

最後に、 研究に専念、できるように筆者を支えてくれた妻子に感謝致し ます。

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Figure  6.1  P10ts  of  T  g  against  10gM  w  for  PHS,  PAS  and  po1ystyrene:  (0)  obtained  in  this  work;  (・)
Figure  6.2  Glass  transition  temperatures  of  blends  of  PHS  and  PAS  versus  weight  fraction  of  PHS
Figure  6.5  FTIR  spectra  recorded  at  room  temper  -ature  in  the  3700-3000cm-1  region  for  PHS-PAS  blends  containing:  (A)  33,  (B)  40,  (C)  50,  (D)
Figure  6.6  Schematic  diagram  of  hydrogen  bonding  in  PAS-PHS  blend.

参照

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