平22.都土木技術支援・人材育成センター年報 ISSN 1884-040X Annual Report
C.E.S.T.C., TMG 2010
13. 野川上流域における主な湧水と地下水の水循環解析
Hydrological Analysis of several Spring-basins at the upper stream of the No-River
技術支援課 國分邦紀、石原成幸、川合将文 1. はじめに 昨今、「ゲリラ豪雨」と呼ばれる突発的な集中豪雨 が都市河川流域で頻発し、治水対策がクローズアッ プされている。その一方、武蔵野台地を流れるいく つかの中小河川で、春先から夏季にかけて流水が絶 える「水涸れ」がしばしば発生し、河川水量確保が 課題となっている。それには湧水量の減少や地下水 位の低下などが原因として考えられるが、対策をた てるには地下地質、帯水層の構造を明らかにし、水 循環メカニズムを解明することが重要である。 当センターでは、維持流量対策として数年前から 北多摩地域の野川や空堀川を対象に地質構造、地下 水や水量のモニタリング調査を行ってきた。昨年ま で、地下水の特徴や流動方向、河川水の浸透量など を明らかにしてきたが、水循環の定量化については 不十分であった1,2,3)。本報は、過去の水文観測資 料から降雨と地下水の関係を解析、また野川のいく つかのハケの湧水域について水循環解析を試みた結 果についての報告である。 2. 降雨と地下水の関係 水循環解析を行うには準備が必要となるため、前 段で降雨∼地下水位特性について述べる。自然状態 の自由面地下水の場合、地下水位はほぼ降雨により 支配されて変動している。したがって、降雨と地下 水位の関係を整理することによって対象地域の地下 水理特性についてかなりのことを解明できる4)。詳 細は以下のとおりである。 通常は連続した降水量 R と地下水位上昇量ΔH の 関係を整理し、その一次回帰式から回帰式の傾き a と切片 b を把握する(ΔH=a・R−b)ことによって 行う。回帰式の傾き a は、表面流出率 f や帯水層の 有効間隙率 Pa に、また切片 b は土壌の圃場容水量に 関係するとされ、これによって有効間隙率 Pa や土壌 図−1 観測井位置図 図−2 降雨と地下水位上昇の関係の事例 ΔH = 0.0027R - 0.0662 R2 = 0.7979 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 一連降水量R(㎜) 水位変化量 Δ H (m ) 表面流出後の降雨成分がすべて地下浸 透し、地下水位上昇すると、 ΔH≒R(1-f)/Pa a≒(1-f)/Pa よって、 Pa=(1-f)/aで表現される。
の圃場容水量をおおまかに推定することが可能とな る(図−2 に小金井市 JA 武蔵での事例を示す)。こ の場合、連続した降水量 R の期間を地下水位の上昇 開始以前の何日間にとるかは、降雨形態によって実 際どこまでとるかについて決まりがなく、どちらか といえば恣意的であった。モデルに使う帯水層の有 効間隙率 Pa や土壌の圃場容水量などの初期水理パ ラメーターはこうして求めた。 しかし、年間をとおして地下水位変動図を見た場 合、降雨がないにも係らず水位が一方的に上昇傾向 にあったりするケースがときどきみられる。この原 因を土壌帯の存在にあると考え、次の通り整理した。 関東ローム層が厚く堆積する武蔵野台地の地下水を 対象とする場合、土壌保留水分が地下水位に及ぼす 影響が長期にわたるので、考える水位の前の降雨期 間を何日間にとるかで、降雨と水位の相関係数が異 なってくると考えられ、最適降雨期間を求めること にした。ここでは、対象日 3 日前、5 日前、10 日前、 15 日前、30 日前、60 日前、90 日前、120 日前、150 日前までと、累積降雨期間を長くとっていき、その 累積降雨期間雨量と水位の一次直線回帰を行うこと により整理した。 野川流域では数箇所浅井戸観測井を設けて自記水 位測定を行っている(図−1)。いずれも小金井市内 で、武蔵野面に 3 箇所、立川面に 5 箇所の観測井で ある(うち立川面の 1 箇所は小金井南地盤沈下観測 所内の浅井戸)。図−3 は、横軸に累積雨量、縦軸に 水位をとって散布図を作成したものの一つである。 この事例は小金井市中町の「はけの森美術館」の地 下水位についてである。累積降雨期間を長くするに したがい、回帰直線式は図の右側にシフトし、しか も直線式の勾配は小さくなる。回帰式の相関係数 r が 最も高 かった のは、 30 日間累 積降雨 の場合 で r=0.84 であった。したがって、小金井市美術館の井 戸の例では、30 日前までの累積降雨が地下水位を支 配しているといえる。 野川流域の他の観測井についても同様に整理し、今 度は、累積降雨日数を横軸に、縦軸に回帰式の相関 係数をとって図化すると、図−4 に示すように累積 降雨日数が 100∼140 日で水位の相関が高い傾向を 示す井戸が多かった。3 ヶ月∼5 ヶ月前までの降雨量 53.55 53.6 53.65 53.7 53.75 53.8 53.85 53.9 53.95 54 54.05 54.1 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 累積雨量(㎜) 地下水位 (T .P .m ) 3日累積 5日累積 10日累積 15日累積 30日累積 60日累積 90日累積 120日累積 150日 180日 線形 (3日累積) 線形 (5日累積) 線形 (10日累積) 線形 (15日累積) 線形 (30日累積) 線形 (60日累積) 線形 (90日累積) 線形 (120日累積) 線形 (150日) 線形 (180日) 図−3 累積降雨と地下水位の散布図(野川流域) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 累積降雨日数 相関係数 r2 美術の森 JA武蔵 植栽内JR 武蔵野公園 第二子供広場 野川緑地 水木橋下流 図−4 累積降雨日数と回帰式の相関係数 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 0 20 40 60 80 100 120 140 160 累積降雨日数 相 関係数 r2 武蔵野公園 水木橋下流 土支田№15 練馬・比留間 練馬北町 板橋仲宿 赤塚・戸井田 北野神社 図−5 累積降雨日数と回帰式の相関係数(鋸歯型) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 累積降雨日数 相関 係数 r2 美術の森 JA武蔵 植栽内JR 第二子供広場 野川緑地 小平霊園 小平・小山氏 東大演習林 井の頭公園 図−6 累積降雨日数と回帰式の相関係数(椀伏せ)
が水位に影響を及ぼすことを示唆している。これは 想定外の結果であった。同様のことは、永翁らも真 姿の池の解析において指摘している5)。また観測井 は武蔵野面に 3 井、立川面に 4 井であるが、段丘面 の違いは相関性の差に現れなかった。 次に、水位変動形態の違いによる相関性の変化に ついて整理した。見かけ上であるが、武蔵野台地の 浅井戸水位変動は、水位上昇・下降が急で波形がギ ザギザ型の「鋸歯型」と、水位上昇・下降が緩慢で ゆっくりとした波形がお椀状の「椀伏せ型」の大き く 2 タイプに分類される6,7)。「鋸歯型」の井戸は台 地の谷筋や低地に多く、井戸深さが一般に浅い。一 方、「椀伏せ型」井戸は台地の地盤が高い場所でロー ム層が厚い地域に多く井戸深さが深い傾向にある。 なお、整理した浅井戸は野川流域だけでなく、武蔵 野台地全般についてである。その結果、以下のこと が明らかとなった。 図−5 の鋸歯型の水位変動を示す井戸では、累積 降雨日数が短いほうが水位との相関性がよい。また 図−6 に示すように、椀伏せ型の水位変動を示す井 戸は、水位も深く、累積降雨日数が一般に 60 日以上 と長くなるほど、降雨との相関性が良い。 3. 湧水と地下水の水循環解析 つぎに、「野川」の主なハケの湧水と地下水の水循 環について長期水収支結果の報告をする。対象とし た湧水は、三鷹市および国分寺市にかけての国分寺 崖線の代表的な 3 湧水、「野川公園湧水」、「はけの森 美術館湧水」、「真姿の池湧水」である。国分寺崖線 は西は立川市北東部から、東は世田谷区野毛まで比 高差約 10 数メートルで続く、段丘(河岸段丘)崖線 である。崖線は武蔵野台地の武蔵野面と立川面の二 つの段丘面を分ける。この崖線下に分布する数多く の湧水(ハケ)が野川の主な水源である。「野川公園 湧水」、「はけの森美術館湧水」、「真姿の池湧水」の 涵養域面積は、それぞれ約 1.8 ㎞2、0.45 ㎞2、0.62 ㎞2である。図−7 に主な湧水域を示す(ただし、真 姿の池湧水については図示していない)。 (1) 対象とした湧水の概要 野川公園の湧水は三鷹市大沢 2 丁目付近を中心と する地域で野川公園、国際基督教大学を含む比較的 流域の広い流域である。湧水は、武蔵野礫層が国分 寺崖線により切られて露出している地点から湧出し ている。はけの森美術館湧水は小金井市中町 1 丁目 の旧中村研一美術館敷地を中心とする比較的小規模 流域の湧水である。真姿の池湧水は国分寺市西元町 にある全国名水百選に唯一選ばれた名水で、湧水か ら流れ出るお鷹の道沿いの元町用水や隣接する武蔵 国国分寺と並んで豊かな自然環境を創出している。 図−7 野川上流域の主な湧水 hu1 ×α1 hu2 ×α2 hu3 ×α3 hγ ×γu ×γi hd1 ×β1 hd2 ×β2 hd3 ×β3 ×γd hsu hsd 図−8 水循環モデル
以上、いずれも段丘崖線下の湧水である。崖線湧 水はこの他にも数多く、小金井市貫井南町には滄浪 泉園や貫井神社の湧水、国分寺市内に姿見の池や殿 ヶ谷戸庭園湧水、東京経済大(新次郎の池)、さらに 野川の源頭水源である日立中央研究所構内の湧水な どが点在し、野川の貴重な水源を形成している。 (2) 水循環モデルについて このように、湧水はいったん武蔵野面に降った雨 水が武蔵野礫層まで浸透、段丘崖線下から湧出した ものである。そこで湧水の水循環モデルは、図−8 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0 20 40 60 80 100 120 140 4/1/07 4/15/07 4/29/07 5/13/07 5/27/07 6/10/07 6/24/07 7/8/07 7/22/07 8/5/07 8/19/07 9/2/07 9/16/07 9/30/07 10/14/07 10/28/07 11/11/07 11/25/07 12/9/07 12/23/07 1/6/08 1/20/08 2/3/08 2/17/08 3/2/08 3/16/08 3/30/08 4/13/08 4/27/08 5/11/08 5/25/08 6/8/08 6/22/08 7/6/08 7/20/08 8/3/08 8/17/08 8/31/08 9/14/08 9/28/08 10/12/08 10/26/08 11/9/08 11/23/08 12/7/08 12/21/08 1/4/09 1/18/09 2/1/09 2/15/09 3/1/09 湧水量 (㎜ /日 ) 日 降 水量 (㎜ /日 )
Spring-water simulation Nogawa-park
R CAL OBS 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 0 20 40 60 80 100 120 140 8/ 1/ 07 8/ 15 /07 8/ 29 /07 9/ 12 /07 9/ 26 /07 10 /1 0/ 07 10 /2 4/ 07 11 /7 /07 11 /2 1/ 07 12 /5 /07 12 /1 9/ 07 1/ 2/ 08 1/ 16 /08 1/ 30 /08 2/ 13 /08 2/ 27 /08 3/ 12 /08 3/ 26 /08 4/ 9/ 08 4/ 23 /08 5/ 7/ 08 5/ 21 /08 6/ 4/ 08 6/ 18 /08 7/ 2/ 08 7/ 16 /08 7/ 30 /08 8/ 13 /08 8/ 27 /08 9/ 10 /08 9/ 24 /08 10 /8 /08 10 /2 2/ 08 11 /5 /08 11 /1 9/ 08 12 /3 /08 12 /1 7/ 08 12 /3 1/ 08 湧水量 (㎜ /日 ) 日降 水量 (㎜ /日 )
Spring-water simulation Hakenomori
R CAL OBS 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 20 40 60 80 100 120 140 4/1/07 5/1/07 5/31/07 6/30/07 7/30/07 8/29/07 9/28/07 10/28/07 11/27/07 12/27/07 1/26/08 2/25/08 3/26/08 4/25/08 5/25/08 6/24/08 7/24/08 8/23/08 9/22/08 10/22/08 11/21/08 12/21/08 湧水量 (㎜ /日 ) 日 降 水量 (㎜ /日 )
Spring-water simulation Masugatanoike
R CAL OBS
図−9 日湧水シミュレーション結果 ※ 図の凡例 R:降水量、CAL:計算値、OBS:実測値
のように土壌帯部と帯水層部の上下 2 段構造とした。 湧水量は地下水タンクの横流出孔からの流出量に対 応させた。土壌タンクは底に浸透孔を二つ設け、通 常の浸透と急速な浸透(日量で 40 ㎜以上の涵養があ った場合のみ)の二重構造を採用した。浸透孔は拘 束水を考慮し、下部の地下水タンクへ浸透も流出も しない部分を設けて、タンク底から嵩上げ構造とし た。入力データは、降水量、蒸発散量である。上下 水道漏水はごくわずかと考えて無視した。 計算では、ほかにもいくつかの仮定がある。各タ ンクの高さ、初期貯留量の設定の際、ローム層や砂 礫層の平均厚を考慮にいれた。土壌タンクへは、表 面流出を除く降雨成分を入力し、蒸発散については 日降水量が 10 ㎜以上の日は無いものと仮定した。対 象地域の表面流出率 f は、被覆率から「はけの森湧 水」が f=0.6、「野川公園湧水」f=0.5、「真姿の池湧 水」f=0.55 とした。表面流出については、5 ㎜/day 以上の降雨があったときのみ起きると仮定した。な お、蒸発散の算定は、Thornthwaite 式によって得た 値を季節補正して使用した。 (3) 地下水・湧水の日単位シミュレーション 日単位のタンクモデル長期流出計算を上記の 3 湧 水について行った。期間は 2007 年∼2008 年の約 2 カ年である。両年とも欠測期間があるものの、湧水 量の連続観測値があり計算値と比較しやすい8,9)。 実測値と計算値の系列相関係数 r が最大、年総量 の差が最小になるように計算を行った。結果を図−9 に示す(上段:野川公園、中段:はけの森、下段: 真姿の池湧水)。湧水量の急激な増減を充分に再現で きないものの、概ね良好な結果を得た(相関係数 r は、はけの森:約 0.77、野川公園:約 0.78)。同定 されたタンクの孔の高さ、乗数など定数結果を表−1 に示す。 4. 結果についての考察 長期水収支の概念は図−10、また水収支計算結果 は表−2 のとおりで、以下のようなことが明らかと なった。 ①年降水量 R のうち約 42∼52%が地下水涵養、表 面流出成分 D は 26∼36%、蒸発散 E が約 22%と、表 面流出 D と蒸発散 E がやや小さい。 ②地下水流出量は、年降水量に対する比率にして、 「はけの森湧水」が約 7%、「野川公園湧水」が約 12% で、「野川公園湧水」の流出量は単位面積あたり「は けの森湧水」のほぼ倍の量である。また「真姿の池 湧水」流出量は約 24%で流出率がはるかに大きい。 さすがに、名水百選に選ばれるだけのことがある。 またいずれの湧水も、流出地下水のほとんどが観測 湧水量に近似した値である。 ③武蔵野礫層からより下位の砂礫層へ転化する浸 透量(被圧地下水転化量)が年間降雨の約 8∼10% と計算され、日量で 0.44∼0.52 ㎜と大きい結果とな った。 第 2 節(降雨と地下水の関係)で既述したように、 地下水位、湧水ともに、1∼2 日で急激に変化する場 合もあれば、何カ月も後に降雨の変化が現れるケー スがある。図‐4 に示したように、武蔵野台地の地
α1 0 hu1 80 α1 0.1 hu1 250 α1 0.03 hu1 80 α2 0 hu2 60 α2 0 hu2 α2 0 hu2 0 α3 0 hu3 45 α3 0.05 hu3 70 α3 0.01 hu3 60 γu 0.35 hγ 20 γu 0.1 hγ 50 γu 0.4 hγ 30 γi 0.2 hsu 40 γi 0.2 hsu 100 γi 0.25 hsu 50 β1 0.005 hd1 300 β1 0.003 hd1 350 β1 0.04 hd1 300 β2 0.002 hd2 250 β2 0.002 hd2 250 β2 0 hd2 250 β3 0.0012 hd3 170 β3 0.0018 hd3 150 β3 0.001 hd3 200 γd 0.0015 hsd 260 γd 0.0015 hsd 340 γd 0 hsd 290 ※ 孔の高さの単位:㎜ 真姿の池 上段タン ク 下段タン ク はけの森 野川公園 表−1 タンク定数結果 帯水層 難透水層 地表面 降水量 R 蒸発散量 E 表面流出 D 地下水涵養 G 土壌帯 深部浸透 L 地下水流出量 G2 帯水層涵 野川公園 1,994 453 1,032 509 234 192 はけの森 1,994 446 840 708 136 160 真姿の池 1,994 446 936 612 487 0 ※ 2008年1年間の水収支、単位:㎜ 深部浸透 L 地下水流出 G2 対象湧水 降水量R 蒸発散量E 地下水涵養G 表面流出D 図−10 水収支概念 表−2 水収支計算の結果(2008 年)
下水の場合、約 100∼120 日後にピークがある。湧水 の場合も同様な傾向と考えられる。 ④なお、求められた地下水タンクの水位変化は対 象流域の地下水位変化も表す。紙面の都合ですべて 紹介できないが、図―11 の真姿の池の上流部の井戸 水位計算事例のように、域内の水位観測井の実測水 位と本計算のタンク水位変化は相関性が良かった。 図−11 真姿の池上流部地下水位計算結果 天口らは、真姿の池の水循環解析を分布型水循環 モデルを使用して行っているが10)、今回、われわれ が行った、より単純な集中型水循環モデルでも野川 のハケの水循環地域特性が十分に明らかにできるこ とがわかった。 5. おわりに 野川上流域の長期にわたる水文観測調査を総括す る意味で、いくつかの湧水域単位で水収支計算を行 い、この地域の水循環特性を明らかにすることがで きた。また、この結果を用いることによって雨水浸 透ます設置による湧水増加等の将来予測も可能とな るなど非常に有効である。以前から言われているこ とであるが、北多摩地域の河川が東京の地下水の主 要な涵養域であり、逆に平常時の河川流量を維持す るのは容易でないことを、改めて再認識する計算結 果となった。 なお、現地での水位観測や湧水観測は現在も行っ ており、関係する建設事務所の技術支援を継続して いく考えである。最後に、調査にあたりご支援ご協 力いただいた関係者の方々に深く感謝するとともに、 忌憚のないご意見をいただければ幸甚です。 参 考 文 献 1) 川合、石原、川島、国分(2006):野川上流域の水文環境の考察、平 18.都土木技センター年報、131−142 2) 川合、川島、石原、清水(2008):野川上流域における河川水量確保に関する検討、平 20.都土木技センター年報、 39−50 3) 石原、國分、川合、向山、百瀬、榎本、青木(2009):野川流域における水文環境、平 21.都土木技術支援・人材育 成センター年報、191−202 4) 國分邦紀、中山俊雄、中嶋庸一(2000):練馬区土支田・大泉地区の地下水と湧水、平 11.都土木技研年報、203-212 5) 永翁一代、森川和子(2001):都市湧水・真姿の池における従属栄養細菌群集の動態におよぼす降雨の影響、陸水学 雑誌、Vol.62、p169-175 6) 中山俊雄、國分邦紀、中村正明、松延隆志(1998):武蔵野台地西部の浅層地下水と水文環境、平 10.都土木技研年報, 211-222 7) 國分邦紀、中山俊雄(1999):武蔵野台地西部の地下水変動解析、平 11.都土木技研年報,191-196 8) 国分寺市都市建設部(2008):湧水地等の水量・地下水位調査委託報告書、平成 19 年度版 9) 国分寺市都市建設部(2009):湧水地等の水量・地下水位調査委託報告書、平成 20 年度版 10) 安藤義久、天口英雄、堀部将和(2003):野川上流域の真姿の池湧泉の水循環解析、総合都市研究、第 82 号、p45-55。 0 20 40 60 80 100 120 140 2007/4/1 2007/5/1 2007/6/1 2007/7/1 2007/8/1 2007/9/1 2007/10/1 2007/11/1 2007/12/1 2008/1/1 2008/2/1 2008/3/1 2008/4/1 2008/5/1 2008/6/1 2008/7/1 2008/8/1 2008/9/1 2008/10/1 2008/11/1 2008/12/1 日 降 水量 (㎜ / d ay ) 63.2 63.4 63.6 63.8 64 64.2 64.4 64.6 64.8 水位 ( T .P .m ) 日降水量 実測水位 計算水位