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第 3 章 日本の住宅におけるハウスダスト中 SVOC 濃度の実測

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

第 3 章 日本の住宅におけるハウスダスト中 SVOC 濃度の実測

3-1 実測目的

1982年にWHOで「シックビルディング症候群」が定義され1、1990年代後半から日本 国内においてもホルムアルデヒドなどのカルボニル化合物や揮発性有機化合物(VOC)な どの室内空気質汚染に対する対策が定められた。

一方、沸点の高い準揮発性有機化合物(Semi-Volatile Organic Compounds: SVOC、240~260℃

から380~400℃)は、浮遊粉塵やハウスダストなどの表面に付着し、室内に蓄積することが

懸念された。スウェーデンにおける研究では、家庭内のホコリ(ハウスダスト)に含まれ るフタル酸エステル類の濃度と子供の喘息やアレルギー症状には関係性が見られると報告

2されており、ハウスダスト中SVOC濃度への注目が高まっている。国外で有害性やリス クが評価3される中、国内でもハウスダストに対する実測調査が必要とされる。

そこで、本章では日本の住宅におけるSVOC濃度の実態把握を目的として、ドイツのVDI

4300 part8に定義されているハウスダスト中SVOC濃度を実測調査することとした。また、

幼児のハウスダスト由来のSVOC摂取量に関する推定や室内SVOC汚染対策を提案した。

3-2 実測対象住宅の概要

実測住宅の概要を表3-1に示す。アンケート調査により、建物の竣工年、構造、地域、居 住者数、室内仕上げ材の種類などを調査した。2007年度は自然素材住宅であるWA邸、KZ 邸、NO邸、SU邸の実測を行った。2008年から2010年度までは22件の一般住宅における ハウスダストを捕集し、ハウスダスト中のSVOC濃度を実測した。

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

表3-1 実測住宅の概要 種類 測定

年度 住宅名 竣工

年度 構造 実測地 居住者 床 材

自然 素材 住宅

2007

WA 2007 木造 奈良県 1名 ヒノキ KZ 2007 木造 神奈川県 5名 ヒノキ、チータ NO 2006 木造 新潟県 2名 スギ SU 2006 木造 宮城県 1名 クリ、スギ

一般 住宅

2008

OK08-P 1997 RC造 東京都 1名 クッションフロア OK08-C 1997 RC造 東京都 1名 クッションフロア、

カーペット TK08-S 1992 RC造 東京都 1名

カーペット、茣蓙 TK08-L 1992 RC造 東京都 1名

KR08 1982 RC造 東京都 1名 PVC系シート MY08 2008 S造 静岡県 4名 フローリング、畳

TS08 1995 S造 静岡県 4名 フローリング、

カーペット、

茣蓙、

SN08 2005 S造 神奈川県 4名 フローリング、

カーペット MD08 2000 S造 神奈川県 4名 フローリング、

カーペット、タイル

2009

KN09 1989 RC造 東京都 1名 クッションフロア YM09 2008 RC造 東京都 5名 フローリング

ST09 1995 木造 千葉県 4名 フローリング、畳 KW09 1990 木造 埼玉県 2名 フローリング、畳 KG09 1994 木造 東京都 1名 フローリング、

カーペット OK09 1997 RC造 東京都 1名 クッションフロア HT09 2001 RC造 東京都 1名 フローリング

2010

KN 1989 SRC造 東京都 1名 クッションフロア、

ビニル床シート KG 1994 SRC造 東京都 1名 フローリング、カーペット YM 2008 SRC造 神奈川県 5名 フローリング

IG 1992 木造 神奈川県 4名 フローリング TT 1980 SRC造 東京都 1名 フローリング MR 2005 SRC造 東京都 1名 フローリングシート

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

3-3 実住宅におけるハウスダストの捕集方法

3-3-1 ハウスダスト捕集

ドイツをはじめ、ヨーロッパの諸国はハウスダストを捕集する際、主に一週間のハウス ダストを捕集しているが、日本住宅の測定では3日齢のダストを捕集した。松崎4が発表 した「掃除の実態と意識に関する調査」によると、共働きの掃除頻度は週1~2回で52.8%、

専業主婦は61.8%が毎日掃除を行うと報告されている。つまり、共働きは約3日齢ダスト

~7日齢ダスト、専業主婦は約1日齢のダストが多いと考えられた。よって、本研究では3 日齢ダストを分析することとした。ハウスダスト捕集は、0日目に家庭用掃除機を用い、床 上のハウスダストを全て取り除いた。3日間(72時間)掃除せず、居住者は通常通りに生活し た。3日後、床上に堆積した3日齢のハウスダストを開発した捕集ノズルを用いて捕集した。

図3-1に捕集装置(左)とハウスダスト捕集の様子(右)を示す。

3-3-2 分析方法及び対象物質

図3-1 捕集装置(左)とハウスダスト捕集の様子

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

電磁振動式ふるい分器(伊藤製作所、M-200)を用いた。ふるい分けしたハウスダストをガ ラス瓶に入れ、蓋を閉めた。ガラス瓶をアルミホイルで包み、密封可能のポリエチレン製 袋に入れて保管した。その後、63μm以下ダストの瓶に5mlのジクロロメタンをいれ、超音 波抽出を行い、心分離をし、上澄み液をGC/MSにより分析した。GC/MSの条件を表3-2に 示す。ハウスダスト中SVOC濃度はハウスダスト1g当たりの検出量µg/gで示す。

表3-2 GC/MSの条件

使用機器 Agilent 6890N/5973inert カラム Inert Cap 1MS 30m*0.25mm*0.25μmdf

温度 50˚C(2min)→10˚C/min→320˚C(5min)

測定モード SCAN

スプリット比 1 : 10

検出器温度 280˚C 230˚C 150˚C SCANパラメータ マスレンジ(Low)30 マスレンジ(High)450

分析対象物質は、DBP(フタル酸ジ-n-ブチル)、DEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)、

DEP(フタル酸ジエチル)、TBP(リン酸トリブチル)、TCEP(リン酸トリス)、TPP(リン 酸トリフェニル)、D6(シロキサン6量体)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、C16(炭 素数16の炭化水素)、C20(炭素数20の炭化水素)、DBA(アジピン酸ジブチル)、DOA(ア ジピン酸ジオクチル)のSVOC12物質とDEHPの加水分解物質である2E1H(2-エチル-1-ヘ キサノール)を加えた合計13物質とした。検出限界値を10ngとした。

図3-2 ふるい分けの様子(左)とふるい分けされたハウスダスト(右)

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

3-4 測定結果

3-4-1ハウスダストの捕集量

表3-3に捕集したハウスダストの概要を示す。図3-3に総ダスト捕集量に対する63μm以 下ダスト量の割合を、図3-4に測定対象住宅の単位面積当たりのハウスダスト捕集量を示す。

表3-3 捕集したダストの概要 種類 測定年度 住宅名 捕集面積

[m2

総ダスト量

[mg]

分析ダスト量

[mg]

自然素材

住宅 2007

WA 71.0 4073.0 466.8 KZ 55.0 626.0 6.1 NO 65.0 116.0 7.4 SU 126.0 235.0 32.4

一般住宅

2008

OK08-P 7.2 183.8 6.2 OK08-C 7.2 1101.0 433.7

TK08-S 6.1 457.2 58.8 TK08-L 7.2 667.5 54.4 KR08 7.8 52.5 4.5 MY08 36.8 416.2 19.8 TS08 17.9 503.4 40.0 SN08 15.6 873.6 44.2 MD08 27.0 547.9 62.2

2009

KN09 11.0 348.7 70.1 YM09 27.0 1191.3 343.4 ST09 45.0 743.7 159.4 KW09 35.0 1371 805.6 KG09 14.0 612.8 90.7 OK09 7.2 161.6 4.6 HT09 14.0 326.4 26.8

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

図3-4 測定対象住宅の単位面積当たりのハウスダスト捕集量

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

WA KZ NO SU OK08-P OK08-C TK08-S TK08-L KR08 MY08 TS08 SN08 MD08 KN09 YM09 ST09 KW09 KG09 OK09 HT09 KN KG YM IG TT MR

2007 2008 2009 2010

自然惣菜住宅 一般住宅

単位面積当たりのハウスダスト 捕集量[mg/m2 ]

図3-3 総ダスト捕集量に対する63μm以下ダスト量の割合

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

WA KZ NO SU OK08-P OK08-C TK08-S TK08-L KR08 MY08 TS08 SN08 MD08 KN09 YM09 ST09 KW09 KG09 OK09 HT09 KN KG YM IG TT MR

2007 2008 2009 2010

自然惣菜住宅 一般住宅

63μm以下のダスト割合 63μm以上のダスト割合

自然素材住宅

自然素材住宅

一般住宅

一般住宅

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

ハウスダストの捕集量は室内SVOC汚染や幼児のリスク評価のため、有用な情報の1つ である。2007年に測定した自然素材住宅の場合、総捕集ダスト量に対する63μm以下ハウ スダスト量の割合が約10%程度で、KZは63μm以下ハウスダスト量の割合が1%に過ぎな かった。

一般住宅の場合、2008年に測定したOK-08-C、2010年に測定したKN、YM、MRは総捕 集ダスト量に対する63μm以下ハウスダスト量の割合が約40%を占めた。また、2009年の KW09は63μm以上ハウスダスト量より63μm以下ハウスダスト量が多く、住宅ごとのハウ スダストの割合が異なることが示唆された。

測定した全ての住宅の単位面積当たりのハウスダスト捕集量は平均34mg/m2であった。

2008年に測定したOK-08-P、OK-08-Cは同じ部屋で測定した物で、部屋にカーペットを使 用する時と使用していない時のハウスダスト量を比較し、ハウスダスト中のSVOC濃度に 関しても検討を行った。結果から見ると、カーペットを使用することによって単位面積当 たりのハウスダスト量が増加している。また、測定した住宅の中で、カーペットを使用し ている住宅はフローリングを使用している住宅より単位面積当たりのハウスダスト捕集量 は多い傾向が見られた。

総捕集ダスト量が多くても63μm以下ハウスダスト量が少ない場合もあり、総ダスト量が 少量であっても63μm以下ハウスダスト量が多い場合もあった。そのため、ハウスダスト量 は測定した住宅の地域や居住者の生活習慣、室内で使っている家具、生活用品などに大き な影響があると考えられる。

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

3-4-2ハウスダスト中SVOC濃度

1)自然素材住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度

表3-4にハウスダストからのSVOC検出量(2007:自然素材住宅)を占め、表3-5に自然 素材住宅のハウスダスト中SVOC濃度(2007:自然素材住宅)を示す。

表3-4 ハウスダストからのSVOC検出量(2007:自然素材住宅)

測定対象物質 検出量 [μg]

WA07 KZ07 NO07 SU07

2E1H N.D. N.D. N.D. N.D.

D6 N.D. N.D. N.D. N.D.

BHT N.D. N.D. N.D. N.D.

DEP N.D. N.D. N.D. N.D.

C16 N.D. N.D. N.D. N.D.

TBP N.D. N.D. N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D. N.D. N.D.

DBA N.D. N.D. N.D. N.D.

DBP N.D. N.D. N.D. N.D.

C20 N.D. N.D. N.D. N.D.

TPP N.D. N.D. N.D. N.D.

DOA N.D. N.D. N.D. N.D.

DEHP 234.0 N.D. N.D. 15.0 平均温度[℃] 15.0 19.3 欠測 14.8

平均湿度[%RH] 68 44 欠測 44 N.D.:検出限界以下

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

表3-5 自然素材住宅のハウスダスト中SVOC濃度(2007:自然素材住宅) 分析対象物質 ハウスダスト中SVOC濃度[μg/g]

WA邸 KZ邸 NO邸 SU邸

2E1H N.D. N.D. N.D. N.D.

D6 N.D. N.D. N.D. N.D.

BHT N.D. N.D. N.D. N.D.

DEP N.D. N.D. N.D. N.D.

C16 N.D. N.D. N.D. N.D.

TBP N.D. N.D. N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D. N.D. N.D.

DBA N.D. N.D. N.D. N.D.

DBP N.D. N.D. N.D. N.D.

C20 N.D. N.D. N.D. N.D.

TPP N.D. N.D. N.D. N.D.

DOA N.D. N.D. N.D. N.D.

DEHP 470 N.D. N.D. 475 平均温度[℃] 15 19.3 欠測 14.8

平均湿度[%RH] 68 44 欠測 44

ハウスダスト捕集量[mg] 4073 626 116 235

ハウスダスト分析量[mg] 496.8 6.1 7.4 32.4 N・D:検出限界以下

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

図3-5にハウスダスト中DEHP濃度(自然素材住宅)を示す。分析した13物質の中で、

DEHPのみ検出された。WA07邸、KZ07邸、NO07邸は竣工後半年以内、またSU07邸は竣 工後1年半以内の測定であったが、ハウスダスト中DEHP濃度は既往研究の50パーセンタ イル値よりも低い値となった。また、KZ07邸とNO07邸は分析した全ての物質が検出限界 値以下であった。竣工後まもなくの測定であったにもかかわらずハウスダスト中のSVOC 濃度は低い値を示したことから、自然素材を中心とした建材選定は室内のSVOC汚染を防 ぐための効果があると考えられた。

N.D. N.D.

既往研究値4

ハウスダスト中DEHP濃度[μg/g]

3000

2500

2000

1500 1000

500

0

WA07 KZ07 NO07 SU07 50P 95P 図3-5 ハウスダスト中DEHP濃度(自然素材住宅)

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

2)一般住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度

a) 2008年度実測した住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度

表3-6にハウスダスト中のSVOC検出量(2008)を、表3-7に2008年度実測したハウスダ スト中SVOC濃度を示す。

表3-6 ハウスダスト中のSVOC検出量(2008) 測定対象

物質

検出量 [μg]

OK08-P OK08-C TK08-S TK08-L KR08 MY08 TS08 SN08 MD08 2E1H N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

D6 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

BHT N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

C16 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TBP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBP N.D. 10.0 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. 12.0 N.D.

C20 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TPP N.D. 44.0 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DOA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEHP 3.3 420.0 50.0 33.0 6.9 9.7 37.0 690.0 81.0 C20換算

総有機物量 5.7 2200.0 340.0 220.0 23.0 32.0 84.0 2100.0 190.0 平均温度

[℃] 18.5 17.4 20.1 21.0 15.8 19.7 14.1 16.1 14.1 平均湿度

[%RH] 71 67 47 49 50 51 72 39 34 N.D.:検出限界以下

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

N.D.:検出限界以下 表3-7 2008年度実測したハウスダスト中SVOC濃度

測定対象 物質

SVOC濃度 [μg/g]

OK08-P OK08-C TK08-S TK08-L KR08 MY08 TS08 SN08 MD08 2E1H N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

D6 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

BHT N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

C16 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TBP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBP N.D. 24 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. 26 N.D.

C20 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TPP N.D. 102 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DOA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEHP 540 970 850 600 1520 490 920 1600 1300 C20換算

総有機物量 920 5000 5900 4000 5200 1600 2100 1600 3000 ハウス

ダスト 捕集量[mg]

183.8 1101 457.2 667.5 52.5 416 503.4 874 548

63μm以下 のハウス ダスト量

[mg]

6.2 433.7 58.8 54.4 4.5 19.8 40 44.2 62.2

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第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

図3-6にハウスダスト中DEHP濃度を示す。測定した全ての住宅からDEHPは検出され た。その他の物質についてはOK08-CでDBP、TPPが、SN08でDBPのみ検出され、それ 以外は検出限界以下であった。

測定した9件の住宅の中で、50パーセンタイル値を超える住宅は7件あった。最も高い

DEHP濃度はSN08で、1600μg/gを示した。これは、フローリング上に敷いていたカーペッ

トの裏地にPVCが使用されていたこと、捕集総面積の約40%がカーペットであったことが 原因と考えられる。OK08-PとOK08-Cでは、カーペットの有無によって約500μg/gの差が 確認された。OK邸のカーペットの裏地にも滑り止め用のPVC処理が施されており、DEHP 放散源になっていた可能性が考えられる。PVC系床材だけでなく、カーペットからもSVOC が放散され、ハウスダスト中濃度に影響を与えることが示唆された。

ハウスダスト中DEHP濃度[μg/g]

3000 2500 2000 1500 1000 500 0

OK08-P

50P 95P

OK08-C TK08-S TK08-L KR08 MY08 MD08 SN08 TS08

図3-6 ハウスダスト中DEHP濃度(2008年度測定結果)

(14)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

b) 2009年度実測した住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度

表3-8にハウスダスト中のSVOC検出量(2009)を、表3-9に2009年度実測したハウスダ スト中SVOC濃度を示す。

表3-8 ハウスダスト中のSVOC検出量(2009)

測定対象物質 検出量 [μg]

KN09 YM09 ST09 KW09 KG09 OK09 HT09 2E1H N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

D6 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

BHT N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

C16 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TBP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D. N.D. 17.7 N.D. N.D. N.D.

DBA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBP N.D. 68.7 8.0 88.6 N.D. N.D. N.D.

C20 N.D. 2.8 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TPP N.D. N.D. 2.6 N.D. N.D. N.D. N.D.

DOA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEHP 154.2 1167.6 129.1 354.5 20.9 4.6 16.6 C20換算総有機物量 210.3 2094.7 860.8 2900.2 63.5 5.5 25.7 平均温度[℃] 30.5 26.0 27.5 24.8 24.8 21.6 24.7 平均湿度[%RH] 56 63 61 58 65 78 52

N.D.:検出限界以下

(15)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

表3-9 2009年度実測したハウスダスト中SVOC濃度 測定対象物質 SVOC濃度 [μg/g]

KN09 YM09 ST09 KW09 KG09 OK09 HT09 2E1H N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

D6 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

BHT N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

C16 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TBP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D. N.D. 22 N.D. N.D. N.D.

DBA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBP N.D. 200 50 110 N.D. N.D. N.D.

C20 N.D. 8.2 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TPP N.D. N.D. 16 N.D. N.D. N.D. N.D.

DOA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEHP 2200 3400 810 440 230 1000 620 C20換算総有機物量 3000 6100 5400 3600 700 1200 960 ハウスダスト捕集量

[mg] 348.7 1191 743.7 1371 613 162 326.4 63μm以下の

ハウスダスト量

[mg]

70.1 343.4 159.4 805.6 90.7 4.6 26.8

N.D.:検出限界以下

(16)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

図3-7にハウスダスト中DEHP濃度(2009年度測定結果)を示す。KN09、KG09、OK09、

HT09はDEHP以外の物質は検出限界以下であった。また、YM09、ST09、KW09に関して は、ハウスダスト捕集量が他の4戸よりも多く捕集できたため、検出限界値が引き下がり、

DEHP以外の物質も検出することができたと考えられる。ハウスダスト中DEHP濃度は YM09が3400μg/gと最も高い値を示し、KN09のダスト中DEHP濃度は2200μg/gとなった。

2008年度に竣工されたYM09邸は新築であることが原因で、ハウスダスト中DEHP濃度が 高くなったと考えられる。KN09邸に関しては、2009年7月に壁紙のリフォームがされてい ること、床材がビニル床シートであることが原因と推察された。

最もDEHP濃度が低かったのはKG09であった。KG09邸はワンルームマンションで、壁 面が備え付けの収納スペースとなっているため、他の住宅に比べて家具が少ない。そのた め、SVOC放散源が相対的に少なかったと考えられる。

ドイツの既往研究の結果と比較すると、YM09は95パーセンタイル値よりも高い結果と なっており、ドイツの住宅と比べても高いDEHP濃度を示した。これに対し、KW09、KG09、

HT09は既往研究の50パーセンタイル値よりも低い値となった。

KN09 YM09 ST09 KW09 KG09 OK09 HT09 0

800 1600 2100 3200 4000

ハウスダスト中DEHP濃度[μg/g]

50P 95P 図3-7 ハウスダスト中DEHP濃度(2009年度測定結果)

(17)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

c) 2010年度実測した住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度

表3-10にハウスダスト中のSVOC検出量(2010)を、表3-11に2010年度実測したハウス ダスト中SVOC濃度を示す。

表3-10 ハウスダスト中のSVOC検出量(2010) 測定対象物質 検出量 [μg]

KN KG YM IG TT MR 2E1H N.D. * N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

D6 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

BHT N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

C16 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TBP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBP N.D. N.D. 61.2 N.D. N.D. 4.4 C20 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TPP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DOA 15.5 N.D. N.D. N.D. N.D. 13.4

DEHP 551.8 9.1 672.8 43.6 3.3 147.8 C20換算総有機物量 1655.3 19.2 1529 40.0 6.4 682.1

平均温度[℃] 26.3 27.6 27.9 27.9 28.7 31.7 平均湿度[%RH] 56 68 64 62 64 44

*N.D.:検出限界以下

(18)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

表3-11 2010年度実測したハウスダスト中SVOC濃度 測定対象物質 SVOC濃度 [μg/g]

KN邸 KG邸 YM邸 IG邸 TT邸 MR邸 2E1H N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

D6 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

BHT N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

C16 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TBP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBA N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DBP N.D. N.D. 100 N.D. N.D. 15 C20 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

TPP N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D.

DOA 70 N.D. N.D. N.D. N.D. 48

DEHP 2500 340 1100 1200 260 520 C20換算総有機物量 7500 720 2500 1100 510 2400 ハウスダスト捕集量[mg] 629.5 320.5 1512 527.7 320 686 分析ハウスダスト量[mg] 220.7 26.7 611.6 36.3 12.6 284

*N.D.:検出限界以下

(19)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

図3-8 ハウスダスト中DEHP濃度(2010年度測定結果)

図3-8にハウスダスト中DEHP濃度(2010年度測定結果)を示す。測定した住宅に おいてDBP、TPP、DOA、DEHP以外の物質は検出限界以下となった。対象住宅におい てKN邸のハウスダスト中DEHP濃度が最も高い2500µg/gを示し、ドイツ既往文献95 パーセンタイルに近い値を示した。次いでIG邸1200µg/g、YM邸1100µg/gの結果とな った。一方TT邸は最低値260µg/g を示した。高濃度値を示したKN邸において、2009 年6月にPVC系壁紙でリフォームを行ったため、ハウスダスト中DEHP濃度が高濃度 になったと考えられる。また、KG邸、TT邸において、50パーセンタイルより低い値 を示した。これはKG邸が木造であること、TT邸においては築年数の経過と床材がフ ローリングであることが考えられる。

またIG邸はフローリング床材であるにも関わらず、ハウスダスト中DEHP濃度が高 かった。この理由としては新しく購入した合成皮製のソファーや生活用品からの放散 が懸念される。

ハウスダスト中DEHP濃度[μg/g]

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

KN邸 KG邸 YM邸 IG邸 TT邸 MR邸 50P 95P

(20)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

d)3日齢ダストと7日齢ダストの比較検討

OK邸とHT邸において、3日間の測定期間以外に7日間の測定期間についても捕集を行 った。それぞれ条件名をOK09-7、HT09-7とした。表3-12に7日齢のハウスダストからの SVOC検出量、表3-13に7日齢のハウスダスト中SVOC濃度、図3-9に3日齢と7日齢の ハウスダスト中DEHP濃度の比較を示す。

表3-12 7日齢のハウスダストからのSVOC検出量

測定対象物質 検出量 [μg]

OK09-7 HT09-7

2E1H N.D. N.D.

D6 N.D. N.D.

BHT N.D. N.D.

DEP N.D. N.D.

C16 N.D. N.D.

TBP N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D.

DBA N.D. N.D.

DBP N.D. N.D.

C20 N.D. N.D.

TPP N.D. N.D.

DOA N.D. N.D.

DEHP 61.9 20.0

C20換算総有機物量 65.5 33.8

平均温度[℃] 23.2 25.2

平均湿度[%RH] 65 48

ハウスダスト捕集量[mg] 343.8 331.2

63μm以下のハウスダスト量[mg] 18.2 28.2

(21)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

表3-13 7日齢のハウスダスト中SVOC濃度 測定対象物質 SVOC濃度 [μg/g]

OK09-7 HT09-7

2E1H N.D. N.D.

D6 N.D. N.D.

BHT N.D. N.D.

DEP N.D. N.D.

C16 N.D. N.D.

TBP N.D. N.D.

TCEP N.D. N.D.

DBA N.D. N.D.

DBP N.D. N.D.

C20 N.D. N.D.

TPP N.D. N.D.

DOA N.D. N.D.

DEHP 3400 710

C20換算総有機物量 3600 1200

ハウスダスト捕集量[mg] 343.8 331.2

63μm以下のハウスダスト量[mg] 18.2 28.2

(22)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

図3-9 3日齢と7日齢のハウスダスト中DEHP濃度

全ての条件において、DEHP以外の物質は検出限界以下となったため、DEHPの結果のみ 示す。OK09の7日齢ダストは3400μg/gで最も高い結果となり、3日齢のダストOK09の 1000μg/gの約3.4倍となった。HT09は7日齢のダストが710μg/g、3日齢のダストが620μg/g で、7日齢のダストの方が約100μg/g高い濃度となった。OK09邸の場合は床材としてPVC 系のクッションフロアを使い、HT09邸の床材はフローリングであった。このことから、床 材の種類によって床面のハウスダスト中SVOC濃度の堆積速度が異なる事や3日齢よりも7 日齢のハウスダスト中DEHP濃度が高い可能性が示唆された。今後1週間齢のハウスダス トについても測定を行い、ダスト齢とDEHP濃度の関係を考察する必要があると考えられ る。

0 800 1600 2400 3200 4000

ハウスダスト中DEHP濃度[μg/g]

OK09 OK09-7 HT09 HT09-7

(23)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

3-5 考察

分析対象物質は、DBP(フタル酸ジ-n-ブチル)、DEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)、

DEP(フタル酸ジエチル)、TBP(リン酸トリブチル)、TCEP(リン酸トリス)、TPP(リン 酸トリフェニル)、D6(シロキサン6量体)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、C16(炭 素数16の炭化水素)、C20(炭素数20の炭化水素)、DBA(アジピン酸ジブチル)、DOA(ア ジピン酸ジオクチル)のSVOC12物質とDEHPの加水分解物質である2E1H(2-エチル-1- ヘキサノール)を加えた合計13物質としたが、DEHP以外の物質は検出限界以下、或いは 微量であったため、ハウスダスト中に多量含まれているDEHPのみ考察することとした。

3-5-1 ハウスダスト中DEHP濃度

図3-10にハウスダスト中DEHP濃度とドイツの既往研究を示す。

ドイツではハウスダスト中SVOCに関する研究は数多く報告されている。その中でドイ

ダスト中DEHP濃度[μg/g]

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000

WA KZ NO SU OK08P OK08C TK08S TK08L KR08 MY08 TS08 SN08 MD08 KN09 YM09 ST09 KW09 KG09 OK09 HT09 KN KG YM IG TT MR 50P  95P 

自然素材 2008 2009 2010 ドイツ

図3-10 ハウスダスト中DEHP濃度とドイツの既往研究

ND

ND

(24)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

本章で測定した自然素材住宅のWA、SUのハウスダスト中DEHP濃度は約470[㎍/g]で、

ドイツの50Pより低い値が見られた。また、KZ、NOは検出限界以下になった。一般住宅 の場合、測定した22件の中で13件がドイツの既往研究50Pより高い値を示した。2009年 に測定したYM09のハウスダスト中DEHP濃度はドイツの既往研究95Pより高い値を示し た。

ドイツの50Pより高かった住宅の床材は概ねクッションフロア、PVC系シート、PVCタ イルなどビニル系の仕上げ材の使用が多く、50P以下の住宅の場合、床材としてヒノキ、ス ギ、クリなどを利用した自然素材住宅や木材のフローリングの使用している一般住宅のハ ウスダスト中DEHP濃度が低い傾向が見られた。

(25)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

3-5-2 床材ごとのハウスダスト中DEHP濃度

図3-11に実測した住宅の床材ごとのハウスダスト中DEHP濃度を示す。

図3-11実測した住宅の床材ごとのDEHP濃度

0

500

0

0

0

0

0

0

0

PVCシート クッションフロア フローリング カーペット 自然素材

N・D N・D

ドイツの95P ドイツの50P

(26)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

3-5-3 分析したハウスダスト量とDEHPの検出量

図3-12に分析したハウスダスト量とDEHPの検出量を示す。

分析したハウスダスト量から検出されたDEHP量は室内のSVOC汚染とリスク評価をす る際に大きな影響を及ぼすと考えられる。例えば、KW09は分析したダスト量が約800[mg]

であるが、検出されたDEHP量は400[μg]程度であった。しかし、SN08やYM09の場合は ハウスダストの量は少ないが、DEHPの検出量が高く検出されたため、ハウスダストにDEHP が濃縮されていることが考えられる。

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

WA KZ NO SU OK08‐P OK08‐C TK08‐S TK08‐L KR08

MY08 TS08 SN08 MD08 KN09 YM09 ST09 KW09 KG09

OK09 HT09 KN KG YM IG TT MR

分析したダスト量(63㎛以下ダスト)[mg]

DEHP検出量[μg]

図3-12 分析したハウスダスト量とDEHPの検出量

KW09 YM09

SN08

(27)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

3-5-4 ハウスダストによるDEHP摂取量の推定

図3-13にハウスダスト摂取による幼児のDEHP摂取量を示す。

DEHPに関する耐用一日摂取量(TDI: Tolerable Daily Intake)はEU 9 Scientific Committee for Toxicity, Ecotoxicity and the Environment(CSTEE)やU.S.EPA 10(Environmental Protection

Agency)で報告されている。EU(CSTEE)は一日の体重当たり、耐用一日摂取量は37μg/kg·day

(TDI)で、U.S.EPAは20μg/kg·day RfD(Reference does)であると報告している。

幼児のDEHP摂取は呼吸と経口•経皮摂取によると報告されている5)。DEHPの摂取に関 するリスク評価はハウスダストのみではなく、食事経由が大きく寄与していると報告され ている。表3-14に年齢群別DEHP摂取量の推計値(男性) 3)を示す。1998年の日本食品分析 センターによる食事中濃度を用いて推定した年齢別のDEHP摂取量は成人より幼児が多い と報告した3。その後、2002年6月に厚生労働省の食品衛生分科会により、脂肪性食品を

10  15  20  25  30  35  40 

WA KZ NO SU OK08P OK08C TK08S TK08L KR08 MY08 TS08 SN08 MD08 KN09 YM09 ST09 KW09 KG09 OK09 HT09 KN KG YM IG TT MR

2007 2008 2009 2010

自然素材住宅 一般住宅

DEHP摂取量[μg/kg・day]

図3-13 ハウスダスト摂取による幼児のDEHP摂取量 EU (TDI):37μg/kg·day

US.EPA (RfD):20μg/kg·day

(28)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

表3-14 年齢群別DEHP摂取量推計(男性) 年齢群

DEHP摂取量[μg//kg・day]

平均 5P 50P 95P

全体 6.7 0.86 4.1 21.3

1 21.7 2.6 13 68.2

5 13.6 1.7 8.2 42.2 10 10 1.3 6.2 30.5 13~15 7.1 1 4.5 21.6 16~19 5.9 0.81 3.7 18 20~29 5.3 0.75 3.4 16.6 30~39 5.6 0.78 3.5 17.2 40~49 5.6 0.82 3.5 17.3 50~59 6.2 0.92 4 18.6 60~69 6.1 0.86 3.8 17.8

産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター「詳細リスク評価書フタル酸ジ(2-エチルへキシル)」から引用。3) P: パーセンタイル

しかし、DEHPの使用は食品の容器やおもちゃのみではなく、医療用品、建材等、社会全 般に幅広く使用されている。室内に使用されたPVC系建材は室内のDEHP汚染の主な放散 源であり、建材などから放散されたDEHPはハウスダスト等に付着し、室内に蓄積される。

Wensingら6は成人と幼児の一日体重当たりハウスダスト摂取量が成人より10倍以上摂取

していると報告し、95P(ハウスダスト中DEHP濃度2600μg/g)のハウスダストを幼児が 10.3mg/kg·day摂取すると仮定した場合、DEHP摂取量が26.8μg /kg·dayであると推定した。

また、Littleら12は床材として塩ビシートを利用すると、32.6μg /kg·dayを摂取することに なると報告し、U.S.EPAのRfDを超えていると報告した。本論文においても同じ方法を用 い、ハウスダスト摂取による幼児のDEHP摂取量を推定した。その結果、U.S.EPA

(Environmental Protection Agency:以下EPAと呼ぶ)が報告したDEHP耐用一日摂取量

20[μg/kg·day]を超える住宅が3軒あった。幼児のDEHP摂取はハウスダストや食事のみでは

なく、呼吸、経皮吸収にも行われる。幼児のDEHP摂取量を低減させるためには、室内で 使用している建材などにもDEHPの使用面積及び含有率の制限等が必要と考えられる。ま た、自然素材や木質フローリングのような可塑剤や難燃剤などが含まれていない建材を選 択するのが望ましいと考えられる。

(29)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

3-6 まとめ

開発した捕集装置を用いて実住宅におけるハウスダストを捕集し、SVOC濃度の測定を行 った。自然素材住宅のWA邸は竣工後すぐ、またSU邸は竣工後1年半以内の測定であった が、ハウスダスト中DEHP濃度はドイツの既往研究50パーセンタイル値より低い値となっ た。また、その他の物質は検出限界以下となった。竣工後まもなくの測定であったにもか かわらず低い値を示したことから、自然素材を中心とした建材選定が室内のSVOC汚染を 防ぐ効果があると考えられる。

一般住宅の測定では、ハウスダスト中DEHP濃度が高い住宅があった。また、ハウスダ スト中SVOC濃度は仕上げ材の種類によって影響が大きいことが考えられた。特に測定し た住宅の中で、床材がクッションフロアとPVCシートのようなPVC系床材を使用した住宅 は木質フローリング床材よりハウスダスト中DEHP濃度が高くなる傾向が見られた。この 結果から、室内の仕上げ材として木質フローリングのような可塑剤や難燃剤などが含まれ ていない建材を選択すれば、室内のSVOC汚染濃度を低減できると考えられる。

成人と幼児の一日体重当たりダストの摂取量が成人より幼児方が10倍以上摂取している と報告している。測定した住宅のハウスダストを幼児が10.3mg/kg·dayを摂取すると仮定し た場合、U.S.EPAの20μg/kg·day RfD (Reference does)を超える住宅は3軒あった。幼児の DEHP摂取はハウスダストや食事のみではなく、呼吸、経皮吸収にも行われるため、幼児の DEHP摂取量はもっと増加すると考えられる。室内のSVOC汚染濃度を低減させるために は、室内で使用している建材などにもDEHPの使用面積及び含有率の制限等が必要と考え られる。また、自然素材や木質フローリングのような可塑剤や難燃剤などが含まれていな い建材を選択するのが望ましいと考えられる。

(30)

第3章 日本の住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度の実測

【参考文献】

1) 田辺新一, “室内化学汚染 シックハウスの常識と対策” , 講談社現代新書, 1998 2) C. Bornehag, J. Sundell, C. J. Weschler,: The Association between Asthma and Allergic

Symptoms in Children and Phtalates in House Dust: A Nested Case-Control Study, Environmental Health Perspectives, Vol. 112, No. 14, pp.1393〜1397, 2004.10

3) 中西準子:詳細リスク評価書シリーズ1フタル酸エステル―DEHP―、丸善株式会社、

2005

4) 松崎昭夫:共働き家族の住まい方と空間に関する研究, その1 掃除の実態と意識に関

する調査, 日本建築学会大会学術講演梗概集D-2, pp.413〜414,1996 5) VDI-Verein Deutscher Ingenieure. Richtlinie 4300, Blatt 8 :Messenvon

Innenraumluftverunreiningungen-Probenahme von Hausstaub. Berlin: Beuth Verlag GmbH;

2004.

6) M. Wensing, E. Uhde, T. Salthammer: Plastics additives in the indoor environment-flame retardants and plasticizers; Science of the Total Environment 339; pp.19〜40; 2005

7) 鍵直樹, 長谷川兼一, 篠原直秀, 坂口淳, 三田村輝章, 白石靖幸, 高松真理, 松 田麻香:ダンプビルディングの室内環境と健康に関する研究 その2 VOCsとガス状

·粒子状SVOCの測定結果, 日本建築学会大会学術講演梗概集, D-2,pp.783〜784, 2009.8

8) 高木理恵, 吉野博, 呂陽, 中村安季, 田辺新一, 林基哉, 長谷川兼一:宮城県内の 住宅8件を対象とした室内微生物とハウスダストの実態調査, その2 ハウスダスト とダニの測定結果, 日本建築学会大会学術講演梗概集, D-2,pp.907〜908, 2008.9 9) CSTEE-Scientific Committee for Toxicity, Ecotoxicity and the Environment. Opinion on

phthalate migration from soft PVC toys and child-care articles. Opinion expressed at 6th CSTEE Plenary Meeting, Brussels, November. 1998

10) Ecology Center comments on CHERH expert panel report on di (2-ethylhexyl) phthalate Phthalic Acid Esters in Air, Dust andWindow Films of Passenger Vehicles September 28, 2005 11) 厚生労働省, “器具及び容器包装並びにおもちゃの規格基準の改正に関する薬事・食品衛生

審議会食品衛生分科会報告について,http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/06/s0611-5.html 12) John Little, Ying Xu, Elaine Cohen Hubal and Per Axel Clausen: Exposure to phthalate

emitted from vinyl flooring and sorbed to interior surfaces, dust, airborne particles and human skin, indoor air2008,pp.17〜22, Copenhagen, Denmark, August.2008

参照

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