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支持層が傾斜する複雑な地層条件や狭隘な空間での橋脚基礎の施工

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Academic year: 2022

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(1)支持層が傾斜する複雑な地層条件や狭隘な空間での橋脚基礎の施工 ―高速横浜環状北西線青葉地区下部・基礎工事― Construction for the Pier Foundation of Steel Pipe Soil Cement Pile under the Conditions of Complicated stratum and Inclined bearing stratum, and Caisson Type Pile in Narrow Working Area 道博*1. 深澤. Michihiro Fukasawa. 富雄*2. 村下. 省二*1. 山下. Syoji Yamashita. 清明*1. Kiyoaki Niiya. 勇二*2. 神田. Tomio Murashita. 新谷. Yuji Kanda. 要旨 高速横浜環状北西線青葉地区下部・基礎工事は、東名高速道路(横浜青葉 IC)と第三京浜道路(港北 IC)とを結 ぶ延長約 7.1km の自動車専用道路のうち、横浜青葉 IC における橋脚下部工・基礎工を新設する工事である。 その中で、鋼管ソイルセメント杭基礎の施工では支持層上面の深さの変化が大きいこと、深礎杭基礎の施工では 狭隘な場所での施工となることが大きな課題であった。 本報告は、これらの課題を克服するために本工事で実施した対策について報告する。 キーワード:近接施工 鋼管ソイルセメント杭 深礎杭 3 次元地層モデル 軽量盛土材. 1.はじめに 横浜青葉. 横浜環状道路は、横浜の都心から半径 10km~15km を環状 に結ぶ自動車専用道路で、横浜環状北線と横浜環状北西線. 本工事場所. が事業として進められており、横浜環状北線は既に開通し ている。現在工事中の横浜環状北西線は、横浜市と首都高. 凡例 高架部・土工部 トンネル部 関連街路 入口 出口 換気所. 北八朔換気所. 速道路株式会社により事業が進められている。本工事は、 東方換気所. 供用中の東名高速道路の横浜青葉 IC において橋脚下部工・. 港北. 基礎工(鋼管ソイルセメント杭基礎、深礎杭基礎、直接基 横浜青葉. 礎)を構築するものである。図 1 に現場位置を示す。 港北. 鋼管ソイルセメント杭基礎の施工の課題は、支持層上面. 拡大. 生麦. (計画中). 入させることであった。 また深礎杭基礎の施工の課題は、新設橋脚の位置が供用. 横浜環状道路西 側区間. の深さの変化が大きい地層条件下で杭を確実に支持層へ貫. 横浜環状道路. 中の高速道路本線盛土やランプ橋が近接した狭隘な場所. 図1. 現場位置 1). (本線盛土法面)になるため、狭いヤードでの施工効率の 向上や掘削による既設構造物(本線盛土と既設橋脚)への. 表1. 工事概要. 工事名 発注者 施工者 工事場所 工 期. 横浜環状北西線青葉地区下部・基礎工事 首都高速道路 株式会社 株式会社 鴻池組 神奈川県横浜市青葉区下谷本町 平成27年3月27日~平成30年4月27日 RC橋脚 7基 鋼管ソイルセメント杭基礎 16基 基礎内訳 深礎杭基礎 9基 直接基礎 9基 切廻し道路 1式. 影響を抑制することであった。. 2.工事概要 本工事は、合計 34 基の基礎工と橋脚下部工を構築する工 事である。支持層深さの高低差が大きいため、基礎工の内 訳は、鋼管ソイルセメント杭基礎 16 基、深礎杭基礎 9 基、 直接基礎 9 基となっている。橋脚下部工は、RC 構造の橋脚. となったラーメン形式の鋼製橋脚(別途工事)である。. 7 基であり、残りの 27 基の橋脚下部工は、上部構造と一体. 表 1 に工事概要、図 2 に平面図を示す。. *1. 東京本店 土木部. *2 技術本部 土木技術部 ― 29 ―.

(2) 鴻池組技術研究報告. 2018. 凡 例. hP7. ●:深礎杭基礎. ━:a連絡路(北西線→東名東京方面). ■:直接基礎. ━:b連絡路(北西線→東名名古屋方面). ■:鋼管ソイルセメント杭基礎. ━:e連絡路(東名東京方面→北西線). ■:RC橋脚+鋼管ソイルセメント杭基礎. ━:h連絡路(東名東京方面→北西線). ■:東名高速道路. ━:専用連絡路(北西線→国道246号). hP8. bP6 bP7. 至 港北ジャンクション→. sP4 bP2 bP1. 東名横浜青葉料金所 aP9. aP10. 図2. 平面図. 3.鋼管ソイルセメント杭基礎の施工 鋼管ソイルセメント杭工法は、原地盤中に掘削撹拌ヘッ ド先端より所定配合のセメントミルクを注入し、撹拌混合 して造成したソイルセメント柱内に、外面に突起(リブ) を有する鋼管を沈設し、両者を一体化させる工法 2)である。 施工方式には、ソイルセメント柱の造成と同時に鋼管の沈 設を行う同時沈設方式と、ソイルセメント柱を造成した後 に鋼管の沈設を行う後沈設方式がある。本工事では、後沈 設方式を採用した。写真 1 に鋼管ソイルセメント杭の施工. 図3. 支持層コンター図(設計時). 状況を示す。 図 3 に支持層コンター(設計時)、図 4 に hP2 橋脚の支持 層想定ライン(設計時)を示す。主な地層構成は、上位よ り盛土を含む粘性土層(Bs、Ac)、砂礫層(Ag)、支持層と m 1 .2 25 9m NO +151.3.2 P T ep= D. なる細砂層(Kas)である。設計は、支持層上面の深さの変 化が大きいため、橋軸方向および橋軸直角方向において、. hP3側. hP1側. 支持層コンター図を基に杭の支持層への貫入を必要貫入長 (ソイルセメント径)以上とする計画であった。 Bs層. 3.1 3.1.1. 施工時における課題. Ac層. 傾斜した支持層への杭の貫入長の確保 ▽TP-7.60m. 16 基の鋼管ソイルセメント杭基礎において、支持層上面 の高低差が大きく、杭の支持層への貫入長不足が懸念され. Ag層 Kas層. たため、杭基礎ごとに支持層上面の深度を事前に精度良く 推定する必要があった。. 図4 ― 30 ―. hP2 橋脚の支持層想定ライン(設計時).

(3) 支持層が傾斜する複雑な地層条件や狭隘な空間での橋脚基礎の施工. 3.1.2. 鋼管ソイルセメント杭の打設精度の確保. を設けて施工精度の向上を図った。. 全杭基礎について、支持層が傾斜しているため支持層へ の貫入長を確保するためには杭の施工精度の管理が重要で. 3.2. ある。そのため、杭の杭芯位置および鉛直性に自主管理値. 3.2.1. 各課題への対策 3 次元地層モデルの利用. 支持層への必要貫入長を確保するため、各橋脚のフーチ ング中心位置でボーリング調査を追加で実施した。既往の ボーリング柱状図と追加調査のボーリング柱状図を基に高 既設ランプ橋. 精度な 3 次元地層モデルを作成して、各橋脚について支持 層の傾斜や深さを確認し、杭長の照査を行うこととした。 図 5 に 3 次元地層モデルを示す。. 既設ランプ橋. 3 次元地層モデルを用いて各杭基礎の支持層への貫入長 を照査したところ、hP2 橋脚基礎は貫入長不足となるおそ れが生じたため(図 6)、杭長を設計長より 0.5m 長くする 鋼管ソイルセメント杭 施工機. 相伴クレーン. こととした。 図 7 に hP2 橋脚杭基礎の掘削電流値の施工記録を示す。 推定した支持層深さ付近で電流値が 100A 以上(支持層以浅 は 90A 程度)であり、支持層への必要貫入長を確保できた. 写真 1. 鋼管ソイルセメント杭の施工状況. ことを確認した。 全体モデル. aP17 aP16 hP7. hP8. aP15. bP6. bP5 hP6 sP3. sP1. eP3. hP5. bP3. sP3. aP13. sP5 sP6. aP12. bP2 hP4. bP1. aP11 aP10. hP3 hP2 hP1. 拡大モデル. aP11. bP2 bP1 hP3. bP7. eP2. sP4 sP2. eP1. bP4. aP14. hP2. 支持層(Kas) 図5. 3 次元地層モデル ― 31 ―. aP9.

(4) 鴻池組技術研究報告. 2018. ▽ 14.940 2500. 凡 例 ━:設計 ━:変更 凡 例 ━:N値 ━:電流値. ▽ 12.440. 7000. 6500. 鋼管ソイルセメント杭 n=9本 L=6.5m(鋼管杭長) φ=1.20m(鋼管径) φ=1.40m(ソイル径) 設計時の杭長では、貫入長が不足 貫入長 1213mm<必要貫入長 1400mm ▽支持層(設計). 鋼管ソイルセメント杭 n=9本 L=7.0m(鋼管杭長). 図6. 3.2.2. 1713. 1213. 700. 700. 1847. 1347. ▽支持層(変更). Kas 層. 支持層の見直し(hP2 橋脚). 図7. 掘削電流値記録(hP2 橋脚). リアルタイムでの杭精度管理. トータルステーションにデジタルカメラを内蔵した IS(Imaging Station)チュービングにより、リアルタイムで 杭の打設精度を向上させる対応を行った(図 8)。IS チュー. 最大偏芯量 73mm. 偏芯量(mm). 杭芯の平面位置管理、杭の傾斜管理および深度管理を行い、 ビングの採用により、作業を一時停止しての測量確認が不 要となり、施工中の安全性の向上にも寄与した。 杭精度例として、hP2 橋脚の結果を示す。杭の最大偏芯 量は許容値の 73%(図 9)、杭の鉛直精度は最大で 1/250(一. ■偏芯 測定値. 般的に 1/100)であり、打設精度の高い杭基礎の施工を行. 図9. うことができた。写真 2 に杭偏芯の測定状況を示す。. ― ― ― 偏芯 許容値. 杭の偏芯量一覧(hP2 橋脚). 誤差 24mm <許容値 100mm 図8. IS チュービング概念図. 写真 2. 4.深礎杭基礎の施工. 杭偏芯測定状況. 鉄筋コンクリート杭を構築する工法. 3). である。本工事にお. ける土留構造は、軟弱な粘性土層やゆるい砂層を掘削する 深礎工法は、地下水位の低い比較的堅固な地盤において. ため、ライナープレートを採用した。. 土留めを用いて地盤を掘削して、支持層の状況を目視など. 新設橋脚下部工は、図 10 と写真 3 に示す東名高速道路本. で直接確認し、気中と同様の施工条件および施工管理にて. 線と既設ランプ橋に挟まれた本線盛土の法面上に位置し、. ― 32 ―.

(5) 支持層が傾斜する複雑な地層条件や狭隘な空間での橋脚基礎の施工. 深礎杭基礎と鋼製橋脚(別途工事)から構成される。. 4.1. 深礎掘削は、上方の鋼製橋脚の本体部(φ6.5m、掘削深. 4.1.1. 施工時における課題 高速道路通行車両への影響. さ 10.0m)と下方の深礎杭基礎部(φ5.5m、掘削深さ 9.0m). 揚重作業時、クレーンブームが高速道路本線の防音壁や. に区分して行う計画であった。地層構成は、上位より盛土. ランプ橋の高欄の高さ以上となると、通行車両の視界に入. を含む粘性土層(Bs、Ac)、支持層の土丹層(Kam)である。. り安全走行への影響が懸念された。掘削土の搬出時や基礎 構築時における揚重作業の低空頭化が課題であった。 4.1.2. 本線盛土と既設橋脚への影響. 作業ヤードは盛土により造成する計画としたが、軟弱粘 A. 性土層が本線盛土直下に存在するため、荷重増加による圧 既設橋脚. 密沈下が懸念された。 また、深礎掘削において、余掘り量は通常 20~30cm であ. 既設ランプ橋. ること、さらに、裏込め注入は掘削完了後に行うため背面. 新設橋脚. 側地山の空隙が長期間放置されることから、背面側地山の 緩みによる地盤変位の発生が懸念された。 既設橋台. 東名高速道路本線. 以上より、供用中の本線盛土や既設橋脚への影響を抑制 することが課題であった。. A. (a) 既設橋脚. 4.2. 平面. 4.2.1. 東名高速 道路本線. 新設橋脚. 揚重作業の低空頭化 (鋼製構台とホイストクレーンの適用). 防音壁. 離 隔 約 0.3m. 各課題への対策. ガイドウォール. 防音壁や高欄よりも低い定置式の組立鋼製構台と 2.8t 吊ホイストクレーンを用いて揚重作業を行うことにした (写真 4)。この低空頭化した揚重設備により、通行車両の 走行安全性を阻害することなく、掘削時や基礎構築時の揚 重作業を行うことを可能とした。. 本体部. Bs 層 Ac 層. 深礎杭 基礎部. 離隔 約 1.9m. 東名高速 道路本線. 既設ランプ橋. Kam 層 ホイストクレーン 鋼製構台. (b) 図 10. A-A 断面 位置関係. 大型土のう(軽量盛土材) 既設ランプ橋. 東名高速道路本線. 写真 4. 揚重用鋼製構台. 新設橋脚. 4.2.2. 軽量盛土材による作業ヤード造成. 作業ヤード造成用の盛土材料は設置撤去が容易であり材 料特性に優れた軽量盛土材(γ=12kN/m3、φ=40°)を用い ることにした。軽量盛土材の使用により、軟弱粘性土層の 圧密沈下による本線盛土や既設橋脚への影響の低減を図っ 写真 3. 着手前状況. た。. ― 33 ―.

(6) 鴻池組技術研究報告. 4.2.3. 2018. 深礎掘削時の地山緩み防止. 計測項目. 背面側地山の緩みは、1 リング掘削毎に裏込め注入(早. 測点プリズム 基準点プリズム. 計測システム. 効果をトータルステーションにて真円度や鉛直性を計測し. システム収納ボックス. 新設橋脚. 既設 橋台. て確認した。 4.2.4. 使用機器 トータルステーション. 構造物変位計測 地表面変位計測. 既設 橋脚. 強タイプの裏込め材)を実施して抑制するとともに、その. 記号. 事前解析と計測管理. 以上の対策について、作業ヤード造成に伴う圧密沈下に 計測グラフ (図 13). よる影響と深礎掘削時の地盤変位による影響を事前の解析 により推定した。. 図 12. 計測位置平面. 深礎掘削(本体部). 深礎掘削(基礎部). 作業ヤード造成に伴う圧密沈下量は、2 次元の圧密沈下 計算により推定し、本線盛土のガードレール位置において 5.2mm であった。また、深礎掘削時の地盤変位は、盛土法面. 作業ヤード造成. での施工や深礎杭の円形掘削などを考慮した 3 次元モデル. 2.0m 毎とする弾性 FEM 解析により推定した。本線盛土のガ ードレール位置での推定沈下量は、11.6mm であった(図 11)。 圧密沈下量と推定沈下量との合計沈下量は、16.8mm(本線 盛土ガードレール位置付近)であり、供用中の高速道路の. 変位(mm). のため掘削深さ 0.5m 毎(1 リング毎)とし、支持層以深は. 基礎構築工. 作業ヤード撤去. (鋼製橋脚工) 0 09/01. 10/31. 12/30. 02/28. 04/29. 06/28. 08/27. 10/26. 1次管理値10mm. 10. 2次管理値15mm. (沈下). とした。施工ステップは、支持層(Kam 層)以浅が軟弱地盤. 実測値 予測値. 許容値20mm. 20. 予測値16.8mm 圧密沈下 5.2mm 地盤変位11.6mm. 30. 許容値(20mm)未満であることを確認した。. 図 13. さらに施工中は、本線盛土や既設橋脚の変位計測(図 12). 計測結果(本線盛土の沈下). 表2. を行ってリアルタイムに常時監視を行った。図 13 に本線盛. 解析と計測の変位一覧. 水平変位(mm). 土のガードレール位置での鉛直変位を示す。最大沈下量は 9mm であり、地山の緩み防止措置や作業ヤードの軽量化な. 本線 盛土 既設 橋脚. どの対策の効果が発揮されたと考えられる。 既設橋脚の最大変位は、沈下 2mm、水平変位 3mm であり、. 最大値9mm. 鉛直変位(mm). 解析. 計測. 許容. 判定. 解析. 計測. 許容. 判定. 5.0. -. -. -. 16.8. 9.0. 20.0. OK. 0.1. 3.0. 5.0. OK. 0.3. 2.0. 5.0. OK. 許容変位量(5mm)未満であった。本線盛土と既設橋脚につ いて、表 2 に事前解析および計測値の変位の一覧を示す。. 5.まとめ 支持層深さの変化が大きく、高い施工精度が要求された. ガードレール位置:δz=11.6mm. 鋼管ソイルセメント杭基礎の施工は、3 次元地層モデルや IS チュービングの利用により、杭長不足や杭の傾斜などの トラブルもなく完了した。法面上での深礎杭基礎の施工も. 本体部 単位:m. 同様に、軽量盛土材の利用や地山緩み防止措置により、本 線盛土や既設橋脚へ影響を及ぼすことなく完了した。. 深礎杭 基礎部. 最後に、首都高速道路(株)をはじめとする関係各位に、 多大なるご協力ならびにご指導・ご鞭撻をいただいたこと に心より謝意を表す。また、本報告が同様の工事の一助と なれば幸いである。. 図 11. FEM 解析結果(鉛直変位分布). 参考文献 1). 横浜市道路局:ほくせいせん p.4、2014.10. 2). 日本道路協会:杭基礎設計便覧 p.23、2015.3. 3). 日本道路協会:道路橋示方書・同解説、Ⅳ下部構造編 p.508、 2012.3. ― 34 ―.

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