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複合観光施設 複合観光施設

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Academic year: 2022

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地方都市地域における地域活性化をめざした観光業振興に関する実証的研究

立命館大学理工学部  正会員    春名 攻  立命館大学大学院    学生員    岩坂 孝時 立命館大学大学院    学生員    久米 達也 立命館大学大学院    学生員  ○櫻井 正博

1.はじめに

  近年、社会環境が厳しく急激に変化する中、地方都 市の抱える問題は多種多様な分野に及び、かつ、それ らの問題が互いに深く関連しながら、他の問題や要因 を誘発・規定していると考えられる。わが国の地方都 市地域計画の策定と施工は、現代の社会環境を背景と した理想に即応する形で考えなければならない。この 社会環境の特徴は、複雑性、多様性、そして戦略性の 3つの点であるといえる。本研究ではそういった地方 都市が抱える多様な問題・現状を解消し、地方都市活性 化を図る上での契機として、観光業振興策を検討して いくこととした。

2.滋賀県甲賀市の現状把握

滋賀県甲賀市は、近畿圏と中部圏とをつなぐ立地特 性と、国土幹線・広域幹線交通が貫くという交通条件 を生かして、多方面にわたる交流の拠点として位置付 けられており、圏域内各町の個性を生かした独自の文 化と産業をもつ都市の形成を図るとされている。

また甲賀市は、第2名神高速道路が開通予定であり、

2ヶ所の IC も建設されている。そのため開通後は急速 な発展が見込まれている。また、国道一号や JR 草津線 を有効利用することで、地域の特性である自然環境を 利用した集客施設等の実現可能だと考えられる。した がって、将来の宅地化や第三次産業の進展は見込まれ る地域だと考えられる。

この甲賀市を主成分分析、クラスター分析による地 域構造特性分析と主成分分析による甲賀市に関わるト リップ特性分析によって、都市・地域間の機能構成と 機能的関連関係の特性について明らかにしたところ、

IC の設置がされており、今後大幅な発展が見込まれる 雲井地区では、住宅地としての環境や第三次産業が進 展していない地域と考えられる。これは第一次産業、

第二次産業中心の産業構造である。人口や就業者も地 区面積の割には少なく、過疎化が進行している地域だ

と考えられる。もう1つの IC が建設される油日地区で は、第一次産業主体の地区であり、第三次産業や宅地 への転用が進んでいない地域として捉えることができ る。広大な面積の内、一部は製造業中心の第二次産業 が進出しているが、その多くは農業用地や山林面積が 占めている。

本研究では、実証的に検討を行うため、滋賀県甲賀 市雲井地区を研究対象地に設定し、この甲賀地域の観 光拠点となる複合観光施設計画のコンセプト設計を行 うとともに、構想段階において、当該地域に存在する 関連機能、商業・サービス業をいち早く取り入れ、検 討できるように、数理計画モデルを用いて、複合観光 施設開発構想計画代替案の策定及び、事業成立性の検 討を行っていくこととした。

3.複合観光施設計画に関する検討

甲賀市は年間来訪者数 130 万人という観光ポテンシ ャルを有しながら、それを生かした観光施設の整備が ほとんど行われていない状況にある。それは現在の観 光業が、観光資源に頼りきりの傾向があり、来訪目的 が単一的になってしまい長時間の滞在が難しいからで ある。しかもそれら既存の集客施設の来訪数は年々減 少の一途をたどっている。そのためこの施設には、長 時間滞在することが可能な宿泊機能を有するものが有 効であると考えられ、また人々の来訪目的が単一的に ならないように複数の魅力ある機能が必要であると考 える。

本研究で提案する複合観光施設とは、甲賀市独自の 魅力を十分に満喫できる機能と、多様の商業・サービ ス機能をあわせ持つ、複合的な施設のことで、人々が 長時間滞在することができる施設を構想する。また、

機能を一ヶ所に集めた複合施設といっても大規模な建 造物を建設するわけではなく、広大で緑豊かな敷地内 に各機能の施設を点在させる形態を採用する。 

  キーワード  観光業振興,複合観光施設

連絡先        〒525-8577  滋賀県草津市野路東1-1-1  立命館大学理工学研究科  都市・地域計画研究室  TEL077-561-2736 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-499- 4-250

(2)

         

             

図-1  開発コンセプト 

そしてこの施設計画は、他地域から甲賀市への観光 客数の大幅増加・施設来訪者の長期滞在を目的とする だけではなく、この施設から甲賀市全体への流行・文 化・来訪者を発信する拠点となるものを計画する。ま たこのように様々な機能を一ヶ所に集めることで、来 訪者の多様なニーズに応えることが可能となり、来訪 者の年齢、性別を限ることなく幅広い層をターゲット とする施設を考案する。また長期滞在型の施設(宿泊 可)とういことで、この施設に滞在中、多くの甲賀市 各地域の情報を得ることが可能であり、その得た情報 を元に後日、甲賀市の各地域への発信を促す観光ネッ トワークの拠点となる施設という位置付にする。下図 に施設建設によって期待される効果を示す。 

       

図-2  期待振興効果図

4.複合観光施設における実証的検討

  複合観光施設計画の内容を、上述の検討をもとに導 入機能の種類と規模の計画問題とし、評価は計画内容 に応じて推定される集客数によってもたらされる施設 経営成果としての利潤の総額を尺度とした。複合観光 施設整備計画モデル(最適化モデル)を定式化し実証 的に検討を行った。その後に、事業成立性に関する分

析も行った。モデルを定式化する際の概念、数理モデル は発表のときに紹介するとし、ここでは省略すること とする。数理計画モデルにより得た分析結果を以下に 示す。

表−1  モデル分析による最適解   

   

表−2  最適解に対応した施設・店舗規模   

     

以上の分析結果から、この結果をもとに作成した事 業収支計画表では、当年度純利益は常に黒字になり、

投下資本累積回収額については 16 年度で黒字転換し ている。償還期限終了の 20 年度には貸付金を完済し、

自己資本を回収し、約 53 億円の利益を得ることができ るという結果が出た。これらを総合的に考察すると、

複合観光施設事業実施に関しては事業採算性・事業成 立性の視点からも健全な経営状態であると考えられる。

これは本来甲賀市が持つ集客力の高さに加え、複合観 光施設設置による地域の魅力向上との相乗効果によっ て生まれる集客力増加と、長期滞在型施設による客単 価の高さ、また第2名神高速道路の設置にともなうア クセス性の向上、等々の様々な条件によってこのよう な高い事業採算性・事業成立性の結果が得られたもの と考える。 

 

5.おわりに 

  本研究において、地方都市活性化へ向けた産業振興 の方策案の 1 つとして、観光業の振興を提案した。そ の具体策としては、IC 周辺への複合観光施設の設置を 提案し、実証的に分析が行えたと考える。今後はその 施設を拠点とした観光ネットワークの構築、ネットワ ークを都市の魅力の一つとした場合の都市の魅力向上 に伴う地方都市活性化への影響・効果についての分析 を行っていくことを課題として研究に取り組んでいき たい。 

社会時勢 立地に 地域の特色に

面積(㎡)

健康・美容施設 2,500

リゾートホテル 8,000

物販 25,000

飲食 5,000

アミューズメント施設 9,500

緑地・レクリエーション広場 40,000

博物館・体験 10,000

最適解 初期投資金額         (円) 26,400,146,626 運営会社の利潤        (円) 4,739,764,775 総来訪者数       (人) 1,039,160 税収       (円) 367,225,740 株式配当金           (円) 1,113,760,611 テナントの総利潤          (円) 2,598,774,758 甲賀市の観光資源

自体の魅力の低下

人々のニーズに合った 観光資源の魅力増幅

●「見る・食べる・遊ぶ・学ぶ・憩う」といった多種機能を備えた甲賀市独自の魅力を   十分に満喫することができる流行・文化の発信施設

●IC周辺に立地することでただの集客施設ではなく甲賀市全体の玄関口となる施設 開発コンセプト

個人の価値観の多様化 消費者ニーズの サイクルの短期化

多種機能を要した 施設の導入

IC建設による 影響範囲の広域化

広域的・長期滞在的な 施設内容の導入

高速道路、ICの施工 による山林の切り崩し

森林の再生に伴い憩い 癒しの場の導入・整備

ーゲットに合ったもの 合ったもの 合ったもの

健康・美容 リゾート・宿泊

物販

飲食 アミューズメント レクリエーション 導入施設

導入施設の規模 アンケートの結果 より規模の決定

「見る・学ぶ」→甲賀市の史跡や文化、芸術などを紹介する博物館

「遊ぶ・憩う」→甲賀市の壮大な自然を生かしたレクリエーション施設や公園広場

「体験する」→信楽焼きの陶芸体験・甲賀の忍者体験・各地域の特産品等の販売、飲食

博物館・体験施設

(地域の歴史・文化)

商業・サービス機能 観光機能

甲賀市の観光資源 自体の魅力の低下

人々のニーズに合った 観光資源の魅力増幅

●「見る・食べる・遊ぶ・学ぶ・憩う」といった多種機能を備えた甲賀市独自の魅力を   十分に満喫することができる流行・文化の発信施設

●IC周辺に立地することでただの集客施設ではなく甲賀市全体の玄関口となる施設 開発コンセプト

個人の価値観の多様化 消費者ニーズの サイクルの短期化

多種機能を要した 施設の導入

IC建設による 影響範囲の広域化

広域的・長期滞在的な 施設内容の導入

高速道路、ICの施工 による山林の切り崩し

森林の再生に伴い憩い 癒しの場の導入・整備

ーゲットに合ったもの 合ったもの 合ったもの

社会時勢 立地に 地域の特色に

健康・美容 リゾート・宿泊

物販

飲食 アミューズメント レクリエーション 導入施設

導入施設の規模 アンケートの結果 より規模の決定

「見る・学ぶ」→甲賀市の史跡や文化、芸術などを紹介する博物館

「遊ぶ・憩う」→甲賀市の壮大な自然を生かしたレクリエーション施設や公園広場

「体験する」→信楽焼きの陶芸体験・甲賀の忍者体験・各地域の特産品等の販売、飲食

博物館・体験施設

(地域の歴史・文化)

商業・サービス機能 観光機能

出資者への配当 公共への税収 雇用機会の創出

就業者への給与 地域振興地域振興 来訪者

複合観光施設 複合観光施設

地域に及ぼす効果

甲賀市全域の各観光施設・地域への流動波及効果 出資者への配当 公共への税収 雇用機会の創出

就業者への給与 地域振興地域振興 来訪者 来訪者

複合観光施設 複合観光施設

地域に及ぼす効果

甲賀市全域の各観光施設・地域への流動波及効果

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-500- 4-250

参照

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