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高低狂いの動的値と静的値の差に関する一考察

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Academic year: 2022

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(1)IV‑087. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月). 高低狂いの動的値と静的値の差に関する一考察 鉄道総合技術研究所. 正会員. 西垣. 拓也. 鉄道総合技術研究所. 正会員. 古川. 敦. 1.はじめに 車両の乗り上がり脱線は現在でも年に数回発生しているが,それらの多くは. 高. 運転所構内や側線の急曲線部である.一般に運転所構内や側線では軌道検測車. 40. による動的検測は行われておらず,手検測ないし簡易な機械による静的検測が. 36 動的狂い. 行われている.しかし静的検測の測定値は動的検測のそれと比べると,列車荷重 による軌きょうの変形や測定方法等の点から,両者の間で差が生じる.この差に. y=1.0α+1.2. 32 28 24. 上限. 20. (mm). 対しJRの軌道整備基準値では,動的値とは別に静的値が定められている.こ. 低. 16. れは旧国鉄により動的軌道狂いと静的軌道狂いの相関関係を用いて昭和40年. 12. 代に制定されたものである 1) (図1).しかし当時と比べれば,軌道検測技術や. 8. 下限. 4 0. データ解析手法は進歩しており,管理方法を見直す余地があると考えられる. 本稿では,構内(側線)における軌道狂いの適正な管理を目的として,高低. 0 4. 8 12 16 20 24 28 静的狂い(mm). 狂いに着目し,静的検測として簡易軌道検測装置(商品名:トラックマスター). 図1. の測定値を用い,軌道検測車(マヤ34)の動的狂いとの差異について考察する.. 動的高低狂いと 静的高低狂いの相関図. 2.高低狂いの比較 2.1. データ処理の方法. 高低狂いの比較にはトラックマスターの基準レール側の10m弦正矢値を用いた.静的・動的両データの位 置ずれは予め補正し,勾配一定区間において両者の平均値が0となるように補正した.. 高低狂いの振幅の比較. 構内における動的・静的高低狂いの振幅の差を図2に示す.直線区間で 0mmを中心とした正負対称の分布となったのに対し,曲線部では分布が 負に偏った.高低狂いは軌道が沈下しているときに負の値を取ることから,. 発生確率(%). 20. 2.2. 直線区間 曲線区間. 15 10 5 0. 曲線区間は動的値が静的値より大きいことになる.また,曲線・直線区間. -10. ともに,動的値と静的値の差のばらつきは大きく,その最大値は現在用い. 図2. られている整備基準値の差:8mmを上回った.. の間に分布した.このように構内と本線で差の分布が異なるのは,両者の 軌道状態の違いが原因と考えられる.これらの結果より,構内では,現在の 静的基準値では把握出来ない動的軌道狂いが存在する可能性が示された.. 100 発生確率(%). 一方,本線では図3に示すとおり,曲線・直線区間ともに概ね−2〜+2mm. -5 0 5 10 動的値-静的値(mm) 構内における動的と静的 高低狂いの差の発生確率 直線区間 曲線区間. 80 60 40 20. 2.3. 0. 周波数応答関数による分析. -10. 前節では,動的値と静的値の振幅について比較を行ったが,両者の差の 波長ごとの特性を把握するためにスペクトル解析を行った.周波数応答の. -5 0 5 10 動的値-静的値 (mm) 図3 本線(定尺区間)における 動的と静的高低狂いの差の発生確率. キーワード:動的・静的値,高低狂い,平面性狂い,周波数特性 連絡先:〒185-0014. 東京都国分寺市光町2-8-38. (財)鉄道総合技術研究所 ‑173‑. 軌道管理. TEL042-573-7278.

(2) IV‑087. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月). 出力の周波数応答H(f)を求めた.これを式(1)に示す.. H ( f ) = Py ( f ) Px ( f ) ……………(1) ただし,P x (f):動的軌道狂いのパワースペクトル,P y (f):静的軌 道狂いのパワースペクトル,f:軌道狂い波長の逆数とする.H(f)の 値が1より小さい時,動的値が静的値よりも大きいことを示す.. 振幅利得(mm/mm). 推定には,入力に動的軌道狂い,出力に静的軌道狂いとおいて,入 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4. 構内での結果を図4に示す.曲線・直線区間ともに,軌道狂い波. 5. 長が10mのとき静的値は動的値の0.7倍前後であった.また,この. 図4. 1であった.構内において動的値と静的値の差が大きくなった原因 は,継目部等で動的値が大きくなったことが考えられる.. 振幅利得(mm/mm). 比(振幅利得)は波長が長くなるにつれて1に近づく傾向にあった. 一方,本線では図5に示すとおり,波長に関わらず振幅利得はほぼ. 直線区間 曲線区間. 0.2 0. 3.平面性狂いの比較. 15 20 25 軌道狂い波長(m) 構内の高低狂いの周波数応答関数. 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 直線区間. 0.2 0 5. 平面性狂いは高低狂いの左右位相差に起因するものであり,乗り 図5. 上がり脱線に対して大きな影響を及ぼす.ここでは5m平面性狂いの. 示す.構内では最大8mm,最小−7mmであり,本線では−2〜+2 mmの間に分布した.現在のJRの整備基準値では動的値と静的値 の差は5mmであるが,今回の検討結果では,構内においてこの差を 上回るものが存在した.これより,平面性狂いについても現在の静. 10 15 20 軌道狂い波長(m) 本線(定尺区間)の 高低狂いの周波数応答関数. 30. 25. 直線区間 緩和曲線. 25 発生確率(%). 動的値と静的値の差を検討した.図6に構内,図7に本線の結果を. 10. 20 15 10. 的基準値では把握出来ない動的軌道狂いが存在する可能性がある.. 5 0 -10. -5 0 5 10 動的値-静的値(mm) 図6 構内における 動的・静的平面性狂いの差の発生確率. 4.まとめ (1) 構内(側線)と本線(2級線)の高低狂いを比較した結果,構内. を上回った.一方,本線では2mmを越えるものは無かった.こ のことから構内では,現在の静的基準値では把握出来ない動的軌 道狂いが存在する可能性がある. (2) 構内における動的高低狂いと静的高低狂いの差は,波長毎に異な. 100 直線区間 発生確率(%). の動的値と静的値の差の最大値は,現行整備基準値の差:8mm. 80 60 40 20 0. る可能性が示された.. -10. (3) 構内(側線)の5m平面性狂いの動的値と静的値の差の最大値は, 現行規程の基準値の差:5mmを上回った.一方,本線では両者. -5 0 5 10 動的値-静的値 (mm) 図7 本線(定尺区間)における 動的・静的平面性狂いの差の発生確率. の差が2mmを越えるものは無かった.. 5.. おわりに. 構内における動的値と静的値の差を比較した結果,現在の静的整備基準では把握できない動的軌道狂いが 存在する可能性が示された.しかし今回の検討はサンプル数が少ないこともあり,必ずしも一般的な実態を 表しているとはいえない.静的検測におけるトラックマスターの利用は構内における軌道保守作業の効率化 を進めていく上でも必要不可欠であり,今後も引き続き同種の関係を検討していく必要がある. [参考文献]. 1)佐藤吉彦,梅原利之:線路工学,日本鉄道施設協会, pp78-97. ‑174‑.

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