特集 協同組合のガバナ ンスを考える
一協同会社のあ り方を含めて一
協同組合 と株式会社
一協同組合法の商法準拠は株式会社への道か ‑
は じめに
商法 の規定 を協 同組合法(1)で準用すれ ば,あるいは商法 に倣 った定 めを協 同組 合法 に置 けば (以下,「準用」 と 「倣 う」
を総称 して 「準拠」 と総称す ることもあ る),協 同組 合 の特質 を喪 失 して 「株 式 会社(2)‑の道」を辿 るのか。これ が私 に 与 え られ たテーマである。
本テーマについて考察す る前提 として, 協 同組合 の特質 を最初 に吟味 してお こ う
(「‑」)。協 同組合法 は どの程度商法 に準 拠 してい るのか を次 に概観す る(「二」)a 第 三 に,「株 式 会社‑ の道」 とは何 を意 味 してい るのであろ うか。実際界 で しば しば耳にす る言葉 であ るが,抽象 的す ぎ るの で も う少 し具体 的 に考 えてみ よ う
(「三」)。以上 を踏 まえて第 四に,商法 に 準拠 した定 めを協 同組合法 に置 くと,協 同組合 の特質 を喪失 して株式会社‑の道
‑ ill 二
多木誠一郎
TakiSeiichiro
●小樽商科大学 ・助教授
を辿 るのか考 察す る (「EqJ)。株 式 会社
‑の道 か とい う問い に対 して如何 に考 え るのかは別 にして,否定的 に捉 え られ る ことも少 な くない商法準拠 とい う態度 に ついて どの よ うに考 えるべ きか について 若干示唆 し,本稿 を締め くくろ う(「結び」)0
一 協同組合の特質
(1)根本的特質
協 同組合の特質(3)を示す最 も根本 的な もの,言い換 えると協 同組合 を他の団体か ら区別す る特質は協同組合の 目的(zweck) である。組合員の相互扶助 を 目的にしてい る。団体法的思考方法 に従 って協同組合 と 組合員間の関係 に即 していえば,協同組合
は組合員 に対す る直接 ・最大の奉仕 ない し 助成 (Foerderung)を 目的 とす る。経 済 的のみな らず法的 にも一般 に承認 され て い る (水協4条,生協9条,中協5条2
項,農協8条,独禁22条1号)。協同組合 が行 う事業 (Gegenstand)は,助成 目的 を達成す るための手段である。組合員の側 か ら見れば,組合事業の利用 を通 じて 自ら が行 う事業や家計 について助成 を受 ける。
例 えば購買事業 であれ ば協 同組合 を通 じ て品物 を購入 した方が,他か ら購入す るよ りも同等のものを安価 に購入 (節約)でき るとい う意味で助成 を受ける。 「組合員 メ リッ ト」である。
助成 を 目的 にす る とい うことは,営利 を 目的 にして事業 を行 ってはな らない こ とを意味す る と一般 に解 され てお り(4), この点 を法律 が明定す る場合 もある (坐 協9条,農協8条 )。営利 とは何 を意 味 す るのであろ うか。団体法上営利 には2 つ の意味がある。 1つ は,商人概念 の要 素 としての営利 である (一重 の意味の営 刺 )。 自己の名 をもって商行 為 をなす を 業 とす る者 が固有 の商人 である (商4条 1項 )。業 とす るとは,営利 の 目的 をもっ て同種 の行為 を反復 ・継続 的 に行 うこと である。営利 の 目的 とは,対外 的取 引に よって収入 と支 出 との差額 (利益 )を得 ることを 目的にす ることを意味す る。もっ とも資本 的計算方法 に従 って,少 な くと も収支相償 が予定 されていれ ば営利 目的 は認 め られ る。他 の1つ の営利 とは,営 利社 団法人 たる会社 の概念要素 としての 営利 で あ る (商52条2項 )。一重 の意 味 の営利 では足 らず,一重 の意味の営利 を
前提 に して,獲得 した利益 を社員 に分配 す ることを 目的 とす る (二重 の意味の営 刺 )。継続企 業 を前提 にすれ ば,利 益配
当の方法で分配 がな され る。
協 同組合 が営利 を 目的 としてはな らな い とい う場合 の営利 とは,どち らを意味 してい るのであろ うか。二重 の意味の営 利 を 目的 にしてはな らない ことに疑いは ない。組 合 員 に よ る事 業利 用 を通 じた
「直接」助成 とは相容 れ ない。払込済 出 資額 に基づいた割戻 しが制 限 されてい る のはその証左 である (水協56条2項,坐 協52条4項, 中協59条2項,農協52条2 項 )。 問題 は,一重 の意 味 の営利 を 目的 とす ることまで も法律 は禁止 してい るの かである。判例 ・通説 は,協 同組合 の商 人性 を否定す る。その理 由の1つ を一重 の意味の営利 がない点 に求 めてい る (5)。 しか しこの点 には疑 問を感 じる。協 同組 合 も法的 には構成員 たる組合員 とは別個 独立 の存在 として経済活動 をしてい く以 上,収支 が最初 か らマイナスで よい とは い えず (6),少 な くとも収支報償 を予定 し てい る とい えるのではなかろ うか。協 同 組合 は 自らが収支相償す る範 囲内で組合 員 に対 して助成す ることを 目的 にす る。
自らの収支 が均衡 しなけれ ば,協 同組合 は存続 で きな くな る。組合員助成 もな し えない。協 同組合 にも一重 の意味の営利 を認 めて もよい。それ ゆえ協 同組合 が営 利 を 目的 としてはな らない,あるいは非
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営利 目的である とい うのは,二重 の意味 の営利 を 目的 としてはな らない ことを意 味す ると解す る (7)0
収支相償 をも うー歩進 めてみ よ う。協 同組合 が組合員 に対 して助成す るには, 協 同組合 自身が財務上健全 であることも 当然 に求 め られ よ う。極論すれ ば債務超 過 の状態 では協 同組合 は効率的 に事業 を 遂行 で きず,ひいては助成 目的 を十分 に 達成 で きない。一定程度 の内部留保 は財 務健全化 には不可欠 である。内部留保す べ く,収支相債 を超 えて収支 がプラス に なるよ うに事業計画 を立て ることも認 め られ る。例 えば購 買事業 であれ ば,品 目 毎の売価設定の際 に手数料率 を保守的 に 見積 もることも許 され よ う。抽象 的な表 現 に止 め ざるをえないが,収支相償 を超 えて 「収支相償+α」を 目指す ことも,助 成 目的 に反す る とは必ず しもい えないの ではなかろ うか(8)。 もっ ともα部分 には, 助成 目的 を達成す るの に必要 とされ る範 囲内(9) とい う歯止 めはあろ う。
(2) 2次的特質
助成 目的 を有す るために協 同組合 に一 般 に認め られ る特質 として,以下の2特 質 に触れ てお く。助成 目的 とい う根本 的 特質か ら導 き出 されやすい,あるい は 目 的達成 に資す る2次的特質 とい えよ う。
第‑ に,社員 (租合貞 )‑顧客 (利用者 ) とい う一体性 (Identitaet)であるo全体
としてみれ ば社員集 団‑顧客集 団 とい う 一体性 である。協 同組合 は組合員 に対す る助成 を 目的 とす る。組合員 の側 か ら見 れ ば,組合事業 の利用 を通 じて助成 を受 ける。それ ゆえ組合員 は利用者 である必 要がある。組合事業 の利用 によって助成 を受 けよ うとす る者 のみが組合員 になれ る。組合事業 の利用 を欲 しない者 は組合 員 になれ ない し,利用意欲 を喪失 した者 は組合員 たる地位 に止 まることはで きな い (水協27条2項1号,生協20条2項1 号, 中協19条2項1号,農協22条2項1 号 )。協 同組合 が事業 を行 うの は,事業
を通 じて組合員 を直接助成 しよ うとす る ためであ る。それ ゆえ以上 とは逆 に,刺 用者 は組合員 でなけれ ばな らない。組合 事業 を利用 しよ うとす る者 は,組合員 た る地位 を取得 しなけれ ばな らない。組合 側 か ら見れ ば,組合員以外 の者 に対 して 事業 を行 ってはな らない ことになる (坐 協12条1項3項本 文 )。 もっ とも定款 に 定 めれ ば非組合員 に対 して事業 を行 うこ とを,事業分量制 限 (10)は置 くものの現 行法 は許容す る (水協11条10項, 中協9 条 の2第3項,農協10条26項 )。
第二 に,利益配 当 (剰余金割戻 )方法 である。協 同組合 は二重 の意味の営利 を 目的 にしない。組合員 が出資 をす るのは 組合事業 に必 要な資金 を提供す るためで あ り,払込済 出資額 に基づいて配 当を受 けるためではないOもっ とも全 く配 当を
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しな けれ ば出資 の 引受 け ・払 込 み を期 待 で きない し,資本 主義経 済 下 で機 会利 益 を保 障す る こ とは不 当で はない。それ ゆ え払 込 済 出資額 を基 準 に した割 戻 しを協 同組 合 法 は許容 す るが,割 戻 率 に制 限 を 加 えてい る (水 協56条2項 ,生協52条2 項・4項 ,中協59条2項 ,農 協52条2項 )0 剰 余金割 戻方 法 の他 の1つ で協 同組 合 に 特 徴 的 なの は利 用 分量割 戻 しで あ るO剰 余金 の源 泉 は,組 合員 に よ る組 合 事業 の 利 用 で あ る。例 えば購 買 事 業 で あれ ば, 実 費手数料 主義 に鑑 み る と結果 的 に売価 設 定 を高 くしす ぎてい たた め に剰 余金 が 生 じる。あ るい は 当初 よ り保 守 主義 的 に 実 費 を積 算 す るた め に生 じる。利 用者 た る組 合員 か ら 「取 りす ぎた額 」 を,発 生 源 泉 に したが って割 り戻 す 。いわ ば事 後 的 な価格 修 正 で あ り,組 合員 の事業や 家 計 の節約 す なわ ち助成 その もの とい え よ
う。
二 協 同組合法 における 商法準拠状況
(1) 概 要
商法 中株 式会 社 に関す る規 定 あ るい は 民法 中公益 法人 に関す る規 定 に準拠 す る のか に よって,協 同組 合 法 は一般 に2つ に区分 され る。準拠 す る とい って も全般 的 に準拠 す るので はな く,主 として協 同 組 合 の機 関 ない しガバ ナ ンス に関 して準
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拠 してい る。準拠 につ い て言及 す る場 合 には,機 関 ない しガバ ナ ンス を念頭 に置 い てい る場 合 が多 い。いず れ に準拠 しよ うと下記3点 については共通 してい る。① 協 同組 合 の最 高機 関 として組 合 員総会 が 置 かれ てい る,② 組 合 員数 が一定数 以上 の場 合 には総会 に代 わ って総代 会 を設置 で き る,③ 監 督機 関 として独 任 制 の監 事 が置 かれ てい る。この よ うな状 況 に鑑 み 以 下 で は,機 関 につ い て の準拠 と りわ け 商法準拠 型 と民法 準拠 型 で最 も差異 が あ る業務執行機 関 に焦点 を当て る こ とに し よ う。
(2) 商法準拠型
基 本 的 な機 関構 成 は組 合 員 総 会 ・理 事 会 ・代 表理 事 ・監 事 で あ る。株 式会社 で 株 主総 会 ・取締 役 会 ・代 表取締 役 ・監査 役 に機 関分化 してい るの に倣 ってい る点 に着 目し,商 法準拠 型 とい われ る。水 産 業 協 同組 合 法 ・中小企 業 等 協 同組 合 法 ・ 農 業協 同組 合 法 は商法 準拠 型 で あ る。記 述 を徒 に複雑 に しない た め,以 下 で は協 同組合 セ クター で最大勢力 で あ る点 を考 慮 して農業協 同組 合 法 で商法 準拠 型 を代 表 させ る。商 法準拠 状況 を概 ね把握 す る
とい う記述 の 目的 に照 らして も十 分 で あ ろ う。
組 合員 総会 は組 合員 を構成 員 とす る最 高意 思決 定機 関 で あ る。基 本 的事項 に関 す る意思 決 定 のみ を行 うCそれ 以外 の細
目に関す る意思決定 を行 い,決定 を実行 に移す ために理事が置 かれ るD各理事 は 業務執行機 関ではない。理事全体 で構成 され る理事会 が業務執行機 関であ り,各 理事 は理事会構成員 に過 ぎない。理事会 で決定 したことを実行 に移す ための機 関 として代表理事が置かれ る。業務執行機 関が理事会 と代表理事 に分化 してい る点 が,民法準拠型 と最 も顕著 な差異である。
総会か ら委ね られ る業務執行権 限が広範 に渡 るため,慎重 に権 限行使 をさせ るべ く理事会 が設置 され る。平成4年農業協 同組合法改正前 では法的 には,民法準拠 型である消費生活協 同組合法 と類似 して いた。もっ とも実際界 では模範定款例 に よって (農協 [平成13年改正前]28条4 項 ・[現]73条 の22第3項 ),任意 に理事 会が設置 されて各理事 の代表権限 を制限 し,組合長理事 のみが組合 を代表 してい た。 この よ うな状況 に沿 って法改正 し, 機関権限の分配 を明確 にした ともいえる。
監 事 は,理 事 の職 務 執 行 を監査 す る 機 関である。監査 は会計 ・業務全般 に及 ぶ(ll)。職務執行 を行 いやす くす るために 種 々の権 限が与 え られてい る (農協39条 2項‑ 商274条‑275条 ノ4・279条 ・279 条 ノ2)。加 えて特 定組 合 につ いて は外 部監査 として中央会監査 を受 けることが 法定 され てい る (農協37条 の2第1項 )o 商法特例法上 の会計監査人監査 と概ね同 様 の枠組 みであるが (農協37条 の2第10
‑ 15 一
項 ),監査対象 に業務 の一部 も含 まれ る とい う点で異なる(農協37条の2第10項‑
商274条2項・274条 ノ3。商特7条1項‑
4項対照 )0
(3)民法準拠型
基 本 的 な機 関構 成 は組 合 員 総 会 ・理 事 ・監事 である。各理事 が代表権 限 を有 す る点 が,民法 中公益法人 に関す る規定 と同 じである点 に着 目して民法準拠型 と いわれ る (この点 については昭和25年改 正前商法 中の株式会社 に関す る規定 とも 同 じで あ る)O原 始法 では水 産業協 同組 合 法 ・農 業 協 同組 合 法 は民 法 準拠 型 で あったが,それ ぞれ平成5年 ・平成4年 改 正 で商 法 準拠 型 が採 用 され て今 日に 至 ってい る(12)。民法準拠型 は現在,消費 生活協 同組合法のみである。
組合員総会 は,組合員 を構成員 とす る 協 同組合 の最高意思決定機 関であ る。基 本 的事項 に関す る意思決定 のみ を行 う。
それ以外の細 目に関す る意思決定 を行い, 決定 を実行 に移すために理事が置かれ る。
商法準拠型 との最 も大 きな違 いは,上記 の通 り理事会 が法定 されていない点 であ る。各理事 が業務執行機 関であ り,業務 執行権 限 を有す る。業務執行 は定款 に別 段 の定 めがない ときは,理事 の過半数 で 決す る (生協42条‑民52条2項 )。協 同組 合 を代表す る権 限は各理事 が有す る (坐 協42条‑民53条 )。実際界 で大 きな影響力
を有す る模範定款例 に よる と (生協26条 2項 ),任 意 に理 事会 を設 置 した上 で特 定 の理 事 (理事長 ・組合長 な ど)のみ に 代 表 権 を与 えて い る (模 定例28条 )。実 際上 は商法準拠型 に類似 す る。もっ とも 理事 の代表権 に制 限 を加 えて も,これ を もって善意 の第 三者 に対抗 で きない (坐 協42条‑民54条 )0
監事 については商法準拠型 と制度上大 きな差異 はない。監査 は会計 ・業務全般 に及 ぶ。異 な るの は職務執行 を行 いやす くす るための権 限が商法準拠型 ほ ど用意 され てい ない点 で あ る (生協33条 )(13)。外 部監査 は法定化 され てい ないが,公認会 計士 ・監査法人 に よる監査 が任 意 に行 わ れ てい るよ うであ る (14)0
三 株式会社への道
実務 家 との話 で しば しば登場す る 「株 式 会 社 ‑ の道」 あ るい は 「株 式 会 社化」
とは,何 を意味す るので あろ うかO 「(秩 式会社 の真似 をす る と)協 同組合 らしさ が失 われ,株 式会社 と何 ら変 わ らな くな る」 と簡単 に説 明 され る。法形式 は依 然 として協 同組合 であ るが,実質 的 には も はや株式会社 と異 な らない といいたいの で あろ う。よ り具体 的 に協 同組 合 の どの よ うな特 質 が 失 わ れ るの かC それ に代 わ って株 式会社 の どの よ うな特質 を実際 上有す るよ うにな るので あ ろ うか。この
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問い に対 して真 正面 か ら,明確 に答 えた もの は私 見 に よれ ばない。推測 に よ らざ るをえないが,協 同組合 と株 式会社 の最 も根本 的な相違点 で あ る出発点す なわ ち 両者 の 目的 の差 異 に着 目し,協 同組合本 来 の助成 目的 を十分 に果 た さず実際 には, 株 式会社 と同様二重 の意味 の営利 目的で 事業 を行 ってい る と感 じ られ る点 を株式 会社‑ の道 と表現 してい る と考 えるのが 素直 で あ るのか もしれ ない。
本稿 の立場 による と一重 の意味 の営利 は,必 ず しも助成 目的 と相反 しない (上 記 「‑」(1))。助成 目的 と相容 れ ないのは 二重 の意 味 の営利 で あ る。文字通 り株 式 会社‑ の道 を批判 す るので あれ ば,二重 の意味 の営利 を念頭 に置 かなけれ ば的 を 射 た批判 とはい えない。しか し株 式会社
‑ の道 と批判 す る者 も,二重 の意味 の営 利 つ ま り利 益配 当 (出資割 戻 し)の最大 化 を協 同組合 が 目指 してい る とい う認識 の も とで問題視 してい るのではな さそ う であ る。出資割戻 率 に法律 で制 限が設 け られ てい るこ ともあ り (上記 「‑」(2)), 利益配 当の最大化指 向 と批判す るのは困 難 で あ る ともい え よ う。
二重 の意 味 の営利 で はない とす れ ば, 一体何 を以 て株式会社‑ の道 と批判 して い るので あろか。助成 目的 を十分 に果 た してい ない と批判 したい点 について異論 はなか ろ う。加 えて二重 の意味 の営利 で はな く,行 き過 ぎた一重 の意味 の営利 を
批判 してい る と思われ る。一重の意味の 営利 を追求す るのは,法的 には構成員 と 別個独立の存在 である協 同組合 に とって 収支相償+αの範 囲内,言 い換 える と助 成 目的 に資す る範 囲内では許 され うる。
しか し助成 目的 とは無 関係 に,協 同組合 自体 の利益 を追求 してい る点 を批判す る のであろ う。この よ うに考 えると 「組合 は儲 けることばか り考 え,我 々組合員 の 利益 になるよ うに活動 していない」とい
う組合員 の声 とも軌 を一 にす る。
協 同組合 による仕入値 が@80円の品物 を組合員 に販売す るとい う例 を素材 にし て,上記組合員 の声 を考 えてみ よ う。近 隣の大手スーパー (株式会社 )が@160円 で同 じ品物 を販売 し,飛ぶ よ うに売れ て い るD実費手数料 (例 えば直接経費のほ か管理 費) を考 慮 して協 同組 合 が見積
もった ところ,売価 @100円で収支相償 となる。協同組合 の財務健全化 に資す る べ く+α部分 として例 えば@10円 を考慮 して売価 を@110円 にすれ ば十二 分 とい う状況 であったDにもかかわ らず 「@160 円で飛 ぶ よ うに売れ るのな ら@110円で 売 る必 要 はない。 @150円で売 ろ う」 と 考 えて売価 を設定 した とす る。これで も 大手 スーパー よ り@10円安い とい うこと で売上高が伸 び,それ に比例 して協 同組 合 に利益 が生 じた。株 式会社 であれ ば, 二重の意味の営利 を最大化す るのが 目的 であるので,一重 の意味の利益 の段 階で
会社 の利益 が大 き くなれ ば大 きいほ ど目 的 に合致 した経営 とい うことになる。し か し協 同組 合 で は事情 は異 な る。@110
円で組合員 に販 売すれ ば,スーパーで購 入す るよ りも組合員 に@50円の節約 の利 益 (組合員 メ リッ ト)を与 えることがで きた。しか し実際 には協 同組合 自体 が利 益 を得 ることを 目指 したために@10円の 節約 しか組合員 にもた らす ことができな かった (話 を複雑 にしないため, ここで は利用 分量割戻 しは考慮 しない)。組合 員 の声 は,この よ うな状況 を批判 してい るのであろ う。
以上 で述べた ことをま とめてお こ う。
株式会社‑ の道 とは協 同組合 ・株式会社 の 目的 と関連 した批判 である と考 え られ る。す なわ ち助成 目的 を十分 に果 た して いない(15)。加 えて二重 の意味の営利 では な く,行 き過 ぎた一重 の意味の営利 を批 判 してい る(16)。助成 を望む組合員 の意思 が事業遂行 に際 して十分 に反 映 されず, 組合員意思か ら独立 した協 同組合 自身の 意思 で協 同組合 の事業遂行がな されてい る とい う指摘 であ る。二重 の意味の営利 で は な く,一 言 で述 べ る と 「企 業 自体 (Untemehmenansi°h)」の方 向に協 同組合 が発展 している点 を批判す るのであろ う。
その意味では正確 には株式会社‑の道 と はいい難 いが,伝 統的 に協 同組合 と対極 に位置付 け られて きた株式会社‑の道 と 象徴 的 に表現 した もの と位置付 け うる。
‑ 17 ‑
四 商法準拠は
株式会社‑の道か
(1)大規模団体のための規定
商法 に準拠すれ ば,株 式会社‑の道 を 辿 るのであろ うか。商法の規定 は,二重 の意味の営利 を 目的 とす る株式会社 の経 営 に相応 しい もの として発展 して きた仕 組 み について定めてい る。確 かにその よ うな規定 に準拠すれ ば,組合員 を助成す る 目的で事業 を行 うとい う協 同組合 の根 本的特質 を喪失 し,‑二重 の意味の営利 を追求 しないまで も一行 き過 ぎた一重 の 意味の営利 を 目的 として事業 を行 うよ う にな る とい う意見 も,情緒的 には理解 で きないではない。しか しも う少 し掘 り下 げてみ る と,異 なった見方 も可能 であろ
う。
商法 に準拠 してい るのは,主 として協 同組合 の機 関ない しガバナ ンスに関す る 事項 である (上記 「二」(1)(2))。株式会社 の機 関 に関す る規定 は,二重 の意味の営 利や その前提 となる一重 の意味の営利 の 極大化 を 目的 にす る点 にのみ着 目した規 定 であろ うか。少 な くともこの点 には否 とい えそ うである。二重 の意味の営利や その前提 となる一重の意味の営利 の極大 化 を 目的 にしてい るのは株式会社のみで はない。会社すべて に共通す る。有 限会 社 ・合名会社 ・合資会社 の機 関に関す る 規定 は,株式会社 と全 く異 なる。人的会
社 に分類 され る合名会社 ・合資会社では, 原則 として各社員 一合資会社 では無限責 任社員 のみ‑が業務執行権 ・代表権 を有 してい る (商70条・76条 ・147条・151条 ・ 156条 )。所有 と経営が一致 してい る。社 員 自ら業務執行 を行 うため,社員総会 ・ 監査機 関 は別 に置 かれ ない (なお商153 条 )。株 式会社 と同 じ く物 的会社 に分類
され る有 限会社では会社機 関は,株式会 社 に比べて簡 略化 されてい る。社員総会 が最高意思決定機 関である。業務執行機 関 として取締役 は置かなけれ ばな らない が (有25条 ),取締 役 と取締 役 会 に機 関 分化 していない。原則 として各取締役 が 会社代 表権 を有 す る (有27条 )。監査役 は任意機 関であ る (有33条1項 )0
株式会社 と他 の会社 の機 関に関す る規 定 が この よ うに異 なるのは,何 にその原 因 を求 めれ ばよいのか。物的会社 と人的 会社 の間では 自己機 関性 が要求 されてい るのか否 かが根本 的な相違点 である。社 員 の責任 が有 限か無限か とい う点 に違 い の原 因を求 め うる。無 限責任 が要求 され ていれ ば,相互 に信頼 関係 のある者 のみ が社員 になろ う。それ ゆえ大規模 な会社 にはな りに くいO無 限責任 を負 わ され る のな ら,業務執行 も 自ら行 うことが合理 的である。物 的会社間の違 いは,法形式 の理想型 を念頭 に置 くと会社の規模 の大 小 に求 め ざるをえない。等 し く営利 を 目 的 とす る会社の間で も機関 に関す る規定
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が この よ うに異 な るのであれ ば,株式会 社 の機 関に関す る規定 は営利 とい うよ り む しろ‑あるいは営利 とい う点のみな ら ず 一大規模 の団体一般 に通用す る仕組 み を提供 してい る とい う考 え方 も成 り立 ち そ うである(17)。例 えば農業協 同組合系統 についてみ る と,いわゆる総合農協 の数 は合併 の進展 によ り激減 してい る(18)。そ の結果 組 合 の規模 は大 規模 化 の一途 を 辿 ってい る。してみれ ば少 な くとも大規 模 協 同組合 (19)につ いて株 式会社 の機 関 に関す る規定 に準拠す るのは,情緒的意 見は別 にして株式会社‑ の道 である とは 必ず しもい えないのではなか ろ うか(20)。
(2)似て非なるもの
商法準拠イ コール株式会社‑の道であ るとは必ず しも結 びつ きそ うにない。と い うよ りむ しろ商法準拠型 といわれ,機 関ない しガバナ ンス について株式会社 に 関す る規定 に拠 ってい るとされ る協 同組 合法 で も,根幹 に関わ る部分 で‑当然 と い えば当然であるが‑商法 と全 く異 なる 規整 がな され てい る事項 もある。株式会 社 と商法準拠型協 同組合 は,機 関ない し ガバ ナ ンス につ い て似 て非 な る もの と いった方 が よ り正確 か もしれ ないO
若干の例 を挙 げてお こ う。第一 に,級 合員 の意思が事業遂行 に反 映 されやすい 組織設計がな され てい る。少 な くとも制 度的 には(21)株式会社 と異 な り (商254条
‑19 ‑
2項 ),所 有 と経 営 の分離 は不完 全 で あ るO理事 の一定割合 については,組合員 た る地 位 が資格 として要求 され てい る (農協30条11項 )。理事 が組合員 であれ ば, どの よ うな助成 を組合員 は望 んでい るの か を容易 に把握 で きる。これ とは別 に株 式会社では総会の万能性が商法230条 ノ10 で否定 され てい るが,協 同組合法では同 条 は準用 されてお らず万能性 を定 める民 法63条 が類推適用 され る(22)。総会 を通 じ て団体 の管理 ・運 営 に参画す る機 会 は, 株式会社 よ り広範 囲であるO第二 に,機 関 と位置付 けないのが一般 であるが,ガ バナ ンスの重要な地位 を占める外部監査 主体 についてである。株式会社で は公認 会計士 ・監査法人 た る会計監査人 である の に対 し (商特2条 ・4条 ),協 同組 合 では中央会である (上記 「二」(2))。合 目 的性す なわち組合員助成 を 目的 にして事 業遂行 をしてい るのか とい う観点か らも 監査 がな され る(23)。助成 を望む組合員 の 意思 が事業遂行 に反 映 され ることを保 障
しよ うとす る。
水産業協 同組合法 ・中小企業等協 同組 合法 ・農業協 同組合法 を商法準拠型 とい うのか否 かは言葉 の問題 として,商法 に 準拠すれ ば株式会社‑の道 を辿 る と批判 す るのであれ ば,民法準拠型 であれ ば株 式会社‑ の道 は生 じないのであろ うか。
制度的 には商法準拠型 の方 が民法準拠型 よ り組合員 の共益権 は整備 され てい る。
た とえ ば代 表訴 訟 提 起 権 (農 協39条1 項‑商267条 1項 )・違法行為差止請求権
(農協39条2項‑商272条 )・総会決議 の噸 症 を攻 撃 す べ く提 訴 す る権 利 (農 協47 秦‑ 商247条 ・252条 )は民法準拠型 で は 認 め られていない。活発 な権利行使 が期 待 で きるのか否か は別 にして,制度的 に は組合員 の利益 が守 られやす い。あるい は実態 を見て も消費生活協 同組合 で,助 成 を望む組合員 の意思 が事業遂行 に際 し て十分 に反映 してい る とい うのには蹟曙 を感 じざるをえない。商法準拠型 であろ うが民法準拠型 であろ うが,株式会社‑
の道 に関 して大 した差がある とは思 えな いCしてみれ ばや は り商法準拠 とい う法 律 の態度 とは別 の点 に,株式会社‑ の道 の要因を見出せ るのではなかろ うか。
結 び
商法準拠 は株式会社‑の遥か とい う私 に与 え られ た問い に対 しては,以上 の考 察か ら否定的 に考 える。協 同組合 の 目的 である組合員助成 を達成すべ く,機 関な い しガバナ ンス に関 して商法 に準拠 して い るにす ぎないC少 な くとも大規模協 同 組合 については,商法準拠 とい う態度 に は合理性 ・合 目的性 が一応 あ りそ うであ る。商法準拠 は,助成 目的達成 のための いわ ば手段 と位置付 け うる。それ では株 式会社‑の道 の要因は何 に求 めれ ばよい
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のか。法律 の規定 ではな くむ しろも う一 段掘 り下 げ,商法準拠 の立法理 由 とされ る協 同組合の大規模化 とい う事実そのも のに求める方がよ り素直ではなかろ うか。
もっ とも本稿 では踏み込 んで考察す るこ とはで きなかった。仮説 の提示 に止 め, 詳細 な考察 は他 日を期 したい(24)0
わが国の協 同組合理論 については,第 二次世界大戦後 ほ とん ど発展 していない とい う厳 しい指摘 もな されてい る(25)。こ の よ うな状況 もあって,協 同組合 は株式 会社 と目的が異な り株式会社 で発達 した 仕組 み を採用す るのは協 同組合 の堕落で ある と現在 で も考 え られがちである。し か し仕 組 み を採 用 す べ く商法 に準拠 す るのは単 な る手 段 とい う位 置 付 け をす れ ば, 「古風 な協 同組合理 論 の頚木」か ら解 放 され る糸 口がみつ か るので はな か ろ うか。さもなけれ ば実際 に出現 して い る協 同組合 の新 たな類型,例 えば 「資 本 化 さ れ た 協 同 組 合(kapitalistische Genossenschaft)」や「協 同組合 的株式会社 (genossenschaftlicheAktiengesellschaft)」(26)
について理論的 に説 明で きまい。現在 の グローバル化 した時代 には,時代 に適合 した新 たな協 同組合理論が構築 され るべ きであろ う。その際株式会社 で発達 した 仕組みの採用 について否定的 に考 えるば か りではな く,よ り積極 的な位置付 けが 与 え られて もよいのではなかろ うか。
【注 】
(1)協 同組合法 とは,詩学上 どの実定法 を意味 す るのかについて ここでは議論 しない。含 ま れ ることについて異論がないであろ う,消費 生活協 同組合法 ・水産業協 同組合法 ・中小企 業等協 同組合法 ・農業協 同組合法 を念頭 に置
く。
(2)株式会社 といって も,小規模 閉鎖会社 か ら 大規模公開会社 まで種 々のものがあ り,一律 に論 じるこ とはで きない。 「株式会社‑ の道 か」とい う場合 の株式会社 については,特 に 断 らない限 り商法 が本 来予 定 してい る理想 型である大規模公開会社 を念頭 に置 く。
(3)国際協 同組合 同盟 (ICA)マ ンチ ェスター 大会 (1995年 )で採択 された 「協 同組合 のア イデ ンティティに関す るICA声明」 は,協 同 組合 の定義 ・価値 ・原則か らなる。定義 ・原 則 には,世界的規模 で認 め られてい る協同組 合の特質が示 されてい る。 「経済的 ・社会的 ・ 文化的なニーズ と願 いをかなえること」が協 同組合 の 目的 として定義 に掲 げ られてい る。
本 文 で述 べ た よ うにわが現行 法 で は経 済上 の助成 のみ が掲 げ られ てい るの と対 照 的で ある。わが法がICA原則 と敵靡 を生 じてい る 点 を指摘 した上 で検討す べ き点 に具体 的 に 論究 したもの として,生協総合研究所編 『新 たな環境 の も とでの生協 の法制度 改革 の論 点 一生協 の法 的制度 的枠組 み研究 会報 告 ‑ (生協総研 レポー ト42号)』 (同研究所,平成 16年 )9頁。
(4)上柳 克郎 『協 同組合法』 (有斐 閣,昭和35 年)14頁。
(5)最 判 昭 和48年10月5日判 時726号92頁 (もっ とも原判決 は (東京高判 昭和46年5月 28日高民集24巻2号221頁),一重 の意味の営 利 がない こ とを理 由に して商人性 を否 定 し たのに対 し,最高裁判決 は理 由を付 さず に商 人性 を否定 してい る)。上柳 ・前掲注(4)19頁 (もっ とも二重 の意味 の営利 目的がない こ と も理 由 として挙 げてお られ る),大 隅健一郎
『商法総則』(有斐閣,新版 ,昭和53年 )120頁。
(6)一定の要件 の もとで協 同組合 は,事業 を行 うため に必 要 な経 費 を組 合員 に一方 的 に賦 課 できる (水協22条,中協12条,農協17条 )0 直接 的 な収入 が伴 わ ない指 導事業 を遂行 す るのに必要な経費が賄われ る。この よ うに事
業毎 に見れば,事業遂行 それ 自体 による収支 が最初 か らマ イナ ス にな る こ とが予定 され ている事業 もある。しか しそれ以外 の経済的 事業 につ いて は法律 上制 限 はない が経 費 は 賦課できない と解す る。収入の範囲内で支 出 を賄 うこ とが 当然 予定 され てい るか らで あ る (拙稿 「JA実務 ・基礎講座経営 ・監査編 法務 [農業協 同組合法]第1回 経費の賦課」 月刊JA48巻4号58頁 (平成14年))0
(7) 結果 同 旨,関英昭 「協 同組合 の法的性質‑ 商人性 ・営利性 ・企業性 を中心 として‑」青
山学 院大学総合研 究所 法学研 究セ ンター研 究叢書1号49頁 ・51頁 (平成5年 )。言葉 の 使 い方の問題 であるが関教授 は,営利 を一重 の意味ではな く,二重の意味でのみ使われ て いる。そのため非営利 であることは,非商人 であることに直接結 びつかない とされ るo (8)同旨,農協 のあ り方 についての研究会 「農
協改革の基本方向」(平成15年3月28日)2②。
(9)ドイ ツでは追加 的な減価償却 (内部留保 ) が許容 され る限度 について (ドイ ツ商法253 条4項 ),助成 目的か ら生 じる資金需 要 を充 たす場合が挙 げられている(MattiasAldejolm , Die Unabhaengigkeitdergenossenschaftlichen Pruefungsverbandes,1990,S.52)。抽 象 的 表現 であるが,本文 で述べ たプラスαの範 囲 が許容 され る限度 につい て の基準 として参 考 になろ う。
uo) 員外利 用 の状況 を各協 同組 合 自身 が実 際 には正確 に把握 していない場合 も多々ある。
そのた め事業分量制 限 を遵 守 してい るのか も明 らかではない 旨が指摘 され てい る (総合 規制改革会議 「規制改革 の推進 に関す る第3 次答 申一活力 あ る 日本 の創 造 に向 けて‑」
(平成15年12月22日)第2章8)。
ul) 中小企業等協 同組合法上信用協 同組合 ・同 連合会以外 の組合 の監事の権 限 については, 商法特例 法上 の小会社 に関す る特例 を準用 す るため会計監査 に限 られ る (中協42条‑ 商 特22条2項 )o
n2) その後 の法改正 に よって商法準拠 が一層 進展 してい る。もっ ともわが商法の知 らない 経 営管理委員 会制度 が平成9年水 産業協 同 組合法 ・平成8年農業協 同組合法改正で新設 されてい る (水協34条 の2・36条 の2,農協 30条 の2 ・32条 の2)。記述 を複雑 にしない
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ため本稿 で は,経 営 管理 委員 会 を考慮 しな
い。
0̲3) 平成4年改正前 に同 じ状況 で あった農業 協 同組合法 について,関英昭 「改正農協法 と 機 関権 限の分配 (中)」農協金融法務249号24 頁 (平成5年 )参照o
0̲4) 生協総合研究所編 ・前掲注(3)17頁c n5)助成 目的 の達成 度 を図 る客観 的 な物差 し
が存在 しない点 も,助 成 を 目的 として事業 を行 ってい るのか否 か を判 断す るの を一層 困難 にす る。 「組 合員 が助成 と感 じるのが助 成」 と い う 意 見 も (Bernhard Grossfeld, GenossenschaftundEhrenamt,in:ZfgG29 (1979),S.222),困難 さを物語 っている。
86) 農協 のあ り方 についての研究会 ・前掲注(8) 1③ アには,「「組合員 のための組織」 とい う よ りも,「組織 のための組織」とい う色彩 を強 め,協 同組織 の原点である組合員 メ リッ トに 敏感 でな くなってい る」とある。行 き過 ぎた一 重 の意味の営利 を批判 してい る とい えよ う。
帥 理想型 と異な り実際 には,多 くの小規模 閉 鎖会社 が株式会社の法形式 を とってい るDこ のよ うな会社 については,機 関に関す る規定 も含み使 い勝手の悪 さが指摘 されて きた。法 制審議会会社法 (現代化関係 )部会 「会社法 制 の現代化 に関す る要綱試案」 (平成15年10 月22日)では,株式譲渡制 限を とる株式会社 (‑小規模 閉鎖会社 )について,有 限会社 の 機 関 に関す る規 定 の適用 を選 択 で きるよ う にしてい る。株式会社 の機 関に関す る規定 が 小規模 (閉鎖 )会社 には相応 し くな く,理想 型通 りの大規模 (公開)会社 に相応 しい こと を物語 ってい るといえよ う。
88) 平成5年4月1日現在3,012組合 で あった のが,平成16年9月1日現在897組合 に激減 してい る (全 国農 業協 同組 合 中央 会 ホー ム ページ (http://ⅥW .zenchu‑ja.org/)). ug) 商法準拠型 を導入 した平成4年農業 協 同
組合法改正 の立法担 当者 による解説書では, 理事会制 を原始農協 法 で法定 しなか った理
由を 「農協 は小規模 な協 同組織」であった点 に求めてい る。その上 で小規模 な協 同組織 と はいえな くなった点 に,理事会制の法定化 ‑ 株 式 会社 の機 関 に関す る規 定‑ の準拠 の本 来的な理 由を求 めてい る (内藤恵久 「理事会 の設置及 び これ に伴 う関係 規定 の整備 につ
いて」農業協 同組 合経 営実務48巻5号65頁 (平成5年 ))。 これ に対 し合併 に参加せず未 だ小規模 に止 ま ってい る協 同組 合 につ い て も,株式会社の機 関に関す る規定 に準拠 させ るのは適切 であるとは限 らない。株式会社 に つ い て商法特例 法や 更 に法制審議会会社法 (現代化 関係 )部会 ・前掲注(1即こ見 られ るよ うに,規模別 に異 なる規整 がな され ることも 考慮 に値す る。
CZO)大規模 協 同組 合 と株 式会社 の規整原理 は 同質性 を有す るとい う見解 と (森本滋編 『商 法総則』 (成 文堂,第2版,平成 11年 )4頁 [小林量]),結論 としては同 じ方 向性 である。
CZl) 実 際 にも所有 と経 営 の分離 は進展 してい ない とい えるのであろ うか。あるいは進展す る傾 向 を否定 で きるのであ ろ うか (関英 昭
「協 同組 合 と 「理事会」制度 一改正農協法の 問題点 ‑」農協金融法務235号12頁 (平成4 年)参照)0
C2) 上柳 .前掲注(4)98頁注(1),全 国農業協 同組 合 中央会編 『JA教科書 新版 ・農業協 同組合 法』(家の光協会,第4版,平成16年 )180頁。
個 拙稿 「協 同組 合 にお け る外 部監査 の研 究 (要約)」神戸外大論叢51巻2号79頁 (平成12 年)参照。
伽 協 同組 合 が企業 自体 の方 向 に発 展 す る要 因,発展 を防止す る協 同組合 の仕組 み につい ては ドイツで優れ た研究がな されている。例 えば員外利用 の増加 とい う協 同組 合特有 の 現象が生 じれ ば,組合員意思 が事業遂行 に対 して有す る影響力 は減少す るとい う(Bemi1虻d Grossfeld,Genossenschaftund Eigentum :Zur
Problematik des"wirlschaftlichen"Eigentum s derGenossen,1975,S.24125.小林郡 司 「協 同組合の本質 ‑B. グロスフェル ト教授 の論 文 「協 同組合 と所有」に関す る研究 ノー トー」
青 山社会科学紀要20巻1号137‑138頁 (平成 3年)も参照 )。わが法秩序 において,協 同 組 合 の株 式会社 ‑ の道 につ いて考察す る際 に示唆的である。
脚 荷見武敬 『協 同組合学 ノー ト』 (家 の光協 会,平成4年 )67頁。
朗 拙稿 「協同組合的株式会社(genossenschafdiche Aktiengesellschaft)につい て」共済総合研 究 38号43頁 (平成13年 )参照。
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