豊島区基本構想・基本計画策定に向けた区民ワークショップ 第3分野:生活、文化、教育 部会
第5回 討議要旨
日 時:平成14年(2002 年)11月27日(水)19: 00∼21: 20 会 場:豊島区役所第4会議室
欠 席:7名
◆ 今回の主要討議事項◆
1.前回、前々回に続き、A・B2グループに分かれて、将来都市像につながるキー ワードをカードに整理した。
2.全体でカードの内容をもとに、将来都市像の案を検討した。その結果、「ラテン」 というキーワードで表現できる、個性を大切にしたまちづくりを進めることを都 市像の基本的な考え方をすることで合意した。
3.その他
・スケジュール 次回(第6回)平成 14 年 12 月 18 日(水)19: 00- 21: 00 (第7回)平成 15 年1月 29 日(水)19: 00- 21: 00 ・第6回の開催に関する通知等は次回開催前に事前発送予定。
1.将来都市像の検討に向けたグループ作業 (討議内容)
・ 前半は2グループに分かれて、将来都市像のキャッチフレーズ、キーワードについて
ブレインストーミングを行った。(内容をカードにまとめる。)
・ 西河コーディネーターがカードの内容を1枚ずつ読み上げた。
2.将来都市像の検討に関する全体討論
■ 西河さん
・ いまカードを読み上げたが、将来都市像に結びつきそうな言葉が数多く出てきたと思
う。何か意見があれば自由に交換したい。
■ J
・「豊島区をラテン化」というカードがあるが、感覚的にはよく理解できるのだが、も
う少し補足説明してもらえるとありがたい。
■ B
・ 皆さんが書かれているように、豊島区は池袋という地区を抱えており、区民からする
と、池袋を中心とする産業と我々の生活が乖離している感覚がある。昔であれば、池
袋の賑わいそのものが豊島区の文化であるということも言えたのだが、最近は池袋近
辺を歩いていても非常に厳しい顔をした人が多い。これからは低成長の時代になるが、
で帰ってこない、あるいはひどい場合には単身赴任で離ればなれになる、子供は塾に
行っており11時頃に母親が迎えに行く、そんな生活が当たり前とされてきた。しか
し、これが本当の「生活」といえるだろうか。根本的なところから考え直さないとい けないのではないか。生活とは、文字どおりいきいきと生きるということで、日々生
きていて楽しく、嬉しくないと、生活していても全然生きている実感が持てないので
はないか。
・ 「楽しい」「嬉しい」のチャンピオンへ、豊島区の人たちが生活して楽しいと日々感
じられる都市にしようという意味で、少しインパクトのあるフレーズをということで
「ラテン化計画」とした。
■ J
・ いつでもカーニバルのような賑わいがあるまちということか。
■ B
・ いや、ここで使っている「ラテン」というのは、お祭り騒ぎをすることだけを意味し
ているのではない。生きていること自体が楽しいということを、我々自身が再認識し
ないといけないということである。
・ 総じて日本人の今までの生活を、「楽しい生活」と評価する人はいないだろう。私自
身は日々の生活が少しでも楽しくなるよう努力しているが、他人を見ているとどの人
も険しい顔をしていて、とても生活を楽しんでいるようにはみえない。
■ 西河さん
・他に質問や意見があればお願いしたい。
■ B
・「後づけできるまち」というカードがあるが、これについて補足説明していただきた
い。
■ 西河さん
・ そのカードは私が書いた。昔の日本社会では、ある地域で生を受けると、そのまま同
じ地域で育って、生を終えるというのが一般的であった。しかし、現代は人口移動も
容易になり、海外からの移住や帰国子女など、多様な人口動態によって一人ひとりの
人生のステージは様々な場所や地域に移っていく。
・ こうした時代変化は、地域にとっては、地元のコミュニティに新しい住民が入ってき
たり、4∼5年程度住んだだけで別の地域に移ってしまう「腰掛け」の人が増えてく るなど、コミュニティの構成が不安定になることを意味する。しかし、こうした面を
プラスに捉えて、色々な人をいつでも受け入れることができる開放的なコミュニティ
や地域としていくことが、結果的にはまちの活力の源泉となると考えている。「後付
け」とは、もともとマージャン用語であるが、コミュニティや地域が常に色々な人に 門戸を開いてほしいという願いを込めてカードを書いた。
・ 「私を8で割って 120 にするまち」というカードについても補足説明をお願いした い。
■ 西河さん
・ そのカードも私が書いた。
・ これは、個人の欲求を少し我慢して、その分を地域、コミュニティ、自然環境に還元
することによって、結果的には一人ひとりがプラスアルファの満足感を実感できるま
ちにしたいという意味である。
■ 西河さん
・ いまカードをみていて気が付いたが、「多元的価値観」ともいうべきキーワードがた
くさん出ているようだ。これは色々な考え方や価値観を認めていこうという意味で、
これまで行政が重視してきた公共性などの考え方とは異なる価値観である。こうした
ことを明確に将来都市像として取り上げることも重要ではないか。
■ B
・ 文化施設として、区民が集える広場を豊島区の中心部につくりたいという趣旨のカー
ドを入れ忘れてしまった。最終の都市像を検討する際には一つの視点として加えてい
ただきたい。
■ G
・ 文化に関するカードをみていると、やや演劇に関するキーワードが多くみられる。美
術、映画、音楽、寄席、古典芸能など、芸術文化全体のことがイメージできるように 配慮していただけるとありがたい。
■ 西河さん
・ カード全体をみて、一つのフレーズにまとめると、「ラテン」というのも悪くないか
もしれない。
■ O
・ 「ラテン化計画」と聞いて、スペインに長期間取材に行った経験を思い出した。スペ
インの人々は、シエスタ(昼寝)し、ゆったりのんびり時間を過ごし、約束の時間も
遅れる。「なぜそんなにのんびりしているのか」と聞いたら、反対に「なぜ日本人は
そんなに急ぐのか」と聞き返されてしまった。彼らにしてみると、「我々は一度世界
を征服したが、だからといって急に裕福になったりしたわけではない。どうせその程
度なら、人生急ぐ必要はない」と言われた。ゆったりのんびり自分のペースを守った 生活ができれば自然に笑顔になれるのではないかということである。演劇を楽しみ、
映画を楽しみ、のんびりした時間を皆で過ごす、「ラテン化計画」とは、言い換えれ
ばスローライフの実践でもある。スローライフなら、笑って暮らせると、当時の取材 を通じて感じたのを思い出した。
■ 西河さん
えないようである。
■ H
・ 人間の五感の中で、「触感」は特に大切な感覚だと思う。うまく言えないが、まちづ
くりにおいて触感を大切にすることが一つのキーワードにならないかと思っている。 例えば教育の中でも、社会を体験したり、様々な人と交流したりすることは、まさに 触感を駆使することである。
■ 西河さん
・ 「ラテン化計画」とは少し矛盾するように聞こえるかもしないが、これからのまちづ
くりには「喜怒哀楽」の「怒」、それも「健全な怒」を認めていくことが重要と考え
る。人間にとって「喜」「哀」「楽」を表現するのは比較的に簡単であるが、「怒」だ
けは相当のエネルギーが要る。「怒」が悪い方向に作用すると、無用の対立や争いが
起こる。しかし、「怒」がうまくぶつかり合うと、それは健全な批判として機能し、
新たな価値の実現や問題の解決が可能となる。先ほどの「触感」と同様に、喜怒哀楽 の「怒」がポイントであると考える。
■ G
・ 触感には、風、土、水、川を感じるといった自然との交流も含まれるだろう。
■ J
・ 自然との交流が進めば、地域ごとに散策路のようなスポットも増えていく流れができ
るだろうし、スローライフの実践にもつながるだろう。
■ B
・ 「触感」について、最も重要なことは、「触り方」である。優しく触るのか、荒々し
いのか、あるいは触らない方が良いことを体験した方が良いのか。特に教育という観
点から触感を考えるには、そのあたりまで踏み込むとよりきめ細かい議論ができる。
■ H
・ 昆虫は目が見えなくても触覚があれば生きていける。人間も、仮に耳が聞こえず目が
見えなくても触感があればなんとか生きていける。一番大切なのは触感だろうという
感覚があり、カードに書いた。しかし、たしかに、触感の中身を考えることが重要で あるという意見には賛成である。
■ 西河さん
・触感が一番原始的な感性であるということか。
■ H
・ テレビを見ていて体験したような気になるのが一番問題であると考える。自分で体験、
経験しながら、触りながら、生きていく力を身に付けてほしいということである。
■ 西河さん
■ B
・大したことではないが、区民提案書案の内容について、「私たちが考える豊島区の現状と 理想その1」の中に、「六義園があり買い物がしやすい」という表現あるが、六義園の所 在地は厳密にいうと豊島区ではないので、できれば違う言葉にした方が良いのではない か。
■ 西河さん
・将来都市像のまとめ方について、事務局では、一応「生活・教育・文化」というテーマ 別の設定を想定しているようであるが、これまでの議論の流れから考えると、「スローラ イフ」「ラテン化計画」のような統合的な概念でくくっても面白いかもしれない。
■ O
・「豊島区ラテン化計画」というのは考えれば考えるほど面白い。非常に的を射た表現であ る。
■ 西河さん
・第2分野の将来都市像も、単なる分野別の設定ではなく、一部横断的なキーワードでま とめている。
■ B
・「ラテン」は誤解されていると思うが、言いたいことは、価値観の転換が必要であるとい う点である。
■ O
・「ラテン」という言い方は、商業地区と住宅地区が混在する良い意味で雑多な豊島区の感 じが出ていて、非常に分かりやすい。
■ 西河さん
・例えば「ラテン」のような包括的な考え方で将来都市像を設定した上で、教育や生活な どに落としていけば、インパクトのある提言になるのではないか。
■ B
・我々は、競争とかぎすぎすした人間関係に辟易としており、何かを変えなくてはいけな いという気分を持っている。こんな人生を続けても仕方がないという意識がある。
■ O
・「ラテン化計画」というとイメージとして、先程の喜怒哀楽ではないが感情を素直に表現 すること、五感に対しても素直に、また自己表現をするということにもつながる気がす る。
■ G
・ただ、一般の人にはきちんと説明しないと非常に浮いた言葉になるだろう。
■ B
とを目標にやってきたが、「ラテン」の価値はそういうことではなく、人間の欲望を8掛 けにして一人ひとりの人間性を開放することにある。シエスタのように、寝たい時に寝 るのが良い、酒や博打もやりたい人がやれば良い、正直に生きろということである。す べてのものに対して唯一の焦点を定め、それに向かってみんなこれについて行かねばな らない、これに勝ち上がらないと日本は駄目になるということではない。一人ひとりが 違っていて良い。それぞれ個性的な欲求や欲望があるわけで、それを人に迷惑をかけず に楽しく過ごし「おまえも楽しそうだ、俺も楽しくやっているぞ」という形で笑いあえ る世の中の方がこれからの生活に合っているのではないかと思う。結局、元を辿れば、 日本は戦後以降、アメリカという国に追従してきた。しかし、これからはむしろヨーロ ッパ、それもラテン系の国々を手本にした方が良いと思う。
■ O
・今の説明の中で「酒でも博打でも」とあったが、そこはやめておいた方が良い。社会上 の問題としてかえって「ラテン」の評価を下げてしまう。(笑)アメリカ的価値観から生 活を大事にするヨーロッパ的価値観に移行した方が良いという意見について大賛成であ る。
■ B
・今までの戦後の日本に「生活」はなかったのかもしれない。ただの消耗品として人間が 位置付けられてきただけであるから、もう少し人間を取り戻した方が良いのではないか。 聞いていて皆さんがそう思っているのだと感じた。昔何もなかった時には夢があって楽 しそうだったと、今から考えるとそう思える。今の人は、物質的には豊かであるが全然 楽しそうにみえない。本当に厳しい顔をしている。
■ H
・多元的価値という考えからすると、「ラテン」一辺倒である必要はない。これまでと同様 に、競争本能に任せて頑張ればいい。人間は、「よーいドン」と言われれば走ってしまう のだ。一番になりたい人もたくさんいるし、運動会は大嫌いという人もいる。両方とも 認めるということでいいのではないか。非効率が悪いということ自体がおかしい。非効 率は充実度が高いという言い方をすれば変わってくる。両方認めたい。
■ B
・池袋を抱える豊島区は、ただでさえ競争社会としての顔を持っている。繁華街の店舗は めまぐるしく入れ替わり、人口の流入も激しい。忙しそうなビジネスマンも沢山いる。 しかし、区民としての我々はそういう世界に巻き込まれたくない。もちろん、区民も産 業経済人として仕事もしているが、池袋という日本有数の繁華街を抱えているだけにそ れとは逆の欲求も非常に強いということだと思う。
■ 西河さん
パクトのある提言ができたと思うので、後半戦の基本計画についても積極的に議論がで きるとありがたい。