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     岩石の浸透性に対して

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 高 田 迪 彦

学 位 論 文 題 名

     岩石の浸透性に対して

破壊や溶解が及ぼす影響に関する研究 学位論文内容の要旨

  近 年、高レベル放射性廃棄物の 地層処分における安全性検証誼どのため、地下環境における物質 移行 の把握は重要顔課題と顔って いる。岩石中の移流現象は 物質移行の代表的款機構のーつであ り、 この点から岩石の浸透性を把 握すること重要であると考えられる。岩石の浸透性は、高レベル 放射 性廃棄物の地層処分だけで教 く、石油や天然ガスの開発、地熱エネルギーの利用をどにおいて も重 要である。

  高 レベル放射性廃棄物は人類に とって有害であり、これを安全に処分するためには生活圏から長 期間 隔離処理する必要がある。高 レベル放射性廃棄物には半減期が非常に長い放射性物質が含まれ てい るため、安全に処理するため には数万年オーダーの長期間に渡って人類から遠ざけて処理する 必要 があり、日本においては地層 処分が高レベル放射性廃棄物処理の基本的教方針と款っている。

地層 処分の安全性の検証に謡いて は、核種の流出を防ぎ地下の処分空洞内に封じ込めることが重要 であ り、原位置岩盤の浸透性も安 全性の検討において不可欠である。また原位置岩盤は掘削の段階 で損 傷を受けることや、数万年と いう時間の経過と共に、浸透性が変化する可能性があり、これら の要 因によって浸透性がどのよう に変化するかを把握する必要がある。破壊や圧力溶解現象が岩石 の浸 透性におよばす影響について は、まだ明らかに生っていをい部分が多くあり、解明が望まれて いる 。本研究では浸透性に影響を およばし得る現象として、 破壊と溶解に関して検討を行った。

  破 壊が浸透性におよばす影響を 明かにするために、圧縮破 壊過程に室内実験による検討を行っ た。 実験には岩石試料として来待 砂岩を用いた。実験では地下の応カ状態を模して、供試体に三軸 圧縮 応カを加え、最大種応カを徐 々に増加させるてとで破壊 を進行させ、変形挙動と浸透性の変 化、 空隙率の変化を調査した。実 験条件は、室温で封圧5.0〜15.0 MPa、最大軸ひずみ5ワ。程度ま でで 行った。浸透性の計測はトラ ンジェント・パルス法によ って行った。空隙率の変化はシリン ジ・ ポンプを用いて間隙水量の変 化を計測することで求めた。また実験に用いた岩石から薄片を作 成し 、薄片の観察や画像解析を行 い、破壊過程における岩石構造の変化や、封圧がおよばす影響に つい て調べた。

  実 験によって以下のことが明ら かと汝った。封圧5.0.7.5 MPaの実験では、軸差応カが比較的小 さい 段階において固有浸透率は若 干減少し1.0〜2.0x10―18 m2程度の値であった。その後はピー ク強 度に近づくにつれて増加し、4.0〜6.0X10−18 m2程度の 値が見られた。軸ひずみ約4.0%の段 階で 固有浸透率は若干減少した。 封圧が10.0、15.0 MPaの実 験では固有浸透率の変化は軸ひずみ 5.0%程度まででは小さかった。

  薄片 の 画像 解析によ って、封圧5.0 MPaの状況に おける、破壊の進行の過程を 定量的に調査し     ―779−

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た。破壊が進むにっれて、空隙の最大径をどが増加することを定量的に確認した。また封圧の違い によって生じた破壊形式の違いを定量的に示した。

  実験において見られた、封圧の増加によるぜぃ性的を破壊から延性的誼破壊への破壊形式の変化 が生じた原因の検討を行った。有限要素法による弾性解析によって端面拘束が及ばす影響につい て検討を行い、端面拘束によって封圧が低い場合には、供試体の角の部分と中央の部分が破壊し易 く、供試体を斜めに横断する亀裂が生じ易く次ることを示した。

  浸透率に影響をおよばす要因として、圧力溶解も重要教現象であると考えられており、様々を研 究が行われている。しかし、応カが溶解速度を促進するメカニズムや、応カと溶解速度の定量的誼 関係、岩種による違いをどについては明らかにされておらず解明が望まれている。圧力溶解とは岩 石を構成する鉱物が応カを受けることで、周辺の水への溶解が促進される現象である。本研究では NaCl結晶を対象とし、応力下における自由面の溶解の機構について検討した。NaCl結晶を対象と した理由は、NaCl結晶に関する溶解の実験がいくつか行われており、これら既往の実験の結果と 比較を行うことで本研究において提案するメカニズムの妥当性について検討が出きると考えたため である。

  本研究では応力下における自由面の溶解の速度論には結晶自由面近傍の性質が重要を役割を果た すと考え、自由面近傍の応カや、弾性定数を用いて、応カと溶解速度の関係を定式化することを試 みた。提案したメカニズムを検討するためには、自由面近傍の応カや、弾性定数が必要と次るがこ れを実験的に計測することは難しいため、分子動力学法によるシミュレーションを行い、数値計算 によって推定することを試みた。また数値計算により得られた結果と、既往の研究の比較を行い応 力下における自由面溶解のメカニズムについて論じた。

  分子動力学法のシミュレーションの結果、自由面近傍の一番外側のイオンにおいて自由面に平行 極方向に大き教引張直応カが生じていた。応カの値は自由面近傍が真空の条件で約‑2.25 GPa、水 分子が存在する条件では約―1.02 GPaとをり、引張応カは水分子の存在によって緩和されるという 結果が見られた。また弾性定数についても自由面第ー層の値がこれより深い部分と多少異教る結果 と教った。弾性定数の計算結果はCxxxエ及びCyyyyは64 GPa、Cxryyは14 GPa、Cxyxyは18 GPa程 度の値であった。この結果から、結晶に対して自由面と平行極方向にさらに引張応カを加えること で、結晶自由面近傍における1 molあたりのGibbs自由エネルギーは増加し、溶解しやすく顔ると 考え ら れ る。 こ の こと は い くっ かの既 往の研究 と定性的 に一致 すること を確認 した。

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学位論文審査の要旨 主査    教授    藤井義 明 副査    教授    米田哲 朗 副査    教授   金子勝比古 副査    准教授   児玉淳一

学 位 論 文 題 名

     岩石の浸透性に対して

破壊や溶解が及ぼす影響に関する研究

  近年、高レベル 放射性廃棄物の地層処分にお ける安全性検証をどのため、地下環境における物質 移行の把握は重要 顔課題と没っている。岩石中 の移流現象は物質移行の代 表的教機構のーつであ り、この点から岩 石の浸透性を把握すること重 要であると考えられる。岩石の浸透性は、高レベル 放射性廃棄物の地 層処分だけで教く、石油や天 然ガスの開発、地熱エネルギーの利用をどにおいて も重要である。

  高レベル放射性 廃棄物は人類にとって有害で あり、これを安全に処分するためには生活圏から長 期間隔離処理する 必要がある。高レベル放射性 廃棄物には半減期が非常に長い放射性物質が含まれ ているため、安全 に処理するためには数万年オ ーダーの長期間に渡って人類から遠ざけて処理する 必要があり、日本 において独地層処分が高レベ ル放射性廃棄物処理の基本的極方針と誼っている。

地層処分の安全性 の検証においては、核種の流 出を防ぎ地下の処分空洞内に封じ込めることが重要 であり、原位置岩 盤の浸透性も安全性の検討に おいて不可欠である。また原位置岩盤は掘削の段階 で損傷を受けるこ とや、数万年という時間の経 過と共に、浸透性が変化する可能性があり、これら の要因によって浸 透性がどのように変化するか を把握する必要がある。破壊や圧力溶解現象が岩石 の浸透性におよば す影響については、まだ明ら かに橡ってい教い部分が多くあり、解明が望まれて い る 。 筆 者 は 浸 透 性 に 影 響 を 及 ば し 得 る 現 象 と し て 、破 壊と 溶解 に関 し て検 討を 行っ た 。   破壊が浸透性に およばす影響を明かにするた めに、圧縮破壊過程に室内 実験による検討を行っ た。実験には岩石 試料として来待砂岩を用いた 。実験では地下の応力状態を模して、供試体に三軸 圧縮応カを加え、 最大種応カを徐々に増加させ ることで破壊を進行させ、 変形挙動と浸透性の変 化、空隙率の変化 を調査した。浸透性の計測は トランジェント.パルス法によって行った。空隙率 の変化はシリンジ ・ポンプを用いて間隙水量の 変化を計測することで求めた。また実験に用いた岩 石から薄片を作成 し、薄片の観察や画像解析を 行い、破壊過程における岩石構造の変化や、封圧が およばす影響につ いて調べた。

  実験によって以 下のことが明らかと趣った。 低封圧の実験では、軸差応 カが比較的小さい段階 において固有浸透 率は若干減少した。その後は ピーク強度に近づくにつれ て増加し、軸ひずみ約

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4.0%の 段階で固有浸透率は若干滅少 した。高封圧の実験では固 有浸透率の変化は軸ひずみ5.0%程 度まででは小さかった。

  薄片の画像解析によって 、低封圧の状況における、破壊の進行の過程を定量的に調査した。破壊 が進むにつれて、空隙の最 大径をどが増加することを定量的に確認した。また封圧の違いによって 生じた破壊形式の違いを定 量的に示した。

  実験において見られた、.封圧の増加によるぜぃ性的教破壊から延性的教破壊への破壊形式の変化 が生じ た原因の検討を行った。有限 要素法による弾性解析によ って端面拘束が及ばす影響に つい て検討を行い、端面拘束に よって封圧が低い場合には、供試体の角の部分と中央の部分が破壊し易 く、供試体を斜めに横断す る亀裂が生じ易く顔ることを 示した。

  浸透率に影響をおよばす 要因として、圧力溶解も重要を現象であると考えられており、様々を研 究が行われている。圧力溶 解とは岩石を構成する鉱物が応カを受けることで、周辺の水への溶解が 促進さ れる現象である。本研究ではNaCl結晶を対象とし、応力 下における自由面の溶解の機 構に ついて検討した。

  応力下における自由面の 溶解速度には結晶自由面近傍の性質が重要顔役割を果たすと考え、自由 面近傍の応カや、弾性定数 を用いて、応カと溶解速度の関係を定式化することを試みた。提案した メカニズムを検討するため には、自由面近傍の応カや、弾性定数が必要と誼るがこれを実験的に計 測することは難しいため、 分子動力学法によるシミュレーションを行い、数値計算によって推定す ることを試みた。また数値 計算により得られた結果と、既往の研究の比較を行い応力下における自 由面溶解のメカニズムにつ いて諭じた。

  分子動力学法のシミュレ ーションの結果、自由面近傍の一番外側のイオンにおいて自由面に平行 顔方向に大き教引張直応カ が生じていた。この結果から、結晶に対して自由面と平行綏方向にさら に引 張応 カを 加え る こと で、 結晶 自 由面 近傍 にお ける1 molあ たりのGibbs自由エネルギー が増 加し、溶解しやすく教ると 考えられ、また、いくっかの既往の研究と定性的に一致することを確認 した。

  これを要するに,著者は,岩石の浸透性に対して破壊や溶解が及ばす影響について数々の新知見を 得たものであり,岩盤工学に対して貢献するところ大をるものがある。よって著者は,北海道大学博 士(工学)の学位を授与さ れる資格あるものと認める。

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