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行動分析学的フィードバックとマウススプレーを用いた口腔衛生管理による口腔乾燥症に対する有効性

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Academic year: 2021

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1.はじめに 高齢者の口腔衛生状態を悪化させる因子の一つに 口腔乾燥症が挙げられる.口腔乾燥症がある場合 は,口腔内の衛生状況が悪化しやすくなるとされ る1).口腔乾燥症になると唾液による抗菌作用や洗 浄作用が低下することから,う や歯周疾患,味覚 障 害,口 臭,口 腔 カ ン ジ ダ 症 な ど の リ ス ク が あ る2).会話や咀嚼が難しくなることでストレスに繋 がることが知られている3).くわえて口腔乾燥症の 患者は,口腔乾燥症でない患者と比べて睡眠障害, うつ,不安を合併しやすいことが報告されている4) 口 腔 状 態 の 悪 化 は 全 身 疾 患 や QOL(Quality of life)と関係するという先行研究の知見から,口腔

資 料

行動分析学的フィードバックとマウススプレーを用いた

口腔衛生管理による口腔乾燥症に対する有効性

The effectiveness of mouth spray and oral management

in patients with xerostomia

荒木 完途

*1

杉田 之宏

*2

水上 勝義

*3 抄録:【目的】回復期リハビリテーション病棟に入院中の口腔乾燥症を有し口腔ケアが自 立して行える患者に対して,行動分析学的フィードバックとマウススプレーを用いた口腔 衛生管理の影響の有効性を検討することを目的とした.【方法】ランダム化二重盲検並行 群間比較試験として実施し,回復期リハビリテーション病棟に入院中の患者10名を対象 に,γ―PGA マウススプレーを配布し口腔衛生管理を実施する群と,同条件で行動分析学 的フィードバックを中心とした口腔衛生管理を実施する群に割り当て,研究開始時と4週 間後のデータを解析した.【結果】全体の40%が口腔乾燥症から寛解した.行動分析学的 フィードバックがあった群では60%が口腔乾燥症から寛解した.口腔の全体的な状態を示 す評価に有意な差が認められた.【結論】口腔乾燥症を有する患者に対して行動分析学的 フィードバックとマウススプレーを用いた口腔衛生管理は有効な対策である可能性が示唆 された. キーワード:行動分析学,口腔衛生管理,口腔乾燥症,フィードバック 2020年9月12日受理 *1 Kanto Araki成蹊大学 アジア太平洋研究センター(〒180―8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3―3―1) E―mail : [email protected] *2 Yukihiro Sugita 赤羽リハビリテーション病院 *3Katsuyoshi Mizukami 筑波大学大学院人間総合科学研究科

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乾燥症は口腔状態の悪化のみならず,全身疾患や QOLの悪化につながるため,その予防や対応は重 要である.口腔乾燥症の対策として,生活習慣の改 善や口腔内の保湿を目的とした人工唾液,ジェル, 洗口液などのケア剤の利用,唾液分泌を促す唾液腺 マッサージ,口腔内を清掃する口腔ケアが挙げられ るが5)6),これまでのところ定説を見るには至ってい ない.口腔乾燥症はとくに高齢者が多い入院・入所 施設において多く発生し,その対応が急務である7) 口腔乾燥症の一因として,治療薬剤や病院内の環境 も挙げられるが,速やかな処方薬の変更や病室の環 境の調整は困難である.とりわけ回復期リハビリテ ーション病棟では集中的なリハビリテーションに一 定の入院期間が必要となるため,患者が口腔乾燥症 を有している場合,入院期間中に口腔状況を悪化さ せないために効果的な対処が求められる.また,こ れまで口腔乾燥症の先行研究の多くはセルフケアが できない者を対象としたものであった.しかし,入 院患者や施設入所者においては,要介護者よりも口 腔整容についてセルフケア可能者の方が,口腔衛生 状態が悪いことが報告されている8)9).口腔整容につ いてセルフケア可能者は,介護職員の注意が払われ にくく,要介護者以上に口腔衛生状態が悪化するこ とも懸念される.このため口腔整容についてセルフ ケア可能者に対する口腔乾燥症や口腔衛生改善のた めの研究が必要である. ところで,リハビリテーションの効果的な方略と して行動分析学的フィードバックが報告されてい る10).とりわけ視覚的なフィードバックは認知症や 整形外科疾患,心疾患などのリハビリテーションに 対して有効性が示されているほか11),回復期リハビ リテーション病棟入院患者を対象としたランダム化 比較試験においてもその効果が示されている12) そこで,本研究では,口腔整容についてはセルフ ケア可能な回復期リハビリテーション病棟入院患者 に対して,唾液分泌効果が示唆されているγ―PGA マウススプレー13)に加え,行動分析学的な枠組みに 基づき,口腔状態の計測直後に,患者に対してフィ ードバックすることが,口腔乾燥症や口腔衛生状態 にどのような影響を及ぼすか探索的に検討すること を目的とした. 2.方 法 2.1 対象 都内にある回復期リハビリテーションを専門とし ているA病院に入院中で,問診および口腔整容がセ ルフケア可能な患者とした.期間内にエントリーが あり同意が得られた16名のうち,研究プロトコルに 従 い,研 究 参 加 可 能 と 担 当 医 師 が 判 断 し た10名 (62.5±12.8歳)を対象とした.これら対象者を歯 科衛生士(以下,DH)が口腔衛生管理の 下 でγ― PGAマウススプレー(アクアバランス,ライオン) を配布する Control group(以下,C群)5名と, DHが口腔衛生管理の下でγ―PGA マウススプレー を配布するとともに,口腔状態の計測データを患者 に対してリアルタイムで視覚的にフィードバックを する Intervention group(以下,I群)5名に無作 為に分類した.マウススプレーの使用による即時的 な湿潤効果の影響を避けるため,マウススプレーを 研究実施施設側で厳格に管理し,患者は計測の約3 時間前から,マウススプレーを使用できない状況に し た.い ず れ の 群 に お い て も DH は Professional Mechanical Tooth Cleaning(以下,PMTC)などの 直接的なクリーニングは行わずに,口腔状態の評価 のフィードバックおよびマウススプレーの使い方や 口腔状況に関する情報の提供のみを行った.なお, 1)重篤な全身疾患を有する者,2)急性疾患合併例 や意志の疎通が困難な者,3)認知症を認める者, 4)人工唾液,湿潤液を使用している者,5)口腔内 の治療中である者,6)担当医師が本研究を安全に 実施するのに不適当と判断した者を,対象者から除 外した. 2.2 倫理的配慮 本研究は,ヘルシンキ宣言および臨床研究に関す る倫理指針に従い,赤羽リハビリテーション病院倫

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理審査委員会の承認を得て実施した(2016年8月31 日).研究に先立って,本人ならびに代諾者に文書 と口頭で研究についての説明を行い,文書で研究参 加に対する同意を得た. 2.3 実施期間および場所 2016年10月1日から2016年12月27日までの期間, 病室で実施した. 2.4 研究デザイン 本研究はランダム化二重盲検並行群間比較試験と して行われた.臨床に即した介入効果の判断,ラン ダム化維持およびバイアス最小化のために Inten-tion―to―treat 解析を用いた.口腔内細菌数を主要評 価項目とし,フィードバックは口腔ケアの先行研 究14)と同様に週1回(計4回)のペースで4回行っ た. 2.5 データ入手方法 同意が得られたのちに年齢,性別などの基本属性 ならびに臨床データを診療録から入手した.患者に フィードバックを行う DH とは別の DH が,口腔 状態の評価を歯科用探針および歯科用ミラーを用い て医師の指導の下に行った.なお,いずれの DH も歯科臨床でのキャリアが20年以上であり,くわえ て,研究実施にともなう機材の使用方法や評価方法 を確認する目的で研究実施前に10時間の研修を受け ていた.事前のプロトコルに従い,ランダム化前 と,4回の介入終了後の2点のデータを分析対象と した.ただし,介入自体に影響がでないように,フ ィードバックに用いるデータとして,I群からは毎 週フィードバックに使うデータ(口腔内細菌数の計 測結果,歯垢除去率,唾液潜血試験結果,口腔機能 状態,口腔の全体的な状態)を毎回の介入前に採取 した. 2.6 評価項目

年 齢,性 別,Functional Independence Measure

(以下,FIM),Functional Balance Scale (以下, FBS),服薬数,現在歯数,健全歯数,未処置歯数, 処置歯数,口腔炎症の基本属性などに加えて,以下 の口腔評価を行った.なお FBS については先行研 究において口腔内水分 と ADL(Activities of daily living)やバランス機能が関連することが報告され ていることから15),評価項目とした. 2.6.1 口腔内細菌数 先行研究6)で口腔乾燥や口腔状態との関連が示さ れていることから,口腔内細菌数を計測した.唾液 中の細菌数の測定は DEPIM 法を使った細菌測定装 置(細菌カウンタ,パナソニックヘルスケア)を使 用し舌背中央部の 1cm 部分を3往復させたものに 統一した.DEPIM 法とは誘電泳動で水中の細菌を 濃縮し電気的に検出する方法であり,ほぼ正確な細 菌数が測定できることが明らかになっている16).細 菌レベルについては,メーカーの添付文書に従い, 機材に表示される1∼7レベルとした.すなわち, 口腔内細菌数が10万個未満はレベル1,10万∼100 万個未満はレベル2,100万∼300万個未満はレベル 3,300万∼1000万個未満はレベル4,1000万∼3000 万個未満はレベル5,3000万∼1億個未満はレベル 6,1億個以上はレベル7とした. 2.6.2 歯垢除去率 プ ラ ー ク の 付 着 状 態 は,プ ラ ー ク 染 色 液 (PROSPEC, GC)にて染色後,Plaque Control

Re-cord(以下,PCR)で評価した. 2.6.3 唾液湿潤度検査 唾液湿潤度検査には,薄層クロマトグラフィーの 原理を応用し,メンブレンフィルターをポリエステ ル フ ィ ル ム に 製 膜 し た 検 査 紙(キ ソ ウ エ ッ ト, KISOサイエンス)を用いた.測定部位は舌尖から 約 10mm の舌背中央に同定し,検査紙を10秒間接 触させ,唾液によって検査紙が湿潤した幅を測定し て口腔乾燥の判定を行い,軽度以上の乾燥を口腔乾 燥症とした. 2.6.4 口腔状態の総合指標

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を基本とし,これらに開口度,歯の状態,口臭の3 項目を追加した8020推進財団の ROAG 改良版を用 い た18).く わ え て,Oral Health Assessment Tool (以 下,OHAT)19)お よ び Oral Assessment Guide (以下,OAG)20)を用いて評価した.いずれもスコ アが低いほど口腔状態が良いことを示す. 2.6.5 唾液潜血試験 歯肉炎・歯周炎の指標となる唾液潜血試験はエビ デンスがあり21),金コロイド標識した抗ヒトヘモグ ロビン・モノクローナル抗体で免疫学的に唾液のヘ モグロビンを検出するペリオスクリーン(サンスタ ー)を用いて,潜血反応の有無を判定した. 2.6.6 口臭状態 口臭状態の評価は6段階で口臭を測定できる口臭 測定器(ブレスチェッカー HC―212S,タニタ)を 用いた.点数が低いほど口臭がないとされる. 2.7 フィードバックの手続き C群,I群ともに DH が口腔衛生管理の下で口 腔乾燥症について説明を行い,初回評価時にマウス スプレーを配布するとともに添付文書を元に使用説 明を行った.I群では,全ての口腔指標の評価を終 えた直後にその場で口腔内細菌数,細菌レベル,歯 垢除去率,口腔状態について説明を行うとともに計 測データを視覚的にフィードバックした.口腔内細 菌数,細菌レベルは機材に表示される数字を計測直 後同じ場所でフィードバックした(図1).以下同 様に,歯垢除去率は鏡の付いた洗面台前でプラーク の位置が分かるように染色した直後に,口腔状態は 各指標(ROAG,OHAT,OAG)のスコアを算出し た直後に,先行研究22)でヒトにおいて行動分析学的 な強化が成立する指針とされる60秒以内にフィード バックを行った. 2.8 統計解析 各評価項目を従属変数とし,被験者間要因を群 (C群,I群),被験者内要因をマウススプレーの前 後とする分散分析(反復測定)を実施した.統計処 理 はR(version 3.2.2)を 用 い て,い ず れ も p< 0.05 を有意と判断した.なお今回の検討に関して は,症例が小集団であることから単変量解析のみ行 った. 3.結 果 10名がランダム化され10名が研究期間を完了した (図2).C群およびI群ともに実施期間中を通して 有害事象は認められなかった.ベースライン時の患 者背景を表1に示した.DH による口腔状態のフィ ードバックとマウススプレーの複合的な効果を検討 するために,独立変数を群(C群とI群)とマウス スプレー使用の前後,従属変数を口腔評価とする2 要因の分散分析(反復測定)を行った(表2).そ 図1 フィードバックの様子と使用機材 図2 ランダム化比較試験のフロー

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の結果,従属変数が ROAG,OHAT,唾液湿潤度に おいて,マウススプレーの使用の前後で有意な主効 果(それぞれ F(1,8)=6.61,p =0.03;F(1,8) =10.51,p=0.01;F(1,8)=13.50,p<0.01)が 認められ,交互作用は有意でなかった.従属変数が 口腔内細菌数では,被験者間要因で有意な主効果 (F(1,8)=5.47,p=0.04)が認められ,交互作用 は有意ではなかった.なお4週間の介入後ではC群

Control group,N=5 Intervention group,N=5

年齢(SD) 67.0(10.7) 63.4(15.8) 性別(%) 男性 4(80.0) 2(40.0) 女性 1(20.0) 3(60.0) FBS(SD) 40.6(11.1) 35.8(14.6) FIM(SD) 85.6( 7.8) 81.4(16.1) 服薬数(SD) 10.4( 9.1) 6.2( 6.0) 現在歯数(SD) 17.8(11.6) 25.4( 3.4) 健全歯数(SD) 9.2( 9.5) 11.4( 6.4) 未処置歯数(SD) 5.6( 8.3) 1.6( 1.5) 処置歯数(SD) 3.0( 4.2) 12.4( 4.1) 口腔炎症(%) なし 3(60.0) 0( 0.0) 軽度 2(40.0) 1(20.0) 重度 0( 0.0) 4(80.0)

数字は平均値(標準偏差),FBS は,Functional Balance Scale, FIMは Functional Independence Measure の略.

Control group,N=5 Intervention group,N=5 p値 主効果 開始時 終了時 開始時 終了時 口腔衛生管理 スプレー前後 交互作用 ROAG(点) 16.2( 5.0) 14.8( 3.7) 17.4( 3.9) 14.8( 3.0) 0.810 0.030† 0.46 OHAT(点) 6.6( 4.4) 5.0( 4.2) 6.2( 3.1) 4.4( 3.8) 0.840 0.010† 0.85 OAG(点) 11.4( 4.0) 10.6( 2.7) 12.0( 3.5) 10.8( 2.6) 0.840 0.160 0.77 唾液湿潤度(点) 1.4( 0.6) 2.2( 0.5) 1.4( 0.9) 2.4( 1.5) 0.860 0.006†† 0.69 口腔内細菌数(対数平均値) 6.3( 0.8) 6.4( 0.4) 7.1( 0.6) 7.0( 0.4) 0.040† 0.830 0.67 歯垢除去率(%) 66.4(31.4) 55.7(16.1) 50.9(26.0) 37.6(18.0) 0.250 0.100 0.85 口臭度(点) 2.6( 0.6) 1.8( 0.8) 2.2( 1.1) 1.4( 0.6) 0.250 0.060 1 †p<0.05,††p<0.01

数 字 は 平 均 値(標 準 偏 差),ROAG は8020推 進 財 団 の Revised Oral Assessment Guide,OHAT は Oral Health Assessment Tool,OAG は Oral Assessment Guide の略.

表1 患者背景

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で は1名(20%),I群 で は3名(60%)が,口 腔 乾燥症から寛解した. 4.考 察 本研究の目的は回復期リハビリテーションで入院 中の口腔乾燥症を有する患者が,DH の口腔衛生管 理の下に,即時にリアルタイムで視覚的な行動分析 学的フィードバックを受けγ―PGA マウススプレー を使用する場合の影響を検討することであった. 口腔内の湿潤度を示す唾液湿潤度については,主 効果のみが有意で交互作用が有意ではなかった.患 者は計測の約3時間前からマウススプレーを使用で きない状況にしていたことから,この結果はγ―PGA マウススプレーの使用による即時的な湿潤効果とは 考えにくい.むしろ,γ―PGA には唾液分泌を促す 可能性が示唆されているため13),口腔乾燥症に対し て DH の口腔衛生管理の下にγ―PGA マウススプレ ーを使用することで,γ―PGA が唾液分泌を促し湿 潤度を回復させたと考えられる.口腔の総合状態を 示す ROAG,OHAT に関しても同様に交互作用が 有意ではなかったことから,DH の口腔衛生管理の 下にγ―PGA マウススプレーを使用することで口腔 の総合状態に効果がみられた.γ―PGA の使用によ って湿潤度が高まりその結果,口腔の総合状態が改 善した可能性が考えられる.口腔内細菌数について は,群の主効果が認められた.口腔乾燥症に対して DHの口腔衛生管理の下にγ―PGA マウススプレー を使用し,即時にリアルタイムでその場所で視覚的 な行動分析学的フィードバックを受けたことが,口 腔内の衛生状態の改善や口腔内細菌数の減少と関連 する可能性が示唆された.さらに4週間の介入後, C群 で は1名(20%),I群 で は3名(60%)が, 口腔乾燥症が改善した.口腔乾燥症は自然治癒が難 しいことなどから DH による口腔衛生管理の下で γ―PGA マウススプレーを配布するとともに,口腔 状態の計測データを患者に対してリアルタイムでそ の場で視覚的にフィードバックを受けγ―PGA マウ ススプレーを使用することで,一定の対処療法がで きたと考えられる. 5.本研究の限界 本研究はパイロット試験的意味合いが強かったこ とからサンプルサイズは設定しなかったため,統計 学的に詳細な検討は行うことができなかった.今後 サンプルサイズを増やしてより詳細な検討が求めら れる.くわえて,ベースラインデータで2群間の特 徴に違いがみられたため,これらの特性が交絡因子 となり研究結果に影響を及ぼした可能性があり,結 果の解釈に慎重さが必要なこと,また今後の研究で 対象を選ぶ時点でマッチングを行い,割り付け方法 を考慮し比較の対象となる群間におけるベースライ ンの類似性を確保することが求められる. 6.結 論 ⑴ 回復期リハビリテーションで入院中の口腔乾 燥症を有する患者が,DH による口腔衛生管理の下 でγ―PGA マウススプレーを配布するとともに,口 腔状態の計測データを患者に対してリアルタイムで その場で視覚的にフィードバックを受けγ―PGA マ ウススプレーを使用する場合の影響を検討した. ⑵ 全体の40%が口腔乾燥症から寛解した.特に DHによるフィードバックがあった群に限れば対象 の60%が口腔乾燥症から寛解した.リアルタイムで その場で行動分析学的フィードバックを受 けγ― PGA配合マウススプレーを使用することで口腔乾 燥症に対して一定の効果が示唆された. 7.利益相反 開示すべき利益相反は存在しない. 8.文 献 1)山村幸江.ドライマウスの診かた.口腔・咽頭 科.2016,29(1),p. 91―98.

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