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育成複二倍体作物とその両親作物との生理生態学的性質の差異について XX 各種pH土壤における種々の生理作用の消長-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

第12巻欝1号(1960)

育成稜二倍休作物とその両親作物との

生理生態学的性質の差異について

ⅩⅩ 各種痺Ⅰ土壌に.おける種々の生理作用の消長

桑 田 晃

Studies on the differences of physiologicaland ecological

Characteristics of the artificial1y raised amphidiploid

in comparison with those ofits parents

XX On the variations of some physiologicalcharacters

under the soilshowingdifferent pH values

Hikal・u KuwADA

(Laboratory of Genetics and Breeding) (ReceivedJune7,1960) 工 緒 首 さきの肇Ⅹ1ⅠⅠ報(2)においては,人為的に作られた各種pH土壌における復二億休作物とその両親作物との種子の発 芽,幼雁物の生育ならびに開花結実について一報薯したが,本報ではこれらの生育と土壌反応との関係を,作物体の種 々の生理学的性貿と土地の物理学的および化学的性質との関連において比較研究を行ったのでその結果を報偏する・ 本稿を草するにあたり,懇篤なる御指導を賜った香川冬夫博幸ならびに当研究室各位に対し,また本研究が文部省 科学研究費の補助のもとに行れたことを附記して,ともに深甚の謝意を表する次第であるい なお植物体の化学分析, 土壌の分析は本学の土壌肥料学研究室の手を煩わした巾 あわせ虻感謝の恵を表す. Ⅱ 実験材料および方法 供試桐料は第ⅩⅠⅠⅠ報(2)と同様,オクラ(A∂♂J椚〃5Cカ錐・SgざC〝Jβ狸f〟5)(2n=124),トロロアオイ(A.丑ね捌んof) (2n=68)および複二倍体である糊麻(AgJ扉よ乃0−fβ一鴛fよJよ5)(2n=192)(1)の1系統の3作物である.各種pH土 塊の作製,測定は第ⅩⅠⅠⅠ報(9)と同様である・試験区も男ⅩⅠⅠ坤艮(2)と同様に7つの区を設けたが,そのうら酸性または アルカリ性のため,3作物中たとえ1作物でも生育が著しく不良で,以後の生理作用の芙験材料として不適当である 区を除き,しかも酸性またはアルカリ性の影響が比較的著しく現われている区と中性との3つの区を選んだ.すなわ ち酸性,中性およびアルカリ性の区としてそれぞれ3区,5区および7区を実験に供した巾各試験区の土壌のpHは実 験結果の所で示すい 実験は上塗の尺鉢を用い,各試験区1作物3鉢とした…土壌の調整は5月1日と8日で,各鉢に よく精選した種子を5n粒宛播種した播種は5月12日で,播種後約1カ月彼の発芽が略々完了したと思われる6月中 旬に間引を行い,1鉢3本仕立にして実験を・開始した1実験項目は種子の発芽歩合は勿論,草丈,整数の外に葉緑素 含量,薬の呼吸鼠,兼散乱 細胞液の濃度,集および根の乾物重ならびに.灰分などで,これらを原則として,約2週 間毎に調査し,1カ月半継続実施したn実験終了後の8月上旬に各試験区の3作物の根の解剖学的性質の調査を行っ た.なお植物体および土塊の分析は翌年の3月忙行った.. 葉緑素含駁,呼吸鼠および細胞液の此度の測定は兇ⅩlX報くS)と同様である∴蒸散鼠の測定は展開した第3番目の粟 を採り,トーンヨンバランスにかけてその貴誌減をもって裁散昆とした‖ ここでは100ダの巣が2時間に.出す水分鼠 をダで示すり乾物軋灰分は展開した罪3番目の新鮮葉を採り,これを秤二敬し,直ちに60ないし1000Cに12時間乾燥 し,乾物重を出したつぎに乾葉をあらかじめ秤量したルツボに入れて秤駁し,−温気炉に入れ3時間焼き,完全紅燃 焼させ,後取り出し,冷却後秤嵐し,灰分を出した..根の場合はこれを主根と側板とに分けて秤通した..

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香川大学農学部学術報億 10 植物体および土壌の分析中主なものの測定方法は次の如くである。置換酸度は大工原法である。容水昆,N/5HCl 可溶成分は農学会法である。T−Nはキールグール法に・より試料を分解後,塩入奥田法に・より走塩したo p206, CaO,MgOは試料を灰化し1:1のⅡClで加熱浸出したものにつき,P206はモリブデン法,CaOは篠酸石灰として, MgOは焦性燐酸苦土として重患法により走鼠した・ Ⅱ 実 験 結 果 1.土壌のpト電 解ⅩⅠⅠⅠ掛2)と同風土壌調整後20日ないし1カ月毎にpHを測定した‖その結果は第1衷に示す如ぐである各試験 第1衷 各試験区のpH 区のpHは日時の経過とともに多少変化するが,実験 終rの7月23日では3,5,7区それぞれ6・0−6り1, 7い2−7.3,8.2一−8“4であった一・このうら,3および7 区のpHは第Ⅹm報(2)に報会した如く,それぞれ酸性 およびアルカリ性のため3作物の生育匿影響をおよぼ す値である 2.種子の発芽歩合 各試験区における発芽歩合は節2衷濫示す如くであ る3,5,7区ともに発芽歩合は糊麻が最も良好 で,つぎにオクラ,トロロアオイの順である・また各 作物ともに5区の発芽歩合が叔も良好で,つぎ紅3 区,7区の順である.これらの傾向は第ⅩⅠ工Ⅰ報(2)と同 第2表 名試験区の種子の発芽歩合(%) l

・・∴

オクラトロロアカ・イl細腕 様である 3.草 丈 実験結果は解1区眈示す如くである・・各区 の3作物は日時の経過とともに草丈ほ伸長す るが,各区の全生育期間を通じ,糊麻が最も 高く,つぎにオクラ,トロロアオイの順であ る..しかも3作物の草丈は3区では5区のそ れらと著しい差異は認められないが,7区で はそれぞれ5区のそれらより相々低いり すな わち5区の他に.対し,7区の値は7月27日に おいては,t・ロロアかイは約40・0%で最も著 しく影響を受けて低く,つぎに・オクラの約55 .4%,粕麻の紺739%の順である 4.茸 数 実験結果は男2図に示す如くである・・3区 では3作物の1個体当りの柴数はそれぞれ5 区のそれらと殆んど同じで,しかもトロロア オイが最庵多く,つぎに・オクラ,翻j麻の順で ある7区では粗麻の基数は5区と大差は認 められないが,オクラ,トロロアオイの柴数 は5区のそれらより減少し,5区の他に比 し,7月27日においては,トロロアオイが約 70.2%で最も著しく影響を受けて少なく,オ クラは約80.5%である 0 0 0 nU ハ‖U 5 4 ︵ソU 2 1 艶 文︵m︶ 10 25 11 2710 Ⅵ Ⅵ Ⅶ Ⅶ Ⅵ 調 査 月 日 25 11 2710 Ⅵ Ⅶ Ⅶ ⅤⅠ 25 11 27 Ⅵ Ⅶ Ⅶ 5 4− 3 英 数 10 25 11 2710 25 11 2710 25 11 27 =二_ 二 = ___ 二二 二 ′ 二 Ⅵ Ⅵ Ⅶ ⅦⅥ Ⅵ Ⅶ ⅦⅥ Ⅵ Ⅶ Ⅶ 調 査 月 日 〔註〕葬1図紅同じ

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第12巻第1号(1960) 5.葉緑素含量 実験砧呆は男3図に示す如くであるい 3, 5区の6月11日,23日における葉緑素含遠は トロロアオイが混も多く,つぎにオクラ,糊 麻の順であるが,生育の経過とともに,オク ラ,糊麻の葉緑素合畏は増加の傾を向示し, トロロアオイは…・暗唱加の傾向を示すが徐々 に減少し,7月23日には3,5区ともに.糊麻 が最も多く,つぎにオクラ,トロロアオイの 0 5 0

∩︼ll

葉緑素食塩︵昭︶

11 23 7 2311 23 7 2311

Ⅵ ⅤⅠ Ⅶ ⅦⅥ Ⅵ Ⅶ ⅦⅥ 調 査 月 日 〔註)第1図に同じ 23 7 23 Ⅵ Ⅶ Ⅶ 順になる7区では集線落合墨二は各調査時期において,3作物いずれも3,5区におけるよりも多く,しかも糊麻が オクラ,トロロアオイよりも梢々著しく多い 6..葉の呼吸豊 実験結果は第4図庭示す如くである.呼吸 昆は5区ではオクラが最も多く,つぎにトロ ロアオイ,稲川末の順で,しかも3作物ともに 日時の経過とともに呼吸量は梢々増加の傾向 第4図 呼 吸 鼠

_ / ′

−・−・〟 ● 一 一一一 ■■■■■−■・■一−−−■−■■− 鴫−●一叫●………叫 ■■○●−− を示す‖ 3区では呼吸量はトロロアオイと糊 盤)11 23 7 2311

23 7 2311 23 7 23

Ⅵ Ⅶ ⅦⅥ Ⅵ Ⅶ Ⅶ Ⅵ Ⅵ ⅥI ⅦⅥ 調 査 月 日 〔註〕第1区Ⅰに周じ 淋は殆んど同じで,ともにオクラより少な い・しかも3作物ともに生背の初期では呼吸 嵐の大き・な増加は見られず,7月7日以後は 漸減する7区では3作物ともに3,5区に比し,全期間を通じて呼吸畳は減少するが,その割合は糊麻が最も少な い・したがって呼吸昆は7区ではオクラカミ最も多く,つぎに糊麻,トロロアオイの順となり,しかも3作物ともに試 験期間−‥い呼吸愚の増加の傾向は見られなかった 7.莫の蒸散塾 実験結果は第5図に示す如くである,蒸散 第5区l蒸 散 鼠

長ニュヱニ

●−】 ●■●●● ●一−−●−■●∼■■一…● 嵐は5区ではオクラが混も多く,つぎに糊兼30 麻,トロロアかイの順であり,しかもオク 散 嵐20 ⊥_』 ラ,糊麻は即時の経過とともに蒸散違は増加 23 7 2311 23 7 23 VI Ⅶ Ⅶ ⅤⅠ ⅤⅠ Ⅶ Ⅶ

11 23 7.2311 Ⅵ Ⅵ Ⅶ ⅦⅥ

調 査 月 日 〔註.〕第1図に同じ

の傾向を示すが,トロロアオイのそれは一昭 旦

増加するが,以後減少の傾向を示す.3区, 7区ではカ■クラ,トロロアオイは5区に比 し,蒸散星は少なくなるが,粗麻は殆んど少なくならないかあるいは少なくなってもその割合は櫨めて小さいこれ ら両区ともに蒸散最は6月11日の億を除き,糊麻が蚊も多く,つぎにオクラ,トロロアオイの順である 8け 葉の細胞液の濃度 実験結果は第6援lに示す如くである… 細胞 液の猥脚ま5区では生育のど く初期において は,トロロアオイが梢々高く,オクラ,糊麻 は殆んど同じであるが,3作物ともに日時の 経過とともに.該潰皮は上昇し,7月26日には オクラが故も高く,つぎにトロロアオイ,糊 麻の順となる..3区と7区とでは,該濃度は いずれも3作物間庭.大差なく,しかも生育の 経過とともに増減は先んど見られない.しか し3区の方が7区より該弘度は幾分高い.. て

子アノIlT二

細胞液の猥皮n。

ユ3 25 9 2613 25 9 2613 25 9 26

 ̄7 ̄  ̄■  ̄ ̄ ̄▲ −−−l −∴⊥▼・ −−1 て: 二∴ ニこ 調 査 月 日 〔註〕第1図に周じ

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香川大学農学部学術報曹

12

9.菓の乾物重,灰分 実験結果は第7,8図に示す如くであ る。各試験区ともに3作物の乾物重は日時 の経過とともに増加し,6月12日において は,糊麻が汲も少ないが,7月21日には糊 麻が殻大に.なる巾 なお3作物の試験区間の 差異については本実験の範囲内では判明し ない.灰分については,各試験区の3作物 いずれも日時の経過とともに増加するが, 3作物間の差異ならびに・試験区間の差異に・ ついても本実験の範囲内では判明しない巾 10..根の乾物重,灰分 主根および側根の乾物重,灰分は6月28 日のみの調査であるが第3表に示す如くで ある 3作物とも紅7区にいおける乾物壷お よび灰分は主根,側根ともにいずれも5区 のそれらよりも梢々著しく少ないぃ また3 区における乾物壷および灰分は槻麻の側板 5 ハ‖U 5 ハ︼ ハ﹂ l 乾物重 ︵%︶ ーーー一 ハ、U J﹂ 灰分︵%︶

12 23 7 2112 23 7 2112

Ⅵ Ⅵ Ⅶ ⅦⅥ Ⅵ Ⅶ ⅦⅥ 調 査 月 日 〔註〕第1図に同じ 23 7 21 Ⅵ Ⅶ Ⅶ の灰分を除いては,やはり5区のそれらよ りも少ない3作物間では各試験区に.おいて,乾物 重,灰分ともに3区の主根の乾物重を除いては殆ん どトロロアオイが最も低い値を示す… オクラと糊麻 は一部の例外を除いては,乾物重,灰分ともに・よく 類似の他を示す. 11‖ 根の解剖学的性質 さきの第ⅩⅠⅠⅠ報(2)において,3作物ともにpHが8 0前後およびこれ以上になると,根が異常に一発管す ることを述べたが,本実験に應いてもやはりその傾 向が見られた…主根の組織は罪4表に示す如くであ る.表皮細胞の眉の数はオクラ,糊麻では7区は膏 区,5区は殆んど変らないが,トロロアオイでは7 区は3区,5区に比し,著しく少ない・表皮細胞の 厚さは7区は3区,5区に.比し,オクラでは大であ るが,トロロアオイ,糊麻ではその逆で小さい衷 第5表 根の乾物重,灰分(%) (いずれも生根百分中) 第4衷 各試験区の根の性状 ※印は10×10における按眼ミクロメータ−の目盛の読み 皮と形成層との間の厚さは3作物 ともに7区ほ3区,5区より著し く大である.形成層と髄の中心部 との厚さはトロロアオイでは7区 は3区,5頃.より少であるが,オ クラ,粗麻は逆に大である.皮屑 の細胞の大きさは3作物ともに7 区は3,5区より大となり,かつ その形も3,5区では正方形ある いほ矩形であり,7区では嶋々円 形を呈した. 榊勿名Ⅶ 襲撃\ \、、、 オ ク ラ トロロアオイ 糊 麻 表皮細胞の層の数 5ノー占 5∼占 7∼8 5 ∼4 5∼4 1へ′2 表皮組織の厚さ※ 19・−21 22 5る∼58 22′〉25 22 44′}47 表皮と形成層との 間の厚さ ※

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1、3 第12巻欝1号(1960) 12い 植物体の化学成分 実験結果は第5表に示す如くであ る.7区における3作物の全窒素が 3,、5区のそれに比し著しく多い これほCaOの施用により土壌中の可 25′〉28 20 ′}22 14 17∼20 20 50 形成層と髄中心部 との間の厚さ ※ 2∼5[コ 2∼5 U 18∼19 (〕 15∼15[コ 10∼12[] 18 0 5 [:コ 5′−4 ⊂コ 2る ○ 皮屑の細胞の形お よび大きさ ※ 第5表 各試験区に.おける3作物の化学成分 (乾物百分中) オ ク ラ トロロアオイ 糊 麻 9﹁ノ2 ZJ5nU 5′08 nU O nU オ ク ラ トロロアオイ 糊 麻 オ ク ラ トロロアカ㌧イ 糊 麻 第d表 各試験区の土壌の性質 吸儲の窒素が多くなり,こわが植物により吸収利用された結果柏物体内の全窒素が増加したものであるl・このことは 次の第6衷に示す如く,7区の土壌中の金宝素が3,5区に比し著しく少ないことからも言えよう‖ また7区の糊麻 がオクラ,トロロアオイに比し,植物体内にP205が多いのはCaOの施用により糊麻が燐酸吸収能を増大したためで あると考えられるが,3,5区では糊麻にかかろ傾向が見られない… したがって粕麻がカ■クラ,トロロアオイに比し 貰に燐酸吸収が大であるか否かは更に詳細な研究に侯たなければならないい なおCaO,MgO,有機物については3作物間に,また各試験区間に大差は認められない‘粗灰分については3区 の3作物のP206が5,7区に比し多いのと同様,3区のそれは5,7区のそれらより多い傾向を示している・ 13.土壌の性質 実験結果ほ第6衷に示す如くである一・各試験区の問で顕著な差異はpH,置換酸度,加水酸度であるが,これは当 然のことである.その他全窒素は7区が顕著に少ないのは前述の滴りであり,可溶性成分中,7区にCaOが著しく多 いのは当然である,またP205は3区が威も少なく,7区が巌も多く,5区がその中問であるが,植物体中のP206 ほ逆に3作物ともに3区が最も多く,つぎに.5区で,良も少ないのほ7区(ただし糊麻は例外である)となっている のは土地中のP206と植物体中のP206との間に何等かの関係があるように思われる・なおpHが第1衣のそれと梢々 異なるのは本土嬢分析が実験の都合上,軍年の3月28[lに行われたためであろう‖ Ⅳ 考 察 草丈の伸長,乗数の増加は開花始め頃の7月27日迄においては,3作物ともに3区では5区におけると同様に著し く旺盛で,しかも草丈の伸長は糊麻が最大で,つぎにカ■クラ,トロロアオイの順であり,基数の増加はトロロアオイ が最大で,ノっぎにオクラ,糊麻の順であるが,7区では3作物ともに比較的緩慢となり,とくにトロロアオイが最も 著しく影響を受けるい この生育に伴う3作物の生理作用をみると,まず同化作用に最も重要な竃義を有する葉緑素含 量は5区では生育の初期にはトロロアオイはオクラ,糊麻より多いが,開花始め頃の7月23日には糊麻が最も多くな

(6)

香川大学農学部学術報薯 1㌧l る∫3区では3作物の葉緑素含藁・の増減の倒向は5区とよく願似するが,3作物問の葉緑素含量の差異は少なくな る′ しかし7区では3,5区に比し,葉緑素含鼠は3作物ともに著しく多く,実験の全期間な通じて糊麻が最も多 い… しかも生育に伴い,3作物ともに葉緑素含遠は増加の傾向を示す付これは本区のpHを高くするために石灰を施 用したためであり,この葉緑素合鼠の増加は同化作用の上にも影響をおよぼサーしたがって植物体の分析に・おいて も,7区における3作物は3,5区のそれらに比し有機物が精々多い傾向を示し・ている.この石灰の施用による葉緑 素含儲の増加することは菅原(4)が甘藷において認めている.しかるに,同化生産物の転移,貯蔵に関与する細胞の鯵 透価は5区では生育の初期にはトロロアカイが最も高いが,生育の経過に伴い3作物ともに鯵透価は高くなり,次餌 に3作物間の差異は少なくなり,7月26日にはオクラがむしろ最も高くなる‖ しかるに,3,7区では3作物問軋鯵 透価の差異は殆んどなく,かつ生育に伴小犬きな増減を示さない… この湊透価の変化は当然作物体の生育と密接な関 係を有す.したがって,7区の3作物の鑓育が作物問に程度の差はあっても5区に比し著しく想いことよりすれば当 然である.しかし3区の3作物の生育が5区に.比し著しく悪くないのにも拘らずこの鯵透価は他の生理作用紅比し比 較的顕著に影響を受けている.しかしこの場合,3区の3作物の珍透価は7区のそれらに比し全体として梢々高い値 を示している. 呼吸作用,蒸散作用は7区の糊麻は5区のそれらと大差は見られないが,オクラ,トロロアオイほ同作用ともに5 区に比し減少している.一方3区においては,呼吸作脚ま3作物ともに也育の初期にはたいした増加は見られない が,7月7日以後は減少を示す一しかも3区でほトロロアオイがオクラ,糊麻に比し梢々著しく呼吸作用は低下す る‖兼散作用は3区ではやはりトロロアカ・イが5区に比し和々著しく低下を示し,オクラもトロロアカイと略々同じ 程度であるが,糊麻はオクラ,l、ロロアオイより受ける影響庖少ないようである・ 以上の隆透価,呼吸作用,蒸散作用はいずれも根からの養分,水分の吸収,移行と直接あるいは間接濫・関係を有し ている,したがって根の性状,徴能が当然これらの塾理作用に影響度与える… しかるに根は3作物ともに,3区は5 区と変らないが,7区は3,5区と著しい相是を示した.しかも7区の3作物間ではその影響はトロロアオイにおい て最も若しかった.. 以上述べた如く,pI王57−61.1の取払pH70−7.3の中性,pH82−86のアルカリ性土壌における3作物の生育 にともなう生理作用よりすれぼ,この程度のアルカリ性二J:壊においては,トロロアカ・イがあらゆる鴎理現象に低下, 減少を示し,その受ける影響は巌も著しいが,糊麻は渉透価に.幾分低下をきたしたのみで,オクラ,トロロアかイに 比し,特町政著な影響濾認められなかった..またこの程皮の酸性土壊においては3作物ともに睾丈,英数および葉緑 素含駁には大きな影雪劉ま認められない.しかしt・ロロアオイは呼吸作用,未散作用および珍透価に相々著しい減少, 低下を示し,最も影響度受け,つぎにカ・クラであるが,糊麻は7区に.おける場合と同様あるいはそれ以上にその生理 作用に著しい影響ほ認められなかった.. Ⅴ 摘 要 (1Jカ・クヲ,トロロアオイおよびその複二倍体である糊麻の鴎背中の土壌反応による種々の生理学的性貿を比較研 究した. (2)酸性,中性およびアルカリ性土壌として,それぞれpH57−611,pH710−73およびpモⅠ82−8L・6の3試験区 を設けた‘ (3)pH5.7−6.1の酸性土壊においては,3作物ともに根の発育,草丈の仲島,柴数の増加,葉線離合畳ならびに・ 粟および限の乾物乱灰分には何等著しい変化は認められないけ しかし呼吸作用に・ついてはトロロアオイは低下し, 菜散作用についてはオクラ,トロロアオイに低下が見られたまた細胞液の猥既については3作物問に大差は殆んど なく,かついずれも夫々の5区に.比し,比較的若しい低下が認められ,しかも生育に伴う該濃皮の上昇は認められな かった (4)p‡i8.2−8.6のアルカリ性土壌においては草丈,乗数は3作物ともに・影響を受けて,草丈は低く,葉数は減少 するが,とくにその割合はトロロアオイが最も著しく,つぎにオクラ,糊膿の順であるい 3作物ともに根の発育に異 常をきたし,細胞液の潰度は低下する… しかも該濃度は3作物間に差異は殆んどなく,かつ牲育に伴い上昇は認めら れなか.った,.また呼吸作用,蒸散作用は糊麻は何等変らないが,オクラ,トロロアオイはいずれも低下あるいほ減少 したい葉緑素含二設は3作物ともに増加するが,そのなかでも糊麻が投も著しく増加する一なお3作物の葉の乾物重,

(7)

第12幾筋1号(1960) 15 灰分は異常は認められないが,根の乾物重,灰分は減少した (5)酸性およびアルカリ性土壌における生育ならびに種々の生理作用は糊麻が最も旺盛で,つぎにカ・クヲ,トロロ アプトイの順である Ⅵ 引 用 文 献 (1)香川冬夫:新作物糊麻に就いて,日本作物学会講 理作用の消長,香大農学報,11,23−27(1959ト 前会発表および個人出版(1944) (4)大谷義雄,神崎栗太郎:酸性土壊における小安の (2)桑田 晃:育成複二倍休作物と.そ・の雨滴作物との 生育障害,日作紀,1B(2∼4)58−60(1949). 生理生態学的性凰の差異について,(ⅩⅠⅠⅠ)生育と土壌反 (5)菅原清康:甘藷に及ばす石灰の霹響につ小て,日 応との関係 香虚大学報 6(1)PP.]21−129(1954)一 作紀,1′9′(1∼2),35】38(1950)

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:仝上,(ⅩⅨ)生育に伴う種々の生 R る s u mる

(1)Studies weIe made on theIelation between the soilreaction and the various physiologicalcharacters On the course of plant growth of‖Nori・Asa”(glutinoushemp),an amphidiploid crop raised between Abel− mo.schus esculentus and A。Manihot,in compaIjson with those ofits parents

(2)As the soilofacid,neutIaland alkali,three plots of examine were used,Showing 57−P−61pH, 7…ON7..3p‡‡and8。2p8‖6pH respectively

(3)In the soilat5小7h6.1pH,any remarkable changewas not observedin each crop compared with those of contIOlon the elongation of plant height,the number ofleaves,the amount of chlorophyll,the growth of roots,and the dry matter and ash ofleaves and roots・But the respiration decreasedin 肋nihot,the transpiIation decreasedin eSCulentus and Mbnihoiand the concentIation of cellsap showed the relatively noticeable decIeaSein three crops,and did not show the gradualincrease with the growth

and was almost the samein three cIOpS

(4)In thesoilat8…2岬8・,6pH,the plant height becamelow and the numbeIS Ofleaves decreasedineach

c【Op COmparedwith thoseirL COntrOl,andits grade was thelaIgeStin Manihot,mediumin esculeutus, the smallestin”Nori−Asa”.The development of roots was abnormal,the concentration of cellsap did

not show the gradualincreasewiththe growth and also was almost the samein three′CrOpS,and the IeSpiration and tIanSpiration decreasedin eSCulentuS andManihot,b11tnOt decreasedin†一Mori−Asa=lThe amotlnt Of chlorophy11increasedin three crops,and among them,”Nori−Asa”was the most remarkable In each crop the dIy matter andash ofleaves were simi1ar with those of control,although those of roots

decreased

(5)The growth of plant and the various physiologicalprocessin the soilof acid and alkaliwere the most vigoIOuSin†’Nori−Asaけ,mediumin eSCulenius and the poorestin Manlhot

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