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株式会社大和総研 丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません。このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性、完全性を保証する ものではありません。また、記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります。㈱大和総研の親会社である㈱大和総研ホールディングスと大和 証券㈱は、㈱大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です。内容に関する一切の権利は㈱大和総研にあります。無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。 2014 年 2 月 25 日 全 11 頁

日本の生命保険業界の現状

~リスクベースの国内生命保険の経営とその現状~

その①:事業環境の変化(リスクの顕在化)

金融調査部 主任研究員 内野 逸勢 研究員 菅谷 幸一

[要約]

 日本の生命保険業界は、国内市場の構造的な変化により顕在化したリスクへの対応に迫 られている。  構造的な変化とは、需要側では、主に国内の人口の減少、人口構成の変化による生命保 険ニーズの変化。供給側では、競争環境の変化として、新規参入の増加、販売チャネル の多様化、グローバルな規制環境の変化等が挙げられる。  この変化により、保険会社が対応すべき顕在化したリスク(変化)とは、保険引受リス クの機会の減少、保険引受リスクの多様化、これまでのバリューチェーン、サプライチ ェーンの変化、運用リスクのコントロール方法の変化等が挙げられる。  この状況下において、負債側を意識したリスクベースでの経営がこれまで以上に求めら れ、そのリスクをステークホルダーに明確化した上で、企業価値創造につながるリスク の追求が求められている。  つまり、生命保険会社が直面するリスクのうち、どれが価値創造につながるリスクであ るか、或いは事業運営の対価として必要なリスクであるかを十分検討し、事業運営を実 施していくことが求められている。  本稿(その①)では、国内の生命保険市場の規模の縮小とニーズの多様化をもたらす社 会構造の変化を俯瞰する。また、生命保険会社の事業モデルの多様化や資産運用環境の 変化がどのように生じているのかについて概説する。

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[目次]

<その①>※本稿 はじめに ... 3 Ⅰ.事業環境の変化(リスクの顕在化) ... 5 1. 需要サイドの変化と保険引受リスク ... 5 2. アクセスできる販売チャネルの選択肢の増加 ... 9 3. 資産の運用環境の変化(リスク管理) ... 10 <その②> Ⅱ.生命保険市場の動向 1. 契約の動向(全体) 2. 契約の動向(商品別、年齢別) 3. 年換算保険料の動向 <その③> Ⅲ.生命保険会社の変化(リスク)への対応とリターンの追及 1. 保険会社の商品別保険契約の動向 2. 生命保険会社の戦略の変化(リターンの取り方) 3. 資産運用戦略の動向(リターン) 4. 事業費の動向 5. 基礎利益の動向 6. 健全性の動向 Ⅳ.まとめ

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はじめに

生命保険会社には、規制当局から、これまで以上にステークホルダーへの透明性を高めて、 リスクベースの事業運営を強化することが求められていると言われて久しい。しかし、そもそ も生命保険会社の経営者が強化すべきリスクベースの事業運営とは何であろう。昨今の規制の 内容に鑑みれば、リスク管理を強化し、健全性を維持し、取るべきリスクを定めて、それに見 合ったリターンを得て、収益性を高め、企業価値を高めていくこととなろう。 しかし、外部からは、開示上の制約があり、その把握が難しい。特に、その根幹をなす生命 保険会社の収益構造については、開示資料のみでは不明な部分が多い。生命保険会社にとって、 売上は契約者の生命保険料である。しかし、保険金を支払う(保険期間終了)まで原価が確定 しない、“実際の利益”が不明確であるという特性がある。一般的な企業では、売上前に原価 が決まる。しかし、契約保険期間が何十年と長期にわたる生命保険会社の場合、収支認識した 上で利益を特定することに時間がかかる。 さらに、生命保険料の設定も不明な部分が多い。保険料の設定には、高い不確実性のもと、 “一定の見積もり”で責任準備金等を計上する。そもそも、一定の見積もりの部分がリスクの核 であり、“実際の利益”がぶれる要因でもあるものの、契約者・消費者等第三者からは、その 開示に不透明な部分が多いと受け取られかねない。 上記のような制約があるものの、一定の見積もりによる保険料から、実際の保険金支払い、 事業費、運用費用等コストを差し引いた利益が三利源と呼ばれ、その合計が概ね基礎利益に相 当する。この基礎利益が実際の利益を測定する指標としては妥当である。 売上に相当する生命保険料は、純保険料と付加保険料から構成される(図表1参照)。 図表 1 基礎利益の概念図 営業保険料 (収入保険料) 付加保険料 (予定事業費率) 純保険料 死亡(危険) 保険料 (予定死亡率) 生存(積立)保険料 (予定利率) 責任準備金 (運用資産) 死亡(危険) 保険金 死(危険) 差益(損) 満期保険金 利息・配当金 資産運用費 利差益(損) 事業費(手数料、 契約維持費他) 費差益(損) 基礎利益(損) 契約者配当 内部留保 (出所)上田和勇『持続可能型 保険企業への変貌 第三版』同文館出版(2012 年 8 月)より大和総研作成 純保険料は、死亡、病気等の契約上のイベントの発生による保険金・給付金支払いのための 保険料であり、予定死亡(罹病)率に加え、保険の契約期間において一定の運用利回りを保証 する予定利率により決定される。また、付加保険料は、事業費をカバーする保険料である。た だし、保険料の支払い(徴収)方法が、一時払い(契約時に全額を支払う。解約時には返還さ

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れない)か、月次年次等の支払いかによって、実際の費用の負担方法に差が出るため、保険会 社が引き受けるリスクに影響が出ることには留意が必要である。 基礎利益は、予定死亡率に基づく予測値と現実の数値との差(死(危険)差益)、予定利率 と実際の利回りの差(利差益)、予測した費用と実際の費用の差(費差益)の合計となる(図 表1参照)。つまり、保険契約自体、保険会社のビジネスモデル、資産運用の中において、ど のリスク・テイクをしたか、その結果が基礎利益と言える。このため、リスクに対するリター ンの結果を表すものとしては適している収益の指標と言えよう。 以上を踏まえると、収益性を高めるために求められる経営とは、生命保険料の設定の仕方か ら基礎利益が生み出されるまでの事業運営プロセスを、上記の見積もりに関するリスクの適正 なバッファーの水準を維持しながら、可能な限り、合理的に実施するように管理することであ ろう。 しかし、日本の生命保険市場は、国内の人口の減少、人口構成の変化による生命保険ニーズ の変化等、構造的な変化により、事業環境が変化している。さらに、新規参入の増加、販売チ ャネルの多様化、グローバルな規制環境の変化等により競争環境も変化している。

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Ⅰ.事業環境の変化(リスクの顕在化)

1. 需要サイドの変化と保険引受リスク

(1)労働力人口比率の低下とともに市場規模(保有契約高ベース)は大幅に縮小 生命保険の市場規模は、総人口に占める労働力人口の比率が 1997 年をピークに低下したこと により、個人生命保険の保有契約高ベースでは 1996 年の 1,496 兆円をピークに減少に転じてい る(図表2参照)。労働力人口比率と保有契約高の推移の相関は高い。今後、2030 年ぐらいま では労働力人口比率は現状の水準が維持されると予想されており(図表3参照)、保有契約高 が大幅に落ち込むことは想定しにくいが、それ以降は、労働力人口比率が再び 50%を下回るよ うな下落傾向になると予想されており、保有契約高の落ち込みが想定される。長期的には、保 険引受リスクの機会の減少という事業環境の変化が見て取れる。 図表 2 保有契約高と労働力人口比率の推移 384 844 1,496 862 53.8% 51.3% 47% 48% 49% 50% 51% 52% 53% 54% 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 (兆円) (年度) 保有契約高 労働力人口比率(右軸) 48.4 % (出所)国立社会保障・人口問題研究所、総務省統計局、生命保険協会より大和総研作成 図表 3 総人口と労働力人口の推移と将来推計 45% 46% 47% 48% 49% 50% 51% 52% 53% 54% 55% 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1980 1983 1986 1989 1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013 2016 2019 2022 2025 2028 2031 2034 2037 2040 (億人) (年度) 総人口 労働力人口 労働力人口比率(右軸) (注)総人口は 2011 年のデータから推計値。労働力人口は 2013 年から推計値。 (出所)国立社会保障・人口問題研究所、総務省統計局より大和総研作成

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(2)個人生命保険のニーズの多様化(新たな保険引受リスクへの対応) 直近の大手生命保険会社への取材によれば、「保有契約高は減少しているものの、消費者の ニーズの多様化により市場は縮小しているとは言えない」という指摘があった。通常、ニーズ の多様化とは、死亡リスクや生存リスク等の生命保険が保障するリスクを把握している消費者 が、自分のリスクに見合った保険商品を能動的に選択することでニーズが分散=多様化する状 態を連想させる。しかし、同取材において「自ら保険商品を選択するという能動的な消費者が 大幅に増えてはいない」との指摘もあった。 では、ニーズの多様化により市場が拡大する現象とは何であろう。一つは、総人口が減少す るものの、60 歳以上の比率が増えることである。総人口との関係で見ると、2005 年に死亡数が 出生数を上回ったことにより、総人口が減少に転じ、人口構成比では 60 歳以上の割合が増加し 続けている(図表4参照)。同世代が死亡リスクよりも生存リスクを意識する可能性があるた め、高齢者向けの生命保険商品が増加することが考えられる。さらに、一時払い終身保険等、 高齢者向けの商品は保険料が相対的に高く、保険料収入の増加にも繋がる可能性がある。 図表 4 人口構成・出生数・死亡数の推移と将来推計 40 60 80 100 120 140 160 180 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 20 00 20 02 20 04 20 06 20 08 20 10 20 12 20 14 20 16 20 18 20 20 20 22 20 24 20 26 20 28 20 30 20 32 20 34 20 36 20 38 20 40 20 42 20 44 20 46 20 48 20 50 20 52 20 54 20 56 20 58 20 60 (万人) (億人) (暦年) 0 ~ 19歳 20 ~ 29歳 30 ~ 39歳 40 ~ 49歳 50 ~ 59歳 60歳以上 出生数(右軸) 死亡数(右軸) (出所)総務省統計局「推計人口」、厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」、国立社会保障・人口問題研究所「日 本の将来推計人口(平成 24 年 1 月推計)」より大和総研作成 もう一つは、人口減少の中で、世帯数が増加傾向にあることである。これは、単身世帯数と 核家族世帯数の増加が主因である(図表5参照)。ただし、この世帯数の増加も、2020 年の 53.1 百万世帯をピークに減少トレンドになると想定されており、ニーズの裾野の広がりによる恩恵 も長くは続かないとの見通しとなっている。 さらに、女性の契約者数の増加も挙げられる。女性の契約者数が男性の契約者数を 2010 年に 上回っている(図表6参照)。上述の世帯数の増加にも関連するが、母子家庭の増加、晩婚化 の進展、働く女性の増加などによる家族形態の多様化や社会環境の変化等が背景にあるものと 思われる。

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これらのことを考慮すれば、ニーズの多様化とは、人口構成・社会環境の変化や世帯数の増 加に伴う潜在的なニーズにおける裾野の広がりであると想定される。 図表 5 家族類型別一般世帯数の推移と将来推計 35.8 38.0 40.7 43.9 46.8 49.1 51.8 52.9 53.1 52.4 51.2 49.6 0 10 20 30 40 50 60 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 (百万世帯) (暦年) 単独 夫婦のみ 夫婦と子 ひとり親と子 その他 総数(右軸) (出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2013 年 1 月推計)」より大和総研作成 図表 6 男女別新契約の推移 300 350 400 450 500 550 600 650 700 750 800 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (万件) (兆円) (年度) 男性(契約高、左軸) 女性(契約高、左軸) 男性(件数、右軸) 女性(件数、右軸) (出所)生命保険協会「生命保険事業概況」より大和総研作成 (3)消費者の収入の減少における支払い保険料の減少 上記の人口、世帯数による生命保険契約の数量の分析に加えて、保険契約者が保険会社に支 払う保険料という価格面への影響について、消費者の家計収入との関係から分析する。総務省 の「家計調査」によれば、消費者の収入(実収入)に占める支払い保険料(損害保険を含む) の比率が低下している(図表7参照)。2006 年に支払い保険料の比率の低下幅が相対的に大き かったのは、2005 年に発覚した保険金の不払い・未払い問題の影響が主因と推定される。その

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後、2008 年のリーマン・ショックに端を発するグローバルな金融危機の影響もあり、同比率が 低下傾向にある。一方、実収入に占める社会保険料の比率は上昇しており、負担感は増してい ると言える。今後、さらに少子高齢化が進展すれば、構造的な問題により社会保険料の大幅な 負担増が避けられないであろう。これによる支払い保険料への影響は大きいものと考えられ、 上述の生命保険契約の数量面に加えて、価格面でも厳しい状況が続くと想定される。 図表 7 1 世帯当たり年平均 1 ヶ月間の実収入に占める社会保険料及び生損保保険料の割合 0 10 20 30 40 50 60 4% 5% 6% 7% 8% 9% 10% 11% 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 (万円) (暦年) 実収入(右軸) 可処分所得(右軸) 実収入に占める社会保険料の割合(左軸) 実収入に占める生損保保険料の割合(左軸) (注 1)総世帯のうち勤労者世帯が対象。 (注 2)「実収入」は世帯員全員の現金収入を合計したもの。「可処分所得」は「実収入」から税金、社会保険料などの「非 消費支出」を差し引いた額。「保険料」は個人・企業年金保険料を含む。 (出所)総務省統計局「家計調査」より大和総研作成 (4)生存リスク、特に医療保険のニーズの増加(保険引受リスクの変化) 前述したように 60 歳以上の比率が高まっていることから、消費者のニーズは死亡保障から生 存保障に変化していると推定される。 消費者の加入目的についての調査は、約 3 年ごとに行われてきた生命保険文化センターの「生 命保険に関する全国実態調査」の中で、実施されている(図表8参照)。2000 年度の調査では 6 割強の契約者の加入目的が死亡保障であったが、2006 年度の調査では、「医療費や入院費の ため」を加入目的であると回答した比率が、「万一のときの家族の生活保障のため」という死 亡保障の加入目的の比率を逆転した。その後の調査でもその差は拡大している。この背景には、 医療保険財政が悪化する中での患者の医療費負担の増加が挙げられる。2002 年には、既に健康 保険法等の改正によって、被用者保険の負担率が 3 割に引き上げられ、老人医療費の定率負担 制の見直しも実施された。こうした公的医療保険の負担増を背景に、医療費・入院費のための 加入目的が死亡保障目的を逆転したと考えられる。 「貯蓄のため、老後の生活資金のため」という加入目的は、2012 年度の調査では各々6.7%、 8.6%と 10 年前の調査から若干低下傾向にあるとはいえ、一定の水準を維持している。しかし、 消費者側から見れば、予定利率の低下とともに、保険料自体の値上げが加わり、貯蓄目的、投

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資目的のために保険商品を購入するインセンティブは低下していると想定される。これに加え、 今後、金利上昇が期待される環境の中では、貯蓄目的の消費者を引き止めていく戦略が必要と なろう。例えば、現在、いくつかの生命保険会社が取り組んでいる“予定利率を 10~20 年後に 見直し、市場金利が上がれば保険金が増える仕組みを採用した商品”の販売が本格化する可能 性がある。ただし、他の金融機関も金利上昇に対応した商品を販売しはじめており、消費者の 選択肢が増加している中で、消費者が上記の目的において加入するかは不透明な部分が多いと いえる。 図表 8 契約者の加入目的についてのアンケート調査 51.7 53.8 54.4 60.5 60.3 13.7 13.1 12.8 12.5 11.1 59.6 59.7 59.5 56.3 54.6 3.1 2.8 3.3 4.4 3.3 1.9 2.7 2.6 2.9 3.9 8.8 12.0 14.1 19.4 24.4 8.6 8.2 7.9 8.9 12.2 8.6 9.2 7.2 10.9 11.3 6.7 4.6 4.9 7.1 7.9 1.4 1.9 1.9 1.8 2.4 4.0 4.1 4.7 2.7 2.5 2012年度 (2007~12年に加入) 2009年度 (2004~09年に加入) 2006年度 (2001~06年に加入) 2003年度 (1998~2003年に加入) 2000年度 (1995~2000年に加入) (%) 万一のときの家族の生活保障のため 万一のときの葬式代のため 医療費や入院費のため 介護費用のため 万一のときのローン等の返済のため 災害・交通事故などにそなえて 老後の生活資金のため 子どもの教育・結婚資金のため 貯蓄のため 税金が安くなるので その他 (注)世帯員 2 人以上の一般世帯が対象。複数回答可の項目であるため、合計は 100%にならない。 (出所)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」より大和総研作成

2. アクセスできる販売チャネルの選択肢の増加

前述の生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」において、購入チャネルの 調査も実施されている(図表9参照)。1990 年代の中ごろから 2000 年において、消費者の生命 保険商品の購入チャネルは生命保険会社の営業員が 8 割近くを占めていたが、その後、2006 年 度以降の調査では 7 割を切っており、多様化が進んだといえる。ただし、特定の商品の成長と ともに急激に伸びて、その後、低下した販売チャネルも見受けられる。例えば、「テレビ・新 聞・雑誌」が挙げられる。2001 年に民間医療保険が全面解禁されたことから、同媒体を通じた 購入は 2000 年度の 3.1%から 2006 年度には 7.3%まで急増したが、直近の 2012 年度の調査で は、4.3%と 2003 年度時点の調査の水準を下回っている。 一方、着実にシェアを拡大している販売チャネルもある。2007 年 12 月に全面解禁された銀行・ 証券会社の窓口販売では、2000 年度調査の 1.3%から直近の 2012 年度調査では 4.3%に増加し ている。さらに、「インターネット」の販売比率は、2000 年度調査の 0.2%から 2012 年度調査 では 4.5%と急上昇している。パソコン、スマートフォン等の普及によるインターネットの利用 率の上昇、および比較的年齢が高い層においてもインターネットの利用率が高まっていること

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が背景にある。このような中、インターネットでの販売を専業とする生命保険会社の新たなビ ジネスモデルが近年生まれたが、インターネット販売の成長を見込んだ動きであると考えられ る。 また、保険代理店は、2000 年度の調査の 8.8%の水準から直近では 6.9%と低下しているもの の、6~7%の水準で安定している。また、生命保険会社の窓口も 2.5%前後の安定した推移とな っている。 以上のように、確かに購入チャネルの多様化が進展しているものの、依然、営業職員からの 購入比率が、直近では 7 割近くの水準を維持している。これは、生命保険商品の特性から考え れば、営業職員の販売チャネルとの適性が高いことが背景にあると言えよう。 図表 9 保険契約の販売チャネル 68.2 68.1 66.3 71.8 77.6 2.5 1.9 2.1 2.7 2.9 4.5 2.9 1.8 0.8 0.2 4.3 5.7 7.3 4.9 3.1 2.1 2.9 4.3 2.6 3.3 1.7 1.3 6.9 6.4 7.0 6.7 8.8 3.2 3.0 5.2 6.4 4.0 6.2 7.0 4.7 5.7 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2012年度 (2007~12年に加入) 2009年度 (2004~09年に加入) 2006年度 (2001~06年に加入) 2003年度 (1998~2003年に加入) 2000年度 (1995~2000年に加入) 生命保険会社の営業職員 生命保険会社の窓口 インターネット テレビ・新聞・雑誌など 郵便局 銀行・証券会社 保険代理店 勤め先や労働組合 その他(不明含む) (出所)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」より大和総研作成

3. 資産の運用環境の変化(リスク管理)

資産の運用環境にも変化の兆しが表れてきている。「金融緩和」、「財政出動」、「成長戦 略」という 3 本の矢のフル活用という安倍政権の経済政策(通称「アベノミクス」)の効果が 運用環境に影響を及ぼし始めている。 具体的には、第一に、日本銀行による異次元の金融緩和により、主に円安が進展したことに よる株価上昇が挙げられる(図表 10 参照)。さらに、第二の矢である財政出動も実施され、第 三の矢の成長戦略として、日本再興戦略が 2013 年 6 月に閣議決定された。これらアベノミクス によるデフレ脱却と金利上昇の期待が高まっている(図表 11 参照)。 大手生命保険会社は、近年、金融危機によるリスク回避姿勢の強まりやソルベンシー規制の 厳格化を受けて、株式等のリスク性資産の圧縮を進めてきた。さらに、制度対応という側面で は、各社は、将来的な導入が検討されている経済価値(時価)ベースの資本・ソルベンシー規 制や会計基準に備え、資産・負債のデュレーション・ギャップの解消に向けた資産の長期化を 進めている。これまでの運用環境下において、リスク管理を進めてきたが、今後は長期デフレ からの脱却を前提とした運用環境におけるリスク管理が求められることとなろう。

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負債(保険契約)を意識した運用を進める中で、運用環境の変化への対応を、予定利率の設 定とともに、運用リスクを如何に効果的にとっていくのかという、難しい課題に直面する可能 性が高い(生命保険会社の資産運用については、その③「Ⅲ-3. 資産運用戦略の動向(リター ン)」で述べる)。 図表 10 株価と為替の推移 0 20 40 60 80 100 120 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 (円) (円) 日経平均株価 ドル・円(右軸) (出所)日本経済新聞社、日本銀行より大和総研作成 図表 11 フォワードレートから導いた将来の金利予想(2013 年 10 月時点) 0.000 0.500 1.000 1.500 2.000 2.500 1年後 2年後 3年後 4年後 5年後 6年後 7年後 8年後 9年後 10年後 (%) 1年 5年 10年 (出所)Bloomberg より大和総研作成

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