更新日:2011/2/9 調査部:舩木弥和子
コロンビア:外資導入政策が奏功し原油生産量回復、課題は輸送
(Platts Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas、Wood Mackenzie 他)
1. 投資環境や治安の改善で、コロンビアの原油生産量は2003~2007年の55~56万b/dから2010年は 78.5万b/dに増加した。2010年12月の原油生産量は82.5万b/dで、2011年の原油生産量はピークで あった1999年の83.8万b/dを上回る見通しだ。ライセンスラウンド2010も予想を上回る好調な結果 で、78鉱区が付与されることとなった。 2. コロンビアが引き続き生産量を増やしていくためには、短期的にはパイプラインの送油能力拡張、 長期的には新規発見が必要とされている。現在、コロンビアでは、パイプラインの拡張や敷設等が 進行、計画されている。Pacific Rubiales Energyが2008年に取得したBlock CPE-6で原始埋蔵量40億 bblの発見をしており、新たに付与された鉱区での探鉱に期待がかかる。 3. コロンビアのこのように好調な増産の状況は、2004~2006年にはコロンビアと原油生産量がほぼ同 じであった隣国エクアドルが、資源ナショナリズム政策をとり原油生産量を減らしているのと対照的 だ。 4. ガスについては国内需要増や新規発見が少ないことからLNG受入基地の建設が検討されている。 1.コロンビアの原油生産量回復 コロンビアの原油生産量は 2003~2007 年の 55~56 万 b/d から 2010 年は 78.5 万 b/d に増加した。 2010 年 12 月の原油生産量は 82.5 万 b/d で、2011 年はこれまでのコロンビアの原油生産のピークであ った 1999 年の 83.8 万 b/d を上回るとみられている。コロンビア政府も、2011 年末までに原油生産量を 90 万 b/d 以上に増加させる計画である。
Cusiana-Cupiagua 油田や Cano Limon 油田といった主要油田の生産量減退に加え、ゲリラ活動の激 化により探鉱・開発活動が停滞したことで減少していた原油生産量が、このように回復してきたのは、政 府が積極的な外資導入政策やゲリラ対策をとっ たことによるところが大きい。ウリベ前大統領は、 就任直後の 2002 年以降、生産期間の制限廃止 やロイヤルティの変更など契約条件を石油会社 に有利に変更、2003 年には鉱区付与や契約手 続きを担当する ANH(National Hydrocarbons Agency)を設置し、頻繁にライセンスラウンドを実 施してきた。治安面でも改善が見られ、誘拐、石 油生産施設やパイプラインへの攻撃が激減した。 (BP 統計より作成、2010 年の原油生産量は ANH)
その結果、2002 年には 7 件、2003 年には 21 件であった契約締結件数が、2009 年には 64 件に増加し た。2010 年に行われたライセンスラウンドでは 228 鉱区が公開され、このうち 95 鉱区に 225 件の応札が あり、40 社に 78 鉱区が付与されることとなったにもかかわらず、2010 年の契約締結件数は 8 件と契約締 結件数の目標 30 件を下回った。これは、ライセンスラウンドで付与されることとなった鉱区の大部分の契 約が 2011 年に締結されることとなっているためで、2011 年の契約締結件数は再び増加する見通しだ。 契約締結件数の増加に伴い、探鉱・開発活動も活発になっている。地震探鉱と掘削井数の実績は、2002 年の 2,068km、10 坑から、2010 年は 23,076km、110 坑に増加している。試掘成功率は高く、2011 年初 にアルゼンチンのサービス会社Estrella が発表したところによると、Llanos Basin の試掘成功率は約 70% であるという。
(ANH ホームページより作成。2007~2009 年の試掘成功率は 2010 年 5 月時点でテスト中のものを含 まない。)
活発な探鉱・開発に後押しされ、原油生産量は増 加を続けているが、この生産増の中心となっている のは、国営石油会社 Ecopetrol と Pacific Rubiales Energy(PRE)を始めとするカナダ系の企業だ。また、 重質油の開発が進められ、重質油の生産が急激に
Ecopetrol は原油生産量を 2005 年の 31.1 万 b/d から 2010 年第 1 四半期には 45.9 万 b/d に増加さ せた。生産量の増加は資産買収や重質油の生産増によるところが大きい。Ecopetrol は 2010 年も積極的 に資産取得を進めており、6 月末には 28 年の契約(Santiago de las Atalayas(BP 31%、Ecopetrol 50%、 Tempa19%))期間終了に伴い、Cusiana 油田の一部と Cupiagua、Cupiagua Sur 油田の権益を取得し、これ らの油田のオペレーターとなった。また、8 月には Talisman Energy とともに BP からコロンビアの上流、中 流の事業を 19 億ドルで買収することで合意し、2011 年 1 月に資産買収が完了した。対象とされたのは、 Cusiana、Pauto、Florena 油田を含む生産中の 5 鉱区の権益、Ocensa パイプラインを含む 4 パイプライン の権益、BP が 2007 年に取得した沖合 2 鉱区の権益、Cusiana 油田のガス処理施設で、確認埋蔵量は 6000 万 boe、ネットの生産量は 25,000boe/d とされ、Ecopetrol が 51%、Talisman Energy が 49%を取得し た。重質油については、同社の生産量に占める重質油の割合が 2009 年の 34%から、現在は 43%に上 昇したという。 引き続き生産量を増やしていくことを目指して、同社は 2010 年 7 月に 2011~2020 年の事業計画を発 表した。これによると同社の 2011~2020 年の投資額は 800 億ドルで、うち 79%にあたる約 632 億ドルを 探鉱・生産部門に、21%にあたる約 168 億ドルを精製・輸送・販売のほか、バイオ燃料の生産に振り向け るとしている。Ecopetrol は 2010 年 11 月に 2011 年の投資計画を発表し、この中で 2011 年は 2010 年の 投資額 69 億ドルから約 25%増加の約 85 億ドルを投資するとしている。投資額の 95%をコロンビア国内 に、残りの 5%を米国メキシコ湾、ブラジル、ペルーのプロジェクトにあてる。また、投資額全体の 60%を 探鉱・開発部門に投じ、特に Llanos Basin の Castilla、
Chichimene、Rubiales 油田等で重質油の開発・生産を進めた いとしている。これらの事業計画や投資計画の実現により、 Ecopetrol は生産量を 2010 年第 1 四半期の 58.6 万boe/dか ら 2015 年に 100 万boe/d、2020 年に 130 万boe/dに引き上 げ、確認埋蔵量を現在の18億bblから2015年には32億bbl、 2020 年には 60 億 bblに拡大し、2020 年までには世界の石油 企業の上位 30 社に入ることを目指すとしている。 (Ecopetrol ホームページより作成) カナダ企業の中で最も活発な活動を続けているのが、Pacific Rubiales Energy だ。Pacific Rubiales Energy はコロンビア国内の 35 鉱区に権益を保有している。2009 年 9 月に同社の主要鉱区である Rubiales、Piriri 鉱区(合計で面積 569km2)にまたがる Rubiales 油田と Monterrey(Casanare)の間に全長 235kmの ODL(Oleoducto de Los Llanos)パイプラインが完成した。Rubiales 油田で生産される重質油は、 カリブ海岸の Covenas まで ODL パイプラインと Ocensa パイプラインを利用して輸送できるようになり、輸 送コストが半減した。これにより、同社の生産量は 2007 年の 24,784boe/d、2008 年の 61,355boepd から、
2009 年末には 125,000boe/d に増加した。2010 年 4 月には、Rubiales、Piriri 鉱区を取り囲む Quifa 鉱区 (Pacific Rubiales Energy60%、Ecopetrol40%)の開発が開始され、2010 年末の生産能力は 22 万 boe/d となったが、パイプラインの送ガス能力不足で 2010 年は生産目標を達成できなかった。それでも、2010 年の Pacific Rubiales Energy の原油生産量はコロンビアの原油生産量の 25%を占めている。Pacific Rubiales Energy は生産量を 2011 年末には 26.5 万 boe/d に、今後 3~5 年の間に 50 万 boe/d に引き上 げる計画だ。2011 年 2 月には、Pacific Rubiales Energy の子会社 Meta Petroleum が Llanos Basin、Block CPE-6 北部で 6 坑の掘削を行い、原始埋蔵量40 億bbl の Guairuro 油田を確認したことを明らかにした。 Pacific Rubiales Energy は Guairuro 油田の生産開始は 2012 年の下半期で、2015 年のフル生産時には 15 万 b/d を生産できるとしている。
Petrominerales は、コロンビア国内の 17 鉱区に権益を保有している。同社のコロンビアでの活動の中 心は Cusiana-Cupiagua 油田の南約 80kmに位置する Corcel 鉱区及び Guatiquia 鉱区だ。Corcel 鉱区の Corcel 油田、Guatiquia 鉱区の Candelilla 油田を中心に生産量は順調に増加し、2010 年第 2 四半期には 同社の原油生産量は 4 万 b/d を超え、2009 年の 2 倍となった。しかし、2010 年下半期にはパイプライン の送油能力不足から生産量を 5,000b/d 程度削減することを余儀なくされ、2010 年の生産目標を達成す ることができなかったとしている。同社は 2011 年にはコロンビア国内で 40~44 坑を掘削する計画だ。
Canacol Energy(アルバータ州)はコロンビア国内の 8 鉱区に権益を保有し、2011 年は 1.33 億ドルを投 じて Rancho Hermoso 油田の開発と Ombu 鉱区(Capella 油田)の評価を中心にコロンビアでの探鉱・開発 活動を行うとしている。
2.コロンビア、原油増産の課題
このようにウリベ政権による外資導入政策のもと生産量を増加させてきたコロンビアだが、2010 年 8 月 7 日に就任した Juan Manuel Santos 大統領は、ウリベ前大統領の政策を引き継ぎ増税よりも投資を増やし 生産量を増やすことで政府収入を増やしたいとしており、コロンビアの原油生産量は今後も増加が期待 されている。
Santos 大統領は、重要閣僚にそれぞれの分野の専門家を配置する実務型の組閣を行ったが、鉱業エ ネルギー大臣には 1981~82 年には鉱山エネルギー省の前身である鉱山省の大臣、1998~2002 年に は Ecopetrol の総裁を務めた Carlos Rodado Noriega 氏(1943 年生まれ、67 歳)を任命した。Noriega 鉱山 エネルギー大臣は環境保護とのバランスを取りながら探鉱・開発を進めたいとし、コロンビアの原油生産 量は 2014 年には 120 万 b/d に増加する可能性があると語った。そして、そのためには輸送能力を増強 するとともに、25 億 bbl の埋蔵量を発見する必要があると語った。
Noriega 鉱山エネルギー大臣が語った通り、コロンビアが今後も増産を続けていくためには、短期的に は生産量の急増に輸送インフラの整備が追い付いていないのでパイプラインの送油能力を増強するこ
と、長期的には新規発見があることが必要だというのが大方の見方だ。
コロンビアの主要な原油パイプラインは下表のとおりだ。これまでのコロンビアのパイプラインは 1990 年代のピーク時の生産量に合わせたものであった。主要油田が Cusiana-Cupiagua 油田や Cano Limon 油田から Rubiales 油田等に変わり主要産油地域がこれまでよりも南東に移ったことや、重質油の生産量 が増加したことで、送油能力の不足をきたすようになった。送油能力不足が特に問題になっているのは Llanos Basin だ。 コロンビアの主要原油パイプライン パイプライン 送油能力 その他 Cano Limon 24 万 b/d ODC 22 万 b/d Ocensa 56 万 b/d 2010 年末に送油能力を 46 万 b/d から拡張 OAM 10 万 b/d ODL 20 万 b/d 2011 年 5 月までに 34 万 b/d に拡張予定 Trans Andino 9 万 b/d 通油量は 3.7 万 b/d (各種資料より作成)
2002 年に生産を開始し大きく生産量を伸ばしている Llanos Basin の Rubiales 油田では、ODL パイプラ インの完成により、生産された原油のトラック輸送が中断されていた。しかし、Rubiales 油田及び隣接する Quifa 鉱区の原油生産量が、ODL パイプラインが敷設された当時から倍増し、現在 20 万 b/d となってい る。同パイプラインの送油能力は 20 万 b/d であるが、両油田で生産される原油の API 比重は 12.5 度と 重質で、ナフサで希釈する必要があるため、生産された原油の全量をパイプラインで輸送することがで きなくなっている。そのため、トラック輸送が再開されたが、そのトラックも不足し Pacific Rubiales Energy は 2010 年の生産目標を達成することができなかったとしている。Llanos Basin のその他の油田も状況は 同様で、2010 年末には Llanos Basin 全体でトラックが不足し、Pacific Rubiales Energy の他にも Petrominerales 等生産量を抑えざるを得なくなる企業が現れている。
2011 年 2 月 2 日からはコロンビアのトラック運転手の労働組合、コロンビアトラック協会(ACC)に所 属する運転手 2,000 人が、輸送代金(Meta 州と Casanare 間 1,400 マイルの標準的な輸送代金は 1,600 ドルで、うち 1,250 ドルは燃料代)引き上げ、道路の改善(道路が舗装されていないため、トラックが傷む) などを求めてストライキを実施する。Pacific Rubiales Energy を始めとし Llanos Basin で生産を行ってい る企業に影響が及ぶのではないかと懸念されている。
パイプラインの送油能力不足を改善するため、2010 年末には Ocensa パイプラインの送油能力が 46 万 b/d から 56 万 b/d に拡張され、2011 年中に ODL パイプラインの送油能力が 20 万 b/d から 34 万 b/d に増強される計画だ。また、Ecopetrol は 42 億ドルを投じて Llanos basin と Covenas 間を結ぶ OBC (Oleoducto Bicentenario)パイプラインの建設、操業を行う会社を 2010 年8 月19 日に設立し、建設に取り
掛か っ て い る 。 新会社の 株式保有比率は 、 Ecopetrol 55 % 、 Pacific Rubiales Energy 32.8 % 、 Petrominerales Colombia 9.65%、Hocol 0.96%、Rancho Hermoso 0.50%、Groupo C&C Energia(バルバ ドス)0.50%、Vetra Exploration and Production 0.50%となっている。OBC パイプラインは全長 960km、送 油能力 45 万 b/d で
、
2012 年 12 月に完成の予定とされている。新規発見については、2011 年 2 月に、Pacific Rubiales の子会社 Meta Petroleum が 2008 年に取得し た Block CPE-6 北部で 6 坑の掘削を行った結果、原始埋蔵量 40 億 bbl の Guairuro 油田を確認したと発 表した。また、Shona Energy の子会社 Geoproduction が Lower Magdalena Basin、Esperanza Block で Nelson ガス田を発見した。エンジニアリング会社 Collarini によると Nelson ガス田の埋蔵量(3P)は 164Bcf とされている。このようにコロンビア各地で発見が増加してきており、新たに付与された鉱区での探鉱に 期待がかかる。 3.エクアドルとの比較 コロンビアの隣国、エクアドルの原油生産量は 1990 年代中ごろから約 40 万 b/d で推移していたが、 2003 年に東部の産油地帯と太平洋岸エスメラルダス近郊の積出港 Balao を結ぶ OCP パイプラインが完 成したことにより急増し、2004 年には 53.5 万 b/d となり、コロンビアと肩を並べるようになった。BP 統計に よれば、エクアドルの 2009 年末の原油確認埋蔵量は 65 億 bbl と、コロンビアの 14 億 bbl をはるかに上 回っている。加えて、エクアドル東部には原始埋蔵量 55 億 bbl、確認埋蔵量 9.2 億 bbl とされる ITT(Isshpingo、Tambococha、Tiputini)油田が存在する。ITT 油田の原油は API 比重 12~15 度と重質で はあるものの、16~18 万 b/d を生産できる見通しで、この ITT 油田の開発が順調に進めば、エクアドル はさらに原油生産量を増加させることができると期待されていた。 エクアドル主要鉱区図 (各種資料より作成)
しかし、エクアドルでは資源ナショナリズムの傾向が強まり、2006 年 4 月に炭化水素法が改正され、原 油価格が契約時に合意した価格を上回った場合に生じる超過収入の 50%を政府が取得することとなっ た。また、同じく 2006 年に、当時エクアドルで最も活発に探鉱・開発を行い、原油生産量の 20%にあたる 10 万 b/d を生産していた Occidental が資産譲渡にあたり事前に政府に届出を行わなかったことを理由 に、政府から資産を接収された。2007年1月に左派のコレア氏が大統領に就任、10月には、原油価格が 契約時に合意した価格を上回った場合に生じる超過収入の 99%をエクアドル政府が取得するという大 統領令に署名した。この大統領令に基づいて政府は①契約形態は PS 契約のままで、原油価格が 24 ド ル/bbl を超えた場合に余剰収入の 99%(2008 年 1 月に 70%に変更)を政府に支払う、②現在の PS 契約 をサービス契約に変更する、③全ての権益を放棄し、エクアドルから撤退するという 3 つのオプションか ら選択することを石油会社に迫った。石油会社との交渉は長引き、2008 年には政府と石油会社との間で 暫定契約が結ばれた。2010 年7 月には PS 契約をサービス契約に変更する内容に炭化水素法が再度改 正され、Andes Petroleum、Petrobras、Agip、Repsol などが 11 月 23 日、マージナル油田で生産中の企業 が2011年1月23日を交渉期限としてサービス契約への変更について協議を行った。その結果、ENAP、 Andes Petroleum、Petroriental、Agip-Ení、Repsol 等が新契約への変更に合意し、Petrobras、EDC(Noble Energy 子会社)、Canadá Grande(韓国)、CNPC 等がエクアドルから撤退することとなった。政府は、サー ビス契約への変更に成功したものの、炭化水素法の改正や契約変更協議を受けて、石油会社は生産量 を維持していくために必要とされる額以上の投資は行っていない。また、新規投資の検討も中断してしま ったと伝えられている。Petrobras 等の企業が撤退してしまったことも、今後の探鉱・開発にマイナスの影 響を与えるのではないかと懸念されている。Rene Ortiz 前石油相も「適度な探鉱・開発投資によりエクア ドルは生産量を80~90万b/dに倍増させることが可能だが、今回の契約交渉はコレア大統領にとっては 大きすぎる犠牲を払って得た勝利であり、生産量の増加は見込めず、良くて現在の減退率を維持するこ とになろう」としている。 また、期待されていたITT油田も、同油田がユネスコの指定生物保護圏でもあるヤスニ国立公園内に あることから、エクアドル国民の多くが開発に反対の意向を示している。そのため、コレア大統領は2007 年6月以降、同油田からの想定収入の50%に相当する年間3億5,000万ドルの補償金を国際社会が供与 すれば、同地域の開発を行わないとするヤスニITT保護プロジェクトを進めている。2010年8月に政府と 国連開発計画(UNDP)はMOUを締結し、UNDPがヤスニITT保護プロジェクトに対する各国からの拠出 金を管理するための信託口座を設立することとなった。しかし、コレア大統領はこれまでも十分な資金が 集まらない場合には、段階的にITT油田開発を開始すると発言するなど、先行きが不透明な状況が続い ている。
エクアドル 新契約への変更に合意した企業 企業 対象鉱区、油・ガス田 サービスフィー (ドル/bbl) 投資額 (万ドル) 新契約 期限 ENAP Mauro Davalos Cordero 16 7,900 2025 年
Paraiso Biguno Huachito 20.5
Andes Petroleum Tarapoa 35 42,400 2025 年 Petroriental Block14 41 18,680 2018 年
Block17 41 11,300
Agip-Eni Block10 35 11,900 2023 年
Repsol Block16 、Tivacuno Bougui Capiron、 35.95 29,300 2018 年 Petrobell Tiguino 26.6 1,540 2020 年 Ancon 58 1,420 2015 年 Petrosud Palanda 31.9 4,510 2019 年 Pindo 28.5 4,610 2019 年 Tecpecuador Bermejo 24 1,570 2019 年 Repsol YPF Tivacuno 27.25 2,280 2018 年 Consorcio Pegaso Puma 21.1 2,100 2028 年
(各種資料より作成) エクアドル 新契約への契約に応じなかった企業 企業 対象鉱区 その他 Petrobras Block 18、 Palo Azul 油田 120 日以内に、Petroamazonas への操業移転と開 発投資未回収額 2.2 億ドルの補償交渉を予定。 EDC Block3 (Amistad ガス田) ガスは発電用に系列の Machala Power に販売さ れていた。政府は Block3 と Machala Power取得の
対価として Noble Energy に 800 万ドルを支払う。 Petroecuador に新設されるガス部門が上流部門 を、国営電力会社 CELEC が電力部門を引き継
ぐ。 Canadá Grande(韓国) Block1
CNPC Block 11 Consorcio Energetico Gran Colombia Armadillo 高額のサービスフィーを要求し交渉決裂。政府は 入札を計画。 Suelpetrol(Consorcio Petrolero Amazonico) Pucuna サービスフィーで合意に達せず撤退。1/25 より Petroecuador が操業。生産量 2,000 b/d。 Suelpetrol(Consorcio Petrolero Amazonico) Singue サービスフィーで合意に達せず撤退。政府は入 札を計画。
Bellwether International Charapa 過去 8 年間探鉱・開発を実施していないため、権 益返還。政府は入札を計画。
さらに、コレア大統領は 2007 年11 月、石油利権・汚職の温床となっていた国営石油会社Petroecuador の規律を強化するため、総裁等幹部職員に海軍出身者を登用した。しかし、石油事業に経験のない海 軍の関係者が上層部に就任したことは、探鉱・開発事業にプラスに働いたとは考えにくく、期待したよう な効果も得られなかった。2010 年 4 月には、これまで公社であった Petroecuador が廃止され、公営企業 として再設立された。そして、開発・生産、販売等の 6 つの子会社が統合され、総裁の上に大統領府、非 再生可能天然資源大臣、国家開発計画庁からの 3 名からなる理事会が設置された。コレア大統領の影 響力を強化し、非効率な子会社を解体し、従業員削減や労働組合の影響力を弱めるための措置であっ たと考えられるが、その後も混乱が 続いていると伝えられている。 このような状況から、2004~2006 年にはコロンビアとほぼ同量の約 55 万 b/d であったエクアドルの原油生 産量は、その後コロンビアの原油生 産量が急激に増加したのとは対照的 に 2007 年以降減少に転じ、2009 年 には 49.5 万 b/d、2010 年は 48.6 万 b/d と 50 万 b/d を切った状態が続い ている。 (BP 統計より作成、2010 年のコロンビア原油生産量は ANH、 エクアドル原油生産量(推定値)はリマ事務所情報) 4.天然ガス生産量増加にもかかわらず、LNG 輸入検討
Chevron がオペレーターを務める Guajira 地域の Chuchupa 及び Ballena ガス田の生産増により、コロ ンビアでは天然ガスの生産量も増加している。コロンビアの天然ガス生産量は 2007 年の 730MMcf/d、 2008 年の 875MMcf/d、2009 年の 1.01Bcf/d から 2010 年は 1.09Bcf/d に増加した。2010 年 11 月中旬よ り 12 月末までの約1 カ月の間に、Cusiana-Cupiagua 油田のメインテナンス作業が行われ、その後同油田 の天然ガス生産量は 200MMcf/d から 35%増加し 270MMcf/d に増加したという。また、2011 年末までに は、Ballena-Barrancabermeja 間、Cusiana-Vasconia 間のパイプラインの送ガス能力拡張が実施される予 定だ。これらの生産量の増加や送ガス能力の拡大により、2011 年のコロンビアの天然ガス生産量は 1.35Bcf/d に増加する見通しとされている。ベネズエラへの天然ガス輸出は Cusiana-Cupiagua 油田のメ インテナンス作業中には中止されたものの、通常は合意している供給量 150MMcf/d の 2 倍程度が供給 されている。このような状況から、ANH の Zamora 長官は、コロンビア政府は、パナマやドミニカ共和国、 ジャマイカへのパイプラインでの天然ガス輸出や LNG の輸出を検討しているとしている。また、Pacific
Rubiales Energy も北部 La Creciente ガス田と Covenas を結ぶパイプラインを建設し、2011 年末までにパ ナマ等へのガス輸出を開始したいとしている。 しかし、天然ガスも石油と同様、パイプラインの送ガス能力と新規発見の不足という問題を抱えている。 また、石油とは異なり、コロンビアのガス需要は年率 4%の割合で増加している。サントス大統領は天然 ガス生産量を増やすため、ガスの探鉱・開発やガスパイプライン建設を促すようなインセンティブを設け たり、非在来型ガスに対する税やロイヤルティを変更したりすることを検討しているという。しかし、新たに ガス田が発見されなければ、コロンビアは 2016~2018 年にはLNG輸入国になる可能性があるとみられ ている。