• 検索結果がありません。

ノート 医療薬学 42(9) (2016) 使用感を考慮したラタノプロスト点眼薬の先発医薬品と後発医薬品の比較検討 *1, 4 土井信幸 3, , 秋山滋男, 矢野健太郎, 高橋恵美利, 小見暁子, 井戸田陽子, 荻原琢男 1 2 高崎健康福祉大学薬学部地域医療薬学

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ノート 医療薬学 42(9) (2016) 使用感を考慮したラタノプロスト点眼薬の先発医薬品と後発医薬品の比較検討 *1, 4 土井信幸 3, , 秋山滋男, 矢野健太郎, 高橋恵美利, 小見暁子, 井戸田陽子, 荻原琢男 1 2 高崎健康福祉大学薬学部地域医療薬学"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

42(9) 651―658 (2016)〒370-0033 群馬県高崎市中大類町60

使用感を考慮したラタノプロスト点眼薬の先発医薬品と

後発医薬品の比較検討

土井信幸*1, 4,秋山滋男3, 4,矢野健太郎2,高橋恵美利1,小見暁子1,井戸田陽子2,荻原琢男2, 4 高崎健康福祉大学 薬学部 地域医療薬学研究室1,高崎健康福祉大学 薬学部 生物薬剤学研究室2 群馬県済生会前橋病院 薬剤部3,群馬薬学ネットワーク4

Comparison of Brand-name and Generic Products of

Latanoprost Ophthalmic Solution with Respect to the Sense of Use

Nobuyuki Doi*1, 4, Shigeo Akiyama3, 4, Kentaro Yano2, Emiri Takahashi1, Akiko Omi1, Yoko Idota2 and Takuo Ogihara2, 4

Laboratory of Community Healthcare, Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare 1,

Laboratory of Biopharmaceutics, Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare 2,

Department of Pharmacy, Gunmaken Saiseikai Maebashi Hospital 3, Gunma Pharmaceutical Network 4

Received February 12, 2016 Accepted July 25, 2016

 Many generic products of latanoprost ophthalmic solution are commercially available. For pharmacists' guidance, patients often ask questions, such as the total number of drops to be used per bottle. However, materials, including package inserts, that can be obtained from pharmaceutical companies do not provide such information, such as the total number of drops, the volume of a drop, or sense of use regarding each preparation. In this study, we compared the total number of drops, the weight of a drop, squeezing force, and sense of use using brand-name and generic products of latanoprost ophthalmic solution to establish selection criteria.

 The weight of a drop exceeded 25 mg in all products, but there were significant differences among the products. In generic products, the total number of drops per bottle was lower than in the brand-name product (112.6 ± 0.9 drops), showing significant differences (10 to 20 drops). The squeezing force required for dripping differed among the products (1.5 to 5-fold). The sense-of-use score regarding the rigidity of an eye drop container reduced with the increase in the squeezing force, showing a negative correlation. The utilization of this information may improve glaucoma patients' adherence and/ or reduce costs, providing beneficial information for adopting pharmaceutical preparations in medical institutions.  Key words ―― latanoprost ophthalmic solution, generic products, glaucoma, eye drops, sense of use

緒  言

後発医薬品の使用促進が 2006 年の診療報酬改 定より開始され,その後も改定が繰り返されてい る.医療機関において保険診療に使用されている 後発医薬品は臨床上,先発医薬品と有効性や安全 性が同等であるとみなされ,医療費削減という観 点から,代替可能な低価格な医療用医薬品として, 使用の促進が求められている.1, 2)このような背景 から一般名処方が推進されており,後発医薬品の 選択は薬剤師の判断に委ねられるケースも増えて いる.一般的には先発医薬品から後発医薬品への 変更により,医療費の削減効果があるものと考えら れるが,点眼薬の薬価は 1 剤当たりの容量(1 mL 当たり)によって定められている.そのため,1 剤当たりの薬価が安く設定されていても,点眼薬 1本当たりの総滴数が異なる場合,必ずしも医療 費の削減に繋がらない場合が考えられる.3) 緑内障治療薬であるラタノプロスト点眼薬は, 多くの後発医薬品が発売されており,2015 年の

(2)

時点で 25 品目に達する.緑内障治療薬において は,患者が適切な使用を行えない場合,治療効果 が減弱するばかりではなく,過量投与が副作用の 原因になることもある.4)さらに,ラタノプロス ト点眼薬使用時には,目から溢れた薬液によって 色素沈着(5%未満)などが起こるため注意が必 要である.これまでに,結膜嚢に保持される点眼 薬の容量として 25~30 μL 程度が望ましいことが 報告されていることから,5, 6) ラタノプロスト点眼 薬使用時においても,目から溢れない 30 μL 付近 の容量であることが望まれる.また,ラタノプロ スト点眼薬による眼圧降下値は,ほかの緑内障治 療薬と比較して高い部類に位置するため,7)本薬 剤の 1 滴量の相違は薬効にも影響する可能性のあ ることが先行研究からも報告されている.8)緑内 障は進行性の慢性疾患であり,その進行を抑制す るためには患者の良好なアドヒアランスが保たれ ることが重要である.しかし,緑内障は自覚症状 がないことも多いため,良好なアドヒアランスを 保つためには使い勝手がよく,医療費負担の少な い製剤が望まれる.9)ラタノプロスト点眼薬につ いて薬剤師が患者指導を実施する際,患者から点 眼薬 1 本当たりの総滴数に関して質問を受けるこ とがある.しかしながら,製薬企業から入手可能 な添付文書,インタビューフォーム等の資料には, 総滴数や 1 滴量等は記載されておらず,指導に必 要な情報が不足している.また,押し出しやすい 容器になっているかなどの使用感について,先発 医薬品と後発医薬品,後発医薬品同士を直接比較 した幾つかの先行研究5, 8, 10)はあるが,後発品の 数は増え続けていることから情報は不足している. 従って,数多くあるラタノプロスト点眼薬のなか から患者に最も適した薬剤を選択するための明確 な基準はなく,医療機関では価格や供給の安定性 などを主な基準として採用されていることが多い. そこで本研究では,先発および後発のラタノプ ロスト点眼薬を用いて,製剤学的特性と使用感と の関係,総滴数から換算したラタノプロスト点眼 薬 1 本当たりの医療費を比較し,医療現場でラタ ノプロスト点眼薬を採用する際の選択基準を示す ことを目的とした.

方  法

1.ラタノプロスト点眼薬 後発医薬品のラタノプロスト点眼薬は 2015 年 時点で後発医薬品メーカー25 社より発売されて いる.この 25 種について調査したとろ内容物の 販売元は 10 社であった.内容物の販売元が異な る後発医薬品から売上を参考に容器の形状の異な る 4 製剤を選択した. なお,本研究に用いたラタノプロスト点眼薬の 先発医薬品(キサラタン®点眼液 0.005%)およ び各後発医薬品の製品名,メーカー,薬価(2015 年 11 月時点),製品ロット番号を表 1 に示す. 2.1 滴量測定およびラタノプロスト点眼薬 1 滴 を容器から滴下する時に要する押し出し力 (スクイズ力)の測定 図 110)に示すように,倉本ら11)の方法を参考に, 図 1  デジタルフォースゲージ(ZTA-20N)を取り 付けたスクイズ力(N)測定装置10) 分類 製品名 メーカー 薬価(円) 製品ロット番号 記号番号 先発 キサラタン点眼液 0.005% ファイザー株式会社 739.5 L99331 B 後発 ラタノプロスト点眼液 0.005%「AA」 あすか製薬株式会社 482.9 F006 C 後発 ラタノプロスト点眼液 0.005%「科研」 科研製薬株式会社 482.9 C51570 E 後発 ラタノプロスト点眼液 0.005%「NP」 ニプロ株式会社 482.9 4Y45 D 後発 ラタノプロスト点眼液 0.005%「TOA」 日東メディック株式会社 482.9 A01AA A 表 1 本研究に用いたラタノプロスト配合の点眼薬

(3)

デジタルフォースゲージ(ZTA-20N,(株)イマダ) を取り付けた特注点眼容器押出力測定スタンド (EX-01022)に各製剤をセットし,ゆっくりとハン ドルを回して,1 滴を滴下した瞬間にかかる力をス クイズ力(N)として測定した.その際に滴下した 1滴の重量を測定(AUW220D,SHIMADZU)し, 1滴量とした.測定者が装置を使用する際の手技に よる測定値の変動を考慮するため,4 名の測定者が 各製剤の 1 滴重量を 5 回測定し,それぞれの平均 測定値より,1 滴重量を算出した. 3.点眼薬 1 本当たりの使用可能総滴数の測定 点眼薬 1 本当たりの使用可能総滴数の測定は, 点眼薬を遠心分離器(CN-1050,アズワン)にて 6,000 rpm,5 min にて処理し,点眼容器から薬液 を除去した重量から使用可能総滴数を算出した. 4.点眼容器への張り付きを考慮した使用可能総 滴数の測定 使用可能総滴数の検討では遠心分離器にて薬液 を除去している.そこで,実際の臨床における使 用可能総滴数を想定した,「点眼容器への張り付 きを考慮した使用可能総滴数」を測定した.測定 方法は点眼薬 1 本当たりの総重量から点眼容器か ら人の手で押し出すことが可能な薬液を出した後 の容器重量を引き,容器に張り付いた残分を考慮 した使用可能総滴数を算出した. 5.各種ラタノプロスト点眼薬の使用感に関する アンケート調査 高崎健康福祉大学薬学部 4 年生 59 名(20 代) を対象に,各種ラタノプロスト点眼薬の使用感に 関するアンケート調査を行った. 被験者には,点眼薬の製品名およびメーカー名 がわからないように,点眼容器のフィルムを取り 除き,A~E の記号をランダムに割り当て(表 1), 識別した各種ラタノプロスト点眼薬を用意した. 被験者は防護ネガネを装着後,利き手に点眼薬を 持ち,普段点眼をする際の姿勢をとり,薬液が眼 に入らないよう,もう一方の手で持った透明のプ ラスチックシャーレにて眼を覆い,シャーレの上 に点眼薬 1 滴を滴下した. その後,兵頭ら12)の方法を参考とし,以下の 項目について自記式調査票(図 2)にて調査し, 図 2 点眼薬使用感アンケート

(4)

結果を表 2 の通りスコア化した. また,アンケートの最後は「点眼容器に関する 要望(自由記載)」とした.なお本研究は,「人を 対象とする医学研究に関する倫理指針(平成 26 年)」に基づき,高崎健康福祉大学研究倫理委員 会にて承認されたプロトコールに基づき行われた (承認番号 2722). 6.統計解析 スクイズ力(N),1 滴重量(mg)は Dunnett の多重比較検定法を用いた.点眼薬の使用感アン ケートのスコアでは Wilcoxon signed-rank test を用 いた.点眼薬の使用感アンケート調査のスコア (点)とスクイズ力(N)との相関については Spearman順位相関係数検定を用いて解析を行っ た.なお,有意水準は危険率 5%未満とした.統 計解析ソフトは IBM® SPSS® Statistics Version 23

用いた.

結  果

1.1 滴の重量測定 図 3 に各製剤の 1 滴の平均重量について示す. 先発医薬品(ファイザー)と比較して,後発医薬 品(あすか製薬,ニプロ,日東メディック)の 3 製剤については有意に 1 滴量の重量が大きいこと が示された.科研製薬の後発医薬品では統計上の 有意差は認められなかった. 2.スクイズ力(N)の測定 図 4 に各製剤の 1 滴量を押し出す時の平均ス クイズ力(N)の測定結果について示す.先発医 図 3 各製剤の 1 滴量の平均重量 Mean ± SD (n = 4) **P < 0.01(ファイザー(先発医薬品) vs 各種後発医薬品, Dunnett's test) 図 4 各製剤の平均スクイズ力(N) Mean ± SD (n = 4) **P < 0.01(ファイザー(先発医薬品) vs 各種後発医薬品, Dunnett's test) スコア(点) 5 4 3 2 1 キャップの大きさ ちょうどよい - やや大きいやや小さい - 大きい小さい キャップの開閉しやすさ しやすい ややしやすい 意識せず ややしにくい しにくい 容器の持ちやすさ 持ちやすい やや持ちやすい 意識せず やや持ちにくい 持ちにくい 容器の使いやすさ 使いやすい やや使いやすい 意識せず やや使いにくい 使いにくい 容器の硬さ 適度である - やや柔らかいやや硬い - 柔らかすぎる硬すぎる 1滴量の出やすさ 適量である - やや出すぎるやや出にくい - 出すぎる出にくい 表 2 アンケートの評価スコア 薬品(ファイザー)と比較して,後発医薬品(あ すか製薬,科研製薬,ニプロ,日東メディック) の全てにおいてスクイズ力が有意に大きいことが 示された.スクイズ力が最小であったファイザー の製剤と比較して,後発医薬品において約 1.5~5 倍であった. 3.点眼薬 1 本当たりの使用可能総滴数 図 5 に点眼薬 1 本当たりの使用可能総滴数の 測定結果について示す.先発医薬品(ファイザー)

(5)

と比較して,後発医薬品(あすか製薬,科研製薬, ニプロ,日東メディック)の全てにおいて有意に 使用可能総滴数が少ないことが示された.使用可 能総滴数が最大であったファイザーと比較して, 10~20 滴の使用可能滴数の差が示された. 4.点眼容器への張り付きを考慮した使用可能総 滴数 点眼容器への張り付きを考慮した使用可能総滴 数は,ファイザー:102.7 滴,あすか製薬:83.0 滴, 科研製薬:87.1 滴,ニプロ:70.5 滴,日東メディッ ク:85.6 滴(n = 3)であった.この容器に張り 付いた残分を考慮した使用可能総滴数は最大で約 30滴以上の差が示され,表 1 に示す点眼薬 1 本 当たりの薬価から 1 滴当たりの薬価を算出する と,ファイザー:7.2 円,あすか製薬:5.8 円,科 研製薬:5.5 円,ニプロ:6.9 円,日東メディック: 5.6円であった. 5.点眼薬使用感アンケートのスコア(点) 図 6 に点眼薬使用感アンケートをスコア化し た結果について示す. 図 6-A より,ファイザーと比較してあすか製 薬の製剤では,「キャップの大きさ」,「キャップ の開閉しやすさ」,「容器の使いやすさ」において スコアが有意に高いことが示された.図 6-B より, ファイザーの製剤と比較して科研製薬のもので は,「キャップの大きさ」,「キャップの開閉しや すさ」,「容器の使いやすさ」においてスコアが有 意に高いことが示された.図 6-C より,ファイザー の製剤と比較してニプロのものでは,「キャップ 図 5 点眼薬 1 本当たりの使用可能総滴数(滴) Mean ± SD (n = 3) **P < 0.01(ファイザー(先発医薬品) vs 各種後発医薬品, Dunnett's test) A C B 図 6 点眼薬使用感アンケートスコア(点) ◯ファイザー(先発医薬品)の平均スコア(点),●各種後発医 薬品の平均スコア(点).** P < 0.01,Wilcoxon signed-rank test

(6)

図 7 スクイズ力(N)と「容器の硬さ」のスコア(点)との相関 の大きさ」,「キャップの開閉しやすさ」において スコアが有意に高いことが示された.一方,「 1 滴量の出やすさ」,「容器の硬さ」では,ニプロの 製剤のスコアが有意に低いことが示された.図 6-D より,ファイザーの製剤と比較して日東メ デ ィ ッ ク の も の で は,「 キ ャ ッ プ の 大 き さ 」, 「キャップの開閉しやすさ」,「容器の使いやすさ」 においてスコアが有意に高いことが示された. 6.スクイズ力(N)と「容器の硬さ」のスコア (点)との相関 図 7 に各製剤の平均スクイズ力(N)と点眼薬 の使用感アンケート「容器の硬さ」のスコア(点) との関係について示す.スクイズ力(N)の増加 にともない点眼薬の使用感スコア「容器の硬さ」 (点)の低下がみられ,負の相関傾向がみられた.

考  察

緑内障は慢性的な進行性の疾患であり,その治 療において点眼薬は重要な位置を占めている.13) 点眼薬での治療は長期に及ぶことから,患者の使 用感や使用可能日数(点眼薬の 1 滴量の違い)が 点眼指導や点眼薬選択での重要な因子となる.特 に点眼薬 1 本当たりの使用可能日数の差は医療費 に直結するため,医師の処方量の決定に役立つほ か,薬剤師が患者の適正使用を支援するうえで重 要な情報となる.12)一方,結膜嚢に保持可能な液 量は 25~30 μL と報告されている5, 6)ことから, 本検討に用いた製剤の 1 滴量は十分であることが 示された.しかし,30 μL を超える容量の製剤も あり,結膜嚢に入りきらない薬液が眼の周囲に接 触することで引き起こされる,皮膚への色素沈着, 睫毛の多毛などの副作用の危険性を高める可能性 が示唆された.1 滴量が過量であるかどうかも患 者への適正使用を支援する際の有用な情報の 1 つ となる.今回検討したラタノプロスト点眼薬では それぞれの製剤間で点眼容器への張り付きを考慮 した 1 本当たりの使用可能総滴数で 10~30 滴の 差がみられた.総滴数が少ない場合には患者の 1 回の処方当たりの経済的負担は変わらないばかり か,治療が長期にわたる場合には,負担が増大す る可能性が考えられる.本検討からも 1 滴当たり の薬価が先発医薬品と後発医薬品とで最大 1.7 円 の差があり,後発医薬品同士でも最大 1.4 円の差 がみられた.そのためラタノプロスト点眼薬を選 択する際には経済的評価も加えた薬剤選択を行う 必要がある. 緑内障は高齢になるほど有病率が高く(日本緑 内障学会疫学調査 2016 年 1 月現在 : http://www. ryokunaisho.jp/general/ekigaku/tajimi.html,2016年 1月 26 日),治療患者は高齢者が多い.14-16)緑内障 の治療は長期のため,緑内障点眼薬を不快に感じ ている高齢者の割合が高く,その感覚は製剤間で 異なることが報告されている.6)高齢者にとって 1滴量を押し出しやすい点眼容器であることはア

(7)

ドヒアランスに影響を与える重要なファクターで あり,緑内障の治療効果にも影響があるものと考 えられるため採用薬剤を選択するうえでの 1 つの 基準となりうる.本検討からスクイズ力(N)は 最大で 5 倍の差が示された.この製剤間の差は容 器の形状,容器原料の違いによる硬さの違い,点 眼薬の製剤学的特性の違いが影響しているものと 考えられた.ファイザー,日東メディックの製剤 は薬液を押し出す際の指の接地面を平面とする容 器形状とすることでスクイズ力を低減させている と考えられた.一方,ニプロの製剤は 1 滴量を滴 下するのにもっとも大きなスクイズ力を要した. これは本製剤が防腐剤無添加とするために薬液を メンブランフィルターに通してから滴下される構 造を有し,その際に大きな圧力が必要となるもの と考えられた. 高齢者では細かい指先の操作や力の調節が困難 なケース17)があり,点眼薬の使用感がアドヒア ランスの低下につながることが考えられる.先発 医薬品であるファイザーの製剤では,「キャップ が小さい」,「キャップが 2 重で使いにくい」など の記述が見られた.前述のようにメンブランフィ ルターを有する特殊容器が採用されているニプロ の製剤では,「容器が硬すぎる」,「点眼を出す時 に空気が混ざる」などの記述が見られた.また, 後発医薬品のなかで,1 滴量を押し出すスクイズ 力(N)がもっとも小さかった日東メディックの 製剤は「持ちやすい」,「適量を調節しやすい(2, 3滴連続して薬液が出るのではなく,1 滴のみが 確実に出る)」といった記述がみられた.スクイ ズ力(N)の増大にともない,「点眼容器の硬さ」 に関する使用感スコアは減少し,負の相関傾向を 認めた.このように各製剤の製剤学的特性に関す る情報に加え,実際の使用感をスコア化すること で,薬剤を選定するうえでの有益な情報になると 考えられる. 本検討結果より,各製剤の特性として,1 滴量 を押し出すのに必要なスクイズ力,1 滴量,製剤 1 本当たりの使用可能な総滴数の製剤間の差は,そ れぞれの容器の使用感,医療費に大きく影響する ものと推察される.患者はライフスタイルも使用 状況も様々な生活者であり,薬に求める優先事項 は多岐にわたる.従って,薬剤師が患者個々に適 した特性の製剤を選択することが重要であり,そ の結果,患者のアドヒアランスの向上に寄与でき るものと考えられる.各医療機関にて後発医薬品 への切り替えを検討する際には,点眼薬の特性や 患者の使用感を考慮したうえで採用品目を決定 し,患者の支援を行うことが重要であると考えら れる.

謝  辞

本研究の一部は群馬薬学ネットワーク健大研究 助成金によって行われた.

利益相反

開示すべき利益相反はない.

引用文献

1) 竹内大悟, ジェネリック医薬品の評価・選択のポ イント-保険薬局の場合, 薬事, 2013, 55, 53-58. 2) 立石佳代, 後発医薬品使用促進の現状と課題, 日 本大学大学院総合社会情報研究科紀要, 2007, 8, 367-378. 3) 菅原 仁, 島森美光, 吉町昌子, 後藤輝明, 早瀬 幸俊, 点眼薬の後発医薬品使用促進に関わる薬 剤費の比較研究, Jpn J Drug Inform, 2012, 14, 62-68. 4) 谷原秀信, 眼科インストラクションコースNo 3 緑内障薬物療法まるごとマスター , メジカル ビュー社, 東京, 2005, pp124-126. 5) 落合明子, 飯田 桂, 佐藤康彦, 加藤保富, 壇上 和美, 患者の使用性を考慮したラタノプロスト 点眼液の容器設計, 薬剤学, 2011, 71, 65-73. 6) 北川和子, 大橋裕一編, “点眼薬 常識と非常識  眼科New Insight” 第 2 巻, メジカルビュー社, 東 京, 1994, pp24-35. 7) 井上賢治, 橋本美枝子, 若倉雅登, 富田剛司, ラタ ノプロスト, トラボプロスト, タフルプロストの 眼圧下降効果, あたらしい眼科, 2010, 27, 383-386. 8) 池田博昭, 塚本秀利, 三嶋 弘, 木平健治, 本邦に おける緑内障治療薬とコスト評価, 広島県病院 薬剤会誌, 2002, 37, 9-16. 9) 相原 一, 阿部春樹, 北澤克明, 桑山泰明, 酒井 

(8)

寛, 白柏基宏, 白土城照, 鈴木康之, 谷原秀信, 富田剛司, 中村 誠, 東出朋巳, 山本哲也, “緑内 障診療ガイドライン”, 第 3 版, 日本緑内障学会, 東京, 2011. 10) 和田侑子, 野澤 充, 後藤美穂, 下川健一, 石井 文由, 患者ベネフィットおよび安全性確保のた めのジェネリック医薬品選択基準[Ⅲ]「チモ ロールマレイン酸配合点眼液」の先発医薬品お よび後発医薬品における製剤学的特性および患 者アンケートによる使用感比較研究, 医療薬学, 2015, 41, 394-403. 11) 倉本美佳, 樋上智子, 高橋佳子, 檜垣文子, 山下 典子, 合田昌子, 足立亜紀子, 室 親明, 橋本  肇, 濱口常男, 門林宗男, 点眼剤の使用に関する 検討(第 1 報)点眼容器の押し出し力(スクイ ズ力)と点眼液滴下量の変動, 医療薬学, 2004, 30, 13-19. 12) 兵頭涼子, 溝上志朗, 川崎史朗, 林 康人, 高齢者 が使いやすい緑内障点眼容器の検討, あたらし い眼科, 2007, 24, 371-376. 13) 青山裕美子, 教育講座 緑内障の点眼指導とコ メディカルへの期待 緑内障と失明の重み, 看 護学雑誌, 2004, 68, 998-1003.

14) Suzuki Y, Iwase A, Araie M, Yamamoto T, Abe H, Shirato S, Kuwayama Y, Mishima HK, Shimizu H, Tomita G, Kitazawa Y, Risk factors for open-angle glaucoma in a Japanese population: the Tajimi Study, Ophthalmology, 2006, 113, 1613-1617. 15) Iwase A, Araie M, Tomidokoro A, Yamamoto T,

Shimizu H, Kitazawa Y, Prevalence and causes of low vision and blindness in a Japanese adult : the Tajima Study, Ophthalmology, 2006, 113, 1354-1362. 16) Yamamoto T, Iwase A, Araie M, Suzuki Y, Abe H,

Shirato S, Kuwayama Y, Mishima HK, Shimizu H, Tomita G, Inoue Y, Kitazawa Y, The Tajima Study report 2 : prevalence of primary angle closure and secondary glaucoma in a Japanese population,

Oph-thalmology, 2005, 112, 1661-1669.

17) Cole KJ, Beck CL, The stability of precision grip force in older adults, J Mot Behav, 1994, 26, 171-177.

図 7 スクイズ力(N)と「容器の硬さ」のスコア(点)との相関 の大きさ」,「キャップの開閉しやすさ」において スコアが有意に高いことが示された.一方,「 1 滴量の出やすさ」,「容器の硬さ」では,ニプロの 製剤のスコアが有意に低いことが示された.図 6-D より,ファイザーの製剤と比較して日東メ デ ィ ッ ク の も の で は,「 キ ャ ッ プ の 大 き さ 」, 「キャップの開閉しやすさ」,「容器の使いやすさ」 においてスコアが有意に高いことが示された. 6.スクイズ力(N)と「容器の硬さ」の

参照

関連したドキュメント

 スルファミン剤や種々の抗生物質の治療界へ の出現は化学療法の分野に著しい発達を促して

Hiroyuki Furukawa*2, Hitoshi Tsukamoto3, Masahiro Kuga3, Fumito Tuchiya4, Masaomi Kimura5, Noriko Ohkura5 and Ken-ichi Miyamoto2 Centerfor Clinical Trial

1年生を対象とした薬学早期体験学習を9 月に 実 施し,辰巳化 学( 株 )松 任 第 一 工 場,参天製薬(株)能登工場 ,

医薬保健学域 College of Medical,Pharmaceutical and Health Sciences 医学類

 5月15日,「泌尿器疾患治療薬(尿もれ,頻尿)の正しい

 医薬品医療機器等法(以下「法」という。)第 14 条第1項に規定する医薬品

Current Status of Unapproved Drug Transactions via Internet Auction in Japan.. Hisakazu Ohtani * , Honomi Fujii, Ayuko Imaoka and Takeshi Akiyoshi Division of

医師と薬剤師で進めるプロトコールに基づく薬物治療管理( PBPM