骨粗鬆症リエゾンサービスとしての理学療法士の取り組み
2
0
0
全文
(2) 684. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 折リスクについての視点をもっている理学療法士は未だに少な いと考える。 骨粗鬆症について「骨粗鬆症は,低骨量と骨組織の微細構造 の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増大 する疾患である」と定義されている。つまり,疾患としての骨 粗鬆症とは骨折を生じるにいたる病的過程であり,骨折は骨粗 鬆症の結果として生じる合併症のひとつであると明記されてい る。つまり,骨折に対する術後の理学療法を担ってきている理 学療法士も,骨折の背景に存在する骨粗鬆症を考えることが 必要となる。骨粗鬆症の診断としては X 線による DXA(Dualenergy X-ray absorptiometry)を用いた診断が必要である。. 図 2 身 長低下を用いた啓蒙活動・生活指導(文献 6 より 引用). 骨密度については加齢によって低下することは周知の事実であ り,特に閉経後女性においてはその低下が著しい。一次骨折予. な介入方法を指導することが可能である 6)。. 防としては骨密度の測定である骨粗鬆症検診を促す必要がある. 骨折の大きな要因となる転倒について,地域在住の高齢者の. と考える。しかしながら,骨粗鬆症そのものが無症状で進行す. 転倒発生率は概ね 20 ~ 30%と報告されている。転倒リスクや. る「沈黙の疾患」という特徴から,その受診率は低いのが現状. 転倒恐怖感の低減については一定の効果はみられているが,転. である。近年,地域における介護予防や健康増進の分野におい. 倒そのものを「ゼロ」にすることは,2 足直立歩行を行うヒト. て,活動している理学療法士のニーズはますます増加してい. の特性として難しいと考えている。そのため「転倒しにくい身. る。その予防的な取り組みのキーワードとして「運動器」ある. 体づくり」や,「転倒しても骨折しにくい身体づくり」,あるい. いは「骨粗鬆症」を取り上げ,移動能力や活動性の向上を目的. は「(万が一)骨折しても元の活動に戻ることができる身体づ. とすると,その対策は具体的に見えてくる。しかし,運動器の. くり」が必要であると考える。そのためにも,骨粗鬆症につい. 低下や骨粗鬆症の進行については,本人が気づかないことが多. て正しく理解し,患者指導だけでなく広く地域住民へ健康づく. く,一般地域在住高齢者や予防事業において,気づきを促すた. りの活動として,骨粗鬆症リエゾンサービスにかかわることが. めの具体的な手段が必要であると考える。. 必要である。そして,多くの理学療法士が骨折後の治療や二次. 我々は地域在住の中高年者を対象として運動器検診を行って. 骨折予防だけでなく,一次骨折予防の重要性を認識し,運動器. おり,その中のアンケート項目として「身長低下」を取り上げ. の健康づくりとして骨粗鬆症に対して積極的に取り組むことを. ている。身長低下については「骨粗鬆症の予防と診療ガイドラ. 期待する。. イン 2011 年版」においても,身体診察や問診の項目として挙 げられており,椎体骨折リスクが増大することが述べられて いる。この項目を利用して「20 歳頃の身長」-「現在の身長」 をもとに,「0 ~ 2 cm 群」,「2 ~ 4 cm 群」,「4 cm 以上群」の 3 群に分け運動機能を比較した。その結果,「4 cm 以上群」で は「0 ~ 2 cm 群」に比べて握力,開眼片足立ち,最大歩行速 度が低下するだけでなく,膝伸展筋力においては「2 ~ 4 cm 群」 とも有意に低下を認める結果を得た。この結果をもとに図 2 の ような指導が可能となる。「0 ~ 2 cm 群」は加齢的変化として 捉え,現在の生活と活動の維持を勧め,「2 ~ 4 cm 群」につい ては身体機能の低下が生じていることから継続的な運動習慣の 改善を勧め,「4 cm 以上群」については身体機能低下に警戒が 必要と考え,医療機関への受診や積極的な運動介入が必要な群 と考えることができる。このように,身長低下という簡易的な ツールを用いることで,運動機能低下をおおまかに捉えるだけ でなく,骨粗鬆症検診や医療機関への受診を促すなど,具体的. 文 献 1) 内閣府:平成 26 年度版高齢者白書より.http://www8.cao.go.jp/ kourei/whitepaper/w-2014/zenbun/26pdf_index.html(2015 年 7 月 2 日引用) 2) 内閣府:平成 24 年度版高齢社会白書(全体版).http://www8.cao. go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/s1_2_3_02.html(2015 年 7 月 2 日引用) 3) 健 康 日 本 21( 第 二 次 ) の 推 進 に 関 す る 参 考 資 料.http://www. mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/ kenkounippon21.html(2012 年 7 月 10 日引用) 4) 骨 粗 鬆 症 の 予 防 と 診 療 の ガ イ ド ラ イ ン 作 成 委 員 会, 折 茂 肇 (編):骨粗鬆症の予防と診療のガイドライン 2011 年版.ライフサ イエンス出版.2011 5) 八重樫由美,坂田清美,他:日本の大腿骨近位部骨折発生率 2012 年における新発生患者数の推定と 25 年間の推移.Osteoporosis Japan.2014; 22(Suppl. 1): 262. 6) 荻原健一,藤田博暁,他:閉経後中高年者の骨粗鬆症リスクと し て の 身 長 低 下 と 運 動 機 能 の 関 連.Osteoporosis Japan.2014; 22(Suppl. 1): 247..
(3)
図
関連したドキュメント
ても情報活用の実践力を育てていくことが求められているのである︒
これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア
関係委員会のお力で次第に盛り上がりを見せ ているが,その時だけのお祭りで終わらせて
「他の条文における骨折・脱臼の回復についてもこれに準ずる」とある
わからない その他 がん検診を受けても見落としがあると思っているから がん検診そのものを知らないから
断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め
および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値
この項目の内容と「4環境の把 握」、「6コミュニケーション」等 の区分に示されている項目の