The Society of Crop Science and Breeding in Kinki, Japan
NII-Electronic Library Service The Sooiety of Crop Soienoe and Breeding in Kinki
厂
Japan作物 研 究 55:
49−
52 (2010
> 黜総 説
兵庫 県
に
お け る
食料 自給率 向
上
対策
一
地産地消
の取
り
組
み
一
牛
尾 昭浩
兵 庫県立 農林水 産技 術 総 合セン ター
は じ め に カロリー
ベー
ス 自給 率 低 下の理 由 日本の食 料自給 率が先 進 諸 外 国と比 較して低 水 準で ある こ と が指 摘さ れて以降,
自給 率 向上 に向けて様々 な取 り組 み が な さ れている.
食 料 自給 率は,
国 内の食 料 消 費につ い て国 産で どの程度まか なえてい る かを示す指標で あ り,
次 の3
つ の 方法で算 定さ れ る.
・
熱量 (カロ リー
)ベー
ス :その食 品に含ま れ る熱 量を 用い て計 算 する方 法・
生産 額ベー
ス :その食 品の価 格 を用い て計 算 する方 法・
重 量ベー
ス :国 内生産 量 輸 入 量 など,
その食 品の重 量で計 算 する方 法一
般に食 料 自給 率 とい うと,
カロリー
ベー
ス の 値を用い ることが多い.
近年,
都道府県 別の食料 自給率が農林水 産 省か ら 公表さ れ,
そ れ ぞ れの地 域に応じ た自給 率 向上対 策 が取 り組 まれ てい る.
兵 庫 県の食 料 自給 率 兵庫県の食料自給率を上記方 法で算定 する と,
カロ リー
ベー
ス :16
% (41
%),
生 産 額ベー
ス :35
% (65
%),
重 量 ベー
ス :25
% である.
地 域 別にみる と,
淡路島に代 表 され る ような 食 料 供 給 地 域で は100% を超 えるが,
人口が 集 中 して多い う え に耕 地 率の低い阪 神 地 域 を含め て県 南沿岸部 に消 費地を抱 える た め,
県全 体と し て は 国内平 均 (カッ コ 内の値 )よ りもか な り低く な る.
40
年 前 に は73
% であっ た 国 内の食 料 自給 率が.
平 成20
年で は41
% にまで低下 し てい る.
その 主 な 理 由 は,
・
主 食 (米)消費量の減少・
油 類 消費量の増 加 (原 料を輪 入 )・
肉 類 消 費 量の増 加に伴 う飼 料 穀 物 輸 入 量の増 加 であ り,
庶 民の食 生 活の変 化 が 大い に関係 してい る.
した がっ て,
自給 率の向 上 を 図る には,
国 内で生 産さ れた 食 材 を 消 費 すると と もに,
日々 の食 生 活 を,
いわゆ る 日本 型の 食 生 活へ 見 直 すこと が 必要で あ る.
愈
岡 民1
人1
年あた りの食べ 勅の 割 合 の変 化 (供 給 熱 量べ一
ス) 嗇 油 小 魚 そ米
磯
麦姦
電
昭 和 35痿
昭 和 55饉
平 成 18 護 2,
291kca1 2.
562kcal 2.
548kce1 県 民 局 ご との食 料 自給 率 (%,
平成18年 度数値) 神 戸 4 中播 磨 15 阪 神 南0,
6
西播 磨 38 阪神 北 5 但 馬 66 東播磨 9 丹 波 82 北播磨 56 淡 路 107 出 典:ひょうごみ ど り白 書2008螽
供絵 熱量と摂取熱 量の推ge
〈1人 昭あ た リ> tScat) 3.
000 2,
500 2,
000 1.
500 2,
597 2・
6M 2518 2.
497k、,1驪 鑑韈
織
紳騾
1
。
2.
。、67’ 〜拠
…
纛
y
幾
蘓
(H15} 一 一 o 昭 和40 45 50 55 60 平nt2 7 12 17〔年 ) 資 料・
供給 贓 量 は農 林水 産 省 「喰 料需裕 表 」、
摂 取 熱 鬣は厚 生労 働轡 「闔 民栄 養 躙 査」 2010年5月10日受理連 絡 責 任 者 :牛 尾 昭 浩 (Akihiro
_
Ushio@pref.
hyogo.
lg.
jp)Copyright近 畿作 物
・
育 種研 究会 (The Society ofCrop Science and Breeding jn Kidki,
Japan) 49 N工 工一
Eleotronio LibraryThe Society of Crop Science and Breeding in Kinki, Japan
NII-Electronic Library Service The Sooiety of Crop Soienoe and Breeding in Kinki
厂
Japan作 物研 究
55
号 (2010)一
方.
少子高齢化が進 展 する に従っ て,
食 品 と して供 給 さ れ る熱 量と実 際に食 する 摂取 熱量のギャ ップ が年々増 加 してい る.
食べ残し等に よ る 食 晶の廃 棄 量 は 熱 量ベー
ス で 1 日一
人 当た り約700Kcal,
年 間一
人あ た り150kg
に相 当 するといわ れて い る.
食べ 物 が 豊 富 に あるの は豊 かさの象 徴であるが,
過 剰による廃 棄は慎 むべ きであ り,
食生活 を 見 直すことに より改 善される余 地がある.
その ような観 点 を含め な が ら,
食料自給 率の向 上 を 図るため に,
前 述の・
ご は ん を中心 と し た 日本型の食生活へ の シフ トす る・
国 内 (県 内 )で生産さ れ た農 産 物を消 費 する こと を 目的 と して 「食 育 」と 「地 産 地 消 」に よ る食生活の 見 直 し運 動が全 国 的に取 り組 まれてい る.
兵 庫 県でも,
次 の よう な 行 政 施 策 を展 開し ている.
兵 庫 県に お け る食
料 自給率向
上をめざし た施
策 兵 庫 県で は,
「食 育 」に果たす 「ご は ん」の重要 性か ら,
日本 型 食 生 活の啓 発 事 業として 「おい しい ご はん を食べ よ う 県 民 運 動 」に取 り組んで いる.
その運 動の一
つ と して,
県 産 米 をすべ て使 用 した米 飯 学 校 給 食の実 施 回 数の増 加 を 推 進し,
他の食 材につ いても 「県 産 農 産 物100
%の 日」 を 設け て,
地 域の 「地 産 地消」に貢献し てい る.
一
方,
県内で生 産 さ れ た 農 産物の認 知と消 費 推進 を 図 る た め に,
「ひょ うご食 品 認 証 制 度 」を活 用 し た県 内 産の食 品 農 産 物 が 量 販 店や直 売 所で販 売 されている.
その よう な 農 産 物 を取 り扱 うこ とで.
地 産 地 消の推 進 と と もに県 内 生 食騨
「li
;liil
灘蘿籌
羃義蕪灘lilil
議
iil
憲
菱 轟 灘 纏 縱 携 蹄 期 淵州
齢 欝 腿 鍵 飜 驫 驪 欝 締 灘 羅 蹴 漁 綜僻
欝
難舞籔 Ψ ン 麟 羃一
こ の マー
クが付 い て い る 食 品 は、
「安全・
安心 」 かつ 「儷牲・
特 畏」が ある兵廳 娯認 証 食昂 です。
「兵
庫
米」 シ ンボ
ルマー
ク 「ひ ょう
ちゃん 」 兵庫
県 認 証 食 品PR
キャラクター
産者の所得向上につ なげている.
ま た,
こ れ らの啓発事業 が 広く県 民に 認知さ れ る ように,
各種の P.
R.
キャ ラク ター
を制 定して,
消 費 者の親し み が得 ら れ る ように努めてい る.
生 産 現 場におけ る地 産 地 消の取 り組み事 例 こ こで は,
県 内で生 産し た農 産 物 を 地域 内で加 工 販 売 する 「地 産 地消 」につ いてt 地 域 の生 産者,
流通,
加工業 者が結びつ い た 「農 商工連 携型」,
農 産 物の生産,
加工,
販 売 を一
貫 して行 う 「第6
次 産 業 型 」とい う,2
つ の異 な る事 例 を紹 介 す る.
○ 農 商工連携 型・
高タンパ ク小麦を使っ た淡ロ醤油,
手 延素麺の取り組み 県内T 市の 大手 醤 油メー
カー
が,
地場 産 小 麦を用いて 高 級 淡口醤 油を開 発 し,
消 費 者に高い評 価 を得ている.
そ の原 料 となる小 麦の栽 培につ いて,
関 係 者 が一
体 となっ て 栽 培 技 術の改 善に努めた.
その結 果,
収 量,
品 質 と もに向 上 することでい わゆ る 「高タン パ ク小 麦 」の安 定供 給が図 られ る ようにな り,
醤油 だ けで なく手延べ そうめ ん にも活 用さ れ る ように なっ た.
この ような成果の要 因と して,
次 の ような点が 上げら れる.
・
地 場 産で のプレ ミ アが得ら れる ように,
実 需 者 自身が 醸 造 用 小 麦の規 格 制 定に尽 力し た,
・
多 収 品種 「ふ くほ の か」を導入し て,
「シロガ ネコ ムギ」 か らの転換 を図っ た.
平成21
年 産で は転換 作付 率が 79% にのぼっ た,
・
栽培面 で は,
排水対策の徹底 基本技術の励 行を徹 底 し た,
そ れ に より,
額 縁 明 渠,
弾 丸 暗 渠の施工率は 100% に達し た.
・
肥 効 調 節 型 肥 料の活 用に より施 肥法を改 善し,
肥料利 用率の向上 を図っ た,
さ ら に,
生育量に応じ て増肥す る体 制を整え,
栽培期間 中の施 肥 窒 素 成 分の総 量 が 15〜
18kg/10a まで増 加 した.
・
栽 培 研 修 会 を積 極 的に行い,
普及セ ンター,
JA,
生 産 者.
地 元 業 者が一
体と なっ て栽培技術の向上 に努め 5DD450 τ}400ミ
蟄 350 凵剛 娶 300250200 ■■ 収 量 ( /10a> +一
タンパ ク質含 量 (%) H17 H18 H19 H20 H21 年 次 癒 V 、 ¢ 珥 の 廁(
ま)
4 3 2 1 0 111119876 図 高タ ンパク小 麦の収量 お よびタン パク質含量の年 次推 移 50 N工 工一
Eleotronio LibraryThe Society of Crop Science and Breeding in Kinki, Japan
NII-Electronic Library Service The Sooiety of Crop Soienoe and Breeding in Kinki
厂
Japan兵庫 県に おける食 料 自給 率 向上 対 策
一
地産 地消の取り組み一
た.
これ らの取り組み を 徹 底 するこ とで,
平成 21年で は,
栽 培 面 積500ha
で平 均 収 量が 500kg/10aにせ まり,
タ ン パ ク質含 量125
%を確 保できるまで になっ た.
今 後,
大 豆 につ い ても狭条密 播 栽 培の導 入 等による高 品 質,
多 収の生 産体制 を構 築するこ とで,
地 場 産 業 との連 携 をさらに強め ること が期待さ れてい る,
・
定年者な ど多様な能 力 を もっ た 人材の発掘 とい っ た 地 域雇 用の場 も創 出して いる.
こ の地 域 は,
県 南 沿 岸 部の消 費 地に隣接して いる とい う 恵 まれた立 地 条件にある.
その地の利 を活 か し た経 営 方 針 によ り,
地 産 地消 だ けでな く,
ある意 味で地 域 農 業の総 合 産 業 化にも貢 献 している とい える,
食料
自給率
向上 を めざし て0
第6次 産 業 型・
生 産一
流 通一
加工を一
元 化し た取 り組み 県 南 部K
市では,
6
集 落 連 合の 農 事 組 合 法 人 がJA
の加 工直 売 施 設 を活 用 し,
農 作 物の生 産か ら加 工 販 売 までを一
元 化し て収 益性を確保し てい る.
そ の法人 は,
農 地 面積 330haの全てが農業振興 地 域 に指 定さ れて い る地 域で設立 さ れ た,
いわゆ る2
階建て方式の広域集落営農組織であ る.
主な取 り組み は以下の通 りである.
経 営 規 模 : 水 稲 45ha
,
大 麦65ha,
種 子 小 麦 15ha,
大豆
32ha,
そ ば11ha.
野 菜1.
5ha,
作 業 受 託35ha
・
地 域水田 の経 営 受 託お よび 作 業 受 託:約ll7ha
・
野菜 生 産 :直 売 所で の販 売,
加工品へ・
農 産 物加工品の生 産・
販 売 :加工直 売 施 設へ 特に 「そ ば」は,
地粉→ 製麺→ 販売まで一
貫して取り組 み,
地 域 ブラ ン ド と して認 知さ れてい る.一
方,
r
大 豆」は,
地 元 業 者に加工料を支 払っ て豆腐に して もらい,
そ れ を直 売 施 設 な どで特 産 物 と して販 売 するし くみ で収 益 性 を 高め てい る.
本 来は,
地 域 内の農 地 を維 持 するため に設 立さ れ た営 農 組 織である が,
こ の ような多角 的経 営に取 り組 むことで,
・
農 産 物 加工施 設 運 営に お け る女 性,
高齢 者な どの人材 の活用・
季 節 的な 農作 業に対 応す る ための 労 働 力 活 用 以 上,
「食 料 自給 率 」の現 状に ふ れてその意 味を確 認し,
食 料 自給 率 を高 める手 段として,
兵 庫 県で取 り組 ま れてい る行 政 施 策や,
現 場での地 産 地 消の事 例 を紹 介した,
これ まで のところ で; 食 料 自給 率につ いて認 知し て おきたい こ と を以 下 に述べ る.
・
食料自給率は計算 方法で数値が異な るこ と・
自給 率 低 下の主な 要 因は食生活の変 化にある こ と・
食物の供 給 量と消 費 量にかな りの差が生 じている こと 上 記の点 をふ ま えると,
「食 育 」や 「地 産 地 消 」の取り 組み が食 料 自給 率 向上 につ な が れ ば とい う期待に異論は な い.
ただし.
自給率の低い作 物 を増やすに は,
水田 で畑作 物 を 生 産しなけ れ ば な らない の で,
コ ス ト面で課題 が あ る,
ま た,
ブラ ン ド化さ れ た農産物の ほ ど ん ど は一
般 消費者に 広 く行き渡る ほ ど 生産さ れて いない うえに割 高である.一
方で,
生 産に必 要 な 機 器や資 材の ほ とん ど は輸 入 産 物で構 成 され てい るとい う現 実 もある.
こ の ように,
現 状で は,
全てを国 産でまか なうとい うの は非常に困難な こ と である が,
食物を粗 宋に せず,
ひ とり ひ とりの食 生活に対 する自覚向上 を図ること が食料自給 率 の向上につ な がる.
すな わ ち,
兵 庫 県の推 進 する行 政 施 策 が県 民の意 識 向上につ な が り,
ひ い ては農 地 維 持,
生産 者 所 得 向上に少しで も 貢 献で きる の で は と思 うとこ ろ であ る.
主 な参 考 資 料, 引 用 文 献 「食 料 自給 率の部 屋 」,
農 林 水 産 省ホー
ムペー
ジ 「おい しい ごは んを食べ よ う県民運動」,
兵庫県ホー
ムペー
ジ 「ひょうこの農林水産業・
平成21
年度版,
指導の手引き」,
兵庫 県 「ひょうご み どり白書2008
」,
兵 庫 県 浅川芳裕,
「日本は世 界 5 位の農 業 大 国 」,
講 談 社 桂 裕之,
「高タ ンパ ク小 麦を地 域みんなで500kg
ど り」,
現 代 農 業,
2009年4月 号,
農 文 協 末 松 広 之,
「食料自給 率の な ぜ⊥ 扶 桑 社 51 N工 工一
Eleotronio LibraryThe Society of Crop Science and Breeding in Kinki, Japan
NII-Electronic Library Service The Society ofCrop Science and Breeding in Kinki, Japan
fiimmft
sse
(2olo)
Rate
of
Food
Self-safficiency
Improvement
Measures
in
Hyogo
Prefecture
-"
Approach
efLocal
Preduction
for
LocalComsumption
-AkihiroUshio
H),ogo
PutcturalAgriculture,torestiyandfisheries technology ResearchCenter(1533
Minaminooka,Befu,Kasai,Hyogo 679-
O19g,Japan)Journal ofCrop Research55:49
-
52(2010)
CorTespondence:AkihiroUshio(AkihiromUshio@pref,hyogo,lg,jp)52