回復期病棟入院患者における,退院後の運動についての心理様相と運動時間との関連
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(2) 394. 理学療法学 第 47 巻第 5 号. 現状では困難であることがうかがえる。 また芳野ら. 18). 査し,さらに入院中に得られた心理様相と退院後の運動. は,回復期リハビリテーション病棟患. 者の退院 1 ヵ月後の行動について,階段やセルフケア動 作の実施が低下し,FIM 運動項目が退院時よりも有意. 量との関連性を探ることを目的とした。 対象と方法. に低下することを報告しており,退院後の ADL 低下予. 1.研究デザイン. 防の必要性を述べている。回復期病棟では ADL は自ら. 本研究のデザインは,前向き研究であり,平成 29 年. 行うように促され,リハビリテーション医療として実施. 5 月∼ 12 月末日に富山県リハビリテーション病院・こ. される運動の量も多いが,退院という大きな環境の変化. ども支援センターの回復期病棟に入院し,研究協力への. により身体活動量は減少することが予測される。そのた. 同意を得られた者を対象とした。退院 1 週間前のカルテ. め,意図的な身体活動量,つまり運動量を維持・増加さ. から選択基準を満たす者を研究対象者とした。対象者の. せる必要がある。. 選定および説明と同意はすべて主任研究者が行った。説. 身体活動の維持・増加に関与する理論は計画的行動理. 明は一対一で,同意書を確認しながら行い,同意書への. 19) 論(Theory of Planned Behavior:以下,TPB) ,The. 署名をもって研究参加の同意とした。なお,本研究は,. 20)21). Health Action Process Approach(以下,HAPA). 富山県リハビリテーション病院・こども支援センター倫. などがある。TPB を運動行動にあてはめると,運動行. 理委員会(申請番号 34)にて承認を受けて実施した。. 動を促すには運動しようとする心構えである「行動意 図」と,それを高める 3 つの要因が存在する。運動を行. 2.対象. うことでの利害をどう感じているか,運動が好きか嫌い. 富山県リハビリテーション病院・こども支援センター. かといった「態度」,運動することへの義務感や,やら. の回復期病棟に入院し,退院前 1 週間以内の患者を対象. なかったことに対して他者からの批判的な目を気にする. とした。選択基準は,1)自主トレーニングを行うこと. といった社会的プレッシャーである「主観的規範」,運. を医師により制限されていないこと,2)Mini-mental. 動することの容易さ,困難さをどの程度感じているかを. State Examination(MMSE)の得点が 23 点以下でない. 表す「行動の統制感」が挙げられる. 19). 。. こと,3)失語症の診断がないこと,とした。. HAPA モデルは 6 つの因子(意図,リスク認知,結 果予期,セルフエフィカシー,計画,セルフモニタリン. 3.アウトカム. グ)が実際の行動に影響を及ぼすとする理論である。. メインアウトカムは,質問紙調査と運動記録カレン. 「行動意図」は実行前の段階における,様々な影響因子. ダーの 2 点とした。なお,対象者は質問紙調査のみ,も. の終着点のひとつと見なされている。「リスク認知」は. しくは質問紙調査に加えて運動記録カレンダーを実施す. 運動を行わなければ病気になるかもしれないなど,健康. るものとした。有効データについて,質問紙回答の合計. への害の知覚を表す。「結果予期」は運動すれば健康に. をグループⅠ,運動記録カレンダー返送者をグループ. なるが時間を捻出するのが困難であるなど,恩恵(メ. Ⅱ,グループⅠからグループⅡを除くもの(質問紙のみ. リット)と負担(デメリット)を表す。「セルフエフィ. の回答者)をグループⅢとした。. カシー」は運動を行うことができるだろう,運動を続け. 1)質問紙調査(運動に関する調査)(図 1). られるだろう,運動習慣が一度途切れてしまっても再開. 質問紙は,運動行動に関する心理モデルや,障がい者. できるだろうなど,運動を行うことに対する自信を表. の心理・行動変容に関する論文. す。「計画」は運動を行うまでの準備や期間など時間的. 作成した。退院後の運動行動に影響を与えると思われる. な計画や,運動が成功した際のイメージなどを表す。 「セ. 心理様相について, 『情緒』 (項目 1.4.12.16.29) , 『ソーシャ. ルフモニタリング」はいつ,どこで,どのくらいの期間. ルサポート』 (項目 21.23.25.30.32) , 『セルフエフィカシー』. 運動しているか確認していることや,自分のルールで運. (項目 2.3.9.17.22.26.36) , 『結果予期』 (項目 7.11.13.15.19) ,. 20). 20)22‒27). をもとに筆者が. 。このような心理学的モデ. 『リスク認知』 (項目 18.27.31.33.35.38) , 『計画・目標・意. ルをもとに,運動を促すことができれば脳卒中や転倒・. 図』 (項目 5.6.8.10.14.20.24.28.34.37)の 6 因子を下位因子. 骨折の再発予防に資することができると考えられる。. として想定した,38 項目を設定した。回答は 1.全く当. しかし,回復期リハビリテーション病棟入院患者に対. てはまらない,2.あまり当てはまらない,3.どちらと. して,心理的アプローチを用いて退院後の運動を促すこ. も言えない,4.まあ当てはまる,5.当てはまるの,5. とを試みた研究は見られず,患者が退院後の運動につい. 段階のリッカート尺度とした。この質問紙を対象者の退. てどのような心理様相を呈するのか調査した研究も見ら. 院前 1 週間の期間に依頼し,留置調査法で配布と回収を. れない。そこで本研究では,回復期リハビリテーション. 行った。. 動を行うことなどを表す. 病棟入院患者を対象に,退院後の運動に対する心理を調.
(3) 退院後の運動時間と関連する心理様相. 395. 図 1 質問紙調査(運動に関する調査) 本研究で用いた質問紙調査.実際は A4 サイズ.. 図 2 運動記録カレンダー 退院後の運動時間評価に用いたものの例.実際は A3 サイズ.. 2)運動記録カレンダー(図 2) 日記方式のセルフモニタリングシート. シールを,A3 サイズに印刷したカレンダー 28). を用いて運. 29). に患者. が貼るという方法で運動量を評価した。患者は退院時か. 動時間を評価した。ただし,本研究では歩数計ではなく,. ら 1 ヵ月後まで記録を行い,質問紙回答時に渡された封. 運動を実施した時間 10 分もしくは 30 分につき 1 枚の. 筒で返送する。なお,封筒は宛名・差出人の記載と切手.
(4) 396. 理学療法学 第 47 巻第 5 号. 図 3 解析グループに関するフローチャート 本研究の対象者選定と解析対象者に関するフローチャート.. の貼付を事前に行ったうえで渡した。. た(表 2)。因子分析の結果 25 項目 4 因子に集約された。 因子を構成する項目と因子負荷量から,4 因子に『態. 4.統計解析. 度』,『行動の統制感』,『主観的規範』,『行動意図』と命 2. 統計処理として,対応のない t 検定および x 検定を. 名した。それぞれの因子について主成分負荷量が負の項. 用いて,グループⅡとグループⅢについて各群の基本的. 目 を 逆 転 し,α 係 数 を 算 出 し た と こ ろ,『 態 度(α =. な対象者特性を比較した。グループⅠで得られた質問紙. 』,『主観的規範(α 0.747)』,『行動の統制感(α = 0.872). 調査データについて,因子分析を行った。因子分析は最. = 0.767) 』,『行動意図(α = 0.824) 』となった。全 25 項. 尤法で因子抽出を行い,固有値 1 以上(ガットマン基準). 目の α 係数は α = 0.895 となった。α 係数は 0.7 を信頼. と因子寄与率 60% の両方を満たすことを基準に因子数. 性(内的一貫性)の基準値としている. を決定し,プロマックス回転後に因子負荷量 0.4 未満を. 25 項目 4 因子の心理様相の信頼性は検証された。. 30). 。これにより. 除外した。さらにクロンバックの α 係数を算出し,信 頼性の検証とした。この信頼性の検証により抽出される. 2.運動時間と心理様相の相関. 項目を「心理様相」とする。また,運動記録カレンダー. 「運動記録カレンダー」のデータで,退院後平均運動. で得られた運動時間と心理様相との相関を確認し,その. 時間と心理様相について spearman の順位相関係数を求. 19). うえで TPB(計画的行動理論). に則ってパス解析を. 行 っ た。 以 上 の 統 計 解 析 に は IBM SPSS Statistics と. めたところ有意な正の相関が確認された( ρ = 0.335, p < 0.05) (表 3)。. Amos を用いた。 結 果. 3.心理様相のパス解析結果 TPB のモデル図にあてはめてパス解析を行った(図 4) 。. 質問紙調査は合計 104 件のデータが得られ,回答に未. パス係数より,退院後 1 ヵ月の平均運動時間の 19% は『行. 回答欄がある 4 件を除く 100 件を分析対象とした。 「運. 動意図』により決定され, 『行動意図』の 59% は 3 つの下. 動記録カレンダー」は,41 件の協力同意が得られ,未. 位因子によって決定されることがわかる。モデル適合度. 返送 6 件を除く合計 35 件のデータが得られた(図 3) 。. は,CFI = 0.770,RMSEA = 0.096 であった。CFI は 0.95. グループⅡとグループⅢの群間に,年齢,性別,各疾患. 以上がよく,0.9 が許容範囲とされる。RMSEA は 0.05 よ. 人数,在院日数,FIM,入院前の仕事の有無,退院後の. り小さいとよく,0.08 まで許容範囲,0.1 を超えると不適. 仕事の有無,退院後のサービス利用,心理様相に有意な. とされる. 差は認められなかった(表 1)。. 30). 。. 考 察. 1.質問紙の因子分析と信頼性の検証. Schwarzer ら 20)は心疾患後,整形疾患後の患者を対. 質問紙調査のデータ 38 項目に対して因子分析を行っ. 象とした 3 つの研究から,健康行動の予測には「セルフ.
(5) 退院後の運動時間と関連する心理様相. 397. 表 1 対象者の基本特性. 年齢. 平均. 性別. 64.4 ± 15.4 歳. 65 歳未満. 43 名. 18 名. 25 名. 31 名. 8名. 23 名. 75 歳以上. 0.42. 0.36. 9名. 17 名. 22 名. 42 名. 女性. 36 名. 13 名. 23 名. 73 名 (24/42/7). 26 名 (7/19/0). 47 名 (17/23/7). 骨折 (大 骨:腰椎). 16 名 (12/4). 6名 (4/2). 10 名 (8/2). その他 (内訳は表下に記載). 11 名. 3名. 8名. 6/7/15/45. 3/2/4/17. 3/5/11/28. 0.72. 68.8 ± 34.6 日. 73.8 ± 35.5 日. 66.0 ± 34.1 日. 0.29. 平均. FIM 合計. 平均. 心理様相(点). 61.7 ± 15.9 歳. 64 名. 在院日数. 退院後のサービス利用. 63.5 ± 15.6 歳. Ⅱ vs Ⅲ p値. 26 名. Ⅲ/Ⅳ/Ⅴ/Ⅵ. 退院後の仕事. グループⅢ (n=65). 男性. 脳血管疾患 Brs. 入院前の仕事. グループⅡ (n=35). 65 ∼ 74 歳. 脳血管疾患 (脳出血 / 脳梗塞 / くも膜下出血). 疾患名. グループⅠ (n=100). 0.86. 0.84. 117.5 ± 8.5. 116.5 ± 8.2. 117.5 ± 8.5. 0.36. 運動項目. 84.3 ± 7.8. 83.2 ± 7.3. 84.3 ± 7.8. 0.29. 認知項目. 33.3 ± 2.3. 33.3 ± 1.9. 33.3 ± 2.3. 0.91. 有り. 50 名. 17 名. 33 名. 無し. 50 名. 18 名. 32 名. 有り. 43 名. 14 名. 29 名. 無し. 57 名. 21 名. 36 名. 有り. 59 名. 19 名. 40 名. 無し. 41 名. 16 名. 25 名. 平均. 92.4 ± 14.9. 94.9 ± 14.0. 91.0 ± 15.3. 退院後の運動時間(分) 平均. 0.83. 0.66. 0.48 0.21. 41.5 ± 25.6. 数値は平均値 ± 標準偏差,または人数を記載. p 値は対応のない t 検定,または x2 検定. その他:Ⅱ(TKA,下 切断,頸椎症) ,Ⅲ(大 切断,頸髄損傷,外傷性骨折,誤嚥性肺炎,胸椎椎間板ヘルニア術後) Brs: Brunnstrom stage, FIM: Functional Independence Measure. モニタリング」と「計画」が重要であり,「リスク認知」. の効果量は小さく「主観的規範」は「運動行動」の直接. は考慮する必要がないと結論づけている。入院患者は実. 的な予測はできないことを述べている。また,「行動意. 際に怪我や病気に侵されているためリスクの認識が高い. 図」に対して「態度」,「行動の統制感」は高い効果量,. ことを予想していたが,本研究でも「リスク認知」に相. 「主観的規範」は中等度の効果量を示すため,「主観的規. 応する項目は因子分析で排除されたため,「リスク認知」. 範」の「運動行動」に対する間接的な影響は考えられる. の程度は三者三様であったことがうかがわれる。一方. とされる。一方で,橋本. で,「セルフモニタリング」や「計画」と同様な概念を. より「主観的規範」の影響が大きくなる可能性があり,. 表すと想定した項目は『行動の統制感』に集約され,得. 高齢者のボランティア行動において「主観的規範」と. られた因子の中で退院後の運動行動ともっとも高い相関. 「行動の統制感」が有意な予測因子であったとの報告を. を示した。そのため,回復期病棟入院患者の退院後の運. まとめている。本研究では, 『運動行動』に対して『行. 動行動に影響を及ぼすと考えられる心理様相としても. 動意図』と『行動の統制感』,『行動意図』に対して『態. 「セルフモニタリング」と「計画」は重要であることが. 度』と『主観的規範』と『行動の統制感』が有意な相関. 32). は日本特有の文化的背景に. を示している。これは Hausenblas ら. 示唆された。 31). 31). の結果に同様. は運動行動における TPB に関する. であり,『行動意図』と『行動の統制感』を高めること. メタアナリシスを行い,「運動行動」に対して「行動意. が退院後の運動行動の促進に有効であることを示唆す. 図」,「行動の統制感」,「態度」,「主観的規範」の順に高. る。「行動の統制感」はセルフエフィカシーと類似した. い相関と効果量を示し,「運動行動」と「主観的規範」. 概念であり,セルフエフィカシーは達成経験によりもっ. Hausenblas ら.
(6) 398. 理学療法学 第 47 巻第 5 号. 表 2 質問紙調査の因子分析の結果(最尤法・プロマックス回転) 因子名と α 係数 (合計 α = 0.895). 因子. 項目内容. 1. 16.運動したいと思うことがよくある。 1.運動が好きだ。. 0.735 ‒ 0.722. 15.運動すると動くことが嫌になると思う。. ‒ 0.608. 36.疲れていても,運動を行えると思う。. 0.551 ‒ 0.534. 32.他者がかかわると運動する気がなくなる。 12.運動すると満足する。. 0.505. 24.一日の中で運動する量を決めている。. 主観的規範 (α = 0.767). 0.813. 14.一週間の中で運動する日を決めている。. 0.768. 37.運動の目標を立てている。. 0.763. 8.一日の中で運動する時間を決めている。. 0.630. 38.運動しないと不安を感じる。. 0.585. 28.目標を達成するために運動を行っている。. 0.543. 20.身体の調子をよりよくするために運動している。. 0.417. 13.運動は心身によいと思う。. 0.729. 19.定期的な運動は,病気や怪我をする可能性を減らしてくれると思う。. 0.680. 18.病気や怪我をする前に,もっと運動しておけばよかった。. 0.586. 33.病気や怪我をして,より健康に関心をもった。. 0.538. 17.定期的な運動を行えるかどうかは自分次第だと思う。. 0.521. 31.病気や怪我をしないために,以前の生活を改める必要があると思う。. 0.494. 23.運動することを望む周囲の人がいる。. 0.439. 行動意図 (α = 0.824). 4. 0.764. 26.一度運動しなくなると,もう運動しないと思う。. 行動の統制感 (α = 0.872). 3. ‒ 0.822. 29.運動に関心がない。. 態度 (α = 0.747). 2. 6.定期的に運動するつもりだ。. 0.771. 2.定期的に運動を行えると思う。. 0.731. 10.推奨された運動を続けるつもりだ。. 0.442. 数値は因子負荷量を記載. 固有値 1(ガットマン基準)と因子寄与率 60% にもっとも近い値を基準に因子数を決定.因子負荷量 0.4 未満を除外. 因子分析の結果,4 因子に分類された.各因子の項目内容から,Theory of Planned Behavior に基づいて因子名を命名. クロンバックの α を算出した値を α = として記載.. 表 3 運動時間と心理様相の相関 Spearman の順位相関係数 n数. 中央値. 四分位範囲. 1 平均運動時間(分). 35. 31.6. 21.9 ‒ 58.4. 2 心理様相. 100. 90.5. 84.0 ‒ 101.0. 1. 2. 3. 4. 5. 0.406*. 3 行動意図. 11.0. 10.0 ‒ 13.8. 0.371*. 0.778**. 4 態度. 30.0. 26.0 ‒ 33.8. 0.324+. 0.798**. 0.582**. 5 主観的規範. 28.5. 26.0 ‒ 31.8. 0.097. 0.622**. 0.454**. 0.293**. 6 行動の統制感. 23.0. 19.0 ‒ 27.0. 0.442**. 0.803**. 0.558**. 0.478**. 0.372**. +. p < 0.10,* p < 0.05,** p < 0.01 質問紙調査を因子分析した結果残留した項目の合計点を心理様相とした. 数値は spearman の順位相関係数を記載.. とも高まるとされる。そのため,達成経験を与えること. ビューでは「態度」 ,「主観的規範」,「行動の統制感」は. で「行動の統制感」を高め,運動行動を促進するという. 平均して「行動意図」の分散の 40 ∼ 60% を決定し, 「行. 介入プロセスが考えられる。. 動」の分散の 20 ∼ 40% を決定するとしている。本研究. パ ス 解 析 に つ い て,Singer ら. 33). に よ る TPB の レ. でも同様に, 『行動意図』については決定係数 59% とい.
(7) 退院後の運動時間と関連する心理様相. 399. 図 4 TPB に基づく Pass 解析結果 Amos で Pass 解析を実行. 各因子間の矢印下の数値はパス係数を記載. 2 因子に向けた矢印には決定係数(R 値)を記載.. う結果が得られており,TPB のモデルとしての有力性 を支援すると考えられる。一方で,『運動行動』につい ては 19% とやや低い値が得られている。この結果につ いて,TPB は運動が習慣化された状態には十分に適応 し得ない可能性があるという点. 34). と,退院時には生活. 環境が大幅に変化することの影響を受けていると考えら れる。齋藤ら. 35). は,中高年者において日常身体活動は. 近隣環境の影響を受けることを述べている。回復期病棟 退院後の運動行動を阻害する環境要因について,さらな る検討が必要と思われる。 本研究の限界として,運動の負荷量に基準を設けてい ないため,実際に再発予防に有効な運動を行えていたか どうか検証ができていない点と,運動量の測定方法が不 十分な点がある。Levy ら. 36). は日記とログブロックは. 患者の行動の測定にもっとも頻繁に用いられるツールで あると述べたうえで,行動の測定方法についてゴールド スタンダードもコンセンサスも得られていないことを課 題としている。活動量計の発展に伴い. 37‒39). ,信頼性の. 高い身体活動量評価法が確立されることが期待される。 また,運動の習慣化や十分な運動継続には多数の要因が 関与する. 36). ため,本研究で用いた項目が十分とはいえ. ない。退院後の運動に影響する心理様相を限定するには さらなる調査が必要である。 結 論 回復期病棟入院患者を対象に,質問紙を実施し得られ た心理様相と,退院後の平均運動時間との間に有意な相 関を得た。今回の研究結果を発展させ,入院患者の退院 後に向けた運動指導における効果判定尺度開発につなげ たい。. 利益相反 開示すべき利益相反はない。 文 献 1)厚生労働省ホームページ 平成 28 年国民生活基礎調査の 概況.http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/ k-tyosa16/index.html(2018 年 12 月 6 日引用) 2)Hata J, Tanizaki Y, et al.: Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study. J Newrol Neurosurg Psychiatry. 2005; 76(3): 368‒ 372. 3)鈴木隆雄:転倒の疫学.日本老年医学会雑誌.2003; 40(2): 85‒94. 4)大高洋平:高齢者の転倒予防の現状と課題.日本転倒予防 学会誌.2015; 1: 11‒20. 5)金 憲経:転倒リスクと歩行との関連.バイオメカニズム 学会誌.2014; 38(4): 233‒239. 6)Bellinger SA, Arena R, et al.: Physical activity and exercise recommendations for stroke survivors: a statement for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke. 2011; 42: 227‒276. 7)Kubota Y, Iso H, et al.: Daily Total Physical Activity and Incident Stroke: The Japan Public Health Center-Based Prospective Study. Stroke. 2017; 48(7): 1730‒1736. 8)大渕修一,浦辺幸夫,他:予防理学療法要論.医歯薬出版, 東京,2017,pp. 162‒163. 9)大高洋平,里宇明元:エビデンスに基づいた転倒予防. Jpn J Rehabil Med.2006; 43(2): 96‒104. 10)Stijn D, Wouter S, et al.: Interventions for preventing falls in people after stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2019; 10: CD008728. 11)Bassett SF: The assessment of patient adherence to physiotherapy rehabilitation. NZ Journal of Physiotherapy. 2003; 31(2): 60‒66. 12)内藤義彦:日常生活における身体活動量の評価「質問紙 による身体活動量評価法」 .Research in Exercise Epidemiology. 2001; 3: 7‒17. 13)Jonathan R, Erin H, et al.: What interventions are used.
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(9) 退院後の運動時間と関連する心理様相. 〈Abstract〉. Correlation between the Psychological Aspects of Exercise about Post-discharge and Exercise Time after Discharge in Hospitalized Patients in the Recovery Ward. Hiroto FUKUMOTO, PT, MSc Toyama Prefectural Rehabilitation Hospital & Support Center for Children with Disabilities Hiroki FUKUSHIMA, MSc University of Toyama Faculty of Human Development. Purpose: This study investigated the correlation between questionnaire survey responses and exercise time after discharge from the recovery period in hospitalized patients. Methods: This study recruited 100 patients in the recovery ward. In addition to the questionnaire survey, we requested records on exercise time. The questionnaire was based on existing models and psychology theories on exercise adherence. Exercise time was measured for one month from the discharge day by placing a sticker on a calendar as a diary of self-activity. Results: Data from 100 questionnaires and 35 exercise times were obtained. Factor analysis of the questionnaire, converged to 25 items and four factors. To verify the reliability, the α coefficient was calculated for 25 items, resulting in an α of 0.895. Correlation analysis with the average exercise time after discharge was confirmed as a significant weak correlation as verification of validity. Conclusion: The results suggested a relationship between the psychological aspects of exercise after discharge from the convalescent ward and exercise time after discharge. Key Words: Psychological aspects, Exercise adherence, Questionnaire, Recovery ward. 401.
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