小特集・産業用受変電設備
∪.D.C,る21.314.213.5:占21.315.る1る.9る:る78.る.0占7レジンモールド変圧器
Resin
Molded
Transformer
最近,屋内に設置される不燃性変圧器として従来のH種シリコーンワニス処理の 乾式変圧器に代わって,耐湿,耐塵性,′ト形軽量化などの面で優れているレジンモ ールド変圧器が使用される傾向にある。日立製作所では,耐熱性,耐熱衝撃性の高 いF種のMTレジン,及びH種のMIレジンを新規に開発し,コイルの注型技術及 びレジンモールド変圧器の信頼性評価により,これらが難燃性,絶縁性,耐湿性, 耐塵性などの点で優れていること,また長期間にわたって十分な信頼性と安全率を 持っていることを確認した。 P
緒
言 近年,受変電設備に使用される変圧器には,防災,公害防 止,保守の省力化などの点から,難燃性,耐湿性,耐塵性, 低騒音などの特性が要求されている。日立製作所では,これ らの点でイ憂れているレジンモールド変圧器の開発を進め,耐 熱特性F種のMTレジン及びH種のMIレジンを使用したレ ジンモールド変圧器を製品化し,需要家のニーズにこたえる ことができた。本稿では,新レジンの特性及びレジンモール ド変圧器の各種信頼性試験結果の概要につし、て述べる。 切開発経緯
一般に配電用変圧器には,鉄心やコイルを絶縁油で浸した 抽入変圧器と絶縁油を用いない乾式変圧器とがある。絶縁油 としては鉱油がその絶縁性,?令却性,経済性などの面で最良 であり,ほとんどの変圧器はこの抽入変圧器で占められてい る。しかし,鉱油は可燃性であるため保安上防災が必要なと 喀野
ゾ! ;′こノ 諾、 、、㌧だ 裏庭 籠≧ミ 溜:′ミミJごごハニ牧、こ∨ヱ議温
ナン泥繋:≦T宍三浪モム、㌫準㍗∴′ち≡………変
革●≧漂璽冠済
耐`肝`-∵ サ. エ㌘;:だへ≡3怒号′、忘、モ、槻=≡ W、Y′、㌫、"ミ仙、く′・ン、、・叫、恐一′、Ⅷ 、∨〟′∧以′叢、桝 、)く㌫こぞ、壬、徽 .軍′衰、;三芳汝:て、§ n羨道≡≡とこ一【亀恥 (.a)之OkV級3.pO8kV冬韓作器 磯部昭二*池本徳郎*
木原康文*
小林
明**加子春彦***
東傭喜義****
J5ロムe5舶ノJ ′たem口舌0 ∧bγ≠0 方∠ゐαγα托5伽ゐ址m言 方oムαyα5んf d丘gγα gαん8 m5加ん∼ん0 了笥ノ∂∬gyo5ん才 ころには,昭和30年ごろからH種乾式変圧器,又は不燃性抽入変圧器が使用されてきた。昭和47年には,不燃性抽(PCB)
が使用禁_lLとなり,当時不燃性油の代替としてシリコーン抽入変圧器やSF6(六フッ化硫黄)ガス絶縁変圧器の実用化が図
られた。しかし,経済性に雉点があるため現在ではH種乾式 変圧器がその主流を占めている。 H種乾式変圧器は,コイルの素線絶縁が空気中に路出して いるため空気中の水分,塵填の影響を′受けやすく,絶縁レベ ルを高くできなかった。近年,高分子材料の発達による電気 的,機械的に優れたレジンの開発と注型技術の進歩によ-), 小形で単純な形状の支持がい子,プッシングなどから複雑な 計器用変成器が,更に変圧器コイルまでモールド化が可能と なった。 日立製作所のモールド変圧器は,新しく開発した耐熱特性 F種のMTレジン,及び耐熱特性H種のMIレジンを用いて,(け6良Ⅴ鰍50kY冬試作琴
区= 試作レジンモールド変圧器の夕十観 (a)コイルがレジンでモールドされているため,里ろうであり. 構造が簡素化されている。(b)全体的に小形・軽量である。高圧コイルは端子部を除いて充電部が露出Lていない。 * 日立製作所国分工場 ** 日立製作所中条工場 …* 日立製作所日立研究所 **** 日立製作所機電事業本部30kV級1,500kVA以下の三相F種レジンモールド変圧器,30 kV級10,000kVA以下の三相H種レジンモールド変圧器を製品 化し,容量5,000kVA以下の標準化,量産化のための製作技 術を確一立した。図1に試作器の外観を示す。 凶 レジンモールド変圧器の特長と設置場所 モールド変圧器は,注型用レジンの特性とコイル注型技術 により,従来のH種乾式変圧器と同等以上の難燃性や,抽入 変圧器に匹敵する絶縁性を具備することが可能であって,次 に述べるとおり,数多くの特長を持っているので,衰1に示 すような場所に適用できる。 (1)難 燃性 レジンの燃焼性試験法には諸規格があり,その難燃性の評 価方法は多様であるが,機器としての実用性からは着火して も容易に延焼せず(酸素指数21超過,JIS K-7201),自己消 火性(火炎を離すと自然に消火すること)が必要である。モー ルドコイルは,後述するようにガスバーナで着火しても自己 消火性を持っているため,火災事故を進展させることはなく 防災面で優れている。
(2)耐
熱性 モールド変圧器の耐熱性は,レジンの熱変形温度が高く, 線膨張係数がコイル導体に近く,長期にわたって化学的,電 気的及び機械的に安定しているかどうかにより決められる。 これらの試験結果は後述するように,F種絶縁とH種絶縁に 区分され,大容量機種のモールド化や,周囲温度の高い場所 での使用に適した変圧器の製作が可能である。(3)耐湿性,耐塵性
モ ̄ルドコイルを屋内の高湿度雰囲気に放置しても,コイ ル内部の吸湿は無視できるほど小さく,レジンの耐トラッキ ング電圧も高い。従来のH種乾式変圧器は,長期間運転を休 止する場合には・防湿,防塵の処置が必要であったが,モー ルド変圧器は,コイル表面が結露したり,塵攻が付着しても, それらを布でふき取るか,洗剤で清掃するかの簡単な保守で 済ませることができる。(4)絶縁性
絶縁性の優れたレジンがコイル内部に含浸し,空気が介在 しないため,従束の乾式変圧器に比べてインパルスレベル, 表l レジンモールド変圧器の設置場所 特長は,広範囲な用途に適Lている。 レジンモールド変圧器の 年寺 長 ー ズ 設 置 場 所 難燃性 耐熱性 絶縁性 低損失 保守性 耐湿,耐魔性 耐娠性 過負荷 小形軽量 イ氏騒音 防災 高†喜頻度 保守の容易さ 過酷な王荒境・運転条件への適 合性 小形・軽量化 高層ビル 病院,学校,上下水道などの 公共施言箕 地下工事現場 圧男重工場 地下街,劇場,駅.発電所, 変電所 表2 レジンモールド変圧器の寸法及び重量 レジンモールド変圧 器は,油入変圧器や=種乾式変圧器よりも小形軽量である。 機 種 項 目 油入変圧器に H種乾式変圧器 一三欠電圧 容量(kVA) 比べて (%) に比べて (%) 6kV級 ZOO 床面積 70 75 体 積 65 70 重 量 90 95 500 床面積 70 75 体 積 60 7() 重 量 90 90 l,000 床面積 60 60 体 手蔓 55 55 重 量 80 80 ZOkV級 500 床面積 70 7D 体 積 65 65 重 量 75 80 3.000 床面積 45 80 体 積 50 70 重 量 75 90 5.000 床面積 45 80 体 積 55 75 重 量 80 90 コロナレベルなどの電気絶縁性が格段に向上しており,抽入 変圧器と同等の絶縁強度を持たせることも可能である。(5)小形・軽量
油を収納する容器と放熱器,油保護装置などの付属品が不 用のため,モールド変圧器の寸法,重量は,抽入変圧器に比 べて大幅に小さく,またH種乾式変圧器に比べても,タップ 切換器がコイルと一体でモールドされるため,リード線の配 置が簡素化されて小形・軽量となっている。これらの比較は 表2に示すとおりである。(6)その他の特長
モ ̄ルド変圧器は,コイルがモールドされているため,コ イルが堅ろうであり,耐振性に優れ,騒音が低く,特殊な雰 囲気,過酎な運転条件にも使用できるなど,従来のH種乾式 変圧器よりも広範囲な用途に対応できる。また運転時の損失 は,従来の変圧器の65-70%程度と少なく効率が高いため, ランニングコストが低く経i斉的である。 田 レジンの特性モールドコイルに使用するレジンには,(1耐熱性が優れて
いること,(2)熱衝撃に耐えること,(3)注型作業性が良し-こと
などが要求されるが,これらの要素は互いに相反するため形 状が複雑かつ大形で.しかも温度変化の大きい変圧器コイル のモールド化には困難とされていた。これらの問題を解決するため,サイクロアルファテイク(Cyclo
Alpbatic)構造を持つMTレジン,及びヘテロジニアス(Heter叩eneOuS)構造を
持つMIレジンを開発した。それぞれの特性は表3に示され るように耐熱性,及び耐熱衝撃性に優れている。特に熟変形 温度が高いため,図2に示すように従来のエポキシレジンに比べ高i見での曲げ強さが大きい。また,MIレジンはC字形 ワッシャ法1)による結果では-700cを通過しており,従来品よ r)も耐熱衝撃性が格段に向上している。コイルは高i見で使用 されるため,高車見でのレジンの寿命が問題となる。図3に示 すレジンの曲げ強さのアレニウスプロットからも,高i温の曲 げ強さは変圧器の寿命30年を考慮しても十分な強度を持って おり,図4,5に示すように,レジンの吸湿性,及び熱劣化 の経時変化でも電気的特性の劣化はほとんどない。また図6 に示すようなモデルコイルによる熱応力の繰返しによる寿命
評価(繰返し通電1,000回)でも発生応力,部分放電開始電圧
の変化などは見られなかった。 ー●-叶ひ エ0 2 (N∈0\叫三 池叫琶省 0 0 (U n) MIレジン 従来レジン▲1羊≡:
▲ 、 _ム●. 40 60 80 100 120 140 160 180 測 定 温 度(Oc) 図2 レジンの曲げ強さ一温度特性 MTレジン.Mルジンは高温下で の強度の低下が少ない。 10,000 0 0 ∩γ (三 森 m 0 0 10 雇= ・R 粥【粥 ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ン ジ レ T .M ヽ、 ヽ l、 年 0 ン ジ レ : ‥M\11.
120 130140150160170180190200210220230240 温 度 (Oc) 図3 レジンの曲げ強さと劣イヒ温度 曲げ強さが長期にわたって椎持 されていることが分かる。 レジンモールド変圧器 731 表3 開発レジンの特性 開発品は従来品に比ペ,熱変形温度が高い, また電気特性も優れている。 レジン 項目 従 来 品 開 発 品 MTレジン Mlレジン 比 重 熟変形温度(Oc) 線膨張係数ぐC ̄ ̄り l.7∼l.8 l.7 】.了 105 14! 220以上 3.9×10 ̄5 2.8×10S 2.7×10 ̄7 曲 げ 強 さ(kg/cm】) l′380 l′360 l′080 誘 電 正 接(%) 】.3 l.0 0.8 比 誘 電 率 4,0 3.6 3.6 体積抵抗率(n・Cm)宅
7×川15 lX】01ホ 5×101¢ 絶縁破壊電圧(kV/mm) 1 ZO 24 2l -700c通過 (180ロC) 耐熱衝撃性(孟芸芸這芸孟品歪度)
0ウCで亀裂 =300c) 一・50Dc通過 い55□c) 轍 押 怖 当ごこご善事三
●-■■-△ 、 -__ MIレジン㌣積竺
+
≡三宝
比誘電率 ■■■-0■■■ __△t■●-加熱温度 20げC 測定温度 MTレジン1300c MIレジン 1800c 30 80 90 120 加 熱 日 数(d) 16 0 (∈0・望 件 増 潜.懸 巻 b 4 っJ りん 1 nリ ⊥ 11 †l l 一1 1 9 0 0 0 0 0 0 0 108 図4 レジンの比誘電率,及び体積抵抗率の経時変化 加熱劣化 による比誘電率,及び体積抵抗率の変化はなく,イ憂れた!特性を持っている。 ぬモモミこ∂ 4 (訳) 胤 蛸小 感 MIレジン串⇒
MTレジン MIレジン良三仝
耐電圧 郎==ど丁===烏芸笛
500 1,000 100 (U 9 (訳) 増 野 起 0 (バ) 70 60 吸 湿 時 間(h) 図5 レジンの耐湿特性 吸湿による耐電圧の低下は小さく,実用上十 分な耐電圧を持っている。掻
〆 ′ ≠ゾ;J 転義多頓
三才
図6 モデルコイルによる長期ヒートサイクル試験 通電ヒート サイクル試験をl.008回行なったが,電気特性,機械特性とも低下は認められ なかっナこ。 ■l信粗性試験
レジンモールド変圧器は,コイルがレジンで注型されてい る点で,従来の抽入変圧器,乾式変圧器に比べ全く新しい製 品であるため,種々の過酷試験2)を行なって製品の信頼性を 検証した。 5.1 吸湿試験 レジンモールド変圧器を温度20qC,湿度100%以上の雰囲 気中に4郎寺間放置後,温度200c,湿度65%の雰囲気中に放置 し,絶縁抵抗,部分放電開始電圧の回復特性を測定した結果 を図7に示す。約5時間で絶縁抵抗,部分放電開始電圧は, いずれもほぼ初期の低まで回復した。 5.2 繰返し短絡試験 図8に示す繰返し短絡試験では,短絡電流(100%2秒間) を10回繰返し通電したが,短絡試験前後の一般特性試験に変 化は見られず,解体点検でもなんらの異状も認められなかった。 5.3 振動試験 図9に示すように,試作器(20kV級5,000kVA)を加振台に 固定し,モールドコイルの共振周波数で水平加速度0.3Gの 共振正弦波3波の加振を行ない,その前後の局部応力の発生, 0 0 0 0 4 3 2 11 ;芝地田舎露紆耗車輪 (∝一三 墟 瀕 喪 0 0 0 0 潜102 10 1lも
一--一■ .-■_▲川 絶縁抵抗+….
部分放電開始電圧 温度20qC,湿度100% 48時間放置後 温度200c,湿度65%雰囲気中の回復特性 (高圧巻線:20kV級) 0 10 20 回 復 時 間(h) 図7 高圧巻線吸湿後の部分放電開始電圧及び絶縁抵抗回復特性 回復特性は約5時間で,部分放電開始電圧及び絶縁抵手元は吸湿前と同等な倦ま で回復Lている。 注:20kV級3.000kVA試作器 図8 繰返し短絡試験 100%2秒間短絡,10回以上実施Lたが異状は 認められなかった。Ⅳり・・・・・・l一才F
ホ
.パ∧ぷい 琴 で恵も 薦態 草餅 腱 一軒藍
図9 試作器の振動試験 共振周波数で正弦波3波加振(水平加速度0.3G) し,コイルの損傷,変形などの異:伏のないことを確認Lた。 コイルの変形,損傷などの検証を行なったが,いずれも異状 は認められなかった。 5.4 過負荷耐量試験 図川の過負荷耐量試験では,100%負荷電流通電後,125% 2時間,150%30分の過負荷耐量試験を行ない,各部の温度, 熟応力を測定しレジンの疲れ強さと比べて十分な安全率があ ることを確認した。また温度,熟応力の実測値は有限要素法 による計算値とよく一致した。レジンモールド変圧器 733 中 間検.査 中間検査 中間検査 中間検査 甥 量よ L転職 ∧磯
欝う
;主:20kV級3′000kVA試作器 図10 試作器の過負荷耐量試験 過負荷時の発生応九 温度上昇を測 定Lて十分な安全率を持っていることを確認Lた。 5.5 燃焼試験 アセチレンか、スバ【ナによる実器コイルの燃焼試験の結果 は,次に述べるとおりであった。(1)バーナの火炎(約2,5000c)を約100mmの距離からコイル表
面に当てたが発火しなかった。(2)更に炎を近づけ図‖(a)のように燃焼させてもバーナを離
すと炎はすぐ消えた。 以上のことから,コイルは難燃性,自己消火性であること が分かった。 l司品質管理
モ【ルド変圧器の製作工程を図t2に示す。 日立製作所では,作業基準の遵守,中間工程での検杏など, 型 組 み 注 型 化 型 中 間 検査 組 立 :オこ: 且 荷 図12 モールド変圧器の製作工程 各工程の品質管理及び中間検査を 行ない.信東副生の高い製品とLている。 海亀‡叫、速二、 (a)バーナ点火中(MTレジン) (b)バーナ除去後(MTレジン〉 図Il コイルの燃焼試験 コイルは自己消火性を示し.難燃性であることを確認Lた。各工程でPCS(Process ControISystem)を実施し,安定
した信頼度の高い製品を生み出している。また,モールド変 圧器は製品検査のほか各種の中間検査を実施しており,これ
らの検査項目はFTA(Fault Tree Analysis)により摘出さ
れた要因から決めたものである。 B