u.D.C.dd9.131.84
可鍛鋳銭に及ぼす原材料の影響
山本真之助*
岩瀬呂律串*
正本進二郎***
Effect
of
Raw
Materials
Usedin
the
Production
of
MalleableIron
ByShinnosukeYamamoto,MasayoshiIwase
andShinjir6Masamoto
Tobata Works,Hitachi,Ltd.
Abstra(:t
Intheproductionofmal1eableirons,ithas been
observed that the quality and the quantity of pigiron
addedtothechargingmaterialandthemethodofmelting
have a
major
bearing onthequalityoftheproduct.Forthemeltingofthechargingmaterials,thewritersusedvariousplglrOnSaS
additionsuchascharcoalpig,COkepig,electricfurnaceplglrOnandcastironswhich
Were melted repeatedlyin an electric arc furnace from once tofive times.From
these heats they got test pieces of white
castironbymeansofahighfrequency-electricfurnacemelting・Andtheyresearchedinto the annealabilityandthetensile Strengthofmal1eableironsusl・ngthesewhiteirons■ Asaresulttheygotconclusions that follow:
(1)Bytheuseofhighpercentageofpigiron,Whichis
considered t。be oflesshigh-temperature hysteresis character,the graphitizationofwhitecastironis.
accelerated,WhilewiththedecreaseofthepercentageofpiglrOn additionthe graphitization becomes di氏cult.
(2)The more times meltingis repeated,Which means
much
high-temPerature
hysteresisprocess,themoredifncultbecomesthegraphitization.
(3)ThenitrogencontentinwhitecastironwhichisanalysedbyK5ehldahlmethod
is closely connectedwiththe above properties.
〔Ⅰ〕縛
言
黒心可鍛鋳鉄用の銑鉄としては本渓湖,鞍山,兼二浦 等の大連銑のみを専ら使用し,永年に亘り均質優良なる 製品を量産して来た。大陸銑の供給杜絶後は内地の高炉 成文は電気銑を使用しているが,大箋銑と異り製造過程に於て種々の問題が起って来た。これは可鍛鋳鉄の製造
工程にのみ起る現象ではなく,普通篤農,球状黒鉛鋳鉄 の製造過程に放ても常に問題となって程々議論されているのであるが,その本質に就いてほ未だ完全に解明ざれ
ていない。 鋳鉄のHeredityなる現象に関する従来の研究を概観するとその主要点は銑鉄中の特殊微量元素の作用と非金
属介在軌
ガスの間敷こ帰せられると思う。特殊元素の 影響に関しては非乍削こ多くの研究があるが,その中で, ****** 日立製作所戸畑工場 可鍛鋳鉄に関するものとしてほ菊田氏(1),沢村氏(2), Schwarz(3)の報告等があって,黒針ヒに及ぼす影響を 詳細に実験している。これらを温めると各元素の黒鉛化 に及ぼす影響ほ,第l表の如くであって常に念頭に置い ておかねばならぬ間置である。 次に鋳鉄中のガスの挙動に就いてはガス成分を定量的 に分析した報告が少いので未だ綜合的な結論に達していない。第l表のAl,Si,Tiの如き黒鉛化促進元素(4)ほ
強力な脱酸脱窒剤であるので,これらの元素によって脱
第1表 Tablel. 各種元素の黒鉛化に及ぼす影響The Effect of Various Elements on
692・ 昭和29年3月 日 立
評
論
第36巻 第3号 頗脱窒されて,黒鉛化が促進されるのであろうと推論されており,又森問氏柑)は酸素の作用に就いて広範囲な実
験をされていて,鋳鉄に及ぼす酸素の影響を強調されて
いる。文官下博士(6)はチルドロール製造の際に木炭銑の
優秀性を認め,この原因は窒素によるものであると報告
している。 黒心可鍛鋳鉄用の熔湯としては,鋳造時にほ完全な白 銑となり,焼鈍工程に於てほ黒鉛化が容易に進行するこ とが必要であって,この要求に合うような原材料の選択 及び熔解方法の確立を計らねばならぬ。故に著者等は先づ最初に入手しうる範囲内の各種銑鉄を用いて,実験的
に可鍛鋳鉄用白銑を熔解し,諸性質を測定し,銑鉄の特 性を判定する基準を求め,鋳鉄の Heredity に関する 問題を可鍛 ある。 鉄製造の立場から追求せんと試みた次第で〔ⅠⅠ〕市販銑の微量特殊元素に就いて
阪料銑の影響に就いて論ずる場合に,先づ第一にその銑鉄中に含まれている微量元素に就いて調べておく必要
がある。代表的市販銑に就いて分析した結果は第2表に 示す如くである。概して本邦の木炭銑にほ,Ⅴ,Cr,Mo の如き黒鉛化を阻害する元素が比較的多い。高炉銑にはCuが最も多く,その平均値ほ0・23%に
する。又T 第2 表各種銑鉄申の特殊元素
Table2.SpecialElementsIncludedin Various PigIrons0017il、rlOヰ0・0吋・rr‡Trこ0・040
木 銑(1) 銑〔2) M 銑(1) M 銑(2)銭iT
銭こ1) iT 鏡「2) H・≡託(1日 H::銑(2)ミ A鎌(1)!
A 銑(2)■ 1Y 銑(1) 高 Y 銑ぐ2) K 銑(1) ∴K.二鐘(2) 銑 W 鎌(1) W 耗(2) 0,092 0.27110.0600■011■Nil!0■010■0■町0■001
0.027!- - 0,1110.189 1 1 0,036:0.033;0.006.0.032 0.002 0.038 - - 0.145 0.150 0.182 Tr O.0〔帽 0.012■ 0,001 0.015: --.0.0090・064■0・008!0・003.0・005lO・005
0.029 -l - 0.009:Tr D.006 0.016 0.015 0.204 0,020 0.091■ - -1 0.047 0.05210.011 0.109 -0.042 0.010 0.011 0.057 - -0.437!0.039 0.234:0.001 0.178 Tr O.228■ 0.004 0.180 0.185 0.015 0.015 0.008 0.094 0.004 電 N 銑(1) 気 N 銑こ2) 鏡 Ⅹ 旗 0.143;- 1 -10.349 0・018 0・028■0・043:0・030 0・33〕■0・001 0.013i一 一・0.280 Tr Tr ■ 0.020 Tr Tr o.0娼10.020 0.01110.106 0.096 0.023 0.016 0.281 0.019!0.020 0.00510.003 Tr.0.016 0.008■ 0.010 0.067 0.033 0.010■ 0.011 0.048 0.026 Tr O.024 0.019 0.043 0.015 0.036 0.013 0.013 0.001 0.019 Tr O.025 も比較的多い。電気銑に就いても同様でCuが比較的多い。大陸銑のみほ,これらの特殊元素ほ非常に少く,純
度の良いことが分る。銑鉄中の微量元素は製鉄.原料によ
るものであって, これが鋳鉄の性質を左右する一要因と なりうる。可鍛鋳鉄を製造する場合に,Ⅴ,Crほ0・05% 以下に抑えなければ黒鉛化が遅くなることほ衆知の事実であって,この点よりみて木炭銑には不適なものがある。
Cu ほ僅かに黒鉛化を促進する元素であるが,その作用 ほ(7)Siの1/10位であって高炉銑 気鋭の含有量から みて,可鍛鋳鉄製造の場合に特に問題となるとも考えら ない。 しかし乍ら,キュポラと電気炉を併同する二重熔解法 で可鍛鋳鉄を製造する際に,大陸銑を使用した場合と内 地銑を使用した場合とを比較すると,その黒鉛化速度及び抗張力等に相当の差があることが知られている。例え
ば,第3表に示す材料を使用して熔解し,焼鈍後の抗張 試験を行うと,第4表の如き結果を得た。この平均値の 差の検定を行うと,抗張力,延伸率共に差のあることが 認められ,大陸銑を使用した場合の方が抗張九延伸率 共に良好であることがはつきりしている。これは銑鉄中 の微量元素だけを考えて解決される問題ではなく,何か もつと本質的な原因を含んでいることを示すものであ る。 算 3 表 使用材料の分析借及び配合割合Table3.Analysed Value and the Rate of
Mixture of Materials Used
第 4 表 抗 張 試 験 潜 果 Table4.ResultsofTensileStrengthTest 38.4 35.1 38.0 36.4 35.4 36.5 36.6 39.7 12.0 12.5 9.0 10.0 14.0 11.0 10.5 10.5 32.4 34.9 36.1 33.2 34.3 36.0 37.4 37.1 6.5 7.5 11.5 8.0 10.0 11.0 12.5 12.5
可 鍛
鋳
鉄
に 及 ぼす
原材
料
の影
響
〔ⅠⅠⅠ〕原料銑の影響に裁いて
(り 実験の方法 第 5 蓑 Table5. ● 柄S木炭銑〔A) S木炭銑(L) T木炭鈍 A高炉銑(:B〕 A高炉銑(D) H高一炉錬 Y高炉鎌 K高炉錠(B) Ⅹ高炉錐(C) N電気錠(A) N電気室先(B〕 Y電気詫 自耗戻し 原料銑の種類及びその化学成分 TheKindandChemicalComposition Of Raw MaterialIrons 化 学 成 分 (%) (U 4 4 1.08 3.95 巳 1.62 3.55 3.41 3.40 3・.98 4.OD 3.9D 4.00 2.60 2.80 3.10 2.56 2.28 3.72 1.52 2.02 2.34 2.50 2.46 0.57 0.48 0.043 0.68 0.30 0.77 0.75 0.69 0.34;二……;3:‡;
第 7 表 0.048 0.046 0.216 0.140 0.016L Tr 0.144 0.098 0.20910.030 0.065io.250 0.236lo.3800.052lo.082
D.131l.0.086 Tr O.009 0.014 0.009 0,017 0.017 0.043 0.030 Tr O.017 0.031 0.022 693 より木炭銑,高炉銑,電気銑でほその性質が異る と報告されているので,これらの各種銑鉄を使用したが,〔ⅠⅠ〕で述べたように特殊元素を多量に含んでいるた
捌こ,これの影響を考慮せねばならぬような銑鉄は除外 し,第5表に示す8種類の銑鉄を採用した。可鍛鋳鉄を 製造する場合にほ,必ず戻し暦を50∼60%使用し,こ れに新銑及び鋼層を配合するのであるから,新銑の配合 割合をどの程度にするかは大きな問題である。故に試料 を作製するにほ,新銑及び戻し層の配合割合を第`表の 如く3種現にかえて実験した。試料の熔解には35kVA 第 6 表 試料・の配合割合に よ る 区分 Table6・Classi丘cationofTestPiecesby the Rate of Mixture 料 の 配 合 及 び 化 学 成 分Table7・ MixingRateand ChemicalCompositionofTestPieces
戻し屠再熔解 ∼ l 2.50 2.56 1・0110.35 0.112 0.098 0.031
0.97;0.35
0.116lo.093 0.031694 昭和29年3月 No.433Y電気銑A配合 日 立
評
論
No.437Y電気銑B配合 No.435Y電気銑C配合 第36巻 第3号 No.408戻し屠再熔解 第1図 銑鉄 の 配合量 に よ る 第 2 段黒鉛化速度 の 変化(×50) Fig.1.Changeofthe2ndStageGraphitizationduetothePercentageofPigIronUsed(×50) 第 8 表 第.1段黒鉛化完了時間Table8.Time Required for Completion oflst Graphitization
酸性高周波電気炉を用い,-一回の熔解量は5・5kg熔解
温度は,1,4500Cとし,黒鉛化通産側定及び杭張試験用 の試料を作製した。試料を熔製する際には,銅をピッチ コrクスで加炭した材料,高珪素銑Fe-Mn,Fe-P及 び棒状硫黄を使用して,出来うる限り5元素に変動のな いように努めた。試料の潔合及び化学成分を第7表(前 頁参照)に示す。 (2)莫 験 結 果 (A)黒鉛化速度 白銑の第1段黒鉛化速度の比較のために,8mm声,長さ90mmの試験片を乾燥型にて探瀕し,これを本多式
熱膨月長計により 9200Cに保持して,その黒鉛化完了時 間を求めた。又第2段黒鉛化速度の比較は,屈曲試験片 より切出した試料を電気炉で同時に焼鈍して,第1段窯鎗化を完全に終らせて後,6000Cまで10brかけて炉
冷し,その時の窮微鏡組織を比較すると共に 斜に残儲しているパーライト中の化合炭素量を定量してその多少
により第2段黒鉛化の難易を決定した。この顕微鐘組緻 の1例を第1図に元す。策8豪放び霹9表にその結果を 示す。第9未申請弧内に示しているものほ,配合上やむ おえずMnが高くなった試料で,このために第2炭窯 針ヒが遅くなったと明らかに判断されたものである0こ 第 9 表 Table9. S 木 炭 銑 丁 木 炭 銑 A 高 炉 銑 H 高 炉 銑 Y 高 炉 銑 K 高 炉 鑑 N 電 気 銃 Y 電 気 錠 戻し屠再塔解 戻し屠再熔解 第 2 段黒鉛化速度の比較 ComparisonoftheSpeed of2nd Graphitization 0.08 0.05 0.18 (0.40) (0.33) 0.15 (0,35) 0.06 0.28 0.19 0.43 0.23 0.16 0.17 0.28 0.15 0.17 0.30 0.28 0.40 0.20 0.28 0.28 0.19 0_58 0.50 の測定値を通覧すると黒鉛化速度は銑鉄の硬筆によって も勿論異って来ているが,これにも増して新銑の配合量 による影響が最も大きいことが明際に認められる。・即ち 新銑を多量に使用して戻し暦を配合していないものゝ黒 鉛化は最も早く,新銑の量を演ずるに従って黒鉛化ほ遅 くなり,戻し層を再熔解したものが最も遅くなっている。 特に第2段黒鉛化に於ては,その差ほ窮著であるて新銑を沢山配合した場合には,銑鉄中の特殊元素がそ
れだけ余計に入りこれが黒鉛化に影響しているのではないかとも考えられるので,掛こ考唐せねばならない壁殊
元素を分光分析により定性的に調べた。その結果は第10
表に示す通りであって,各試料の窯朱化速度の変化はこ
れらの特殊元素の変化に基因するのみでないことが明暗 であって,他に原因があると考えられる。戻し屑という 物は何回も繰返し熔解されている材料であって,高湿熱 履歴の多いものである。これに高温熟 歴をうけていな い新銑を配合するに従って,黒鉛化が早くなるというこ とは頗る興味ある現象である。 (B)機械的性質一般に可鍛鋳鉄の杭張試験は果皮のまゝ行うのが普通
であるが,試験片の鋳造時及び焼鈍時の微少な表面状態 の不同に基因する測定値の誤差を除くために,20m汀二声可 鹿芝
鋳
鉄
に 及 ぼす
原材
の 影響
第10 表 試 料 中 の 特 殊 元 素 TablelO.SpecialElements Containedin Test Pieces (備考)(1)火花放電による定性分析の結果 (2)表中の記号は∋欠の如し (-)痕跡,(十)柑委乳(十十)窮,(++十)稗強 第11表 坑 張 試 験 綺 果 Tablell・ResultsofTensileStrengthTest の丸棒よりJES4号型試験片を削り出して,抗張試験 を行った。測定値ほ2本の試料の平均値であって,その 結果を第11表に示す。この結果も前述の黒鉛化速度と同 A 高 炉 銑 A 配 合 No.429 ♪Jo.395 No.404 C 配 合 695 No.388 No.391 No.397 No.406 第2図 各種銑鉄を用いて熔製した可鍛鋳鉄の組織 〔×50) Fig.2.Micro・Structure of Ma】1eableIron,Usedin Various PigIrons (×50)
じように新銑の配合割合による影響が頗る顕著であつ て,新銑を多量に醗合して黒鉛化の早いものは抗張九 延伸 共に悪く,黒鉛化の違いC配合の方が抗張九 延 伸率共に良好である。この試験片の 組 を調べてみる と,黒鉛化の早いものはその焼鈍炭素が比較的星状に発
達しており,黒鉛化の遅いものではその形が球状に近づ
いている。このために杭張試験の結果は前者が悪く,後 老が良くなっているものと思われる。顕微鏡組 の数例を第2図に示す。この試験片は現場の製品と共に普通の
117_696 昭和29年3月 ■日 立
論
第36巻 第3号 焼鈍を行ったので,その焼鈍サイクルほC酉己合の性質に似かよった現場の製品に最も適合したものであるため
に,かような結果を得たのであって;A配合の如き黒鉛化の早いものに最適の焼鈍サイクルで焼鈍した場合に
ほ,自から異った結果をうるものと期待される。 前述せる如く,新銑の配合を増すにつれて,黒鉛化が早くなるということほ,新銑は高温熱履歴をうけていな
いので,これの配合を増すにつれて熔解材料の性質が良 くなり,その結果黒鉛化が段々と早くなるものと考えられる。鋳鉄は十段に高温熱履歴をうける程ガス含有量,
非金属介在蓼等が増加するといわれている∴故に同じ材
料を電気炉で何回も繰返えし熔解すると,黒鉛化ほ段々
と遅くなるのではないかと予想されるので;次の実験を 行った。. 第12 表 Table12.〔ⅠⅤ〕繰返えし熔解の影響に就し、て
(1)実験の方ラ玉突険材料としては,A高炉銑をアルミナ炉(郵由焚回
転炉)で冷材熔解して作った可鍛鋳鉄用白銑と,日常の現場作業によりキュポラと電気炉を併用する二軍熔解法
にて熔製している可鍛鋳鉄用自銑との2種嚢を用いた。 即ち前者は前の実験のA配合に相当するものであり,後者はC配合に相当するものである。この各々を小型エル
ー式電気炉で再熔解して,電気炉を1回通った母材を作り,この内の一部を実験用に残し,残りほ再び熔解して
電気炉を2回通った母材を作った。かくの如くして,これを5 回繰返えし毎回母材を採取して実験に供した。`許
12表に材料及び母材の化学成分を示す。この材料及び母
繰 返 え し 熔 解 を 行 っ た 材 料 及 び 母 材ChemicalCompositionof MaterialIrons and Added PigIron$ Which Were Melted Repeatedly
第13 表
Table13.
試 料 の 配 合 及 び 化 学 成.:分
ChemicalComposition and Mixing Rate ofTest Materials
可
鍛
鋳
鉄
に 及 ぼす
原材
料
の影
響
697材を前と同じく,高周波電気炉で熔解して試料を作製し
た。熔解の方法及び採取した試料は前の実験と全く同じ である。第13表に試料の配合及び化学成分を示す。 (2)実験結果 黒鉛化速度の比較及び抗張試験は,前述の実験と全く 同じ方法で行った。この結果を纏めて茶目表に示す。倍, 第2段黒鉛化速度の比較を行った試料の顕微鏡組織を第 3図に示す。黒鎗化速度ほ使間した母材の履歴により, 第14 表 黒鉛化速度及び杭張試験結果Table14.Results of the Rate of Graphitiza-tion and Tensile Strength Test
■警慧臥雲羞≡蓋選一
数 第2真空異 化合炭 「ヲら) 祝 事宗試 験 、・.仙 延伸率 (%) No.298 No.300 No.368 第3医Ⅰ繰返えし熔解を行った試料の第2段 黒鉛化速度の比較 (×50)Fig.3・Charlge Of the2nd Stage Graphitiza・ tion due to the Times of Repeated
Melting
(×50)
相当大幅に異って来ることが明瞭である。No.298,No.366の如く,始めの材料をそのまゝ使用した場合が最も
容易に黒鉛化し,電気炉で繰返えし熔解されるに従って 段々と黒鉛化しにくゝなり,3匝卜繰返えし熔解されたも のが最も困難となっている占筒4回,5回と繰返えし熔 解した母材を使用して作製した試料の窯鈴化は,かえつ て早くなっている。電気炉で繰返えし熔解すると,始めの2回,3回までに急準にガス等が増加し,それ以後は
余り増加しないよう'に考えられる。故に4回,5回と操 返えし熔解した母材を使用する場合にほ,成分を 整するために野合する銑鉄の量の影響が大きくあらわれて来
て,このような結果をえたものと考えられる。 この実験の黒井化速度と,〔ⅠⅠⅠ]で述べた原料銑に関す る実験の黒鉛化速度とを比較すると,本実験のものが全 般に遅く,特に第2段窯鈴化に於ては,その差ほ著し い。 原料銑に関する実験の結果により,繰返えし熔解するとガス,非金属介在物等が増加して,黒鉛化を阻害する
のではないかと考えられていたのであるが,_声験の結果
予想通りであることが判明した。結局新銑の如きものはガス,非金属介在物竿が少く,繰返えし電気炉で熔解さ
れたものでほこれらが多くなり,票銘化に影響して来る ものと考えられる。杭張試験の結果は,始めの材料をそ のまゝ用いたNo・298,No.366が抗張力,延伸 共に 最良で繹返えし熔解するにつれて段々と悪くなってい る。 原料銑に関する実験結果と,繰返えし熔解に関する実 験結果とを綜合して定性的に考えると,第4図の如く材 料の履歴との関係が明らかに認められる。′■ノ鯉-〕、韻靴--二世
堰 -⊂輩雲∴■●型折紙肌雲u
新郎御許合 折勤鯛配合 戻し屑昌博頸 繰返存じ熔革 振返えし熔鞘 第4図 材料の履歴と黒鉛化速度及び抗張 力と の関係Fig・4.Change of the Graphitization and
698 F召和29年3月 日 立
評
〔Ⅴ〕材料の履歴とガス成分との関係
材料の履歴として考えねばならぬことは,微量特殊元
素とガス錠分である。両者を同時に検
することほ困難であるので,微量特殊元素に就いて考える必要のない操
返えし熔解を行った試料のガス成分を測定して検討し
た。ガス成分は真空熔融法(1,3501つC)による測定値で,
これを第5囲に示す。この結果と第13表の測定結果とに 就いて考察してみると,窒素と黒鉛化時間との間には第`図に示す如く可成り明らかな関係を認めうるが,酸素
との関係ほ第7図の如く全然認められない。又窒素は酸
素に比して相当含有量も多く,且つ黒鎗化にも影響して
いるので,窒素に就いて検討を加えるのが至当であろう と考えられる。故に同じ試料を学躊のケルダール淀によって可溶性窒素と,残連中に残っている不i容性窒素と
を定量した。その結果は第8国の左口くで,材料の履歴に応じて,窒素或分が順次変化していることが分る。無鉛
化速変との関係は,第9国数び第1咽に示す如くであって,可溶性窒素成分との関係が最も大きいことが判明し
た。 (ミ相成利権芯・准尉 朋ル ∩〃U 第5図 Fig.5. ‥・㌧..・. ・ 〃 〃 ′一--_ヱ__′′′ / ∠ ♂ イ ∫ ♂ / ∼ ブ イ J 便用母材の繰り返えL憾渦即訃む :、・・ 、‥ ・、・‥ ・‥ ∴・、・・‥、 試料苺号 其空爆融法によるガス分析結果Results of the Analysis of the Gases
by Vacuum Fusion Method
●● 〃 ′′ニ卿/2汐′彰ク/押 ノ膨 乃汐`だ汐`材ク 勿汐ズ〝イ 頃雪煙冠遠望宗 一%J 第6図 真空 谷 竜泉法によ る窒素と第1段黒 鉛化速度との関係
F三g.6.Relation between Nitrogen(Vacuum
Fusion Method)and thelst Stage
Graphitization 〝.紺 ガ 〟 J汐 〝 形 〝メ〝イ 廣空熔融法む尭 r%J へ烏) 匹悪;〓萌朗鱒-永 クん r ′-欝7図 其鉛変化熔速敬虔法とにのよる酸素と第1.殴黒 関係 Fig.7.Relation between Fusion Method) Graphitization 〃 〃 〃U 〃〃 〟■ ハ‖U げ 錮 ▲、 、 0Ⅹygen(Vacuum
and thelst Stage
(票)岬塔¢棟即 ♂_〝β ワ` t ■ 〃
ー.._と4/一/人
1・-=-一
、\\J℃./
♂ ./ = イ ∫ ク / ∠ノ J イ ∫ イ吏同日九万の繰り返Zし炬摘射計数 ノ仰J形▲ヨガ 都 み/J狩 戊訝 し紺 ガ7 し雅グ。群.ア稚:J〝 言式料苗号 第8図 Fig.臥 臣雷¥額録由-長 . -、い ヾ-ケ/レダール法によ るガス分析結果Results of the Analysis of Nitl.Ogen
by KjehldahlMethod
て- ∴、、-'、、 こ、∴、ご、・ ‥・、・J
ケルタLル法号窒素(研
第9図 ケルダール法金宝素と第1段男鉛 化速度との関係
Fig.9.Relation between Total Nitrogen
(KjehldahlMethod)andthelstStage
Garphitization
ヽ
影
盤賢 日 699 、 ・ ∴.. : 彪′ ノ俄7 ノ仰 ′偽7/協7 ノ彬 ケルタ∵ル法司悟性窒素(れ - -● 節1U凶 ケルダrル法可溶性宝素と節1段 弐ミ錯化速度との銅棒Fig.1O.Rclation between Soluble Nitrogen
〔KjehldahlMcthod〕andthcIstStage GraphitizaLjon 第15 表 ケルダ←ル法可溶性窒素測定値 しみJ Tal)1e15.MeasuredValucofFusibleNitorgcn by KjchldahlMethod(%) A 配 合 Jミ 配,′含 C 配 S オ、炭 托 ′r フト 炭 托 A 高 か 鉦 H 高 炉 錐 Y 言占 炉 錐 K 高 炉 銑 N 電 気 銑 Y 電 気 錠 戻し層再熔解 戻し辱再佑f好 て中\) 肘姉L=ソビ∼.叫糾籠1長 0.00こi5 U.00ニi5 U.りU7U U.0046 U.り035 U,仙32 0.0(J46 U.003とi 0.0046 U.005:; U.UU8り U.UO49 0.りひ45 0.0035 0.OU60 0.UO42 0.OU(う2 0.0077 0.0084 U.UO67 U.UO45 U.OU39 0.0(j7り 0.0053 0.0りB8 0.0067 _】.▼__l 】 」- -・・---J---」--・⊥一一一一----〝 〟 〝 〝 〟汐 〟汐 ′兢7 ′材六〝一-イ リルダール主人己1熔椙要素「%J 第11図 ケル グール法吋溶性窒素と第1段 ∴†、ミ嘉乙i化速度との関係
Fig.11.Rc]ation between Solublc Nitrogcn
しKjehldahlMethodJandthelstStage Graphitizatjon 1、川 〓、㌧・・ J汐`好 J汐 〟 ノ紗/祐〉 ノ雛7/彿..Y′グー ケルタし-ル法可溶性窒素(舛ノ 節12図 ケルダ㌧-ル法可溶性窒素と第2段 プ.しミ鉛化速度との関係
Fjg.12.Relation bctween Soluble
(KjehldahlMethod)and Stagc Graphitization 二、∴ド∵空に㍍ 一-■・l フJ ハ′U ●●_ ● 」____.」_ ■ ● ■ ■ Nitrogen the 2nd ● ● 。汐 戒クJクJ汐 膠 〟 膠 ノ膨∴炒 ケルダ⊥ル法云†掛軋窒素(〆J __I、_._.!__ 」 ___▼__.___ 〟汐〟グノ好 〟クイ〝イ 節13【宍】ケルダール法可溶性窒素と抗張力 との関係
Fjg・13・Relation betwccn Soluble Nitrogen
(■KjehldahlMethod〕and the Tensile Strength 故に原料銑に関する 験の試料に就いても,可溶性窒 を測定して検討することにした。その測定値は第ほ表 叫虚りであって,新銑の配合呈に応 じて 可 溶性窒 化していることが分った。この可浴性窒 .黒鉛化速度,第2段∴l真鉛化 成分と第1段 度並びに抗張力との関係を 求めると,第】l図∼第】3図の如くであって,相関関係の あることか明らかに認められる。 〔ⅤⅠ_j
実験結果に対する考察
第1H黒∬†化項虹子二l二イニ■ltとしては,先づオーステナイ1、小へ1Je3Cが骨廿日_△-み,このi絢-j-込んだ根菜がオース
テナイト申な拡散して,∴l、騒彪の川掛こ研川して焼鈍択 嘉な形成・ dl ると考えるのが至当であって,この3段階の う、らで敲も遅いも¢)に∴lニミ鉛化時間ほ支配されるのであ るし先づ第1に問題となるのは,∴l、㈲核り分布であって 沢U_l分布している程揖、こ素の拡散距離が短かくて,黒鉛化 時間が短縮されることは周知の事実である。しかし乍ら700 昭和29年3月 日 立
論
第36巻 第3号 黒鉛核の分布状態が同.じ場合にほ,黒鉛化速度はオトス テナイト中の炭素の拡散速度に左右されて来る。この拡 散速度に影響して 三るものとしてほオトステナイ†地自 身の性質及び黒鉛核の周囲とFe3Cの周囲の炭素濃度
差,即ち濃度勾配との2つであって後者は反応の途上に
於ては,Fe3Cの溶解速度と黒鉛の析出速度との差とし
て考えねばならぬ。 第1咽及び第12図はこの拡散速度がケルグール法の可 溶性窒素と比例的関係にあることを元すものである。ケ ルガール法で窒素を定量するときに,不溶解残漆として 残っている窒 安定な窒化物であって,この拡敬遠度にほ影響せずに唯可桁性窒素のみが間置になって
来るのであって,可溶性窒素の少い程オーステナイト中
の炭素の拡散か早くなって,黒鉛化が促進されるものと
考えられる。 の抗張力は表面層の組織が大きな要因をなす ものであって,表面層が「ノ摘;と同 な標嘩の粗相をして いるか,又は脱紬こよるフエライl、縁であるか,又ほパ ーライト経であるかによって,大きく異って来る。この ような 薗層の生成過辟ほ,主として焼鈍の難易によつ て決定されて来るものであるし故に本実鹸の如く黒鉛化 速度の非常に異る試料を同時に焼鈍した場合にi・よ, 層の組織が種々変化して来て,抗張力に影響せ与えるのでこれを除くため,黒皮を削除した試験片に就いて,抗
試験を行ったLン
面層の 組撤 の 差射 川抹いたのであるか ら,抗張力を左右する因子としてほ,焼鈍炭 の分布及 ぴその形状,フェライト結晶粒度及びその性質並びに非 金属介在物の量が問題となって来る。 波氏(8)は同一熔 湯の自銃の焼鈍方法をかえて実験した結果,焼鈍厨主菜の 分布は細い程又その形状は球形に近い程・抗張力は増大 すると報告している。今井氏√9)は炭 の抗張力ほ N2 0.001%の増加によって約0・35∼0・40kg/mm2増加す ると報告しているので,可 鋳鉄の場合にもフエライ1、地の強風こ就いてはこれを考慮しておかねはならぬ0又
非金属介在物が増加すると,7コLライト地及び粒間の臆 皮が弱くなり,抗張力は低下することは当然予想され る。これらを綜合したものが素月図に示してある抗張力 とケルダール法の可酵性窒素との関係であって,窒 低い所でほ黒鉛化か早いた捌こ椀鈍炭素が星鼎こ発通し 窒素が多くなるにつれて焼鈍択の形状ほ球状に近づく
が,非金属介在物等の増加のために,抗張力ほ低 Fするも のと考えられる。叉窒素の増加と共に,フェライト地目 身の強度も増加し,その 書見として窒素0・006∼0・008% 附近の抗張力が最もよくなっているものと考えられるu但し本実験ほ各種め黒鉛化速度をもった試料を同一温度
及び時間で粟 屯したゝめに,黒鉛化の早い 料にほ焼鈍 温度が高すぎて,そのために焼鈍炭素の変形が増して, 抗張力を低下させたのではないかとも考えられるので, この間に就いてほ今後研究を続ける必要がある。
〔ⅤⅠⅠ〕緯
盲 以上の如く,酸性高岡波電気炉で可鍛鋳鉄を実験[軸こ 熔製した結果を要約すると次の如くである。 (1)配合する新銑の量によって,その黒鉛化速度は 相当に異って来るものであって,新銑を50%程度 も配たすると,黒鉛化は非常に早く,焼錘炭素ほ星 形に発達して来る。 (2〕新銑を15%程度配合すると,黒鉛化はやゝ遅 くなり,焼鈍炭は球形に近づいて来る。
(3)新銑を用いずに,戻し暦のみを再熔解したもの ゝ黒鉛化ほ,最も遅くなっている。 (ゝ4〕こり戻L盾を弧光炉で繰返えし熔解して行く と,黒鉛化ほ一層困栗となる。 (二5〕抗張力ほ新銑を15%程度配合したものが最も 良好であるし(6)この原因を調べるために,特殊微量元素,
熔解法による酸素窒 及びケルダ←ル法による窒素 の分析を行った結盟,ケルダール法による可熔性 素と相関関係のあることが判明した。 以上の如く白銑中の窒素ほその黒鉛化速度及び抗張力 に大きな影響を与えるものであるので,可鍛鋳鉄製造の 際の白銑の性質を判断するための一つの基準としうるこ とを確めた∴現場の熔解作業は50∼60%戻し屠を常に配合していて,この戻し盾ほ常に繰返えし熔解されてい
る∴繰返えし熔解を行えば,材料の性質が悪くなること は本実験に於て示した通りである。故に材料の性質を悲 化させないためには絶えず新銑を補給して,適当なる性 質を保持せしめるように努めると共に,熔解方掛こ就い ても検討を進めなければならぬ。本研究ほ日立製作所戸畑工場前工場長宮下博士の御指
動こより行ったものであって,実験に際し種々御援助賜
った日立製作所戸畑工場塩谷課長,研究室の 氏に厚く 謝すると共に,真空熔融法のガス分析を行って頂いた 手巾央研究所北川氏,米田氏に深甚なる謝意を 表する次第である。 参 考 文 献 (1〕萄田:鋳物本質論(昭1ト9) (2〕沢村= 銑鉄の研究(ⅠⅠⅠ)(昭25-3) (3)ⅠⅠ.A.Schwarz‥ ChemicalComposition of Mal1eableIron A.F.S.(1946)可 鍛
鋳
鉄
に 及 ぼす
原影
響
701Treatment on Graphiti2;ationofWhiteCast (7)C.H.Larig:Effect of CopperinMalJeable
Iron A.F.S.(1946) (5)本間: 鉄に及ぼす酸素の影響金属学会誌 Vol・】占No・9∼12(1952);Vol.H㌧No.1(1953) (6)宮下:木炭銑の研究 鉄と鏑Vol.21No.1,5 (1935);Vo】.23No.2(1937) Iron A.F.S.(1935) (8)南淡:焼鈍炭素の形状に就いて■ 日立評論Vol. 33No・9(昭26-9);鋳物Vol.24No.4 (9)今井,石崎:銅に対する合金元素としての窒素 金属学会誌Vol.】`No.7
日立製作所に於ける昭和16年乃至昭和28年の年度別出願件数
茹 昭〝 /7 ガ 〝 ∠グ ∠/ j? 年 度 ′7 ∴l-重昭和28′牛 の年∴匪別 出願件数一覧表 計 2 . 3 = QU , 19 20 21 23 24 25 26 2251 2201 443 巳 744 811 1,204■1,437:1,400702 m和29年3 月 日 東 第36 第3号