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イヌのSOD1関連変性性脊髄症の疾患スペクトラムと脊髄中ミスフォールド蛋白の局在に関する研究

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Academic year: 2021

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Title イヌのSOD1関連変性性脊髄症の疾患スペクトラムと脊髄中ミスフォールド蛋白の局在に関する研究( 内容と審査の要旨 (Summary) ) Author(s) 小畠, 結 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第487号 Issue Date 2017-03-13 Type 博士論文 Version none URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/56201 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名(本(国)籍) 小 畠 結(山口県) 主 指 導 教 員 氏 名 岐阜大学 准教授 神志那 弘 明 学 位 の 種 類 博士(獣医学) 学 位 記 番 号 獣医博甲第487号 学 位 授 与 年 月 日 平成29年3月13日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第3条第2項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合獣医学研究科 研究指導を受けた大学 岐阜大学 学 位 論 文 題 目 イヌの SOD1 関連変性性脊髄症の疾患スペクトラムと脊 髄中ミスフォールド蛋白の局在に関する研究 審 査 委 員 主査 岩 手 大 学 教 授 山 本 欣 郎 副査 帯広畜産大学 教 授 山 岸 則 夫 副査 岩 手 大 学 准教授 片 山 泰 章 副査 東京農工大学 准教授 田 中 綾 副査 岐 阜 大 学 准教授 神志那 弘 明 学位論文の内容の要旨 イヌの SOD1 関連変性性脊髄症(DM)は脊髄に認められる慢性進行性かつ致死性の神経変性疾患 である。DM 症例にはスーパーオキシドジスムターゼ 1(SOD1)遺伝子の変異が認められることから, 変異型 SOD1 蛋白が DM の病態に深く関与していると考えられている。しかし, 現在までに DM の詳 細な病態発生メカニズムは明らかになっておらず, 治療法も確立されていない。DM は予後不良の 疾患であるため, 欧米では疾患経過の途中で安楽死が選択されることが多い。そのため, 現在まで に DM の臨床経過を詳細に記載した報告はなく, 疾患末期の脊髄病理組織像を示した報告も少ない。 今後 DM の病態解明を目指した基礎及び臨床研究を発展させるためには,全病期にわたる DM の詳細 な臨床経過を把握する必要がある。また,DM の病態発生に密接に関係していると考えられる変異 型 SOD1 蛋白の生化学的特性と脊髄における局在解析は,DM 症例の脊髄変性病変の発生メカニズム を解明する上で極めて重要である。DM の疾患スペクトラムを明らかにし,脊髄組織に対する変異 型 SOD1 蛋白の傷害メカニズムを解明することは,究極的な目的である DM の新規治療法の開発へと つながる可能性がある。 第 1 章では DM 症例の全病期にわたる臨床経過と自然死症例の脊髄病理組織像を明らかにした。 全症例において歩行機能障害は後肢から出現し,前肢へと進行した。歩行機能障害の出現順序は全 症例で一致していたが,発現時期は症例間において顕著な差が認められた。臨床症状の進行速度の 差は,最終的に死亡時期にも影響し,生存期間にも大きな差が認められた。これらの結果は,SOD 1遺伝子変異以外の要因が臨床症状の進行性に影響を及ぼしている可能性を示唆している。排泄の 制御,特に排尿障害(78.9%)は多くの症例で出現する症状であったが,歩行機能障害と同様に出 現時期は症例間で顕著に異なった。呼吸障害は DM の直接的な死因であると考えられているが,そ の発生頻度と発生時期の詳細は知られていない。本研究では,84.2%の症例に呼吸機能障害を示唆 する臨床上の変化が認められ,多くの症例では疾患末期に出現した。また,長期生存した症例では (13)

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発声障害(23.7%), 嚥下困難(7.9%),および舌筋の攣縮(5.3%)を示したことから, DM の末 期においては脊髄だけでなく延髄の障害による症状も出現すると考えられた。DM 自然死症例の脊 髄の病理組織学的解析において,頸髄および胸髄の運動神経細胞数は,DM 症例間で顕著な差があ った。しかし,頸髄と胸髄のいずれの領域においても,神経細胞数と臨床症状の発現時期との間に 相関は認められなかった。以上の結果は,DM の臨床症状は脱落した脊髄の運動神経細胞数とは直 接関連しないことを示唆する。一方で,DM 群の全ての症例において脊髄運動神経細胞に SOD1 蛋白 の凝集体が蓄積していることが明らかになった。神経細胞への変異型 SOD1 蛋白凝集体の蓄積が脊 髄運動神経細胞の機能障害をもたらし,DM の臨床症状を引き起こしている可能性が示された。 第 2 章では, 変異型 SOD1 遺伝子ヘテロ接合体(ヘテロ接合体)の脊髄の病理組織学的解析を行 なった。ヘテロ接合体は変異型 SOD1 蛋白を発現するが,DM を発症しない。変異型 SOD1 蛋白を発 現するヘテロ接合体において DM が発症しない理由は明らかになっていないが,ヘテロ接合体の脊 髄組織には変異型 SOD1 蛋白により惹起された軽度な病理学的変化が存在し,DM の発症前の病態を 反映すると仮説を立てた。ヘテロ接合体の脊髄を病理組織学的に解析したところ,DM に特徴的な 脊髄側索の変性病変が軽度に認められた。続いて,変異型 SOD1 蛋白特異的抗体を作製し,ヘテロ 接合体の脊髄におけるミスフォールド変異型 SOD1 蛋白の局在を免疫組織化学的に解析した。DM 症 例の脊髄では神経細胞および活性型アストロサイトにミスフォールド変異型 SOD1 蛋白が蓄積する のに対し,ヘテロ接合体の脊髄ではミスフォールド変異型 SOD1 蛋白は神経細胞には蓄積しておら ず,活性型アストロサイトに高度に蓄積していることが明らかになった。したがって,ミスフォー ルド変異型 SOD1 蛋白が蓄積した活性型アストロサイトは DM の初期病態において重要な役割を果た すと考えられた。 本研究により得られた全病期にわたる詳細な臨床経過と脊髄の末期病理組織像に関する情報は, 今後 DM 症例に対して実施される治療研究の基礎データとして重要である。また,DM の初期病態に おいてミスフォールド変異型 SOD1 蛋白の蓄積によりアストロサイトの機能異常が起こり,その後 神経細胞にミスフォールド変異型 SOD1 蛋白凝集体が蓄積することで DM を発症するという新たな病 態メカニズムの可能性が示された。 審 査 結 果 の 要 旨 本研究はイヌの SOD1 関連変性性脊髄症(DM)の疾患スペクトラムの解明を目的とし,DM の臨床経過を詳細に記述し,脊髄の病理組織学的特徴を明らかにしている。さらに,脊髄 における病原性蛋白の局在を免疫組織化学的解析により明らかにし,DM の初期病態の解析 を行っている。 第 1 章では,まず DM 症例の全病期にわたる臨床経過を明らかにした。四肢の運動機能障 害は,全症例において同一の順序で出現することを示した。一方,前後肢の症状の発現時 期と生存期間については症例間で顕著な差が認められたことから,SOD1遺伝子変異以外の 要因が病態の進行性に関与していると考えた。DM 症例の脊髄の病理組織学的解析では,対 照群の運動神経細胞数は症例間で同程度であったが,DM 症例間では運動神経細胞数に顕著 な差を認めた。しかし,運動神経細胞数と DM の臨床症状の発現時期に有意な相関が認めら れないことから,DM の臨床症状は脱落した脊髄の運動神経細胞数とは直接関連しないと考 察している。脊髄の組織学的解析では,全ての DM 症例において脊髄運動神経細胞に SOD1 蛋白凝集体が蓄積しており,SOD1 蛋白凝集体の蓄積が脊髄運動神経細胞の機能障害を引き 起こしている可能性を示した。 第 2 章では, DM の病態発生を明らかにするため,DM 未発症の変異型 SOD1 遺伝子ヘテロ 接合体(ヘテロ接合体)の脊髄を病理組織学的に解析した。ヘテロ接合体の脊髄には,DM

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に特徴的な白質病変が軽度に存在することを示した。作製したモノクローナル抗体を用い た解析により,ヘテロ接合体の脊髄にはミスフォールド変異型 SOD1 蛋白が高度に蓄積した 活性型アストロサイトが集族することを明らかにした。したがって,脊髄アストロサイト へのミスフォールド変異型 SOD1 蛋白の蓄積は,DM の初期病態において重要な役割を果た す可能性を示した。 本研究は,DM の初期病態にはミスフォールド変異型 SOD1 蛋白の蓄積によりアストロサ イトの機能障害が起こることを示し,さらに変異型 SOD1 蛋白凝集体が運動神経細胞に蓄積 することで DM の病態が進行する可能性を提示したものである。本研究により得られた DM の詳細な臨床経過と脊髄の病理組織像に関する情報は,今後 DM の治療研究の基礎データと して重要と判断される。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文

1)題 目:Localization of a mutant SOD1 protein in E40K-heterozygous dogs: Implications for non-cell-autonomous pathogenesis of degenerative myelopathy

著 者 名:Kobatake,Y., Sakai,H., Tsukui,T., Yamato,O., Kohyama,M., Sasaki,J., Kato,S., Urushitani, M., Maeda,S. and Kamishina,H. 学術雑誌名:Journal of the Neurological Sciences

巻・号・頁・発行年:In press

既発表学術論文

1)題 目:Magnetic resonance imaging diagnosis of Dandy-Walker-like syndrome in a Wire-Haired Miniature Dachshund

著 者 名:Kobatake,Y., Miyabayashi,T., Yada,N., Kachi,S., Ohta,G., Sakai,H., Maeda,S. and Kamishina,H.

学術雑誌名:The Journal of Veterinary Medical Science 巻・号・頁・発行年:75(10):1379-1381, 2013

2)題 目:Combination of serum phosphorylated neurofilament heavy subunit and hyperintensity of intramedullary T2W on magnetic resonance imaging provides better prognostic value of canine thoracolumbar

intervertebral disc herniation

著 者 名:Mashita,T., Kamishina,H., Nakamoto,Y., Akagi,Y., Nakanishi,A., Harasaki,Y., Ozawa,T., Uemura,T., Kobatake,Y., Shimamura,S., Kitamura,N., Maeda,S., Uzuka,Y., Shaw,G. and Yasuda, J. 学術雑誌名:The Journal of Veterinary Medical Science

巻・号・頁・発行年:77(4):433-438,2015

3)題 目:Accumulation and aggregate formation of mutant superoxide dismutase 1 in canine degenerative myelopathy

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著 者 名:Nakamae,S., Kobatake,Y., Suzuki,R., Tsukui,T., Kato,S., Yamato,O., Sakai,H., Urushitani,M., Maeda,S. and Kamishina,H.

学術雑誌名:Neuroscience

巻・号・頁・発行年:303:229-240,2015

4)題 目:Characterization of canine dental pulp cells and their neuroregenerative potential

著 者 名:Naito,E., Kudo,D., Sekine,S., Watanabe,K., Kobatake,Y., Tamaoki,N.,Inden,M., Iida,K., Ito,Y., Hozumi,I., Shibata,T., Maeda,S. and Kamishina,H.

学術雑誌名:In Vitro Cellular & Developmental Biology - Animal

巻・号・頁・発行年:51(10):1012-1022,2015

5)題 目:Changes in respiratory function in Pembroke Welsh Corgi dogs with degenerative myelopathy

著 者 名:Oyake,K., Kobatake,Y., Shibata,S., Sakai,H., Saito,M., Yamato,O., Kushida,K., Maeda,S. and Kamishina,H.

学術雑誌名:The Journal of Veterinary Medical Science 巻・号・頁・発行年:78(8):1323-1327,2016

参照

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