176 (72) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ノ ガタ ヨウ コ野方容子(昭和3
博士(医学) 乙第1418号平成6年1月21日
学位規則第4条第2項該当(博:士の学位論文提出者) 臨床病態からみた褐色細胞腫の超音波断層像による検討 (主査)教授 重田 帝子 (副査)教授 出村 博,東間 紘論文内容の要旨
目的 褐色細胞腫の画像診断の報告は多いが,臨床病態と の関連性を検:討した報告はほとんどみられない.そこ で画像検査のなかでも最も簡便かつ非侵襲的な超音波 検査における褐色細胞腫の腫瘤像を摘出腫瘤の割面肉 眼像と対比し,更に臨床病態の把握に有用とされてい るカテコールアミン分泌様式との関連性について検討 した. 対象および方法 褐色細胞腫24症例35腫瘤の超音波像から腫瘤の形 態・内部構造を観察し,手術の施行された22例31腫瘤 については摘出腫瘤の割面肉眼像との対比をおこなっ た.超音波装置はリアルタイム電子スキャンで,3.5 MHzコンベックス型探触子を用いて走査をおこなっ た.また各症例を血中カテコールアミン値によりアド レナリン型,ノルアドレナリン型に分類し,臨床症状 ならびに腫瘤の性状との関連性の有無を検討した. 結果および考察 全例,超音波検査で腫瘤の検出は可能であり平均腫 瘤径は6cmであった.しかし家族性多内分泌腺腫油症 IIa(MEN IIa)型症例では1多発する腫瘤のうち1cm 以下の小腫瘤は検出不能であり副腎超音波検査の限界 と考えられた.超音波像は腫瘤割面肉眼所見とよく一 致し,変性の少ない充実性の腫瘍組織はその均一な組 織構築のため比較的低エコー域に,壊死および少量の 新鮮な出血部は反射源が多いため高エコー域に,大量 の出血や液状変性および古い凝血塊は超音波め反射源 がないため無エコー域に描出された.腫瘤の性状から 超音波像は充実性(11腫瘤),嚢胞性(6腫瘤),混合 性(18腫瘤)の3つのパターンに分類できた.副腎散 発性のノルアドレナリン型症例(5例)では,腫瘤が 小さく充実性パターンを呈し無症状であった1例を除 き,腫瘤は10cm以上と大きく,内部には血流障害によ ると考えられる変性を伴った混合性パターンを抄し, 持続性高血圧を有していた.一方,アドレナリン優位 型症例(9例)では発作性高血圧を有し,腫瘤は小さ くとも強い変性がみられる傾向にあった.うち2例は 激症発作で発症し嚢胞性パターンを呈したが,このよ うな症例では腫瘤内の腫瘍組織が激減したため,最初 の重篤な発作から回復した後は血中カテコールアミン 値,症状ともに正常化した.また異所性の褐色細胞腫 である機能性paraganglioma症例(3例)はすべてノ ルアドレナリン型であり,腫瘤は全例充実性パターン を呈した.MEN IIa型症例(7例)はすべてアドレナ リン優位型で両側副腎に多発性に腫瘤が存在し,同一 症例においても個々の腫瘤の形態・内部構造は様々で あった. 結語 超音波検査は褐色細胞腫の検:出が充分可能であり, かつ腫瘍の内部変性の程度をよく描出できる.褐色細 胞腫の変性程度は腫瘤径のみならずカテコールアミン 分泌様式との関連性が高く,超音波画像はこのような 臨床経過をよく反映した腫瘤像が得られ,臨床病態の 把握にも高い有用性が示唆された. 一782一177