144 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(59) マキ タ マス ジ ロウ蒔田益次郎(昭和3
博士(医学) 出立1223号平成3年11月15日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
乳癌の乳管外浸潤と予後に関する研究 『(主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 笠島 武,太田 和夫論 文 内 容 の 要 旨
目的 乳癌は乳管内に発生し,乳管外に浸潤して患者の予 後に影響を与える.そこで組織学的に乳管外に浸潤し ている部分の量と質(形態学的特徴)の面から,予後 との関係について検討した. 対象および方法 1950年から1964年半での15年間に癌研究会附属病院 外科で治癒手術を行った,両側乳癌,他病死を除く原 発性乳癌症例で,浸潤巣を持つ839例を対象とした.腫 瘍の最大径を通る1列の割面上で,浸潤部分の長径を 組.織学的に計測して浸潤径とし,浸潤部分の量の指標 にした,浸潤の形態学的特徴をみるため,浸潤形態を 5つの組織亜型に分類した.すなわち,管腔形成の有 無で2っに大別し,管腔形成のある浸潤形態を乳頭管 状/飾状型とした.管腔形成のない浸潤形態は,癌胞巣 の大きさによって,癌細胞集団が大きく髄様を呈する 髄様型,小型ないし中型の癌胞巣を呈する小胞巣型, 細胞集団を作らない純硬型と,細胞集団が間質にある 粘液中に浮遊している粘液型の4つに分けた.各症例 につきその浸潤部分にみられる形態を上記にしたがっ て分類し,単一か複合かの構成もみた.そして,浸潤 径,管腔形成の程度,浸潤部分を構成する浸潤形態数 と10年生存率との関係をみた. 結果 1,浸潤の量と予後については,浸潤径20mm以下で 80.7%,21~50mmでは45.0%,51mm以上で8.3%と, 浸潤径に比例して10年生存率は低下した. 2.浸潤の質について,管腔形成の有無と予後につい てみると管腔形成ありの10年生存率71.5%に対して, 管腔形成なしは62.4%で,管腔形成のあるものは予後 が良かった.さらに,管腔形成の程度と10年生存率を みると管腔形成100%群は86.0%,管腔形成50%以上 100%未満群は68.1%,管腔形成50%未満群は58.6%と なり,管腔形成の占める割合が大きいほど予後が良 かった. 3.管腔形成なしについてそれを構成する浸潤形態 の種類数から検討すると,1種類のものの10年生存率 は72.7%,2種類以上のものは47.1%となり,浸潤形 態が単一なものより浸潤形態が多彩なものの方が予後 が不良であった. 結論 乳癌の浸潤部分が予後に与える影響と量と質の面か らみると,浸潤の量(浸潤径)は予後をよく反映する. 浸潤の質については,管腔形成が予後良好の指標とな り,浸潤形態の多彩さが予後不良の指標となる. 一748一145