150 (51) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
イソ ベ フミ タカ磯部文隆(昭和24
医学博士 髭面1129号平成2年10月19日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
不整脈源性右室異形成に対する外科治療(凍結凝固療法)との遠隔成績 (主査)教授 今井 康晴 (副査)教授 門間 和夫,小山 生子論 文 審 査 の 要 旨
目的 不整脈源性異形成(ARVD)は,心室頻拍(VT)を 主症状とし右室心筋が主に障害される心筋症である. 遠隔成績および術後血行動態から,本症に伴う薬剤抵 抗性VTに対する凍結凝固療法の有用性を検討し,本 症の外科治療について考察した. 対象および方法 ARVD 8例(年齢26~60歳平均44.9歳,全例男性) に確認された19VTを対象とした.手術死亡はない.手 術手技としては,術中に心表面マッピングを施行し VT起源部位(prepotential採取部位)に凍結凝固(一 80℃,2分間)を行った.以下について検討した. 1.凍結凝固手術の遠隔成績を検討した. 2.術後発生VTについて電気生理学的検査により 術前VTと比較検討し,再発VT例では,凍結凝固の 施行方法の差異について検討した. 3.心胸廓比CTR・投薬内容により,本術式の術後 血行動態への影響を検討した. 結果 1.術後VTに関する遠隔成績:術後0.29年から 4.95年(平均3.25±1.46年)の追跡期間中に,術後3.67 年,1.56年の時点で2例にVTの再発を,術後0.6年で 1例に新規の出現を見た. 2.手術術式と術後VT再発との関係 1)凍結凝固の施行法:心内膜側から凍結例12個に は全く再発を見なかったが,心外膜側のみから凍結し た7個では4個(57.1%)の再発を見た. 2)心外膜側からの凍結凝固時の大動脈遮断効果:大動脈遮断例2個中2個,非遮断例5個中2個にVT
再発をみた. 3.術後心不全の状況 1)術後CTRの推移:術前49.9±4.4%,術後1カ 月時52.0±3.7%,今回の検討時の術後1.91~52.8ヵ月 (平均29.2±15.9ヵ月)現在の追跡期間最新値53.3± 5。3%で軽度な拡大にとどまった. 2)薬剤の投与状況:全例明らかな心不全兆候を示 さず,肝腫大も認めていない.術後VT出現例と心房 粗細動例以外の4例は,無投薬とし得た. 考察本症では心内二三に残存した心筋にVT起源があ
り,心腔内血液潅流下での凍結凝固効果の減弱により, 心外膜側からの凍結例にのみVT再発をみた.従っ て,本症のVTに対する治療法として,prepotential採 取部位への心内膜側からの凍結凝固が有効かつ不可欠 と考えられた.他の外科治療として右室自由壁完全隔 離法が行われているが,術後に高度の心不全,心拡大 が報告されている.一方,本法では,軽度の心拡大に とどまり有意な心不全の出現を見ておらず,心機能障 害は軽微であった. 結論 内科的治療が困難な症例に対し,本法は心機能障害 の少ない有用な治療法である.新規VTが出現する可 能性は残るが,現時点で内科的治療に難渋している VTは,心内下側からの凍結凝固により根治可能であ る. 一760一151