• 検索結果がありません。

TDM 適応薬物であっても 曝露量 ( 血中濃度 ) とは無関係な副作用の場合 ( 例えば idiosyncraticな副作用の場合は TDMは全く無力.TDM は 患者の薬物血中濃度をリアルタイムで知ることはできるが なぜその患者では薬物血中濃度が高いのかという原因を明らかにしてくれるわけではない

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "TDM 適応薬物であっても 曝露量 ( 血中濃度 ) とは無関係な副作用の場合 ( 例えば idiosyncraticな副作用の場合は TDMは全く無力.TDM は 患者の薬物血中濃度をリアルタイムで知ることはできるが なぜその患者では薬物血中濃度が高いのかという原因を明らかにしてくれるわけではない"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

平成21年度

平成21年度

大阪大学薬学部

大阪大学薬学部

卒後研修会

卒後研修会

中之島センター

中之島センター

2009

2009

9

9

26

26

日(

日(

千葉大学医学部附属病院 薬剤部・臨床試験部

有吉 範高

本日の内容

1)薬のさらなる適正使用に

遺伝子情報が必要なわけ

-

個別化医療は血中濃度モニタリングでは不十分? すでに始まった遺伝子診断の実用性検証 個別化医療は血中濃度モニタリングでは不十分?

-- 薬の有効性・安全性の新たな診断標的の

診療への応用・探索

-2)遺伝子情報を活用した

薬物治療個別適正化の試み

~ 当院の症例紹介を中心に ~

なぜ遺伝子診断が必要か?

なぜ遺伝子診断が必要か?

TDMによる副作用回避には限界がある。

TDMによる副作用回避には限界がある。

b

b

TDM

TDM

適応薬物でも、血中濃度測定は無意味な場合がある。

適応薬物でも、血中濃度測定は無意味な場合がある。

a

a

.血中濃度のリアルタイムモニターでは間に合わない!

.血中濃度のリアルタイムモニターでは間に合わない!

TAC

A

TT GAC

TAC TT GAC

Tyr

Ile Asp

Tyr Asp

1,490塩基のうち、たった1つの塩基が置換しているために、490個のアミノ

酸のうち、わずか1個のアミノ酸が換わっているのみであるが、抗体痙攣薬

フェニトイン

や、経口糖尿病薬

トルブタミド

、抗凝固薬

ワルファリン

などの代

謝能力が著しく低くなる。

CYP2C9*1

(野生型)

CYP2C9

*3

多型

ATGGATTCTCTTGTGGTCCTTGTGCTCTGTCTCTCATGTTTGCTTCTCCTTTCACTCTGG AGACAGAGCTCTGGGAGAGGAAAACTCCCTCCTGGCCCCACTCCTCTCCCAGTGATTGGA AATATCCTACAGATAGGTATTAAGGACATCAGCAAATCCTTAACCAATCTCTCAAAGGTC TATGGCCCTGTGTTCACTCTGTATTTTGGCCTGAAACCCATAGTGGTGCTGCATGGATAT GAAGCAGTGAAGGAAGCCCTGATTGATCTTGGAGAGGAGTTTTCTGGAAGAGGCATTTTC CCACTGGCTGAAAGAGCTAACAGAGGATTTGGAATTGTTTTCAGCAATGGAAAGAAATGG AAGGAGATCCGGCGTTTCTCCCTCATGACGCTGCGGAATTTTGGGATGGGGAAGAGGAGC ATTGAGGACCGTGTTCAAGAGGAAGCCCGCTGCCTTGTGGAGGAGTTGAGAAAAACCAAG GCCTCACCCTGTGATCCCACTTTCATCCTGGGCTGTGCTCCCTGCAATGTGATCTGCTCC ATTATTTTCCATAAACGTTTTGATTATAAAGATCAGCAATTTCTTAACTTAATGGAAAAG TTGAATGAAAACATCAAGATTTTGAGCAGCCCCTGGATCCAGATCTGCAATAATTTTTCT CCTATCATTGATTACTTCCCGGGAACTCACAACAAATTACTTAAAAACGTTGCTTTTATG AAAAGTTATATTTTGGAAAAAGTAAAAGAACACCAAGAATCAATGGACATGAACAACCCT CAGGACTTTATTGATTGCTTCCTGATGAAAATGGAGAAGGAAAAGCACAACCAACCATCT GAATTTACTATTGAAAGCTTGGAAAACACTGCAGTTGACTTGTTTGGAGCTGGGACAGAG ACGACAAGCACAACCCTGAGATATGCTCTCCTTCTCCTGCTGAAGCACCCAGAGGTCACA GCTAAAGTCCAGGAAGAGATTGAACGTGTGATTGGCAGAAACCGGAGCCCCTGCATGCAA GACAGGAGCCACATGCCCTACACAGATGCTGTGGTGCACGAGGTCCAGAGATACATTGAC CTTCTCCCCACCAGCCTGCCCCATGCAGTGACCTGTGACATTAAATTCAGAAACTATCTC ATTCCCAAGGGCACAACCATATTAATTTCCCTGACTTCTGTGCTACATGACAACAAAGAA TTTCCCAACCCAGAGATGTTTGACCCTCATCACTTTCTGGATGAAGGTGGCAATTTTAAG AAAAGTAAATACTTCATGCCTTTCTCAGCAGGAAAACGGATTTGTGTGGGAGAAGCCCTG GCCGGCATGGAGCTGTTTTTATTCCTGACCTCCATTTTACAGAACTTTAACCTGAAATCT CTGGTTGACCCAAAGAACCTTGACACCACTCCAGTTGTCAATGGTTTTGCCTCTGTGCCG CCCTTCTACCAGCTGTGCTTCATTCCTGTCTGA ATGGATTCTCTTGTGGTCCTTGTGCTCTGTCTCTCATGTTTGCTTCTCCTTTCACTCTGG AGACAGAGCTCTGGGAGAGGAAAACTCCCTCCTGGCCCCACTCCTCTCCCAGTGATTGGA AATATCCTACAGATAGGTATTAAGGACATCAGCAAATCCTTAACCAATCTCTCAAAGGTC TATGGCCCTGTGTTCACTCTGTATTTTGGCCTGAAACCCATAGTGGTGCTGCATGGATAT GAAGCAGTGAAGGAAGCCCTGATTGATCTTGGAGAGGAGTTTTCTGGAAGAGGCATTTTC CCACTGGCTGAAAGAGCTAACAGAGGATTTGGAATTGTTTTCAGCAATGGAAAGAAATGG AAGGAGATCCGGCGTTTCTCCCTCATGACGCTGCGGAATTTTGGGATGGGGAAGAGGAGC ATTGAGGACCGTGTTCAAGAGGAAGCCCGCTGCCTTGTGGAGGAGTTGAGAAAAACCAAG GCCTCACCCTGTGATCCCACTTTCATCCTGGGCTGTGCTCCCTGCAATGTGATCTGCTCC ATTATTTTCCATAAACGTTTTGATTATAAAGATCAGCAATTTCTTAACTTAATGGAAAAG TTGAATGAAAACATCAAGATTTTGAGCAGCCCCTGGATCCAGATCTGCAATAATTTTTCT CCTATCATTGATTACTTCCCGGGAACTCACAACAAATTACTTAAAAACGTTGCTTTTATG AAAAGTTATATTTTGGAAAAAGTAAAAGAACACCAAGAATCAATGGACATGAACAACCCT CAGGACTTTATTGATTGCTTCCTGATGAAAATGGAGAAGGAAAAGCACAACCAACCATCT GAATTTACTATTGAAAGCTTGGAAAACACTGCAGTTGACTTGTTTGGAGCTGGGACAGAG ACGACAAGCACAACCCTGAGATATGCTCTCCTTCTCCTGCTGAAGCACCCAGAGGTCACA GCTAAAGTCCAGGAAGAGATTGAACGTGTGATTGGCAGAAACCGGAGCCCCTGCATGCAA GACAGGAGCCACATGCCCTACACAGATGCTGTGGTGCACGAGGTCCAGAGATACCTTGAC CTTCTCCCCACCAGCCTGCCCCATGCAGTGACCTGTGACATTAAATTCAGAAACTATCTC ATTCCCAAGGGCACAACCATATTAATTTCCCTGACTTCTGTGCTACATGACAACAAAGAA TTTCCCAACCCAGAGATGTTTGACCCTCATCACTTTCTGGATGAAGGTGGCAATTTTAAG AAAAGTAAATACTTCATGCCTTTCTCAGCAGGAAAACGGATTTGTGTGGGAGAAGCCCTG GCCGGCATGGAGCTGTTTTTATTCCTGACCTCCATTTTACAGAACTTTAACCTGAAATCT CTGGTTGACCCAAAGAACCTTGACACCACTCCAGTTGTCAATGGTTTTGCCTCTGTGCCG CCCTTCTACCAGCTGTGCTTCATTCCTGTCTGA

フェニトイン

の副作用が出やすい人は何が違うの…?

C

Leu

Odani A et al., Clin. Pharmacol. Ther. (1997) を改変

*1/

*3

*1/*1

フェニト

イン血

中濃度

g/mL)

投与量(mg/kg/日)

NH

H N

O

O

フェニトインの場合、

CYP2C9*3

片側の遺伝子(ヘテロ接合体)

にでも有

していれば、希望する血中濃度を得るために必要な投与量は、かなり少な

くてよい。

フェニトインは

CYP2C9で矢印の部

位が水酸化されて薬

理活性を失う。

もし診断せずに、多型の患者に通常量を与えてしまうと…

多型

とは、

生命の維持には必ずしも不可欠ではない蛋白質

(例え

ば、薬物やアルコールを解毒する酵素)が

欠損

していたり、

機能

が低い蛋白質

を持つ個体が、人口の1%以上を占める現象であ

り、その形質が遺伝することが明らかな場合、遺伝的多型という。

遺伝的多型

は、アルコールに強い/弱いというのを決めているのと

同じように、

感受性(副作用が出やすい/出難い)

応答性(効

きやすい/効き難い)

の個体差に関与している遺伝的な要因。

つまり多くの多型は疾患の直接的な原因となるような因子ではな

く、

体質を決める因子

。したがって、多型を持っていても日常生活

には全く支障はないが、

を服用する時には、注意が必要。

(2)

TDM適応薬物であっても、曝露量(血中濃

度)とは無関係な副作用の場合(例えば、

idiosyncraticな副作用の場合は、TDMは全く

無力。

なぜ遺伝子診断が必要か?

なぜ遺伝子診断が必要か?

2.

2.TDMは、

TDMは、患者の薬物血中濃度をリアルタイムで

患者の薬物血中濃度をリアルタイムで

知ることはできるが、

知ることはできるが、

なぜその患者では薬物血中

なぜその患者では薬物血中

濃度が高いのかという原因を明らかにしてくれる

濃度が高いのかという原因を明らかにしてくれる

わけではない。

わけではない。

一方、

一方、

遺伝子診断は、

遺伝子診断は、なぜその患者の薬物血中

なぜその患者の薬物血中

濃度が高いのかという

濃度が高いのかという

原因に迫ったり明らかにす

原因に迫ったり明らかにす

ることができ、その後の治療方針の決定に有用!

ることができ、その後の治療方針の決定に有用!

3.TDM適応薬物でない医薬品の副作用

3.TDM適応薬物でない医薬品の副作用

回避に有用な場合がある。

回避に有用な場合がある。

なぜ遺伝子診断が必要か?

なぜ遺伝子診断が必要か?

Clin Infect Dis 40, 22 (2005)

Clin Infect Dis 40, 1358 (2005)

2004

2004

年から

年から

2005

2005

年にかけてかなりの数の論文が出たが、いずれも結果が一

年にかけてかなりの数の論文が出たが、いずれも結果が一

致している。世界的に注目されている理由は、

致している。世界的に注目されている理由は、

血中濃度の上昇が深刻な精神

血中濃度の上昇が深刻な精神

病様の副作用発現を招くため

病様の副作用発現を招くため

である。

である。

516G/Gの患者は、標準投与量の600mg/dayでは、

血中濃度が>6,000ng/mL以上となる。投与量を

200mgまで下げることによって、中枢系の副作用を

抑えることができている。

(3)

3.TDM適応薬物でない医薬品の副作用

3.TDM適応薬物でない医薬品の副作用

回避に有用な場合がある。(例2)

回避に有用な場合がある。(例2)

TDM非適応薬物であり、薬物動態とは無関

係と考えられる

重篤な副作用

の原因が、次

第に明らかにされてきている。

2008年7月

FDAは、

アバカビル

投与に先立

HLA診断を強く推奨し、

HLA-B*5701を持たない患者のみに

処方することを指示した。

HLA-B*5701を持つ患者で

過敏症

が起こることを明らかにしたのは、メーカー(GSK)で

あり、米国では現在、アバカビルと

HLA-B*5701の診断キットは併せて提供されている。

4.薬物動態(

4.薬物動態(

PK

PK

)からは予測不可能な薬物

)からは予測不可能な薬物

の有効性を予測できる場合がある。

の有効性を予測できる場合がある。

なぜ遺伝子診断が必要か?

なぜ遺伝子診断が必要か?

PNAS 101(36), 13306 (2004)

ゲフィチニブ

遺伝子

遺伝子

変異

変異

診断による

診断による

有効性

有効性

予測

予測

高度先進医療から保険適応へ

高度先進医療から保険適応へ

(平成

(平成

19

19

6

6

1

1

日付け厚労省正式見解)

日付け厚労省正式見解)

悪性腫瘍遺伝子検査(

悪性腫瘍遺伝子検査(

2,000

2,000

点)

点)

固形腫瘍遺伝子検査は、

固形腫瘍の腫瘍細胞を検体

とし、PCR法、SSCP法、RFLP法等を

用いて、悪性腫瘍の詳細な診断および治療法の選択を目的として、悪性腫瘍患者本人に

対して行った、(中略)、

患者1人につき1回

に限り算定する。

悪性腫瘍遺伝子検査を算定するに当たっては、その

目的

結果

および

選択した治療法

診療報酬明細書の摘要欄

に記載すること。

本日の内容

1)薬のさらなる適正使用に

遺伝子情報が必要なわけ

-

個別化医療は血中濃度モニタリングでは不十分?-2)

遺伝子情報を活用した

薬物治療個別適正化の試み

~ 当院の症例紹介を中心に ~

-

すでに始まった遺伝子診断の実用性検証

-- 薬の有効性・安全性の新たな診断標的の

診療への応用・探索

(4)

-イリノテカン

遺伝子

遺伝子

多型

多型

診断による

診断による

副作用予測

副作用予測

(それに基づく至適投与量の決定?)

(それに基づく至適投与量の決定?)

検証的

研究の例

塩酸イリノテカン(CPT-11)のヒトでの代謝経路

CPT-11

SN-38G

CES2

UGT1A1

β-glucronidase

SN-38G

APC, NPC

CYP3A4

SN-38

SN-38

多型をホモ接合体

多型をホモ接合体

で有する患者に

で有する患者に白血球減少

白血球減少

および下痢

および

下痢

の副作用

の副作用が多い。

が多い。

UGT1A1

UGT1A1

の多型と塩酸イリノテカンの副作用との関連性に関するレトロスペクティブな研究の報告

の多型と塩酸イリノテカンの副作用との関連性に関するレトロスペクティブな研究の報告

は、

は、

2000

2000

年に日本から発信され、その後、世界中で追試された。

年に日本から発信され、その後、世界中で追試された。

Leukopenia (grade 4)

and/or

diarrhea (grade 3 or worse)

Experienced (n = 26)

Not experienced (n = 92)

P

UGT1A1*28

<0.001

c

-/-

14 (54%)

79 (

86%

)

+/-

8 (31%)

10 (11%)

+/+

4 (

15%

)

3 (3%)

Ando Y et al. Cancer Res., 60, 6921 (2000)より改変

塩酸イリノテカンによる副作用とUGT1A1遺伝子多型の関係

(TA

6

/TA

6

)

(TA

6

/

TA

7

)

(

TA

7

/

TA

7

)

米国において昨年(2005年)7月に改訂されたイリノテカンの添付文書

( Pfizerから提供)より抜粋

UGT1A1*28多型をホモ接合体で有する患者では、

好中球減少のリスク

が高い

ので、

初回投与量の減量を考慮すべきである

、と明記されている。

注目

!!

米国で発売されている遺伝子診断キットの説明書

米国で発売されている遺伝子診断キットの説明書

UGT1A1

UGT1A1

の野生型ホモ接合体の副作用リスクは0%と記載されている!

の野生型ホモ接合体の副作用リスクは0%と記載されている!

前向き試験ではあるが、たった一つの臨床試験、しかも検討された患者の数

は、たった66名である、の結果が根拠となっている。

当然、鵜呑みにすべきではない。

(5)

先行する米国がそう言っている中で…

J Natl Cancer Inst, 99,1290, 2007

通常の治療用量は100-125mg/m

2

であるが、このような低用量(<150mg/m

2

)で

の毎週投与を考えるなら、イリノテカンの至適用量は、(UGT1A1の)遺伝子型

よりも、むしろ標準的な臨床検査に基づいて決定できる。なぜなら、

(<150mg/m

2

では)遺伝子型は、毒性のリスク上昇と関連性がないためである。

「インベーダー®UGT1A1アッセイ」が、2008年11

月1日付で保険適用(保険点数2000点)となった。

本品は、

国内初のヒト遺伝子多型を判定する体

外診断用医薬品

であり、本検査で抗がん剤「塩酸

イリノテカン」の副作用発現の可能性を予測し、安

全で効率的な抗がん剤治療の補助に使用されま

す。 と、報道されている。

トポテシン

®

注添付文書

(2008年6月改訂)

*6 も*28 ももって

ない見かけ上、野

生型ホモ接合体の

患者さんでも、副

作用が出ている。

Minami H,

Pharmacogenet. Genomics 2007, 497-547

トポテシンの添付文書の内容も、たった一つの臨床試験、しかも、わずか55名

の患者での結果が根拠となっている。

0

2

Pro /

Gln

Gly / Gly

7 / 7

0

0

Pro / Pro

Gly / Gly

7 / 7

3

2

Pro / Pro

Gly / Gly

7 / 7

0

1

Pro /

Gln

Gly / Gly

6

/ 7

1

1

Pro / Pro

Gly /

Arg

6

/ 7

9

6

Pro / Pro

Gly / Gly

6

/ 7

2

0

Pro / Pro

Arg / Arg

6 / 6

20

3

Pro / Pro

Gly /

Arg

6 / 6

57

11

Pro / Pro

Gly / Gly

6 / 6

副作用非発現

(N = 92)

副作用発現

(N =

26

)

UGT1A1*27

UGT1A1*6

UGT1A1*28

野生型ホモ接合体なら重篤な副作用は起こらないとの

野生型ホモ接合体なら重篤な副作用は起こらないとの

思い込みが最も危険!

思い込みが最も危険!

Exon 1

Exon 2

Exon 3

Exon 4

Exon 5

UGT1A1*28

(TA7)

UGT1A1*6

(Gly71Arg)

保険適用となったキットで診断でき

るUGT1A1*6 と*28 の検査だけで、

実際に副作用を起こす患者のどの

程度を説明できるか?

検証的

研究

キットを使って事前診断を行うこと

が、重篤な副作用の予測・回避に

真に有用なのか?(実用性の検証)

50回分 90万円也!

(6)

千葉大学医学部附属病院食道・胃腸外科において2005~9年に

FOLFIRI-3を施行した患者を対象とし、研究内容について説明を

行って同意を得た後に

開発した診断法

を用いて、

UGT1A1*6

*28

の遺伝子診断を行った。

なお、副作用のgrade評価はCTCAE ver.3.0を用い、検査値は電

子カルテよりレトロスペクティブに収集した。

保険で検査できる

多型の診断のみで

、実際に起こる

重篤な好

中球減少をどの程度説明し得るか検証

した 。なお本研究は医学

部生命倫理審査委員会の承認(千大医総第5-25号)を得て実

施した。

検証

検証的研究

的研究

添付文書上ハイリスクとされている遺伝子型

(UGT1A1*6/*6、また

UGT1A1*28/*28、もしくはUGT1A1*6/*28 )を有する患者は30

名中3名であり、この3名はいずれもgrade 3以上の好中球減少を

起こしていた(100%, 3/3)。

一方、grade 3以上の好中球減少を引き起こした患者は、30名中

11名であったため、国から承認されたキットを用い、保険診療の範

囲内で検査できる

UGT1A1*6

UGT1A1*28 のみの診断では、僅

か27%(3/11)を予測できるに過ぎなかった

UGT1A1*6

および

*28

の診断は有用

である。

重篤な好中球減少を呈する患者を事前に予測す

るためには、

*6

*28

の診断だけでは不足

である。

イリノテカンの事例から見えてくる

イリノテカンの事例から見えてくる

問題点

問題点

UGT1A1

UGT1A1

遺伝子診断の

遺伝子診断の

キレの悪さ

キレの悪さ

低リスクの遺伝子型(

低リスクの遺伝子型(

野生型ホモ接合体)でも重篤

野生型ホモ接合体)でも重篤

な好中球減少が起きる

な好中球減少が起きる

逆に、稀ではあるが、高リスクの遺伝子型でも副作

逆に、稀ではあるが、高リスクの遺伝子型でも副作

用が軽微、あるいは起こらないこともある。

用が軽微、あるいは起こらないこともある。

どのように解決すべきか?

どのように解決すべきか?

複数の遺伝的因子

複数の遺伝的因子

の探索・考慮

の探索・考慮

非遺伝的要因

非遺伝的要因

の寄与の詳しい調査・予測への組入れ

の寄与の詳しい調査・予測への組入れ

遺伝子診断の実用性に疑問が持たれる

遺伝子診断の実用性に疑問が持たれる

あくまで確率論である

あくまで確率論である

との患者・医療スタッフの再認識

との患者・医療スタッフの再認識

本日の内容

1)薬のさらなる適正使用に

遺伝子情報が必要なわけ

-

個別化医療は血中濃度モニタリングでは不十分?-2)

遺伝子情報を活用した

薬物治療個別適正化の試み

~ 当院の症例紹介を中心に ~

すでに始まった遺伝子診断の実用性検証

--

薬の有効性・安全性の新たな診断標的の

診療への応用・探索

-セツキシマブ

遺伝子

変異

診断による

非応答性患者

の予測

探索的

研究の例

アービタックス製品情報概要より引用

セツキシマブは世界初のヒトEGFRモノ

クローナル抗体(mAb)であり、EGFRの

細胞外、受容体ドメインへのリガンドの

結合を阻害することで、細胞内へのシ

グナルが伝達を阻害する。

2008年9月発売

(7)

K-Ras 野生型の患者の全生存期間は、有意

に延長するが…

セツキシマブ

K-Ras に変異が起

こると、EGFRより下

流のシグナルのス

イッチが常にON状

態になる。

細胞膜 R R k inase P k inase P P P P P P P P Grb2 p85 p110 ligand EGFR STAT SOS PI3 kinase Akt Raf MEK ERK Ras Gene transcription Cell cycle progression 細胞核 mTOR 細胞膜 R R k inase P k inase P P P P P P P P Grb2 p85 p110 ligand EGFR EGF,TGF etc EGF,TGFα STAT Sos PI3 kinase Akt Raf MEK ERK Ras Gene transcription Cell cycle progression 細胞核 Ras Ras mTOR AP-1 NF-B CREB

平成21年2月 専門家会議での評価結果

これからの遺伝子検査や遺伝学的検査は、

これからの遺伝子検査や遺伝学的検査は、

遺伝性

遺伝性

疾患の確定診断などを目的とした従来の遺伝学的検査と

疾患の確定診断などを目的とした従来の遺伝学的検査と

は全く異質

は全く異質

のものであり、患者の

のものであり、患者の

薬物治療に対する応答性(感受

薬物治療に対する応答性(感受

性)

性)

を事前に予測

を事前に予測

するものである。

するものである。

つまり、

つまり、

現場

現場

薬剤師が無知・無関心であってはならない

薬剤師が無知・無関心であってはならない

薬剤

薬剤

投与量の変更に関わる

投与量の変更に関わる

ならば

ならば

TDM

TDM

同様、

同様、

薬剤師

薬剤師

もっと積極的に関与

もっと積極的に関与

すべき

すべき

TDM

TDM

同様、検査(遺伝子診断)も行うことが望ましいが、

同様、検査(遺伝子診断)も行うことが望ましいが、

行わないとしても

行わないとしても

結果解釈から処方変更に関するコンサル

結果解釈から処方変更に関するコンサル

トには対応できる必要がある

トには対応できる必要がある

診断結果が

診断結果が

処方

処方

内容

内容

直接

直接

関わって

関わって

くる

くる

したがって

したがって…

ま と め 1

ま と め 2

分子標的薬

の標的分子ならびに関連分子の

体細胞変異診断

よるレスポンダー・ノンレスポンダーの予測は比較的キレのよい

診断であり、今後、益々重要性を増すものと考えられる。

遺伝子情報の活用はまだ始まったばかりであり、

遺伝子情報の活用はまだ始まったばかりであり、

大学病院の職

大学病院の職

員が研究を行うことにより

員が研究を行うことにより

エビデンスを構築

エビデンスを構築

していく必要

していく必要

がある。

がある。

一方、

薬物代謝酵素

トランスポーター

など薬物動態を制御する

分子の遺伝子多型は、単独ではごく一部の薬物の副作用を予測

できるに留まっており、臨床現場での診断の意義は確立していな

い。今後は、

複数の遺伝的要因の組み合わせ

や、

非遺伝的要因

の組み入れ

を行い、副作用や有効性の予測精度を上げていく必

要がある。

参考図書・文献

1.医薬情報評価学

1.医薬情報評価学

医学書院

医学書院

(2009.8.15

第1版

第1版

第1刷)

第1刷)

ゲノムと遺伝子情報(

ゲノムと遺伝子情報(pp.166

pp.166-

-174

174)

有吉

有吉

範高

範高

2.医薬品情報・評価学

2.医薬品情報・評価学

改訂第3版

改訂第3版

南江堂

南江堂

(出版準備中)

(出版準備中)

テーラーメイド医療

テーラーメイド医療【

【遺伝的素因

遺伝的素因】

有吉

有吉

範高

範高

3.「くすりの効き方は人によって違うの?」

丸善(2003)

千葉 寛、有吉範高,日本薬学会編 健康とくすりシリーズ

4.Br. J. Clin. Pharmacol., 58(2), 225-226 (2004)

Ariyoshi N et al.

5. 医療薬学 35(7) 468-477 (2009)

上皮成長因子受容体(EGFR)

体細胞変異の簡易遺伝子診断法開発と臨床応用 有吉範高ら

6. 医療薬学 35(8) 551-557 (2009).

ワルファリン治療個別化に利用

可能な簡易・同時遺伝子診断法の確立 有吉範高ら

参照

関連したドキュメント

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

混合液について同様の凝固試験を行った.もし患者血

tiSOneと共にcOrtisODeを検出したことは,恰も 血漿中に少なくともこの場合COTtisOIleの即行

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

(2)特定死因を除去した場合の平均余命の延び

子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

それに対して現行民法では︑要素の錯誤が発生した場合には錯誤による無効を承認している︒ここでいう要素の錯

第一の場合については︑同院はいわゆる留保付き合憲の手法を使い︑適用領域を限定した︒それに従うと︑将来に