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大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと

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(1)Title. 大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと. Author(s). 宮前, 耕史; 見山, 夕莉; 上野, 結子; 遠藤, 菜月. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第51号: 17-25. Issue Date. 2019-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11218. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 釧路論集 -北海道教育大学釧路校研究紀要-第51号(令和元年度) Kushiro Ronshu, - Journal of Hokkaido University of Education at Kushiro - No.51(2019):17-25. 大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと 宮 前 耕 史1・見 山 夕 莉2・上 野 結 子3・遠 藤 菜 月3 1. 北海道教育大学釧路校地域・環境教育専攻. 2. 北海道教育大学釧路校地域文化研究室4年. 3. 北海道教育大学釧路校地域文化研究室3年. What University Students Learn from “Urahoro Style Education” MIYAMAE Yasufumi1, MIYAMA Yuri2, UENO Yuiko3, ENDO Natsuki3 Hokkaido University of Education, Kushiro Campus, College of Regional and Environmental Education. 要旨 北海道教育大学釧路校地域・環境教育専攻(令和元年(2019年)4月より地域学校教育実践専攻地域環境教育実践分野) では、平成23年(2011)より、浦幌町・浦幌町教育委員会・うらほろスタイル推進地域協議会と連携し、体験学習の機会 を多く設けることにより、農山漁村のみならず、都市部も含めたこれからの地域社会における学校と地域の連携・協働の あり方や、学校・教師の役割を「学校の外」から問い直し、新たな「地域に根ざした」学校・教育・教師のあり方を学生 たち自身が再構築し、 共有・発信していく「地域創造型教師」養成に取り組んでいる(「うらほろスタイル」プロジェクト) 。 一方、浦幌町では、うらほろスタイル推進地域協議会を中心に、「うらほろスタイル」による地域づくりの成果や課題 を町民および関係者と共有するため、毎年(例年冬季)に「うらほろフォーラム」を開催しており、上記プロジェクト参 加学生が、「うらほろスタイル教育」からの学びの成果を発表する機会をいただいている。平成30年度(2018年度)にお いても、「うらほろフォーラム2019」 (平成31年(2019年)2月23日(土)開催)において、浦幌小学校で教育実習を受け 入れていただいた3年次学生1名および2年次学生が、それぞれ学びの成果を発表する機会をいただいた。本稿は、当日の 口頭発表を文字化したものである。 はじめに. (2019年)4月より地域学校教育実践専攻地域環境教育実 践分野)では、平成23年(2011)より、浦幌町・浦幌町.   . 宮前耕史. 教育委員会・うらほろスタイル推進地域協議会と連携し、 体験学習の機会を多く設けることにより、農山漁村のみな.  北海道十勝郡浦幌町では、町内小中学校教員と保護者、. らず、都市部も含めたこれからの地域社会における学校と. 町・町教委、町内の各種団体や企業・NPO、地域住民が「う. 地域の連携・協働のあり方や、学校・教師の役割を「学校. らほろスタイル推進地域協議会」を組織して、 「子どもを. の外」から問い直し、新たな「地域に根ざした」学校・教. 軸に」 「学校を舞台に」 、地域社会の持続可能性の実現を目. 育・教師のあり方を学生たち自身が再構築し、共有・発信. 指した「うらほろスタイルふるさとづくり計画」に取り組. していく「地域創造型教師」養成に取り組んでいる( 「う. (1). んでいる 。同計画は現段階(令和元年(2019年)5月現. らほろスタイル」プロジェクト)(3)。. 在)において①地域への愛着を育む事業②農村つながり体.  一方、浦幌町では、うらほろスタイル推進地域協議会を. 験事業③子どもの想い実現事業④高校生つながり発展事業. 中心に、 「うらほろスタイル」による地域づくりの成果や. ⑤若者の仕事創造事業の5つの計画より成るが(2)、同計画. 課題を町民および関係者と共有するため、毎年(例年冬季). のうち、①∼④のとりわけ教育に関する取り組みは「うら. に「うらほろフォーラム」を開催しており、上記プロジェ. ほろスタイル教育」と呼ばれ、 「学校と地域の連携・協働」. クト参加学生が、 「うらほろスタイル教育」からの学びの. あるいは「地域とともにある学校(づくり) 」の先進事例. 成果を発表する機会をいただいている。平成30年度(2018. として関係者による全国的な注目を集めてきた〔文部科学. 年度)においても、 「うらほろフォーラム2019」(平成31. 省2016〕。. (2019年)2月23日(土)開催)において、浦幌小学校で.  北海道教育大学釧路校地域・環境教育専攻(令和元年. 教育実習を受け入れていただいた3年次学生1名および2年. - 17 -.

(3) 宮 前 耕 史・見 山 夕 莉・上 野 結 子・遠 藤 菜 月. 【図 1】大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと. 【図 2】釧路校と浦幌町との関わり. 【図 3】民泊体験. 【図 4】民泊体験の目的. 次学生が、それぞれ学びの成果を発表させていただいた。 (4). を作っています。講義では、小学校・中学校の先生や、地 域おこし協力隊の方など浦幌町で働いている大人の方々に. 本稿は、当日の口頭発表を文字化したものである 。. 来ていただき、コミュニティ・スクールの取り組みやふる 大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと. さと教育などについてご講話いただいています。  2年生になると、講義の一環として、民泊体験をしたり、. . 見山夕莉・上野結子・遠藤菜月. 中学3年生の「地域活性化案発表会」を参観させていただ いたりしています。今年はこれに加え、 「しゃっこいフェ. はじめに. ス」での出店も行いました。3年生になると、 「通楽(学) 合宿」に参加したり、浦幌小学校で5週間、教育実習をさ.  北海道教育大学釧路校地域文化研究室3年生の見山夕. せていただいたりしています。私自身(見山)も、今年度. 莉、2年生の遠藤菜月、同じく上野結子です。よろしくお. 8月から9月のあいだ、教育実習をさせていただきました。. 願いします。今日発表させていただくことは、まず初めに. このように、浦幌町と釧路校は多くの関わりがあります。. 釧路校と浦幌町のかかわりについてご紹介したあと、2年. ここから、2年生の発表に移ります。. 生の活動2点について、遠藤と上野が発表します。そのあ と3年生の活動2点について、見山が発表します。よろし. 2.2年生の取り組み. くお願いします( 【図1】 ) 。 (1)民泊体験 1.浦幌町との関わり.  それでは、私たち2年生から、民泊体験としゃっこいフェ スでの活動について紹介させていただきます。.  それでは、釧路校と浦幌町との関わりについてご紹介し. 浦幌町での「民泊体験」を、去年(2018年)の6月に行い. ます(【図2】)。学年を問わず参加している活動は、 「うら. ました。参加した学生は、地域・環境教育専攻、地域分野. ほろフォーラム」 「子どもの想い実現ワークショップ」で. の2年生27名です(【図3】 ) 。. す。 「しゃっこいフェス」 「みのりまつり」などの行事にお.  私たち大学生が民泊体験に参加する目的は大きく分けて. けるボランティアにも参加しています。 「うらほろフォー. 3つあります(【図4】 ) 。1つ目は、浦幌町の小学校児童を. ラム」では、 毎年2年生が、1年間の学びをまとめたポスター. 対象に実施されている、 「浦幌バスツアー」 「民泊体験」を、. - 18 -.

(4) 大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと. 【図 5】「民泊体験」を通して学んだこと. 【図 6】 「しゃっこいフェス」. 【図 7】「しゃっこいフェス」参加の目的. 【図 8】 「しゃっこいフェス」での活動. 「子どもの立場」に立って体験するということです。教育.  2つ目は、第一次産業の大変さ・面白さ・やりがいです。. 大学の私たちは、ふだん教師としての目線から学校教育に. 実際に作業を体験することで、その大変さを感じるととも. ついて学ぶことがほとんどですが、 「民泊体験」を実際に. に、農林漁業に携わる方々の自然や生き物に対する想いを. 体験する子どもの立場になって体験することで、子どもた. 感じ、第一次産業の魅力を感じました。. ちが「民泊体験」を通して何を学ぶのか、それからどのよ.  3つ目は、生き物や自然と触れ合う楽しさです。そこか. うな力を育むのかということを、実際に体験することで考. ら、職業選択の一つとして第一次産業を考えるようになっ. えます。. たり、商品選択の際に生産地や生産者などの情報を考慮す.  2つ目は、生命のありがたさ、生産に携わる人、生産過. るようになります。. 程などに関する理解を深めるということです。私たちが動.  4つ目は、子どもたちは、民泊体験を通して町の魅力を. 植物の命をいただいて生きているということや、生産に携. 感じ、地域への愛着を育んでいるということです。地域へ. わる方々のたくさんの苦労があって、私たちの手元に商品. の愛着が、「将来浦幌町に戻ってきたい」「浦幌町で働き、. が届いているということを再確認します。. 地域発展に貢献したい」という思いにつながっているとい.  3つ目は、「うらほろスタイルふるさとづくり計画」や. うことを学びました。. 人と人とのつながりの大切さを学ぶということです。 「農.  私たち大学生を受け入れてくださった、浦幌町の農林漁. 村つながり体験事業」として行われている「民泊体験」の. 家のみなさん、大変お世話になりました。ありがとうござ. 意義や、それに携わる人々のつながりを学びます。牛の餌. いました。. やり、重機の体験、ハスカップの収穫・袋詰め、黒豆の選 別・袋詰め、留真温泉の訪問など、さまざまな活動をさせ. (2)「しゃっこいフェス」. ていただきました。.  次に、 「しゃっこいフェス」での活動について発表しま.  民泊体験で私たちが学んだことは、主に4つあります. す( 【図6】)。参加した学生は、地域・環境教育専攻地域. (【図5】)。1つ目は、家庭や地域の人々の深いつながりや. 文化研究室2年生の8名です。. 温かさです。訪問先の家庭の方々から温かく接していただ.   「しゃっこいフェス」に参加した目的は、3つあります. いたり、食事などの家庭生活でおもてなしをいただいたり. ( 【図7】 ) 。1つ目は、地域のイベントとしての「しゃっこ. など、心温まるような体験をたくさん経験させていただき. いフェス」を通して、地域の方々と関わり、人と人のつな. ました。. がりの大切さを学ぶことです。2つ目は、出店や実行委員. - 19 -.

(5) 宮 前 耕 史・見 山 夕 莉・上 野 結 子・遠 藤 菜 月. 【図 9】「サーターアンダギー」と「ひっつみ」. 【図 10】活動を通して学んだこと. 【図 11】これからに向けて. 【図 12】 「通楽(学)合宿」①. 会に参加し、地域行事の企画や運営がどのように行われて. た。授業の関係で浦幌町へ行くことはできなかったので、. いるのか学ぶことです。3つ目は、地域行事が、町づくり. ラインのビデオ通話で参加しました。当日は、まず朝、会. にどのように生かされているのかということについて学ぶ. 場設営のお手伝いをし、出店をしてサーターアンダギーと. ことです。. ひっつみを販売、その後、実行委員会の方々の打ち上げに.  今回、「しゃっこいフェス」で出店をさせていただいた. 参加し、夜はフタバに宿泊しました。サーターアンダギー. のですが、その際にお店の名前と活動におけるテーマをみ. は103袋、ひっつみは150食、無事に完売することができ. んなで考えました。テーマは、 「日本の果てまでイッテ食. ました、ありがとうございました!フタバでは、私たちと. う?」です。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、. 同じように「しゃっこいフェス」で出店していた北海道大. あるテレビ番組の名前からとらせていただきました( 【図. 学の農学部の皆さんと交流もしました。. 8】)。  このテーマには、浦幌町の子どもたちに、他地域の食文. (3)2年生が「民泊体験」 「しゃっこいフェス」の取り. 化について知ってもらい、広い社会へ目を向けるきっかけ. 組みから学んだこと. にしてほしいという願いを込めています。浦幌町の子ども.  以上の活動を通して学んだことは、 「しゃっこいフェス」. たちは、地元である浦幌のことはたくさん学んでいると思. が、地域に貢献したいという思いを持った地域の若者の皆. いますが、なかなか他地域の文化を学ぶ機会が少ないので. さんの力で行われていること、しゃっこいフェスに、学校. はないかと考え、今回は他地域の食文化に触れる機会を作. の先生方も参加しており、学校と地域の関係づくりのため. り、広い社会へと目を向ける良いきっかけになったらいい. には、学校の先生が地域行事に参加することは、とても大. なと思い、このテーマにしました。. 事であること。それから、しゃっこいフェスという地域行.  今回販売させていただいたのが、左の写真の沖縄名物の. 事を通して、異世代間・地域間の交流が活発に行われてい. サーターアンダギーと岩手名物の「ひっつみ」です( 【図. るということです(【図10】 ) 。. 9】) 。なぜ沖縄と岩手なのかといいますと、今、地域文化.  これからは、講義で学ぶ地域教育に関する理論を、浦幌. 研究室に沖縄の琉球大学から留学生が来ているということ. 町での実践的活動と結びつけて、浦幌町の地域行事へ参. と、研究室に岩手出身の学生がいるからという理由です。. 加・協力し、活動していきたいと思っています。そして、. 次に具体的にどのような活動をしたのか発表します。ま. そういった活動を通して学んだことを、他専攻の学生と共. ず、実行委員会・イベント部会に参加させていただきまし. 有し、他地域へ発信していきます。また、サテライトキャ. - 20 -.

(6) 大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと. 【図 13】「通楽(学)合宿」②. 【図 14】教育実習①. 【図 15】教育実習②. 【図 16】教育実習③. ンパスであるフタバの有効活用も考えていきたいと思って. は学生どうしで振り返りをし、次の日に向けて話し合いま. います( 【図11】)。. す。写真は、今年度の「上浦幌通楽(学)合宿」のときの.  最後になりますが、会場の後ろの方に、私たちがこの1. ものです。以上が、「通楽(学)合宿」の内容です( 【図. 年間浦幌町での活動を通して学んだことをまとめたポス. 13】 ) 。. ターを掲示していますので、よろしかったらご覧くださ (2)教育実習. い。これで2年生の発表を終わります。.  続いて、教育実習についてです。3年生の学級で教育実 3.3年生の取り組み. 習をさせていただきました。先生からご指導いただきなが ら指導案を立て、授業をしました。授業後にも、事後指導. (1)通楽(学)合宿. をしていただきました。休み時間や朝や帰りの時間は、子.  続いて、3年生の活動について発表します。まずは通楽. どもたちとたくさん話し、遊びました(【図14】) 。. (学) 合宿についてです。通楽 (学) 合宿は、 「浦幌通楽(学).  3年生の子どもたちとの思い出を少しご紹介します。こ. 合宿」と、「上浦幌通楽(学)合宿」のどちらにも参加し. ちらは、研究授業といって、一番大事な授業が終わった後、. ています。活動内容は、事前準備として、実行委員会の方. 牛乳で乾杯をしているところです(【図15】)。掃除の時間. とその都度打ち合わせを行います。並行して、 「通楽(学). です。子どもたちと一緒に、水飲み場や教室の掃除をしま. 合宿」の目標に合わせ、レクの内容や「楽(学)習」の内. した。授業以外で子どもたちとの距離を縮められる時間と. 容を決め、献立を作成します。. なり、掃除の時間も大事な時間でした。体育館で鬼ごっこ.  「楽(学)習」は、楽しく、子どもたちが協力して行う. をしています。私だけ帽子がないからといって、貸してく. 活動です。具体的には、 今年度の「上浦幌通楽(学)合宿」. れました。. では、1日目と2日目で、浦幌町についてのカルタ作りを.  こちらは授業の様子です( 【図16】 ) 。これは最終日の. し、3日目にはそれを見せ合ったり、 遊んだりしました(【図. 授業なのですが、5週間の中で一番盛り上がった授業でし. 12】)。. た。これは、子どもたちの様子を見て回っているところで.  当日は、日程にそって進行をし、調理などのサポートを. す。学校にある畑で、雑草抜きをした時の写真です(【図. 行いながら子どもたちと関わっていきます。子どもたちと. 17】)。お家が農家さんの子どもに、スコップの使い方を. 勉強や遊ぶことを通して仲よくなったり、1日の終わりに. 教えてもらったことを覚えています。教育実習最終日にお. - 21 -.

(7) 宮 前 耕 史・見 山 夕 莉・上 野 結 子・遠 藤 菜 月. 【図 17】教育実習④. 【図 18】教育実習⑤(集合写真). 【図 19】教育実習⑥. 【図 20】教育実習⑦( 「民泊体験」から学んだこと). 【図 21】教育実習⑥(サケのさばき方教室). 【図 22】教育実習⑧(修学旅行). 【図 23】教育実習⑨(町内陸上競技大会). 【図 24】教育実習⑩( 「うらもん GO !」 ). - 22 -.

(8) 大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと ながる、ということもよくわかりました。また、子どもに とって、かかわりが深く、理解がある大人がいることで安 心感が芽生えるのではないかとも考えました。  2つ目は、ふるさとを学習することで、子どもたちに愛 着心が芽生えるということです。とても印象的だったの は、 「サケのさばき方教室」のある児童の感想です。 それは、 「これまではサケが嫌いだったけど、今日で食べられるよ うになった」というものでした。その言葉を聞いて、 「サ ケのさばき方教室」のような体験活動の重要性を学びまし た。感想から察するに、地元である浦幌町のサケであるこ. 【図 25】浦幌町から学んだこと. とが大事だったと思います。ふるさとへの愛着心、好きだ. 別れ会を開いてもらいました。そこでフルーツバスケット. という気持ちが、何かを学ぶ意欲や自己に向き合うきっか. をしている場面です。こちらは集合写真です( 【図18】 ) 。. けになることもあるのではないか、と考えました。. 楽しい思い出と学びがいっぱいの5週間でした。.  3つ目は、ふるさとを学習することで、主体性が育まれ.  教育実習中は、教師の仕事についての学びに加え、浦幌. るということです。ふるさとは子どもたちにとって一番身. 町の「ふるさと教育」からも多くのことを学びました。教. 近な教材になると考えています。6年生の修学旅行のPR. 育実習生として、5年生の「民泊体験」や、6年生の「鮭. 活動では、まちの良いところや特産品を調べ、積極的にP. のさばき方教室」 、修学旅行、町内陸上競技大会、「うらも. Rをしていました。3年生の農園活動では、たまねぎやニ. んGO!」に参加させていただきました。それぞれの行事. ンジン、じゃがいも、白花豆など、浦幌町の特産品を目を. で体験したことを発表します( 【図19】 ) 。. 輝かせながら育て、収穫していました。どちらのエピソー.  「民泊体験」では、2年生の時に参加した「民泊体験」を、. ドでも、子どもたちは主体的に活動していました。ふるさ. 今度は教師として見させていただきました( 【図20】 ) 。内. とを学ぶことは、愛着心を育むだけでないということを学. 容は、先生方と一緒に、5年生の民泊体験先を訪問し、農. びました。. 林漁家さんのお話を聞き、5年生から話を聞きました。「サ.  4つ目は、行事に関わる大人が、楽しみながら、一生懸. ケのさばき方教室」では、厚内漁港で会場設営のお手伝い. 命だったことです。どの活動でも、先生方も、保護者の方. をしました( 【図21】 ) 。漁師さんからお話を聞いたり、子. も、地域の方も、子どもたちのために頑張っていて、それ. どもたちのサポートをしたりしました。. を自分の楽しみにしたり、一緒に活動することを楽しんで.  修学旅行では、PR活動に参加しました。こちらは、そ. いる姿に、私は強いあこがれの気持ちを持ちました。浦幌. の時の写真です(【図22】 ) 。町内陸上競技大会では、教育. 町の子どもたちが元気いっぱいで、楽しそうな笑顔をたく. 実習生も係に混ぜてもらって、お手伝いをしました( 【図. さん見せてくれるのは、周りにいる大人の人がそうだから. 23】)。子どもたちの応援をしたり、大会後には仲よくな. なのだなと思い、 私もそんな大人になりたいと考えました。. る機会があったので、子どもたちと話したり、遊んだりし.  5つ目は、地域の人と学校の先生が一緒に行事をつくる. ました。「うらもんGO!」では、他の参加者の皆さんと. ことで、深い学びが生まれるということです。学校で学ば. 活動し、子どもたちのサポートもしました( 【図24】 ) 。. せたいことがあったとき、それに詳しい人に協力してもら うことで、子どもたちにとって印象深い、より深い学びが. 4.大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと. できると考えます。  今後は、以上の学びを生かしながら、地域と学校の連携.  「通楽(学)合宿」 「教育実習」等、浦幌町から学んだこ. についてや、子どもたちとのかかわり方についてもっと深. とは、大きく分けて5つあります( 【図25】 ) 。1つ目は、子. く勉強していきたいと考えています。これからも、浦幌町. どもたちと深くかかわることで、子どもへの理解が深まる. で多くのことを学び、その学んだことを生かし、還元でき. ということです。私は「通楽(学)合宿」ではじめて子ど. るよう、頑張ります。今後ともよろしくお願いします。こ. もたちときちんと向き合う経験をしたのですが、子どもた. れで発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。. ちの好きなことや、できること、できないことなど、私が 予想していた子ども像とは大きく違っていました。教育実 習でも、日を重ね、たくさん話したり遊んだりしているう ちに、 その子の人となりがわかるようになっていきました。  このことから、 表情や様子を見たり、 話したりしながら、. (1). 一人一人の個性を知り、理解することを大切にしたいと考. 立 ち 等 の 詳 細 に つ い て は〔 宮 前・ 平 岡・ 安 井・ 添 田 編. えました。個性を理解することは、よりよいサポートにつ. 著2018〕の他、〔添田・近江・中村・宮前・高木・今泉. - 23 -. 「うらほろスタイルふるさとづくり計画」やその成り.

(9) 宮 前 耕 史・見 山 夕 莉・上 野 結 子・遠 藤 菜 月. 2013〕〔添田・宮前・平岡・近江・阪野・野村2014〕 〔宮. ・宮前耕史・添田祥史2015「『地域創造型教師』養成に向. 前2013〕 〔宮前2015〕参照。. けたプログラム改善―『うらほろスタイル推進地域協議. (2). 会』と連携した釧路校地域教育開発専攻地域教育分野の. う ら ほ ろ ス タ イ ル 推 進 地 域 協 議 会HP(http://www.. urahoro-style.jp/) 。 (3). 取り組み」北海道教育大学『北海道教育大学紀要(教育 科学編)』第65巻第2号、pp.95-102. 「地域創造型教師」のアイディアや取り組みの全体像に. ついては〔宮前・平岡・安井・添田編著2018〕の他、〔宮前・. ・宮前耕史・平岡俊一・安井智恵・添田祥史編著2017『持. 添田2012〕 〔宮前・添田2015〕 〔宮前2016〕参照。. 続可能な地域づくりと学校―地域創造型教師のために』. (4). ぎょうせい. これまでの発表を文字化したものとしては、 〔宮前・小. 林・栗本2013〕 〔宮前・渡邊・上山2014〕 〔宮前・本間・住吉・. ・宮前耕史・本間悠資・住吉泰斉・立野里奈・長澤愛里 2015「地域のために、地域とともに―『うらほろスタ. 立野・長澤2015〕 〔宮前・今西・竹本2016〕がある。. イル』から学ぶ地域教育開発専攻地域教育分野の『地域 創造型教師』養成の取り組み―」北海道教育大学釧路校. 【参考文献】. 研究紀要『釧路論集』第47号、pp.1-9 ・添田祥史・近江正隆・中村吉昭・宮前耕史・高木秀人・. ・宮前耕史・渡邊希美・上山紗耶2014「『うらほろスタイ. 今泉博2013「地域教育のこれからと教師・学校の役割」. ル』から学ぶ『地域に根ざした教師』像」北海道教育大. 北海道教育大学釧路校ESD推進センター『ESD・環境. 学釧路校研究紀要『釧路論集』第46号、pp.9-16 ・文部科学省2016『コミュニティ・スクール』. 教育研究』第15巻第1号、pp.1-33 ・添田祥史・宮前耕史・平岡俊一・近江正隆・阪野真人・ 野村卓「シンポジウム報告『北海道の自然・教育・まち づくり』」北海道教育大学釧路校研究紀要『釧路論集』 第46号、pp.17-44 ・宮前耕史2013「 『うらほろスタイルふるさとづくり計 画』の成り立ちとその現代的意義―『地域に根ざした学 校』論・『地域に根ざした教育』論の立場から」北海道 教育大学学校・地域教育研究支援センターへき地教育研 究支援部門『へき地教育研究』第67号、pp.31-54 ・宮前耕史2015「現代『地域教育計画』としての『うら ほろスタイルふるさとづくり計画』 」北海道教育大学学 校・地域教育研究支援センターへき地教育研究支援部門 『へき地教育研究』第69号、pp.61-72 ・宮前耕史2016「 『地方創生』時代における『地域に根ざ した教師』像―理論モデルとしての『地域創造型教師』 とその養成プログラム開発に向けた研究課題」北海道教 育大学学校・地域教育研究支援センターへき地教育研究 支援部門『へき地教育研究』第70号、pp.53-61 ・宮前耕史・今西宏美・竹本朱里2016「浦幌での学びを ふるさとに―『うらほろスタイル』から学ぶ地域教育開 発専攻地域教育分野の『地域創造型教師』養成の取り組 み―」北海道教育大学釧路校研究紀要『釧路論集』第 48号、pp.21-28 ・宮前耕史・小林可奈・栗本由佳2013「 『うらほろスタイ ル』から学ぶ地域教育開発専攻・地域教育分野の『地域 創造型教師』養成の取り組み」北海道教育大学釧路校研 究紀要『釧路論集』第45号、pp.1-8 ・宮前耕史・添田祥史2012「地域に根ざした教師養成の ためのプログラム開発―『地域参加型マインド』から『地 域創造型マインド』へ」北海道教育大学釧路校研究紀要 『釧路論集』第44号、pp.19-26. - 24 -.

(10) 大学生が「うらほろスタイル教育」から学ぶこと 【別表】 「うらほろフォーラム2019」プログラム ○第1部:活動発表 時間. プログラム. 1. 13:00. 開会挨拶(実行委員長・門馬孝敬、浦幌町長・水澤一廣). 2. 13:10. 事業報告「うらほろスタイルのこの 1 年とこれから」. 3. 13:20. 活動発表(各小中学校の取り組み) ①地域学習(うらほろスタイル)の概略 (うらほろスタイル推進地域協議会事務局長(浦幌小学校教頭)・白井将之). 13:35. ②浦幌小学校の取り組み(浦幌小学校教諭・安宅央喜). 13:45. ③浦幌中学校の取り組み(浦幌中学校教諭・式見功佑、阿部芳樹) イメージ映像. 13:55 14:05. ④上浦幌中央小学校の取り組み(上浦幌中央小学校教諭・山科未来) ⑤上浦幌中学校の取り組み(上浦幌中学校教諭・三浦雅司) イメージ映像. 14:25 4. 14:40. 活動発表「うらほろスタイルと共に歩んだ 12 年、今、卒業を迎えて―『浦幌部』の取り組み」 (高校生有志団体『浦幌部』 、浦幌町地域おこし協力隊・立野里奈、平川貴史). 5. 15:10. 活動発表「大学生が『うらほろスタイル教育』から学ぶこと―」 (地域・学校協働コーディネーター・本間悠資) (北海道教育大学釧路校・見山夕莉、上野結子、遠藤菜月). ○第2部:パネルディスカッション「地域に根付き、地域と共に生きる」 時間 6. 15:40. プログラム パネルディスカッション「地域に根付き、地域と共に生きる」 進行:うらほろスタイル推進地域協議会議長(浦幌小学校校長)・横山利幸 パネラー:子どもの想い実現ワークショップ座長・高室智全 若者の雇用創造事業検討委員会委員長・北村昌俊 浦幌町地域おこし協力隊・立野里奈 浦幌町地域おこし協力隊(株式会社 ciokay 代表取締役)森健太 元浦幌町地域おこし協力隊(株式会社 KIZKI 代表取締役)三村直輝. 7. 16:55. 閉会挨拶(浦幌町副町長・鈴木宏昌). 8. 17:00. 閉会. - 25 -.

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