• 検索結果がありません。

中学校教師のバーンアウトの要因と予防に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中学校教師のバーンアウトの要因と予防に関する研究"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)中学校教師のバーンアウトの要因と予防に関する研究                 人間発達教育学専攻                 臨床心理学コース.                M11α∋0C                 吉岡純一.          問題と日的. 「同僚との関係」(α=.88)「組織風土」(α=.76)「評.  本研究は,教師を取り巻く様々なストレッサーへの. 価懸念」(α=.76)の4因子。. 認知とバーンアウトの関係を,バーンアウトの発生を. ③バーンアウト尺痩は,r脱人格化」(α=.87)r達. 低減させると考えられる,教師の自己効力感や認知的. 成感の後退」(α=.79)「情緒的消耗感」(α=.. 統制との関連について考察し,教師のメンタルヘルス. 74)の3因子。④認知的統制尺度は,r論理的分析」. の支援の在り方について検討することを日的とする。. (α=.85)「破局的思考の緩和」(α:.81)の2.           方法. 因子。⑤教師の自己効力感尺度は,r教師力量」(α. (1)調査手続き2012年2月にA県82校の市立中学. =.85)「考え方」(α=.7⑨の「対応力」(α:.. 校教師850名に,郵送法にて無記名自記式質間紙を配. 79)喘熱」(α=.7③の4因子構造を示した。. 布し,回収した。. (2)各尺度の属性による比較. (2)分析対象者 中学校教師636名幌性395名,女.  各尺度毎に,性別による違いを調べるための宕検. 性241名)であったコ回答率(74%)。. 定,年イ湖リ・職務分掌別,経験年数別による違いを. (3)質問紙の構成. 調べるための一要因分散分析を行った。. ①職務自体のストレッサー(高木・田中2003)16項. (3)各尺度の下位尺度聞の相関. 目 4件法。②職場環境のストレッサー(高木・田中.  15の下位因子間で,Pe㎜ヨ①nの積率相関係数を求. 2003)28項目,4件法③(日本版)バーンアウト尺度M. めて検討した。. B I(久保・囲尾 1994)17項目,5件法コ ④認知. (φバーンアウトを従属変数とする重回帰分析. 的統制尺度(杉浦2003)12項目 4件法 ⑥教師の.  バーンアウトの3因子「脱人格化」「情緒的消耗. 自己効力感尺度Wo此此&Hoy(1990)が作成した尺度. 感」r達成感の後退」(逆転項目)の総得点を,それ. を,前原(199φが翻訳した20項目 5件法。⑥属性:. ぞれ従属変数とし,職務自体ストレッサー,職場環. 幟1』,年齢,職務分掌(主任,担任,部顧間,養護),. 境のストレッサー,認知的統制尺度,教師の自己効. 経験年数について尋ねた. 力感尺度の各総得点を独立変数として,ヨ錦投入法.           結果. で重回帰分析を行った。.  (1)各尺度の因子構造.  尚,いずれもVIF値が2以下であったので,多重.  自己効力感尺度を除いて,各尺度とも先行研究と同. 共線性に問題がないと考える。. 様の結果となり,それぞれ,①職務自体のストレッサ.  結果の中で特筆されるのは,達成感の後退へは,. ーは,r役割の曖昧な職務のストレッサー」(α=.85). 職務自体のストレッサー及び職場環境のストレッサ. r実施困難な職務のストレッサー」(α=.83)の2因子。. ーから,有意な正の影響が現れず,認知的統制と自. ^訟相一溜埴(ワい^↓一斗 散噛1首碗1イ^^m、 )r眺物燃侃Vノバ11ツン 帖,l1X剛何㈱」、α一.∪〃. 己効力感からの負の影響だけが示されたことである。.

(2)           考察. 成感の後退はストレッサーよりも教師の自己効力感. 本研究では,認知的統制とバーンアウトの関係に. から強い負の影響をうけているなど,教師がバーン. ついて分析を試みたその結果,バーンアウトに対. アウト傾向を示すまでには,様々な経緯を見なけれ. し,自己効力感と共に負の影響をもたらせているこ. ばならないことが示唆された。. とが分かった。また,先行研究では,職務自体スト.  今回,自己効力感や認知的統制には,バーンアウ. レッサーがバーンアウトに直接影響を及ぼすものと. トに負の影響力をもたらせるとの結果は,先行研究. とらえているが,本研究では職場環境ストレッサー. と同様であった。認知的統制や教師の自己効力感に. の方が強い影響力をもつことが示され,介入の在り. はバーンアウト傾向の低減効果が予測できるとの仮. 方が示唆された。. 説は,検証されたと考える。. 先ず,各尺度の因子分析で教師効力感尺度が,先.  教師のメンタルヘルス向上を図る提言は,先行研. 行研究と異なり4因子構造を示し独自の命名をした。. 究でも多くみられる。ソーシャル・サポートの構築.  次に各下位尺度において性別による違いを検討し,. もその一つである。職場に同僚性を基盤とした協同. 「職務自体のストレッサー」が,有意に男性が高い. 性をどう築くかということが最重要ポイントである. との結果を得た。また,年齢層による違いを検討し. 噺井,2007)とも言われる。他にも,認知再構成. た1要因の分散分析で,20代の教師が有意にバーン. 法に基づいたr思考記録表」を活用した自己効力感. アウト尺度の総得点が高く,逆に認知的統制尺度の. の醸成,連動・身体活動の実施,ネガティブな認知. 総得点が低かった介入の在り方が示唆された。. に直接働きかけず,呼吸や瞑想に対して能動的な注.  次に,職責による違いでは,担任と主任との対比. 意を向ける訓練をさせるマインドフルネス低減法. において特徴的な差が見られた。主任は,職務自体. (宇佐見地,2012)など種々みられる。以上のこと. のストレッサー得点が高く,職場環境のストレッサ. を参考にしながら,本研究から得られた知見に基づ. ー得点は低かった主任の自己効力感の総得点や対. き,教師のメンタルヘルスの向上について①若い教. 応力の得点は有意に高かった。中学枝では,学年主. 師べ②担任へ③主任へ④部活動頭間へといったよう. 任や教務主任は,学校を牽引するミドルリーダであ. に,年代層や職責に応じての提言をまとめた. り,担う職務は多く負担も大きいが,自己効力感も.  今後の研究の課題としては,質問紙法に加えて個. 高く抱いていると考えられる。一方,担任は評価懸. 別な調査に基づく質的研究の併用の必要性や,多忙. 念が高く,対応力において低い得点を示したいじ. な現場への調査のシステム化への課題を述べた。. めや不登校,生徒指導等にも不安があり,他者評価.        引用文献・参考文散. にも過敏になっている様子が窺えた。. 久保真人 2004バーンアウトの心理学一燃え尽.  バーンアウトの3因子を従属変数とする重回帰分.  き症候群とは一 サイエンス杜. 析からは,バーンアウトに及ぼす様々な正負の要因. 高木亮・岡中宏二2003教師の職業ストレッサー. が示唆されている。.  に関する研究一教師の職業ストレッサーとバーン.  脱人格化は,「仕事をやめたいと思う」等のネガテ.  アウトの関係を中心に一 教育心理学研究,51,. ィブな感情を伴う状況であるが,職場環境のストレ.  165‘174.. ッサーに強い正の影響を受けている。また,情緒的.          主任指導教員 中村菜々子. 消妊威片 重用のヰベで允らτ右の彫.郵券∼十 湊.          指遺紛昌 仕円〃官吝          』一=I  η.  仏  ハ      I’」」ト」一I!、沢』r^. 1I■.一】’mI}, ^H1’ノ  、’一 一⊥」1ハ1’’lv目』ノ.ノ, κ[.

(3)

参照

関連したドキュメント

専攻の枠を越えて自由な教育と研究を行える よう,教官は自然科学研究科棟に居住して学

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

⑹外国の⼤学その他の外国の学校(その教育研究活動等の総合的な状況について、当該外国の政府又は関

2014 年度に策定した「関西学院大学

生活習慣病の予防,早期発見,早期治療など,地域の重要

当日は,同学校代表の中村浩二教 授(自然科学研究科)及び大久保英哲

In this study,the questionnaire is done partially of the risk management research on the regional disaster prevention advancement to the earthquake tsunami dis- aster in the

 介護問題研究は、介護者の負担軽減を目的とし、負担 に影響する要因やストレスを追究するが、普遍的結論を