中学校教師のバーンアウトの要因と予防に関する研究
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(2) 考察. 成感の後退はストレッサーよりも教師の自己効力感. 本研究では,認知的統制とバーンアウトの関係に. から強い負の影響をうけているなど,教師がバーン. ついて分析を試みたその結果,バーンアウトに対. アウト傾向を示すまでには,様々な経緯を見なけれ. し,自己効力感と共に負の影響をもたらせているこ. ばならないことが示唆された。. とが分かった。また,先行研究では,職務自体スト. 今回,自己効力感や認知的統制には,バーンアウ. レッサーがバーンアウトに直接影響を及ぼすものと. トに負の影響力をもたらせるとの結果は,先行研究. とらえているが,本研究では職場環境ストレッサー. と同様であった。認知的統制や教師の自己効力感に. の方が強い影響力をもつことが示され,介入の在り. はバーンアウト傾向の低減効果が予測できるとの仮. 方が示唆された。. 説は,検証されたと考える。. 先ず,各尺度の因子分析で教師効力感尺度が,先. 教師のメンタルヘルス向上を図る提言は,先行研. 行研究と異なり4因子構造を示し独自の命名をした。. 究でも多くみられる。ソーシャル・サポートの構築. 次に各下位尺度において性別による違いを検討し,. もその一つである。職場に同僚性を基盤とした協同. 「職務自体のストレッサー」が,有意に男性が高い. 性をどう築くかということが最重要ポイントである. との結果を得た。また,年齢層による違いを検討し. 噺井,2007)とも言われる。他にも,認知再構成. た1要因の分散分析で,20代の教師が有意にバーン. 法に基づいたr思考記録表」を活用した自己効力感. アウト尺度の総得点が高く,逆に認知的統制尺度の. の醸成,連動・身体活動の実施,ネガティブな認知. 総得点が低かった介入の在り方が示唆された。. に直接働きかけず,呼吸や瞑想に対して能動的な注. 次に,職責による違いでは,担任と主任との対比. 意を向ける訓練をさせるマインドフルネス低減法. において特徴的な差が見られた。主任は,職務自体. (宇佐見地,2012)など種々みられる。以上のこと. のストレッサー得点が高く,職場環境のストレッサ. を参考にしながら,本研究から得られた知見に基づ. ー得点は低かった主任の自己効力感の総得点や対. き,教師のメンタルヘルスの向上について①若い教. 応力の得点は有意に高かった。中学枝では,学年主. 師べ②担任へ③主任へ④部活動頭間へといったよう. 任や教務主任は,学校を牽引するミドルリーダであ. に,年代層や職責に応じての提言をまとめた. り,担う職務は多く負担も大きいが,自己効力感も. 今後の研究の課題としては,質問紙法に加えて個. 高く抱いていると考えられる。一方,担任は評価懸. 別な調査に基づく質的研究の併用の必要性や,多忙. 念が高く,対応力において低い得点を示したいじ. な現場への調査のシステム化への課題を述べた。. めや不登校,生徒指導等にも不安があり,他者評価. 引用文献・参考文散. にも過敏になっている様子が窺えた。. 久保真人 2004バーンアウトの心理学一燃え尽. バーンアウトの3因子を従属変数とする重回帰分. き症候群とは一 サイエンス杜. 析からは,バーンアウトに及ぼす様々な正負の要因. 高木亮・岡中宏二2003教師の職業ストレッサー. が示唆されている。. に関する研究一教師の職業ストレッサーとバーン. 脱人格化は,「仕事をやめたいと思う」等のネガテ. アウトの関係を中心に一 教育心理学研究,51,. ィブな感情を伴う状況であるが,職場環境のストレ. 165‘174.. ッサーに強い正の影響を受けている。また,情緒的. 主任指導教員 中村菜々子. 消妊威片 重用のヰベで允らτ右の彫.郵券∼十 湊. 指遺紛昌 仕円〃官吝 』一=I η. 仏 ハ I’」」ト」一I!、沢』r^. 1I■.一】’mI}, ^H1’ノ 、’一 一⊥」1ハ1’’lv目』ノ.ノ, κ[.
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