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家庭科教育における学習内容 : ソビエトの家政科(その4)

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(1)Title. 家庭科教育における学習内容 : ソビエトの家政科(その4). Author(s). 豊村, 洋子. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 23(1): 135-148. Issue Date. 1972-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4651. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要(第一部C). 第 23 巻 第 1 号. 昭和47年9月. 家庭科教育における学習内容 ソ ビ エ トの 家 政 科. 豊. 村. そ の4 . --. 洋. 子. 北海道教育大学札幌分校家政研究室. labus 。f the COurse ln Y6k。 TOYOMURA: on the Syl “ ‘) ’ “ ’ S 刀 彰 8 ;にe” i の”βsZ〆 c Sc〆 o“2鎧 おc c 7 2cg n the . lin the USSR, Part 4. Bight ‐Year Schoo. 目 はじめに 1 労働教育学習 プログラムの構成. 口 学習内容の検討 ① 家政科の学習内容 ② 農業労働の学習内容. 次 ⑨ 男・女の学習内容の考慮につ いて. ④ 教材のあり方. --科学的系統性--. まとめとあとがき. Summary ’ be ’in the USSR whi ・dome l t l i i i ongst o Thecou,sein‘ abour’ ed ”serv cel t sa so ca chi ence’ s csc , l , ’ ’ “l i d i i f h labus o t e cour tc hesy l i ic l s se n ome ヒ e di scus ses in some detal t on , Thi s ar aboureducat l l l i l i l th grader i s orthe 行f abusf ets s sPec a sc ence at Sov choo y . .” ”,e ,the sy , l l ingi l l t Thefo ems are dwe ed upon l ^ ′ .. i i l l t csc ence 1) Thesy abusofthecour sein domes . i l l t ln the USSR the prob t t l i cu ure i s a ma er of l em ofagr turel cul abour 2) Thes abusofagr y .( lconc i ) ern nat ona , l l r s abus between boysand gi 3) The di”erenceofsyl . ic ar i l i t rangement rsys emat 4) Teaching mat er a sand the . i ds of po l l educa ie l l i t inuous echni Var i on and ca n thef ed on i s s have been cont yt ear che ousre y carr i l l i in the PuPi f th the rea t l i s to coPe Wi es of ti ra or s focus ed on how to t on aboureducat , Every ef i f e m ー odernl ,. は. じ. め. に. 続して発表してきたソ ビエトの学校体 系における家政科 (現在家政科は 本稿は, 著者がこれまで継・ 「奉仕的労働」 と称されている) の学習内容について, より詳細な紹介をな し, その プロ グラム構成上 の教材のと らえ方や, 学習指導についての考察を加えることを目的と している, これまでの報女では, 主として家政科の成立過程, 教育理念, プp グラムの推移等を扱い具体的 -135-.

(3) . vo l ・ 23 No ・I. lof Hokka ido Uni i ion IC) Journa t t i cat i l(Sec ver s o y of Edー. Sept , ,1972. な教育内容にまでたち入ることができなかっ たので, 今回はその検討を試みる時期にきていると思 わ れ る.. 1. 労働 教育学習 プログラムの構成. 現 在 の 6 つ の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ンを も つ 労 働 教 育 プ ロ グラ ム は, 前 稿 (その3) で も 報 告 した よ う. に, 196 9年頃より試案が出され, 1 970年には次章で紹介するような形にまとめ られているが, 期間 中には, 「労働教育」 プロ グラムの学習内容の検討が, 専門の研究者や教育者たちによっ てなされ. ている, 1969年4月 初旬には, モスクワにおいてソ連邦学校管理部全ソ労働教育問題審議会が開催 され, 各共和国の多数の研究者たちが, その席上, それぞれの見解や経験, 実践の報告をおこなっ て い る, こ の 会 議 の 内 容 か ら推 して, 2年あまりの各共和国における労働教育 プロ グラム の 研 究. は, おのおのが独自の視点をすえておこなっ ていたようである. 労働教育の課題を鋭く ついている と思われるものの発言は, 何よりもまず プロ グラムの内容が, 総合技術的世界観に照して適切 であ る か どう か と い う こ と か ら発 展 して, こ の プ ロ グラ ム が 6 つ の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ン を も つ こ と の 当. ) 否, 教材のあり方等を研究 し批判 している1 .. 67年 に 出 さ れ た プ ロ グラ ム 内 容 の 詳 細 は 不 明 で あ る が, 70年 発 表 の も の に お い て は, こ の審 議 の. 結果が生かされたと思われる. 以下に70年および71年公示の労働教育プロ グラムを5学年について. 紹介する, なお前稿 (その3)の末尾に付した同名の表とも対照されたい.. ) ) 8年制学校の労働教育第5学年 のプログラム2 ,3 工. 金属加工および木材加工作業場 (または, 金工, 木工合同作業場) での技術的な仕事. (以下,1に ついて略す, 内容の展開は, 次の口(主として金工)および田(主として木工) を参照) 口. 金属加工場での 技術的な仕事. 導入 の課業 (1時間) わが国の国民生活における労働とその意 義. 仕事場における作業の諸課題. 生 徒 の 製 作 品 の 展 示, 仕事場とその設備. 内部整備. 労働’の課業での衛生的諸要求と安全措置, 金属薄板および針金の組み合わせと製品作 り ( 33時間) 作業対象となる製品の例 : 角 型 フ ライ パ ン, 子 供 用 の バ ケツ, す く い網 の 環, 五 徳,.アイ ロ ン 台, 茶びん敷, 塵とり, おろし金, モーター ボー ト模型, 噴水模型, 水道その他 の模型, 実習作業. 実験室作業. 初歩的な技術工学的試験方法 (曲げる, ヤスリによる試験で5~6. 種の金属および合金 (金属板と針金) の外観および特徴を知る.. ブリキおよび針金の用途や利用等を考慮に入れたものの組み合わせ. 部分品作り 組み合わせ の順次性と手法の研究. 製品の部分の図面, 部品の全体としての設計図を作りあげる, 道具を使用 し, 型に合わせ て切断用の直角形のしるしをつける, 厚さ6mm内 製品の部分作り の金属薄板 の切断. 仕事台上で装置を使用 して端をなめ らかにし, 折り曲げる, 針金の し る し 付 け、 折り曲げ, 切断および径2皿以内の鋼線の端を磨く (有色金属線では5mm以内), -136-.

(4) . 第 23 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 7年9月 昭和4. 組立と仕上げ. 接合材, 固定材, ハンダごてを使用する結合. 電気ハンダごてによ る薄板金属 および針金の結合, 製品の仕上げ. 技術的な知識※①. ブリキおよび針金で作られる製作品の設計図作り, 縮尺 図示の大 製図 , きさの規則. 展開図, 材料 黒色金属と白色金属, ブリキ, アルミニウムおよび真輸, それらの特性. 道具, 装置, 仕事台 金属薄板用の しるし付け, 切断および接合用 の道具と装置. 手を使うは さみと機械的椴断器の構造な らびに作用の共通性と相違性.. 手法と操作 ハガネとブリキのしるし付け, 切断, 折り曲げおよび接合の手法, 品物の磨 き方 ・ と採色のやり方, 作業の計画化. 金属薄板で直角形部分を作るための技術工学的な図 安全措置の . 諸規則. 金属薄板および針金と他の材料とを溶 接ずる組み合わせと製品作り (2 ・ 3時間) 作業対象となる製品の例 : 試験管立, 乾燥肥料用 シャベル, 風車歯車の模型, 秤, 蝶とり用 の. 網, プ ロ ペラ, カ レ ン ダ ー支 え 台 そ の 他,. 実習作業. 作業の計画. ブリ キおよび針金か らできている品物と木材および他の金属か らで. きている部分とを接合する組み合わせ, 部分を接合する順次性と方法の研究. 金 属 部 分 の 製 図 作 り, 木材部分に貫通す る穴あるいは不貫通な穴 をあげる. 部分の表面を紙ヤスリで磨 き ラ ッカー , あるいはペ ンキを塗る. 部分を繋 ぎ合わせて全体を組み立てる 技術的な知識. 金属薄板, 針金および木材よりなる部分の接合方法, 木材の 穴 貫 通 用 の ドリ ル, 木材部分の仕上げに使用されるラ ッカーとペンキ. 安全措置の規則,. 初歩的な電気組立作業を含む金属薄板および針金の組み合わせと製品作り( 0時間) 1. 作業対象となる製品の例 : 卓上スタ ンド, 壁架電灯, 魚飼育用加熱器その他.. 実習作業 実験室作業 1灯ラ ンプの基本の図作成とその電気組立部分の組み合わせ. トラ ンスの経路網を含めた最も簡単な1灯照明具 (6‐1 照明具作り 2w) 作製の手だてと順次 性の考慮, 照明具作 り. 技術的な知識. 電気ヱネ ルギ -源とその応用についての初歩的な理解. ′ ▼ラ 龍 と‘ , 髄縁 消費 - 絶 . 導馴線. 体. 最も簡単な電気回路とそれ らの配線図および使用される記号. 接合用コー ドの準備 絶縁体 . . 家庭用電流 日常生活における電気利用の際の安全措置. 家庭用の卓上スタ ンドやその他の照. 明具の構造を知る, 白熱電球, ソケッ ト, プラ グおよびスイ ッチの構造, 家庭用1灯照明具の原理 図および組立図. 見. 学 (4時間). 工場での金属薄板機械加工 の理解, 企業の基本的な諸部門. 金属薄板加工に関連する多くの労働. 者の職業を知る.. -137-.

(5) . i i i ido Uni lof Hokka t t journa on (Se ct on IC) s ver y of Bduca. Vol .23 No .l. m. Sept . ,1972. 木材加工作業場での技術的な仕事. 導入の課業 (1時間) わが国の国民生活における労働とその意義, 仕事場における作業の課題. 生徒の製作品の展示. 仕事場とその設備. 内部整備. 労働の課業における衛生的諸要求と安全措置 釘あるいはナッ トで接合された一面体あるいは多面体 部分からなる組 み合わせと製品作り ( 33時間) 作 業対象となる製品の例 : 部分作りに使用 する釘や小物入れ箱、 苗箱, 手工作業用の天板, 鳥 龍, 腰掛け, 鳥・家畜の飼料箱, 道具・工具の保管箱, 卓上本立, 器具納入箱, 工具入れ, 自動車 模型, 木造住宅の雛型そ の他.. 実習作業. 実験室作業. その地域で最も普及 している3~4種の木材の外見と硬 さを知る,. ベニヤ板の見本を知る, 組み合わせ. 材料, 部分作製の手だておよびそれ らの組立に必要な製品の大 きさの決定, 部分. の製図作成, 部分作 りの準 備. 作業の計画化. 半加工品 ; 繊維を径, 緯に しるし付け, 鋸挽き, 層にそっ て端を鞄かけ, 部分の穿孔. 釘およびナッ トを使用 して部分を接合. 作品の表面にヤスリを かけ, 水洗 組み立てと仕上げ 塗 料, ラ ッ カ ー を ぬ り, 純 薬 を か け る.. 技術的な知識. 製図. 縮尺. 寸法の樹線の規則. 角形部分の製図および若干の角形部分から. なる製作対象品の製図.. 組み立て材料と しての木材. 国民経済における木材の意義. 木造建築物, 木材の長所と 欠点. 私たちの地方に普及 している松, もみその他の木材の種類, 板材と角材. 材料お よ び角材の 材料. 層, 節, 断 面, 縦 目, ベ ニ ヤ 板 と そ の 特 徴 お よ び用 途. 釘, ナ ッ ト, 磨 き用 の 紙 ヤ ス リ.. 角形の製品作りに使用され る手工道具と手動装置 : 鋸挽き用と飽かけ 道具, 装置, 仕事台 げび 用の罫引 き, 角尺, 鋸, 鈍. 道具の構造と作業のためのそれ らの準備, 穿孔に必要な道具と仕事 台 ; 穿孔器, 柄の曲がっ た錐, 中ぐり機. 角形部分品作りと製品組み立ての技術工学的見取図. しる し付け, 鋸挽きおよび 手法と操作 飽かけの際の測定法と調整法. 部分作成と接合の手法と順次性. 安全f音置の諸規則.. 3時間) 円筒形部分を含む組み合わせと作業 対象品作 り (2 作 業対象となる製品の例 ; 洗面具を置く棚, 手拭い掛け, 子供用ハシゴ, シャベルの柄, 体操 用の 棒,. 実習作業. 組み合わせ. 製品および部分の大きさの決定, 部分作製の順次性と手 だ て の 研. 究, 部分の製図 作成, 作業の計画化, 角形部分の完成. しる し付け. 手工用具およ び装置を使っ ていろい 部分作り ろの円筒形部分を作り出す. 釘およびナッ トを使用 した部分を接合, 製品表面のヤスリかけ, 水染塗料. 組み 立と 仕上げ --138一‐.

(6) . 第 23 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和47年9月. ラ ・塗 り. ,ッ 力 一・ ペ ンキ. 技術的な知識. 円筒形部分の製図. 技術工学的な見取図. 手動の飽かけ専用装置によるしるし 付けと円筒部分を作り出す方法. 安全措置。 初歩的な電気組立作業を含む組み合わせと木質製品作り ( 10時間) 作業対象とな る製品の例 : 寝室用スタ ンド, 卓上スタ ンド, 壁架用スタ ンドそ の他. 実習作業 ・ 実験室作業. 1灯照明の基本図形とその電気組立部分の組み合わせ図. 導線の端. の 処 置, 差 込 み, ソ ケ ッ ト, スイ ッ チ 等 の ハ ン ダ 付 け や 装 填の 練習.. 組立. 変圧器の取扱いを含む簡単な1灯照明具 (6‐1 2w) 作りでの組立, 順次性, 手だての研. 究。 目的物の製作. 木材や ベニヤ板からなる部分作り (土台, 支柱, 笠) , ソケッ トおよびスイ ッ. チの取り付け。 照明具の組立と仕上げ, 技術的な知識. 電熱源とその利用についての初歩的な理解. 消費, 導線と絶縁体. 最も簡単 な電気回路とその配線図および使用きれる記号。 接合用電線の準備, 絶縁. 家庭用電流 日常生活で電気を利用する際の安全措置. 家庭用卓上スタ ンドやその他の電灯の. 機構を知る. 白熱電球, ソケッ ト, 差 し込み, スイ ッチの構造. 家庭用1灯電気照明具の基本的設 計図と組立図. 見. 学 (4時間). 工場での機械的な木材加工について知る. 企業における基本的諸部門。 木材加工に関連する多く の労働者の作業について知る. N. 奉仕的労働 (家政). 導入の課業 (1時間) わが国の国民生活における労働とその意義, 家庭における家庭経営的日常的労働と家族員それぞ れが受け持 つ仕事. 学校での自主的な活動。 少女の勇一動教授=学習の内容, 奉仕的労働 (家政) 教 室とその設備. 奉仕的労働教室の内部整備. 労働の課業における衛生的諸要求と安全 措置 1 料理の作業 ( 1時間) 調理実習用の施設・設備 :場とその設備, 学校における調理を扱う実習用教室 食物準備 教室の内容および設備の内 炊事 . , 容に必要な公衆衛生的諸要求, 食器類, 料理用具とそれらの手入れ※② . 洗浄のやり方, 加熱器具と. それ らを使用する際の安全詰置, 朝食の支度 実習 作 業. 用 した料理,. お 茶, コ ー ヒ ー, コ コ ア, サ ン ドイ ッ チ の 準 備。 ひ き割 り麦, マ カ ロ ニ, 牛乳 を 使. まとめの知識 (覚えておくこと). 熱い飲物の意義とそれ らを準備する諸規則. サ ンドイ ッチ用 -139-.

(7) . VOI .23 NO .・. ion IC) i id。 Uni i t t t Journalof H0kー く a ver s on (sec y of Educa. sept , ,1972. バ ンその他種々の食品の切り方, ひき割り麦, マカロニ製品, 乳製食品の種類. それらの食品の保 存の規則と初歩的な加工の規則. ひき割り麦料理, マカ p 二料理, 牛乳を使っ た料理の準備, 1人 前食料品の使用量. 公衆衛生的な諸要求と安全措置. 食事の規則. 38時間) 布を扱う作業 ( ● 8時間) 裁縫ミシンについて知る ( 裁縫ミ シンを実際に知る. ボビンに巻かれた糸, 下糸および上糸のかけ方の練習, シン裁縫の練習 ミ , 縫いは じめと終りの始末. 裁縫ミ シンの手入れ. まとめの知識 裁縫ミシンの形式と種類. ミ シンの構造とその主要部. 作業をするためのミ シン 実習作業. の準 備の規則およ びミシンによる作業の諸規則, ミシンの手入れの諸規則. ミ シン作業をする際の 衛生的諸要求, 仕事の正 しい姿勢. 作業場所の照明, 安全措置 木綿織物と麻 織物について知る (2時間) 綿織物および麻 織物を実際に知り, さ らにそれらの特性も実際的に知る (配布用 実 験室作業 おもて. の材料を用 いる作業) . 織物の表のきめ方, 織物の糸の方向の見方. コ レクショ ン. 簡単な植物繊維, 麻織物, 綿織物についての知織, これ らの繊維の基本的な特 まとめの知識 たて. よこ. 徴, 経糸と緯糸. 織物の表と裏の相違の特徴. 8時間) 直線裁ちあるいは曲線裁ちした布を扱う製品の裁縫 (2 プ 角布 製作品の種 目 ; 家事用エ ロ ンおよび三 .. 採寸. 製図と裁断の準備, 裁断と製品の裁縫. アイロ ンかけ. 人の身体の形とその測定の規則. 製品裁縫上の製図の諸規則 (点, 線, 線分の まとめの知識 文字の符号) , 縮尺, 織物裁断の諸規則. 製品作りについての技術学的な知識, 安全措置, 実習作業. 14時間) 電気技術作業 (. 室内照明. 日常生活に使用されている照明器具を知る (シャ ンデリヤ, 壁架用電灯, 卓上スタ プ ン ド, 普通電灯) , 最も . 1灯照明具の部分の分解と組立. その構造を知る (ラ ン とその付属物) 簡単な基本的な配線と組立配線図の作成, 最も簡単な低電圧1灯照明具の製作, 実習作業. まとめの知識. 初歩的な 電気エネルギー源とその消費につい ての理解. 回路とその基本的知. 識, 接合用導線の準備. 絶縁濁; 。 日常生活において電気を利用する際の安全 措置. 自然照明 と 人 工 照 明, 白 熱電 家庭用電流 球, ソケッ ト, スイ ッチ. プラ グ等の構造. 電気配線図に使用される基本の記号, 安全措置.. 装飾用植物を扱う作業 (6時間) 室内植物栽培 挿木, 株分け法による屋内植物の繁殖, 室内植物の世話. 屋内植物とその分類, 植物に基本的に必要な光, 暖気, 湿度および栄養につい まとめの知識 て. 植物の世話の しかたと繁殖の方法. 若干の屋内植物の病気や害虫駆除の方法. 実習作業. -1 4 0-.

(8) . 第 23 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). V. 昭和47年9月. 技術的労働および 農業労働. 農業労働 ( 35時間) (内容--一次の頃 「農業労働および奉仕的労働 (家政)」 における当該頃参照) 技術的な労働 ( 35時間) (以 下, V に つ い て 略). 班 農業労働および奉仕的労働 (家政) 農業労働 ( 5時間) 3 10時間) 学習実験農作業場での秋の作業 ( 見学 解させる, 実習作業. 学習実験農作業場において, 子どもたちに知らされている経験と現実の作業について理. 農作物の取入れと収穫の計算, 実践の結果を明らかにする, 2年生疏菜貯蔵用種子 採取植物の選択, 下準備, 充填. 土壌の掘り起しと施肥. 農業技術の知識 学習-実験農作業場における労働の秩序, 個人衛生と危険防止. 取入れの規則と実験的作業実施に際しての収穫の計算, 種子採取用植物選択の規則と貯蔵, 秋に 土壌を耕す方法とその意義 : 土を掘り起すことに ついての諸規則, 春一夏の作業への準備 (6時間) 挿木法による潅木梁果類 (あるいは ブドウ) の繁殖および野菜類の栽培についての 実践要領と農業技術計画の集団的組 織, 生物季節学的計画およびその他の観察 プラ ンの作成※① ,実 習作業日誌の準備, 疏菜栽培用播種用種子の下準備 : 不要物の除去, 類別, 発芽率の 点 検 そ の 実習作業. 他. 農業技術の知識. 種々の疏菜の成育条件についての要求 (光, 暖気, 湿度, 土壌栄養) , 野菜 および果奨の繁殖の方法。 疏菜栽培を扱う実践的作業の諸課題および実践をおこなう諸規則。 19時間) 春一夏の作業 (. き. ′ 野菜や花弁植物の苗の育成 温床や温室で苗を育成する 苗床あるいは温床の準備, 。 場合の土壌の温度および湿度の調整. 苗の手入オゼ◎, 苗の間引き, 苗の選択と移植. 衆果潅木の挿木 (接木) の準備, 保存, 植え付け およびそれらの世話. 実習 作業. 播種前の耕作と施肥, 移植用の2年生疏菜類の種子の準備とそれ らの土壌への移植, 手あるいは 手動播種機を使っ て野菜種子の播種, 実践の定着. 農 業技術の知識 勺 ・マトその他の野菜栽 生育期についての認識, 苗木育成の 獣1 . キャ ベツ, 1. 培の植替え方法。 苗木についての要求, 奨果植物の挿木の準備期間, 方法と植付け。 有機肥料および鉱物肥料施肥の方法, 生物学的特性や播種の用途に応じた野菜種子の播種期と方 法, 実習作業. 疏菜の発芽の外観による識別. 発芽後の除草と間引き, 列や列間の土を鋤や小型機 械で砕く, うねに沿い, 小穴にたっ ぷり撒水する, 乾燥混合肥料および液状混合肥料の用意, キャ ベ ツ の 土 寄 せ, ト マ トの わ き枝除 き,. -14 1-.

(9) . Vo l .23 NQ I. l d l 。E Ho ;do Uni i i ion I C) I0urna t t ぐ a ver s on (Sec y of Bducat. Sept .ドー972. 野菜に つく害虫の駆除 ; 手で害虫をとり, 駆除する。 その目的で害虫を誘い集める ; 植物の 世話 (撒水, 補助施肥, 土寄せ), トマト, 根菜類, 早生キャ ベツの取り入れ. 収穫の計算と経験の成果を明らかにする, 夏 のイ チ ゴ の 植 付 け※⑤.. 農業技術の知識. 疏菜栽培条件についての要求. 除草, 間引き, 行間の土壌の精製, 盛土, わ き枝除きやその他の農業技術的処置の意義. それらの質的な実行にたいする要求. イチ ゴの苗の必 要条件, 植付けの時期と植付け の規則. 見学. 野菜類の収穫に関する作業 の機械化に ついて, 既墾地や未墾地での野菜栽培に ついての 労働の組織に ついて, コルホー ズ(ソホー ズ)における優秀な労働者の作業の実際に ついて知る※⑥ . 経験のテ悶マ 例 1 . 早生ニ ンジ ン, 甜菜, ネギその他の冬期播種の影響. 2 . 野菜 収穫における播種前耕作の影響. 3 . 野菜栽培上での有機肥料および無機肥料施肥の最良の方法を解き明かす。 4 こす る, , 野菜栽培における 播種および植替えの適切な時期 (あるいは方法) を明らかにする 5 , 野菜収穫向上にたいする有機 肥料追肥の方法 (あるいは時期) の影響. 6 . 1年生 (草本) 種子のネギ・カ ブ類の栽培, 7 . 野菜の品種研究.. 8 . ス グリ・ ブドウの接木の下準備 (あるいは植付け) の適切な時期を明らかにする。 (以下, 「奉仕的労働 (家政)( 35時間) 」 は略, 内容は ヴァリエーショ ンNを参照) ※① 子 どもたちは, 技術的な知識を, 実習作業過程において受けとる. ※⑪ 調理用具や諸器具の手入れについての実習作業は, ひき続いておこなわれる授業や家庭でもおこなわれ る.. r. ※⑨ 体験のテーマは, 地域農業の要求性や夏期植物の課題によって決められる, 各班に1~2の実行するこ とを請け合わせる, ※④ 苗の手入れは, 課外時間に交代でおこなう, ※⑥ 夏の作業は, 実習期間の予定表にしたがっておこなわれる. ※① 見学は課外時間 におこなう,. 以上, 第5学年の労働教育に ついて, ほぼそ の 内容を示 したが, その検討に先だち, 5 学. ) 第1表 1~3学年の労働教育プログラム4. o フ 口グラム細目と学習労働の種類1,学 界 寺 島}. 年の前後と初等学年 (1~3学年) とでは どのよ. うな関連性があるかを, 表によっ てひき続き示 す. それぞれのテ ーマについて, 第5 学年の プ ロ グラ ムと同様に, 具体化した教材が与えられ ているが, 紙幅の関係で詳細 に つ い て は 割 愛. ミ技 術 的 労 働 ミール紙 を 扱 う 作 業 21 紙やボール紙 布 を 扱 う 作 業 9 ・ろな材料を扱う作業 、1 いろいろな材料を扱う作業 9 技 術 的 な 模 型 製 作 1 0 小. し, 項 目 の みに と どめ た, ま た, さ らに 上 級 の. 学年 (9~1 ずけられる労働 0学年) において関連- 教育の学習内容も, 制限紙数に 収容しきれず割 愛せざるをえない.. -142-. 教. 室. 農 ◆ の で. 計. 12 12 ユ4 16. 50 31 48 40. 59 56 54. 169. 業・ 労・ 働 豊 ‐ - 6 作 業. 学習試験場での作業と見学. 17 1 0 1 5 1 4. 4. 13. 5 11 12. 28. 3. 小. 計. 11 14 16. 41. 合. 計. 70 70 70. 210.

(10) . 第 23 巻 第 1 号. 第2表 ヴ ァ リエ ← シ ョ ン. ) 4~8学年の労働教育プログラム3 ヴ ァ リエ ー シ ョ ン. □. 題. 学習 時間. 2. 導入の課業. 初歩的な金属薄板および針 金を扱う作業 他の物を繋ぎ合わせる紙や ボール紙を扱う作業. 初歩的な電気組立作業. ヴ ァ リエ ー シ ョ ン. m. 36 16 16. 課. 題. 学習 時間. 2. 導入の課業 木材を扱う初歩的な作業. 36. 他の物を繋ぎ合わせる紙や ボール紙を扱う作業. 16. 初歩的な電気組立作業. W. 農業労働および奉仕的労働. 木材加工作業場での技術的労働. 金属加工作業場での技術的労働 課. 昭和47年9月. 北海道教育大学紀要(第一部C). 課. 題. 農業労働 ( 35時間). 導入の課業 学習-実験農作業場での秋. 16 の作業. 春一夏の作業への準備. 学習-実験農作業場での春 一夏の作業 3 ( 奉仕的労働(家政) 5時間) 導入の課業. 料理の作業 布を扱う作業 住居の手入れ 電気技術作業 小. 計. 金属薄板および針金の組み 合わせと製品作り 他の物を繋ぎ合わせる金属 薄板および針金の組み合わせ. と製品作り 初歩的な電気組立作業を含 む金属薄板および針金の組み 合わせと製品作り 学 見 計. 小. 薄板金属および金属鼓片の 組み合わせと製品作り , 他の材料部分を繋ぎ合わせ る薄板金属および金属戯片の 組み合わせと製品作り 金属切断加工についての一. 般知識 電磁気を含んだ薄板金属お よび金属敏片からなる簡単な. 道具の製作. 小. 釘およびナッ トで組み立て られた一面体あるいは多面体 部分からなる組み合わせと製 品作り 22 円筒形の部分を含む組み合 わせと目標の製品作り. 70. 10. 計. 」 ・ /. 70 筋. 2. 23. 10 4. 般知識 簡単な電熱器の組立と製作 学. 見. 計. 奉仕的労働 (35時間). 料理の作業 布を扱う作業 電気技術作業 小. 計. 学習-実験農作業場での秋. ′様き のず 17 2 12 4. 12. 70. 春-夏の作業. 農業労働 (35時間) 35. 簡単な木彫り製品の仕 上げ 材料切断加工についての一. 計. 秋の作業 春-夏の作業への準備. 70. 角または円形のカスガイを 使用 して接合する組み合わせ. と製品作り 29. 33. 初歩的な電気組立作業を含. む木質の組み合わせと製品作 4 り 見 学. ′ 」 ・. 農業労働 ( 3 5時間). 34. 春-夏の作業への準備 春-夏の作業 奉仕的労働 ( 35時間). 料理の作業 布を扱う作業 住居の手入れ. 4. 学. 見. 計. 小. 70. 電気技術作業. 小. . 計. 43- -1. 70. 小. 計.

(11) . VO 1 23:NQ I. 1 of H。 l do Uni d i i Tourna i ヒ t { ai s ver on (Sec on 工C) y of Bducat .. ヴァ リ エ ー シ ョ ン. 旋盤-ねじ切り機での作業. らせん部分をもつ金属およ びプラスチッ ク材料の組み合 わせと目標の製品作り 鋼の熱による加工. 電気技術作業 見. ヴァ リ エ ー シ ョ ン. 口. 金属加工作業場での技術的労働 学習 課 題 時間. 8. 2 14 4. 学. 題. 木材用旋盤での作業. 翻. 他の材料を繋ぎ合わせる木 42. 製品作り 材木の乾燥. ナイ フ (銅) がけされたか. ぶせ板で製品の仕上げ. 電熱器と発光シグナルある いは発音シグナルの組合わせ. 計. 部品と機械装置 内燃機関 金属切断機での作業. 簡単な技. 術工学的装置の製 作および金属材料やプラスチ ッ ク材での教育用器具の製作. 電熱器具 電気機械と電気伝導装置 技術工作についての一般知 識 見. 学. 小. 70 6 6 8. 24. 節. 16 4. 学. 見. 6. 計. 機械の構造と作用. 70 6. 技術工学および技術工学的 応用の研究をとり扱う′ ・さな j. 系統的な目標製品作り. 35. 電気スタンドと飾り窓の棚 との組み合わせと製作. 23. 技術工学についての一般知 8 識. 2. 30 5. 3. 見. W. 農業労働および奉仕的労働 課. 題. 農業労働 (1 7時間). 学習-実験農作業場での秋. 4 の作業. と製作 小. ヴ ァリエ ー シ ョ ン. 皿. 木材加工作業場での技術的労働 課. Sept ヴ ー972. 学. 畜産農場への見学 奉仕的労働 (53時間). 料理の作業 布を扱う作業 電気技術作業 小. 計. 奉仕的労働 ( 70時間). 料理の作業 布を扱う作業 電気技術作業. 4. 4. 小. 計. 70. 小. 計. 70. 小. 計. 合. 計. 350. 合. 計. 350. 合. 計. 虹 学習内容の検討 表でみ られるように, プロ グラ ムの内容は, 1ー3学年では最も基本の技術を 学 ぶ 段 階 で あ っ て, 「技術的な労イ動」 と 「農業労働」 に2分され, 他に見学が入っ ている, 「いろいろな材料を扱 う作業」 の 「いろいろな材料」 とは, 木質のもの, 曲げやすい ブリキ板や針金, 彫塑材料, その他 ) の天然・人工の新材料が含まれる5 . 初学年 (1~3学年) の総合技術的労働教育の準備は, 子ども. の教授=学習や訓育, 子 どもの発達に重要な体系の一部分とみなされている. 中等段階 (4~8学年) 0学年) に至っ ては, さ らに子どものさまざまな面での発 , 高等段階 (9~1 達を捉す教育の構成部分たる意義を失うも のではない. 中等段階の労働教育の学習内容は, 前述し た よ うに 6 つ の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ンを有 して お り, nrが 日 本 の 家 庭 科に 当 り, 他 は 木 工 ・ 金工 そ れ に. わが国の 「技術・家庭科」 の・より分割して, それぞれに 「農業労働- 1 の時間を加えた よ う な も の で あ る. 4 - 8学年の労働教育は, 子どもたちに初歩的な技術分野, 農業技術や生活技 V. V Iは,. 術等の領域の, 生活に必要な技術や技術的思考力, 設計的能力を発達させることに重きがおかれて い る. 7 - 8学年になる とある程度の職業選択的な性格も含まれてくる. 職業選択の意味するとこ. ろは, 別の機会にも述 べたが, 子 どもの能力を小学校段階から早期にふり分けるというよりは, 子 -i 44.

(12) . 7). 閣議野望頭. ノに)鰐 せ 湧 , き. モスクワ市. ポルゴグラ ド地区第623学校,. 7学年の電気技術作業. バ クー 第190学校7学年生, 食卓の準備. リベッ ク市 第2 5 8年制学校, 8年生の夏 休みの研究, 果物の種類の実物教材作り. モスクワ市. .. 第51 9中学校の10学年生, 生産実習 での内燃機操作法と調整法の実験. 〆 れ * 搬 g 灘 擬細・ ! 懸 ′ 鱒凝議灘滋 養 蕪 盤 二軸謝、 洋三 - - 瀞諦 - -. - - . ‐. モスクワ市. 第316中学校, 織物の合理的な 裁断について. モスクワ市. 第576小学校, 作業点検. 土壌の湿度測定.

(13) . 7 ). クリミヤ州. ペクレミ中学校. 家禽 (小鳥) 飼育の仕事. 農 業. チムケソト州, レーニン地区 ジダノフ名称 クユ ク・ソホーズ中学校の第5学年の木材加工. 労 働 (7~8学年). トウラ市 第46学校, 学習実験農作業場 でのおお麦の取入れ 若き実験者たちの収穫の計算. ’嫌′ も . . 【 r常識f. . トウラ市. . 第46学校で, トマトの発育の観察. オレン ブルグ州 シヱ ドウロ フ中学校の果樹園, チェルノ ワ班のリンゴの接木作業.

(14) . 第 23 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和4 7年9月. どもの全面発達の面からの考慮で, 子どもが社会に進出した場合の自由に職業を選択しうる能力を 伸す意義が多分にあることをみなければな らない, 労働教育料の性格は, 高学年になるとーそう明白な総合技術的方向が打ち出されてくる. 労→動料 の標題は, 「労働的総合技術的実習」 とかかげられている. 選択時間も相当あり, 選択課程も生徒 が学校を終了した後の自由で自覚的な職業を選 択する力を養成する意義がある, このようにみてく. ると, 労働教育の学習は, 初等段階の準備教育から高等段階の実践的習得まで, 教育の中での総合 技術教育の目的に近ずけようとする考慮がみ られる.. 全般的多面的な労働教育の学習内容の分析の必要を感ずるが, 本稿では, 主として ヴァリエーシ 」 にのみ限定して考察する。 ョ ン6, 「農業労働および奉仕的労働 (家政) . ①. 家政科の学習内容. 子どもの教育における総合技術的展開において, クル ブスカヤは労働教育に重要な役割をもたせ ている. 彼女は, 労働とは子どもを実生活に則 した, 一定の方向へ導くものとして捉えている. 彼. 女は 「必要な習熟」 という小文のなかで 「家政科の教授=学習内容の例」 を若干あげているが, そ れは簡潔ながら要を得て具体的である. 「 『物それぞれの所をえしめる』 , これがとりわけ大切な習熟です。. 子どもたちはこのことについてのさまざまな習慣を身につけることが必要です. 例えば, あわてふためいて馳けず り廻ったりしないように, すべてが手近にあるようにするためには, 洋服掛けには衣服を吊 し, 食器棚には食器を ) 置きま しょ う, 学校で, 自分の家で, 庭で, 畑で, その他の処で. これが 「秩序」 なのです6 。」 短 い 言 葉 な が. ら生活のなかでのあらゆる具体的なものを捉えて, 初めは 「技能」 ともいうべき簡単なものか ら, 漸次に技術的な向上とともに, 子どもたちの労働にたいする興味も増大するような配慮があり, 普 遍性をもった述べ方なので, 教育内容の現代化に追われる今日でも適応しそうに思われる.. 奉仕的労働 (家政科) は, 労働教育に組み込まれているとはいえ, 学習内容は, いずれの国とも 共通なテーマや教材が盛られている, 衣食住の家政管理的な仕事が作業対象である. しかし, ここ に重要と思われる点を2~3あげておきたい. 第1は, 労働の授業の際の導入のやり方がとりわけ重大と思われる, 社会的な労働の意義と家庭 の構成員一人一人が受けもつべき労働の役割に関連をもたせていることは, 単なる家事労働的な作. 業を学校で実施 しなが ら, 社会的な労働へも発展させうる志向がうかがわれる,. 次に, これも導入の項にみ られるが, 学校における労働と家庭でのそれと関連させて い る こ と で, 労働教育も家庭での教育と相携えておこなわれることである, ・ 第3は, わが国の裁縫の授業に当るものが, 「布 (織物) の加工」 として捉えられていることで. ある, 言葉の表現上になるともいえるかもしれないが, 低・中学年で 「布を扱う」 , 高学年で 「布 ど変わらないけれども 実際には 加工の実習」 という, , , われわれがおこなう裁縫の授業とほとん 作業を 「加工」 として捉えるところは, 単に裁っ たり縫っ たりするだけではなく, 作 業 展 開 上 の 「被服製作学習」 と称するよりも, はるかに広がりを感じさせるのである. ②. 農業労働について. ソ ビエトにおいては, 農業問題は政治生命を支配するといわれるほどの国民的課題である, この 重要さは, 国民生活上の経済的な要求からもくるものであるが, 教育の面か らみても実生活およ び. 社会的な要求とも関連して農業労働についての教育的評価が問われている. しかし, 農村から離れ た都市部の学校では, 農業労働に接する機会も少なく, 農村と都市との較差が大きい現状がある.. 労働教育全般の教育的成果か らみても, 農村では成功裡に歩を進めているのとは逆に, 都市の学校 -14 5-.

(15) . vo 圭 ・23 NQ I. Septリ ー972. i i i lof 日。kkaid。 Unive Journa 七 on IC) on (Sect r s y of Bducat. ) でも設備の不充分さ等のために充分な成果がもた らされないこともあるという8 . させ, それを観察 「 や実験的に教室で豆類の発芽を 低学年での農業労働は 室内植物を扱う作業」. したりすることも含まれる. 4~8学年には学校農園 (学習=実験農作業場) での実習 があり, 実習前後にはコルホ ー ズやソホ ー ズの見学をな して, 「実際」 を見なが らおこなわれる. 9~10学年になると農業労働が さらに分 化 して時間が配され, 選択になる. 労働教育の選択には, 製図, 電気技術, ラ ジオ技術, 金属加. ・自 工, 農芸化学, 布加工, タイ ピ ング, 野菜栽培, 果樹栽培, 家畜飼育や応用化学, トラクター, 動車等の実習がある, 農業労働は, 労働教育の中でも他の細目とは きわだっ て相違し重要と思われるのは, 自然を相手. とし, 現実に 生きている物を観察 し, 手入れをするのである, 自然に接し, 生きた植物を扱うので あるから, 不断の根気や努力が必要である し, 草類, 潅木, 穀物等の世話を通して子 どもたちに集 団的な思考力, 物事をやり遂げる 克己心をつける効果があるのではなかろぅか. 適切に組織さ ・れれ ば子どもの心身の発達上に及ぼす影響は大きいと考え られる,. ヴァリエーショ ンを多く作 らず, 都市の学校にも農業労働を付す べ きであり考慮しなければなら ぬとの声 がきかれるのも, 単なる国の経済的必要か らの教育への反映ばかりではなく, 人間形成上 の重要性 が問われてきているからかも しれない, ③. 男・女の学習内容の考慮について. 前述の労働教育問題審議会での論議やその他の論文中にも労働教育, 学習内容についての 批判が. 見 られ る が, ヴ ァ リ エ ー シ ョ ンを 作 る こ と が 男 ・ 女 コ ー ス へ の 差 別, 都 市 ・ 農 村 学 校 の 較 差 を な し. ているといわれている, 70年発表の説明文では, プロ グラムは基準とされながらも各共和国, 各学 校では独自にこの いずれかを選んで実施してもさ し支えないし, 1つあるいは2つ以上を組み合わ せ て利 用 す る の も よ い し, 応用・す る の も 許 さ れ て い る, 69年 当 時 の 批 判 は, o プ ロ グラ ム を 全 て 統 一 す る, o 多 く て も 4 つ ぐ らい の ヴ ァ リ エ ー シ ョ ンに わ け る, o都市・農村の労働学習の内容に差. 異があるのは望ま しくない. そ して, o女子向きに電気技術な どの技術的および技術工学的なもの を課す べ きであり, 男子にも家庭生活に必要な日常的な労働を学習させる べきであるとい う見解が 多く出されている。 70年度の プロ グラムには, 奉仕的労働の中に電気技術や植物栽培 が存在してい 9年審議の意見が尊重されたとみなされる, クル ブスカヤは男の子も裁縫や編物, 下着の るのは, 6. つくろい, 食事の支度, 掃除などを学ばなくてはな らないと述 べているが, 問題は女子向きのコー スに 電気技術を加えたことで男女の差を解決 したという積極的な意味があるかということと, プロ グラ ムの 統 一 に よ っ て 「較差」 と い われ る も の が なく な る か と い う こ とで ある,. まず第2の点か らいえば, 学習 プp グラムを統一しても真の意味の較差は縮ま らないであろう. .グラムがあっ て ノも差し むしろ各地域や各学校の施設・設備等地域の条件に応じた, いろいろの プロ. 支えないと考え られる, ただし, 同一学校内において男・女コースの ような 「差」 につながるよう な分け方はまずい し, 教育の場に 「労働」 が導入された意義から逸脱したような プロ グラムがあっ. てはならない. 教材が科学の基本の学習に当てはまる ような, 換言すればマルクスがのべた 「あら. ゆる生産過程の基本原則を教え, 同時にあらゆる最も簡 ,単な道具の使用法に習熟させる」. 働がおこなわれる必要がある.. 教 育 の 場 と して の 労. このことは, 第1の問題とも深く関り合う, 同 じ電気技術の学習に しても, 男子用に与え られた 内容と女子に与え られた内容とでは技術修得上からも相異が見られる. 特殊な専門教育ではなく, 一般教育のなかに位置 づけ られている 科目であるから, 学校の中での作業は男女が共通しておこ な -1 46-.

(16) . 第 23 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和47年 9月. えうる学習内容を選択すべきではなかろうか. 現在の奉仕的労働 (家政科) をみると, 衣と食の仕事, とりわけ被服製作に多くの時間が配され過 ぎている感がする, 製作本位の学習からは, 労働が教育と結びつく厳しゅくな意義は 減 少 す る.. 「多くの労力を要する家事労働は, ほとん ど機械化され, 家族が明るい家に住み, 正しい栄養, 合理的な日課のな ) 」 を 家 政 科 が お こ な っ て い る と 誰U・あ かで健康的な, 素晴らしいソビエトの家庭生活を築くための準備教育9. げた目的からも著る しくはずれている.. 男子向きに当てられた内容を低めて組み合わせるというような考慮は勿論不要である, 女子向き. に配された学習内容を 「整理」 して組織することの必要である。 ④. 教 材 の あ り 方 -- 科 学 的 系 統 性 --. このテーマの考察は難しい. 前項とも多少かかわり合うのであるが, 一見して学習項目の配置が 系統だてられているように思えても, 実際に科学的な配慮をもっ ておこないうるのは, 教師が如何. にその教材に精通し, 子どもの レディネ スをも熟知して学習内容の検討を超えた方法論を身につけ て いる かと い う こ と と も ひ じ ょ う に 関 連 す る か らで あ る,. 具体的に労働の学習内容をみると, 日常生活に役立ちそうな仕事の簡単なものから複雑なものえ の系統性はある. また, 他学科で学習されていることとの関連ずけもなされたり している。 しかし 例えば製図は6学年の終 りに学ぶのに, 被服製作で5年から製図をやっ ているといっ た反省も時に ある. これらの細分化された技術については, 実験学校が存 在していて, 例えば裁縫では第5学年. ではバイヤスの布を扱え るなどとの研究がなされているようである. 学習内容は, 一応, 長年の諸 研究に基づいてたて られているので, 確信はみ られるが, それを実施する場合に前述 (口~①) した. けれども, 導入段階での教師の教材にた いする理解が露呈され, しばしば科学性の少ない機械的注 入が見 られる. 例えば, 「布を扱う作業」 をみてみよう. 4年生では手で袋縫いをし, ミ シン裁縫に移 り, 採寸 」 等 の 練習, 5 年 生 で は エ プ ロ ン, 三 角 布, 6 年 生 で は パ ンツ を 扱 う こ と に な っ て い る. 「袋 縫 い-. 教材については, 日本の家庭科研究会も問題があ ると指摘 しているが, 全面的に否定することはな いであろう. 学年をたどっ てその順次性をみると伸縮の少ない, 静止した物体を包む場合の立体の 捉え方と平面へのあ らわし方, 布の扱い方から, 斜布を使用 して活動する身体を包む場合の図の読. み ,方, 布地の性質, 織り方の方向, 布伸縮の限度とゆとり等の力学的関連などは系統的に理解され うるであろう. 最近よく出されてくる裁縫の実践報告のなかに, 時たま 「布を扱う. i 的な裁縫でな クのみを対象とするような作 が 「 的な 裁縫のテクニ くて, 製作学習」 業 ある, 「製作学習」 だ ッ , けでは, もちろん総合技術的な教養が得られず, それ以上に発展した応用, 物を立体的に読みとれ る力を養いえない, 第6学年の海水パ ンツの実践例で, 人の身体の腰線から下の動きとしてパ ンツ の 形 態 を 捉 え さ. せ, 実際的に歩 き, 走る等の場合の大腿囲の差異を理解して, そのための必要採寸の方法をわから o )等々, 衣服そのものの機能, 目的などを包含した報告があっ たが, 注目される. せるl あ. と. が. き (まとめにかえて). 以上かなりの批判的な考察を加えたが, ソ ビエトの労働教育科の学習内容の配置は, 近年の論述 をみてもかなりの自信をもっているようである. その自信が国内でも批判を分ち, その批判をおお 一14 7-.

(17) . ion IC) ion (sec d。 Uni i f Bducat 1 t l。f H0k t }。urna s く ver ai yo. vol .23 No .1. sept . ,1972. らかに受け入れたりすることと結びついている, 現状では, 学習の目的, 内容等はほぼ確立 し, 方 法論あるいは具体的な実施面での解決に重点が移動したかにみえる,. 家政科 (奉仕的労働) についても, 内容の検討の他に, 実践の報告が相当数もたらされてきてい. る, こ れ らを さ らに 検 討 して 深 め た も の を 出 した い と 考 え て い る.. 今回は, プロ グラム内容の紹介に多くのス ペースを当てたために, 後段の考察の追求がきわめて 不充分であっ た. 今回とりあげた家政科の内容, 農業労働, 男・女の学習内容の考慮, 系統性のど れ一つをとりあげても私にとっ ては重要な課題である. 今回の考察の不充分さを, さ らに継続的な 学習によって満たしていくの が, 今後の私の課題である. 労働教育は, 子どもの能力の全面開花へ のつきせぬ課題を負う ていることを, 学ぶほ どに思わざるをえな い. 6年度内地研究員として, 北大教育学部 本稿は, 著者が昭和4 ご指導をえてまとめたものの報告です,. 砂沢研究室において, 砂沢教授の. 砂沢教授には, 学部長という激職のなかを, 時間を割いてくださり, ご指導をいただきました, また留学期間中に1月 ほど訪ソの機会がありま したが, 著者の出発に先だち, モスクワや レニ メグ ラ ー ド市 在 住の研究者たちへの連絡, 依頼もすべて砂沢教授がとっ てくださり, 多大のご援助を受 けました. 本稿の作成も現地で入手 した学習参考書に多くを負うています, 終りにのぞみ, 紙上を借りて砂沢教授にあつくお礼を 申しあげます. 文. 献. ’ 皿KO刀a l -Bceco鵬Hoe coBe 1) - l 江POH3BOT一 mame o ロPorPaMMax no TPy召oBOMy 06yueHはめ1 , c小Bo, 阻 8, 1969 r.’ cTp。 62一69,. 2) ””porpaMMb II Io Tpy召oBOMy o6yqeH2め 亙双月 ”只Ta× K刀accoB, 中aM 1 Ke, 紹 1970 r,, OTP, 46‐53。. 3) M夏日耳oTepcTBo nPocBe叫eHH月 CCCP : nP0rPaMM試 BocbMは夏eTHe蕗 皿KO脚 Ha l971一72 yqe6H或 ro員,. l口PocBe l MOCKおa l971 r TPy巽oBoe o6yqeHKe 4-8 KJ 1accbも 質3亙aTe瓦bcTBo l l qeHHel ., ,. CTP. 25‐86。. 4). l te K刀accb 陀M ※e, Haqa刀bHb ,. Taト 1 *e, CTP. 57。. IHoBaH I ’ COBe IP0rPaMMa TPy亙oBoro 06yqeH“亘 B Haqa打bHb 5) 凹a却OBa,Z,r。 : ’ lx Kaaccax’ , * M。 1969 r, CTP 15-25 43旦, 1唖POCBe IKa, 旭 8, 1 l le亙arorl cKa只 1 qeH“e. , . , , 1 1 6) Kpy虹CKa兄,日.K. : ”He06xoAHMb J IH, 1e HaBb IKHI , le亙arorzqecKae coq“HeHは只, T。4, 質3A. A M。 1960 r., cTp. 181‐182, lmKO瓦b ll l □POHSBO召CTBa” 7) CH細a Kon“め c 滋. 1. ’yq“Te刀bCKO鉄 raseTb l l 鴻 月aHHb 捌M I l le 3a ,. l969‐ 72 rr. B GGGP0 ‐. 8) HrMeB,M. : Pa60u醗 HauaHaeTcg 白 田KO刀e, yq“Te証bcKa只 ra9eTa, 21 ceH岨6P只 1971 r.. 9) BeKKep,T,C, : 0 3aAaqax l I MeTOAax ロPenoAaBaH“只 AOMOB0五CTBa B CPeAHe錠 蹴○刀e, 1 mKOJ 1 1a l ll IPO“3BO亙C rBo, 照 3, 1961 . r,, CTP. 4 .. 10) 小eaopoBa,質.H. : Pa60Ta C TKaHbI o B 4 K超acce, 鍵 10, 1969 r,, OTP, 45-46. -1 48-.

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