成人知的障害者を対象とした休日のスポーツ活動における環境実態調査
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第67巻 第₂号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 67, No.2. 平 成 29 年 ₂ 月 February, 2017. 成人知的障害者を対象とした休日のスポーツ活動における環境実態調査 鈴木 洸平・細谷 一博* 北海道教育大学大学院教育学研究科 *. 北海道教育大学函館校障害児臨床研究室. Actual Environment Condition Survey in the Holiday Sports Activities for Intellectually Disabled Adults SUZUKI Kohei and HOSOYA Kazuhiro* Graduate School of Education, Hakodate Campus, Hokkaido University of Education *. Department of Special Education, Hakodate Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 スポーツは,本源的な欲求とともに精神的欲求を与えるなどの創造的な文化活動である。ス ポーツには競技スポーツや生涯スポーツの両側面があり,それぞれの充実が求められてきてい る。障害者スポーツは自主的かつ積極的に行われるよう規定されているが,実状としては,公 共施設で障害者の利用を断るなど活動支援に未だ課題がみられる。そこで本研究では,成人知 的障害者を対象としたスポーツ活動における現状を調査し課題を明らかにすることを目的とし た。また,地域におけるスポーツ活動の在り方について検討した。その結果,主な活動場所は 公共施設であり,学校等と連携した活動はごく少数であった。活動への参加意思では,多くの 参加者がスポーツ活動に対して積極的に参加していた。今後のスポーツ活動の課題としては, 活動の広報や移動支援の充実が挙げられる。地域におけるスポーツ活動の在り方としては,学 校等と連携した自宅付近での活動やボランティアや友達など幅広い人達と行う活動が求められ るといえる。. Ⅰ 問題と目的. スポーツ行政は,国においては文部科学省が,都 道府県においては,都道府県教育委員会がそれぞ. 文部科学省(2016)によると,スポーツは,人間. れ中心となり,各種の施策について企画・立案・. の体を動かすという本源的な欲求に答えるととも. 実施していると報告している。さらに,文部科学. に,爽快感,達成感,他者との連帯感等の精神的. 省(2007)は,国民の誰もが,いつでも,どこでも,. 欲求や楽しさ,喜びを与えるなどの,人類の創造. いつまでもスポーツに親しむことができる生涯ス. 的な文化活動の一つである。また,我が国の競技. ポーツ社会の実現は,我が国の重要な課題である. 85.
(3) 鈴木 洸平・細谷 一博. と報告している。このように,競技スポーツと生. 中にスポーツがあると報告している。. 涯スポーツの両側面においてそれぞれの充実が求. このことから,障害者にとってスポーツ活動の. められていることがわかる。. 保障は重要であり,学校卒業後の知的障害者自身. 内閣府(2011)は,障害者が自主的かつ積極的に. のニーズや興味・関心に基づいたスポーツ活動が. スポーツを行うことができるよう,障害の種類及. 余暇の充実やQOLの向上につながると考えられ. び程度に応じて必要な配慮をしつつ推進されなけ. ていることがわかる。. ればならないと規定している。. しかし,文部科学省(2014)が行った障害者のス. R.L.シャーロック(2000)は,QOLの定義につい. ポーツ参加における安全確保に関する調査では,. て,適切な食事や安全といった生活の基本的条件. 地域スポーツ施設で障害者の利用が以前に比べて. と,余暇活動,地域活動など,生活を豊かにする. 「増えていない」と回答した施設が35%であった. 活動とが含まれる,単一の「物」に還元できない. とし,さらに障害者の利用をやむを得ず断った理. 多面的概念構成体であると述べている。また,. 由として,「介助者がいない」,「安全確保ができ. QOLは,すべての人にとって大切で,すべての. ない」が主であると報告している。また,能村. 人に同じように捉えられるべきであるが,障害の. (1996)は,知的障害者の多くは,スポーツを楽し. ある人は普通ならば得られるはずの機会や状況の. み,汗を流す快感を満喫する状態に置かれておら. 多くから, 排除される危険があると指摘している。. ず,スポーツに親しむための物的,人的環境が不. 金子・南條(2007)は,知的障害児・者のスポー. 備であると指摘している。このように,知的障害. ツ・レクリエーション活動と生活の質(QOL)に. 者のスポーツ活動が求められている現状に対し,. 関する実態を分析し,数多くのスポーツ・レクリ. 活動支援に関しては未だ課題がみられている。. エーション活動を経験することがその後の活動へ. また,菅野(2006)は,日本発達障害学会と日本. の参加意欲に影響を及ぼし,スポーツ・レクリ. 特殊教育学会における障害児・者の研究件数をま. エーション活動がライフスタイルを確立すること. とめ,我が国において18歳以降の成人期を対象と. を報告し,スポーツ活動が知的障害者のQOL向. した研究は12.9%といまだ少数にとどまってお. 上に寄与することを明らかにしている。また,. り,心理や行動,老化といった基礎的な面につい. QOLを向上するための活動は,知的障害児(者). ては研究報告はなされていないと報告している。. 自身のニーズに基づいたものでなければならない. さらに,健康で豊かな成人期を送るためにはどの. と述べている。. ような支援が必要であるのか,これまで組織的,. 奥田・井上・松尾(2000)は,学校を修了した障. 体系的な取り組みがほとんどなされていないのが. 害者において,地域でのスポーツ活動への参加は. 特徴であると述べている。. 限られており,本人の動機づけを高めるような年. 成人知的障害者のスポーツ活動支援に関する環. 齢相応のスポーツ活動の選択肢が保障されている. 境に焦点を当てた調査研究は少ないことから,本. か否かという点について考えていく必要があると. 研究では,成人知的障害者を対象とした休日のス. 述べている。また,動機づけを高めるような環境. ポーツ活動における現状を調査し課題を明らかに. (年齢相応の活動参加機会の少なさ)を問題として. することを目的とした。また,地域におけるスポー. おり,学校教育を修了した障害者に対して,興味. ツ活動の在り方について検討した。. と関心を持てるスポーツ活動の機会を提供してい くことが重要であると指摘している。奥住・國 分・北島(2011)は,知的障害特別支援学校高等部. Ⅱ 方 法. 生徒の現在および卒業後の余暇活動について調査. 1.対 象. し,卒業後,有意に行いたいと考えている活動の. スペシャルオリンピックス日本・北海道に参加. 86.
(4) 成人知的障害者を対象とした休日のスポーツ活動における環境実態調査. する18歳以上の知的障害者の保護者(29名)を対象. の結果,「1団体」が14名(48.3%),「2団体」が. とした。. 8名(27.6%), 「3団体」が5名(17.2%), 「4団体」. スペシャルオリンピックスとは,知的障害のあ. が1名(3.4%)であった。このことから,約半数. る人たちに様々なスポーツトレーニングとその成. が複数のスポーツ団体に所属しており,積極的に. 果の発表の場である競技会を,年間を通じ提供し. 活動へ参加していることが窺える。. ている国際的なスポーツ組織のことである(公益 財団法人スペシャルオリンピックス日本, 2016)。. 2)スポーツ活動時間及び活動頻度について. スペシャルオリンピックスの中で,北海道全域の. スポーツ活動時間及び一か月における活動頻度. プログラムを対象とし,S地区,K地区,A地区,. の合計について回答を得た。その結果,活動時間. H地区,N地区の計5地域より回答を求めた。. では「2時間」が12名(41.4%)と最も多く見られ た。次いで「4時間」が5名(17.2%), 「3時間」. 2.期間及び手続き. が3名(10.3%), 「5時間」 「6時間」が2名(6.9%),. 調査期間は2016年1月~4月とし,各プログラ. 「1時間」「7時間」「10時間」「12時間」が1名. ムの事務局を通して配布し,同封した返信用封筒. (3.4%)であった。また,活動の頻度では「週二回」. により回収した。. が9名(31.0%)と最も多く見られた。次いで「週 一回」が8名(27.6%), 「月二回」が7名(24.1%),. 3.調査内容. 「月一回」が5名(17.2%)であった。このことから,. 質問項目をTable1に示す。成人知的障害者を. スポーツ団体に所属することにより,定期的な運. 対象とした休日スポーツ活動の環境実態調査であ. 動の時間が確保されているといえる。. る旨を記載し,①所属しているスポーツ団体数, ②週に行うスポーツ活動時間の合計,③週に行う. 3)活動場所と移動(形態/手段/距離)について. スポーツ活動の回数,④スポーツ活動を行う場所,. スポーツ活動を行う主な場所の結果をTable2. ⑤活動場所への移動形態,⑥活動場所への移動手. に示す。また,活動場所への移動形態,移動手段,. 段,⑦活動場所への移動距離,⑧活動をする主な. 移動距離について回答を得た。活動場所への移動. 相手,⑨活動目的,⑩活動効果,⑪子どもの活動. 形態の結果をTable3に示す。. への参加意思,⑫活動の情報資源,⑬活動への金. 活動場所では「公共施設」が21名(72.4%)と最. 銭的負担,⑭活動への満足度の全14項目について. も多く見られたが,「学校」が4名(13.8%),「福. 記述式と選択式で回答を求めた。なお,調査用紙. 祉施設」が1名(3.4%)と少数であった。移動形. は,石黒・中村・木下(1999)を参考に作成した。. 態では「保護者と」が18名(62.1%)と最も多く, 次いで「単独」9名(31.0%)が多く見られた。移. 4.分析方法. 動手段では「自家用車」が20名(69.0%)と最も多. 回収した調査用紙を単純集計した。また「所属. く見られ,移動距離では「5-10km圏内」「10km. 団体数」 , 「移動距離」,「活動相手」を独立変数と. 以上」が11名(37.9%)と最も多く見られた。この. してクロス集計をおこなった。. ことから,学校等と連携した休日スポーツ活動は 少なく,移動では単独や保護者同伴が多く,外部. Ⅲ 結果と小考察. からの支援を受けないケースが大半であるといえ る。そのため,今後はスポーツ活動の実施におけ. 1.全体の傾向. る外部からの移動支援が求められてくると考えら. 1)所属団体数について. れる。. スポーツ団体の所属数について回答を得た。そ. 87.
(5) 鈴木 洸平・細谷 一博. Table1 質問項目 質問No.. 質問内容. 1 2 3 4. お子さんが所属しているスポーツ活動団体の数を教えてください。 お子さんが休日(土曜日/日曜日を合わせた時間)にスポーツ活動へ費やす時間を教えてください。 お子さんが休日にスポーツ活動を行う頻度で当てはまるもの一つに○をつけてください。 お子さんが休日にスポーツをする活動場所で当てはまるものすべてに○をつけてください。(複数回答可) (公共施設,学校,福祉施設,その他) お子さんのスポーツ活動場所への主な移動支援者で当てはまるもの一つに○をつけてください。 お子さんのスポーツ活動場所への移動手段で当てはまるものすべてに○をつけてください。 お子さんのスポーツ活動場所へのおおよその移動距離で当てはまるもの一つに○をつけてください。 お子さんとスポーツ活動を共にする主な相手で当てはまるもの一つに○をつけてください。 お子さんが休日にスポーツ活動を行う目的で当てはまるものすべてに○をつけてください。 (A.自立・母子分離,B.社会勉強,C.集団行動の体験,D.健常者とのかかわり,E.技術の習得, F.エネルギー発散,G.障害者同士の交流,H.余暇の広がり) お子さんにとってのスポーツ活動の効果で当てはまるものすべてに○をつけてください。 (A.自立の意識向上,B.貴重な体験,C.対人関係の成長,D.人との接触機会増加, E.自信へのつながり,F.退屈な時間の減少,G.技術上達,H.余暇の楽しさの理解) お子さんのスポーツ活動への参加意思で当てはまるもの一つに○をつけてください。 スポーツ活動に関する主な情報資源で当てはまるもの一つに○をつけてください。 スポーツ活動への参加に対する金銭的負担で当てはまるもの一つに○をつけてください。 お子さんのスポーツ活動に対する満足度で当てはまるもの一つに○をつけてください。 また,回答を選択した理由もご記入ください。. 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14. Table2 活動場所(N=29/複数回答可) 回答 公共施設 学校 福祉施設 その他. N. %. 21 4 1 9. (72.4) (13.8) ( 3.4) (31.0). Table3 移動形態(N=29) 回答 保護者と 兄弟・祖父母 ボランティア 単独 その他. N. %. 18 1 0 9 1. (62.1) ( 3.4) ( 0.0) (31.0) ( 3.4). Table4 主な活動相手(N=29) 回答 友達 家族 ボランティア その他 回答なし. N. %. 2 4 20 1 2. ( 6.9) (13.8) (69.0) ( 3.4) ( 6.9). Table5 活動目的(N=29/複数回答可) 回答 A.自立・母子分離 B.社会勉強 C.集団行動の経験 D.健常者との関わり E.技術習得 F.エネルギー発散 G.障害者同士での関わり H.余暇の広がり. %. 6 7 14 7 12 15 8 22. (20.7) (24.1) (48.3) (24.1) (41.4) (51.7) (27.6) (75.9). Table6 活動効果(N=29/複数回答可) 回答 A.自立の意識向上 B.貴重な体験 C.対人関係の成長 D.人との接触機会増加 E.自信へのつながり F.退屈な時間の減少 G.技術上達 H.余暇の楽しさの理解. N. %. 7 9 15 17 6 15 15 20. (24.1) (31.0) (51.7) (58.6) (20.7) (51.7) (51.7) (69.0). Table7 情報資源(N=29/複数回答可) 回答 知人 インターネット 情報誌 その他. 88. N. N. %. 23 3 2 3. (79.3) (10.3) ( 6.9) (10.3).
(6) 成人知的障害者を対象とした休日のスポーツ活動における環境実態調査. 4)活動をする主な相手について. 7)活動への満足度について. スポーツ活動を共にする主な相手の結果を. スポーツ活動への満足度について回答を得た。. Table4に示す。 「ボランティア」が20名(69.0%). その結果,「満足している」が13名(44.8%)と最. と 最 も 多 く 見 ら れ た。 次 い で,「 家 族 」 4 名. も多く見られ, 「困っている」は1名(3.4%)であっ. (13.8%), 「 友 達 」 2 名(6.9%),「 そ の 他 」 1 名. た。さらに「大変満足している」が11名(37.9%),. (3.4%)であった。このことから,スポーツ活動. 「どちらでもない」が4名(13.8%)であった。また,. を通した友達同士の交流が少ない傾向があるとい. 自由記述では「送迎は母。いつまで続けられるか. える。. 心配」や「必要としている支援が得られない」 「内 容に明確さがない」「とにかく休日に行く場所を. 5)活動目的と効果及び参加意思について. 提供してほしい」など,活動の実施における不安. スポーツ活動を行う目的及びスポーツ活動の効. の記述が見られた。その他には「スポーツを始め. 果の結果をTable5, Table6に示す。また,スポー. てから自信がつき,楽しそう」等の前向きな記述. ツ活動に参加する子どもの参加意思について回答. が見られた。このことから,多くの保護者がスポー. を得た。活動目的では「余暇の広がり」が22名. ツ活動について満足している現状があるが,自由. (75.9%)と最も多く見られ,次いで「エネルギー. 記述にみられるような将来的な活動支援に関する. 発散」が15名(51.7%),「集団行動の経験」14名. 不安があると推察される。. (48.3%)と多く見られた。活動効果では「余暇の 楽しさの理解」 が20名(69.0%)と最も多く見られ,. 2.所属団体数による活動効果の違い. 次いで「人との接触機会の増加」が17名(58.6%),. 所属「1団体」を単独群(N=14),所属「2団. 「対人関係の成長」「退屈な時間の減少」「技術上. 体以上」を複数群(N=14)として回答の比較をお. 達」が15名(51.7%)と多く見られた。子どもの活. こなった。その結果をFig.1に示す。「D.人との. 動への参加意思では「積極的」が23名(79.3%)と. 接触機会増加」で,単独群10名(71.4%),複数群. 最も多く見られた。しかし,「消極的」も4名. 7名(50.0%)と回答に開きが見られた。また「F.. (13.8%)と見られた。「無関心」は2名(6.9%)で. 退屈な時間の減少」で,単独群9名(64.3%),複. あった。このことから,多くの参加者が活動を積. 数群6名(42.9%)と大きな開きが見られた。さら. 極的に行っており,余暇としての生涯スポーツを. に「G.技術上達」で,単独群5名(35.7%),複. 目的としていることが多いといえる。. 数群9名(64.3%)と開きが見られた。このことか ら,所属団体数が増加すると参加者の技術が上達. 6)活動の情報資源及び金銭的負担について. する傾向がみられたが,所属団体数が多いことが. スポーツ活動に関する主な情報資源の結果を. 必ずしも多くの人とかかわることや退屈な時間の. Table7に示す。また,スポーツ活動に対する金. 減少につながるとは限らないことが明らかとなっ. 銭的負担について回答を得た。活動の情報資源で. た。. は「知人から」が23名(79.3%)と最も多く見られ た。金銭的負担では「どちらでもない」が14名. 3.移動距離による活動効果の違い. (48.3%)と最も多く見られた。次いで,「負担が. 活動場所への移動距離を,5km圏内群(N=7). 大きい」 「負担が小さい」が7名(24.1%)であった。. と10km以上群(N=11)の二群に分け,回答の比較. このことから,保護者同士のつながりからの情報. をおこなった。その結果をFig.2に示す。「B.貴. がスポーツ活動への参加につながっていると考え. 重な体験」で,5km圏内群3名(42.9%),10km. られる。. 以上群1名(9.1%)と開きが見られた。また「C. 対人関係の成長」で,5km圏内群6名(85.7%),. 89.
(7) 鈴木 洸平・細谷 一博. 10km以上群3名(27.3%)と開きが見られた。こ. 4.活動相手による活動効果の違い. れに対して「G.技術上達」で,5km圏内群3. 主 な 活 動 相 手 に よ っ て, ボ ラ ン テ ィ ア 群. 名(42.9%),10km以上群8名(72.7%)と開きが見. (N=21),ボランティア以外群(N=7)の二群に分. られた。このことから,近場で行えるスポーツ活. け,回答の比較をおこなった。その結果をFig.3. 動は貴重な体験となっており,その地域において. に示す。「A.自立の意識向上」で,ボランティ. 対人関係が育まれていると考えられる。また,近. ア 群 2 名(9.5%), ボ ラ ン テ ィ ア 以 外 群 4 名. 場では技術上達の効果が得られるスポーツ活動が. (57.1%)と回答に開きが見られた。「C.対人関. 行われていないため,遠くの活動場所まで移動し. 係の成長」で,ボランティア群11名(52.4%),ボ. ていることが推察される。. ランティア以外群3名(42.9%)と開きが見られ た。「E.自信へのつながり」で,ボランティア 71.4. H.余暇の楽しさの理解. 複数群. 64.3. G.技術上達. 単独群. 64.3. 35.7 42.9. F.退屈な時間の減少. 外との活動では参加者の自立や活動に対する自信. 14.3 50.0. D.接触機会の増加. 71.4 50.0. C.対人関係の成長. と開きが見られた。このことから,ボランティア との活動では対人関係が育まれ,ボランティア以. 64.3 21.4. E.自信へのつながり. 群1名(4.8%),ボランティア以外群4名(57.1%). が育っていることが推察される。. 57.1. 35.7. B.貴重な体験. 28.6 28.6. A.自立への意識. 21.4 0. 20. 40. 60. 80. 100. (%). Ⅳ 考 察 1.スポーツ活動における課題. Fig.1 所属団体数による活動効果の比較. 本調査結果では,情報資源は知人からが主であ り,保護者の横のつながりが重要であることが示. 63.6. H.余暇の楽しさの理解. 85.7 72.7. G.技術上達. 42.9. 10km以上群. 36.4. F.退屈な時間の減少. 5km圏内群. 42.9 9.1. E.自信へのつながり. 63.6 71.4. ために,今後はスペシャルオリンピックス等のス. 27.3. C.対人関係の成長. 85.7. ポーツ活動を広めるための広報活動の充実も必要. 9.1. B.貴重な体験. 42.9. であるといえる。. 18.2. A.自立への意識. 28.6 0. 20. る情報は1割程度に留まった。このことから新た な参加者が増加しにくい現状が予想される。その. 28.6. D.接触機会の増加. 唆された。しかし,インターネットや情報誌によ. 40. 60. 80. 100. (%). また,移動形態では「保護者と」が中心であっ た。現状では,公共交通機関に差がみられる北海. Fig.2 移動距離による活動効果の比較. 道において,単独で移動できない知的障害者は保 護者と共に活動場所へ向かうと考えられるが, 「親. 85.7. H.余暇の楽しさの理解. 57.1. 亡き後」を見越すと,移動支援ボランティアの保. 71.4. G.技術上達. 38.1 71.4. F.退屈な時間の減少. 障が必要となる。厚生労働省(2015)によると,北. 42.9 57.1. E.自信へのつながり. 海道での移動支援事業は84.4%の市町村で実施さ. 4.8 57.1. D.接触機会の増加. れており,多くの割合で行われている。しかし本. 52.4 42.9. C.対人関係の成長. 52.4 57.1. B.貴重な体験. 19.0 57.1. A.自立への意識. ボランティア以外群 ボランティア群. が利用されていることは少ない現状が明らかと. 9.5 0. 20. 40. 60. 80. Fig.3 活動相手による活動効果の比較. 調査結果では,スポーツ活動の際に移動支援事業. 100. (%). なった。このことから,スポーツ活動時の移動支 援を充実させることが求められてくるといえる。 さらに,活動効果として「自信へのつながり」. 90.
(8) 成人知的障害者を対象とした休日のスポーツ活動における環境実態調査. の回答が他の回答に比べて少ないことから,ス ポーツ活動が知的障害者の自信になっていること が少ないことが予想された。また,自由記述では 「必要としている支援が得られない」や「内容に. 研究-性別による活動群と非活動群からの比較検討-. 共栄学園短期大学研究紀要,23,111-125. 3)公益財団法人スペシャルオリンピックス日本(2016) ス ペ シ ャ ル オ リ ン ピ ッ ク ス と は.http://www.son. or.jp/about_son/index.html (2016年9月21日).. 明確さがない」などの活動支援に関する記述が挙. 4)厚生労働省(2015)障害者等の移動の支援について.. げられていた。このことから,活動の中で積極的. 5)文部科学省(2007)文部科学白書.. に称賛をしたり,大会への参加を促進したりして. 6)文部科学省(2014)障害者のスポーツ参加における安 全確保に関する調査.. いくなど活動支援の充実が求められるといえる。. 7) 文 部 科 学 省(2016)我 が 国 の 競 技 ス ポ ー ツ.http://. 活動相手による活動効果の比較では,ボラン. www.mext.go.jp/a_menu/sports/athletic/070817.htm. ティア群では「対人関係に成長あり」が多く見ら れるのに対して,ボランティア以外群では「自立 の意識向上」や「自信へのつながり」が多く見ら. (2016年9月21日). 8)内閣府(2011)スポーツ基本法. 9)能村藤一(1996)知的障害者スポーツの現状と展望. 総合リハ,24⑶,275-277.. れた。このことから,活動相手によって,参加者. 10)奥田健次・井上雅彦・松尾英樹(2000)自閉症者の地. にさまざまな活動効果が見られるといえる。その. 域におけるスポーツ活動参加に関する研究-「モーター. ため,ボランティアや家族,友達ら幅広い人たち. スポーツ教室」の実践を通して-.発達心理臨床研究, 7,53-61.. との活動を設定していくことができるように,居. 11)奥住秀之・國分充・北島善夫(2011)知的障害特別支. 住地域のコミュニティやイベント等において,周. 援学校高等部生徒の現在および卒業後の余暇活動.. りの人とのつながりを増やすことや学校卒業前か. SNEジャーナル,17⑴,161-173.. らの居住地での交流等が求められる。. 12)R.L. シャーロック(2000)クオリティ・オブ・ライフ (QOL)-その概念化,測定,適用-.発達障害研究, 24⑵,106-120.. 2.地域におけるスポーツ活動の在り方 本調査結果では公共施設でボランティアと共に. 13)菅野敦(2006)知的障害の成人期理解と生涯発達支援. 発達障害研究,28⑶,183-192.. する活動が多い傾向がみられた。そのため,地域 におけるスポーツ活動の在り方としては,公共施. 謝 辞. 設のみならず学校等と連携して自宅付近で行うこ とができる活動や同年代の仲間やボランティアな. 調査の実施に際してスペシャルオリンピックス. ど幅広い人とのかかわりがある活動が求められて. 日本・北海道に参加するアスリートの保護者の皆. いるといえる。. 様に協力を得た。記して感謝申し上げます。. 参加者である子どもは活動に対して積極的であ るという回答が多くみられたことからも,競技ス. 付 記. ポーツ,生涯スポーツの両側面を備えた参加者の スポーツ活動保障は重要である。. 本研究の一部は,日本特殊教育学会第54回大会 において発表した。. 文 献 1)石黒久美子・中村攻・木下勇(1999)知的障害者の余. (鈴木 洸平 函館校 大学院生) (細谷 一博 函館校 准教授) . 暇生活環境整備に関する基礎的研究-知的障害者の余 暇生活行動の実態把握とその規定要因の分析-.千葉 大園学報,53,39-45. 2)金子勝司・南條正人(2007)知的障害児(者)のスポー ツ・レクリエーション活動と生活の質(QOL)に関する. 91.
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