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大気環境センサーとしての銅板の腐食過程に関する電気化学的研究:周波数時間微分水晶振動子マイクロバランス法の開発と応用

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Academic year: 2021

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(1)大気環境センサーとしての銅板の腐食過程に関する電気化学的研究 ∼周波数時間微分水晶振動子マイクロバランス法の開発と応用∼    教科・領域教育学専攻 生活・健康・総合内容系コース.      M08226C      高 木  健 大. 1.はじめに. れらの汚染過程を追跡することができると考え.  大気汚染,酸性雨は地球環境問題として世界的. られる。しかし,このような大気環境センサーと. に注目されている。自然系化学研究室では,降水. して銅板の腐食過程を利用するには,降水に含ま. 中と大気中の酸性・塩基性汚染物質の分析,酸性. れる物質や大気中のH202のような,酸化剤と銅. 雨の河川への影響,大気中に曝露した銅板の腐食. 板腐食の関係を充分に知る必要がある。そこで本. に与える環境因子などの調査を行ってきた。. 研究では,Cr,H202,Cu2+を含む水溶液系に電.  周(2010)は大気中に曝露した銅板の腐食量の. 気化学的測定と水晶振動子マイクロバランス法. 季節変化と気温,降水量,降水中のイオンの濃度. (以下,QCM法)を組み合わせた方法を用いて,. の関係を調査した。この研究で,海塩起源のC1‘濃. C1.,H202が銅板の腐食過程に与える影響につい. 度と銅板の腐食量のデータから,銅板表面にでき. て検討した。. た酸化被膜がCrの存在によって銅・塩化物錯体. 2.方法. を形成し,銅板の酸化被膜が溶出している可能性.  電解液の中では,銅のような金属イオンは様々. があることを指摘した。. な電析反応を示す。このため,電解液中で生じる.  西村(2010)は自ら開発した人工気象室で大気. 電極反応を分析することが難しい場合がある。一. 組成や水分環境などの実験条件を外的に制御し,. 般的に電気化学測定法では電位と電流を測定す. 銅板の腐食を促進する環境条件について調査し. るが,QCM法による測定を行えば電析に伴う電. た。この研究で,H+と酸化剤(0Hラジカルや. 極上の質量変化を知ることができる。そこで,久. H202など)が鋼板の腐食に影響している可能性. 保(2009)は水晶振動子の周波数時間微分によっ. を報告した。これは,銅板の腐食にはpHのみな. て,電析など電極の質量変化と関係する電流の寄. らず酸化剤の存在が必要であることを示唆して. 与を評価できることに着目し,周波数時間微分. いる。. QCM法を開発した。ここで,その比例係数には,.  大気環境汚染の現状と原因を調査するために. 電極反応に関わる物質のグラム当量が含まれる。. は大気環境を定常的にモニタリングする必要が. そこで,本研究ではこの方法に改良を加え,得ら. ある。水晶振動子上に銅をメッキしておき,降水. れた比例係数を統計学的に分析することにより,. 中,大気中の汚染物質が銅に与える周波数の変化. 反応に関与した化合物のグラム当量を求めるプ. を計測することによって,これまでの鋼板を用い. ログラムを作成した。この方法によって,ある電. た曝露実験よりもリアルタイムにかつ簡単にこ. 位でどのような電極反応が生じているかを追跡. 一380一.

(2) することが可能となり,従来では分析することが. いる。同様に,α.の濃度が大きくなるにつれて. 難しかったような電極反応も特定化することが. CuがCuC1になる電流ピーク電位も負側にシフ. できるようになった。このプログラムを用いて以. トしていった。これは,電解液中に含まれるCrの. 下の組成の電解液に対して電位・電流曲線と電位・. 濃度が増加するに従ってCuC1の沈殿が生じやす. 周波数曲線を測定した。. くなっていることを示している。. 5mM CuS04+O.1M Na2S04+0.05M H2S04+X.  さらに,この結果に周波数時間微分QCM法を.  X:0,001MH202,0,01MH202,O,1MH202,0MLiC1,. 用いて分析するとX:0,001M LiC1ではCu⇒.   O.001M LiCl,0.01M LiC1,O.1M LiC1,1M LiC1. Cu2+の反応が,X:0.01MLiC1,0.1Mでは酸化. 反応としてCu→CuIC1⇒圧Cu皿C1J皿一2のよ 3.結果・者寮. うな反応が,X=1M I・iC1では酸化反応として. 3.1H202を含むCu!Cu2+イオン水溶液系. Cu⇒[CuIC1皿]皿I1⇒工CunC1J・’2のような反.  電解液中にH202が含まれるか,含まれないか. 応が生じていることがわかった。ここで,CuIC1. に関わらず,還元・酸化範囲ともにCu2+が関わ. は電極に析出する難溶性の塩で,[Cu−C1J・・iは溶. る反応が生じた。しかし,電解液に含まれるH202. 液に溶解する銅の塩化物錯体と考えられる。これ. の濃度が大きくなると,酸化ピークにおける電流. より,C1.濃度が大きくなると,Cu+がC1.と難. ・電圧曲線の底辺でH202の還元電流が増加した. 溶性の塩あるいは錯体を形成し水溶液中で安定. (図1)。これは,Cuよりも還元されやすいH202. に存在できるようになるため,Cuがより低い電. が酸化剤として作用して,電極に析出した銅を酸. 位で酸化されやすくなったと考えられる。. 化・溶出させていると考えられる。つまり,電解.        コl Cu+2側IブCuC1!十2e−  C皿⑩〕一→CuOl). 液にH202が含まれると,銅が電気化学的に酸化.     i500                 3)C皿十α’一→9蝦十e・. されやすくなり,電極上に析出した銅もH202に より化学的に酸化されていることがわかった。.     2000出馬…1一一…一…1     ・㎜    ’・!一 1C・⑱→C・⑪    言 。。。         1    二        {    l      o           l     ・500               4)則→Cu!’十9ユ.十e一.  :ooo      ………“1…皿1.     {OOO        ⊥一              Cu(D→Cu⑫.  枷           1.       州刈.5如一αlO.1σ3征50.τ.  欄。             ; 雪 脳.         !E”、〃榊川  11,CuC1里十2e・→Cu+Q’.   o.    C皿(卿一一C也(O).  一冊            1.     図2:分析結果の例X:0.01MLiC1.  −1㎜」       一一一1」1   .O.了一〇,5−O.341 0−1 0.3 匝曇 O.7 0.7−O、臣一〇.3−O.l O.1 0−3 町5 0.7.      脾帖、^8’^画一’V         ㌍、佗.^8’^8〔ll’u. 4.まとめ.        図1:電流・電圧曲線.  周波数時間微分QCM法によって,電流・電圧曲.    佐)X=O.001MH202,(右)X=O.1MH202. 線の各酸化・還元ピークの電極反応が容易に同定. 3.2 LiC1を含むC㎜’Cu2・イオン水溶液系. できるようになった。本研究では,この方法を用.  電解液に含まれるC1・の濃度が大きくなるに従. いて,H202,C1一が大気中に曝露した鋼板の腐食. って酸化電流ピークが2つに分かれ,酸化ピーク. を促進していることを電気化学的に確認した。. 電位が負側にシフトした。これは,電解液に大量 のC1・が存在することで電極上の銅がより負の電. 主任指導教員福岡光完. 位でも酸化されやすくなっていることを示して. 指導教員  尾關 徹. 一381■.

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