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特集 : 日常診療でみられる精神症状と心身症 : 巻頭言

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特 集:日常診療でみられる精神症状と心身症

【巻頭言】

(徳島大学神経精神医学教室)

(徳島県精神保健福祉協会) 精神疾患はまれなものではなく,実は頻度の 高い病気である。人口のおよそ1%の人が精神 分裂病を発症し,およそ10%の人が一生のうち 一度は病的うつ状態に陥ると言われている。神 経症やストレス関連で生ずる軽度の精神疾患や 老年期の痴呆を合わせると,精神疾患は誰もが 陥るありふれた病気とみなければならない。 精神疾患は様々な身体的な愁訴を通して表現 されることがあり,また心身相関メカニズムに よって様々な身体的な症状を出現させることが ある。したがってプライマリーケア場面におい てこれらの症状に遭遇することは日常的なこと である。実際,世界保健機構(WHO)による最 近の調査は,一般病院各科を受診するもののう ち20数%までが何らかの精神的問題を抱えてい ることを明らかにしている。 したがって,日常診療においてみられる精神 症状や心身症に適切に対応することは現在の急 務であり,21世紀の医療福祉において一層重要 性を帯びる課題かと思われる。本企画において は,次の5つのテーマを取り上げた。 1)小児科でみられる心身症 2)摂食障害 3)軽症うつ病とパニック障害 4)更年期女性にみられる精神神経症状 5)痴呆の基本的な診かた 幸い,それぞれの分野において精力的に診療 や研究に携わっておられる5人の先生方が演者 を務めて下さった。演題順に,二宮恒夫先生(徳 島大学医療技術短大),宮内和瑞子先生(宮内ク リニック),井上和臣先生(鳴門教育大学),安 井敏之先生(徳島大学医学部産婦人科学)およ び大塚智丈先生(高瀬町立西香川病院精神科) である。時間の制約のなか,手際よく解説して いただいた先生方に心から感謝申し上げる。 演題は,1)から5)の順に,小 児 期,思 春 期,成人期,更年期,老年期とおおまかにライ フサイクルをカバーしたつもりである。しかし, 各年代においてみられる精神症状と心身症は, それらに限るわけではなく,取り上げることの できなかった重要な問題がいくつも思い浮かぶ。 たとえば,癌の治療過程で生ずる様々な精神身 体的問題,ターミナルケアに伴う心理的問題, 慢性疼痛,アルコール関連障害,代謝性疾患や 内分泌疾患に伴ってみられる精神症状,脳神経 疾患に伴う精神症状,リハビリテーションに伴 う心理的問題などである。このほかにも臨床各 領域にはそれぞれに固有の心身医学的疾患が存 在すると思われる。精神科サイドからみても, 他科と連携するリエゾン精神医療は今後発展さ せなければならない大切な領域であり,各科の お役に立てるよう努力する所存である。 本企画がひとつのきっかけとなり,より多く の先生方が精神症状と心身症に関する診療にこ れまでにも増して関心を寄せられ,身体のみな らず心の病にも苦しむ方々の治療が一層発展す ることを念願する。 四国医誌 56巻2号 29 APRIL25,2000(平12) 29

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