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宇都宮のまちなかマンション居住者の特性について

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宇都宮のまちなかマンション居住者の特性について

A Survey of the Residents living in the Apartments in the Central Area of Utsunomiya City

山 島 哲 夫

キーワード:まちなかマンション 世帯属性 転居理由 居住予定 住環境の評価  まちなかに必要な機能 目  次 0. はじめに 1. アンケート調査について 2. 居住者の属性 1) 世帯主年齢・性別 2) 世帯人員・世帯構成 3) 世帯主の職業 4) 勤務先、通勤手段と通勤時間 5) 自家用車保有状況 3. 現住宅と従前の住宅 1) 現住宅の状況 2) 従前住宅の建て方と所有形態 3) 従前住宅の所在地 4. 転居理由について 5. 居住予定等 6. 居住者の属性のまとめ 7. 住環境の評価について 8. まちなかに居住するために必要な機能について 9. 住まいの環境・必要な機能とまちなか居住

0.はじめに

本稿は、宇都宮市のうつのみや市政研究センターと共同で行った調査をもとに、宇都 宮市のまちなかにあるマンション居住者の特性について分析したものである。多くの地 方都市において、まちなか居住を進めるための取組みが展開されており、そのための制 度も用意されている1。しかし、一方で、まちなかのマンション等に居住する世帯につ いては定性的な分析が多く、その特性が必ずしも把握されているとは言えない。市区町

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村別のデータ等によるマクロ的な分析は行われても、まちなかのマンションに転居して くる世帯の特性についての分析は十分ではない。まちなか居住を効果的に進めていくた めには、その前提として、まちなかに転居してくる世帯が何を求め、まちなかの住環境 をどのように評価しているかを確認する作業が不可欠である。 これまでに、青森市を対象にまちなかのマンション居住者の特性を分析した研究があ る2。しかし、宇都宮市と青森市とでは、都市の形状、規模等が異なっており、宇都宮 市のまちなか居住を検討するためには、宇都宮市独自の調査が必要であり、また、最新 のデータを把握する必要がある。今回実施したアンケート調査では、質問項目や選択肢 をできるだけ細分化し多様な内容を把握できるように工夫しており、さらに、調査対象 マンションごとの属性の違いによる分析も可能になるよう調査を設計した3。これによ り、宇都宮市のまちなかにあるマンション居住者の属性、意向等をある程度明らかにで きたと考える。 まちなか居住は、いわゆる「都心居住」と同じ問題と考えられることが多い。そのた め、地方都市における「まちなか居住」に対しても、都市型の高層(あるいは超高層) マンションを供給すること(およびそのための容積率緩和等)が、まちなか居住を推進 することにつながると考えられている。都心の業務地化に伴って排除(push out)され た住宅機能を、地価の下落等による高層住宅等の供給によって再び都心に呼び戻す(都 心回帰)ことが都心居住の課題である。これに対し、まちなか居住で問題にしているの は、まちなかが業務地化して住宅機能が郊外に移ったのではなく、より良い住空間を求 めて郊外の住宅地へ居住者が移転(pull in)したこと等に伴いまちなかの住宅機能が減 少し、空洞化が進んだことである。まちなか居住を進めるためには、まちなかに住む魅 力の回復が不可欠なのである(この点に関しては、別稿で論じている4)。

1. アンケート調査について

アンケート調査は、対象となる各戸の郵便ポストにアンケート用紙を投函し、郵送で 回収する方式を採用した。アンケート用紙の配布は2011年1月14日に行い、2月中に返送 されてきたものを分析対象とした。 <アンケート調査の対象> アンケート調査の対象とした分譲マンションは、9棟629戸である。アンケート回収数 は282通、回収率は44.8%で、この種の調査では比較的良い回収率である。 調査対象の9棟のマンションは、次の条件で選定した。 ①比較的規模の大きい分譲のマンションであること ②アンケート票が各戸へ配布可能であること ③供用開始から年数が経過していないものと、入居から5年程度経過しているものを 両方対象にすること

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この条件を前提に、JR宇都宮駅の東西のバランスを考慮して選定した。対象とした マンションごとのアンケート票の配布状況と回収状況は表−1のとおりである。このう ち、1、2、3、5、6、9番の6棟は平成20年以降に入居が開始されており、この6棟につい て独自の集計を行う場合がある。以下、これら6棟のマンションを「H20マンション」 と一括して略記することがある。

2. 居住者の属性

まちなかのマンション居住者の属性として、世帯主の年齢、性別、勤務状況、世帯構 成及び世帯人員等について調査した。なお、本アンケート調査では、世帯主の立場での 回答を求めている。そのため、世帯主以外の世帯構成員の状況を把握することができず、 一世帯で複数の人が働いている場合でも、世帯主に関する情報しか得られないという制 約があることをあらかじめ指摘しておく。 1) 世帯主年齢・性別

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世帯主の平均年齢は、男46.25歳、女48.41歳、全体では46.82歳である。女性の方が少 し年齢が高い。世帯主の性別、年齢別の世帯数は表―1のとおりである(なお、年齢不 詳の2世帯を除いてある)。 このうち、H20マンション6棟を抜き出して、世帯主年齢別の世帯数を図―2に示した。 H20マンションでは、男性世帯主の平均年齢は45.34歳、女性世帯主の平均年齢は47.27歳、 全体の平均年齢は45.87歳である。 世帯主の年齢でみると、マンション入居者には大きく2つの山があることが確認でき る。H20マンション6棟では、60∼64歳の山が少し小さくなっているが、おおむね全体 と同様の傾向を示している。 図−2でみると、全体としては30∼39歳のところで最も多く、50∼59歳で減少し60∼ 64歳で小さな山が現れている。図−1の60∼64歳の山が図−2より大きくなっているが、 これは、入居開始後5年以上経過しているマンションが含まれており、入居後に年齢が 上昇した分が加算されているためである。H20マンションでは、現在の年齢と入居時の 年齢に大きな差がないと考えられるので、以下では、入居時の年齢と関係するものにつ いてはH20マンションを取り出して分析することとする。 まちなかのマンションに入居する世帯は、世帯主年齢が30∼39歳で最も多く、40歳代 から50歳代にかけて減少し、60∼64歳でまた増加している。従来、持ち家取得は30代半 ばに子育ての関連で行われると考えられていたが、このグラフからもその点を確認でき る。しかし一方で、60歳代でまちなかのマンションを購入する世帯も多い。 図−2のグラフからは、男性が世帯主の場合と女性が世帯主の場合とで顕著な差があ ることも確認できる。H20マンションでは、女性が世帯主の場合に最も多い年齢層は40 ∼44歳(全調査対象では45∼49歳)で、男性が世帯主の場合とピークがずれている。さ らに、45歳以上の層でも男性と比べて女性の方の比率が相対的に高い。男性は、30歳代

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で結婚や子育てを契機に転居してくる世帯が多いのに対し、女性が世帯主の場合は30代 後半から40代にかけてと50代後半以降の年齢層の比率が高く、結婚や子育てとは異なる 要因で転居してきていることが推測される。ちなみに女性が世帯主の場合、1人世帯と 母子家庭等で78%を占めている。 2) 世帯人員・世帯構成 世帯人員は2人世帯が最も多く37.6%を占め、次いで1人世帯が25.2%、3人世帯が 23.0%で、4人以上の世帯は少ない。全体の平均は、2.38人である。H20マンションに限 ると2.16人になり、さらに少なくなる。しかし、平成21年12月末の宇都宮市の平均世帯 人員は2.43人であるので、調査対象としたまちなかマンション全体では、宇都宮市の世 帯人員と大きな開きはない。 年齢別の世帯人員を見ると、45∼49歳と55∼59歳 で1人世帯の割合が高い。特に55∼59歳では1人世帯 が半数を超える。それに対して、60歳以上では2人世 帯(夫婦のみの世帯がほとんど占める)が非常に多 くなっている。3人以上の核家族世帯は50歳未満の世 帯で多く、40歳代前半では、4人以上の世帯も高い比 率を占めている。これは、H20マンションに限って みてもほとんど同じ傾向にある。 これらのことから、宇都宮のまちなかマンション には、30代の子育て世帯が転居してくるとともに、 60歳以上の夫婦のみ世帯も転居してきていることを確認することができる。 このことは、年齢別の世帯構成からも確認できる。若年世帯では、1人世帯は少なく 夫婦と子どもよりなるいわゆる標準家族が多く、高年齢層では1人世帯と夫婦のみの世 帯が多くなる。65歳以上の世帯では夫婦のみの世帯の比率が最も高い。

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世帯主の男女別世帯人員は表−3のとおりである。平均世帯人員は3.08人(男)と1.65 人(女)で、男女で約2倍の開きがある。男性が世帯主の場合2人世帯が最も多い (41.1%)のに対して、女性が世帯主の場合は57.3%が1人世帯である。男性が世帯主の場 合、子育て世帯と考えられる3人以上の世帯が45.4%で、1人世帯の比率は非常に少ない (13.5%)。女性が世帯主の場合は、3人以上の世帯はわずかにとどまっており(13.5%)、 ほとんどが2人以下の世帯である。 3) 世帯主の職業 世帯主の職業は「正規の職員・従業員」が68.6%と最も多い。まちなかのマンション 居住者の多くはいわゆるサラリーマン世帯であるといえる。「会社などの役員」「自営業」

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「派遣・パート・アルバイト」がほぼ同数の6∼7%で「正規の職員等」と比較すると非 常に少ない。また、「無職」の世帯は全体の12.1%で、当然のことながら高齢世帯で高い 比率を占めている。男女別の世帯主の職業は図‐8のような状況になっている。 男性の場合は、派遣、パート、アルバイトなどは極端に少なく、常勤の職業について いる比率が極めて高い。それに対して、女性が世帯主の世帯では、「正規の職員等」は 56.8%にとどまり、「派遣・パート等」が21.6%になっている。まちなかのマンションに 居住する世帯は、男性が世帯主の場合と女性が世帯主の場合とでは大きく異なっている ことが確認できる。 派遣、パート、アルバイトなどが全体的に少ないが、これは、このアンケート調査が 世帯主を対象に行っているためである。夫婦のみ世帯などでは、共稼ぎの世帯が多いと 考えられることから、まちなかのマンションに居住している人々の中に、常勤でない従 業者数は多数存在している可能性があり、常勤でない従業者の比率はもっと高いと考え るべきである。 4) 勤務先、通勤手段と通勤時間 ○勤務先の所在地 勤務先は、宇都宮市内が非常に高い比率を占めている。勤務先の所在地を記入してい るもののうち、宇都宮市内が153世帯あり、全体の61.7%になる。栃木県内の他の市が 28.2%で、栃木県外が10.1%である。勤務先は、マンションの所在地の違いにより異なる 傾向がみられる。宇都宮駅の西側の5棟のマンションと東側の4棟のマンションとに分け て勤務先の所在地を示す(図―9)。 全体としては、本庁地区内に勤務している世帯と県内の他市に勤務している世帯が多

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い。しかし、駅の東西でみると、駅西のマンションでは本庁地区が40%になっているの に対し、駅東のマンションでは逆に栃木県内の他市に勤務している世帯が40%近くに達 し本庁地区に勤務する世帯より多くなっている。 市外の勤務先は、芳賀が28(11.3%)、東京が17(6.9%)、鹿沼が12(4.8%)、高根沢 が8(3.2%)、矢板が5(2.0%)などとなっており、東京以外は栃木県内の工業団地など が存在する地域に集中している。駅東のマンション居住者は、このうち芳賀に16世帯 (18.6%)が勤務しており、その比率が突出している。一方鹿沼に勤務している9世帯の うち駅東のマンションに居住しているのは3世帯で、鹿沼に勤務している比率は駅西側 のマンションの方が高い。さらに、市内の東側に位置する清原地区などに勤務している 世帯も駅東のマンションでは12世帯(14.0%)に及ぶ。マンションを購入する場合、勤 務先を考慮することは当然に予想される。駅東側のマンションでは3分の1(32.6%)の 世帯が清原地区などの市内(東)の地区や芳賀地区に勤務していることは、勤務地がマ ンションを選ぶ際に影響を与えたことを示している。 ○通勤時間と通勤手段 通勤時間は、15分以内が37.2%で、30分以内を合わせると全体の61.1%になる。まちな かのマンションの利点は、勤務地に近いことであるといわれており、いわば当然ではあ るが、実際に、まちなかのマンション居住者の通勤時間は短いことが確認できる。一方、 通勤時間が1時間を超える30世帯のうち24世帯は県外(東京など)に勤務する世帯であ る。 通勤時間は駅西のマンションの方が、駅東のマンションよりも短い。これは、駅西の マンションでは本庁地区に勤務する世帯が多く、東側のマンションでは東の工業団地な どに勤務する世帯が多いためである。逆に、東京等に勤務する割合は西側のマンション の方の比率が少し高くなっている。なお、このグラフは、世帯主の通勤時間を示してお

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り、世帯主以外の通勤時間は示されていない。世帯主以外に通勤している者がいること は当然考えられるが、世帯主の通勤時間より極端に長い通勤時間はあまり考えにくいこ とから、まちなかマンション居住者全体でみても、通勤時間は短いと思われる。 通勤手段をみると、世帯主が自家用車で通勤する世帯が半数強を占め、最も多い。し かし、一方で、通勤手段が徒歩のみが15%、自転車が11%いることも注目に値する。宇 都宮市内居住者の通勤手段としての自家用車の比率はわからないが、自家用車通勤者が 約半数という状況は、宇都宮市の平均を大きく下回っていることが予想される。徒歩や 自転車の比率も非常に高い。なお、この通勤手段は、世帯主に限った数字である。まち なかマンションの自家用車の所有台数が少ないことから、世帯主以外の通勤者も含める と、通勤手段としての自家用車の比率はさらに下がるものと考えられる。 1時間超の通勤時間の人は、東京などへ鉄道で通勤している場合が多く、1時間超のう ち5分の4の世帯は鉄道を利用している。徒歩のみの人は、そのほとんどが15分以内にな っており、居住しているマンションの近くの勤務先に勤めていることが分かる。自転車

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のみの場合も15分以内が大半である。自家用車利用の場合は1時間を超える世帯は少な いものの、30分を超える世帯は40.5%ある。鉄道利用を除いた30分を超える通勤時間の 世帯(68世帯)に対する自家用車利用の比率は75%であり、自宅から離れた勤務先に通 勤する場合は、自家用車利用の比率が高くなる。 5) 自家用車保有状況 自家用車の平均所有台数は1.26台/世帯である。1台所有している世帯が180世帯 (63.8%)で最も多く、2台所有している世帯は83世帯(29.4%)にとどまる。また、1台 も所有していない世帯も15世帯ある。これに対して、転居前の住宅における自家用車の 所有台数は、平均で1.63台となっており、1台所有が44.2%、2台が43.4%で1台所有と2台 所有がほぼ同数である。 さらに、前住宅の建て方別に所有台数を見ると、戸建て住宅では平均2.05台で、1台が 31.5%、2台が47.9%、3台以上が20.5%であるのに対し、共同住宅では平均1.45台で、所 有していない世帯が5.5%あり、1台所有が49.7%、2台が40.9%、3台以上が3.8%である。 まちなかマンションにおける自家用車の所有台数は、従前住宅における所有台数より 減少しているが、従前住宅が戸建て住宅の場合、特に減少台数が多く、従前住宅が共同 住宅の場合は、減少台数は少ない。共同住宅では、駐車場の確保が戸建て住宅ほど容易 でなく、住宅の建て方によって住宅の所有台数は強い影響を受けていることが分かる。

3. 現住宅と従前の住宅

1) 現住宅の状況 調査対象のマンションは分譲マンションであるが、所有者から賃借している世帯も少 数ながら存在している。借家は20世帯で7.1%である(平成19年以前に供給されたもので は11.0%で、H20マンションでは5.2%)。借家の比率は少ないが、供給されてから年数が 経過するとともに、借家比率が 高まるのが通常であり、宇都宮の まちなかマンションも同様の傾向 にあるといえる。なお、男女別に みると、女性が世帯主の場合は4世 帯しか借家はなく、借家世帯の比 率は5.3%である(男性が世帯主で は7.7%)。また、若年層で借家率が 高い傾向があり、30代前半で最も 比率が高くなっている。

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住宅の広さ(規模)は、70から80未満が最も多く、半数近くのマンションが70台であ る。また、60から90未満までに、89.1%の住戸が含まれている。 住戸の間取り形式としては、70台であれば、マンションの標準的なタイプである 3LDKの間取りとすることが可能である。宇都宮のまちなかマンションの面積分布から は、標準的な間取りタイプの住戸が多いことが推測される。 2)従前住宅の建て方と所有形態 まちなかのマンションに入居してきた世帯の転居前の住宅は借家が多く、住宅の建て 方は共同住宅が非常に多い。借家が175世帯(64.1%)、共同住宅が190世帯(68.6%)で ある。住宅の建て方と所有形態の両方記入しているサンプルのうち、共同住宅の借家は 159世帯(60.7%)を占めている(比率はいずれも記入していないサンプルを除いて計算 している)。 入居時期の年齢と調査時点の年齢が近いH20マンションについて、年齢別に従前の住 宅の所有形態を見ると、非常にはっきりした傾向がみられる。40歳未満の層では、借家 からの転居世帯が大半を占めているのに対し、年齢が上がるとともに持家からの転居世

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帯の比率が高くなり、特に65歳以上では、そのほとんどが持家からの転居世帯である。 さらに、特徴的なこととして40∼49歳までで親などの家から転居してきた世帯の比率が 高くなっている。従来、親などの親族の家に居住しているのは若年者で、それが結婚等 のために親から独立すると考えられていたが、40代になって親の家から独立した世帯が、 宇都宮のまちなかのマンションに相当数いるものと思われる。 従前の住宅が持家である比率は、24.9%(H20マンションでは25.1%)で、全体の4分 の1である。従前の住宅が借家である比率は若年層ほど高いことからも推測されるよう に、残りの4分の3は、そのほとんどが初めての持家購入であると考えられる。宇都宮の まちなかのマンションは持家の一次取得者が多数を占めている。 次に、H20マンションについて、世帯主の性別と従前の住宅の関係を見る(表−5)。 従前住宅が持家の率は男女ともほぼ同じであるが、「借家」と「親などの親族の家」 とでは男女に大きな違いがある。女性の場合、「親などの親族の家」から転居している 割合が非常に高い。図‐15で、40∼49歳までの年代で親族の家から転居してくる割合が 高いことを示したが、これを男女別にみると、男性では同年代のうちの21.7%が親など の家から転居してきたのに対し、女性ではこの年代の37.5%が親族の家から転居してき ている。40代の女性がまちなかのマンションに転居する場合、男性に比べて親などの家 からの転居する割合が高いといえる。 従前の持家については、処分の仕方を記入している世帯が65世帯ある。その内訳は、 売却したものが52.3%、現在も使用しているものが23.1%、人に貸す(又は貸している) ものが16.9%となっており、売却したものが最も多い(売却予定も含めると56.9%)。 3)従前住宅の所在地 現マンションに転居する前の従前の居住地は、下表のような分布である。宇都宮市内 から転居してきた世帯が8割近くあり、そのうち本庁地区内が42%、本庁地区以外の中 央地区を合わせると65%になり、約3分の2の世帯が比較的近くから転居してきている。 駅西のマンションと駅東のマンションの違いは大きくないが、宇都宮市の南地区や西 地区からは駅西のマンションへ転居する比率が高く、東地区からは駅東マンションへ転 居する比率が多少高い傾向がある。 また、従前住宅が戸建て住宅と共同住宅に分けてその所在地を示すと、表−7のよう になる(なお、長屋建ては数が少ないので省略した)。

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従前住宅の建て方別に所在地を見ると、戸建て住宅と共同住宅では大きく異なってい る。共同住宅では82.5%が宇都宮市内であり、半数以上が本庁地区内からの転居世帯で

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ある。それに対して、戸建て住宅では、宇都宮市内の比率が約7割にとどまり、栃木県 内の宇都宮市以外の市町村からの転居者が22.8%にのぼっている。

4. 転居理由について

転居理由としては、11項目(及びその他)の選択肢を設け、該当するもの全てに丸を 記入してもらい、さらに、最も重視した理由を一つだけ記入してもらった。 転居理由としては(図−17)、「バスや電車などの利用しやすさ」「日常の買い物の利 便性」「通勤の利便性」などまちの利便性が良いことが半数以上で選択されている。次 いで、住宅の価格や住宅そのものについて転居の理由としてあげている世帯が3分の1存 在している。

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最も重視した理由でみると(図−18)、「通勤の利便性」が最多で5世帯に1世帯は通勤 の利便性を最も重視した理由にあげている。次いで多いのが、「従前の住宅が満足でき ずより良い住宅に移る」ためであり、「バスや電車の利便性」や「日常の買い物の利便 性」もまちなかマンションへの転居を最も重視した理由とする世帯が多い。「住宅価格 が適当であった」ことも重要な要素であり、「歩いて楽しい通りや商店街がある」「まち のイメージが良い」を最も重視した理由にあげている世帯があることが注目される。一 方、教育環境や病院・福祉施設、治安の良さなどは転居を考える際の重要性は比較的低 い。 図−19は「最も重視した転居理由」として選択された率の高い6項目について、H20マ ンションの年代別の比率をグラフにしたものである。最も重視した理由は、年代により 大きく異なっている。34歳までの若年世帯では通勤の利便性が最も重要であり、買い物 の利便性を最も重視した世帯は少ない。それに対して、65歳以上の高齢世帯では買い物 の利便性を重視して転居した世帯が多い。 35∼39歳では、「良い住宅へ」と「価格が適当」が際立っている。特に、住宅の価格 を重視した世帯の比率が最も高い。従来から持家の一次取得者は、子育てが始まる30代 後半が多いといわれているが、この世代では、通勤の利便性よりも、住宅の価格や住宅 そのものの質(広さ等)を重視する傾向がある。 40歳代前半では、「良い住宅へ」と「通勤の利便性」が相半ばしている。さらに40代 後半になると「良い住宅へ」という理由も大きいが、「通勤の利便性」を重視する世帯 が最も多くなる(3割)。50代の特徴は、「バスや電車の利便性」を重視する世帯が最も 多いことである。60歳以上の世帯では「その他」の理由を最も重視した理由にあげる者 が多い。これは、アンケートで想定していた標準的な11項目の理由ではなく、各人のそ

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れぞれの事情により転居したことを示している。 次に、従前住宅の建て方別(長屋建てを除く)に最も重視した転居理由を比較してみ る。 最も重視した転居理由は、従前の住宅が戸建てであるか共同住宅であるかで大きく異 なっている。「通勤通学の利便性」については、従前住宅の建て方にかかわらず最も重 視されているが、戸建て住宅からの転居では「日常の買い物の利便性」、「バスや電車の 利用しやすさ」といったまちなかの利便性を重視している世帯が多いのに対して、共同 住宅から転居してきた世帯は、「従前の住宅が満足できなかった(より良い住宅へ)」の 比率が高く、また、「住宅の価格が適当であった」も大きな比率を占めている。これは、 従前住宅の所在地が建て方別に大きく異なっている(表−7、図−16)ことの当然の結 果であると考えられるが、一方で、共同住宅(その大半は賃貸の共同住宅)から転居し

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てきた世帯では、住宅自体のレベルアップを求め分譲マンションへ転居する世帯と、住 宅の価格を重視する世帯が多いことも読み取ることができる。

5. 居住予定等

現住宅の今後の居住予定は、以下の表−9のとおりである。ほとんどの世帯が、現在 の住宅に「住み続ける」ことを選択している。転居を考えている世帯は、全体の11%に とどまっている。現住宅が持家の場合は、「永く住み続ける」世帯が6割を超え、転居を 考えている世帯は9.6%である。それに対して、現在借家として居住している世帯では、 「永く住み続ける」ことを考えている世帯は15%しかおらず、転居を考えている世帯が3 割を占めている。 転居を考えている世帯(31世帯)の最も重視した理由のうち「転勤」と「親世帯など との同居」を合わせると42%になる。これらの理由は、住居以外の要因に起因するもの で、現在の住まいの状況を改善するために転居するというものではない。なお、「戸建 て住宅に住みたい」を最も重視した理由にあげた世帯は、6世帯で19%であった。 宇都宮のまちなかのマンションに居住している世帯は、マンションに住み続けようと 考えている比率が高く、共同住宅ではなく戸建ての住宅に住むために転居を考えている 世帯は多くない。

6. 居住者の属性のまとめ

これまでの分析から、宇都宮のまちなかマンションに居住している世帯の属性をまと めてみる。 ①世帯主の平均年齢は46.8歳で、女性が世帯主の場合は若干年齢が高い(48.4歳)。世 帯主の年齢は30歳代が多く、50歳代で減少し、60歳代前半でまた少し増加する。世 帯主の年齢には2つの山が存在している。女性が世帯主の場合は、30代後半と40代 前半で多いが、男性ほどはっきりした山はない。 ②世帯人員は2人世帯が最も多く、1人世帯と3人世帯がそれに次いでいる。4人以上の 世帯は少ない。40代後半と50代後半の世帯で1人世帯が多く、若年世帯では夫婦と 子どもの世帯が、60歳以上では夫婦のみ世帯が多数を占める。女性が世帯主の場合

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は1人世帯が非常に多い。 ③世帯主の職業はいわゆるサラリーマン世帯が多数を占める。しかし、世帯主が女性 の場合は派遣・パート・アルバイトの比率も高い。 ④勤務先の所在地は宇都宮市内が高い比率を占めており、中でも本庁地区の割合が高 い。駅西のマンションでは、本庁地区内が4割を占め一番多いが、駅東のマンショ ンでは本庁地区よりも栃木県内の宇都宮市外に勤務している世帯の割合が大きく、 勤務先として芳賀地区などが目立つ。マンションの立地場所と勤務先の所在地との 関係は十分に認められる。 ⑤通勤時間は一般的に短く、勤務先が居住地に比較的近いことが確認できる。特に駅 西のマンションでは15分以内が高い比率を占めている。通勤手段では自家用車が最 も多いが、その比率は半数程度であり、自家用車を使用しない世帯も多い。 ⑥分譲マンションを調査対象としたこともあり、持家の比率が高く、30代前半で多少 借家が目立つ程度である。住宅の広さは標準的な3LDKタイプが可能な70台が最も 多い。 ⑦従前の住宅は、共同住宅の借家が非常に高い比率を占めている。若年層ほど借家の 比率が高く、60歳以上の場合は持家の比率が高い。また、40代で親族の家から転居 してくる世帯が一定数いるが、女性の場合その比率が男性より高い。 ⑧従前の住宅の所在地は、宇都宮市内が8割近くを占め、なかでも本庁地区と中央地 区及び市内の南側の地区から転居してくる世帯が多い。従前の住宅が共同住宅の場 合は宇都宮市内の比率が高く、かつ、本庁地区からの転居率も半数を超える。一方、 従前住宅が戸建て住宅の場合は、本庁地区からの転居者は比較的少なく、県内の他 の市町村から転居してくる世帯も多い。 ⑨転居理由としては、まちなかの利便性があげられている。最も重視した理由として も、通勤の利便性が最も多いが、年代別に理由は大きく異なっている。若年層では 通勤の利便性が、65歳以上では日常の買い物を最も重視しており、30代後半から40 代にかけては住宅の価格も重要な要素となっている。 ⑩従前住宅が戸建て住宅の場合は利便性を求めて転居してくる世帯が多く、従前住宅 が共同住宅の場合は、利便性に加えて、住宅自体のレベルアップを求めて転居して くる世帯が多い。また、共同住宅からの転居者は住宅の価格を重視する割合が高い。 ⑪マンション居住者の多くは永く住み続ける(あるいは暫くは住み続ける)ことを考 えている。また、転居を考えている世帯も、現在の住まいの状況を改善するため、 という世帯は少ない。

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7. 住環境の評価について

居住しているマンションのまわりの環境について、「満足」「まあ満足」「どちらとも いえない」「やや不満」「非常に不満」の5段階に分けて評価してもらった。 「満足」を2点、「まあ満足」を1点、「やや不満」を−1点、「非常に不満」を−2点と して計算し合計点を回答者数で除して評価点とした。従ってグラフのスコアが1.0以上の 項目は、平均的に「満足」と「まあ満足」の中間にあるということになる。 住まいのまわりの環境は1.05という数値になっており、満足度はかなり高いといえる。 満足度の高い項目は、「市役所・郵便局等の利用のしやすさ」、「バスや電車などの利用 のしやすさ」及び「通勤通学の便利さ」で、これらは1.0を上回る評価となっている。な お、市役所・郵便局等に関しては、今回のアンケート調査の対象となったマンションの うち4棟は市役所に近接した地区に立地しており、これらのマンション居住者から市役 所の利用しやすさについて高い評価が得られたことが影響していると思われる。 比較的に満足度の高い項目としては、「日常の買い物の便利さ」、「住宅の広さ」、「病院、 福祉施設などの利用しやすさ等」である。また、「楽しく歩ける(散策できる)市街地 の存在」、「道路の整備状態の良さ」、「図書館等の文化的施設の利用のしやすさ」、「治安 の良さ」なども比較的満足度は高い。これらに対して、「緑・水辺などの自然とふれあ う可能性」、「町内会・自治会等の地域活動の状況」、「スポーツ活動のしやすさ」、「夜も 安心してまちを楽しむことができる」、「子どもの遊び場・公園の整備状況」に対する満 足度は低くなっている。 まちなかのマンションに入居する理由では、まちなかの便利さが重視されていたが、実

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際に入居してからの評価についても、通勤通学、バスや電車、日常の買い物等の利便性 に関して高い満足度が得られていることが読み取れる。 住まいのまわりの環境については、比較的満足度が高かったが、それぞれの項目と住 まいのまわりの環境全体に対する満足度との関係について検討する。「住まいのまわり の環境全体として」の満足度と、各項目の満足度との相関係数を計算することにより、 どの項目が環境全体の評価に関係しているかを分析した。図−22は、それぞれの項目と 環境全体との相関係数を示したものである。 相関係数を見ると、項目自体の満足度が高いものの満足度と環境全体に対する満足度 との相関はほとんどない。「治安の良さ」や「楽しく歩ける市街地の存在」などは、満 足度としては高くないが、全体の環境評価との相関がある程度認められる。他に「子ど もの遊び場・公園」「日常の買い物の便利さ」「まちの景観」などは統計上有意とまでは 言えないがある程度相関がある。これらの項目は、まち全体の雰囲気に大きく影響する ものであり、これらの項目に満足している人は「住まいのまわりの環境全体として」満 足する傾向があり、逆にこうした項目に満足でない人は「住まいのまわりの環境全体と して」満足しない傾向がある。したがって、環境全体の満足度を上げるためには、まち の雰囲気をつくるこれらの項目の満足度を上げる方策が有効である。 一方、「通勤の利便性」「バス・電車の利便性」「市役所・郵便局等の利便性」などの 利便性については、「住まいのまわりの環境全体として」の評価と全く関係がないこと が分かる。しかし、このことは、利便性がまちなかに不必要であることを示しているの ではない。利便性は、まちなかのマンションに転居する際の重要な要素であり、まちな

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か居住を推進するうえで重視しなければならないのはもちろんである。

8. まちなかに居住するために必要な機能について

まちなかに居住するために必要と思われる機能について、その重要度をきいた。それ ぞれの項目ごとに、「非常に重要」「まあ重要」「どちらともいえない」「あまり重要でな い」「重要でない」の5段階の評価をしてもらった。「非常に重要」を2点、「まあ重要」 を1点、「あまり重要でない」を−1点、「重要でない」を−2点として計算し、項目ごと に合計点をだし、それを回答数で除して、それぞれのスコアとした。 「治安が良い」ことと「日常の買い物が便利である」ことが最も重要な機能であると 考えている。この2項目は、点数が2.0に近く、ほとんどの回答者が「非常に重要」と答 えていることが分かる。これに次いで、「歩道が整備され、交通が安全である」、「公共 交通機関が利用しやすい」が1.5を超えている。選択肢として提示した項目は、一般的に

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好ましい(重要)と考えられるものであり、点数は当然プラスになるが、「近所づきあ い等のコミュニティ活動が充実している」と「文化施設やスポーツ施設等が充実してい る」ことについては点数が1.0未満であり、重要性が低いと考えられている。 図−24は、それぞれの項目ごとに、「非常に重要」から「重要でない」までの評価の 分布を示したものである。 「治安の良さ」と「日常の買い物が便利」については、回答者の4分の3が「非常に重 要」と答えている。「歩道が整備され、交通が安全である」と「公共交通機関などが利 用しやすい」についても、「非常に重要」とする回答者が多い。「医療・福祉施設等が近 くにある、利用しやすい」と「夜も安心してまちを楽しむことができる」、「散策や散歩 に適した道や公園がある」については、「非常に重要」とするものが半数または半数に 満たないが、「まあ重要」まで加えると、高いスコアになる。 これに対して「近所づきあい等のコミュニティ活動が充実している」については、 「非常に重要」とする回答者が1割で「あまり重要でない」「重要でない」との回答者を 下回っている。「非常に重要」と「まあ重要」を加えても半数に届かない。「文化施設や スポーツ施設等が充実している」についても、重要とはしない回答者が3分の1を占めて いる。アンケート調査の対象としたマンションは、建設後あまり時間がたっていないた め、まだ近所づきあいやコミュニティ活動がまだ活発化していないことも考えられるが、 まちなかのマンションに居住している世帯は、コミュニティ活動にあまり期待を持って いないことも伺われる。

9. 住まいの環境・必要な機能とまちなか居住

まちなかのマンションに転居の際に最も重視した理由としては、「通勤の利便性」が 最も多く、「より良い住宅へ」「バスや電車の利便性」「日常の買い物の利便性」が上位 を占めている。一方、「治安の良さ」については、転居理由としてあまり考慮されてお らず、最も重視した理由として取り上げられることが少ない(1.9%)だけでなく、複数 回答でも転居理由としては選択される比率が低い(12.8%)。しかし、「住まいのまわり の環境全体」の満足度と「治安の良さ」に対する満足度は関係しており(相関係数: 0.501)、まちなかに居住するための機能として「治安の良さ」が最も重視されている (スコア:1.721)。 7.住環境の評価についての項で行った相関分析から、住まいのまわりの環境全体とし ての満足度は、まち全体の雰囲気に関連する項目と関係がある程度認められることを述 べた。そこで、現在の住まいのまわりの環境の満足度とまちなかに居住するための機能 としての重要度の認識に関連があるか、類似の項目について相関係数を求めると、日常 の買い物(0.062)と治安の良さ(0.035)については、相関は全くないことが分かる。こ れらの項目は、重要性の認識においてその4分の3が「非常に重要」を選択しているので、

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相関係数の計算自体に意味がないと考えられる。他の項目では、バスや電車の利用のし やすさ(0.216)、病院、福祉施設などの近さ等(0.234)については、現在の住まいのま わりの環境に対する満足度と重要性の認識に若干の関連が認められるが、現状の満足度 と居住に必要な機能の認識との間には相関は認められない。しかし、まちなかにあるこ とが重要とされた機能は、まちなかに居住するイメージとして幅広く共有されている、 あるいは、まちなかはこの様にあって欲しいという人々の期待を反映している、と考え ることは可能である。 次に、いくつかの項目について、転居理由と現在の満足度及びまちなか居住に重要と される機能とを比較してみよう。なお、ここで注意しなければならないのは、今回の調 査対象となった世帯の従前住宅はその8割近くが宇都宮市内にあり、しかも本庁地区内 が最も多いことである。アンケート回答者の多くが、従来からまちなかに居住していた 世帯である点に注意する必要がある。 ○日常の買い物の利便性 日常の買い物については、選択肢の文言は3項目ともほぼ同じである。 転居理由として52.1%が選択し、12.0%の世帯が最も重視した理由にあげている。65歳 以上(H20マンション)の最も重視した転居理由で一番多い項目が日常の買い物の利便 性である。また、まちなか居住に必要な機能のスコアも1.716と非常に高い。しかし、転 居理由にあげる世帯が必ずしも重要性を高く評価しているともいえない(転居理由にあ げた世帯の方が、より高い重要性を指摘しているという傾向は見られない)。 なお、日常の買い物の利便性を最も重視した世帯の現在の満足度を見ると、半数が 「満足」で、残りの半数が「まあ満足」であり、転居の目的は達成されていると考えら れる。 ○公共交通の利便性 公共交通の利便性に関しては、転居理由と住まいのまわりの環境に関しては「バスや 電車などの利用しやすさ」という文言で、まちなかに居住するための機能に関しては 「公共交通機関(鉄道、バス等)などが利用しやすい」という文言で聞いている。 「バスや電車などが利用しやすい」ことを転居の理由にあげている世帯は最も多く、 55.3%に及ぶ。この項目を最も重視した世帯も12.4%にのぼる。最も重視した転居理由で 一番多く選択されている「通勤通学の利便性」(20.3%)も交通の利便性が前提となって いることから、交通の利便性の良さが転居理由になっている世帯が、最も重視した理由 では「バスや電車の利用しやすさ」と「通勤通学の利便性」の2つの項目に分散してい ると考えられる。住まいのまわりの環境に対する満足度でも「バスや電車などの利用の しやすさ」のスコアは1.11で、「通勤通学の利便性」のスコアも1.01と、ともに高い数値 となっている。 交通の利便性を求めてまちなかのマンションに居住している世帯では、住まいのまわ

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りの環境としての「交通の利便性」も高い評価になっている。「通勤通学の利便性」を 最も重視した世帯の62.3%が「満足」しており、「まあ満足」を加えると90.6%になる。 また、「バスや電車などの利用しやすさ」を最も重視した世帯の69.7%が「満足」で、 「まあ満足」を加えると97.0%になる。交通の利便性を求めて転居してきた世帯は、おお むねその目的を達成していると考えることができる。 まちなか居住に必要な機能としての「公共交通機関などの利用のしやすさ」に関して は、そもそも「非常に重要」とする世帯が多く、転居理由との関連を明確にすることは できないが、「バスや電車の利用しやすさ」を最も重視した世帯の78.8%が「非常に重要」 を選択し「まあ重要」を合わせると97.0%に達しており(この値は、全体では60.3%と 91.8%である)、転居理由としてあげた世帯が「公共交通機関などの利便性」をまちなか 居住にとって重要と考える傾向が強いことが認められる。 ○医療福祉施設 「病院、福祉施設などが近い、利用しやすい」ことを転居理由の一つにあげた世帯は 25.5%で約4分の1である。一方、最も重視した理由としてあげた世帯は1.9%にとどまる。 現状の満足度についてもスコアが0.80であり、平均的には「まあ満足」と「どちらとも いえない」の間になる。「医療・福祉施設等が近くにある、利用しやすい」ことをまち なか居住にとって「非常に重要」とする世帯は、全体の約半数であるが、60歳以上では 56.9%で多少比率が高くなり、65歳以上に限ると62.5%となる。高齢層では、医療福祉施 設の重要性は高まる傾向は見られる。 しかし、本調査からは、日常の買い物の利便性や公共交通機関等の利便性に比べると、 医療・福祉施設に対する要望が強いとは言えない。宇都宮市の場合、医療機関などが充 実しており。クルマで比較的容易にアプローチできることが影響している可能性がある。 ○歩いて楽しい通りや商店街の存在 住まいのまわりの環境としては「楽しく歩ける(散策できる)市街地の存在」という 文言で、まちなか居住に必要な機能に関しては「散策や散歩などに適した道や公園があ る」「まちなかの賑わい(楽しいまちなか)の存在」という文言で聞いている。 転居理由として、31.6%の世帯が「歩いて楽しい通りや商店街の存在」を選択してお り、5.6%の世帯が最も重視した転居理由に選んでいる。転居理由の一つとしてあげた世 帯について「散策や散歩などに適した道や公園がある」に関するスコアを計算してみる と、1.45という高い数値となっている(転居理由にあげなかった世帯では1.16)。さらに 「まちなかの賑わい(楽しいまちなか)の存在」に関するスコアでも1.30という数値であ る(転居理由にあげなかった世帯では0.89という低い数値になっている)。転居理由にあ げた世帯では、歩いて楽しいまち、まちなかの賑わいなどの重要性を強く認識している ことは読み取れる。しかし、現状の満足度に関しては転居理由にあげた世帯とそれ以外 の世帯とでは有意な差を認めることはできなかった。

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今回のアンケート調査では、まちなかに居住するために必要な機能とまちなかに転居 してくる理由との関連を明らかにすることも目指したが、これまでの分析で述べたよう に、アンケート結果からは確実な情報を得ることができなかった。どのような機能を整 え、どのようなまちであれば、まちなかへ転居してくるのかについての検討は、他日を 期すこととしたい。 (謝辞)本稿は、宇都宮市のうつのみや市政研究センターと共同で行った調査結果をも とに、筆者が独自にまとめたものです。市政研究センターの丸山浩志係長、宗川忠貴主 任には、研究計画作成の段階から全面的なご協力をいただき、アンケート票の配布回収 等の作業についてもご尽力いただきました。また、本学教授でもある同センターの古池 弘隆所長には様々な面でご配慮いただきました。ここに同センターの関係者並びにアン ケートに回答を寄せていただいた調査対象マンション居住者の皆様に厚く御礼申し上げ ます。 なお、本原稿は、本年2月末に研究成果として宇都宮市に提出したものに、その後得ら れたデータと追加的に行った分析結果等を加えて大幅に修正し再構成したものです(市 の住宅政策に関するアンケート調査結果の分析に関しては、本稿の主題がまちなかのマ ンション居住者の特性を分析することにあるので、ここでは省略しました)。 <アンケートの内容> 問1 最初に,ご記入していただいている方(世帯主)の属性についてお伺いします。 (1)性別 1.男 2.女 (2)年齢( )才 (3)職業 1.正規の職員・従業員  2.派遣社員  3.パート,アルバイト等 4.会社な どの役員 5.自営業 6.学生 7.無職  8.その他( ) (4)勤務地(又は通学地)の所在地 ( 県   市   町) (5)勤務地(又は通学地)までの所要時間 1.15分以内  2.30分以内  3 45分以内  4. 1時間以内  5. 1時間超 (6)勤務地(又は通学地)までの交通手段 1.徒歩のみ 2.自転車 3.バス 4.鉄道 5.バスと鉄道 6.自家用車 7.オートバイ 8.その他( ) 問2 家族構成等についてお伺いします。 (1)世帯人員 ( )人 (2)世帯構成 1.一人世帯 2.夫婦のみ世帯 3.夫婦と子ども世帯 4.夫婦との世帯 5.その他世帯(母子家庭など) (3)現住居へ転居する前の住まいに住んでおられた世帯人員 ( )人 問3 自家用車の所有状況についてお伺いします。 現在の住まいに自家用車は何台ありますか( )台 これまでの住まいでは家族全体で何台の自家用車をお持ちでしたか( )台 問4 現在の住まいと転居前の住まいについてお伺いします。 (1)現在の住まいの所有形態 1.持家 2.借家 (2)現在の住まいのある( )

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階 (3)現在の住まいの広さ 1.20㎡未満 2.20㎡∼40㎡未満 3.40㎡∼60㎡未満 4.60㎡∼70㎡未満 5.70㎡∼ 80㎡未満 6.80㎡∼90㎡未満 7.90㎡∼100㎡未満 8.100㎡以上 (4)従前(転居前)の住まいの所在地( 県   市   町) (5)従前の住まいの所有形態等 (建て方) 1.戸建て 2.共同住宅 3.長屋建て (所有形態) 1.持家  2.借家 3.親などの親族の家 (6)従前の住まいをどうされましたか(従前の住まいが持家の方) 1.売却した 2.売却を予定している 3.現在も使用している 4.これから使用す る可能性がある 5.人に貸す(又は貸している) 6.検討中 7.売却を考えてい るがその可能性が低い(売却が困難) 問5 現住宅に転居した理由は何ですか。(該当するもの全てに○をつけてください) 1.通勤通学に便利(行きやすい,近い) 2.日常の買い物が便利(行きやすい, 近い) 3.病院,福祉施設などが近い,利用しやすい 4.バスや電車などが利用 しやすい 5.歩いて楽しい通りや商店街がある 6.図書館等の文化的施設が利用しやすい 7.従前の住宅が満足できなかった(より良い住宅へ) 8.住宅の価格が適当であ った 9.子どもの教育環境が良い(いい学校がある,塾などに近いなど) 10.ま ち(住所地)のイメージが良い 11.周辺の治安が良い 12.その他( ) 以上のうち最も重視した理由の番号をひとつだけお答えください。( ) 問6 現在の住まいのまわりの環境についてどの程度満足しているか,お伺いします。 (項目ごとに該当する番号に○をつけてください)。

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問7 現在の住まいにいつまで居住される予定かお伺いします。 1.永く住み続ける予定である 2. 暫くは住み続ける予定である 3.いずれ転居 したい 4.近く転居する予定である 問8 問7で3または4に○をつけた方にお伺いします。転居を考えている理由は何ですか。 (該当するものを3つまで○をつけてください) 1.戸建住宅に住みたい 2.転勤や勤務地(通学地)が変わる 3.親世帯や子世帯 と同居・近居 4.まちなかより郊外部の方が暮らしやすい 5.よりよい住まいに 移りたい(住まいの規模・設備など) 6.住居費を節約したい 7.自家用車が利 用しにくい(駐車場が遠い,乗り入れしにくいなど) 8.まわりの環境が良く ない 9.子どもにとっての教育環境の改善 10.その他( ) 以上のうち最も重視している理由の番号をひとつだけお答えください。( ) 問9 次に,全ての方にお伺いします。まちなかに居住するためには,何が重要(どの ような機能が必要)と考えられますか。該当する番号に○をつけてください。 問10 最後に,まちなかへの居住を進めるために,市の住宅政策として何が重要と考え られますか。(該当するものを3つまで○をつけてください) 1. 持ち家取得(購入)に対する支援(補助金や借入金に対する利子補給など) 2. まちなかにある中古マンションや既存の住宅をリフォームすることに対す る支援(補助金や借入金に対する利子補給など) 3. オフィスなど住宅以外の建物を一般居住用にリフォームすることに対する 支援(補助金や借入金に対する利子補給など) 4. 既存の空き家への住み替え支援(取得に対する補助,情報提供など) 5. 民間賃貸住宅への入居に対する支援(補助など) 6. まちなか居住に関連する情報の提供 7. 共同住宅建設に対する事業者への支援 8. 賃貸住宅建設に対する事業者への支援 9. その他( )

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1 宇都宮市には、若年夫婦世帯家賃補助制度が設けられており、中心市街地にある民間賃貸住宅へ転居してく る40歳未満の若年夫婦世帯を対象に、一定期間家賃の補助を行っている。 2 北原啓司『地方都市における街なか居住の実態と政策課題について』都市住宅学55号2006年10月。青森市の まちなかのマンション居住者の属性と転居理由等についてアンケート調査結果をもとに分析している。少 し前の調査になるが、阿部周平他「地方都市中心部における中高層共同住宅とその居住者の実態把握に関 する研究−長岡市とケーススタディとして」日本都市計画学会都市計画論文集38-1、2003年4月などもある。 3 参考までに、本稿の最後にアンケート内容について文章を変えずに掲載した(アンケート用紙の配置等は変 更している)。 4 山島哲夫『街なか居住を考えるー都心居住と街なか居住』宇都宮まちづくり論集(Ⅴ)うつのみや市政研究セ ンター、2009年1月  5 市内の区分は、市内(本庁)は本庁地区、市内(中央除本庁)は宝木、陽南、豊郷地区、市内(東)は平石、 清原、瑞穂野地区、市内(西)は国本、冨屋、篠井、城山地区、市内(南)は横川、姿川、雀宮地区であ る。なお、宇都宮市とだけ記入し町名が無記入のものは市内(不明)とし、宇都宮市内全体の票数をカウ ントする場合は参入している。 6自家用車を含む2種類の交通手段を利用している場合には自家用車にカウントした。バスと自転車またはオ ートバイ等の利用の場合はバスにカウントし、自転車と鉄道については鉄道にカウントした。従って、自 転車やオートバイを使用しているものは、グラフの数値より多少多くなる。

参照

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