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第33回山梨医科大学CPC記録:ベーチェット病の既往を持ち,脳,眼球,腎,消化器に多彩な病変を呈した1例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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症例提示 羽田真朗助手(外科学 2) 症例:T.Y. 66 歳,男性。(ID 000-226-8,AN1294) 主訴:吐血 現病歴: 1998 年 12 月 5 日 吐血。他院入院し緊急内 視鏡検査にて胃角部の潰瘍よりの出血と診断 され,クリッピング術施行された。 1998 年 12 月 6 日 再度吐血し,ショック状 態となり紹介され当科に加療目的で緊急入院 となった。 既往歴: 1978 年 緑内障疼痛にて左眼球摘出術をう けた。(他院) 1983 年 右眼底出血,ブドウ膜炎にて当院 入院す。 1985 年 ベーチェット病と診断される。 1996 年 右眼失明。胸痛発作出現。狭心症 と診断された。 1997 年 狭心症,陳旧性心筋梗塞にて当院 入院した。胃潰瘍あり。GABG 3 枝 バイパス術をうけた後,術後せん 妄出現。(RGEA to #4PD,Lt. IMA to #8,Rt. IMA to #9) 1998 年 術後せん妄続き他院にて治療うけ る。 慢 性 腎 不 全 に て 透 析 療 法 開 始 (12/1 ∼) 家族歴:特記すべきことなし 患者背景:現在,喫煙,飲酒せず。 1996 年まで,喫煙 20 本/日,飲酒 ビール 1 本/日 入院時現症:身長 157 cm,体重 52 kg,脈拍 104 回/分・整,血圧: 70/40 mmHg,体温 39.2°C,体格・栄養:中程度,意識:昏迷, 皮膚:蒼白,浮腫なし,リンパ節:触知せず, 腹部:膨隆なし,軟,圧痛・抵抗なし,腫瘤 等触知せず 入院時検査所見: 第 33 回山梨医科大学 CPC 記録 日時:平成 12 年 1 月 19 日(水)午後 5 時 15 分∼ 7 時 場所:臨床講堂大講義室 司会:多田祐輔教授(外科学 2 ),川生 明教授(病理学 2 )

ベーチェット病の既往を持ち,脳,眼球,腎,

消化器に多彩な病変を呈した 1 例

要 旨:患者は 66 歳の男性。20 年前に緑内障にて左眼球を摘出,7 年後右目のブドウ膜炎にて入 院し,眼科でベーチェット病と診断された。2 年前,心筋梗塞でバイパス手術,また慢性腎不全 にて透析療法を受けていたが,胃潰瘍からの出血によりショック状態に陥り緊急入院し,胃切開, 縫合止血術を施行された。術後,創部感染あり,38 ∼ 40°C の発熱が持続し,46 病日で血圧の低 下を来して死亡した。臨床上,他臓器の病態とベーチェット病との関連性,発熱の原因と直接死 因が問題とされ,剖検が行われた結果,高度の全身性動脈硬化症,新旧の心筋梗塞,化膿性腹膜 炎を伴う急性膵壊死,気管支肺炎,糸球体と尿細管の高度の荒廃と間質性腎炎を伴う末期腎,日 本住血吸虫症による肝の線維化等,多臓器に及ぶ多彩な病像が示された。しかし,ベーチェット 病に特徴的とされる動脈瘤の形成,閉塞性血栓性静脈炎は認められず,治療による修飾の可能性 を考慮すると間質性肺炎と末期腎がベーチェット病の内臓表現である可能性は否定しきれない が,それを積極的に指示する所見は得られなかった。なお最終死因は敗血症に合併した急性膵壊 死と判断された。

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<血液生化学 12/6 >

WBC : 9400 /µl,RBC : 2.03 × 106/µl,Hb :

6.6 g/dl,Ht : 18.9 %,PLT : 198 × 103/µl,

TP : 5.1 g/dl,Alb : 2.6 g/dl,T.Bil : 0.4 mg/dl,AST : 445 IU/l,ALT : 49 IU/l, LDH : 741 IU/l,Amy : 175 IU/l,CK : 238 IU/l,BS:106 mg/dl,BUN :104 mg/dl, Cr : 5.32 mg/dl,CRP : 15.6 mg/dl,Na : 134 mEq/l,K : 5.4 mEq/l,Cl : 100 mEq/l <凝固 12/7 > PT : 13.6 秒,APTT : 39.5 秒,Fib : 411 mg/dl 入院経過: 1998 年 12 月 6 日 2:20 am 当院第 2 外科緊急入院。 3:10 am 胃切開,縫合止血術。 7 日 人工透析 HD(1 回目)以後 3 回/ 週にて施行した。術後せん妄状態, 38°C までの発熱続く。 12 日 創部感染あり(S. Epidermidis 少, Candida +)。 15 日 経口摂取開始するも少量のみ。 19 日 39°C の発熱あり,IVH 抜去す。 21 日 40°C の発熱あり,透析用チュー ブ抜去す(培養陰性)動脈血培養 陰性 23 日 38°C の発熱あり,透析用チュー ブ挿入。 25 日 CT 腹腔内膿瘍なし。胸水貯留あ り。 28 日 GFS ;胃角に潰瘍瘢痕あり,出血 なし。胃体部前壁縫合部 異常な し。 29 日 脳 CT ;大脳萎縮,虚血性変化あ り。 1999 年 1 月 2 日 経口摂取不十分のため IVH 挿入 す。 9 日 38°C 程度の発熱続く。左胸腔穿 刺(700 ml 培養陰性) 18 日 40°C の発熱あり,透析用チュー ブ抜去す。 19 日 IVH 抜去す。 20 日 意識混濁,血圧低下みられる。午 後 7 時 5 分死亡。 xxi 図 1.臨床経過

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剖検目的: 1)臨床的に診断されたベーチェット病は,組 織学的にも矛盾しないか。 2)発熱の原因はなにか。 3)直接死因は,敗血症でよいか。 4)手術部位の状態は。 検査値分析 矢冨 裕助教授(臨床検査医学) 質問:現病歴・既往歴において,ブドウ膜炎以 外に,ベーチェット病の存在を指示するよう な記載がない。再発性アフタ性潰瘍,皮膚症 状などは認められなかったのか? また,HLA(ベーチェット病では B51 の 頻度が高い)の検索,針反応など,ベーチェ ット病を疑った検査は行っていないのか? 回答:特に情報ない。ただし,ブドウ膜炎の所 見はベーチェット病に合致するものであっ た。 画像診断 市川智章講師(放射線医学) 腹部 CT 所見について:膵頭部に存在する境 界明瞭な低濃度域は,水濃度を呈し造影効果 もはっきりしないので嚢胞性病変と考えられ る。臨床症状から炎症疾患の存在が疑われる ので,膵膿瘍と考えられなくもないが,膵膿 瘍の報告自体ほとんどなく,腹水やその他の 部位の炎症画像所見が見られないことから 図 2. 上部消化管内視鏡(12/28) 胃角に潰瘍瘢痕あり,出血なし。 胃体部前壁縫合部,異常なし。 図 3. 胸部 X-P(1/14) 両肺野に多中心性の境界不明瞭な斑状陰影 認め,一部に air bronchogram がみられる。 心肥大あり。

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も,否定的と考えられる。また,急性膵炎の 特殊型としての focal pancreatitis と考えたと しても,臨床的にアミラーゼの上昇がないこ と,急性膵炎の画像所見に相当する膵周囲の 脂肪織濃度の上昇や膵腫大が見られないこ と,あまりに腫瘤の境界が明瞭なことから考 えづらいと思われる。過去の CT は約 1 年半 前のものしかなく,その CT では膵は正常と xxiii 図 4. 胸部 CT(12/29) 大脳萎縮があり,動脈硬化性の変化が認められる。 大脳白質に広範な虚血性変化あり。 図 5. 胸部 CT(12/25) 両側胸水貯留し,右肝下葉に無気肺あり。

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考えられる。したがってこの低濃度腫瘤はそ の後出現したと考えられるが,その後 CT は 撮影されておらず,その他の画像も存在しな い。臨床的には慢性膵炎を疑わせるエピソー ドがあったかどうかも不明のようであり,何 とも言えないが,一般的には慢性膵炎の経過 中に出現した仮性嚢胞と考えるのが自然な CT の読みであろう。 質問:結局,膵頭部に見られた低濃度腫瘤は, 剖検上何に相当したのか?仮性嚢胞はあった のか? 発言(1) 眼科でのベーチェット病の臨床診断に関して 飯島裕幸教授(眼科学) 症例(ID: 2268)は昭和 58 年 10 月山梨医科 大学付属病院開院後,間もなく眼科外来に紹介 されてきた患者さんである。初診の 5 年前(46 歳時)にすでに眼内炎症に続発する緑内障にて 眼痛著しく他院で左眼の眼球摘出を受けてい た。山梨医科大学眼科受診時に右眼は虹彩炎, 眼底出血,硝子体混濁がみられ,視力は 0.2 と 低下していた。全身的には眼症状以外のベーチ ェット病主症状である口内アフタ,陰部潰瘍, 皮膚病変はみられなかったが,ベーチェット病 の副症状である関節炎はみられた。その後の経 過で眼症状は再発寛解を繰り返し,平成 8 年に は右眼視力は手動弁にまで低下した。本症例の 眼症状は前部及び後部ぶどう膜炎の形で,経過 もベーチェット病に典型的であり,初診当時の 状態は 1987 年改訂のベーチェット病診断基準 の不全型の条件は満たさないが,ベーチェット 病の疑いとされた。ただし経過中の血管病変, 中枢神経病変を副症状とするならば,[定型的 眼症状と 2 副症状の出現]という不全型の基準 に合致する。 ベーチェット病における 4 主症状のうち眼症 状は[他の 1 主症状または 2 副症状]との組み 合わせで不全型の診断になる。眼症状以外の主 症状では[3 主症状または 2 主症状+ 2 副症状] が不全型の診断に要求されるわけで,他の主症 状に比べて眼症状の診断的価値が高いことが広 図 6. 胸部 CT(12/25) 膵尾部に 1.5 cm,膵頭部にも 2.5 cm の造影されない嚢胞様腫瘤あり。脾腫 大,両腎萎縮あり。明らかな腹腔内腫瘍の所見なし。

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く認識されている。 ベーチェット病の眼症状としては,前房蓄膿 を伴う虹彩毛様体炎,硝子体混濁,網膜出血や 浮腫を示す網膜血管炎が特徴的で,これらの所 見の再発と寛解を繰り返しながら,視機能廃絶 に至る例が少なくない。また最初片眼性であっ ても数年以内に両眼性になるものがほとんどで ある。 発言(2) 篠原 学助手(精神神経科学) 本患者は,術後せん妄が長期(5 ∼ 6 カ月)に わたり続いた症例である。本来術後せん妄は長 くても 1 カ月以内におさまるものである。本症 例における,このせん妄の長期化は,神経ベー チェットの影響が関与している可能性がある。 病理所見と診断 中沢匡男大学院生(病理学 2) 剖検番号: A-1294 死後 14 時間 20 分,開胸開腹にて解剖。 <病理所見> 身長 155 cm,体重 47.7 kg。左眼球は摘出後 状態。胸部から腹部にかけて正中に約 40 cm の 手術創痕。仙腰部に約 2 cm 大の褥瘡。口腔内, 陰部に潰瘍性病変はみられない。 胸水(左 500 ml,右 50 ml)。腹水,心嚢水少 量。 1.消化管および腹膜 胃角部小弯側にひだの集中がみられ,小網に 脂肪壊死を認めた。脂肪壊死は横行結腸間膜, 膵前面の後腹膜にも広範にみられた。また,そ れ以下の消化管にも潰瘍性病変,消化管出血は みられなかった。組織学的所見:胃角部小弯に は,潰瘍瘢痕がみられた。脂肪壊死は脂肪組織 の凝固壊死からなり,周囲に腹膜炎を伴ってい る。 2.膵臓(350 g) 頭部から体部にかけて膵実質内に壊死を認め た。出血は明らかではなかった。また,壊死の ない部分でも膵の分葉構造が不明瞭であった。 組織学的所見:膵組織の凝固壊死とそれに伴う 好中球浸潤および鹸化がみられ,急性膵炎の所 見である。また,壊死のない部分でも間質の線 維化と軽度の小円形細胞浸潤がみられた。 3.心臓(950 g) 心外膜は線維性に肥厚している。心筋には全 体に線維化がみられた。また,左室前壁から側 壁にかけて梗塞巣が認められ,同部は白色の部 分と黒色調の部分が混在していた。動脈の吻合 部には,閉塞はみられなかった。組織学的所 見:心外膜は線維性に肥厚している。心筋には 全体にび漫性に線維化がみられる。前壁から側 壁にかけてみられた病変は線維化と炎症性肉芽 組織が混在している像であったが,明らかな出 血はみられない。古い梗塞巣と比較的新しい梗 塞巣が混在している。左室乳頭筋には巣状の凝 固壊死がみられる。心筋内には微小膿瘍を 1 カ xxv 図 7.膵頭部。膵組織の凝固壊死,好中球浸潤と鹸 化(矢印)がみられ,急性膵炎の像である。 出血は明らかではなかった。H.E.染色,40 倍。 図 8. 心後壁。心筋線維内に肉芽組織と炎症性細 胞浸潤がみられ,心筋梗塞を認める。H.E. 染色,40 倍。

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所認めた。また,吻合部の動脈には約 50 %程 度の動脈硬化性の狭窄を認める。 4.肺(左 440 g,右 710 g) 左肺上葉には約 4 cm 大の巣状肺炎がみられ た。右葉は上葉から中葉にかけて全体に硬度を 増していた。左胸膜は癒着と肥厚がみられる。 組織学的所見:両肺には肺胞内に好中球,肺胞 内マクロファージ,フィブリン折出がみられ, 気管支肺炎の像である。さらに肺胞壁全体に線 維化と炎症性細胞浸潤により肥厚しており,間 質性肺炎の像もみられる。肺胞内には浸出液と ヘモジデリンを貪食したマクロファージがみら れ,慢性うっ血の所見である。左肺上葉の静脈 には 1 カ所に小静脈を中心とする炎症性細胞の 集積が認められ,静脈炎の像を示したが,血栓 形成は伴わない。また,左胸に線維素性胸膜炎 を認める。 5.脾臓(340 g) 全体に軟であり,割面では,うっ血とリンパ 濾胞の減少を認める。組織学的所見:リンパ濾 胞は萎縮し,赤脾髄内にはうっ血と形質細胞と 少数の好中球を混じる炎症細胞浸潤と赤色球貪 食像がみられ,うっ血を伴う脾炎(感染脾)の 所見である。 6.腎臓(左 110 g,右 110 g) 左右とも同様の所見で萎縮,硬化しており, 表面は細顆粒状で小嚢胞を数個認めた。腎皮質 は著しく菲薄化し,皮髄境界も不明瞭である。 腎盂粘膜には著変はない。組織学的所見:多数 の硝子化した糸球体,尿細管萎縮とコロイド円 柱,細小動脈,輸入動脈の動脈硬化がみられ, 間質には線維化と炎症細胞浸潤を認めた。尿細 管の一部に石灰化が認められた。荒廃した腎組 織で,末期腎の状態と考えられる。 7.血管系 大動脈には強い粥状硬化を認めるが,動脈瘤 の形成はなかった。また,下大静脈から両側総 腸骨静脈にかけて血栓の形成がみられるが,静 脈炎の所見は認めない。 図 9. 心後壁。心筋線維内にバクテリアのコロニ ー(矢印)とその周囲に好中球浸潤がみら れ,微小膿瘍の形成がみられる。敗血症の 状態にあったと考えられる。H.E.染色,100 倍。 図 10.線維化,炎症性細胞浸潤による肺胞壁の脾 厚がみられ,間質性肺炎の像である。また, 気 管 支 肺 炎 と 慢 性 う っ 血 を 伴 っ て い る 。 H.E.染色,20 倍。 図 11.右腎臓。糸球体は大部分が硝子化に陥り, 尿細管は萎縮し,その中にはコロイド円柱 がみられる。また,間質には,線維化と炎 症性細胞浸潤を認める。荒廃が進んだ腎臓 で,末期腎の状態と考える。H.E.染色。100 倍。

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xxvii 8.肝臓(1740 g) 表面は平滑で,割面ではうっ血がみられた。 再生結節はみられない。組織学的所見:門脈域 には高度の線維化,多数の石灰化日本住血吸虫 卵,リンパ球浸潤,高度のうっ血と肝細胞の脂 肪変性を認める。小葉構造の改築はみられな い。 <病理診断> 1.左眼球摘出後状態 2.狭心症,心筋梗塞に対する冠動脈バイパ ス術後状態 3.胃潰瘍に対する縫合止血術後状態 4.急性膵炎と腹膜の脂肪壊死,化膿性腹膜 炎 5.気管支肺炎を伴う間質性肺炎,慢性うっ 血と左線維素性胸膜炎 6.心筋梗塞 7.高度の粥状動脈硬化症 8.脾炎およびうっ血 9.末期腎 10.日本住血吸虫症,肝線維症 直接死因:急性膵炎 <考察> この症例は,ベーチェット病と診断された 66 歳の男性である。解剖時には,口腔内アフ タ性潰瘍,陰部潰瘍の所見はなく,また,皮膚 に結節性紅斑は認めなかった。今回入院の原因 は胃潰瘍からの出血であったが,解剖時には縫 縮部からの出血はみられず,また,回盲部にも 潰瘍性病変はなく,消化管出血は認めなかっ た。 膵頭部に大きな壊死巣がみられ,急性膵炎を 認めた。また,それに伴う脂肪壊死が腹膜に広 範に認められた。急性膵炎の原因としては,手 術,動脈硬化による虚血性変化,感染,アルコ ール等が考えられるが,確定は困難である。 ベーチェット病に特徴的な病理所見として血 管の血栓性静脈炎,大動脈中膜の断裂,消失と それによる動脈瘤の形成,腎臓では Ig A 沈着 によるメサンギウム増殖性腎炎があげられてい るが,本症例では,左肺上葉に 1 カ所静脈炎を 認めたが,それ以外に積極的にベーチェット病 を示唆する所見は得られなかった。また,腎臓 では荒廃が進行しているため,判断は不可能で あった。 経過中発熱が持続していたが,感染巣として は,肺,腹膜,膵および腎臓が証明された。 直接死因については,複数の感染巣があり, 更に心筋に微小膿瘍,感染脾がみられることか ら,septic な状態になり,最終的に急性膵炎を おこして死亡したと考えた。

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