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広範囲後方固定術を施行した肺癌頚椎転移の1例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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       山梨肺癌研究会会誌 13巻1号 2000

広範囲後方固定術を施行した肺癌頚椎転移の1例

       山梨医科大学 整形外科学教室 有薗行朋 河野秀樹 前川信吾 佐藤栄一 藤巻啓太 浜田良機       要旨  肺癌の頚椎骨転移癌に対して広範囲後方固定術を施行した1例を 経験した。症例は63歳女性で単純X線所見およびMRI所見より、 頚椎転移性骨腫瘍と診断。直ちにハローベストを装着し、除痛目的 に放射線照射を施行した。しかし疾痛改善は不十分で、さらにX線 像で第4頚椎の骨破壊の進行を認めたので、神経症状の増悪防止、 疾痛の改善とハローベストの除去を目的として椎弓切除術および CCD Cervical Systemを用いた後方固定術を施行した。術後4ヵ月 と短期間ではあったが、良好な支持性と疾痛改善をみた。 Key words:肺癌,頚椎骨転移,広範囲後方固定術        はじめに  肺癌の頚椎骨転移に対して広範囲後方固定術を施行した1例を 経験したので報告する。       症例

 患者:76歳女性

 主 訴:頚部痛  現病歴:平成11年7月頃より特に誘因なく頚部痛が出現し近医 を受診。鎮痛剤を処方されたが症状の改善なく、疾痛が持続するた

め平成11年9月20日当科受診。

 既往歴:肺癌(平成11年2月8日 右下葉切除術)  家族歴:特記すべきことなし。  入院時現症:頚部に安静時痛を認め頚部の運動は疾痛のため著明 に制限されていた。上下肢の筋力および知覚低下はなく、右ホフマ ン反射が陽性で第5頚髄より中枢の圧迫が示唆されたが、その他に 神経学的異常所見はなかった。  入院時検査所見:血液生化学所見ではALP値が軽度上昇し、 CRP        −20一

(2)

平成12年4月1日 値の高値と赤沈値の充進をみた。当科初診時のX線所見では第4頚 椎に圧迫骨折を伴う椎体破壊をみとめたが、頚椎のアライメントは  よく保たれていた(図1)。同時期に施行したCT所見では第4頚椎 の椎体と左椎弓の骨破壊像に加えて、第3,5,6の椎体の骨破壊

をみた(図2)。MRI所見では第4から第6頚椎の椎体はT1強調

像で低信号を呈していた(図3)。骨シンチグラム所見では頚椎に広 範囲の異常集積像を認め、また一部第5腰椎に集積像を認めたが単 純X線・MRI所見に明らかな骨破壊像はなく、軽度の退行性変化と 考えた(図4)。   入院後経過: 以上より頚椎転移性骨腫瘍を疑い直ちにハローベ ストを装着し、除痛目的に20Gyの放射線照射を施行した。放射線 治療後、疾痛は軽減したが、照射終了後一週頃から第6頚髄領域を 中心とした知覚低下および左の握力低下が出現し、さらにX線像で 第4頚椎の骨破壊像の進行を認めた。そこで神経症状の増悪防止、 疾痛の改善とハローベストの除去を目的として手術を施行した。手 術は後頭骨から第4胸椎までの後方正中切開で進入。第3頚椎左外 側塊、椎弓左半分および第4頚椎左外側塊、椎弓全体に正常とは異 なる硬さのやや白色を呈する骨病変を認めたので、第3頚椎から第

 6頚椎の椎弓切除術さらに後頭骨から第4胸椎間までのCCD

Cervical Systemを用いた後方固定術を施行した(図5)。術後は創 が治癒するまでの間ハローベスト固定を施行したが、その後はアド フィット装具に変更した。   病理組織学所見:肺切除時採取された腫瘍の病理組織学所見は核 は大小不同で異型の強い腫瘍細胞が乳頭状に増殖する乳頭型腺癌で あった。第4頚椎椎弓切除時に採取された標本では、骨髄組織は繊 維性の肉芽組織に置換され、その肉芽組織内に肺切除標本で見られ た腫瘍細胞に類似した異型細胞の小集族を散在性にみとめた。異型 細胞の核は濃縮し、細胞質は放射線の影響と思われる変性を示して いたが、転移性骨腫瘍と診断した(図6)。   術後経過は良好で、術後2週でハローベストを除去し、アドフィ ット装具を装着、歩行訓練を開始した。左の握力および上肢の知覚

低下はともに改善がみられた(図7)。術後の単純X線所見では

rod−plateがscrew・hookにより後頭骨から大後頭孔間,第7頚椎か ら第1胸椎間,第3胸椎から第4胸椎間で固定されている(図8)。        −21一

(3)

山梨肺癌研究会会誌 13巻1号 2000       考察  頚椎骨転移症例に対する治療は化学療法、放射線療法、手術療法 など様々であるが現在まで確立された方法はなく、骨以外の他臓器 の転移の可能性を考えるため、根治は困難であると考えて治療を行 うのが一般的である。したがって、整形外科的治療の目的は腫瘍に 対する治療ではなく、疾痛の除去と支持性の回復、神経症状の増悪 防止あるいは改善によるQOLの向上である。そのため患者の全身 状態、骨破壊の程度、原発巣さらに生命的予後を考えて治療法を選 択する必要がある。本症例の場合、生命的予後は6ヶ月程度と予想 されたが全身状態は良好で、放射線治療では骨破壊・神経症状の進 行を阻止できず、脊椎の不安定性のためハローベストの除去ができ ないと考え広範囲後方固定術を選択した。  今回使用したCCD Cervical Systemは、後頭骨に10w profileな screw・hookでrod−plateを固定し、椎弓に対して把持可能なhook にて固定することにより、脊柱管内操作をほとんど行わず比較的簡 便かつ安全に手術を行うことができる利点がある。しかし頚椎転移 症例に対してこのinstrumentの問題としては、転移病巣の拡大に よるscrew・hookの緩みや脱転の可能性を防止するには頚椎高位か ら胸椎まで10ng fusionする必要があるので、手術侵襲が大きくなる ことである。       おわりに  今回、肺癌の頚椎転移に対して広範囲後方固定術を施行し短期間 ではあったが、良好な成績が得られたのでここに報告した。CCD Cervical Systemを用いた後方固定術は頚椎転移性骨腫瘍に対して 非常に有効な手術法と思われた。        文献 1)鬼頭正士、他:脊椎悪性腫瘍に対するインストウルメンテーシ ョン手術の検討整形外科48:1179∼1184,,1997−1998 2)徳橋泰明、他:転移性脊椎腫瘍に対する術前予後判定点数.臨

床整形外科32巻4号:512∼522,1997

       叉1 一22一

(4)

平成12年4月1n 初診時 図1

第4頚椎

第6頚椎

CT所見

 図2

一23一

(5)

山梨肺癌611究会会誌 13巻P]・200〔〕

T1強調像

T2強調像

MRI所見

 図3

き、

黛≡

図4

−24一

(6)

平成12年4月1日

図5

右肺下葉標本(×100) 第4頚椎椎弓標本(×100)

図6

(7)

山梨肺癌研究会会誌 13巻1号 2000

アドフィット装具装着時

歩行時

図7

鍵 s欝 術直後

図8

一26一

参照

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