手話を第一言語とする聴覚障害幼児のナラティヴの発達
2
0
0
全文
(2) 皿.結果. 対象児の年齢によって母親の質問形式は. 絵本場面・過去経験の語りを通して、3歳. 異なり、3歳児であれば母親が内容を精緻化. 児では一人で語りを構成することは難しく、. し、確認する意味で篶S’no質問や眼前のも. 母親など他者とともに共同で作りあげる様 子が見られた。語りの中で指さしを多用する. のを対象としてrこれは何?」などと質問す ることが多かった。4歳児であれば、3歳児. ことにより、眼前のものを中心とした語りが. 同様に眼前のものの説明を求める質問や母. 行われていた。また手話表現が分からない場 合に、指差しを行い母親に表現を求める様子. 親が選択肢を提示して答えさせるwhich質 問が多かった。5歳児であれば話の内容につ. が見られ、母親の表現を真似て表現すること. いて「なぜ?」「どのように?」といった質. で語彙獲得が行われていた。登場人物の心情. 問が多く、対象児に説明を求めることが多か. や自己経験を通してどのように感じたかな. った。本研究を通して、母親の働きかけが年. どは母親が代弁する、もしくはロールシフト. 代により違いが見られること、また年齢が上. を用いることで自分以外の第三者の心的反 応を発話していた。. がるにしたがって母親の働きかけが減って いくということが分かった。. 1V.総合考察. 4歳児では、事物の説明の際には母親からの 働きかけに答える形で話が展開していた。自. 先行研究において、聴覚障害児が物語にお. 発的な発話が見られる場合はあるものの、1. いて自己及び他者の心的状態への言及に問. 語である場合が多く母親が再度質問するな. 題を持っ可能性を示唆している(長崎・鈴. どしてその発話の意味や意図をより具体的. 木・長崎,2000)。しかし、本研究において. にしようとしていた。また、人物に関する説. 手話によるナラティヴを分析した結果、3歳. 明を行う際には事物の説明に比べて自発的. 児・4歳児においては母親からの働きかけに より心的反応が見られ、ロールシフトを用い. な発話が増えており、ロールシフトを用いて、. 登場人物の心的反応や行動が表情や動きに. ることにより登場人物の心的反応を表情や. より表現されていた。また、仮定の話を通し. 動きによって自発的に発話する様子が見ら. て自分の将来に関する語りが見られ、今・未. れた。また、5歳児においては語りの中に自. 来を含めた時間的な概念を獲得しているこ. 己及び他者の心的反応に関して発話するこ. とが分かった。心的反応に関しては、母親が. とができ、またなぜそのような感情を抱いた. 代弁するもしくは質問に対する応答として. かにっいての説明を加えて発話することも. 発話される様子が見られ、自発的な発話はあ. 可能であった。. まり見られなかった。話の途中で集中が切れ. 子どものナラティヴの発達は大人の援助. てしまい結末を見通した語りを行うことは まだ難しいように感じられた。. によるところが大きい。聴覚障害の有無を早 期発見することが可能となった今、より充実 した支援制度が求められている。家庭におい. 5歳児では、他者の働きかけをあまり必要 とせず一人で語りを行うことができていた。. て手話言語の保障をすることで、聴覚障害児 にとって聴児と変わらない言語環境を提供. 語りを行う際に、r設定」からr結末」に至 る枠組みを用いて展開しており大人の語り と変わらない展開構造を獲得していること が分かった。また、登場人物の心情や自分の. することができ、家族を中心とした身近な人 とのかかわりの中で、言語獲得はもちろんの こと、人への信頼、情緒の安定が育まれるの. 気持ちを自発的に語ることが可能であり、な. ではないだろうか。言語基盤を形成する幼児. ぜ自分・他者はその行動をとったのかなど意. 期において豊かなコミュニケーション環境. 図を理解し、状況の説明をすることができて. が求められる。. いた。母親の発話機能に関しては、記憶質間 主任指導教員 鳥越 隆士. (Whから始まる質問)が多く、対象児の発 話を引き出していたことが分かった。. 指導教員 鳥越 隆上. 一195一.
(3)
関連したドキュメント
この数日前に、K児の母から「最近、家でも参観曰の様子を見ていても、あまり話をし
④日常生活の中で「かキ,久ケ,.」音 を含むことばの口声模倣や呼気模倣(息づかい
TV会議やハンズフリー電話においては、音声のスピーカからマイク
手話の世界 手話のイメージ、必要性などを始めに学生に質問した。
関西学院大学手話言語研究センターの研究員をしております松岡と申します。よろ
今回の調査に限って言うと、日本手話、手話言語学基礎・専門、手話言語条例、手話 通訳士 養成プ ログ ラム 、合理 的配慮 とし ての 手話通 訳、こ れら
<第二部:海と街のくらしを学ぶお話>.
手話言語研究センター講話会.