高 生の心理的ストレス過程に関する研究:
Ⅱ.心理社会的ストレッサーの 析
古 屋 群馬大学教育学部学 教育講座 佐々木 悠 群馬県東部児童相談所 音 山 若 穂 郡山女子大学短期大学部 坂 田 成 輝 早稲田大学 (平成 18年 9 月 13日受理)Psychological stress process of high school students:
II. Psychosocial stressors.
Takeshi FURUYA Yuu SASAKI Wakaho OTOYAMA
Shigeki SAKATA
1) Department of Educational Psychology, Faculty of Education, Gunma University 2) Gunma Prefectural Tobu Child Guidance Center
3) Koriyama Women s Collage 4) Waseda University (Accepted September 13, 2006)
問 題
本研究の目的は,情動を中核とする心理的ストレス・モデル(古屋・音山;1999,新名;1995) に基づいて高 生の心理的ストレス過程を解明することである。研究Ⅰ(音山・古屋・坂田;2006) では,その一環として高 生の情動ストレス反応を測定する尺度の構造を検討し,成人用に開発された PSRS-50R(新名;1994,新名・坂田・矢冨・本間;1990)の情動領域反応尺度(抑うつ気 , 不安,怒り)について成人就業者と高 生を比較した結果,尺度の構造に有意な差は認められず, 高 生にも 用できることが確認された。そこで本研究では,高 生が学 生活の中で経験する心 理社会的ストレッサーに焦点を当て,高 生用ストレッサー尺度の構成を目指す。 心理社会的ストレッサー ストレッサーとはストレス過程を発動させる直接的な契機となる刺激を指すが,具体的にスト レッサーとして えられている内容はさまざまである(Holmes & Rahe; 1967, Lazurus & Folk-man ; 1984, Turner & Wheaton, 1995)。たとえば,Wheaton(1996)は心理社会的ストレッサーの 種類としてマクロ・ストレッサー,ライフ・イベント,慢性的ストレッサー,デイリー・ハッスル ズ,トラウマ,ノンイベントを上げている。個人のストレス反応をストレッサーによって説明しよ うとすれば,多面的なアプローチを採用して個人が経験したこれら多様なストレッサーの 量を明 らかにすることが求められる。しかし,それはきわめて負担のかかる作業で現実的でないばかりか, 実践的な意義もないため,実際には,研究の目的に応じて一定の特徴を有したストレッサーだけが 測定される。 情動を中核とする心理的ストレス・モデルで扱うことができるストレッサーの特徴にも一定の条 件がある(古屋・坂田・音山;1997)。このモデルの基本仮説によれば,a)人は生活を送る上でさ まざまな出来事や状況(刺激事態)を経験する,b)その中で,経験した人に対して「嫌だ,辛い, 苦しい」といった感情的にネガティブなインパクトを与える刺激事態がストレッサーとなってスト レス過程を発動させる,と想定される。したがって,ストレッサーを特定するためには,a)どのよ うな刺激事態を経験したか,b)経験した刺激事態からどの程度のネガティブな感情的インパクトを 受けたか,の 2点について明らかにする必要がある。このようなアプローチは,人々の経験する可 能性のある刺激事態が共通の背景要因(古屋・音山;1999)によって統制され,一定の範囲に限定 できるような場合に有効である。 ストレッサーに対するこのような状況限定的アプローチにはいくつかの利点と限界がある。まず, その利点としては,多くの人に共通してストレッサーとして経験されることの多い刺激事態を明ら かにでき,環境に潜む問題の所在を特定し,そこに焦点を当てた環境調整を行うことでストレスマ ネージメントが可能になる点である。このような実践的な有効性から,職業ストレス研究の 野で は職場環境の調整を目的とした状況限定的アプローチが多用されている(Holt;1992,古屋・音山; 1999,矢冨;1991)。また,刺激事態とストレッサーとを概念的に区別することによって,ストレス 過程に及ぼす個体要因や緩衝要因の影響について検討できることも利点のひとつである(古屋・坂 田・音山;2001,音山;1996)。 他方,状況限定的アプローチの限界として,ストレス過程に明らかに大きな影響を与えるトラウ マ(事件,事故,災害等)やライフ・イベント(両親の別居・離婚,家族の死や 生,転居等)と
いった頻度の小さい経験に関しては,その影響が共通の状況に反映された範囲でしか捉えきれない という点を指摘することができる。どのようなアプローチ法にせよ,特定の視点から捕捉できるス トレッサーには限界があり,それ以外のストレッサーによる影響は誤差として扱われる。また,ス トレッサーの持続時間の問題もある。トラウマのような重大なストレッサーの影響は数年間に及ぶ ことがあり,またその結果も心身疾患など深刻なものとなる可能性がある。しかし,状況限定的ア プローチでは状況が変化すればストレス過程も変化することを前提とするため,ストレッサーの持 続時間も相対的に短く,その結果も限定的である。たとえば,学 生活ストレッサーは通常の学 生活が営まれていない期間(夏休み等の長期休暇,大きな学 行事がある時期)には適用できない。 このような特徴を踏まえ,これまでの状況限定的アプローチに基づく研究では,教育実習生(坂 田・音山・古屋;1999,音山;1996),看護実習生(青山,他;1998,廣瀬,他;1996,廣瀬,他; 1998),老人介護者(新名・矢冨・本間;1991)や通院患者(新名・坂田・山崎;1995,坂田・新名・ 山崎;1995)など,共通の心理社会的枠組みの中で行動する集団を対象にしたストレッサー 析が なされ,大きな成果を上げてきた。本研究ではこれらの研究に準拠して高 生の学 生活ストレッ サーを検討する。 高 生の学 生活ストレッサー 状況限定的アプローチによる学 生活ストレッサーの研究は,共通の背景要因を前提にしてはじ めて一般性を持つことができる。したがって,ここでは我が国の研究に って検討する。我が国で はいじめや不登 児童生徒の増加を背景に,学 生活におけるストレス研究が盛んに行われるよう になり,10年以上にわたる研究の蓄積がある。その中で学 生活ストレッサーについても,それを 測定するための尺度が数多く開発されてきた。代表的なものとして,小学生を対象とした長根 (1991),中学生を対象とした岡田(2002)や岡安・嶋田・丹羽・森・矢冨(1992),大学生を対象 とした久田・丹羽(1987)や小関(1994)などが上げられる。しかし,高 生に限定した学 生活 ストレッサーに ったものは少なく,中学生と高 生に共通のストレッサーを検討した高倉(2000) の研究が見られる程度である。 背景要因としての高 生活を えると,高 生活はその後にくる大学生活よりも中学 生活との 類似性が高い。高 生は中学生に類似した生活スケジュールにより多くの時間を学 の中で過ごし, 学業や部活動など従事する活動も多くの面で中学生と共通している。岡安ら(1992)の中学生用学 ストレッサー尺度では「教師との関係」「友人関係」「部活動」「学業」「規則」「委員活動」の 6因 子が抽出され,これによってストレス反応下位尺度の 22∼31%が説明されている。また,ストレッ サーの内容によってストレス反応との関係にも違いがあり,「友人関係」は抑うつ・不安感情に,「学 業」は無力的認知・思 に対して大きな影響を及ぼしている。同様に,中学生と高 生を対象とし た高倉(2000)の思春期用日常生活ストレッサー尺度では,「部活動」「学業」「教師関係」「家族」 「友人関係」の因子が抽出され,いずれも抑うつ症状との間に有意な正の相関が認められている。
岡安らの尺度が学 生活に限定されているのに対して,高倉のものは家 生活まで射程に含めてい る点で違いはあるものの,学 生活の中で経験される刺激事態については,いずれも共通の因子が 抽出されている。 他方,高 生活と中学 生活で異なるのは,高 では中学 以上に大きな学 差が予想されるこ とである。高倉(2000)も中学生と高 生に共通のストレッサー尺度を構成し,高 生の間には有 意な学 差があることを明らかにしている。学 差が生じる原因のひとつは学 の種別である。た とえば普通 の進学 では大学進学のための試験勉強,実業系の高 では卒業後の進路選択が大き なストレッサーとなるだろう。また,学 の 風や教育方針の違いも えられる。自由な 風と厳 格な 風の高 では,さまざまな生活面でのルールや規制の点で異なっており,それが生徒の経験 する刺激事態の違いを生み出している可能性もある。このことから,高 生活ストレッサーを捉え るためには,複数の多様な高 からサンプルを選ぶ必要がある。 本研究では,高倉らや嶋田らの尺度を参 に,予備調査を実施して,新たなストレッサー尺度を 構成する。
予備調査
目的 予備調査では,ストレッサーとなる可能性のある高 生活で経験される刺激事態のリスト を得るために,入学したばかりの大学 1年生を対象に,回顧法による調査を実施した。 対象・実施時期 一般教養「心理学」を受講する大学 1年生 78人を対象に,大学に入学したばか りの 5月に実施した。 手続き 岡安及び高倉を参 にして高 生が経験する刺激事態の生起する場として,①学業(授 業、試験、進路、大学試験など),②部活動・クラブ活動,③両親や家族との関係,④学 の先生と の関係,⑤友人関係,⑥その他の人間関係(異性、予備 や塾、バイト先での人間関係など)の 6つ の生活領域を予め想定し,自 が高 生であったときに,各領域について「こまった・つらい・い やだ」と感じたことについて自由に記述をしてもらった。 結果 教師との関係について 35項目,友人関係について 24項目,クラブ活動について 35項目, 学業について 87項目,家族関係について 40項目,その他の人間関係について 9 項目を得た。 高 生活ストレッサー項目:収集された項目について内容が近似したものは 1つにまとめ,高 生が経験する可能性が高く,かつ心理的ストレス反応の生起に強く関係すると予想される内容を示 す計 28項目を選択した。さらに,高 生なら学 生活を送る上で誰もが経験するような基礎事態(古 屋・音山;1999,坂田・音山・古屋;1999)に関する項目として「宿題が出たことがあった」「授業 に興味がもてないことがあった」など 3項目を追加した。項目はすべての高 生が理解できるよう 表現を整え,最終的に 31項目からなる高 生活ストレッサー項目を作成した。 試験勉強ストレッサー項目:収集された項目数を見ると,学業領域では他領域の 2倍以上の項目 が上げられている。これは,対象となった大学生の多くがいわゆる進学 出身者であったためであると えられる。このことは大学進学を目指す高 生にとって学業が特別に大きなストレッサーに なっていることを示唆している。そこで,高 生活ストレッサー項目とは別に,学業領域の中でも 特に学内の定期試験のための試験勉強に関わる 20項目を選び,試験勉強ストレッサー項目を作成し た。内容的には試験勉強に関連するもの,学習計画に関連するもの,親や教師との関係に関連する ものが選定された。
調査1:高 生活ストレッサーの 析
調査 1では予備調査に基づいて作成された 31項目の高 生活ストレッサー項目を った調査を 実施し,尺度化を試みる。 方法 調査対象 群馬県内にある県立高 5 の生徒を対象とした。高 の内訳は普通 3 (男子 ・ 女子 ・共学 各 1 ),実業 (実業高 ・商業高 各 1 )2 である。1 当たり各学年 2∼3 クラスを選び,クラス担任を通じて調査紙を配布した。3 では質問紙配布後,自記式無記名で一斉 に回答を求め回収し,他の 2 では翌日までに回答を求め提出を求めた。担任からの教示の中で, 回答は強制ではなく,学 の成績等とは無関係であることを伝えた。調査時期は 7月で,定期試験 終了後 1週間以上の間隔があり,この時期に大きな学 行事はなかった。 有効回答者人数の内訳は、男子 1 (男子 345名)、女子 1 (女子 332名)、共学高 1 (男子 103名・女子 129 名)、実業高 1 (男子 90名・女子 99 名)、商業系高 1 (男子 216名・ 女子 123名)で、男子計 754名、女子計 683名、男女の合計 1,437名であった。また学年の内訳は、 1年生 489 名、2年生 465名、3年生 483名であった。 質問紙の構成 高 生活ストレッサー:予備実験で作成された 31項目を 用した。調査対象者に は,各項目について過去 1ヶ月の間に経験したかどうか(経験頻度)を「有り」「無し」の 2件法で 回答を求め,経験した場合にはその出来事について「困った,いやだ,つらい」といった不快感を どの程度感じたか(インパクト評定)を 4段階(1:感じなかった,2:少し感じた,3:かなり感じ た,4:非常に強く感じた)で自己評価を求めた。 情動反応尺度:PSRS-50R の中から情動反応 3尺度(抑うつ気 ,不安,怒り)各 6項目計 18項 目だけを 用した。ただし,一部項目について内容を大きく変化させない程度に簡明に言い換えた ものを用いた。また,古屋ら(1994)にならい,情動反応として高揚感を測定する 5項目(「はつら つとした気 である」「生き生きしている」「ウキウキしている」「気 がのっている」「充実してい る」)を加え,全 23項目とした。対象者に対しては,最近 1週間にそのような情動を経験した程度 について,「0:まったくなかった」∼「4:大体いつもあった」の 5件法で自己評定を求めた。なお, この情動反応尺度については音山・古屋・坂田(2006)により高 生に対しても 用可能であるこ とが確認されている。結果 情動反応 高揚感を含めた情動反応尺度 23項目について探索的因子 析を行ったところ,4因子 が抽出され,高揚感 5項目は 1因子にまとまり,内的一貫性を示すクロンバックの α係数も.88と十 に高かった。 情動反応尺度得点(3つの下位尺度得点,情動反応合計得点,高揚感得点)の性別・学年別・学 種別平 値を表 1に示した。三要因 散 析の結果,怒り得点以外で有意な性差があり,男子より 女子で高かった。また,不安と高揚感で有意な学年差があり,3年生で不安が高く,高揚感は低くなっ ていた。学 種別差は怒りと高揚感で有意となり,実業 で怒りが高く,高揚感が低くなっていた。 抑うつ気 ,情動合計と高揚感で性×学年の 互作用が有意となった。低学年では男子より女子 で抑うつ気 ,情動合計が高く,高揚感で低くなっているが,学年が上がるとともにその差は小さ くなっている。また,抑うつ気 ,怒りと情動合計で性×学 種別の有意な 互作用が認められ, 普通 より実業 で性差が大きい。 尺度構成 経験率・インパクト評定:高 生活ストレッサー項目 31項目の経験率(表 2)は 15.2% (「いじめやいやがらせを受けたり,暴力を振るわれたことがあった」)∼96.0%(「授業が退屈だっ たり,授業に興味が持てないときがあった」)の範囲にあり,経験率の低さを理由に削除すべき項目 はない。また,インパクト評定も 1.9(「いじめやいやがらせを受けたり,暴力を振るわれたことが あった」)∼2.9(「勉強することやおぼえなければならないことが多すぎると感じることがあった」) の範囲にあり,どの項目も経験された場合には強い感情的インパクトを持つことが確かめられた。 情動反応との相関:各項目に対するインパクト評定値(経験無しの場合は 0とする)と情動反応 表1 情動反応・身体反応尺度得点の平 と標準偏差,及び 散 析結果 反応尺度 抑うつ気 不安 怒り 情動反応合計 高揚感 学年 性 学 種別 n 平 SD 平 SD 平 SD 平 SD 平 SD 1年 男 普通 160 5.7 5.20 5.6 4.35 8.5 6.18 19.8 13.22 8.4 4.25 実業 101 4.9 4.92 6.0 5.15 10.5 6.87 21.3 14.04 7.9 5.13 女 普通 152 7.8 6.27 7.7 5.36 9.7 6.03 25.2 15.46 11.7 5.26 実業 74 8.2 5.75 7.4 5.26 11.5 7.19 27.1 14.92 9.5 5.30 2年 男 普通 144 5.9 5.55 6.7 4.79 10.8 6.18 23.4 14.08 9.5 5.03 実業 100 5.1 4.72 6.2 4.15 10.0 6.32 21.3 12.74 9.0 5.41 女 普通 149 6.6 5.04 6.5 4.30 9.4 5.48 22.6 11.94 10.9 5.06 実業 71 7.8 6.35 7.4 5.79 11.6 6.51 26.7 15.66 9.8 5.05 3年 男 普通 144 7.4 5.64 7.7 5.04 10.6 6.21 25.7 14.02 8.2 4.45 実業 102 5.5 4.98 6.6 4.69 10.5 7.40 22.7 14.79 8.5 5.49 女 普通 159 7.3 5.78 8.3 4.76 9.1 6.21 24.7 14.86 9.7 5.42 実業 77 7.5 5.46 7.9 5.07 11.1 6.05 26.6 14.19 9.1 5.28 散源 F p F p F p F p F p 性 28.24 15.86 0.01 12.10 37.84 学年 2.17 7.80 0.99 2.54 4.92 学 種別 1.48 0.39 9.88 0.52 6.46 性×学年 3.91 2.94 2.74 3.98 3.69 性×学 種別 7.92 0.69 5.75 6.03 3.76 学年×学 種別 1.04 1.14 1.46 0.86 1.49 二次 互作用 0.22 1.20 1.81 1.29 0.36 p<.05 p<.01
表2 高 生活ストレッサー項目の経験率と情動反応との相関 情動反応との相関 経験率 項 目 % 抑うつ 不安 怒り 情動合計 1 宿題が出たことがあった。 80.0 .080 .085 .057 .086 2 テストがあった,またはテストの予告があった。 95.6 .114 .097 .118 .131 3 授業が退屈だったり,授業に興味が持てないときが あった。 96.0 .224 .196 .298 .289 4 部活動があった。 61.1 .079 .084 .113 .111 5 授業や宿題が難しくて,わからないことがあった。 86.7 .173 .172 .168 .203 6 勉強することやおぼえなければならないことが多す ぎると感じることがあった。 92.7 .168 .197 .168 .209 7 成績やテストの点が悪かった,あるいは思うように 上がらないことがあった。 91.6 .162 .163 .134 .180 8 自 の進学や就職のことで迷ったことがある。 83.3 .202 .235 .105 .207 9 部活動の顧問の先生や先輩にしかられたり,いやみ を言われたことがあった。 30.1 .130 .149 .182 .184 10 部活動の練習が厳しいことがあった。 38.8 .051 ns .092 .093 .093 11 部活動に参加したくないのに,参加しなくてはなら ないときがあった。 36.2 .110 .117 .171 .160 12 部活動をしていて,自 の時間が持てないことが あった。 42.5 .097 .109 .140 .138 13 自 のことで家族がもめたり,ぐちを言われたこと があった。 43.3 .226 .214 .237 .269 14 家族間でもめごとがあったり,家族内の仲が良くな いことがあった。 45.1 .187 .165 .215 .226 15 親との間で意見や え方が食い違ったり,対立した ことがあった。 59.2 .201 .194 .235 .251 16 親は自 のことをわかっていない,理解してもらっ ていないと感じるときがあった。 65.0 .251 .214 .261 .289 17 親が過保護あるいは干渉しすぎで,自 の自由にさ せてもらえないときがあった。 42.6 .184 .167 .188 .213 18 親から成績についてこごとを言われたり,勉強しな さいと言われたことがあった。 59.0 .134 .138 .144 .165 19 友だちは自 のことをわかっていない,理解しても らっていないと感じるときがあった。 52.7 .351 .332 .296 .385 20 学 の仲間から悪口やいやみを言われたり,カゲ口 を言われたりしたことがあった。 33.9 .222 .255 .216 .272 21 友人に対して,いやなことをいやだと言えなかった ことがあった。 52.2 .286 .284 .211 .305 22 友人とけんかをしてしまったり,意見が一致しな かったことがある。 44.3 .245 .247 .224 .281 23 いじめやいやがらせを受けたり,暴力を振るわれた ことがあった。 15.2 .191 .185 .147 .205 24 進路や成績に関して,先生と意見が対立したり,指 導の仕方が気に入らないことがあった。 28.9 .173 .184 .238 .238 25 髪型や服装,遅刻などの 則に関することで,先生 から注意されたことがあった。 33.3 .118 .070 .189 .155 26 先生は自 のことをわかっていない,理解しても らっていないと感じるときがあった。 43.6 .218 .170 .288 .273 27 先生がえこひいきしたことがあった。 31.2 .151 .120 .241 .208 28 納得のいかないことで,先生にしかられたり注意さ れたことがあった。 34.6 .132 .136 .253 .212 29 学 の規制や 則が厳しいと感じたことがあった。 52.0 .084 .066 .224 .156 30 片思いをしたり,異性にふられたことがあった。 30.9 .219 .173 .152 .214 31 異性の友達とけんかをしてしまったり,意見が一致 しなかったことがあった。 23.0 .141 .125 .110 .148 p<.01
尺度得点との相関(表 2)を見ると,すべての項目が情動反応下位尺度得点及び合計得点と有意な正 の相関を持ち,ストレッサーとなっていることが示された。それに対して高揚感得点とは 3項目で 負の,1項目で正の有意な相関が認められたが,最も大きいものでもその値は−.067で,きわめて弱 いものであった。 因子 析:各項目に対するインパクト評定値(経験無しの場合は 0とする)を用いて因子 析(主 因子解バリマックス回転)を行った結果,6因子が抽出された(表 3)。負荷量の高い項目の内容か ら,第 1因子は「教師ストレッサー」,第 2因子は「部活動ストレッサー」,第 3因子は「家 スト レッサー」,第 4因子は「学業ストレッサー」,第 5因子は「友人ストレッサー」,第 6因子は「異性 ストレッサー」の因子と命名された。 次に,各因子に対応する下位尺度を構成するために,第 1因子から第 5因子までの各因子で負荷 量の高い項目に対する評定値についてクロンバックの α係数を検討した。その結果,すべて.70以上 の十 な値を示し,5つの下位尺度が構成された。なお,第 6因子については負荷量の高い項目が 2 項目であったため,相関係数を検討したところ,r=.41と十 に高い値であったことから,ここでは 表3 高 生活ストレッサー項目の因子 析(Varimax回転)結果 因 子 項目(略記) Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ h α係数 先生理解してもらっていない .752 .047 .144 .072 .205 −.028 .637 .84 先生がえこひいきした .689 .073 .069 .061 .170 .084 .525 先生にしかられたり注意 .682 .114 .115 .057 .160 .114 .534 則で先生から注意された .637 .033 .179 .054 .027 .249 .505 規制や 則が厳しい .538 .151 .114 .096 .022 .139 .354 進路成績で先生と対立 .529 .032 .165 .093 .265 −.012 .387 部活動で時間がない .088 .809 .047 .103 .118 .024 .690 .87 部活動練習が厳しい .037 .806 .045 .102 .069 .011 .668 部活動に参加したくない .119 .734 .078 .087 .088 .047 .577 部活動があった .023 .718 −.007 .114 .068 .052 .536 部活動先生先輩にしかられた .149 .618 .084 .042 .208 .095 .466 親と意見や え方が対立 .137 .037 .736 .124 .074 .058 .586 .81 親に理解してもらっていない .145 .015 .715 .095 .113 .029 .555 家族からぐちを言われた .111 .041 .662 .081 .137 .071 .482 家族間でもめごと仲良くない .125 .053 .580 .058 .148 .101 .390 親が過保護で自由でない .101 .046 .517 .064 .101 .048 .296 親から勉強しなさい .085 .063 .469 .219 .108 .036 .293 勉強が多すぎる .067 .048 .090 .635 .096 −.011 .428 .71 テスト/予告があった .078 .045 .061 .576 .012 −.021 .344 授業や宿題が難しい .043 .096 .107 .576 .061 .101 .368 成績が悪い,上がらない .005 .087 .147 .492 .079 .031 .279 宿題が出た .040 .089 −.012 .477 −.002 .049 .240 授業退屈,興味が持てない .310 .023 .182 .360 .083 −.054 .269 進学や就職の迷い .067 −.019 .215 .272 .163 −.026 .152 友人とけんか,意見不一致 .210 .123 .160 .120 .567 .154 .444 .74 学 の仲間から悪口やいやみ .161 .160 .157 .029 .558 .180 .420 友達理解してもらっていない .150 .067 .249 .106 .544 −.035 .397 友人嫌なことを嫌と言えない .110 .105 .132 .171 .537 .038 .359 いじめやいやがらせを受けた .135 .160 .062 −.025 .403 .237 .267 異性とけんか,意見不一致 .258 .080 .154 .048 .209 .460 .354 相関 片思い,ふられた .170 .084 .120 .065 .199 .455 .301 .413 固有値 2.946 2.923 2.738 1.966 1.837 .692
暫定的な下位尺度として 2項目の合計を 用することとした。 性差・学年差・学 種別差の検討 6つの高 生活ストレッサー下位尺度とその合計得点につい て,性別,学年別,学 種(普通 ・実業 )別の平 値を求め,三要因 散 析により差の検定 を行った(表 4)。 学業ストレッサーは男子より女子,実業 より普通 で有意に高い。また有意な二次 互作用と 学年×学 種別の 互作用も認められている。学年別に見ると,1年生では実業 より普通 (特に 表4 ストレッサー尺度得点の平 と標準偏差,及び 散 析結果 ストレッサー 学業 教師 家 友人 学年 性 学 種別 n 平 SD n 平 SD n 平 SD n 平 SD 1年 男 普通 160 10.6 4.48 155 1.6 2.96 160 3.2 3.79 160 1.1 1.78 実業 100 8.7 4.19 98 4.2 4.71 99 3.9 4.20 99 2.5 2.77 女 普通 152 12.2 3.90 151 1.7 3.00 152 4.7 4.13 152 2.4 2.73 実業 74 9.2 4.11 73 3.9 4.30 74 4.8 4.41 73 3.1 3.21 2年 男 普通 144 10.3 4.41 140 2.5 3.58 142 4.0 4.65 142 1.7 2.56 実業 99 11.2 4.39 98 5.4 4.97 99 4.0 4.05 99 2.5 2.63 女 普通 149 11.5 4.16 148 2.7 3.57 149 4.4 4.44 149 1.9 2.45 実業 71 10.9 4.36 71 6.2 4.78 71 5.3 4.94 71 3.4 3.15 3年 男 普通 144 11.0 4.47 143 2.4 3.77 142 4.5 4.42 143 2.2 2.71 実業 102 8.9 4.27 102 4.5 4.93 102 4.5 4.44 102 2.1 2.71 女 普通 159 11.1 4.18 159 2.5 3.84 159 4.9 4.73 159 2.2 2.94 実業 77 10.9 3.83 77 6.9 5.49 77 4.9 4.60 77 3.0 3.02 散源 F p F p F p F p 性 14.89 M<F 3.81 11.79 M<F 19.09 M<F 学年 1.62 12.24 1<2,3 2.29 0.64 学 種別 25.03 実<普 170.75 普<実 1.42 29.91 普<実 性×学年 0.45 1.49 1.27 2.76 性×学 種別 0.12 3.26 0.02 1.00 学年×学 種別 9.90 1.35 0.26 2.65 二次 互作用 5.39 3.47 1.05 2.86 p<.05 p<.01 ストレッサー 異性 部活動 合計 学年 性 学 種別 n 平 SD n 平 SD n 平 SD 1年 男 普通 155 0.3 0.90 160 1.9 2.51 160 16.8 9.38 実業 98 0.5 1.19 99 4.0 3.91 100 19.7 11.99 女 普通 151 0.9 1.58 151 2.5 3.22 152 22.0 10.11 実業 73 0.8 1.41 74 4.0 4.29 74 21.6 11.13 2年 男 普通 140 0.5 1.29 144 2.4 3.41 144 18.9 12.15 実業 98 1.0 1.57 99 4.5 4.62 99 24.1 11.68 女 普通 148 0.7 1.34 149 2.3 3.52 149 21.2 11.03 実業 71 0.9 1.57 71 3.2 4.19 71 26.7 11.41 3年 男 普通 143 0.6 1.25 144 1.2 2.67 144 20.6 11.75 実業 102 0.8 1.19 102 2.9 3.99 102 20.9 12.38 女 普通 159 0.5 1.23 159 1.5 3.02 159 21.2 12.30 実業 77 0.8 1.24 77 2.1 2.93 77 26.6 13.05 散源 F p F p F p 性 6.81 M<F 0.26 23.76 M<F 学年 1.63 16.77 3<1,2 5.18 1<2,3 学 種別 10.40 普<実 62.40 普<実 23.95 普<実 性×学年 5.31 2.12 0.79 性×学 種別 1.98 6.52 0.35 学年×学 種別 1.34 1.01 3.11 二次 互作用 0.80 0.23 3.81 p<.05 p<.01
女子)で高くなっているが,2年生では差がなくなる。しかし,3年生になると実業 の男子だけ低 くなっている。学年や学 種別による学習内容や学業成績へのプレッシャーの違いが反映されてい ると えられる。 教師ストレッサーは 1年生より 2・3年生で,また普通 より実業 で高くなっている。ここでも 有意な二次 互作用が見られる。実業 では 3年生になると女子は高いままであるのに対して,男 子は 2年生より低くなっている。 家 ストレッサー,友人ストレッサー及び異性ストレッサーは性差が有意となり,いずれも男子 より女子で高かった。親密な人間関係の在り方が女子にとって大きなストレッサーとなっているこ とを示唆している。友人ストレッサーと異性ストレッサーには有意な学 種差があり,普通 より 実業 で高くなっている。異性ストレッサーでは性×学年の 互作用が有意であった。男子では 1年 より 2・3年生で高いのに対して,女子では 1年で最も高くなっている。 一方,部活動は 3年生より 1・2年生で高くなっているが,3年になると部活動の中で最上級生と なること,また進路のために次第に部活動から離れ始めることなどが関係していると思われる。ま た普通 より実業 で高く,性×学 種の 互作用も有意となっている。これは女子より男子で学 種別差が大きいためである。 合計点では,有意な性差(男子<女子),学年差(1年<2・3年),学 種別差(普通 <実業 ) が認められたことに加えて, 散の大きい学業ストレッサーの結果を反映して,学年×学 種別の 互作用と二次 互作用が有意であった。前者は 2・3年生になると学 種別差が広がっていること, 後者は実業高 男子だけは 2年生より 3年生で低くなっていることによる。 重回帰 析 性別(ダミー変数),学年,学 種別(ダミー変数)及び学 生活ストレッサー尺度 得点を独立変数,情動反応尺度得点を従属変数とする重回帰 析を行った(表 5)。情動合計得点で は部活動ストレッサー以外のストレッサーが有意な係数を示し,その説明率は約 25%であった。情 表5 属性とストレッサー評定を独立変数,情動反応尺度得点を従属変数とする重回帰 析の結果 従属変数 独立変数 抑うつ気 不安 怒り 情動合計 高揚感 属性 性 .086 .051 −.044 .031 .166 学年 .024 .089 .000 .040 −.045 学 種 −.067 −.037 .009 −.035 −.076 ストレッサー 学業 .126 .161 .120 .159 −.011 教師 −.003 −.050 .172 .058 .012 家 .101 .070 .133 .123 −.006 友人 .283 .297 .169 .289 −.097 異性 .080 .047 −.025 .036 .069 部活動 .026 .052 .072 .060 .064 R .209 .198 .191 .253 .046 Adj−R .204 .193 .185 .249 .040 標準偏回帰係数のみ示す p<.10 p<.05 p<.01
動反応の下位尺度別に見ると,学業,家 ,友人ストレッサーは一貫して有意な影響を及ぼしてい るが,他のストレッサーは特定の情動反応との関連が強く,教員ストレッサーは怒りに,異性スト レッサーは抑うつ気 に,部活動ストレッサーは不安と怒りに対して有意な影響を及ぼすことが示 された。なお,高揚感はいくつかのストレッサーと有意な関連を示したが,説明率は約 5%と非常に 低いものであった。 同様な 析を性別,学年別,学 種別に行った(表 6)。性別に見ると,教師ストレッサーは男子 だけ,異性・部活動ストレッサーは女子だけで有意な影響力を示した。また,学 種別に見ると教 師・部活動ストレッサーは実業 だけ,異性ストレッサーは普通 だけで有意になっている。最も 興味深いのは学年別の 析結果である。これによると,1年生では学業・教師・友人・部活動ストレッ サーが,2年生になると家 ・友人ストレッサーが,3年生になると学業・家 ・友人ストレッサー が大きな影響を与えており,学年によって影響力の大きいストレッサーの組み合わせが変化してい る。また,その説明率は 1年生で約 33%,2年生で 20%,3年生で 25%となっており,このストレッ サー尺度はまず 1年生,次いで 3年生のストレス反応に対して強い予測力を持つことが示唆された。
調査2:試験勉強ストレッサーの 析
予備調査では学業領域に関する刺激事態が数多くリストされ,また高 生活ストレッサー尺度で も学業ストレッサーの評定値は最も高く,一貫してストレス反応に対して大きな影響を及ぼしてい ることが示された。そこで,調査 2では,高 生活の中でも学業ストレッサーが最も強く作用する と思われる定期試験期間におけるストレス過程を検討するために,試験勉強ストレッサー項目を 析し,尺度化を試みる。 方法 調査対象 大学進学率の高い 立高等学 (いわゆる進学 )4 (男子 1 ,女子 1 ,共 学 2 )と私立男子 1 の 1,2年生を対象とした。内訳は,男子 1年生 576人,2年生 674人, 表6 属性とストレッサー評定を独立変数,情動合計得点を従属変数とする重回帰 析の結果 性別 学 種別 学年別 独立変数 男子 女子 普通 実業 1年生 2年生 3年生 属性 性 − − .068 .011 .083 .012 −.016 学年 .088 .010 −.017 .105 − − − 学 種 −.107 .051 − − −.003 −.054 −.043 ストレッサー 学業 .148 .170 .193 .109 .213 .089 .192 教師 .126 −.007 .002 .114 .117 .001 .081 家 .092 .151 .114 .137 .066 .142 .158 友人 .280 .289 .258 .325 .329 .289 .228 異性 −.015 .082 .076 −.010 .039 .082 −.016 部活動 .057 .070 .045 .097 .083 .056 .046 R .249 .264 .238 .300 .338 .207 .248 Adj−R .241 .256 .231 .289 .327 .193 .235 標準偏回帰係数のみ示す p<.10 p<.05 p<.01計 1,250人,女子 1年生 505人,2年生 532人,計 1,037人, 計 2,287人である。調査は 9 月下旬 から 10月上旬にかけて行った。この時期は、3期制を採用している学 では 2学期の中間テストが, 2期制を採用している学 では後期の期初めテストが行われている。学業に焦点を当てている調査 であるため,各 ともテストの直後に行った。 質問紙の構成 調査は高 生の学習スキルが学業ストレスに及ぼす影響を検討するために実施さ れた。ここでは,調査された項目の中で試験勉強ストレッサーに関する資料について 析した結果 を報告する。 ストレス反応尺度:調査 1と同じ尺度を用いた。各項目について回顧的に「試験勉強中に、次に あげた状態をどのくらい経験しましたか」として「0.まったくなかった,1.たまにあった,2.と きどきあった,3.しばしばあった,4.大体いつもあった」の 5段階で評価を求めた。 学業ストレッサー:予備調査で作成された 20項目を 用した。被験者には各項目について、「試 験勉強中に、次にあげたことを経験しましたか」と経験の有無を尋ね、2件法で回答を求めた。また、 経験した場合にはその出来事について「どのくらいつらかったり、いやに感じたか(インパクト評 定)」を「0.全く感じなかった,1.少し感じた,2.かなり感じた,3.非常に強く感じた」の 4件 法で回答を求めた。 結果 情動反応 情動反応尺度得点の性別・学年別平 値を表 7に示した。 散 析の結果,高揚感以 外で有意な性差があり,男子より女子で高かった。また,抑うつ気 と情動合計で有意な学年差が あり,1年生より 2年生で高かった。 尺度構成 経験率・情動反応との相関:試験勉強ストレッサー項目 20項目について経験率を 析 した結果(表 8),2つの項目で 10%を割り込んでいたため,以下の 析から除外することとした。 また,インパクト評定(経験無しを 0とする)と情動反応尺度得点との相関を求めたところ,すべ て有意な正の相関が認められた。 因子 析:試験勉強ストレッサー項目 18項目についてインパクト評定(経験無しを 0とする)を 用いて因子 析(主因子解 Promax回転)を行った結果,3因子が抽出された(表 8)。第 1因子は「内 表7 情動反応尺度得点の平 と標準偏差,及び 散 析結果 反応尺度 抑うつ気 不安 怒り 情動反応合計 高揚感 学年 性別 n 平 SD 平 SD 平 SD 平 SD 平 SD 1年 男 510 6.0 5.63 5.8 5.01 7.0 6.67 18.8 14.84 3.0 3.69 女 457 8.5 5.72 7.0 5.17 8.6 6.91 24.0 15.67 3.0 3.48 2年 男 584 6.8 5.52 5.9 4.95 7.2 6.71 20.0 14.82 2.9 3.68 女 479 8.9 6.16 7.6 5.36 9.3 7.07 25.8 16.17 2.6 3.27 散源 F p F p F p F p F p 性 79.48 38.30 35.42 64.84 1.11 学年 5.97 2.36 2.39 4.48 2.05 性×学年 0.37 0.78 0.56 0.16 0.97 p<.05 p<.01
容が難しくて,どこから手をつけていいかわからなかった」「勉強することが多くて,どこから手を つけていいかわからなかった」といった勉強の負担に関わる内容の 9 項目で負荷量が大きいことか ら「学業負担ストレッサー」因子,第 2因子は「勉強時間が思うように取れなかった」「計画通りに 勉強が進まなかった」など時間管理に関する 3項目で負荷が高いことから「時間管理ストレッサー」 因子,第 3因子は「親から成績を心配された」など親や教師からのプレッシャーを示す 3項目で大 きな負荷を示しており「対人ストレッサー」因子と命名した。なお,3項目はどの因子にも.300以上 の負荷を示さなかったため,以下の 析から除外することとした。 各因子に対応する下位尺度を構成するために,それぞれの因子で負荷量の高い項目に対するイン パクト評定値についてクロンバックの α係数を検討した。その結果,学業負担で.85,時間管理で.65, 対人で.59,すべての合計で.85であった。対人ストレッサーで不十 な値となっているが,これらの 項目も含めた合計得点のα係数が非常に高いことから,除外せずに下位尺度として残すこととした。 性差・学年差の検討 3つの下位尺度と合計得点の平 値について性×学年の二要因 散 析に 表8 試験勉強ストレッサー項目の経験率,情動反応との相関,及び因子 析(主因子解 Promax回転) 結果 情動反応との相関 因子パターン 経験率 項 目 % 抑うつ気 不安 怒り 情動反応 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 12 内容が難しくて,どこから手をつけ ていいかわからなかった。 47.0 .330 .323 .284 .358 .858 −.065 −.055 13 勉強することが多くて,どこから手 をつけていいかわからなかった。 55.6 .347 .313 .311 .377 .822 −.009 −.068 10 試験範囲の内容が難しかった。 73.9 .280 .284 .248 .309 .667 −.066 −.009 7 どんな勉強をすればいいのかわから なかった。 59.4 .307 .287 .265 .332 .652 .061 .007 3 試験範囲が広かった。 67.5 .203 .207 .236 .251 .596 −.058 −.103 2 試験範囲のなかで,どこが重要なの かわからなかった。 53.3 .282 .233 .237 .294 .570 .035 .012 17 いくら えてもわからない問題が あった。 70.5 .253 .265 .245 .294 .465 .050 .157 5 おぼえてもすぐ忘れてしまう。 71.3 .269 .292 .268 .318 .373 .139 .076 1 いまさら勉強しても間に合わないと 思った 70.3 .337 .235 .286 .332 .344 .216 .057 6 勉強時間が思うように取れなかっ た。 71.1 .240 .264 .194 .262 −.040 .679 −.091 11 計画通りに勉強が進まなかった。 73.5 .237 .283 .202 .272 −.015 .641 .002 16 計画がうまく立てられなかった。 62.4 .256 .225 .193 .262 .084 .511 .064 19 親から成績を心配された。 45.7 .209 .241 .171 .236 −.087 −.031 .949 14 先生に成績を心配された。 33.4 .222 .213 .172 .233 .219 −.085 .490 9 親から期待された。 21.9 .111 .155 .096 .133 −.076 .050 .328 20 一生けんめい勉強しているのだが実 力がついたように感じなかった。 54.0 .241 .294 .221 .290 .271 .130 .108 15 試験勉強にやりがいを感じなかっ た。 53.6 .341 .168 .273 .309 .249 .214 .082 18 自由時間が削られた。 64.1 .270 .186 .253 .276 .197 .162 .014 4 先生から期待された。 6.0 因子間相関 Ⅱ .633 8 成績のことで,友だちにからかわれ たり,ばかにされたりした。 9.8 Ⅲ .529 .417 +は削除項目 p<.05 p<.01
より差を検定した(表 9)。その結果,学業負担,時間管理,合計で有意な性差が認められ,男子よ り女子で高くなっていた。また,学業負担,対人,合計で学年差が有意となり,2年生より 1年生で 高かった。学業負担と合計では 互作用が有意であった。これは女子において学年差が大きいため である。 重回帰 析 性別(ダミー変数),学年及び試験勉強ストレッサー下位尺度得点を独立変数,情動 反応尺度得点を従属変数とする重回帰 析を行った(表 10)。その結果,怒りと高揚感を除いて,す 表9 受験勉強ストレッサー尺度得点の平 と標準偏差,及び 散 析結果 ストレッサー 学業負担 時間管理 対人 合計 学年 性別 n 平 SD 平 SD 平 SD 平 SD 1年 男 531 9.0 5.61 3.8 2.48 1.5 1.85 14.3 7.96 女 480 11.1 6.12 4.2 2.43 1.6 1.81 17.0 8.77 2年 男 626 9.0 5.72 3.9 2.49 1.4 1.67 14.2 8.14 女 512 10.0 5.75 4.1 2.33 1.3 1.66 15.5 8.09 散源 F p F p F p F p 性 36.90 10.98 0.31 28.90 学年 4.63 0.13 9.24 5.13 性×学年 4.64 0.81 0.75 3.87 p<.05 p<.01 表10 属性とストレッサー評定を独立変数,情動反応尺度得点を従属変数とする重 回帰 析の結果 従属変数 独立変数 抑うつ気 不安 怒り 情動合計 高揚感 属性 性 .129 .078 .081 .108 −.015 学年 .071 .051 .053 .067 −.026 ストレッサー 学業負担 .322 .269 .338 .363 −.116 時間管理 .135 .174 .076 .140 −.026 対人 .071 .099 .027 .072 .050 R .226 .205 .171 .261 .015 Adj−R .224 .203 .169 .259 .013 標準偏回帰係数のみ示す p<.05 p<.01 表11 属性とストレッサー評定を独立変数,情動合計得点を従属 変数とする重回帰 析の結果 性別 学年 独立変数 男 女 1年 2年 属性 性 − − .080 .134 学年 .040 .100 − − ストレッサー 学業負担 .368 .359 .369 .359 時間管理 .107 .182 .141 .138 対人 .049 .094 .036 .109 R .204 .285 .242 .280 Adj−R .201 .282 .238 .277 標準偏回帰係数のみ示す p<.05 p<.01
べての下位尺度が有意な影響を及ぼしていた。怒りでは対人ストレッサーの影響が有意でなく,高 揚感では学業負荷が負の,対人が正の影響を与えていた。説明率は情動合計で約 25%に達している が,下位尺度別に見ると抑うつ気 で約 22%と高く,怒りで約 17%と低くなっている。高揚感につ いては説明率が約 1%と非常に低かった。 性別,学年別に 割して同様な重回帰 析を行ったところ(表 11),男子と 1年生では対人スト レッサーの影響が有意にならなかった。そのため,説明率は男子より女子,1年生より 2年生で高く なっている。
察
本研究では高 生の心理的ストレス過程の 合的解明を最終目的に,心理社会的ストレッサーの 析を試みた。予備調査では高 生活のさまざまな領域にわたりストレッサーとなりうる刺激事態 が収集された。その結果,最も多くの刺激事態が上げられたのが学業領域であった。その内容をさ らに 析すると,日常の授業や教師の教え方のこと,宿題や予習復習など家 学習のことに加えて, 定期試験や大学試験のための勉強や進路決定に関わる事柄など,多様な状況や出来事が含まれてい た。予備調査の対象が入学したばかりの大学生であったため,進路決定や大学試験に関する事柄が 数多く上げられたものと思われるが,高 生にとって日頃の学業が大きなストレッサーとなってい ることは明らかである。そこで,本研究では日常的な学 生活で経験される刺激事態を測定する高 生活ストレッサーと,定期試験のための試験勉強において経験される刺激事態を測定する試験勉 強ストレッサーの 2つの異なる生活場面について検討した。 高 生活ストレッサーの 析 高 生活ストレッサーの構造:本研究では,予備調査の結果を整理して得られた高 生活スト レッサー31項目を用いて,普通 と実業 に通う 1年生から 3年生までの男女生徒を対象に調査を 行い,高 生活ストレッサー尺度の構成を試みた。高 生を対象とする調査では,学 差が大きい ために代表的サンプルを得るためには大きなコストがかかる。本研究では男女別学 を含めて複数 の高 に依頼して資料を収集することで,一定の一般性を確保できたものと思われる。しかし,普 通 について比較的大学進学率の高い高 が中心になったこと,対象とした高 がすべて群馬県内 の県立高 であったことなど,高 生の多様な生活を捉えるには,まだ十 とは言えない面も残っ ている。さらに対象範囲を拡げ,一般化を追求していく必要がある。 因子 析の結果に基づき,調査された 31項目から学業,教師,家 ,友人,異性,部活動ストレッ サーの 5つの下位尺度が構成された。小・中学生を対象に学 生活のストレッサーを 析した研究 でも,ストレッサーは学 生活での活動場面によって 類されており,高 生でも同様であった。 ただし, 類された活動場面には小・中学生とは異なる点がある。まず,小・中学生用の尺度にあっ て,高 生活ストレッサー尺度には含まれていない内容がある。たとえば,岡安ら(1992)の中学生用ストレッサー尺度には「規則」「委員活動」尺度が含まれているが,高 生活ストレッサー尺度 では独立した下位尺度とはならなかった。それとは逆に,中学生用の尺度にはなかったもので,高 生になって重要なストレッサーとして新たに現れてくる活動場面もある。たとえば,異性ストレッ サーである。 このような違いが生じる原因は 3つ えられる。第 1に えられる原因は,背景要因である中学 生活と高 生活の違いである。たとえば,異性関係に関わる内容の項目が中学生用のストレッサー 尺度に含まれることは少ない。それに対して,本研究では,異性関係に関する項目はわずか 2項目 しかなかったにもかかわらず,因子 析で独立した因子として抽出され,他とは異なる活動領域で あることが示されている。中学生の中にも異性関係の問題をストレッサーとして経験している者は いると思われるが,それが一定の経験率にまで高まるのは高 生になってからであろう。このよう に,発達的な変化に伴う生活の違いが,高 生の異性ストレッサーを登場させたものと えられる。 逆に,委員活動については予備調査においてもほとんど言及されていなかったため,調査項目とし て採用されなかった。委員活動は高 生にとって中学生ほどが大きな感情的インパクトを持つ刺激 事態にはっていないと推測される。この背景にも中学 生活と高 生活の違いが反映されていると えられる。 2番目に えられる原因は,ストレッサー構造の変化である。たとえば,項目 25や項目 29 にある ように規則の厳しさは中学生同様,高 生にとってもストレッサーとなっていることは明らかであ る。しかし,尺度の中でこの項目は教師ストレッサーを構成する項目となっており,「規則」が他と 独立した活動領域としては区別されていない。このように,同じ刺激事態でも背景要因が異なれば, その構造上の位置が異なってくることがある。規則を破って注意されたことを自 が悪いことをし たからだと思う場合と,注意した教師に原因があると える場合では,経験のされ方が異なってく る。中学生では規則が独立した領域となっているものの,ストレス反応に及ぼす効果は大きくない のに対して,高 生では同じ経験が教師ストレッサーとなり,ストレス反応に大きな影響を及ぼし ているのは,このような経験の質の違いに起因していると えられる。 最後に,方法論上の問題を えることができる。本研究では規則や委員活動が独立した領域とし て抽出されなかったが,構成される下位尺度は選択された刺激事態の内容によって左右されるので, もし 則や委員活動と関係の深い項目の数を増やして調査すれば,下位尺度を構成できた可能性も ある。また,本研究では学 内・家 内で経験されるストレッサーを中心に検討したが,高 生の 生活にはアルバイトや塾・予備 など本研究でカバーしていない生活領域がまだ残されている。し かし,このように際限なく範囲を拡げることでストレス反応に対する説明力は高まるかもしれない が,同時に尺度の有用性を狭めることにもなりかねない。ここに生活ストレッサー尺度の方法論的 困難がある。したがって,できるだけ少ない項目でストレス反応をある程度まで説明できる尺度で あれば十 に 用に耐えるものと判断しなければならないであろう。 ストレス反応との関連:重回帰 析の結果,この高 生活ストレッサー尺度を用いることで情動
ストレス反応の約 25%を説明できることが示された。ストレッサー尺度としては十 な説明率であ ると言えよう。また,高揚感得点の説明率が低いことは,ネガティブな情動反応だけに影響を与え る刺激事態が測定されていることを示しており,ストレッサー尺度としての妥当性が高いことを示 している。 標準偏回帰係数の値を比較すると反応に対する影響力が最も大きいのは友人ストレッサー,次い で学業ストレッサーとなっている。同じような傾向は,岡安らの中学生の研究でも認められること から,中学生,高 生に共通した特徴であると えられる。また,結果にはストレッサーの領域に よって情動反応への影響に違いがあることも示されている。たとえば,教師・部活動ストレッサー は怒りに対して,異性ストレッサーは抑うつ気 に対して大きな影響力を持つ。特に,異性ストレッ サーは情動合計得点に対しては有意な効果が認められていないが,抑うつに及ぼす影響を無視でき ないことから,下位尺度として残しておく必要があろう。 性,学年,学 種といった属性と情動反応との関連を見ると,怒り得点と情動合計得点に対して はほとんど影響を及ぼしていない。これは,個人の属性にかかわらず,情動反応の強さは経験され たストレッサーによって規定されていることを示唆している。一方,抑うつ気 には性が,不安に は学年が有意な影響を及ぼしている。これはストレッサー尺度では測定できない要因が情動反応に システマティックな影響を及ぼしているためである。まず抑うつ気 における性差については,青 年期の段階からうつ病の発生率に性差があることは広く知られており,この結果もその事実と一致 している。一方,不安における学年差は 3年生で不安得点が高くなっているためである。この背景 には,進路選択や試験勉強といった,ストレッサー尺度で測定できなかった 3年生に固有のストレッ サーの存在があると思われる。 次に,対象を属性によって 割し,性別,学 種別,学年別に 析した。これによってどのよう な属性の高 生に対しても 20%から 33%の説明率があり,ストレッサー尺度として十 に 用可能 であることが示された。さらに,この 析結果から,個人の属性によってストレッサーを経験しや すい生活場面に違いがあることが かる。たとえば,教師ストレッサーは女子より男子,普通 よ り実業 ,2・3年生より 1年生で大きな効果を持つ。教師ストレッサーが主に生徒指導場面での刺 激事態から構成されていることがこのような違いを生んだものと推測される。また,1年生では友人 ストレッサーの影響が大きく,2・3年生になると家 ストレッサーの影響が大きくなっていること は,発達的な観点からも興味深い結果である。 試験勉強ストレッサーの 析 試験勉強ストレッサーの構造:本研究では大学進学率が高い高 の生徒を対象に,定期試験前の 試験勉強で経験される可能性の高いストレッサー項目 20項目を用いて試験勉強ストレッサーを検 討した。尺度構成の段階で 3項目が削除され,3つの下位尺度を持つ試験勉強ストレッサー尺度が構 成できた。下位尺度の中で最も項目数が多かったのが学業負担尺度である。この尺度には学習の量
的・質的負荷の大きさに関わる内容の項目がすべて含まれており,試験勉強ストレッサーの中核を なしている。 得点の平 値を見ると,学業負担と時間管理で男子より女子で,学業負担と対人で 2年生より 1年 生で得点が高くなっており, 合的には 1年生女子の得点が最も高くなっている。このような傾向 は高 生活ストレッサー尺度の学業ストレッサーの平 値にも見られることから,試験勉強に限ら ず日頃の学習場面でも共通の現象であると えられる。学業負担がストレッサーになるかどうかは, 教師の教え方や学習内容,個人の資質や学業への取り組みの態度など,さまざまな要因によって異 なっている。たとえば,1年生は中学 での学習内容と比較して勉強が難しいと感じているために, 2年生より強いストレスを感じている可能性がある。また,男子より女子の方が学習に真剣に取り組 んでいるために,強いストレッサーを感じるのかもしれない。このような性差や学年差の原因につ いてはさらに追求していく必要がある。 ストレス反応との関連:重回帰 析の結果,試験勉強ストレッサーは試験勉強中の情動合計得点 の 26%を説明し,高揚感得点とはほとんど無関係であることが示された。ストレッサー下位尺度の 中では学業負担ストレッサーの影響が圧倒的に大きく,学習する内容の量の多さと難しさが主なス トレッサーとなっていることが かる。時間管理ストレッサーは不安に対して大きな効果を持って おり,計画通りに勉強がはかどらないことが焦りを生んでいることが推測される。対人ストレッサー は有意な効果を持つものの,その影響は大きくない。高 生活ストレッサーの結果と異なる点は性・ 学年の属性が一貫して有意な影響を及ぼしていることである。これらの属性と関わってストレッ サー尺度には示されない何らかの要因の存在が示唆される。 性・学年で 割して重回帰 析を行った結果でも,学業負荷ストレッサーが大きな効果を持つこ とが共通して示された。また,時間管理ストレサーは相対的に男子より女子で効果が大きくなって いる。対人ストレッサーは男子と 1年生では有意な効果を示してない。尺度を 用する際,対象に 応じて対人ストレッサー下位尺度は除外することも許されるであろう。 展望 本研究では信頼性・妥当性の高い 2種類の高 生用のストレッサー尺度を構成した。これを 用 することによって,高 生の心理的ストレス過程に関わる個体要因や緩衝要因の影響について検討 を加えることが可能になった。ただし,尺度としてはいくつかの点でなお改善の余地がある。第 1に, いくつかの下位尺度は構成する項目数が少ないために,信頼性が低くなっている。具体的には高 生活ストレッサー尺度の異性ストレッサー尺度(2項目),試験勉強ストレッサー尺度の時間管理ス トレッサー尺度(3項目)と対人ストレッサー尺度(3項目)である。これらの尺度が測定しようと する刺激事態の内容は明確になっていることから,項目を増やせば信頼性を高めることができるで あろう。 第 2に,試験勉強ストレッサーの 析では情動反応を回顧法で測定した。言うまでもなく,厳密
には試験勉強をしている期間に調査を行うことが望ましいが,生徒への負担を えるとやむを得な い方法であった。しかし,既に終了した試験の前の情動状態は,試験勉強中に経験した刺激事態以 上に正しく想起することが難しいと思われる。実際,定期試験前について調べた調査 2の情動反応 得点の平 は平常時の調査 1の平 より低くなっている。その意味で,情動反応との関連について は,より厳密な検討が必要である。 第 3に,重回帰 析の結果によれば,重要な情動反応尺度得点に性,学年,学 種別といった個 人属性の効果が認められる。これを安易に情動反応性の性差や発達変化による違いとして解釈する ことはできない。なぜなら,これら属性の違いによって経験率が大きく異なるようなタイプのスト レッサーが存在している可能性を否定できないからである。このことは学 種の効果の意味を え れば明らかであろう。たとえば,高 生活ストレッサーに関して性別の重回帰 析を行ったところ, 男子では情動合計得点に対して学 種の強い影響が認められ,普通 より実業 で情動反応得点が 高いことが示されている。これは,同じストレッサーに曝された時,普通 の男子生徒より実業 の男子生徒の方がストレッサーに敏感でストレス反応を強く表出しやすいためであるかもしれな い。しかし,そのような結論を下す前に,実業 の男子生徒が普通 の男子生徒が経験しないよう なストレッサーを経験している可能性を探る必要があるだろう。その意味で,重回帰 析の結果に 個人属性の効果が認められたことは,本研究で構成されたストレッサー尺度が決して完璧のもので はなく,特定の性,学年,学 種に特有のストレッサーが欠落しているサインとして解釈するべき であろう。このことは尺度の 用に当たって注意しなければならないことである。 引用文献 青山みどり・嶺岸秀子・廣瀬規代・斉藤 基・佐々木かほる・坂田成輝・古屋 1998 基礎看護実習中の学生の ストレスⅠ―事前指導の効果― 群馬県立医療短期大学紀要,5, 77-87. 古屋 ・音山若穂 1999 HRM のための尺度・チェックリスト 2.従業員用尺度・チェックリスト (8)ストレ ス. 日本労働研究機構調査研究報告書№124 雇用管理業務支援のための尺度・チェックリストの開発―HRM (Human resource management)チェックリスト―(p.102-203). 東京:日本労働研究機構.
古屋 ・坂田成輝・音山若穂 1997 心理的ストレス・モデルに基づくストレッサーの 析:理論的意義と教育実 習ストレッサーの実証的検討 群馬大学教育学部紀要人文・社会科学編,46,461-479 頁 廣瀬規代美・嶺岸秀子・瀬戸正子・坂田成輝・古屋 1996 臨床看護実習中における学生のストレス―心理的・ 身体的ストレス反応の時系列的変動から― 群馬県立医療短期大学紀要,3, 7-18. 廣瀬規代美・嶺岸秀子・瀬戸正子・正田美智子・坂田成輝・古屋 1998 基礎看護実習中の学生のストレスⅡ―心 理的・身体的ストレス反応の経時的変化― 群馬県立医療短期大学紀要,5, 65-75. 久田 満・丹羽郁夫 1987 大学生の生活ストレッサー測定に関する研究―大学生用生活体験尺度の作成― 慶應義 塾大学社会学研究紀要,27,45-55.
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