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Systemic recombination in a novel Cre transgenic line, CAG-Cre C57BL/6N mouse(新規の全身性にCreを発現するC57BL/6Nトランスジェニックマウスの作製)<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Academic year: 2021

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学) 報 告 番 号 甲第1755号 学 位 記 番 号 第1252号 氏 名 福田 俊嗣 授 与 年 月 日 令和 2 年 3 月 25 日 学位論文の題名

Systemic recombination in a novel Cre transgenic line, CAG-Cre C57BL/6N mouse

(新規の全身性に Cre を発現する C57BL/6N トランスジェニックマウスの作 製)

Nagoya Medical Journal, in press

論文審査担当者 主査: 加藤 洋一

(2)

論文内容の要旨

【背景】

Cre/loxP システムは、部位特異的な DNA 組換えを誘導し、in vivo における遺伝子機能

を明らかにするために、より多くの研究で用いられるようになっている。特に、哺乳類細

胞では、Cre 組換え酵素による DNA 組換えによって、時期および空間を制御して遺伝子

を欠損させることが可能である。一方で、このシステムを用いてマウス生体内における

様々な分子メカニズムを明らかにするためには、実験に用いる系統の正確な外来遺伝子の

発現のプロファイルや遺伝的背景の正確な把握が必要である。C57BL/6 マウスは、最もよ

く用いられる実験動物の系統であるが、様々な遺伝子変異が蓄積し、新血管系、代謝系、

神経系の表現系が異なる複数の亜系統が存在する。C57BL/6J および C57BL/6N が代表的

な亜系統であるものの、これまでに

C57BL/6N 背景を有し全身性に Cre 酵素を発現するマ

ウスは報告されておらず、純粋に

C57BL/6N 背景で全身性に Cre/LoxP システムを応用す

ることは困難であった。これを解決するために、今回我々は、C57BL/6N 遺伝子背景を有

し、CAG プロモーター制御下に Cre 組換え酵素を発現する、すなわち、全身性に Cre を

発現する新規の

C57BL/6N トランスジェニックマウス(CAG-Cre マウス)の作製を行い、

新生仔および成獣における組換え効率の評価を行うことを目的とした。

【方法】

CAG プロモーター下に Cre 酵素をコードする配列を連結したプラスミドを構築してト

ランスジーンとした。その後、この構築を直鎖化して、必要な配列を

C57BL/6N 受精卵に

顕微受精し、2 細胞期胚を ICR 仮親マウスに移植した。誕生した個体を Cre 配列の有無に

よって選別した後、レポーターマウスと交配して、全身組織における組換え効率の評価を

行った。レポーターマウスは、全身で

GFP を発現しており、組替えが生じた細胞では、

GFP が消失し tdsRed を発現するようデザインされている(R26GRR マウス)。出生日

(P0)における体表からの蛍光観察と、生後 12 週齢における全身の組織からの蛍光観察

を行った。

【結果】

(3)

1 系統の CAG-Cre マウスを樹立でき、メンデルの法則に従ってトランスジェニックマ

ウスが得られ、成長および生殖機能に明らかな異常を認めなかった。CAG-Cre:R26GRR

マウスは、P0 において、体表から tdsRed のみ発現を認め、GFP の発現を認めなかった。

さらに、12 週齢における CAG-Cre:R26GRR マウスから脳、心、腸管、肝、肺、脾の切片

を作成し、蛍光観察を行ったところ、いずれも

tdsRed のみ発現を認め、GFP の発現を認

めなかった。これらの結果は、CAG-Cre マウスが、全身臓器の細胞系譜に対して、十分

Cre 組換え酵素活性を有していることを示している。

【考察】

今回新たに作製した

C57BL/6N 背景の CAG-Cre マウスは、全身臓器の様々な細胞で

Cre 組換え酵素を有することが示され、今後、様々な実験において、有効性と正確性を有

するリソースとして貢献することが期待される。

C57BL/6 マウスの亜系統である C57BL/6J と C57BL/6N は、1951 年に分離された後、そ

の後多くの遺伝子変異が蓄積されて、内分泌系や神経系に表現系の違いがあることが報告

されている。今回の研究では、各組織の発生段階における組換え効率の検討や、個々の細

胞マーカーとの比較検討を行えていないため、正確な評価を行うためには、追加の実験が

必要であるものの、今後、このマウスを用いて、C57BL/6N 背景を有する flox マウスとの

交配や、細胞のラベリングに応用することが可能となった。

(4)

論文審査の結果の要旨

【背景】Cre/loxP システムは、部位特異的な DNA 組換えを誘導し、in vivoにおける遺伝子機 能を明らかにするために、より多くの研究で用いられているようになっている。特に、哺乳類 動物では、Cre 組換え酵素による DNA 組換えによって、時期および空間を制御して遺伝子を欠 損させることが可能である。一方で、このシステムを用いてマウス生体内における様々な分子 メカニズムを明らかにするためには、実験を用いる系統の正確な外来遺伝子の発現のプロファ イルや遺伝的背景の正確な把握が必要である。 C57BL/6 マウスは、最もよく用いられる実験動物の系統であるが、様々な遺伝子変異が蓄積 し、新血管系、代謝系、神経系の表現型が異なる複数の亜系統が存在する。C57BL/6J および C57BL/6N が代表的な亜系統であるものの、これまでに C57BL/6N 背景を有し全身性に Cre 酵素 を発現するマウスは報告されておらず、純粋に C57BL/6N 背景で全身性に Cre/loxP システムを 応用することは困難であった。これを解決するために、今回我々は、C57BL/6N 遺伝子背景を有 し、CAGプロモーター制御下に Cre 組換え酵素を発現する、すなわち、全身性に Cre を発現す る新規の C57BL/6N トランジェニックマウス(CAG-Cre マウス)の作成を行い、新生仔および成 獣における組換え効率を行うこととした。 【目的・方法】CAGプロモーター下に Cre 酵素をコードする配列を連結したプラスミドを構築 してトランスジーンとした。その後、この構築を直鎖化して、必要な配列を C57BL/6N 受精卵 に顕微受精し、2細胞期胚を ICR 仮親マウスに移植した。誕生した個体を Cre 配列の有無によ って選別した後、レポーターマウスと交配して、全身組織における組換え効率の評価を行なっ た。レポーターマウスは、前身で GFP を発現しており、組換えが生じた細胞では、GFP が焼失 し、tdsRed を発現するようにデザインされている(R26GRR マウス)出生日(P0)における体 表から蛍光観察と、生後 12 周齢における全身の組織からの携行観察を行った。 【結果】1 系統の CAG-Cre マウスを樹立でき、メンデルの法則に従ってトランスジェニックマ ウスが得られ、成長および生殖機能に明らかな異常を認めなかった。CAG-Cre:R26GRR マウス は、P0 において、体表から tdsRed のみ発現を認め、GFP の発現を認めなかった。さらに、12 週齢における CAG-Cre:R26GRR マウスから脳、心、腸管、肝、肺、脾の切片を作成し、蛍光観 察を行ったところ、いずれも tdsRed のみ発現を認め、GFP の発現を認めなかった。これらの結 果は、CAG-Cre マウスが、全身臓器の細胞系譜に対して、十分な Cre 組換え酵素活性を有して いることを示している。

【考察】今回新規に作製した C57BL/6N 背景のCAG-Cre マウスは、全身臓器の様々な細胞で Cre 組換え酵素を有することが示され、今後、様々な実験において、有効性と正確性を有するリソ ースとして貢献することが期待される。 C57BL/6 マウスの亜系統である C57BL/6J と C57BL/6N は 1951 年に分離された後、その後多くの 遺伝子変異が蓄積されて、内分泌系に表現型の違いがあることが報告されている。今回の研究 では、各組織の発生段階における組換え効率の検討や、個々の細胞マーカーとの比較検討を行 えていないため、正確な評価を行うためには追加実験が必要であるものの、今後、このマウス を用いて、C57BL/6N 背景を有する flox マウスとの交配や、細胞のラベリングに応用すること が可能になった。 【審査の内容】 最初に福田俊嗣氏より、約 20 分かけて研究の背景、方法、結果ならびに考察についてスライド 発表があった。本研究では、C57BL/6N 背景で全身性に Cre 酵素を発現するマウスを作製し、そ の全身臓器での Cre 酵素活性を検討した結果、精査された臓器では十分な Cre 酵素活性を観察 した。このマウスは今後様々な実験において重要なリソースになることが期待される。 第 1 副査の高橋教授から 1)CAG-Cre C57BL/6N を作製した理由またその今後の応用、2)導入さ れたトランスジーンのコピー数や挿入部位の確認の有無、3)全身臓器における Cre の発現量の 検討の有無、など 5 項目、第 2 副査の松川教授から 1)FISH によるトランスジーンの挿入部位 の確認の有無、2) トランスジーン導入による表現型や行動などの変化の精査の有無、3) CAG -Cre の導入時に挿入部位として ROSA 領域を選択しなかった理由、など 4 項目の質問がなされ、 最後に主査の加藤教授から 1)homologous recombination の説明、2)Cre-ER の説明、3)本研 究で CAG プロモーターを選択した理由、など 5 項目の質問がされた。これらの質問に対し、一 部返答に窮することもあったが、概ね満足すべき回答が得られ、学位論文の主旨を十分理解し ていると判断した。本研究では、今後様々な研究への応用の可能性を持つ C57BL/6N 背景の CAG-Cre マウスを新規に作製したことを報告した。よって、本論文の筆頭著者は博士(医学) の称号を与えるに相応しいと判断した。 論文審査担当者 主査 加藤 洋一 副査 高橋 智、松川 則之

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