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成熟マウス小脳プルキンエ細胞におけるGDP/GTP交換蛋白質EFA6Cの発現解析

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Academic year: 2021

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全文

(1)

成熟マウス小脳プルキンエ細胞におけるGDP/GTP交

換蛋白質EFA6Cの発現解析

著者

松谷 重恒

2352

発行年

2006

URL

http://hdl.handle.net/10097/22968

(2)

氏名(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与年月日

学位授与の条件

研究科専攻

学位論文題目

まつやしけ

松谷重

つね

恒(宮城県)

士(医学)

医博第2352号

平成18年3月24日

学位規則第4条第1項該当

東北大学大学院医学系研究科

(博士課程)医科学専攻

CellularandsubcellularlocalizationofEFA6C,

athirdmemberoftheEFA6family,inadult

mousePurkinjecells.

(成熟マウス小脳プルキンエ細胞における

GDP/GTP交換蛋白質EFA6Cの発現解析)

論文審査委員

(主査)

教授国分正一

教授加藤正人

教授田村眞理

一377一

(3)

論文内容要旨

背景・目的

ADPリボシル化因子(ADP-ribosylationfactors,ARF)は,Rasスーパーファミリーに属 する低分子量G蛋白質で,哺乳類では六種類が同定されている。この中でARFlとARF6に対 する詳細な解析が進んでおり,とくにARF6は細胞膜に存在し,アクチン細胞骨格や細胞膜小 胞輸送の制御に関与している。他の低分子量G蛋白と同様,ARFは活性型であるGTP結合型 と,不活性型であるGDP結合型が存在する。活性型ARFと不活性型ARFはサイクルとなり 情報伝達を制御している。このサイクルには活性型と不活性型が円滑に交換できるよう触媒が存 在し,不活性型を活性型に変換する因子がGDP/GTP交換蛋白質(gual/inel/ucleotide exchangefactors,GEF)と呼称される。 ARFの活性化はGEFによってコントロールされているため,ARFの機能を解明するうえで, GEFの解析がその端緒となる。GEFは発生段階,臓器分布ともに多様な発現様式をとり,とり わけARF6に対するGEFはこれまでに数種報告されてきた。その一つにARF6を特異的に活 性化するEFA6(exchangefactorforARF6)がある。近年の研究によりEFA6は少なくと もA∼Dの4種からなるファミリーを形成することが明らかとなった。これまでEFA6Cにつ いては,ノーザンブロット法によるヒトでの臓器発現解析により中枢神経系に発現が報告されて いるが(Derrieneta1,2002),詳細なEFA6Cの遺伝子発現や細胞内局在についての報告はな く,その機能は不明である。本研究ではEFA6C機能解明の一助として本分子のマウス神経系 における遺伝子発現および蛋白発現局在についての解析を行った。 豪琶妻農台叢献欝欝餐

方法

実験にはC57BL/6成熟マウスを使用した。①ヒトEFA6CをGenBank遺伝子データベー スで検索し,マウスEFA6C相同遺伝子を同定し,さらにマウス脳cDNAライブラリーからク ローニングした。②EFA6CのARFに対する活性を確認するため,ARFpull一〔lownassayを 行った。③EFA6C蛋白発現ベクターとARF1もしくはARF6とをHeLa細胞に共に細胞導入 し,細胞内での局在を見た。更に野生型と不活性型変異EFA6C蛋白発現ベクターをHeLa細 胞に細胞導入し,その局在と形態の変化を観察した。④ノーザンブロット法によりEFA6Cの 臓器でのmRNA発現を確認した。⑤中枢神経系におけるEFA6CmRNAの発現を,i178∫1・'ハ イブリダイゼーション法で検討した。⑥EFA6Cに対する特異抗体を作成し,小脳の細胞分画 を用いたウエスタンプロット法及び免疫組織学解析により本分子の細胞内局在を検討した。

(4)

青目1 ψ}一

結果

①マウス脳cDNAライブラリーから,ヒトEFA6Cのマウス相同遺伝子のクローニングを行 い,その一一次構造を決定した。その結果,EFA6Cは,アミノ酸770残基,推定分・子量84kDa よりなり,ヒトEFA6Cとは88%の相同性を示した。②ARFpu11-downassayにより,EFA6 Cは,ARF1を比べてARF6に対してより強いGEF活性能を示した。Sec7領域を点変異した 不活性型変異EFA6Cでは,野生型と比べてその活性化能が著しく減弱していた。③EFA6C とARF6をHleLa細胞に遺伝子導入し細胞内局在を比較した結果,EFA6CとARF6は共に細 胞膜に局在した。野生型と不活性型変異EFA6C蛋白発現ベクターをHeLa細胞に細胞導入し た結果では,野生型EFA6Cでは細胞膜のrufflingが見受けられたのに対し,不活性型変異 EFA6Cを細胞導入したものでは細胞膜が棘状に変化していた。④ノーザンブロット法では, 脳に特異的にmRNA発現が検出された。⑤EFA6CmRNAの脳内発現局在をノ1"ノ121ハイブリ ダイゼーション法により検討した結果,EFA6CmRNAの発現は,成熟期において小脳プルキ ンエ細胞層及び脈絡叢に限局していた。⑥EFA6C特異抗体を用いた免疫染色により,小脳プ ルキンエ細胞の樹状突起とシナプス後腰に強い免疫陽性反応が認められた。

考察

EFA6CはARF6を活性化させ,マウス小脳のプルキンエ細胞,特に樹状突起およびシナプ ス後腹に強く発現していた。EFA6A-ARF6伝達系が脳海馬神経細胞の樹状突起形成に関与し ていることと合わせて,EFA6C-ARF6伝達系がプルキンエ細胞においても神経樹状突起形成 に関与している可能性が示唆された。 一379一

(5)

審査結果の要旨

これまでに同定された6種類のADPリボシル化因子(ARF)の一つARF6は細胞膜に存在 し,アクチン細胞骨格や細胞膜小胞輸送の制御に関与している。そのGDP結合型(不活性型) をGTP結合型(活性型)へ特異的に変換し活性化するEFA6(exchallgefactorforARF6) は,少なくともA∼Dの4種からなる。これまでEFA6Cは,ノーザンブロット法によるヒト での臓器発現解析によって中枢神経系に発現することが報告されているが,詳細な遺伝子発現や 細胞内局在の報告はなく,機能は不明である。本研究はEFA6C機能解明の一助として,その マウス神経系における遺伝子発現および蛋白発現局在を解析したものである。 実験にC57BL/6成熟マウスを使用した。①マウス脳cDNAライブラリーから,ヒトEFA6C のマウス相同遺伝子のクローニングを行い,その一次構造を決定した。②EFA6CのARFに対 する活性を確認するため,pu11-downassayを行った。③EFA6C蛋白発現ベクターとARF1 もしくはARF6とをHeLa細胞に共導入し,細胞内での局在と細胞膜の形状変化を観察した。 ④ノーザンブロット法によりEFA6Cの臓器でのRNA発現を確認した。⑤中枢神経系におけ るEFA6CmRNAの発現を,117sllz`ハイブリダイゼーション法で検討した。⑥EFA6Cに対 する特異抗体を作成し,小脳の細胞分画を用いたウエスタンプロット法及び免疫組織学解析によ り本分子の細胞内局在を検討した。 結果は,①マウスEFA6Cは,アミノ酸770残基,推定分子量84kDaで,ヒトEFA6Cと88 %の相同性を示した。②Pull-downassayにより,EFA6Cは,ARF1と比較しARF6に対し てより強いGEF活性能を示し,Sec7領域を点変異した不活性型変異EFA6Cはその活性化能 が著しく減弱していた。③EFA6CとARF6は共に細胞膜に局在し,細胞膜は野生型EFA6C でrufflingがみられたのに対し,不活性型変異EFA6Cでは棘状に変化していた。④ノーザン ブロット法より,脳に特異的に遺伝子発現が検出された。⑤in3吻ハイブリダイゼーションに より,EFA6CmRNAは成熟期において小脳プルキンエ細胞層及び脈絡叢に限局して発現して いた。⑥特異抗体を用いた免疫染色により,EFA6Cは小脳プルキンエ細胞の樹状突起とシナ プス後膜に強く局在が認められた。 即ち,EFA6CはARF6を活性化させ,マウス小脳のプルキンエ細胞の,特に樹状突起およ びシナプス後腰に強く発現することから,EFA6A-ARF6伝達系がこれまでに明らかとなった 脳海馬神経細胞に加えて,プルキンエ細胞においても神経樹状突起形成に関与している可能性が 示唆された。 本論文は新知見と今後の研究への示唆に富む。よって博士(医学)の学位論文として合格と認 める。

参照

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