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Prドープ耐候性フッ化物ファイバを用いた可視光ファイバレーザーの開発に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)Pド r ープ耐候性フッ化物ファイバを用いた可視光ファイバレーザーの開発に関する研究. 博士学位論文 3U ドープ耐候性フッ化物ファイバを用いた 可視光ファイバレーザーの開発 に関する研究. 近畿大学大学院 総合理工学研究科 エレクトロニクス系工学専攻 梶 川 翔 太. 梶川翔太.

(2) 内容梗概 本論文は、著者が近畿大学大学院総合理工学研究科エレクトロニクス系工学 専攻博士前期課程および後期課程在学中に行った可視光ファイバレーザー開発 に関する研究成果をまとめたものである。 これまで産業分野や学術分野において用いられてきたファイバレーザーの発 振波長は赤外波長域であり、高光エネルギー化や広帯域化などを目的に短波長 領域である可視光ファイバレーザーの開発が期待されている。ファイバレーザ ーの可視波長化が実現されれば、高効率かつ高品質かつ微細な加工および高速 光通信、高性能光シンセサイザーなどが実現され、加工分野や情報通信分野、 計測分野などに大きな波及効果を与えることが予測される。 本研究では、耐候性を持つ低損失な Al 系フッ化物ファイバをホストに、可視 域に広い蛍光を持つ Pr をドーパントとし、高効率発振可能な GaN 系青色半導体 レーザーを励起源に用いることで、これまでに無い高効率、高ビーム品質、高 輝度な可視光ファイバレーザー開発を行った。 本論文は以下の全 6 章により構成される。 第 1 章は、本論文に関する緒論であり、研究の背景および目的を示す。ファ イバレーザー、フッ化物ファイバ、GaN 系青色半導体レーザー、可飽和吸収体 に関して説明を行い、本研究が実現するに至った経緯を述べる。 第 2 章では、高ビーム品質かつ高効率な可視光ファイバレーザーの開発を行 った。Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバ(Pr:WPFGF)の光学特性ならびにレー ザー発振特性について述べる。また Al 系フッ化物ファイバでは世界初の構造と なるシングルモードコア構造かつダブルクラッド構造を持つ Pr ドープ耐候性フ ッ化物ファイバ(Pr:DC-WPFGF)のレーザー発振特性について述べ、シミュレ ーションと比較した。 第 3 章では、Pr:WPFGF を用いた小型で単純な構成を持つ可視光ナノ秒パルス ファイバレーザーの開発を行い、出力の高輝度化および高強度化を試みた。可 視全域に帯域を持つ単層グラファイトのグラフェンを可飽和吸収体に用いるこ とで、Pr:WPFGF レーザーの可視 4 蛍光波長帯域すべてにおける受動 Q-switch パルス動作を検証した。 第 4 章では、Pr:DC-WPFGF レーザーのピコ秒パルス化に関して検証を行った。 シミュレーションによる共振器設計の最適化および後方励起システムを採用す.

(3) ることでレーザー発振の高効率化を図り、グラフェン上のエネルギー密度を高 め、ピコ秒パルス発振を試みた。 第 5 章では、飽和強度がグラフェンよりも 3 桁小さい SESAM(Semiconductor Saturable Absorber Mirror)を可飽和吸収体に用いることで mode-lock パルス発振 を試みた。また Pr:DC-WPFGF の波長分散に着目し、ファイバ型分散補償光学系 である PCF(Photonic Crystal Fiber)の設計シミュレーションを行った。 第 6 章は結論であり、本研究で得られた成果についてまとめた。.

(4) 目次.  第 1 章 緒論 1.1 はじめに. 1. 1.2 希土類ドープファイバ. 2. 1.3 フッ化物ファイバ. 5. 1.4 可視光レーザーおよび Pr ドープレーザー. 7. 1.5 GaN 系青色発光ダイオードおよび半導体レーザー. 9. 1.6 パルスオペレーション. 10. 1.7 可視域に帯域を有する可飽和吸収体. 11. 1.8 本研究の目的と意義. 13. 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー 2.1 はじめに. 17. 2.2 Pr ドープ耐候性フッ化物ガラス. 17. 2.3 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバ. 21. 2.4 励起光光学系の諸特性. 23. 2.5 Pr:WPFGF レーザーおよび Pr:DC-WPFGF レーザーの発振特性. 24. 2.6 シミュレーションによる Pr:DC-WPFGF レーザーの発振特性解析. 30. 2.7 まとめ. 32. 第 3 章 グラフェンを用いた可視光ナノ秒パルスファイバレーザー 3.1 はじめに. 34. 3.2 グラフェンの可飽和吸収原理. 34. 3.3 グラフェン可飽和吸収ミラーの製作とその諸特性. 36. 3.4 グラフェンの可飽和吸収動作確認実験. 40. 3.5 可視光ナノ秒パルスファイバレーザー. 42. 3.6 グラフェンの Q-switch パルス発振閾値強度推定. 48. 3.7 時間領域における出力ノイズの考察. 49. 3.8 まとめ. 52.

(5) 目次. 第 4 章 グラフェンを用いた可視光ピコ秒パルスファイバレーザー 4.1 はじめに. 56. 4.2 高効率パルス光学系の構築. 56. 4.3 高効率可視光パルスファイバレーザー. 59. 4.4 可視光ピコ秒パルスファイバレーザー. 61. 4.5 まとめ. 64. 第 5 章 SESAM を用いた可視光パルスファイバレーザー 5.1 はじめに. 66. 5.2 SESAM の諸特性と共振器設計. 66. 5.3 SESAM を用いた可視光短パルスファイバレーザーの検討. 68. 5.4 分散補償 PCF の設計. 73. 5.5 まとめ. 77. 第 6 章 総括. 79. 謝辞. 業績目録.

(6) 第 1 章 緒論. 第1章 緒論. 1.1. はじめに.  インダストリー4.0 やスマートファクトリーの取り組みが世界各国で行われる 中、レーザー装置にはガスレーザーおよびディスクレーザーの代替としてファ イバレーザーの採用が進められている。ファイバレーザーは高ビーム品質、高 輝度、高効率、高安定動作が可能なレーザー装置である。2020 年における産業 用レーザー発振器市場において、ファイバレーザーの需要比率は 62%に達する と見込まれ、固体レーザーの需要比率 14%に対し圧倒的な需要が存在する[1]。一 方、一般的に用いられてきたファイバレーザーの発振波長は赤外波長であり、 高光エネルギー化や広帯域化などの実現に向けて、短波長領域の可視光ファイ バレーザー開発が期待されている。ファイバレーザーの可視波長化が実現され れば、高効率かつ高品質かつ微細な加工および高速光通信、高性能光シンセサ イザーなどが実現され、加工分野や情報通信分野、計測分野などに大きな波及 効果を与えることが予測される。 日本の可視光技術は、2014 年、GaN 系青色発光ダイオードの開発により赤崎 氏、天野氏、中村氏の日本人 3 名がノーベル物理学賞を受賞したことからわか るように、国際競争力を持つ技術分野である。現在では、ファイバ結合型 GaN 系青色半導体レーザーモジュール 1 台における出力は 100 W を超え、吸収係数 の観点から赤外光レーザーでは困難であった銅やニッケルなどの高品質なレー ザー加工が実現している[2]。近年、青色半導体レーザーに関する技術開発は、米 国や独国においても国家プロジェクトが進められ[3-5]、可視波長域レーザー産業 は益々国際競争が激しくなる分野である。一方、青色半導体レーザーは電気-光 変換効率は高いものの、低ビーム品質や低輝度、低コヒーレンス性などの欠点 を有しており、応用範囲は限定的である。これらの欠点を補う目的で青色半導 体レーザーを励起源に用いた可視光ファイバレーザー開発の重要性は、赤外光 ファイバレーザー開発の歴史から容易に推測することができる。. -1-.

(7) 第 1 章 緒論 GaN 系青色半導体レーザーの高出力動作波長である 445 nm において吸収を示 す元素としては、希土類元素の Pr3+が知られている。Pr3+は可視域において赤 (637nm 帯)、橙(605nm 帯)、緑(522nm 帯)、青(490nm 帯)の 4 つの蛍光波 長帯域を有した元素であり、フッ化物ホストにドーピングすることで高効率な 蛍光を示すことが知られている[6-8]。近年、アルカリ金属を含まない耐候性に優 れた Al 系フッ化物ファイバの低損失化が達成されたことから、産業応用に適し たフッ化物ファイバレーザーの開発が可能になった。 本研究では、将来の加工分野や情報通信分野、計測分野を牽引する、次世代 の可視光ファイバレーザー開発を目的とした。Pr3+をドーピングしたフッ化物フ ァイバおよび GaN 系青色半導体レーザーを用い、高効率、高ビーム品質、高輝 度な可視光ファイバレーザーの開発を行った。また可視光ファイバレーザーの 応用拡大を目的に出力のパルス化についても検証した。 次節以降では、希土類ドープファイバやフッ化物ホスト、GaN 系青色半導体 レーザー、パルス動作、可飽和吸収体に関して説明を行い、本研究の背景を述 べる。. 1.2 希土類ドープファイバ[9-11] 本来、ファイバおよび希土類ドープファイバは、高い周波数帯域を搬送波に 利用する光通信への応用を目的に研究がなされていた。1970 年代、低損失な石 英系ファイバの実現と半導体レーザーの室温連続発振が実現され、この後のフ ァイバレーザー実用化の端緒となっている[12]。ファイバレーザーは、単位長さ 当たりの利得が小さくても相互作用長が長いため十分な総合利得が得られる。 またファイバは表面積/体積比が固体レーザーに比べ 4 桁以上大きいことから冷 却能力が高い。加えて、横モード(以下、横モードをモードと総称する)はフ ァイバ導波路構造により制御されるため、熱によるビーム品質の劣化が少なく、 高輝度、高効率動作が可能である[13]。 ファイバレーザーの光学特性はドーパント(添加物)とホストで決定される。 ドーパントとしては元素番号が 58 から 71 の範囲にある類似した 14 個の元素グ ループである希土類元素(ランタノイド)が用いられる。希土類元素を石英系 ファイバやフッ化物ガラスファイバなどにドーピングすると、多くの場合、外 殻の 6s 電子 2 個と内殻の 4f 電子 1 個が取り除かれて 3 価のイオンとなる。この ドーパントの光学的特性は、不完全内殻 4f 電子で決まり、利得スペクトルの広 -2-.

(8) 第 1 章 緒論 がりを除いて、ホストにはあまり影響されない。これは 4f 電子が完全外殻 5s、 5p 電子で遮断されているからである[9-10]。ファイバレーザーには、プラセオジム (Pr)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ネオジム(Nd)、ホルミウム (Ho)、サマリウム(Sm)、ツリウム(Tm)などの希土類元素が使われ、波長 0.45 μm から 3.5 μm の発振が可能となっている。Table 1.1 に示したレーザーの発 振波長は単にスペクトル領域の目安であり、実際にはスペクトル広がりを持ち、 スペクトル帯域内で同調が可能である。室温において酸化物系ファイバへのド ーピングでは蛍光を示さない希土類元素も存在する[9-10]。本研究で用いる Pr3+も 酸化物系のファイバでは蛍光を示さず、フッ化物ファイバのコアにドーピング することで、赤(637nm 帯)、橙(605nm 帯)、緑(522nm 帯)、青(490nm 帯) の蛍光を示す。これはフッ化物ガラスが酸化物ガラスに比べフォノンエネルギ ーが低く、マルチフォノン緩和が起こりにくいことに起因する[11]。一例として ホウケイ酸系の酸化物ガラスとフッ化物ガラスに同量の Pr3+をドーピングして 作製した試料のエネルギー準位図を Fig. 1.1 に示す。これらの発光ピークは Table 1.1 に示した Pr3+のエネルギー準位に帰属できる[14]。  その他に希土類イオンのマルチフォノン緩和を抑えるホストとしては、重金 属酸化物ガラスや S、Se、Te 化合物からなるカルコゲナイドガラスが知られて いる。しかしながら、これらの材料は紫外から可視域の透過率が低いため、短 波長域でのファイバの透過損失が大きくなり、Pr3+をドーピングしても短波長域 の利得を得ることは困難である[9-10]。. -3-.

(9) 第 1 章 緒論 Table 1.1. Wavelengths emitted by rare-earth-doped fiber lasers[9-10]. 㻌㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌㻌. Dopant ion. Transition. Type of fiber. Wavelength [μm]. Fluoride. 0.49. Fluoride. 0.52. Fluoride. 0.61. Pr3+. 3. 3+. 3. Pr3+. 3. Pr3+. 3. Fluoride. 0.64. Pr3+. 3. P0→3F4. Fluoride. 0.72. Pr3+. 3. D2→3F4. Silica. 1.05. Pr3+. 1. G4→3H5. Fluoride. 1.32. Pr. P0→3H4 3. P1→ H5 P0→3H6 P0→3F2. Yb3+. 3. F5/2→3F7/2. Silica/Fluoride. 1.02. Er3+. 4. S3/2→4I15/2. Fluoride. 0.55. Er3+. 4. Fluoride. 0.85. Er3+. 4. Fluoride. 0.98. Er3+. 4. Silica/Fluoride. 1.55. Er3+. 4. S3/2→4I9/2. Fluoride. 1.72. Er3+. 4. I11/2→4I13/2. Fluoride. 2.70. Er3+. 4. Fluoride. 3.50. Nd3+. 5. F3/2→5I9/2. Silica. 0.92. Nd3+. 5. F3/2→5I11/2. Silica. 1.06. Nd3+. 5. Silica/Fluoride. 1.35. Fluoride. 0.55. S3/2→4I13/2 I11/2→4I15/2 I13/2→4I15/2. F9/2→4I9/2. F3/2→5I13/2. Ho3+. 5. S2→5I8. Ho3+. 5. F5→5I8. Fluoride. 0.65. Ho3+. 5. S2→5I7. Fluoride. 0.75. Ho3+. 5. Fluoride. 1.38. S2→5I5. Ho3+. 5. Silica/Fluoride. 2.08. Ho3+. 5. I6→5I7. Fluoride. 2.90. G5/2→6H9/2. Silica. 0.65. Sm3+. I7→5I8. 4. Tm3+. 1. D2→3F4. Fluoride. 0.45. Tm3+. 1. G4→3H5. Silica/Fluoride. 0.48. Tm3+. 3. Fluoride. 0.80. Tm3+. 3. Fluoride. 1.47. Tm3+. 3. F4→3H6. Silica/Fluoride. 1.90. Tm3+. 3. H5→3H4. Fluoride. 2.30. H4→3H6 F4→3H4. -4-. 㻌㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌㻌.

(10) 第 1 章 緒論. 25 Fluoride glass. Oxide glass. 3P 0. Red. Orange. Green. Cyan. Orange-Red. 10. Multiphonon relaxation Excitation. Energy [x103 cm-1]. 20 15. 3P 2. 1D. 2. 1G 4. 3F. 4. 3F 2 3H 6. 5. 3H 5. 0. 3H 4. Fig. 1.1. Energy diagram of Pr3+ in Fluoride glass (Left) & Oxide glass (Right)[14].. 1.3 フッ化物ファイバ[14-15] フッ化物ファイバには様々な組成が開発されている [14-18]。実用化されている 最も有名なフッ化物ガラスはフッ化ジルコニウム(ZrF4)を含む系統のガラスで ある。1975 年に発表[17]されてから研究が盛んになり、次々と成分が追加され、 製造しやすくなってきた。その中でも ZBLAN(ZrF4-BaF2-LaF3-AlF3-NaF)と呼 ばれるガラスは結晶を含まない比較的大きなガラスが得られる。また ZBLAN ガ ラスは成分の ZrF4 を化学的特性の似ているフッ化ハフニウム(HfF4)に置換し てもガラスになる。従って、熱物性を大きく変えずに屈折率を調整することが 可能なため、ファイバ材料に適した材料である。一方、ZBLAN ガラスの問題点 は、アルカリ金属を含むため耐水性が悪く耐候性が劣ること、ならびにガラス 転移温度が約 250℃と低く線熱膨張が大きいため高輝度な光の伝搬では溶融や損 傷が生じ易いことである。 フッ化アルミニウム(AlF3)系ガラスは ZrF4 系ガラスよりも古くから知られ ていたが、ZBLAN よりも微結晶が生じやすく、母材成型時や紡糸時に急冷が必 要であり製造しにくいガラスである。また ZBLAN よりも赤外透過特性が劣るこ. -5-.

(11) 第 1 章 緒論. ともありファイバにはあまり使われてこなかった。一方、AlF3 系ガラスにも利 点は多く存在する。AlF3 系ガラスの一般的な組成は AlF3-YF3-RF2 (R=Mg, Ca, Sr, Ba)であり、アルカリ属化合物を含まないため耐候性に優れている。ガラス転移 温度は約 400℃と ZBLAN よりも高いため利用範囲は広い。また屈折率は 1.42~ 1.46 とシリカガラスに近く、ファイバ接合時の損失発生を抑制できる材料であ る[14]。2009 年、ZBLAN ファイバの光透過損失と同程度の 0.1 dB/km と低損失な Al 系フッ化物ファイバの開発に成功し、レーザー媒質としての応用が広がって いる[7-8,18]。 他にもフッ化物ガラスの組成は BeF2 系、ThF4 系、ScF3 系、GaF3 系、ZnF2 系、 CdF2 系、PbF2 系などが開発されているが、ホストに有害物質(Be)、放射性物 質(Th)、レアメタル(Sc、Ga)、揮発性物質(Zn)、環境汚染物質(Cd、Pb) が含まれるといった欠点があり用途が限られている[14]。 フッ化物ファイバは母材を紡糸する事で作製する。母材作製方法を Fig. 1.2 に 示す。母材の作製方法としてはコアガラスロッドをクラッドとなる石英管に挿 入するロッドインチューブ法(Fig. 1.2(a))、クラッド管にコアガラス融液を流 し込むビルトインキャスティング法(Fig. 1.2(b))、コアとクラッドの溶融ガラ スを重ねて流し込むサクションキャスティング法(Fig. 1.2(c))などが知られ ており、ガラスの特性に合わせた方法が用いられる。母材の紡糸はシリカ系ガ ラスと同様、加熱延伸機として紡糸機が用いられるが、フッ化物ガラスの場合、 フッ素と酸素の反応を避けるため不活性ガス中で紡糸が行われる。フッ化物ガ ラスの粘度は温度により急激に変化するためヒーター温度や紡糸のスピード調 整を繊細に行わなければならない。また結晶化抑制のためファイバの急冷が必 要である[14-15]。 フッ化物ファイバの欠点を下記に列挙する。 ① 多成分ガラスであるがゆえ、ファイバ母材およびファイバ内部に微結晶を 含みやすく、製造の難度が高い。 ② ガラス転移点と融点の温度差が小さいことから母材成型や紡糸が難しい。 ③ フッ素を原料に含むため製造時に排ガス処理を必要とする。 ④ アルカリ金属を含む組成が多く、吸湿性を持つことから耐候性が劣る。 ⑤ 石英ガラスに比べ剛性が低く、機械的強度が低い。 このように、フッ化物ファイバは製造面での技術的課題および使い勝手の課 題を有したファイバであり、現在では希土類イオンのマルチフォノン緩和を抑. -6-.

(12) 第 1 章 緒論. えるホストとして選択するか、長波長帯の高い透過特性を得るために用いるか、 いずれかの目的に利用されている。. 㻔㼍㻕. 㻔㼎㻕. 㻔㼏㻕. 㻯㼛㼞㼑㻌㼓㼘㼍㼟㼟㻌㼙㼑㼘㼠 㻯㼛㼞㼑㻌㼓㼘㼍㼟㼟 㻯㼘㼍㼐㼐㼕㼚㼓㻌㼓㼘㼍㼟㼟㻌㼙㼑㼘㼠 㻯㼘㼍㼐㼐㼕㼚㼓㻌㼓㼘㼍㼟㼟 Fig. 1.2. Preform fablication. [14]. . .. (a) Rod-in-tube method, (b) Built-in-casting process, (c) Suction-casting process.. 1.4 可視光レーザーおよび Pr ドープレーザー[19]  これまで可視光を得るために、波長変換レーザーやガスレーザー、色素レー ザー、半導体レーザーなど様々な手法を用いたレーザー装置の開発が行われて きたが、フォトンコストとレーザーの品質(高ビーム品質、高輝度、高コヒー レンス性)を持ち併せたレーザー装置は存在しない。例えば、高出力赤外光レ ーザーを用いた波長変換レーザーは核融合用レーザーのように高出力を得るこ. -7-.

(13) 第 1 章 緒論. とが可能であるが、非線形効果による高調波成分を利用するため、ピークパワ ーの高い基本波が必要であり発振波長は離散的となる。ガスレーザーは装置が 大型になりやすく電気-光変換効率が悪い。色素レーザーは連続的な波長可変範 囲が広く理科学研究等には有用であるが、出力は低く、装置の構成ならびに運 用が複雑になる。半導体レーザーは低ビーム品質であり低コヒーレンス性かつ 低輝度である。以上より、フォトンコストとレーザーの品質を持ち併せたレー ザー装置の存在意義が大きいことがわかる。 ここからは、Pr ドープファイバレーザーについて述べる。Pr3+のエネルギー準 位図を Fig. 1.1 に示したように、可視域において 1 つの代表的な励起遷移および 4 つの蛍光遷移が存在する。3P0 が準安定準位であり、ホストやドーピング濃度 により異なるが上準位寿命は数十 μs である。最も効率的な励起遷移は 3H4→3P0 であるが、熱緩和があるため 3H4→3P1、3P2、1I6 も励起可能である。可視 4 蛍光 波長の遷移は 3P0→3H4(482 nm)、3P1→3H5(523 nm)、3P0→3H6(605 nm)、3P0→3F2 (637 nm)である。例えば 442 nm で励起を行い、482 nm でレーザー発振した場 合のストークス効率は 92%となる。3P0→3H4(482 nm)のエネルギー準位は 3 準 、3P0→3H6(605 nm)、3P0→3F2(637 nm)は 4 準位である。 位、3P1→3H5(523 nm) また 3P0→3H6(605 nm)に関しては 3H4→1D2 の吸収と一致し自己吸収が存在す ることに注意が必要である。 これまでに報告されてきた Pr ドープレーザーに用いられてきたホストはフッ 化物ファイバ(ガラス)およびフッ化物結晶である[20-25]。室温において世界で 初めて可視光発振を達成したのは 1991 年、Pr3+を ZBLAN ファイバにドーピング した Pr:ZBLAN を用いた、Pr:ZBLAN ファイバレーザーであり、赤(637nm 帯)、 橙(605nm 帯)、緑(522nm 帯)、青(490nm 帯)の可視 4 蛍光波長においてレ ーザー発振が報告されている[20]。1994 年には、YLF(Yttrium, Lithium, Fluoride) 結晶に Pr3+をドーピングした Pr:YLF を用いた可視光レーザーが報告されている [21]. 。当時、励起光源に用いられていたのは Ar-ion レーザーのみであり、大型か. つフォトンコストの高い構成を強いられ、工業用途に不向きなレーザー装置で あ っ た 。 2000 年 代 に 入 り 、 二 倍 高 調 波 を 用 い た OPSL ( Optically Pumped Semiconductor Laser)や GaN 系青色半導体レーザーが出現し、小型かつ高効率な 励起が可能になった。Pr:ZBLAN ファイバレーザーの励起源としては、2005 年 に 2ω-OPSL が、2009 年に GaN 系青色半導体レーザーが初めて用いられた。現 在では Pr3+ドープレーザーの励起源として GaN 系青色半導体レーザーが主流と なっている[21-25]。. -8-.

(14) 第 1 章 緒論. 1.5 GaN 系青色発光ダイオードおよび半導体レーザー[26-36] Ⅲ-Ⅴ族窒化物系化合物半導体である GaN のエネルギーバンド構造は直接遷 移型のバンド構造であり、In や Al を共ドーピングし結晶の質をコントロールす ることで、室温でのバンドギャップエネルギーを 1.95 eV から 6.0 eV まで調整す ることが可能である。これは波長 206 nm から 636 nm に相当するバンドギャッ プエネルギーであり、紫外域から可視域をカバーする半導体材料である。 一方、GaN 系半導体にはエピタキシャル成長用の適当な基板がなく、格子不 整のため高品質な結晶が得られず、高効率な発光を示すデバイスの開発は困難 であった[26]。良質な結晶を得るために用いられた手法は、サファイア基板上に 低温で AlN または GaN のバッファ層を導入することであり、2014 年にノーベル 物理学賞を受賞した天野氏により初めて報告された [27-28]。バッファ層上に高温 で GaN エピタキシャル膜を成長させると GaN 膜の結晶性および表面モフォロジ ーが飛躍的に向上する。さらに 1989 年には赤崎氏と天野氏により電子線照射を 行う手法が発明され、長年つくることができなかった低抵抗 p 型 GaN 膜が得ら れ、p-n 接合発光ダイオード(LED)が得られるようになった[26,29-31]。1992 年に は中村氏により、量産性に優れた熱的アニーリング処理を行うことで p 型 GaN 膜が得られることが発見され、長年 p 型結晶ができなかった理論を解明した[32-33]。 1993 年、中村氏が世界に先駆け発明、実用化した高輝度青色 LED は InGaN を発 光層にしたダブルヘテロ構造を有したもので、従来の 100 倍もの明るさを実現 した[34]。 従来の GaN 系では結晶欠陥が多いため、発光ダイオードは開発できても、半 導体レーザーは実用化できないとの予測がされていた。GaN 系半導体では 1971 年に光励起でレーザー発振が観測されたのみであった。室温パルス電流注入下 でレーザー発振が初めて報告されたのは 1995 年であり、波長 417 nm において 200 mW を超える出力が中村氏により発表された[35]。レーザーの発振特性は、低 駆動電圧化、低駆動電流化により改善され、現在ではワンチップアレイでの出 力は 100 W を超えている[36]。また出力 100 W のファイバ結合型高輝度青色半導 体レーザーモジュールも製品化に至っており、Pr ドープレーザーを商業分野で 利用するための励起源として有用かつ十分な出力が得られるようになっている [2,36]. 。. 耐候性を持つ低損失な Al 系フッ化物ファイバをホストに、可視域に広い蛍光 を持つ Pr をドーパントとし、高効率発振可能な GaN 系青色半導体レーザーを励 -9-.

(15) 第 1 章 緒論. 起源として組み合わせることで、フォトンコストとレーザーの品質を持ち合わ せた可視光レーザーが実現可能となる。. 1.6 パルスオペレーション[37-38]  半導体励起可視光ファイバレーザーが実現すると、次の開発の視野に入るの はレーザー出力の高強度化すなわちパルス化である。パルスの時間スケールに よって、物質とレーザーとの相互作用は異なり、応用例も変わってくる。例え ば、ナノ秒パルス出力は瞬間的に高いエネルギーを得ることが可能であり一般 的に熱加工分野への応用がなされている。また加工対象物質の電子-フォノン結 合時間よりも短い、ピコ秒やフェムト秒の時間スケールになれば、レーザーエ ネルギーが効率よく吸収され、非熱的加工が可能となる[37]。  ナノ秒パルスを得る手法としては、主に下記の 3 種類が用いられる。 ①可飽和吸収体や光変調器などの光学シャッタをレーザー共振器内に設置し、 時間的に共振器の Q 値を変化させ光パルスを発振させる Q-switch 方式 ②CW レーザーからの出力を AOM(Acousto-Optical Modulater)や LN(LiNbO3: ニオブ酸リチウム)光強度変調器などで光パルスを切り出す外部変調方式 ③seed レーザーの励起電流を直接変調し発振を時間的に制御する直接変調方 式 外部変調方式や直接変調方式のパルスレーザーから出力される光パルス強度 は Q-switch 方式と比べ小さく、必要な強度を得るために、高利得、高出力のフ ァイバ型光増幅器が必要になる。そのため、利得ファイバが長くなりやすく、 非線形光学効果によるエネルギー拡散や波形歪みの問題が生まれる[38]。 ピコ秒やフェムト秒領域のパルス光を得るには、mode-lock 動作を行う必要が ある。mode-lock パルスレーザーは周波数軸上においてスペクトル強度が等間隔 に揃うため、非熱加工への応用に加え、計測分野への応用にも期待される。 mode-lock パルスは装置構成の簡便化を目的として、グラフェンや SESAM (Semiconductor Saturable Absorber Mirror: 半導体可飽和吸収ミラー)、Cr:YAG、 非線形増幅ループミラー、非線形偏波回転などの可飽和吸収体を用いた受動 mode-lock パルスの需要が存在する。 本研究では、高いパルス強度が得られ装置の簡便化が期待される可飽和吸収. - 10 -.

(16) 第 1 章 緒論 体をパルス発生素子に用い、Q-switch パルス発振および mode-lock パルス発振を 試みた。. 1.7 可視域に帯域を有する可飽和吸収体  可飽和吸収体の性能指数として吸収波長帯域、リカバリー時間、飽和強度、 光ダメージ閾値などが重要である。可視波長領域はレーザー分野でも先進的な 波長帯域のため、有望な可飽和吸収体の報告は多くない。可視域に帯域を持つ 可飽和吸収体として、グラフェンや SESAM、Cr:YAG が一般的に知られている [22-25]. 。これら可飽和吸収体の諸特性を Table 1.2 にまとめた。. 炭素原子による 2D 構造を持つグラフェンは、柔軟性があり小型であることか ら、ファイバレーザーの共振器内に容易に組み込むことが可能であり、ファイ バレーザーのパルス化に適した可飽和吸収体である。グラフェンは赤外光ファ イバレーザーにおいて既に活発に応用されており、フェムト秒パルスレーザー 発振の実績がある可飽和吸収体である[22]。また Fig. 1.3 に示すようにグラフェン は赤外域から紫外域において 2.3%一定の光吸収を示すことが知られており、リ カバリー時間は 0.2 ps と短い[39]。一方、グラフェンを可視域に用いる際の問題 点としては飽和強度の高さがあげられる。グラフェンの飽和強度は波長の六乗 に反比例して大きくなることが予測されており、その関係に従うのであれば、 可視域におけるグラフェンの飽和強度は数十 GW/cm2 と高くなることが予測さ れる[22,40]。 SESAM も良く知られた可飽和吸収体であり、既に Pr:YLF レーザーにおいて、 Q-switch パルスおよび mode-lock パルスの報告例がある。飽和強度は数十 MW/cm2 とグラフェンに比べ 3 桁程小さい値であるが[23-24]、その吸収帯域は狭く、 単一の素子で Pr3+の可視 4 蛍光波長全てをカバーすることは出来ない。 Cr:YAG に関しては、赤外域において代表的な可飽和吸収体であるが、リカバ リー時間がナノ秒程度であり、mode-lock 動作には向かない可飽和吸収体である [25]. 。. - 11 -.

(17) 第 1 章 緒論. Table 1.2. A comparision of properties of Gpaphene, SESAM and Cr:YAG at visible wavelength range[22-25]. Single layer. SESAM. Graphene. Cr:YAG. Absorption bandwidth. 630nm-650nm. Ultraviolet-Infrared. Visible(Red)-Infrared. Recovery time. >300-20 ps. >0.2 ps. >26 ns. Saturation intensity. >10 MW/cm2. 10-600 GW/cm2. >0.7 MW/cm2. Damage threshold. >370 GW/cm2. >10 GW/cm2. >10 GW/cm2. Fabrication. Complex. Simple. Complex. Fiber compatibility. Not good. Good. Not good. Fig. 1.3. Wavelength-independent optical absorption of 2.3% in graphene[39].. - 12 -.

(18) 第 1 章 緒論. また近年の研究では、金属ナノシート(MoS2)[41]や黒リン[42]、トポロジカル 絶縁体(Bi2Se3、Bi2Te3 など)[43]、酸化グラフェン[44]などのファイバに適した 2D 構造を有する可飽和吸収体が活発に研究されている。ただ金属ナノシートのエ ネルギーバンドギャップは 1.1~2.0 eV、黒リンの飽和強度は波長 400 nm におい て 455 GW/cm2 であり、それぞれパルス発振閾値が高く mode-lock パルスレーザ ーには適さない可飽和吸収体である。  以上より、本研究では赤外域において mode-lock パルス発振例があり Pr の可 視全蛍光帯域をカバー可能なグラフェン、ならびに飽和強度の低さから mode-lock パルス発振が得られやすい SESAM を可飽和吸収体に用い、可視光パ ルスファイバレーザーの開発を行った。. 1.8 本研究の目的と意義 本研究では、ファイバレーザーの高光エネルギー化や広帯域化の実現を目標 に高周波領域である可視波長帯域に着目し、次世代の加工分野や情報通信分野、 計測分野を牽引する高性能な可視光ファイバレーザー開発を目的とした。低損 失かつ高耐候性を有する Al 系フッ化物ファイバおよび、高出力かつ高効率な GaN 系青色半導体レーザーの出現が、可視光直接発振可能なファイバレーザー 開発の端緒となった。耐候性を持つ低損失な Al 系フッ化物ファイバをホストに、 可視域に広い蛍光を持つ Pr をドーパントとし、高効率発振可能な GaN 系青色半 導体レーザーを励起源として組み合わせることで、フォトンコストとレーザー の品質を持ち合わせた可視光レーザーの実現を目的とした。 また、可視全域に帯域を有するグラフェンを可飽和吸収体に用いることで、 Pr:WPFGF レーザーの可視 4 蛍光波長全てにおいて受動 Q-switch パルス化を行い、 出力の高輝度化および高強度化を試みる。加えて非熱加工への応用や周波数制 御による計測分野への応用を目標に、可視光 mode-lock パルスファイバレーザー 開発の検討を進めた。. - 13 -.

(19) 第 1 章 緒論. 参考文献 [1]. 遠藤光司, 産業用レーザー市場の現状と将来展望, 月刊 OPTRONICS 綴 込み付録 (2018 年 1 月号).. [2]. R. Higashino, M. Tsukamoto, Y. Sato, N. Abe, K. Asano, Y. Funada, Proc. SPIE 10095, Laser 3D Manufacturing IV, 100950X (2017).. [3]. H. König, A. Lell, B. Stojetz, M. Ali, C. Eichler, M. Peter, A. Löffler, U. Strauss, M. Baumann, A. Balck, J. Malchus, V. Krause, Proc. SPIE 10514, High-Power Diode Laser Technology XVI, 1051402 (2018).. [4]. A. Balck, M. Baumann, J. Malchus, R.V. Chacko, S. Marfels, U. Witte, D. Dinakaran, S. Ocylok, M. Weinbach, C. Bachert, A. Kösters, V. Krause, H. König, A. Lell, B. Stojetz, A. Löffler, U. Strauss, Proc. SPIE 10514, High-Power Diode Laser Technology XVI, 1051403 (2018).. [5]. M.S. Sa, M. Finuf, R. Fritz, J. Tucker, J.M. Pelaprat, M.S. Zediker, Proc. SPIE 10514, High-Power Diode Laser Technology XVI, 1051407 (2018).. [6]. S. Kajikawa, M. Yoshida, O. Ishii, M. Yamazaki, Y. Fujimoto, Opt. Comm., 424 (2018).. [7]. Y. Fujimoto, O. Ishii, M. Yamazaki, Elect. Lett., 45, 25 (2009).. [8]. T. Iqbal, M.R. Shahriari, G. Merberg, G.H. Sigel, J. Mater. Res., 6, 2 (1991).. [9]. G. Agrawal, Nonlinear Fiber Optics, Academic Press (2012).. [10]. G.P. アグラワール, 非線形ファイバー光学, 吉岡書店 (2004).. [11]. 神成文彦, 応用物理, 85, 10 (2016).. [12]. 吉田実, レーザー研究, 40, 6 (2012).. [13]. 住村和彦, 大阪大学博士論文 (2007).. [14]. 山嵜正明, レーザー研究, 40, 6 (2012).. [15]. T. Iqbal, M.R. Shahriari, G. Merberg, G.H. Sigel, J. Mater. Res., 6, 2 (1991).. [16]. 森永健次, 藤野茂, レーザー研究, 30, 6 (2002).. [17]. M. Poulain, J. Lucas, P. Brun, Mater. Res. Bull., 10, 243 (1975).. [18]. 小林健二, 分析化学, 42, 2 (1993).. [19]. Y. Fujimoto, J. Nakanishi, T. Yamada, O. Ishii, M. Yamazaki, Prog. Quantum. Electron., 37, 4 (2013).. [20]. R.G. Smart, J.N. Carter, A.C. Tropper, D.C. Hanna, S.T. Davey, S.F. Carter, D. Szebesta, Opt. Comm., 86 (1991). - 14 -.

(20) 第 1 章 緒論 [21]. T. Sandrock, T. Danger, E. Heumann, G. Huber, B.H.T. Chai, Appl. Phys. B, 58, 2 (1994).. [22]. S. Yamashita, A. Martinez, B. Xu, Opt. Fiber Tech., 20, 6 (2014).. [23]. M. Gaponenko, P.W. Metz, A. Harkonen, A. Heuer, T. Leinonen, M. Guina, T. Südmeyer, G. Huber, C. Kränkel, Opt. Lett., 39, 24 (2014).. [24]. K. Iijima, R. Kariyama, H. Tanaka, F. Kannari, Appl. Opt., 55, 28 (2016).. [25]. H. Tanaka, R. Kariyama, K. Iijima, K. Hirosawa, F. Kannari, Opt. Express, 23, 15 (2015).. [26]. 中村修二, 応用物理, 65, 7 (1996).. [27]. H. Amano, N. Sawaki, I. Akasaki, Y. Toyoda, Appl. Phys. Lett., 48, 353 (1986).. [28]. 天野浩, 日本結晶学会誌, 39, 2 (1997).. [29]. H. Amano, M. Kito, K. Hiramatsu, I. Akasaki, Jpn. J. Appl. Phys., 28, L2112 (1989).. [30]. 天野浩, 赤崎勇, 応用物理, 60, 163 (1991).. [31]. H. Amano, M. Kito, K. Hiramatsu, I. Akasaki, Inst. Phys. Conf. Ser., 106, 725 (1989).. [32]. S. Nakamura, T. Mukai, M. Senoh, N. Iwasa, Jpn. J. Appl. Phys., 31, L139 (1992).. [33]. S. Nakamura, N. Iwasa, M. Senoh, T. Mukai, Jpn. J. Appl. Phys., 31, 1258 (1992).. [34]. S. Nakamura, T. Mukai, M. Senoh, Appl. Phys. Lett., 64, 1687 (1994).. [35]. S. Nakamura, M. Senoh, S. Nagahama, N. Iwasa, T. Yamada, T. Matsushita, H. Kiyoku, Y. Sugimoto, Jpn. J. Appl. Phys., 35, L74 (1996).. [36]. 小林洋平, 「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」(2016~2020 年度 5 年間) プロジェクトの概要(公開) , NEDO 中間評価分科会 (2018).. [37]. M. Fujita, M. Hashida, J. Plasma Res., 81, Suppl. (2005).. [38]. 松下俊一, 宮戸泰三, 橋本博, 大谷栄介, 内野竜嗣, 藤崎晃, 古河電工時 報, 第 131 号 (平成 25 年 2 月).. [39]. R.R. Nair, P. Blake, A.N. Grigorenko, K.S. Novoselov, T.J. Booth, T. Stauber, N.M.R. Peres, A.K. Geim, Science, 320, 5881 (2008).. [40]. C.C. Lee, N. Keschl, T.R. Schibli, Proc. Ultrafast Optics, Fr2.1. (2013).. [41]. W. Li, J. Peng, Y. Zhong, D. Wu, H. Lin, Y. Cheng, Z. Luo, J. Weng, H. Xu, Z. Cai, Opt. Mater. Express, 6, 6 (2016).. [42]. D. Wu, Z. Cai, Y. Zhong, J. Peng, Y. Cheng, J. Weng, Z. Luo, H. Xu, IEEE J. - 15 -.

(21) 第 1 章 緒論 Sel. Top. Quant. Electron., 23, 1 (2017). [43]. D. Wu, Z. Cai, Y. Zhong, J. Peng, J. Weng, Z. Luo, N. Chen, H. Xu, IEEE Photon. Technol. Lett., 27, 22 (2015).. [44]. Y. Zhong, Z. Cai, D. Wu, Y. Cheng, J. Peng, J. Weng, Z. Luo, B. Xu, H. Xu, IEEE Photon. Technol. Lett., 28, 16 (2016).. - 16 -.

(22) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 第2章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 2.1 はじめに 可視光レーザーは医療(創薬、外科手術等)、生物学(フローサイトメーター)、 精密加工、マーキング、太陽電池加工、ディスプレイなど、様々な分野への応 用が広がっている[1]。高ビーム品質化、多波長化、高効率化などの高機能化が達 成されれば、可視光レーザーのさらなる応用の拡大が見込まれる。 本章では、高ビーム品質かつ高効率な可視光ファイバレーザー開発に関して 述べる。まず(株)住田光学ガラスとの共同研究により開発た、Al 系フッ化物ガラ スおよびファイバの諸特性を述べ、産業応用に適した新たなフッ化物ホストを 紹介する。また Pr:WPFGF を用いレーザー共振器長 40 mm~60 mm といった小型 なレーザー装置を構成し、赤(637nm 帯)、橙(605nm 帯)、緑(522nm 帯)、青 (490nm 帯)の 4 つの蛍光波長帯域においてレーザー発振実験を行った。励起 光源には、GaN 系青色半導体レーザーを用いることで、高効率励起を実現して いる。また Al 系フッ化物ファイバでは世界初の構造となるシングルモードコア 構造かつダブルクラッド構造を 有した Pr:DC-WPFGF(Pr-doped double-clad structured waterproof fluoride glass fiber)のレーザー発振特性についても評価を行 った。. 2.2 Pr ドープ耐候性フッ化物ガラス[2-4] 本研究で用いる、アルカリ金属を含まない Al 系フッ化物ガラスを耐候性フッ 化物ガラス(waterproof fluoride glass (WPFG))、このガラスから構成されるフ ァイバを耐候性フッ化物ファイバ(waterproof fluoride glass fiber (WPFGF))と それぞれ呼ぶ。また Pr3+を WPFG にドーピングしたガラスを Pr ドープ耐候性フ ッ化物ガラス(Pr-doped waterproof fluoride glass (Pr:WPFG))、このガラスから 構成されるファイバを Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバ(Pr-doped waterproof. - 17 -.

(23) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー fluoride glass fiber (Pr:WPFGF))とそれぞれ呼ぶ。 まずは Pr:WPFG の耐候性について述べる。高温高湿環境に Pr:WPFG を長時間 晒すことで、耐候性試験を行った。Pr を 2000ppm ドーピングした 10 mm(幅) ×10 mm(幅)×1 mm(厚さ)の Pr:WPFG をサンプルに用いた。1 枚のサンプル は高温高湿の環境に、1 枚のサンプルは常温常湿の環境にそれぞれ 36 日間晒し た。高温高湿環境は Fig. 2.1 に示すように、外側のビーカーに水を浸した二重の ビーカーにサンプルを入れ、Al ホイルでビーカーの蓋を行い、それを 80℃の恒 温槽内に放置することで疑似再現された。耐候性試験後の各サンプル写真およ び各サンプル質量を Fig. 2.2 に、光透過特性を Fig. 2.3 に示す。常温常湿の環境 に晒したサンプルは 36 日間放置しても、重量変化および透過率変化は確認され なかった。高温高湿環境下に晒したサンプルは外観の変化を示さなかったもの の、重量は 0.52 g から 0.53 g と 0.01 g 増加した。また耐候性試験後の可視域に おける透過率は 1%から 2%程度減少した(Fig. 2.3)。これはサンプルが水分を吸 収したことによる光散乱や光吸収によるものだと考えられる。ZBLAN ガラスで は 23℃の耐水性試験において 5.23%の重量減少が生じると報告されていること より[3]、Pr:WPFG は ZBLAN ガラスよりも耐候性を有し、常温常湿環境で利用す る分には十分な耐候性を有したレーザー媒質である[4]。. Fig. 2.1. Setup of endurance test of AlF3 system fluoride glass in an oven at 80℃.. - 18 -.

(24) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. Fig. 2.2. Progress photographs of endurance test before and after[4].. 㻥㻢 㻥㻠. 㼀㼞㼍㼚㼟㼙㼕㼠㼠㼍㼚㼏㼑㻌㼇㻑㼉. 㻥㻞 㻥㻜 㻤㻤 㻤㻢 㻤㻠 㻤㻞. 㼕㼚㻌㼍㼕㼞 in humidified air at 80℃. 㻤㻜 㻠㻜㻜 㻢㻜㻜 㻤㻜㻜 㻝㻜㻜㻜 㻝㻞㻜㻜 㻝㻠㻜㻜 㻝㻢㻜㻜 㻝㻤㻜㻜 㻞㻜㻜㻜 㼃㼍㼢㼑㼘㼑㼚㼓㼠㼔㻌㼇㼚㼙㼉. Fig. 2.3. Transmittance spectra of samples after endurance test in air and in humidified air at 80℃[4].. 次に Pr:WPFG の光学特性について述べる。Pr が 3000ppm ドーピングされた Pr:WPFG の吸収および蛍光スペクトルを Fig. 2.4 に示す。波長 444 nm、468 nm、 480 nm、590 nm に 4 つの吸収ピークが確認できる。波長 444 nm、468 nm、480 nm. - 19 -.

(25) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー の吸収は Pr3+の準安定準位 3P0 へのエネルギー遷移によるものであり、波長 590 nm は可視光の蛍光に寄与しない吸収である。GaN 系青色半導体レーザーを用い ることで高効率励起が可能となる。また可視域においては波長 482 nm、523 nm、 605 nm、637 nm にピークを持つ 4 つの蛍光帯が確認された。1 章 4 節で述べた ように、波長 605 nm においては吸収と蛍光のオーバーラップが存在し、自己吸 収が確認できる。Pr:WPFG の吸収および蛍光スペクトルは Pr をドーピングした 結晶系レーザー材料[5-7]よりも広い帯域を持つ。利得係数は誘導放出断面積と線 形の関係にあり、Pr:WPFG の利得係数は結晶系材料の利得係数よりも低い。一 方、Pr:WPFG から作製される Pr:WPFGF を用いれば、ファイバ利得長を最適化 することができるため、単位長さ当たりの利得の小ささは問題にならない。む しろ、広い蛍光スペクトルは超短パルスレーザーや波長可変レーザーを開発す る上で優位に働く[4,8-10]。. 㻜㻚㻢 㻜㻚㻢. 㻝㻞㻜 㻝㻞㻜 㻭㼎㼟㼛㼞㼜㼠㼕㼛㼚㻌㼏㼛㼑㼒㼒㼕㼏㼕㼑㼚㼠 㻭㼎㼟㼛㼞㼜㼠㼕㼛㼚㻌㼏㼛㼑㼒㼒㼕㼏㼕㼑㼚㼠 㻲㼘㼡㼛㼞㼑㼟㼏㼑㼚㼏㼑㻌㼕㼚㼠㼑㼚㼟㼕㼠㼥 㻲㼘㼡㼛㼞㼑㼟㼏㼑㼚㼏㼑㻌㼕㼚㼠㼑㼚㼟㼕㼠㼥 㻝㻜㻜 㻝㻜㻜. 㻜㻚㻡 㻜㻚㻡. 㻤㻜 㻤㻜. 㻜㻚㻠 㻜㻚㻠. 㻢㻜 㻢㻜. 㻜㻚㻟 㻜㻚㻟. 㻠㻜 㻠㻜. 㻜㻚㻞 㻜㻚㻞. 㻞㻜 㻞㻜. 㻜㻚㻝 㻜㻚㻝 㻜㻜 㻠㻜㻜 㻠㻜㻜. 㻡㻜㻜 㻢㻜㻜 㻣㻜㻜 㻡㻜㻜 㻢㻜㻜 㻣㻜㻜 㼃㼍㼢㼑㼘㼑㼚㼓㼠㼔㻌㼇㼚㼙㼉 㼃㼍㼢㼑㼘㼑㼚㼓㼠㼔㻌㼇㼚㼙㼉. 㻲㼘㼡㼛㼞㼑㼟㼏㼑㼚㼏㼑㻌㼕㼚㼠㼑㼚㼟㼕㼠㼥㻌㼇㼍㻚㼡㻚㼉 㻵㼚㼠㼑㼚㼟㼕㼠㼥㻌㼇㼍㻚㼡㻚㼉. 㻙㻝 㻭㼎㼟㼛㼞㼜㼠㼕㼛㼚㻌㼏㼛㼑㼒㼒㼕㼏㼕㼑㼚㼠㻌㼇㼏㼙 㻭㼎㼟㼛㼞㼜㼠㼕㼛㼚㻌㼏㼛㼑㼒㼒㼕㼏㼕㼑㼚㼠㻌㼇㼏㼙㻙㻝㼉 㼉. 㻜㻚㻣 㻜㻚㻣. 㻜㻜 㻤㻜㻜 㻤㻜㻜. Fig. 2.4. Absorption and fluorescence spectra of Pr:WPFG.. パルス光に含まれる各周波数成分が全て同位相になった場合、時間的に最短 パルスが発生する。最短パルスはフーリエ限界パルス(Transform Limited Pulse) と呼ばれ、(2.1)式に従う[8]。 Δτ・Δυ  k              . - 20 -. (2.1).

(26) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. ここで  はパルス幅(半値全幅: FWHM, Full Width at Half Maximum) 、  は周波数 領域におけるスペクトル幅、 k はスペクトルの分布関数に依存し、gauss 型の場合 k =0.441、sech2 型の場合 k =0.315 となる。Table 2.1 には、Pr:WPFG の可視 4 蛍光波長. 帯域におけるフーリエ限界パルス幅をそれぞれ示す。Pr:WPFG の可視 4 蛍光波 長すべての帯域においてフェムト秒領域のパルス化が可能であり、超短パルス 発生に必要なスペクトル幅を有した可視ファイバレーザー媒質であることが確 認できた。. Table 2.1. Transform-Limited of Pr:WPFG. Pr:WPFG Wavelength. Spectrum width. Transform limited. 482 nm. 14.0 nm. 22.7 fs. 523 nm. 24.5 nm. 15.3 fs. 605 nm. 16.0 nm. 31.4 fs. 637 nm. 9.0 nm. 61.8 fs. 2.3 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバ 本節では、マルチモードコアを有した Pr:WPFGF およびシングルモードコア かつダブルクラッド構造を有した Pr:DC-WPFGF の諸特性について述べる。本研 究で用いた Pr:WPFGF ならびに Pr:DC-WPFGF の諸特性を Table 2.2 に示す[11]。 Pr ドーピング濃度は全ファイバにおいて 3000ppm である。Table 2.2 に示した規 格化周波数 V 値(V-number)は波長 637 nm における値である。V 値からわかる ように、Pr:WPFGF はマルチモードコア構造を、Pr:DC-WPFGF はシングルモー ドコア構造を有したファイバである。 Fig. 2.5 には Pr:DC-WPFGF の断面写真を示す。Pr:DC-WPFGF はフッ化物ガラ スを主成分とした、コア、第 1 クラッド、第 2 クラッドで構成されており、そ れらは保護層のシリカガラスで囲われる構造を持つ。屈折率は、コア、第 1 ク ラッド、第 2 クラッドと低くなるが、最外殻のシリカガラスは第 2 クラッドよ. - 21 -.

(27) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー りも屈折率は高い。そのため、第 2 クラッドとシリカガラス層の界面では全反 射による光閉じ込め効果は起こらない。またシリカガラスは樹脂被覆により保 護されている。 Pr:WPFGF の構造はフッ化物ガラスを主成分とした、コア、クラッドで構成さ れており、それらは保護層のシリカガラスで囲われる構造を持つ。Pr:WPFGF に おいても屈折率は、コア、クラッドと低くなるが、最外層のシリカガラスはク ラ ッ ド よ り も 屈 折 率 は 高 い 。 ま た 本 開 発 で 得 ら れ た Pr:WPFGF お よ び Pr:DC-WPFGF はコア偏心が大きく、他のファイバとコネクタ接続することは出 来ないファイバである。. Table 2.2. The fiber parameters of Pr:WPFGF and Pr:DC-WPFGF. fiber. diameter [μm]. NA. V-number. core. inner-clad. outer-clad. core. inner-clad. @637 nm. Pr:WPFGF. 16. -. 300. 0.24. -. 18.5. Pr:WPFGF. 15. -. 300. 0.24. -. 17.4. Pr:WPFGF. 14. -. 300. 0.24. -. 16.2. Pr:WPFGF. 11. -. 300. 0.24. -. 12.7. Pr:WPFGF. 8. -. 300. 0.24. -. 9.24. Pr:DC-WPFGF. 5.2. 14. 270. 0.08. 0.29. 2.05. Fig. 2.5. Photographs of Pr:DC-WPFGF.. - 22 -.

(28) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 2.4 励起光光学系の諸特性  本研究において Pr:WPFGF の吸収ピーク波長 442 nm を高効率に励起するため、 GaN 系青色半導体レーザー(GaN LD)を励起源に用いる。Pr:WPFGF レーザー の励起光学系を Fig. 2.6 に示す。GaN LD は定格出力 1.6 W、波長 442 nm(NICHIA Corp.; NDB7875E)の特性を有している。また Fig. 2.6 に示す様に、2 台の GaN LD から出る光を偏波ビームスプリッタ(Polarizing Beam Splitter: PBS)により偏波 合成を行い、GaN LD2 台分の励起パワーを得る構成を採用した。GaN LD から 出力された光は、コリメートレンズにてコリメートされ、楕円形のビームをア ナモルフィックプリズムペアにて縦横方向の像倍率を調整した。GaN LD の発振 波長は温度により変化するため、ペルチェ素子を用い GaN LD の温度を 25℃一 定にすることで、出力波長の安定化を行った。Pr:WPFGF の励起光入射レンズに より集光されたビーム径は Horizontal 方向において 7.6 μm、Vertical 方向におい て 6.6 μm のビーム径であることを確認した。本研究で用いる Pr:WPFGF の最小 コア径が 8 μm、Pr:DC-WPFGF の第 1 クラッド径が 14 μm であることから、励起 光カップリングには十分小さな集光径が得られた。 次に GaN LD の I-L 特性を Fig. 2.7 に示す。電流注入 1.6 A 時において、 P-polarization LD では 1.63 W、S-polarization LD では 1.42 W の出力を確認した。 Fig. 2.8 には励起光の波長スペクトルを示す。ピーク波長が 442 nm であり、Fig. 2.4 より Pr:WPFG の吸収ピークと一致することを確認した。. GaN LD 1.6W P-polarization. GaN LD 1.6W S-polarization. Pr:WPFGF. PBS.  Fig. 2.6. Setup of excitation system.. - 23 -.

(29) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 㻟㻚㻡 㻼㻙㼜㼛㼘㼍㼞㼕㼦㼍㼠㼕㼛㼚㻌㻸㻰 㻿㻙㼜㼛㼘㼍㼞㼕㼦㼍㼠㼕㼛㼚㻌㻸㻰 㻼㻙㼜㼛㼘㼍㼞㼕㼦㼍㼠㼕㼛㼚㻌㻸㻰㻌㻗㻌㻿㻙㼜㼛㼘㼍㼞㼕㼦㼍㼠㼕㼛㼚㻌㻸㻰. 㻻㼡㼠㼜㼡㼠㻌㼜㼛㼣㼑㼞㻌㼇㼙㼃㼉. 㻟 㻞㻚㻡 㻞 㻝㻚㻡 㻝 㻜㻚㻡 㻜. 㻜. 㻜㻚㻡. 㻝. 㻝㻚㻡. 㻞. 㻯㼡㼞㼞㼑㼚㼠㻌㼇㻭㼉.       . Fig. 2.7. I-L characteristic of the GaN LD. 㻟㻜㻜㻜 㻼㼑㼍㼗㻌㼣㼍㼢㼑㼘㼑㼚㼓㼠㼔㻌㻠㻠㻞㻚㻢㻌㼚㼙. 㻵㼚㼠㼑㼚㼟㼕㼠㼥㻌㼇㼍㻚㼡㻚㼉. 㻞㻡㻜㻜 㻞㻜㻜㻜 㻝㻡㻜㻜 㻝㻜㻜㻜 㻡㻜㻜 㻜 㻠㻟㻡.       . 㻠㻠㻜. 㻠㻠㻡. 㻠㻡㻜. 㼃㼍㼢㼑㼘㼑㼙㼓㼠㼔㻌㼇㼚㼙㼉. Fig. 2.8. Spectrum of the GaN LD.. 2.5 Pr:WPFGF レーザーおよび Pr:DC-WPFGF レーザーの発振特性 Fig. 2.9 に示す実験系において、Pr:WPFGF レーザーの可視 4 蛍光波長帯域に おけるレーザー発振特性を評価した。Pr:WPFGF は 4 本作製し、それぞれの両端. - 24 -.

(30) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 面に誘電体多層膜を蒸着することにより最小限の部品構成によるコンパクトな ファブリペロー共振器を構成した。本レーザー共振器は自由空間を含まないた め、共振器内損失を最小限に抑えることが可能である [2,12] 。本実験で用いた Pr:WPFGF および OC(Output Coupler)側に施した PR(Partial-Reflection)コー ティングの諸特性を Table 2.3 に示す。励起光入射側端面に施した誘電体多層膜 は発振波長において HR(High-Reflection)を、442 nm において AR(Anti-Reflection) の特性を有するものである。レーザー発振時のスペクトルは光ファイバ分光器 (Ocean Optics; HR2000)、入出力特性はパワーメーター(OPHIR; model 3A)に よって測定した。 Pr:WPFGF レーザーの入出力特性を Fig. 2.10 および Table 2.4 に示す。490nm 帯、522nm 帯、637nm 帯において 30%を超えるスロープ効率と 1 W を超える出 力を達成した。また 605nm 帯においては自己吸収のため発振効率は 20%未満に 留まった。. HR GaN LD Excitation. Pr:WPFGF. PR. CW Laser Output.  Fig. 2.9. Experimental setup of Pr:WPFGF laser pumped by the GaN LD.. Table 2.3. Characteristics of fiber parameter and reflectivity of output mirror. Oscillation wavelength band. 490nm. 522nm. 605nm. 637nm. Fiber length [mm]. 40. 40. 40. 60. Core diameter [μm]. 11. 11. 15. 14. 94.1%. 94.9%. 91.1%. 60.0%. @493 nm. @522 nm. @606 nm. @639 nm. Reflectivity of OC. - 25 -.

(31) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 㻞 㻠㻥㻜㼚㼙㻙㼎㼍㼚㼐 㻯㼥㼍㼚 㻡㻞㻞㼚㼙㻙㼎㼍㼚㼐 㻳㼞㼑㼑㼚 㻻㼞㼍㼚㼓㼑 㻢㻜㻡㼚㼙㻙㼎㼍㼚㼐 㻾㼑㼐 㻢㻟㻣㼚㼙㻙㼎㼍㼚㼐. 㻻㼡㼠㼜㼡㼠㻌㼜㼛㼣㼑㼞㻌㼇㼃㼉. 㻝㻚㻡. 㻝. 㻜㻚㻡. 㻜. 㻜. 㻝. 㻞 㻟 㻸㼍㼡㼚㼏㼔㼑㼐㻌㼜㼛㼣㼑㼞㻌㼇㼃㼉. 㻠. 㻡. Fig. 2.10. Input-Output characteristics of Pr:WPFGF laser oscillation at visible 4 color.. Table 2.4. Summary of Pr:WPFGF laser oscillation at visible 4 color wavelength. Oscillation wavelength band. 490nm. 522nm. 605nm. 637nm. Oscillation wavelength [nm]. 493.6. 522.2. 605.6. 638.6. Maximum power [W]. 1.38. 1.53. 0.52. 1.80. Slope efficiency [%]. 30.0. 33.8. 20.0. 41.7. Maximum conversion efficiency [%]. 29.7. 31.8. 17.7. 38.4. Threshold power [mW]. 97. 281. 221. 282. 次に、出力特性が最も良好であった 637nm 帯において、Pr:WPFGF レーザー のビーム品質評価を行った。Fig. 2.11 にはビーム品質を評価する上で考える集光 モデルを示した。z 軸上を伝搬するレーザー出力の集光特性について考える。マ ルチモードレーザーの出力は一つの高次モードからなることは無く、一般的に は複数モードのインコヒーレントな重ね合わせとなる。マルチモードビームの 集光半径 W (z ) はシングルモードビーム(Gaussian ビーム)の集光半径 W0 に対 し一定の比率 M2 を保持するという特性を有する。M2 はビーム品質の指標として 用いられ、Gaussian ビームの M2 は 1 となる。マルチモードビームの集光半径 W (z ). - 26 -.

(32) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー を(2.2)式に示す[11,13]。.   z W ( z )  W0 1     z R.   . 2. 12.              . (2.2). z R は Rayleigh 長であり次式で与えられ、波長 λ を変数とする。 πW    z R  20           M λ 2. (2.3). 㼦㻾 㻦㻌㻾㼍㼥㼘㼑㼕㼓㼔㻌㼞㼍㼚㼓㼑 㻿㼜㼛㼠㻌㼟㼕㼦㼑. 㻞㼃㻌㻔㼦㻕㻩㻞㼃㻜㻹㻌㻞 㻞㼃㻜. 㼦㻌㻩㻌㼦㻜. 㼦. 㻼㼛㼟㼕㼠㼕㼛㼚. Fig. 2.11. M2 definition as laser beam quality.. Fig. 2.12 には 8 µm コアを持つ 637nm 帯 Pr:WPFGF レーザーのビーム品質測定 結果を示す。f =11 mm と f =30 mm のレンズペアを用い Pr:WPFGF レーザーから 出力されたレーザー光をコリメート・集光した。z 軸上を伝搬するビーム径はマ イクロビームプロファイラ(Newport ; MBP-100-USB)によって測定した。(2.2) 式および(2.3)式のフィッテェング結果より、Pr:WPFGF レーザーのビーム品質は M2Horizontal = 4.92、M2Vertical = 4.54 であり、マルチモード出力であることを確認し た。. - 27 -.

(33) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 㻟㻜. 㻹㻌㻞㻴㼛㼞㼕㼦㼛㼚㼠㼍㼘㻌㻩㻌㻠㻚㻥㻞 㻹㻌㻞㼂㼑㼞㼠㼕㼏㼍㼘㻌㻩㻌㻠㻚㻡㻠. 㻮㼑㼍㼙㻌㼞㼍㼐㼕㼡㼟㻌㼇μ 㼙㼉 [μm]. 㻞㻤. 㻞㻢. 㻞㻠. 㻞㻞. 㻞㻜 㻙㻢㻜㻜. [μm] 㻾㼍㼐㼕㼡㼟㻌㻴㼛㼞㼕㼦㼛㼚㼠㼍㼘㻌㼇μ 㼙㼉 [μm] 㻾㼍㼐㼕㼡㼟㻌㼂㼑㼞㼠㼕㼏㼍㼘㻌㼇μ 㼙㼉. 㻙㻠㻜㻜. 㻙㻞㻜㻜. 㻜. 㻞㻜㻜. 㻠㻜㻜. 㻢㻜㻜. 㻼㼛㼟㼕㼠㼕㼛㼚㻌㼇μ 㼙㼉 [μm]. Fig. 2.12. Beam-quality factor measurement on Pr:WPFGF laser.. 続けて、637nm 帯および 605nm 帯における Pr:DC-WPFGF レーザーのレーザ ー発振特性を評価した。使用した Pr:DC-WPFGF の諸特性を Table 2.2 に示す。 Pr:WPFGF レーザーと同様、レーザー共振器は Pr:DC-WPFGF の両端面に誘電体 多層膜を蒸着することにより構成した。637nm 帯および 605nm 帯 Pr:DC-WPFGF レーザーの共振器条件および入出力特性を Table 2.5 および Fig. 2.13 に示す。. Table 2.5. Summary of laser performance in Pr:DC-WPFGF at 637nm-band and 605nm-band with mirror condition. Red. Orange. Oscillation wavelength [nm]. 639.0. 607.4. Maximum power [mW]. 251.7. 137.4. Slope efficiency [%]. 43.4. 22.3. Threshold power [mW]. 120.6. 174.2. Reflectivity of output mirror [%]. 61.7%@637 [nm]. 20.0%@606 [nm]. Reflectivity of non-output mirror [%]. HR. 74.0%@606 [nm]. - 28 -.

(34) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー.        Fig. 2.13. Input-Output characteristic of Pr:DC-WPFGF laser oscillation. 㻝㻤. 㻮㼑㼍㼙㻌㼞㼍㼐㼕㼡㼟㻌㼇μ 㼙㼉 [μm]. 㻝㻢. 㻹㻌㻞㻴㼛㼞㼕㼦㼛㼚㼠㼍㼘㻌㻩㻌㻝㻚㻜㻠 㻹㻌㻞㼂㼑㼞㼠㼕㼏㼍㼘㻌㻩㻌㻝㻚㻜㻜. 㻝㻠. 㻝㻞. 㻝㻜 [μm] 㻾㼍㼐㼕㼡㼟㻌㻴㼛㼞㼕㼦㼛㼚㼠㼍㻌㼇μ 㼙㼉 [μm] 㻾㼍㼐㼕㼡㼟㻌㼂㼑㼞㼠㼕㼏㼍㼘㻌㼇μ 㼙㼉㻌. 㻤 㻙㻤㻜㻜 㻙㻢㻜㻜 㻙㻠㻜㻜 㻙㻞㻜㻜. 㻜. 㻞㻜㻜. 㻠㻜㻜 㻢㻜㻜. 㻤㻜㻜. [μm] 㻼㼛㼟㼕㼠㼕㼛㼚㻌㼇μ 㼙㼉. Fig. 2.14. Beam-quality factor measurement on Pr:DC-WPFGF laser.. 637nm 帯発振においてレーザー発振閾値 120.6 mW、効率 43.4%を確認した。 605nm 帯発振においてはレーザー発振閾値 174.2 mW、発振効率 22%を確認した。 両波長帯域共に Pr:WPFGF を上回る良好なレーザー発振特性を確認した。Fig. 2.14 には Pr:DC-WPFGF レーザーの 637nm 帯におけるビーム品質測定結果を示. - 29 -.

(35) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー す。ビーム品質 M2Horizontal = 1.04、M2Vertical = 1.00 を確認し、シングルモード出力 を確認した。. 2.6 シミュレーションによる Pr:DC-WPFGF レーザーの発振特性解析  本節では Pr:DC-WPFGF レーザーの 637nm 帯域におけるレーザー発振特性を シミュレーションし、実験結果との比較を行い、発振特性の妥当性を検証した。 Pr:DC-WPFGF レーザーの入出力特性を計算する。計算に用いた各シンボルおよ びその値を Table 2.6 に示す。レーザーの出力 Pout および小信号利得係数 g0 は(2.4) 式の関係性を持つ[13]。   1  R   2g 0l Pout  A  1  I S   1  R   δ  In( R) . (2.4). ここで式中の記号  は 637nm 帯の Pr:DC-WPFGF 中のラウンドトリップ損失 (2.5)式、IS は Pr:DC-WPFGF の飽和パラメータ(2.6)式、g0 は小信号利得係数(2.7) 式、PLD は励起入力パワー、R は OC 反射率である。. δ  2(αf  αL )l  δM. (2.5). IS . hc σ e λL τ f. (2.6). g0 . PLDη I S Al. (2.7). (2.4)式から(2.7)式を用い、Pout および PLD を変数として Pr:DC-WPFGF レーザ ーの入出力特性を計算する。本計算で用いた OC 反射率 R は実験で用いた反射 率 R と同様 61.7%とした。計算結果を Fig. 2.15 に示す。レーザー発振閾値 51 mW、 スロープ効率 48%の入出力特性を確認し、実験結果と概ね一致する結果を得た。 計算結果と実験結果の微妙な異なりは、スキュー光による励起吸収効率の差異. - 30 -.

(36) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. や、楕円コアを真円コアに置き換え計算したことによるモード体積効率の差異 などが原因だと推測される。. Table 2.6. Symbols and values of simulation for laser oscillation characteristics. Constants Velocity of light. c. 2.998×108. m/s. Planck's constant. h. 6.626×10-34. J・s. Length of gain medium. l. 10. cm. Core diameter. d. 0.00052. Parameters of Pr:DC-WPFGF cm -7. Fiber cross sectional area. A. 2.124×10. cm2. Absorption in fiber. αf. 0.0023. cm-1. Pr3+ absorption at lasing wavelength. αL. 0.001. cm-1. Pr3+ absorption at pump wavelength. αP. 0.700. cm-1. Stimulated emission cross section. σe. 1.813×10-20. cm2. Lifetime. τf. 34.8×10-6. s. Laser wavelength. λL. 637×10-9. m. Pump wavelength. λP. 442×10-9. m. Miscellaneous losses at rear mirror. δM. 0.001. Pump transfer efficiency. ηf. 0.900. Mode volume efficiency. ηB. 0.900. Stokes efficiency. ηS. 0.694. Quantum efficiency. ηQ. 1. Absorption efficiency. ηa. 0.999. Coupling efficiency. ηc. 1. Total efficiency. η. 0.562. Efficiency. - 31 -.

(37) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 㻜㻚㻞㻡. 㻻㼡㼠㼜㼡㼠㻌㼜㼛㼣㼑㼞㻌㼇㼃㼉. 㻜㻚㻞. 㻜㻚㻝㻡. 㻜㻚㻝. 㻜㻚㻜㻡. 㻜 㻜. 㻜㻚㻝. 㻜㻚㻞. 㻜㻚㻟. 㻜㻚㻠. 㻜㻚㻡. 㻵㼚㼜㼡㼠㻌㼜㼛㼣㼑㼞㻌㼇㼃㼉. Fig. 2.15. Simulation of Input-Output characteristics of Pr:DC-WPFGF laser.. 2.7 まとめ  可視光レーザーのさらなる応用の拡大を目標に、耐候性に優れた高効率かつ 高ビーム品質ならびに多波長化可能な可視光ファイバレーザーの開発を行った。 (株)住田光学ガラスとの共同研究により開発した Pr:WPFG は、36 日間の耐候性 テストより耐候性に優れたフッ化物ホストであることを確認した。また Pr:WPFGF を用いレーザー共振器長 40 mm~60 mm のコンパクトなレーザー装置 を開発し、赤(637nm 帯)、橙(605nm 帯)、緑(522nm 帯)、青(490nm 帯)の 4 蛍光波長においてレーザー発振を実証した。赤(637nm 帯)、緑(522nm 帯)、 青(490nm 帯)の発振波長帯においては、出力 1 W を超えるレーザー発振に成 功した。加えて Al 系フッ化物ファイバでは世界初の構造となるシングルモード コア構造かつダブルクラッド構造を有した Pr:DC-WPFGF を新たに開発し、ビー ム品質 M 2 ≃1.0 の高ビーム品質な 637nm 帯可視光ファイバレーザーの開発に成. 功した。そのレーザー発振特性は Pr:WPFGF を上回り、またシミュレーション 結果と概ね一致する発振特性であった。.  耐候性に優れた高効率かつ高ビーム品質、ならびに多波長化が可能な可視光 ファイバレーザーの実現により、産業分野および学術分野において可視光レー ザーのさらなる応用領域が拡大できるものと考えている。. - 32 -.

(38) 第 2 章 Pr ドープ耐候性フッ化物ファイバレーザー. 参考文献 [1]. 藤本靖, 中西淳, 山田毅, 石井修, 山崎正明, スマートプロセス学会誌, 1, 6 (2012).. [2]. 山嵜正明, レーザー研究, 40, 6 (2012).. [3]. T. Iqbal, M.R. Shahriari, G. Merberg, G.H. Sigel, J. Mater. Res., 6, 2, (1991).. [4]. Y. Fujimoto, J. Nakanishi, T. Yamada, O. Ishii, M. Yamazaki, Prog. Quant. Electron., 37, 4 (2013).. [5]. A. Richter, E. Heumann, E. Osiac, G. Huber, W. Seelert, A. Diening, Opt. Lett., 29, 22 (2004).. [6]. F. Cornacchia, A. Richter, E. Heumann, G. Huber, D. Parisi, M. Tonelli, Opt. Express, 15, 3 (2007).. [7]. F. Cornacchia, A. DiLieto, M. Tonelli, A. Richter, E. Heumann, G. Huber, Opt. Express, 16, 20 (2008).. [8]. 住村和彦, 西浦匡則, 解説ファイバーレーザー -基礎編-, オプトロニク ス社 (2011).. [9]. H. Okamoto, K. Kasuga, I. Hara, Y. Kubota, Opt. Express, 17, 22 (2009).. [10]. Y. Fujitomo, O. Ishii, M. Yamazaki, CLEO2015, JTh2A.95 (2015).. [11]. S. Kajikawa, T. Terao, M. Yoshida, S. Motokoshi, O. Ishii, M. Yamazaki, Y. Fujimoto, Electron. Lett., 52, 10 (2016).. [12]. 住村和彦, 吉田英次, 岡田大, 藤田尚徳, 中塚正大, 澤田久, 吉田実, レ ーザー研究, 34, 1 (2006).. [13]. W. Koechner, ‘Solid-state laser engineering’, Springer Series in Optical Sciences (2006).. - 33 -.

(39) 第 3 章 グラフェンを用いた可視光ナノ秒パルスファイバレーザー. 第3章 グラフェンを用いた 可視光ナノ秒パルスファイバレーザー. 3.1 はじめに 2 章では Pr:DC-WPFGF をレーザー媒質に、GaN 系青色半導体レーザーを励起 源に用いることで、スロープ効率 43%、ビーム品質 M 2 ≃1.0 の可視光ファイバ. レーザーを達成した。半導体レーザーと比較して期待できる半導体励起可視光. ファイバレーザーの優位性は、出力のパルス化による高輝度化および高強度化 である。ナノ秒やマイクロ秒領域のパルス出力は瞬間的に高いエネルギーを得 ることが可能であり、マーキングや表面処理、深掘りなどの熱加工分野へ応用 されている。従来の赤外波長域で十分な吸収が得られなかった加工対象物質の 高効率、高品質、微細なレーザー加工を目的に、高ビーム品質な可視光パルス ファイバレーザーの開発は重要である。 本章では、可飽和吸収体を用いた受動ナノ秒パルスファイバレーザー開発に ついて述べる。可飽和吸収体には可視全域に帯域を持ち、フェムト秒領域のリ カバリー時間を有したグラフェンを用いた[1-17]。まずグラフェン可飽和吸収ミラ ー(GSAM:Graphene Saturable Absorbed Mirror)を作製する技術開発から行った。 開発したグラフェン可飽和吸収体の動作確認として、パルス動作の実績を有す る Er:ZBLAN を用いた波長 2.8μm 帯域での Q-switch パルス発振を試みた。正常 な可飽和吸収動作を確認後、Pr:WPFGF の可視 4 蛍光波長帯において Q-switch パルス動作を検証した。また、これまでグラフェンが可視域において可飽和吸 収体に用いられたことがないため、グラフェンの Q-switch パルス発振閾値強度 の推定を行った。. 3.2 グラフェンの可飽和吸収原理[18-21] グラフェンを可飽和吸収体に用いたパルスレーザーは赤外域において活発に. - 34 -.

(40) 第 3 章 グラフェンを用いた可視光ナノ秒パルスファイバレーザー. 研究されており、既にフェムト秒パルスレーザー発振の実績がある可飽和吸収 体である[1-17]。本節では、グラフェンの可飽和吸収原理について述べる。単層グ ラフェンは原子 1 層厚であるにもかかわらず、価電子帯と伝導帯間での大きな 共鳴吸収をもつ。微細構造定数 α(α=e2/ħc ~ 1/137)を用いて、共鳴吸収率は πα~2.3%と表される。この吸収は Fig. 3.1(a)に示すように線形なバンド構造によ る吸収であるため、波長に対してほぼ無依存であり、層数に比例して大きくな る。従ってグラフェンは赤外域から紫外域に渡って広い帯域を有し、Pr3+の可視 蛍光波長全域をカバーする可飽和吸収体である。 吸収飽和は高強度の光により媒質が透明化する現象であり、このような特性 を持つ媒質を可飽和吸収体(Saturable Absorber(SA))と呼ぶ。吸収飽和は、α、 α0、αint をそれぞれ吸収係数、可飽和吸収係数、非飽和吸収係数として、. α. α0  αint      1  I Is. (3.1). と表すことができる。ここで I、Is はそれぞれ光強度、飽和強度である。可飽和 吸収体の飽和強度 Is はリカバリー時間  と吸収断面積  により、. Is . hυ Es            στ τ. E. E. . Conduction band. :Wavenumber vector. First interband transition (0.1-0.2 ps). hν. . Valence band.  Density of states Dirac point (Fermi level). Slow interband transition (a few ps). (a) (b) Fig. 3.1. Linear optical absorption and saturable absorption in graphene[6-7]. (a) Band structure (b) Density of state. - 35 -. (3.2).

(41) 第 3 章 グラフェンを用いた可視光ナノ秒パルスファイバレーザー で与えられる。ここで h はプランク定数、ν は光の周波数、Es は飽和フルエンス である。グラフェンの場合、飽和状態からのリカバリーには高速(0.1~0.2 ps) と低速(数 ps)な遷移があり、それぞれバンド内緩和とバンド間緩和によるも のとされている[6-7]。高速なリカバリー時間を持つ可飽和吸収体は mode-lock 動 作による超短パルス発生に有用である。加えて、小さな強度において小さな変 調を生じさせれば、Q-switch 動作によるナノ秒パルス発生素子にも用いることが 可能である。. 3.3 グラフェン可飽和吸収ミラーの製作とその諸特性[18-21] 本節ではグラフェン可飽和吸収デバイスの作製技術について述べる。 グラフェンを光デバイスとして用いた場合、グラフェン薄膜は必ずしも連続 した単層グラフェンである必要はなく、グラフェン小片の集まりでもよく、ま た単層ではなく複層のものが混在していても良いことが既に報告されている[18]。 これは CNT(カーボンナノチューブ)可飽和吸収体においても CNT のカイラリ ティや方向が揃っている必要がないことと同じ原理である[18-19]。 グラフェン薄膜を得る手法はこれまでに複数報告されている[22-24]。最も簡単 な方法は、グラファイトから粘着テープを用いて炭素膜を機械的に剥離する方 法、いわゆるスコッチテープ法である。グラファイトを粘着テープに貼り付け 剥離を繰り返すことで、数層もしくは単層のグラフェンを得ることが可能であ る。また液相での超音波処理によっても、グラファイトからの剥離は可能であ る。これらの機械的な剥離法では、通常数 mm 角のグラフェンが得られる[19]。 最近では CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法で大面積のグラフ ェンを金属基板上に蒸着させることが可能となっている。均一な表面状態を維 持した大面積の CVD グラフェンを、金属基板層からミラーや光学基板などに転 写できれば、大面積の GSAM を得ることが可能となる。 本研究では光学デバイスへ CVD グラフェンを転写する技術を開発し、数 cm 角のグラフェンを持つ GSAM を作製した。本実験で用いた Graphene Laboratory 社製の CVD グラフェンは Fig. 3.2 に示すように、1 層グラフェン上に 2 層領域 を持つグラフェン膜であり、銅箔の両端面にグラフェン膜が蒸着している構造 を持つ[25]。そのため、銅箔層をエッチングしグラフェンの単離を行うと、表面、 裏面のグラフェン膜が重なり、2 層から 4 層領域を持つグラフェン膜が採取され る。. - 36 -.

(42) 第 3 章 グラフェンを用いた可視光ナノ秒パルスファイバレーザー 本実験で行った CVD グラフェン転写手順を Fig. 3.3 および以下に示す。 CVD グラフェン転写手順 ① エッチングプロセス(Etching) :CVD グラフェンを濃度 5mol%の硝酸鉄(Ⅲ) 水溶液に浮遊させ、CVD グラフェンの銅基板層をエッチングすることに より、グラフェンの単離を行う。 ② 転写プロセス(Transcription) :単離されたグラフェンは水溶液上を浮遊し ている状態となる。その上にミラーや光学基板を被せることで転写を行う。 ③ 洗浄プロセス(Washing) :グラフェン転写後、ミラーや光学基板を硝酸お よび純水に浸し洗浄することで、グラフェン表面上の銅箔残留物等の不純 物を取り除く。 ④ 乾燥プロセス(Drying) :最後に 100℃の炉内においてグラフェンを転写し たミラーや光学基板を乾燥させる。. 㻮㼕㼘㼍㼥㼑㼞㻌㻵㼟㼘㼍㼚㼐. 㻮㼕㼘㼍㼥㼑㼞㻌㻵㼟㼘㼍㼚㼐.  Fig. 3.2. SEM images of single/double layer graphene on Cu foil[25].. Fig. 3.3. Graphene transcription procedure to make GSAM.. - 37 -.

Fig. 2.3. Transmittance spectra of samples after endurance test    in air and in humidified air at 80 ℃ [4]
Table 2.3. Characteristics of fiber parameter and reflectivity of output mirror.
Fig. 2.9. Experimental setup of Pr:WPFGF laser pumped by the GaN LD.
Fig. 2.13. Input-Output characteristic of Pr:DC-WPFGF laser oscillation.
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参照

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