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新しい嚥下機能検査法としての嚥下圧検査に基づいた嚥下障害治療指針の確立

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Academic year: 2021

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新しい嚥下機能検査法としての嚥下圧検査に基づいた嚥下障害治療指針の確立 西窪加緒里 高知大学医学部耳鼻咽喉科 1.研究の背景と目的 嚥下障害の治療においては嚥下訓練を主体とするリハビリテーションが重要な役割を担うが、障害 が高度の場合には、経口摂取能力の回復を目指す嚥下機能改善手術や嚥下性肺炎の回避を目的 とした誤嚥防止術などの手術療法も極めて有効である。しかし嚥下障害の原因は脳血管障害、神 経・筋疾患、脳性麻痺、頭頸部癌、加齢など多岐にわたり、その病態、すなわち障害様式と重症度も 症例ごとに大きく異なるため、これまで嚥下障害に対する包括的な治療指針がなく、臨床現場では 大きな問題となっている。嚥下障害に対する検査法としては嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査が一 般的であるが、いずれも定性的な検査であり、嚥下機能を定量的に評価することはできない。そこで、 本研究では嚥下時の咽頭および頸部食道内圧を測定し、部位ごとの嚥下圧値や嚥下圧の伝搬様 式を計測することで、嚥下機能の障害部位や嚥下圧の伝搬様式を定量的かつ客観的に評価した。 その結果より、障害様式や重症度に応じた嚥下訓練プログラムの作成や外科的治療の適応決定な どの治療法への活用を検討した。 2.方法 健常ボランティア(60 歳以上の高齢者 63 名を含む)および嚥下障害にて当科を受診した患者を対 象に検査を行った。経鼻的に小型体内トランスデューサーを頸部食道まで挿入し、頸部食道から軟 口蓋部まで 1cm 毎に stationary pull-through 法にて嚥下圧を測定した。嚥下圧は、2~3cc の常温水 を嚥下させ、その際に発生する嚥下圧波形を各部位ごとに記録した。同時に、圧変化のタイミングの 指標とするため、舌骨上筋群の筋電図を双極表面電極により記録した。 各部位の嚥下圧のピーク値をプロットすることで嚥下圧曲線を、筋電図の放電開始時間から嚥下 圧のピーク値までの時間をプロットすることで嚥下圧伝播曲線を作成し、嚥下機能を定量的に評価 した。 3.結果および考察 健常者の嚥下圧曲線は軟口蓋、下咽頭および頸部食道に峰を有する 3 峰性、またはこれに中咽 頭を加えた 4 峰性を示した。嚥下圧値の平均は軟口蓋が 85.3mmHg、中咽頭が 108.0mmHg、下咽 頭が 129.7mmHg、食道入口部が 108.0mmHg であった。健常ボランティアでは若年者と高齢者とで 嚥下圧値に差を認めなかったが、嚥下障害の自覚がある高齢者では嚥下圧値が低下しており、咽 頭収縮筋などの嚥下関与筋の機能障害が示唆された。嚥下障害患者では、食道入口部の安静時 異常高値や嚥下時の平圧化不全などの所見がみられ、食道入口部の開大障害を示していた。これ らの結果に基づくと、嚥下圧値の低下に対しては嚥下リハビリテーションなどの機能訓練が、食道入 口部の開大障害に対しては輪状咽頭筋切断術による外科的治療が有効と考えられた。また、脳血 管障害や頭頸部癌術後の嚥下障害例では、嚥下圧伝搬曲線にて中咽頭から下咽頭の嚥下圧発生 パターンの乱れが見られ、嚥下のパターン化を促す嚥下リハビリテーションの適応と考えられた。

参照

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