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情報セキュリティの動向とトータルセキュリティソリューション

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Academic year: 2021

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(1)事例. 情報セキュリティ の動向と トータルセキュリティ ソリューション. ブロードバンドの進展でますますインターネッ. トが浸透し,まさに「いつでも,どこでも,誰と. でも」かつ「安心して」といわれるユビキタス情. 報社会が進展しつつある.また,電子政府システム やインターネットバンキングシステムに象徴される ように,インターネット上でのサービスの高度化も急速 に進んでいる.それに伴って,不正アクセス,ウィルス感 染,クラッキング,情報漏洩や詐欺行為などのリスクの増大 は深刻さを増しており,それらに対抗するための情報セキュリテ ィは信頼性の高い情報ライフラインの基盤としてますます重要となっ てきている.セキュリティポリシー,ファイアウォール,VPN(Virtual. 金野 千里 (株)日立製作所情報・通信グループ [email protected]. Private Network),認証,アクセス監視など多岐にわたる技術的なセ キュリティ対策に加え,標準化や法制度面での対応も進められている. 本稿では,その動向の概要を述べ,各々のシステムやサービスの広が りに即したセキュリティ対策を 9 つのステップに分けて説明すること により,トータルなセキュリティソリューションの全体像を紹介する.. 内部からのものも増大しており,情報漏洩事件や事故が. 情報セキュリティの動向. 多数報告されている 2).これらは内部の犯行やシステム の運用管理の不徹底が原因となっている..  情報セキュリティにおける最近の動向として,リスク.  さらに,インターネットへ向けた組織の玄関であるホ. の高まりと被害状況,技術動向,標準化動向,法制度面. ームページが不正に書き換えられる事件も,あとを絶た. での動向を簡単に紹介する.. ない.. ■被害状況  情報処理振興事業協会セキュリティセンターの報告. ■技術動向 1).  基盤となる暗号では,米国において DES(Data Encryption. によると,ウィルス被害の届出は,2000 年度の 11,109 件. Standard)に 代 わ る 次 世 代 暗 号 AES(Advanced Encryption. に対し,2001 年度は 24,261 件に倍増しており,不正アク. Standard)の策定が行われ,また,ISO 化の検討作業のほか,. セスも 147 件から 550 件と 3 倍以上に増えている.最近. 国内では電子政府推奨暗号リストの作成も進められてい. のウィルスは昨年の CodeRed ,Nimda 以降,かつてなかっ. る.その上のセキュアプロトコルに関しては,IETF を中. たほど凶暴化しており,感染サイトからさらにキャスト. 心に進められており 3),特に認証基盤となる PKI(Public. されるウィルスによる蔓延の速さや,メールや Web サイ. Key Infrastructure)についてはシステムを実現する上での仕. トを見ただけで感染する感染力の強さなど,インターネ. 様や実装規約の枠組みはほぼ揃ってきている.また,ミ. ットを広域に麻痺させる大きな脅威となっている.また. ドルウェアの基盤としての XML および Web サービスに関. こうした届け出は,自分のサイトが踏み台にされて,他. しては W3C を中心に進められており,特に Web サービス. のサイトへの攻撃の通報によって初めて気付くケースも. でのセキュリティ実装の議論が盛んで,その通信プロト. 多数あり,被害者だけでなく,自分が加害者になる危険. コル SOAP(Simple Object Access Protocol)の拡張仕様の提案. 性も高まっていることを示している.. などが業界グループで進められている..  セキュリティ面での脅威は,外部からだけではなく,. 1078. 43 巻 10 号 情報処理 2002 年 10 月. −1−.

(2) ���� ���� ����. 米. 製 品 加 ・ シ ス 欧 テ 州 ム. ���� FEDERAL CRITERIA. オレンジブック. CTCPEC. 英. ���������. 独. �����. 仏. 管 理 英 運 用. �����. ����. ����. ����. ����. ����. ����. 2001年度政府システム案件から. 国際統一 セキュリティ 評価基準 ������ �������� ����. 調達要件として採用. ��� 標準化. ���化 ��� �����. ������. 認証機関(NITE)設置. 民間評価機関. ��������. ����� ����. ISO標準化 ISO 17799. ��������. JIS化2002/2 JIS X5080. 2002/4本格スタート. ISMS適合性評価制度 ISO標準化検討中 改訂作業中. ��������. ����� ����������� �������� ���������� ������. 図 -1 情報セキュリティ評価基準の標準化動向. ■セキュリティ基準の標準化動向. み台にされて他サイトを攻撃するとか,情報の漏洩によ.   技 術 自 体 の 標 準 化 は IETF や W3C で 進 め ら れ て い る. って他者に多大な迷惑をかけるなど,加害者となるリス. が,一方でセキュリティの評価基準や運用基準の設定と,. クも合わせ持っており,サービスの停止や組織の信頼の. それに沿った認定を行う動きが進んでいる.図 -1 にそ. 失墜など,組織活動に多大な影響を与えかねない状況に. の動向を示す.製品やシステムの技術評価基準を定める. なっている.. ISO15408 と,情報システムをとりまく運用管理全般の規.  技術面での対策に加え,進められている法制度面での. 約を定める ISO17799 があり,これらに準拠した評価,認. 整備やセキュリティの評価基準を基盤にして,以下のセ. 定制度が,国内でもスタートしており,IC カードシステ. キュリティの 3 要件の実現が,ネット社会の進展にます. ムや公的なシステムで先行的に評価,認定が進められて. ます重要となってきている.. いる.. 機密性:情報のアクセス権限のない人間には絶対に見せ ないようにすること.. ■法制度面での動向. 完全性:情報が常に完全な形で保たれ,故意や偶然によ.  セキュリティ対策としては技術面だけでなく,法制度. って改ざんされないこと. 可用性: コンピュータや情報がいつでも利用できる. 面でも以下のような動きがある. ①不正アクセス行為の禁止等に関する法律:2000.2.3 施. こと.. 行. ②商業登記法等の一部を改正する法律:2000.4.11 成立.. トータルセキュリティソリューション. 同 10 月サービス開始. ③電子署名および認証業務に関する法律:2001.4.1 施行..  セキュリティ技術には,その基盤となる暗号をベース. ④ IT 書面一括法:2001.4.1 施行.. として,それを用いたプロトコル,その上のミドルウェ.  不正行為を抑止する法律と,現実の世界で行われてい. アの体系,およびその上のアプリケーションが挙げられ. る申請・申告や商行為等をインターネット上のサービ. る.また,各種の監視技術やフィルタリング技術がそれ. スに移行させる基盤を整備する法律等に分けられ,①. に加わる.そうした個別の各論については専門書等 4),5). は前者に,②∼④は後者に属する.このほかの関連す. を参照いただくこととし,本稿ではセキュリティ対策. る動きとして,現在,個人情報保護法案が審議されて. を実システムで検討していく手順およびセキュリティ. いる.. 対策の全体像を,日立製作所のセキュリティ商品体系 Secureplaza6)を事例に紹介する.. ■まとめると  高速なネットワークの普及や新たなサービスの急速な. ■セキュリティ対策の全体像. 広がりに対して,増大するリスクは大きな脅威となって.  本来セキュリティはそれぞれのシステムやサービスの. きている.インターネットでは,会社保有資産が脅威に. 安全性を保証するための対策であるので,そのシステム. さらされるという被害者となるリスクだけではなく,踏. やサービスの広がりに則して,どのようなセキュリティ IPSJ Magazine Vol.43 No.10 Oct. 2002. −2−. 1079.

(3) ����� 認証システム. 各種認証機関. 各種ECサイト 不特定の顧客との交信. 外出社員 モバイル. 電子政府システム. ●盗難. ・申請,申告 ・応札 ・公共サービス. ●破壊. ●なりすまし. �������� 本社 社内基幹LAN. ルータ. ファイアウォール. ����� コンテンツ監視. DBサーバ Webサーバ 公開Webサーバ メールサーバ ����� セキュリティポリシー策定 ����� 不正アクセス監視. ●否認. 支店 社外秘情報 通信経路の暗号化 開発技術情報・顧客情報 プライバシー情報 ����� ���. ����� ファイアウォール. 部門. ●改ざん. ●盗聴. ●不適切情報 ●危険プログラム ●ウィルス 法制度. ����� 統合運用管理 ����� 監査/教育 ����� 保 険. 図 -2 インターネットセキュリティ対策の全体像. ファイアウォール. 電子署名法 不正アクセス 禁止法. ISO15408 (技術評価基準). ISMS (運用管理基準). 対策を考慮していくべきかを大きく 9 つのステップに分. Step1:ついで「インターネットに接続している」なら. けて説明する.LAN 接続,インターネット接続からスタ. ば,その接続点を経由した不当なアクセスを制御す. ートして,その上での業務の広がりに段階的に対策を講. る「ファイアウォール」を設置する.. じていくステップである.図 -2 は,本社,支社,モバ. Step2:「ネットワークで秘匿データや個人情報のや. イルの社員,さらに第三者の顧客や公的機関などがイン. りとりをしている」ならば,通信路を暗号化する. ターネットを経由して接続された典型的な構成の中で,. 「VPN」の対策が必要となる.ここまでは本社や支社. 各ステップがどこに対する対策なのか,またシステムの. のようにインターネットを介して特定の相手と接続. 広がりにどのように対応しているのかを示している.. しているケースである..  なお,前章で述べた動向との対応を簡単に述べておく. Step3:次に,インターネットコマースのように「外部. と,被害対策として,不正アクセスは Step1 や Step4 ,ウ. からの不特定の相手と交信する」ならば,アクセス. ィルス対策は Step5 ,情報漏洩は Step2 や Step5 ,ホーム. 者の身元を確認する「認証システム」が必要となる.. ページの改ざんは Step5 ,なりすましや詐欺などは Step3 が主に対応している.また,標準化動向への対応では.  以上の 3 つの Step がインターネットを利用したシステ. Step0 が,法制度面での動向への対応では Step3 などが関. ムを構築する上での基本的な対策である.. 連している.. Step4:さらにセキュリティを高めるために, 「ネット. Step0:コンピュータシステムとして, LAN等を介して「複. ワークやサーバの監視が必要」ならば,不正アクセ. 数の人数でリソースを共用している」ならば,情報. スを検知・通報する「不正アクセス監視」を実施す. セキュリティ対策の基本方針となる「セキュリティ. る.これは,外部からのファイアウォール等の対策. ポリシー策定」が必要となる.ユーザの利用規約や. をすり抜けてくるアクセスの監視のほかに,内部か. システム運用規定の簡易なものから,ある基準に沿. らの不正アクセス監視の対策ともなる. Step5:ここまでのネットワークでのセキュリティ対策. ったセキュリティポリシーまでシステムに応じてい ろいろなレベルがある.セキュリティポリシーは,. に加え,「サイトを出入りする情報の制御が必要」. 続くそれぞれの対策の Step にも共通に関連してくる. ならば,Web やメールをフィルタリングする「コン. ので,Step0 としている.. テンツ監視」を実施する.ウィルスなどの侵入や内. 1080. 43 巻 10 号 情報処理 2002 年 10 月. −3−.

(4) セキュリティポリシー策定コンサル. ISO/IEC 15408 技術基準. ISO/IEC 17799(ISMS適合評価制度) 運用管理基準. セキュリティポリシー セキュリティ対策基準 手順書,マニュアル等. 情報システム IT製品開発 システム開発・保守. 運用管理. セキュリティ組織. 設備管理. セキュリティ運用 ・記録. 体制・人的セキュリティ. 物理セキュリティ. ��������対応コンサル. ���������������� �������� ���������� ������ (財)日本情報処理開発協会 パンフレット参照. 図 -3 情報セキュリティ基準のカバー範囲. して文書化する.. 部からの情報漏洩を抑止することになる. Step6: 「分散したシステムや大規模なシステムの管理. • セキュリティポリシー策定体制の確保. が必要」ならば, 「統合運用管理」が必要となる.こ. • 保護対象の明確化. こには,各種セキュリティツールの効率的な管理だ. • 脅威の抽出とリスク分析. けでなく,そのシステムを覆うファシリティや設備. • 保護対策の決定. に関するセキュリティ対策から,運用管理のアウト. • セキュリティポリシーの文書化. ソーシングなどさまざまなニーズがある..  業務システムごとのノウハウを入れたひな型や専門. Step7:構築されたシステムは随時見直しと適正な運用. コンサルタントによる作成支援サービスが商品化されて. が重要となる.「システムの定常的な監査が必要」. いる.. ならば,専門家による「監査/教育」が挙げられる.. Step1:ファイアウォール. Step8:技術対策や運用管理の徹底をした後に,「万一.  ファイアウォールでは,定められたポリシーに従って. の際の金銭的もしくは対外的な保証が必要」なら. 社内外の通信要求を許可することで,社内ネットワーク. ば,それを担保する「保険」商品が用意されている.. のセキュリティを確保する.ファイアウォールには,フ ィルタリングする TCP/IP レイアの層によって,IP 層のパ. セキュリティ対策各論の概要. ケットフィルタ方式,TCP 層のサーキットレベルゲート ウェイ方式,アプリケーション層のアプリケーションゲ.  各ステップの対策内容を説明する.. ートウェイ方式の 3 タイプがある.パケットのヘッダに. Step0:セキュリティポリシーの策定. 含まれる IP アドレス,ポート番号,経路,サービスタイ.   国 際 標 準 と な っ て い る セ キ ュ リ テ ィ の 基 準 に は,. プなどでフィルタリングするパケットフィルタ方式は,. 図 -3 に示すように,製品やシステムの備えるセキュ. 設定や導入の容易さでは優れているが,細かなセキュ. リティ機能および実装のレベルを技術面から評価する. リティポリシーへの適合や厳密なチェックではアプリケ. ISO15408 と,システムだけでなく運用管理やセキュリテ. ーションゲートウェイ方式が選択される.ただ,最近の. ィ組織や設備管理までの運用管理全体の規約を定めた. 製品の大部分は両方の方式を兼ね備えており,両方式の. ISO17799 がある.国内でもそれぞれ JIS 化され,その評. 特徴を各サイトの要件にいかに活かすかがポイントとな. 価,認定の制度がスタートしている.ISO17799(国内で. る.また,大規模なシステムでは,ドメインごとに多段. は ISMS(Information Security Management System)適合性評価制. のファイアウォールを設置することにより,ユーザや部. 度)に準拠したセキュリティポリシーの策定にあたって. 門ごとのアクセス制限をきめ細かく設定することが行わ. は,以下のフローに従って,トップポリシーから,対策. れる.. 基準,実施手順にブレークダウンして 134 要件項目に対 IPSJ Magazine Vol.43 No.10 Oct. 2002. −4−. 1081.

(5) 形  態. 特 長 認証局の発行する証明書とそれに対応 する秘密鍵情報を端末などに搭載して 利用します.端末での厳密な鍵管理が 前提となります.. 電子証明書. 電子証明書 + ICカード. 証明書とそれに対応する秘密鍵情報を ICカードに搭載することにより,鍵管 理のセキュリティ向上と可搬性を実現 します.. +. 電子証明書などの持ち物による認証より さらに確実な本人認証を生体情報で実現 します.立ち入り制限区域への入退管理 などへの適用が効果的です.. 生体情報. 指紋. 静脈. 適用システム例 � 特定者向け情報発信 � オンラインショッピング � インターネットバンキング � 企業間商取引 � 社員向けシステム � クレジットカードなどの会 員制システム. � 厳密な本人特定など,高い セキュリティを必要とする システムやサービス. ●電子証明書,ICカードを組み合わせる ことにより,ネットワーク上での本人 認証を実現するソリューションもご提 案します.. 顔. 表 -1 認証のソリューションのパターン. Step2:VPN. に認証の厳密性が高まる.どのネットワーク範囲での認.  通信路に秘密情報や著作権のあるコンテンツ情報を. 証か,どのレベルのセキュリティ強度が必要かによって. 流す場合,それらの情報を暗号化することによって,仮. さまざまなソリューションが選択される.. 想的な専用線網を実現するのが VPN である.インター.  持ち物の代表的な例として,カード類,ワンタイム. ネットの企業インフラとしての利用やインターネット. パスワード(サーバと同期してパスワードを生成するハ. 上での個人情報やコンテンツの保護を可能とする.ネ. ードウェアトークンの利用),Kerberos(電子チケット) ,. ットワークのどのレイアで,通信路のどの範囲を VPN 化. PKI(電子証明書とそれに対応する秘密鍵)が挙げられ. するかによって,いろいろな形態の商品がある.プロ. る 4) ,5) .広域で不特定かつ一般的な相手を認証する手. トコルとして,VPN トンネルをレイア 2 で実現する PPTP. 段は PKI となる.. (Point-to-Point tunneling Protocol)とレイア 3 で実現する IPsec.  表 -1 に認証ソリューションのパターン例を示す.PKI. (IP security protocol) ,その上位で実現する SOCKs ,S/MIME. の利用にあたっては,IC カードと組み合わせることによ. (Secure/MIME) ,SSL(Secure Socket Layer)な ど が あ る. ど. り,鍵管理のセキュリティや可搬性が大幅に向上する.. こに VPN を実装するかによって,暗号化される区間が異. 確実な本人認証になると,バイオメトリックスが利用さ. なってくるが,大きくは,組織の外部に出ている範囲を. れる.ただ,ネットワーク上をそうした認証データを流. 暗号化するネットワーク̶ネットワーク型の VPN と,ク. すのは不適切であるし,そのデータ採取用の入力装置な. ライアントまでを暗号化するネットワーク̶端末型の. どでの限定があるので,比較的局所的な範囲での認証に. VPN に分けられる.前者は,ファイアウォールやルータ. 利用される.それぞれの特長を活かして,さまざまな認. に VPN 機能を搭載する形態が,後者は専用の VPN サーバ. 証ソリューションが考えられる.たとえばネットワーク. を設置する形態やアプリケーションに対応した SSL(Web. 上で確実な本人認証を実現しようとすれば,IC カードに. システム)や S/MIME(メールシステム)などがあり,そ. PKI 情報と生体情報を搭載し,入力場所で採取した生体. れぞれに対応した製品がある.また,最近インターネッ. 情報を IC カード上の情報と照合し,本人と認証されたな. トバンキングやネット販売でよく利用される SSL に対し. らばカード上の PKI 情報を利用可能にして,ネットワー. ては,トランザクションの増加に伴うその処理負荷(認. ク上での認証に使うことによって実現できる.. 証および暗号化)を軽減するためのアクセラレータ製品. Step4:不正アクセス監視システム. が利用される..  さらにセキュリティを向上させるには,システムリソ. Step3:認証システム. ースごとの不正アクセスの監視がある.外部からの不正.  認証の実現には,利用する情報として,ID やパスワー. アクセスだけでなく,内部からの不正アクセスも大きな. ドなどの記憶情報,磁気カードや IC カードなどの持ち物,. 脅威となってきており,その両面の対策となる.不正ア. バイオメトリックス(指紋,虹彩,指静脈,声紋,顔情. クセス監視には図 -4 に示すように,ネットワーク上を. 報など)による本人の特徴量の 3 通りがあり,この順番. 流れるデータを監視するネットワークベースの侵入検知. 1082. 43 巻 10 号 情報処理 2002 年 10 月. −5−.

(6) リモートオフィス エージェント4. 業務サーバ エージェント3. ルータ. ポリシーD 統合システム運用管理JP1 ・システムログの監視 ・不正な行為の検知 ・対象マシンへのパケット監視 ・セキュリティ侵害の兆候発見…. Webサーバ/FTPサーバ エージェント1. ルータ クライアント 社内Web サーバ. エージェント2. 顧客. ポリシーB メールサーバ. �������� ルータ. ファイアウォール. DBサーバ. 業務外 サイト. ポリシーC. ポリシーA. サービス 提供サイト. ネットワークベース監視サーバ(IDS) 各ネットワークセグメントのポリシーに従って, ネットワークへの侵入を検知します. エージェント. ホストベース監視プログラム(IDS) マシンへの不正侵入を検知します.. 図 -4 不正アクセス監視システム. システム(IDS: Intrusion Detection System)と,エージェント. 保護を行う電子透かし技術の製品が挙げられる.画像や. を各ホストマシンに配置するホストベースの IDS の 2 通. 音楽等のコンテンツの不正使用を抑止する目的で使用さ. りがある.前者はネットワーク上を流れるパケットを入. れる.端末装置での不正コピーの抑止や,ネットワーク. 力情報とし,あらかじめ保存してある侵入や攻撃の兆候. 上でのコンテンツの不正流通の検出を実現する.. を表すルールやシグネチャと比較して検出する.後者は. Step6:統合運用管理. OS や各種アプリケーションの出力するログを入力情報.  統合運用管理として, いろいろな側面が挙げられるが,. とし,あらかじめ登録してあるログパターンと比較して. いくつか代表的な切り口を紹介する.. 検出する.スキャニングや DoS(Denial of Service)攻撃に. ①統合運用管理システム:セキュリティは上述してきた. は前者が,プログラム挿入やファイルアクセス監視は後. ように種々のツールを組み合わせて実現され,しか. 者が得意としており,両者を併用することで各種の不正. も本社と支社のように空間的に離れた個所に設置さ. アクセス監視を実現する.. れるケースも多い.パラメータの設定やあがってく. Step5:コンテンツ監視システム. るアラームなどの運用管理コストの増加や運用の煩.  コンテンツ監視は,サイトから出入りするコンテンツ. 雑さから新たなリスクが生じる.単一のシステムで. を監視するもので,図 -5 に示すように,メールや Web. こうした統合的な管理を実現するソフトウェアが用. のフィルタリングによって実現する.流入して困るもの. 意されている. ②物理セキリティ:運用管理には,ファシリティを含ん. として,ウィルス,業務外情報,クラッキングプロセス など,流出して困るものとして,社外秘情報,不適正情. だ物理セキュリティの対策も不可欠である.災害,. 報や改ざんされたホームページ情報が挙げられる.万一. 故意,過失,障害などのリスクに対して,設備構築,. ホームページが改ざんされた場合,その流出をサイトの. 地震/火災対策,入退室監視,遠隔監視などのソリ. 出口で検出して抑止するソリューションも用意されて. ューションが用意されている. ③アウトソーシング:セキュリティの運用には,管理. いる.  最近新規に登場した製品としては,Web アプリケーシ. システムだけでなくノウハウを持った専門家の確保. ョンに対する入力データを監視して,そのアプリケーシ. や, さらにはセキュリティ対策の施された設備など,. ョンにとって不適正なデータのクライアントからの入力. さまざまな課題がある.それを一括してアウトソ. を抑止するものがある.既存の Web アプリケーションの. ースしたいユーザも多い.専用のセンターでは,24. プログラム構成上のホールを回避する動作をする.. 時間 365 日の運用管理代行を,ユーザのシステムに.  また,広い意味でのコンテンツ監視として,著作権の. 合わせて,ハウジング,ホスティング,リモートな IPSJ Magazine Vol.43 No.10 Oct. 2002. −6−. 1083.

(7) �� クライアント ��. 公開 Web サーバ メール サーバ. DB サーバ Web サーバ 業務 サーバ. ・業務効率の低下 ・帯域の浪費 ・情報の漏洩. 流入. 不適正情報 クラッキング. ルータ. ファイアウォール. 社外秘情報 流出. 不適正情報. 業務外 サイト. ウィルス・危害. 改ざんされたページ. ��������. ・信用の失墜 ・サービスレベル  の低下 ・損害賠償. 顧客. サービス 提供サイト. 図 -5 コンテンツ監視システム. 今後の課題. どさまざまな形態の運用監視サービス商品が用意さ れている.. Step7:監査/教育.  セキュリティソリューションという観点で今後の課題.  セキュリティの状態を定期的にチェックする必要のあ. について 3 点述べる.. るケースでは監査が重要となる. 各種の診断サービスや, ポリシーの実施状況などの実地監査が用意されている.. ■ウィルスや脆弱性情報への対応. また,その対策の重要な 1 つとして,教育がある.ユー.  インターネットがライフラインとしての役割を果たす. ザの基礎教育から運用者の専門教育まで,各種の教育サ. には,ウィルスや脆弱性情報への早期対応体制の確立が. ービスが用意されている.. 挙げられる.そうした情報流通や対応体制のサービスだ. Step8:セキュリティ保険. けでなく,業界や国家レベルでの組織的な仕組みが重要.  最後の Step として,組織内の業務への被害や,組織外. となろう.. への意図せざる加害などに対して,その保証を担保する 各種の保険サービスが用意されている. リスク分析から,. ■ PKI インフラの普及. ホール診断,セキュリティ対策の実施状況に応じて,保.  PKI を用いる技術基盤や法制度面での対応は整ってき. 険金額と連動させる形態の商品が,各保険会社で用意さ. ているが,広範囲に活用可能な PKI インフラの普及と,. れている.. その上でのアプリケーションやサービスの充実が待た れる..  以上セキュリティ対策の全体像を,システムやサービ スの広がりに沿って紹介した.ただもちろん実際のケー. ■著作権保護対策. スでは,これらを昇順にもれなく実施していくとは限ら.  ブロードバンドのインフラが整えられつつあるが,そ. ず,たとえば,インターネット接続における外部からの. の真の効果を享受するには,流通する情報やコンテンツ. リスク対策では,Step1 のファイアウォール,Step 4の不. の著作権保護対策が不可欠である.暗号や電子透かし技. 正アクセス監視,Step 5の特にウィルス対策などが典型. 術などの基盤技術はあるが,実際の保護には,端末,サ. 的な組合せとなる.すでに実用化されているインターネ. ーバ,ネットワーク,サービスなどの業界横断的な連携. ットバンキングシステムや電子政府システムなどそれぞ. や法制度面の整備が重要となろう.. れのシステムでも,基本的には Step1 ∼ 3 までの対策と, さらに必要とされるセキュリティレベルに応じて Step4 や 5 の対策が実装されている.経営面からのリスクと投 資のバランスを考慮し,かつ個々のシステムの抱えるリ スクにトータルに対応することが重要であり,そのため にも,Step0 のセキュリティポリシーの策定がますます 重要な位置付けとなってくるであろう.. 1084. 43 巻 10 号 情報処理 2002 年 10 月. −7−. 参考文献 1)http://www.ipa.go.jp/security/ 2)http://www.netsecurity.ne.jp/ 3)櫻井三子他 : IETF: 第 6 回セキュリティエリア , 情報処理 , Vol.43 No.6, pp.676-680 (June 2002). 4)佐々木良一他 : インターネットセキュリティ , オーム社 (1996). 5)チャーリー・カウフマン他(石橋他訳): ネットワークセキュリティ , プレンティスホール出版 (1997). 6)http://www.hitachi.co.jp/Secureplaza/ (平成 14 年 8 月 21 日受付).

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