組込みシステム用標準OSとしてのLinux
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(2) 組込みシステム用標準 OSとしての. ?. あると考えられる. それでは,なぜ最近組込み Linux が注目を集めている. 本稿では,組込み Linux とは何か,組込み Linux の応 用例,現状の組込み Linux に関するいくつかの課題, さ. のだろうか?. らに 2000 年夏に設立された日本エンベデット・リナッ. する.. 本稿では 4 つの理由について説明. クス・コンソーシアムの取り組みについて紹介する.. 第 1 は,Linux がファイルシステムやネットワークシ. 最後に,将来の計算機環境と Linux のかかわりと我々の. ステムをはじめからコンポーネントとして含んでいる. 研究の概要を紹介する.. ことである.従来のリアルタイム OS(以下 RTOS)の 多くはファイルシステムやネットワークシステムをミ ドルウェアとして提供しており,原則として開発者は. Linux. ?. 開発システムに適したファイルシステムやネットワー クシステムを選択することが可能である.しかし,実. 組込み Linux は,通常のインターネット用サーバなど. 際にはこれらのソフトウェアを開発システムの特性に. で利用されている Linux とほぼ同じものである.Linux. 応じて変更することは大変困難であるため,RTOS ベン. とはフィンランドのリーナス・トーバルズが学生であ. ダから提供されるものをそのまま利用しているのが現. った当時に中心となって開発を始め,RedHat 社などの. 状である.この現状を踏まえると,ファイルシステム. 協力により実用的になった OS である. システム構成の. やネットワークシステムをミドルウェアとして提供す. 柔軟性に優れているため,アプリケーションの要求に. る従来の RTOS に対して,それらを標準でサポートして. 応じて OS の構成を容易に変更することが可能である.. いる Linux の方が,一貫したシステムを構成しやすい.. Linux を構成するコンポーネントとしてはアプリケーシ. 加えて,これからの多くの組込みシステムはフラッシ. ョン,システムコマンド,サーバ,ライブラリ,カー. ュメモリファイルシステムやインターネットプロトコ. ネルなどがあるが,このうちリーナスらが開発・提供. ルスタックが必要不可欠であるが,Linux ではこれらの. を行っているのは主にカーネル部分である.その他の. コンポーネントもはじめからカーネルに含まれている.. 多くの部分は,GNU プロジェクトで開発されたプログ. サイズに関していうと,カーネル全体は最小構成で. ラムから構成されるディストリビューションと呼ばれ. 500k バイト程度であるが,ファイルシステム,ネット. るパッケージになっており,それらの細かい内容はデ. ワークシステム,デバイスドライバを除いたカーネル. ィストリビューションごとに異なっている.たとえば,. サイズは 100k バイト以下である.Linux は大きすぎる. ウインドウシステムやブラウザなどのカーネル上のソ. という批判があるがこれは正しいとはいえない.. フトウェアは各ディストリビュータが彼らのビジネス. 第 2 には, Linux のカーネルインタフェースが,Unix. ドメインに最適なものを選んでいるため,同じ組込み. をベースにした国際標準のカーネルインタフェースで. Linux といっても細部はいろいろ異なっている.. ある POSIX に準拠していることである.POSIX は世界. 組込み Linux は,組込みシステム向けのカーネル構成. 的に最も普及しているカーネルインタフェースであり,. と組込みシステムに適したコマンド,サーバ,ライブ. POSIX に基づく多くの研究・教育が存在し,また. ラリ群から構成されており,ハイエンドの組込みシス. POSIXに関する多くの書籍や刊行物も出版されている.. テムになるとデスクトップ用 Linux の構成と大きな違い. このため POSIX インタフェースをマスタしているプロ. はない.つまり,カーネルとしては通常のデスクトッ. グラマが世界中に多数存在する.開発コスト削減が大. プなどで使用しているものと同じものを用いる.しか. きな課題である現在,組込みシステムで POSIX に基づ. し,組込みシステムでは応答性が重要な場合が多いた. く OS を用いることは教育コストの削減やグローバルな. め,MontaVista 社の Hard Hat Linux や TimeSys 社の. 開発体制を容易に実現可能という点で,大変魅力的で. Linux/RT など通常配布されている Linux カーネルのリ. ある.. アルタイム性能を改善した Linux も存在する.. 第 3 には,Linux がオープンソースアプローチという. また,BusyBox や Microwindows などのメモリフッ. 方式により開発されていることである.設計図にあた. トプリントやファイルシステムのサイズを小さくする. るソースコードが公開されているため,開発者が世界. ことを可能とするコマンド類,バッテリ制御機構の改. 中の地理的に離れた場所に点在していても事実上共同. 良や,システムのコンフィグレーションを容易にする. 開発が可能となる.この方式では 1 人のコーディネータ. ための開発環境などさまざまな拡張が行われ組込みシ. が他の開発者から提示された変更をチェックし,変更. ステム開発に必要な要求をほぼ満足させるものとなっ. が好ましい場合はマスターソースコードに変更を追加. てきている.. する.開発されたソフトウェアは無償で入手可能であ IPSJ Magazine Vol.43 No.2 Feb. 2002. −2−. Linux. Linux. ったことが組込み Linux への注目度が高くなった原因で.
(3) り,興味がある人ならば誰でもテストできる.テスト. ホームアプライアンスを実現する場合もオープンソ. 結果はコーディネータにフィードバックされ,さらに. ースの Java 仮想マシンや IEEE1394 デバイスドライバ. 誰か他の開発者により改良されていく.潜在的に多数. などのサポートがあるため,実際の組込みシステムを. のプログラマがテストやバグの修正を行うため,従来. 大変廉価に構築することが可能となる. 本章では,組込み Linux を利用したシステム事例とし. に比べてすばやく安定したソフトウェアの構築が可能. て,早稲田大学中島研究室と富士通 LSI ソリューション. となる. 一般に基盤ソフトウェアは開発にコストがかかる割. との共同研究により開発した HAVi(Home Audio/. には利益が少なく,従来は少数の機関で基盤ソフトウ. Video intreoperability)をベースとした情報家電用の. ェアを開発していたため莫大な開発費が必要だった.. ミドルウェアの構築について簡単に述べる.HAVi は. 一方オープンソースアプローチでは, 前述したように異. IEEE1394 により接続された情報家電機器間の相互接. なる組織に属する多くのプログラマが無償でソフトウ. 続を実現するための規格であり,プラグアンドプレイ. ェア開発を行う部分が多い.オープンソースアプロー. 機能を提供することにより簡単にホームネットワーク -1 に,我々が開発中の. チの利用により,他の人が開発したソフトウェアの利. を実現することが可能となる.. 用に対価を要求することは難しくなるが,開発コスト. システムのスクリーンダンプを示す.この例では,. の削減が最も重要な項目である場合はきわめて好まし. HAVi ソフトウェアが動作している PC と DV カメラを. いアプローチである.オープンソースアプローチに基. IEEE1394 により接続している.PC のディスプレイ上. づき開発が進められている Linux は,すでに多くのデバ. には DV カメラを制御するためのユーザインタフェース. イスドライバが作成され,さまざまな CPU に移植され. と DV カメラから受け取った DV ビデオストリームを表. ており,結果としてカーネルの安定度はきわめて高い. 示している. Linux を用いることにより,IEEE1394 デバイスドラ. ものとなっている. 第 4 には,Linux 上には多くのライブラリやミドルウ. イバや DV フォーマットのビデオデータを処理する部分. ェアが存在し,それらのインタフェースがデファクト. など,オープンソースソフトウェアを有効に利用する. スタンダードとなっているため移植性の高いアプリケ. ことにより開発コストをきわめて低くすることが可能. ーションやミドルウェアを構築することが可能である.. であった 5).また,Linux が提供するリアルタイム機能. たとえば,マルチメディア処理のためのインタフェー. を用いることによりビデオやオーディオのような時間. スや GUI のためのインタフェース,それらに基づいた. 制約を持ったデータをうまく扱うことが可能なことも. ディジタルテレビ用のインタフェースなどさまざまな. 分かった.. 標準インタフェースが提供され,それらのインタフェ. また,電灯線ネットワークである X10 デバイスを制. ースを用いたアプリケーションやインタフェースの明. 御するための組込み Web サーバの開発を Linux 上に. 細を記述したドキュメントも完備されつつある.また,. Java を用いて行っており,Linux を利用することにより. CORBA や Java などのミドルウェアなどもオープンソー. PC 上でプロトタイプを開発し,実際の組込みデバイス. スとして提供されているため,これらのソフトウェア. 上に容易に移植可能であることが明らかとなって. を巧みに利用可能な場合は,組込みシステムの開発コ. いる 6).. ストを劇的に減らすことが可能である.また,世界中 のオープンコミュニティにサポートされているため,. Linux. 時代に応じた新しいテクノロジが導入される可能性が 高い.. 前章までに述べたように,組込み Linux は次世代の大 規模な組込みシステムを構築するための基盤として非. Linux. 常に適したものである.しかし現在の組込みシステム の多様なエリアに応用していくためにはさまざまな課. 組込み Linux が適した組込みシステムの例としては,. 題もある.本稿では以下にそれら 5 つの課題について述. インターネット上のサービスアクセスおよび高度なグ. べる.. ラフィック機能や Java 仮想マシンのサポートを必要と. 1 つ目はリアルタイム性や短い割り込み応答性の実現. するインターネットアプライアンスやホームアプライ. である.インターネット対応や Web ブラウザの搭載を. アンスなどがあげられる.インターネットアプライア. 必要とし,かつリアルタイム性を要求するアプリケー. ンスでは,組込み Linux 上にウインドウシステム,Web. ションは数多く存在する.しかし Linux はリアルタイム. ブラウザなどのソフトウェアを利用する.. 性を考慮せずにデザインされたため,時間制約を持っ. 43巻2号 情報処理 2002年2月. −3−.
(4) 組込みシステム用標準 OSとしての. Linux. -1. たマルチメディアアプリケーションや短い割り込み応. 上で注意を必要とする.. 答性を要求する制御システムには適していない.そこ. 4 つ目の課題はセキュリティに関するものである.. で現在,MontaVista 社の Hard Hat Linux や TimeSys. 組込み Linux を利用する最大の理由の 1 つに簡単にイン. 社の Linux/RT のように Linux 自体にリアルタイムサポ. ターネット接続可能な組込み機器を構築可能なことが. ートを追加したものや,Leneo 社の RTAI や FSMLabs. ある.近年,インターネット上のサーバへの侵入や攻. 社の RT-Linux のように RTOS と Linux を融合したもの. 撃に関する記事を新聞で見かけることが多くなったが,. など,各企業でさまざまなアプローチにより問題を解. 組込み機器をインターネットに接続することにより組. 決しようとしている.我々の調査では,現在の Linux を. 込み機器もハッカーの攻撃対象となる.特に,ディジ. プリエンプタブルにすることにより 1ms 以下の応答時. タルテレビ上のオンラインショッピングなどが可能と. 間が実現可能であり,多くの組込みシステムに対して. なると,クレジットカード情報などのさまざまな個人. 満足な応答性が達成されていることが分かっている 2).. 情報が組込み機器上に保存される可能性がある.イン. 2 つ目は既存の RTOS 資産の有効利用である.国内の. ターネット接続可能な組込み機器を構築する場合は,. 組込みシステムを考えると相当量の ITRON 仕様 OS(以. さまざまなセキュリティホールに関する情報も考慮す. 下 ITRON)上のソフトウェア資産があり,それらを無. る必要がある.. 視して新しくソフトウェアを一から構築することは現. 5 つ目の課題は,ソフトウェアの信頼性に関する問題. 実的ではない.現在,日本エンベデッド・リナック. である.組込みシステムの複雑度は年々増加の一途を. ス・コンソーシアム(次章参照)では,従来の ITRON. たどっている.従来のシステム構築法は完全なシステ. 上で Linux を利用できる Linux on ITRON の仕様策定を. ムを構築するための手法であり,ソフトウェアバグが. 行っており,これにより既存の ITRON 上のソフトウェ. 潜在的に存在する環境では安定したソフトウェアを構. アと Linux 上のソフトウェアを同時に動かすことが可能. 築することが困難である.将来に向けては新しいシス. となる.. テム構築の考え方が必要となると思われるが, 短期的に. 3 つ目の課題は Linux のライセンスに関するものであ. はソフトウェアを可能な限り再利用することにより新. る.Linux は GNU ライセンスに基づき配布されている. 規にコーディングする量を減らすことが唯一の解決法. ため,カーネル内の改造を行った場合はすべての変更. であると思われる.再利用可能なミドルウェアは新規. を無料で配布する必要がある.原則として,動的にロ. に開発するコード量を減らすことを可能とする有効な. ード可能なデバイスドライバや GNU ライセンスのライ. 手法であると考えられる.次章で述べる日本エンベデ. ブラリを動的リンクしたアプリケーションに関しては,. ッド・リナックス・コンソーシアムでも Linux 上の再利. 必ずしもソースコードの無料公開は必要でないといわ. 用可能なミドルウェアを構築することで将来のさらに. れている.しかしライセンス問題は複雑で分かりにく. 複雑化するユビキタスコンピューティング環境実現の. い部分もあるため,組込みシステムで Linux を利用する. ための要求をまとめるユビキタスコンピューティング IPSJ Magazine Vol.43 No.2 Feb. 2002. −4−.
(5) 組込みシステムに Linux を導入することはそのような新. 専門小委員会を 2002 年から発足する予定である.. しい未来への一歩となる可能性があると考えられる. 未来の生活環境を実現するための組込み機器は高度 に複雑化していくと思われる.そのような組込み機器. Emblix. を安価に実現するためには Linux や Java などの標準ソ フトウェア(COTS ソフトウェア)の利用が必要不可欠. 日本エンベデッド・リナックス・コンソーシアム. だと思われる.最新の研究動向として,中島研究室で. (Emblix : http://www.emblix.org/)は,2000 年 7 月. の研究内容を紹介する.中島研究室では,我々の生活. に組込み Linux の普及と周辺技術の標準化を目的として. 環境をよりインテリジェントにするためのミドルウェ. 設立された産学協同のコンソーシアムであり,2001 年. アアプリケーションの研究,および,その有効性を実. 9 月 17 日時点で 92 企業・団体が参加している.また米. 証するためのアプリケーションの開発を行っている.. 国の Embedded Linux Consortium(ELC)と密に連携. また,これらのミドルウェアを構築するための基盤ソ. をとることにより,世界中の組込み Linux に関する情報. フトウェアとしてどのように Linux や Java などの標準. の会員への提供や,Emblix で策定された仕様の海外へ. ソフトウェアを利用するかの研究を行っている.現在. の発信を迅速に行える態勢を整えている.. は,以下の 5 つのプロジェクトに取り組んでいる.. 現在,Linux におけるリアルタイム性の検討を行うリ. 1 番目のプロジェクトは,将来の情報家電の構築を目. アルタイムワーキンググループ,Linux on ITRONの仕. 指すプロジェクトである.このプロジェクトでは,. 様策定を行っているハイブリッドアーキテクチャワー. HAVi や Jini, UPnP(Universal Plug and Play)などの. キンググループ,組込み Linux 向け開発環境の標準化を. 組込みシステム向けミドルウェア間を接続するための. 行う開発環境ワーキンググループが活動を行っている.. メタミドルウェアに関する研究を行っている 7).また,. また,Linux のライセンス関係に関する調査を行う法務. よりよいユーザインタフェースを提供するための将来. 小委員会も活動をスタートさせている.特に,産業界. の家電の制御法などに関しても研究を行っている 3).そ. の Linux のライセンスに対する懸念を払拭するための根. の他には,無線ネットワークにより接続された携帯デ. 拠を示すことで組込み Linux の普及の促進を目指すこと. バイス間でのデータ共有に関する研究も行っている.. は短期的に見て特に重要な問題と考えている.. この研究では,街中を歩くだけで自動的に欲しい情報 を収集することを可能とするミドルウェアを開発して いる. 2 番目のプロジェクトでは,インターネット上にある さまざまなサービスや家電が提供するサービスを統合. 次世代の組込み環境はどのようになっていくのであ. することで新たなサービスを構築するための基盤の実. ろうか? この疑問は組込み Linux の導入により複雑化. 現を目指している.現在インターネット上にはさまざ. していく組込みシステムの将来像を考えることにより. まな有用なサービスが提供されているので,それらの. 解が出てくると思われる.将来の我々の生活環境には. サービスを家電などの組込みデバイスが提供するサー. 数多くのコンピュータが埋め込まれそれらのコンピュ. ビスと統合することにより,今まで考えることができ. ータがお互いにネットワークにより接続されていくと. なかったようなサービスを簡単に実現することが最終. 思われる.さらに,ホームネットワーク,車載ネット. 目標である.. ワーク,パーソナルエリアネットワークなどのさまざ. 3 番目のプロジェクトは,ビデオやオーディオデータ. まなネットワークがインターネットに接続されること. を扱うツールキットの作成を目指している.このプロ. により世界中のあらゆる組込み機器がお互いに接続可. ジェクトでは 1 番目のプロジェクトにおける情報家電を. 能となっていく.これにより,我々の行動などさまざ. 構築する場合に必要となるマルチメディア処理部分を. まな情報が自動的に計算機上に蓄えられ,その情報を. 簡単に作成可能とするだけではなく,拡張現実感やコ. 用いてさまざまな機器の振る舞いをカスタマイズする. ンテキストアウェアネスなどの新しいサービスを構築. ことが可能となると思われる.. する基盤の実現を目指している.. さまざまな物にコンピュータを埋め込むことにより. 4 番目のプロジェクトでは,新しい組込みソフトウェ. 何ができるかについて我々はまだまだ知らないことが. アの開発法の研究を行っている 4).我々の多くのプロジ. たくさんあると思われる.つまり,我々の生活様式を. ェクトでは Java と Linux を基盤ソフトウェアとして利. 一変するような新しいサービスが近い将来登場するこ. 用しているが,次世代知的生活環境を実現する多様な. とで真の情報社会の実現が可能となるかもしれない.. 組込みデバイスの特徴を有効利用するためにはこれら. 43巻2号 情報処理 2002年2月. −5−.
(6) 組込みシステム用標準 OSとしての. 我々のプロジェクトでは,いかに既存のプログラムを 変更せずセキュリティやリアルタイム性などを動的に 追加可能とするかの検討を行っている. 5 番目のプロジェクトでは,OS やネットワークなど のユビキタスコンピューティング環境を支える技術の 開発を行っている.本プロジェクトでは,Linux のリア ルタイム化,CORBA ベースの分散 OS,Java のリアル タイム化,環境情報を統一的に管理するイベントシス テムなどのさまざまな基盤ソフトウェアの研究開発を 行っている. 将来の組込み分散システムは我々が想像する以上に 複雑なものとなっていくと思われる.従来のシンプル なものを構成的に積み上げていく手法では将来の計算 機環境を実現するにはきわめて困難である.中島研究 室では,Emblix における活動を通して得られた知見と 以上述べた現在の我々の研究結果を元に,システム全 体を大局的に扱う新しいシステム構築手法と将来計算. 1)Hansmann,U.,Merk,L.,Nicklous,M.S. and Stober,T.:Pervasive Computing Handbook,Springer (2001). 2)Nakajima, T., Iwasaki,M. and Ochiai,S.:Issues for Making Linux Predictable, In Proceedings of the IEEE International Workshop on Linux and Internet Appliances (2002). 3)Nakajima,T.:System Software for Audio and Visual Networked Home Appliances on Commodity Operating Systems, In Proceedings of the IFIP/ACM International Conference on Distributed Systems Platforms (2001). 4)Ishikawa,H.and Nakajima,T.:Some Software Design Issues for Realizing Internet-Scale Ubiquitous Computing, In Proceedings of the International Workshop on Experience with Reflective Systems (2001). 5) Soejima,K.,Matsuda,M.,Iino,T.,Hayashi,T. and Nakajima,T.: Building Audio and Visual Home Appliances on Commodity Software,IEEE TRANSACTIONS ON CONSUMER ELECTRONICS,Vol.47,No.3 (2001). 6) Ishikawa,H.,Tokunaga,E.and Nakajima,T.:A Case Study of Implementing Home Appliance Middleware on Linux and Java, In Proceedings of the IEEE International Workshop on Linux and Internet Appliances (2002). 7)Nakajima,T.,Ueno,D.,Tokunaga,E.,Ishikawam,H.,Satoh,I. and Aizu,H.:A Virtual Overlay Network for Integrating Home Appliances, In Proceedings of the International Symposium on Applications and the Internet (2002). 8)Nakajima,T.,Tokunaga,E., Ishikawa, H. and Stajano,F.:Technology Challenges for Building Internet-Scale Ubiquitous Computing, In Proceedings of the Seventh IEEE International Workshop on Object-oriented Real-time Dependable Systems (2002). (平成 14 年12 月19 日受付). 機環境におけるアプリケーションに関する研究を行っ ていく予定である.. 本稿では,次世代の組込み OS として注目を集めてい る組込み Linux に関して解説した.今後,組込みシステ ムの大規模化が進むにつれ,高度なアプリケーション を支える堅牢で高い機能を提供する OS が必要不可欠と なる.組込み Linux は組込みシステム開発に関するさま ざまな問題点を解決する手段としてきわめて優れたも のである.しかし, 実際の組込みシステムへ適応する際 解決すべき問題もまだ多く残されている.日本エンベ デッド・リナックス・コンソーシアムは,これらの問 題を解決し組込み Linux に関するさまざまな情報を提供 することにより国内の組込み業界の活性化を図ること を期待するものである.また,我々の研究室では, Linux が基盤 OS として計算機に埋め込まれた知的生活 環境が構築可能であることを示す研究を行っていくこ とで,将来の Linux に必要な機能が何であるかを明らか にしていきたいと考えている.. IPSJ Magazine Vol.43 No.2 Feb. 2002. −6−. Linux. の基盤ソフトウェアを動的最適化する必要がある..
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