• 検索結果がありません。

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析"

Copied!
58
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

白鴎大学論集第24巻第2号

論文

『ゆれの理論』から見た

Debussy音楽の分析

福田由紀子

AnalysisofDebussゾspianomusicbasedon『TheoryofYUre』

FUKUDAYhkiko

目次

1はじめに

II調性音楽の新しい概念

一ゆれの理論一

III前奏曲第1巻より

「デルフィの舞姫」の分析

「亜麻色の髪の乙女」の分析

「沈める寺」の分析

IV結び

一133一

(2)

1はじめに

今から30年程前は、世問一般には、フランス近代音楽は調性音楽から の逸脱とみなされていた。 フランス近代音楽を代表する、印象派のDebussy(ClaudeDebussy仏・ 1862∼1918)の曲は、「調性音楽ではない」とか、「調性を破壊した」 とか言われ、ロマン派のChopin(ポーランド→仏・1810∼1849)や Schumam(独・1810∼1856)の音楽くらいまでしか調性分析は出来ない とされていた。 古典の調性音楽の理論は、対象となる時代様式の範囲が、バロックから ロマン派までと狭かったのである。それゆえフランス近代音楽の分析とな ると、今までの和声の概念から外れており、規則違反が多く、ついには分 析不可能ということになったのである。例えば、弱進行や並行5度、並行 8度は禁則であったし、減7は1に進行すべきとされていた等々、今まで の手持ちの和音と一定の根音進行以外は、例外であるように思われてい た。 しかし、現在では、フランス近代音楽もロマン派と同様に、分析可能で ある。何故なら、調性音楽の概念が拡張されたからである。今までの和声 の規定から言うと、フランス近代音楽は外れるように見えるものが多いけ れども、それは狭い見方から外れるのであって、柔軟な考え方からすれば 外れていないということである。 具体的には、「ゆれが和声を生み出す」という考えに基づく、島岡譲先 生の『ゆれの理論』を使って分析していく。 曲目は、Debussyの前奏曲第1巻から、1番の「デルフィの舞姫」、8 番の「亜麻色の髪の乙女」、10番の「沈める寺」である。 これらの曲の分析を通して、Debussyの音楽は調性音楽であることを証 明していくことにする。

(3)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

II調性音楽の新しい概念一ゆれの理論一

ここでは島岡先生が音楽理論研究会(2007年10月、2008年10月)で講 演なさった資料を、一部掲載させていただく。 《ゆれの理論》 倍音は調性音楽の全てを生み出す。1個の音の中に、調性全部が凝縮さ れているともいえる。ドの音の中からドレミファソラシの音階や半音階や ドミソの3和音が生まれる。 3和音の確立により、7っの音階音がドミソの3音(安定音)とシレ ファラの4音(不安定音)に分かれ、両者が互い違いに噛み合った構造 (ゆれ)を形作る。それを図で示すとこのようになる(図1)。24調は、 どの調も同じ仕組みなので、1を中心とする調の構造を、相対譜表(3線 譜表)で表す。

(図1)属音\

墓驚勃

ゆれとは、緊張一弛緩の関係であり、解決進行はゆれの本質である。 ゆれの理論とは、一定の和音があって、それらを組み合わせて和声が出 来るという従来の考え方ではなく、ゆれが逆に和声を生み出していくとい う考え方である。今まで説明がっかなかった和音や根音関係も、ゆれから 見ていくと全て説明可能になる。 ゆれは、単旋律でも起こるし、和音の形でも起こるし、多層的にもかか わってくる。これらのゆれは、本質的には同じである。 1.継時的なゆれ(旋律のゆれ) ゆれは、椅音(転位音)→解決音(定位音)の関係を表す。ゆれは、不 安定で緊張を生み出し、原音への解決によって緊張を解消する。 一135一

(4)

(図2) 原音 レ ファ 桶フ 、ソ しノド ミ 例

〔し1雪3

シドフアζ

転位音

(ゆれ音)

ゆれには、下向きのゆれと、上向きのゆれがある。シはドが下にゆれた 音である。レはドが上にゆれた音であり、ミが下にゆれた音でもある。 ファはミが上にゆれた音であり、ソが下にゆれた音でもある。ラはソが上 にゆれた音であると解釈すると、シレファラはドミソのゆれになってい る。きらきら星の例を載せる(譜1)。 ※曲中、例えば、「ファ」をミがゆれた音ととるか、ソがゆれた音ととるかの区 別は、アクセント関係からくるが、ここでは、そのことにっいての説明は省略

する。

(譜1)

((

((

11555553333TT1

1

1

o o ⊥ ⊥ 1 2同時的なゆれ(和声のゆれ) 多声部における同時的なゆれは偶成和音を生じ原和音に解決する。 (図3)

馨嶺

XI

偶成和音原和音

解決

例ン

ソソ

レミ

1丁

和声をゆれから見ていくと、弱進行という観念は無くなる。弱進行は和 声を根音進行で規制していくやり方だが、ゆれは弱進行も強進行もなく同 列になる。また、皿の和音も使えるし、何度と何度の和音はこのように使 わなくてはならないという規定もなくなる。

一136一

(5)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

和音の組み合わせで和声が出来るのでなく、ゆれが和声を生み出すので ある。 3、多層的なゆれ(複合和音のゆれ) 2っ以上の機能の合体である。ドミソの上にシレファラを積み重ねる。 シレファラはドミソに解決すべきゆれ音であるから、付加構成音として組 み込まれた偶成形体である。

剛離難繍

1131131

また、複合和音のゆれから見ると、付加6、付加7、付加9やVg、

V11、▽13等の付加音もゆれを自在に組み込んだ偶成形態なので自由に使 える。12の音階の音をどう組み合わせても説明がつくので、どんな組み 合わせも出来る。今までの分析では‘‘3階建”の和音はなかったが、どの 音がどのように転位しているかが分かれば、このような表記も可能なので ある。例を挙げる。

(図5)

且7D2

▽lD

lT

また、ゆれは心理的に情動的な反応を引き起こす。ゆれ音は全体として 不安定な表情音である。 ゆれの図(図6)において、中音を軸とし、上下ひっくり返しても形は 一137一

(6)

同じである。反行形を作る原理ではあるが、等価値ではない。実際には不 可逆である。 (図6) 上

上音

中日

下音

属も

高揚感 表情豊か

立訪

日 音 主音

求心的

閉鎖的

形は上下シンメトリー 実質は上下不可逆 属音を上に持ち上げた、いわゆる上を向いた音は、緊張が大きく、表 情豊かで、高揚感がある。「ラ」の音は、ドミソ/シレファラの1番高 いところにある音で、最大の表情音とも言われる。実際に例を挙げる。 Brahms作曲「6つのピアノ小品op.118」より2曲目のINTERMEZZOの 一部抜粋である。

(譜2)

表情音

_イー_イ、/凶

皿 皿 ( ≡ク ) 皿7 12

】▽V71

V一

昔から多くの作曲家たちが使っているが、島岡先生が理論として確立す るまでは、表情的な「ラ」としての理論的説明はなされていなかった。

(7)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析一 II、1▽がロマンチックな表情を持っているのも表情的な「ラ」を含ん でいるからである。四は変終止の形で使われ、終止感は弱い。 一方、主音から下を向いた音は、閉鎖的で、求心的である。1番低いと ころにある導音「シ」は、すぐに1に安定する。下から短2度上がれば、 主和音に解決するので終止感が強い。

ゆれの代表例であるT−D−T、T−S−Tは、どちらも同じゆれだ

が、上下の向きが違うので同じゆれでも性格が異なるのである。 調のゆれ(転調例・ハ長調→ト長調→ハ長調など)も、楽曲のゆれ(安 定→不安定→安定)もひとつのゆれである。ゆれというのは音楽の大きな ドラマを作りだしている。 尚、音楽辞典に載っていない記号や概念や用語は、『総合和声』(島岡 譲執筆責任・音楽の友社発行)に則っているので参照していただきたい。 一139一

(8)

「デルフィの舞姫」の分析 分析楽譜を載せる。楽譜はDURAND版を用いる。 Lentetgrave(」:44)

囚回やさ騨朧麟に

(.

(,

Y

一 1一 層 イ●

少く少<P<

P イ X;∠」 B: .1

.瑞v

・.1 .▽且 Vイ’\ 1貼1 ’皿

ソソソ

Ya.(・(・

」一周一隙V/∬バサ1」し一

4(竃)亭z当1量)・・>\犀・(・

×

夕 #

こ一ノV葡回π凱冒

;、r.瑞

ヤ♀.レ尽,

7Yモ

7

ソ︳ 、ソ蝸

7

、 ’Zr

齪O

(鑑)1 ’ノ :’ ■ ■』 一7’\

レl

k.骸!ノ1

#︳

・嫉一

場喫興・

0∼一圓圖

(量)

へ ﹄へ. ∼︷

)\」

▽▽1▽mTπ

楠丁、r

1Tm’τ▽

画隔勢一讐㎜

)v〔∬皿1▽

V▽IWI∬

(9)

「ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

13≦

(, へ・.

へ.

ノ#甘

X

1.#・1

t

I加

16〔珪)抽 V’, 7、 セ7 (憂)7,

斎)痂1蝋1討

ケケー

,灘

Z一

麟還・≦

Y翠.

∼.

VrJ臨1㌧1陥、.¥迎

γレご

ノねゆ

19父

Z

9

解一 .分回

9・前一

r一一一Zrr

.凱

〆1一”

迎 少 レ

b

Z一

23

ロロヴ

γ)7)

壌・寂鵜)冨腿

ρ㎡.8伽,㌧

‘半ずれP>

少く少

ll

咀’1▽

X如

譲#

即く夕

屯il

27≧謎㌧一i耳一.

㎜1\ツ▽v

1(

一P

即︳忽 控〉倉

!>

一 即 (

)一_

叫《鼻τf匙≧

↓7

0皿▽(1

㎜’

岬)噛塾緯

1鵬聾一1鵬ヤ

1一」

(…DanseusesdeDelphes)デルフィの舞姫 一141一

(10)

この曲は、ゆったりとしたサラバンドのリズムに乗って、典雅に舞い踊 るデルフィの巫女の姿を表現している。この曲が舞曲の形式であるスイー ト形式(開いた2区分構造【注1】)で書かれていることからも、Debussyの 意図が窺える。 分かりやすいように、楽譜を旋律(M)、和音(C)、低音(B)の3層 テクスチュアに書き直し、説明部分の最初に載せた。旋律は楽譜の上部に 書かれているという通念があるが、この曲では、そうとは限らないので、 旋律としての性格を持っているものを旋律(M)として扱う。 囚前段(1∼10小節)

国(1∼5小節)

(譜1)

M

XX雪YrrZr半終辻

L二」

半音階 く解 決 廻四 V保続音 一

半音階

一X

v鼻「陸、

B:1凋セ1周サVrl+6切・

脚短u切切皿

1

▽WN▽1) 匡]は5小節1フレーズで書かれている。B−durで始まり、第4、5 小節では一時的にFdurに転調して1でフレーズを閉じる。F−durの1は B−durの▽、っまり主調の半終止にあたる。テーマは次のとおりである。 (譜2) 1 1

1

1

フ ンフ ンフ ン

一 フ , 酢

嘉ナー//解決ソ

「一x一

rxrY昇,シ,シ(1)害

表情的なフ

(11)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析 第1∼2小節は半音階が使われ、3、4小節目には表情的な「ラ」が ラシラシラシと上ゆれして、その後ソに解決する。(移動ド読み) 音型の展開が見られる為、記号を付けることにする。ただし、煩雑に ならないように、音型が同じなら多少リズムが異なっても、同じグルー プとして捉える。 冒頭の旋律音型をXで表す。Xはリズムを変えて3、4小節目低音に 出てくる。旋律の第2小節3拍目の▽の上方変位音Cisは、テクスチュ アの中の和音の部分、3小節目のD音に解決する。Vの保続音が3、4 小節目の内声部に含まれている。【注2】 テーマが終わると、11の低音IIIの上でV調に転じ、ppで8分音符の和 音が下行する。Nと▽1が多いので柔らかい響きである。 巨](6∼10小節) (譜3) M B

6「一Xr

一Xノー一

r−Y− 「Zr 樋音[

1

巨 ザ ■ 8度重音 ツ 丁ちで土3和音に変化

←一一V保続音 財

1凋豆工凋セVrl+6淘五糊、v(Nww四四N▽1〉

團は、内容は巨]とほとんど同じだが、変奏リピートと考えられる。 変化している点を以下に示す。 テクスチュアの中の旋律の部分も和音の部分も8度重音に変化してい る。6∼7小節目の和音は、後打ちで第2拍、第3拍が増3和音に変化 している。[司の4小節目はρpの強弱記号だったが[司の9小節目は吻ロ になっている。5小節目では4分の3拍子に戻ったが、10小節目は4 一143一

(12)

分の4拍子のままで最後は2分音符になっている。最後の2分音符は、 音符で書かれたフェルマータであるとの解釈ができる。 この変奏は、形は変えずにオクターブを重複させて、音色の変化や音 響効果を求めるオーケストラ的な変奏に似ている。 国後段(11∼31小節) 匡](11∼14小節)

(譜4)

B−dur_5音音階

回回一5音音階フソミf−molI

M

B

ヒ⊇」巴」フソミーレド_

11・、kドラソミフ,ソミ

5度の開きファ

\レミ

3度の開き

〉アソフ

1 し 1 一』 ユー』『』

一 ●

.〔皿皿w▽w命1皿呼(w▽刷)暇w皿1伽)〕

後段は主調に戻ってVの保属音から始まる。 第11∼12小節の旋律はラソミレドラソミ(移動ド読み)の5音音階 である。Xのリズムを用いてはいるが、音型が異なるし、半音階を用 いていないので記号は付けない。テクスチュアの中の和音部分の並行和 音は、▽IIが減3和音になるのを避けて短3和音(皿)になっている。 13小節目でIV度調のEs−dur、14小節目で準・V調のfmol1に一時的に 転調するが、バスの保続音は変わらず続いているので根本的には主調の V上での変化である。旋律の5音音階のラソミレドラソミ(移動ド読 み)は同じであるが、和音部分は、第11小節はレミファで始まり、第 13小節はファソラで始まるので、.旋律と和音の関係は異なる。

(13)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

下行形の5音音階、上行形の並行和音、水平の保続音、これら3っの 動きのコントラストが面白い。

(図1)M讐

C並行和音

保続低音

匡](15∼20小節)

(譜5)

“・rY’rr−Yrr’一YrZ1

律 C B

C

15「一一X−r

IIIrZ

# レ( b倉 一並行和音

、)

B 19 +11(工廿世

Z

−「』一r

Vrl皿+611+6

II

( ( 一並行和音 ) ) 。▽ 〔

迂)

皿+611+6㍉

9

※ドミソの和音にラとレが 付加されたと見ることが できる。 。▽1 一145一

(14)

C−durで書かれている。2オクターブ幅3重の旋律である。第15∼16 小節1拍目までの和音部分には、並行和音が使われている。また、第 18∼20小節の和音部分と低音部分にも並行和音が使われている。 18小節目から、下方の並行和音は音階下行してきて、20小節目で C−durのNに落ち着く。これは、すなわち主調の▽である。 回(21∼24小節) (譜7)

回Z・Z・Z!國

C B

21z

「一

∠#1#卜xマr

一z

半ずれ

1

ききッ

レ 並行和音

h

・、

1皿覗愚NI・皿▽↓(1皿▽〉

考離壽1匝佃)

B−durに戻る。Z!はZの音型を2っつなぎ合わせた真ん中の箇所にで きる音型である。

(図2)r一一zレr

lJllJ!

一Z_」

L__Z_」 第24小節は第23小節の半ずれ【注3】になっている。B−durがそのま まそっくり半ずれして実際はBes−durになるが、譜面では異名同音の A−durで書かれている。24小節3拍目のA−durのVから第25小節の B−durの1は、半ずれドミナント進行である。 低音部分の第21∼24小節までは、旋律を第3音として組み込んだ長 3和音の並行和音である。

(15)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析 図(25∼31小節)

(譜8)

「一Xr

C

r一一一X− 解決すべき音が潜在的にある B

、庫位鋤10箇)寸1熔セ1ヤIf

嵐・聴ノ

解決延引

図には不完全な再現要素Xが見られる。第25、26小節の和音は、1 以外は、増3和音である。2オクターブ3重旋律を含んだ並行和音で書 かれている。 第27、28小節の1上のサ,は∀の上方変位に近い響きとして代用され たと考えられる。この1上のサ7は解決延引して、29小節目の1に解決 している。 その際、和音内の導音的なCis音は29小節でD音に解決している。 他方、第28小節の旋律部分のA音は、B音に解決すべきであるが、 実際には書かれていない。第29小節の強弱記号∫であるために低音B の倍音として、B音がかすかに響いているとも考えられる。 全体を大きく見ると、1と∀が繰り返されているが∀はゆれである。

25「一一

臼 (の(・)(’)(’) ひα ( f( Ω 禽

b

解決. (

薫丁並行和盲耀

増3和音 増3和音 ∫> 卯 傷

廿サ

y一一肴 一147一

(16)

全体区分図を載せる。

囚圖

圓図圖回團國

÷r詠珂…ic:…,舗,。音,半ずれ…匡1

1::1:中:::

iii変奏リピートiil展開寸一一〉i結尾(短縮再現)i

14691115212531

セ」・飼 前段囚ではB−durで始まり、團で変奏リピートされ、属調で終わる。 後段團は主調のVの保続音から始まり、回でC−dur(+”調)に転調して 音型の展開が続き、[到は、不完全な再現要素が主調で出てきて曲を閉じ る。 次に分割譜を載せる。

(17)

ll 沿

・曇!

回」寒

回一

フ 黛 ))

しo 汁畑 匹> コ o き

m丹

団圃

。曾畑 l/l ト由、. 国

o

1θ ← 『ゆれの理論』から見たDebu昂sy音楽の分析 し 謎, 詩, 置 噸 醗. 回o

o

,識 ←

ω曝

o升 ト・ 二・6

薗 ,占 彗 δ ) )1) .ミ)

e

婦)タ 1鵬一トー 一149一

(18)

B−durで始まり、B−durで終わっていることや、Vの保続音を使ってい ることなどから、調性音楽であることは明らかである。また、古典的な2 区分構造で書かれている。 Bachはテーマ音型の一部を切り取って、反復させたりつなぎ直したり する方法(主題操作)にたけていたが、Debussyはそれ以上に緻密な主題 操作を試みている。 【注1】

開いた2区分構造とは、前段は主調からV調へ転調し(短調の場

合はIII調に転調することが多い)、後段はV調から始まり色々な調

を経過して主調に戻る楽曲構造のことである。詳しくは『総合和

声』272愛、300愛参照。

【注2】

低音以外のところに保属音がある場合は、譜面では次のように記

す・v「〕

【注3】

近代以降、ある調Xをそのまま半音(増1度)高く、または低く

ずらすことが行われるようになる。これを〔調Xの〕半ずれ調と呼

び、↑X調・↓X調と表記する。半ずれ調は必然的に半ずれ和音を

生じ、その前後の和音との間には、半ずれの関係(半ずれ進行)が 生ずる。詳しくは『総合和声』480㌻∼483㌻参照。

(19)

簿

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

「亜麻色の髪の乙女」の分析 分析楽譜を載せる。楽譜はDURAND版を用いる。 とても穏やかにやさしく語りかけるように

Tr邑sc田meetd。ucementexpre冊ifJ・66)XY

誕讐義i華華畢■

陰」」.

ρ、..、麟、,あまり厳格になりすぎずrラ 戸; き α 10

翼鎖蘭謡,馨纏

2

1

青:4∫脚.)

YrY+>

_…_1

∫>

14 1〔エ 耳ワ

しr

匝]/シて∫王三P湾

μゆ〆一シ

力…⊇

f・

7

工一

輿

簾∫…>

豆71レ

ワな唄¥一喪

・,馬・漁

一151一

r

一f・ 〕エ 17

N一}¥ノ

FX\

C

peua雌少し生彗きとX一 夕

P

r

q

P一晴

\\」:7 ピ 1陣 ■?v

(20)

20メr

へ2:で1

ブ勾久

/↑・肉

二_(

1>

z少

>一

一曜

⊃.

仁■9T、))ケ

23

亀.、

二武伽

だ\

知品掘,重たくなく〕)平

a

▽▽rサ

∫>フ

レ(∼

P

豊髭癖藷勲

』野諜塑

)7ATY’一r

一 ソ

一!

輯︶ ﹄一

kT一’一捨

32

1

」乙 一「「Y†ガム入π物皿」/月営刀’ 、ソ マ『』』』、∼、

ンンヘ

一一

輩・写

裟i

カ’≦

35

) El カ、

1〔工老朔

一一

一 イ・

一.

一.

Z

1≧_

ド カ 巾θ、イ㈱∫f. ( 一迎 一ソ

:一i

)一

一一

)1+6

砺聾VI▽㎜皿eα㎝㎜肛剛a脚

一+6▽1 ぞ〒rY+拡大丑徊/野うに少しずつゆっくりになるらうに>外 工 (_[afi1】eauxcheveuxdelin)

亜麻色の髪の乙女

(21)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析 この曲は、同じテーマ旋律が装い(和声)を替えて4回現れる。その間 にっなぎや中間部などが入る曲構造になっている。テーマ同士の関係は、 一種の着せ替え変奏のようである。 巨コ(1∼4小節) テーマは、1の音の中に「ゆれ」の音が入っている。最大の表情音と もいうべき「ラ」の音が組み込まれているのである(譜1)。1だけで は単純な響きだが、「ラ」の音が入ることにより、柔らかで明るい響き になっている。このメロディーラインが、「亜麻色の髪の乙女」の波打 っ髪を連想させている。 テーマには3度の上・下行音程(ソ→ミ→ド→ラ→ド→ミ→ソ)が多 く使われている。

(譜1)XY

_ド.こソミ甲3度下行3度上行

l

Ges・工+ら下7工

変終止

∠でソ託一麿r

」叉1丁

カーカ

ρ即∫噌μ8雄

ラ盲ラ藩、1

Z反一

第2小節から第3小節にかけての終止は、導音の「シ」を用いた「ド シド」ではなく、「ラ」を和音に組み込ませた「ドラド」で、変終止し ているため、ここも響きが柔らかい。便宜上これを音型Xとする。これ も3度上・下行音程である。 第3小節は、「ドシラソ」の下行音階である。この音型をYとする。 ゆれの「ラ」は第3小節で「ソ」に落ち着く。この曲が調性的であるこ とは、最初のテーマで証明される。

圃(5∼7小節)

第5∼7小節は、旋律の音符1つずつに基本形の和音が付けられてい

る。

一153一

(22)

(譜2)ZZZ

ロワす

覧4度図蚤一

一輯

Ges・Vmπ1▽+VI(▽1一)

IIIを使っているので古風な感じがする。第6小節の2、3拍目は一時 的にEs−durに転調して全終止している。これは中問部に出てくるEs− durの先取りとも考えられる。旋律には、完全4度の上行跳躍が多用さ れている。この音型をZと表示する。 國(7∼11小節) 第7小節からのテーマは、連続碕和音の和声を伴って書かれている。

(譜3)

.r二醐和音一歯Yr一一

1

悔悔野,匡

第一の椅和音物は、第9小節3拍目の導7に解決している。Fes音は

Es音に、B音はCes音に、っまり2階建和音の上部分、n7に解決して いる。これに対して、第二の椅和音胸のC音(導音)は、Des音に、 っまり2階建和音の下部分、Vに解決している。 第10小節からGesの保続音が始まり、第15小節まで続く。実際には 第14小節の1拍目で途切れるが、第15小節の2拍目でまたGes音が打 ち鳴らされるので、続いていると見たほうが自然である。Yに更に16分 音符の下行音階が付随した形をY+と表示した。

國(11∼13小節)

第12小節はGes−durの1の上に▽g(属和音)が重なり、さらに∬7の 和音が重なる3階建和音構造である(譜4)。右手の駆け上がる音型を

1心

「 青1、甑

幸一Y+r

解決 7Ges:

撫加

解決

7

¶r¶一4

(23)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

Pで表す。これは5音音階である。第13小節は1に戻る。テーマの終 止に使われる音型Yが組み込まれている。

(譜4)斤P癖

斤「一1

<P>

∫ 11

㌔一芦

=7 Ge$

▽b3階建和音1−

噸一・罷轡>一

(1階)Ill)

国(14∼19小節) 14小節の並行和音は、和音の偶成的な「ゆれ」で出来ている。旋律 と並行和音はリズムにずれがある。還元すると次のようになる。

(譜5)シケケ

並行和音吻し」『f

114G卵、〔且7シ力域H・

1最上声だけの還元(リズムのずれを修正)

1シ

i叫馬r緑吹、,

全声部の還元

Ges1〔且7薗牡,

イ ● ・

し」与力倉鮎

◆ ● ● ● 1 シ カ 」

f

f’)

● 一155一

(24)

r1「

m\言「\YX

1鏑h

一テ ’︳︳=== で”δ∫μの \

P>

、一

P>

>1

15二_萩.\」青f,

第15、16小節は一時的にCes−dur(IV調)に転調している(譜6)。 第17小節からはGes−durに戻る。第17小節の1拍目は∬gの和音で、 次は▽g、第18小節でまた丑gを繰り返し、第2拍でEs−durに転調する。 これは、主調のGes−durから見ると+VI(ラ)の調にあたる。第6小節 で出てきたEs−durは、ここの先取りである。

第15小節2、3拍目は耳7、第18小節の2、3拍目は耳7で共に2階建

て和音が使われている。Xの音型は、第9小節と同様に、第18小節で も2階建て和音上に書かれている。 (譜6)

P%ふ蕊Y・x

7

M(H了 )f

V

Ces= 2階建和音 〕1 )五9馬

Ges:

、購

Es:

2階建和音 1肛+6 匡](19∼23小節)

5小節間の中間部である(譜7)。

第19、20小節は音型Pで上行し、それぞれ3拍目には3階建和音と

音型Xが用いられている。同じ楽旬がオクターブ上(第20小節)と2 オクターブ上(第21小節)で反復されて盛り上がっていき、第21小節 の3拍目で頂点に到達する。ここでは、曲中最大の強さの強弱記号畷 が付けられていると同時に、急に主調のGes−durに戻る。その後、緩や かなカーブを描きながら下行していく。第23小節は、5、6小節目と 同様、音符1つずっに基本形の和声が付けられている。3拍目は2階建 和音である。

(25)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析 (譜7)

rX−r

rX−

3階建和音 頂点

l

Es:1〔1+6PI+6耳71+6》▽一

rハ激』コ2階建和音

1

22一▽町予・N▽W券賎

圖(24∼27小節) 第24小節は國の分散和音の旋律音(ソミドラ)を同時に重ねて和音 にしている(譜8)。上声部の旋律も、最初のDes音が抜けただけで、 音の並びは國の旋律と同じである。

第25小節の3拍目Pで終止を作り、第26小節は、第27小節の終止に

導くための変化反復である。第27小節3拍目の▽は、1▽に進行する。 これは一般には弱進行で禁則とされているが、本当の意味は碕和音によ る解決延引である。

(譜8)

P

均一

旧嬰日

P<久

Unpeuanlmヒ

1

3階建和音 一

1〆二P−1一 一

一二ニザ

》一

1gr’r

と_く1

==︳ ( /^3試 フ

タレ /!;\

ノ)!ケ

Z

一蘂些

.、

長し ソ 口 24 π

フアー

一畢7エ†6

2階建和音

口音

巧丑ア▽117一

一157一

(26)

團(28∼32小節) Nの上に國よりも1オクターブ高いテーマが現れる。ここは1▽の和 音上に、旋律の表す1+6の和音が乗った2階建てである(譜9)。

第27小節の3拍目から第32小節までの、V→N→▽1→1は、いわゆ

る弱進行が使われているが驚くほど美しい。∬→▽→1という終止定型 から考えると、第27小節目の∬g、Vの後は、本来なら32小節目の1に 進行すべきだが、N、▽[の和音が挟まれた形になっている。これらの 和音は後続する終止1の椅和音であり、解決延引がなされている。椅和 音を入れることにより開放的な響きが美しく聞こえるのである。【注1】

第27∼28小節のV→Nは大胆にも基本形である。低い重厚なNの

上に、第9倍音であるD6s音を、高音で鳴らしている為、澄んだ響き がする。第28小節のNから第31小節のVIに行く美しさに寄与してい るのがドレミという付加6の経過進行である。また、第31小節のWは 短3和音なので、これも美しい響きである。これらの響きの美しさに は、1▽にもWの和音にも表情的な「ラ」の音が含まれているからとい う理由もある。以上がこの曲の、この逆進行が何故美しいのかという理 由である。 第32小節の1は目的和音になっているので、▽1→1の進行は違和感 がなく、やっと安定に到達したという感じである。Yの拡大形とY+の 拡大形はゆったりと下行している。

(譜9)

auMouvt

〃−

食z起奥≡…

/〉・[^rF平癖雪†”ム八形一

ミ ソ

長い椅和音 一,

ド6レ

27一ノkTr●一言)

Ges』1▽1▽

▽1

十6

1

(27)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

国(33∼39小節) 第33小節は第14小節と同様、並行和音から始まるが、2小節にフレー ズが拡張されている(譜10)。和音は1の保続音上のLで、第36小節目

で1に解決される。

第35小節はEs、Ges、As、Ces、Desの5音音階が使われているが、

これは見かけの5音音階で、経過音(Des)を取り除くとLである。 また、見かけ上の4度連続も生じている。 匝]と異なって旋律線は上行しながら消えるように終わる。

(譜10)

見かけの5音音階と4度連続

133,〔皿7

1

1

II嘩71皿フ1

1

全声部の還元

I

33

,唾7

/シ’ケ 、ソ \

FPf

〆勿、 〆 力 、ソ 、ソ ∼

一 口

■ イ ’拘8”ゴ・舘. 並行和音響 鯉 イ ● 轟 ● ・、蔑

33シ

r冒

力力

力 力 力

1

最上声だけの速兀(リズムのずれを修正)

イ 」 〆イ∼ :

口LJしJLJ’

イ. : 33 仁 シ 力 力 力 力 力 、丸

1偶馬1叫III叫II臨III

1

里戸劃兇フ返兀 ﹂一 = ゆ垂ア

4r

」 一f

一官

v

33

1

一159一

(28)

全体区分図を載せる。

藩團囹

1崔』.

国團国

liI

IIIIlIGes

團IlI閣

IIIIIII

圏IIIIII

IIlI

IV ICeS」

Il

[二S.

1

1

[ [

I

Ges: IIII[1

IlIIIII

1

57

111417192124

15

28 33 39 次に、分割譜を載せる。 匡]を中心に、前後、ほぼ同じバランスである。

(29)

「ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

離,

し色 β ダ

8

㊧ぬH

回ま 匿 1>

一轟

〕. 自

圃8

蓼 一B >陰 ≧B

II

昏・ ・>卜 )屋 』 鍾

園曾

團⇔

刃」

團榎

ゆ ニ レ コ 懐 較 並

”””一一国i

盤1

1( §

團蕊

(A)

1 へ 一 ド 〔

ξ

」一1

、o

薙,

團爲 の /二

一161一

(30)

この曲は、テーマは同じだが演出を変えて4回出てくる。1回目は単 旋律で、2回目は連続椅和音上に、3回目は同時和音の形の分散和音 で、4回目は解決延引上に出てくる。いわゆる着せ替えのような変奏で ある。 表情的な「ラ」はテーマの中にも取り入れられている。「ラ」を含ん だ表情的な和音、SやD2が多用され、その魅力的な使われ方が、曲名 にふさわしい柔らかな感じを与えている。特に耳7の和音が目立つ。(第 12、15、18、19、20、25小節) 2階建、3階建の和音、長い椅和音による解決延引、音型操作なども 見られる。 強弱記号はp、ρpが多く付けられ、最大の強さもノロではなく吻であ る。フランス語で細かいニュアンスの指定がされている。 【注1】 一般には、V→1▽は弱進行と言われているが、本当の意味は椅 和音によるV→1の解決延引である。 ここに、亙の椅和音による解決延引の簡単な例を挙げておく。 (譜11)

イワ …

/解決延引、\\

1▽▽71▽21

L一一一」)

V7は1に解決するのが普通だが、1▽2の椅和音を入れることによ り開放的な響きが美しく聞こえる。 解決を先延ばしするために、Vが直接Hや1▽に行くという例は たくさんある。Debussyだけが解決延引の手法を使っているわけで

(31)

33

〆/イ_

/3 3

イ奪

P ︶一

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

はなく、他の作曲家にも見られるのである。

ここにMozartの作品例(譜12)(譜13)を載せる。

(譜12)

Mozar土・交響曲第41番1楽章

AIleg「ovivaceηη

1

C:1

▽2工

7 5

イ傘

イ(

3 ノ 3 ρ

3 3

ドーf

v

1ザ 1

V7一

イ(

V子]V21

一」〕

解決延引

(譜13)

Mozarhピアノソナタk.3302楽章 Andantecantabile

AnoantecantaDIle職イ圏!。“囲

f

■◆ dolce

俗芦

P

h

o

F:1

▽了∬2mI1▽21

解決延引

4

四1NI1鵜12▽

以上の例からも、椅和音を入れて解決を遅らせるのは非常に効果的であ ることが分かる。 一163一

(32)

「沈める寺」の分析 分析楽譜を載せる。楽譜はDURAND版を用いる。 Profond6mentcaime〔D韻5uncbrumedoucementsonore) もっとも静かに(やわらかく響く霧の中で)

匡巫1.…

1

臣二_」

C:▽

1

臨2]騒1一笑,1柘

一8閣…1

國Ω

誇公

8r隣縮_

旦17一

イ墓む

イ丁嚢

『 工覧・ ■軍・ 1 {ド u・ 一u、1 ︸︷> N

4父

艦1駈塩一

一盟羅羅

︵︶

岬一 甲一 − 一 ︶︶章 )1

{ジ)

:豆。 )

哨 一9’1 じ’ Il十”1 R=

9…垂甦1

望逗≦1#

鯉些、.、 一

一 − 欄

』_こ粧ダ\趾

「一一a

(33)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

13

1

LJニご1 3』譲1 幽

a1_

「alr

壁r

h

a1逆

8轟”‘: ∫』● 迎 , 鯉 r∫郷π襯π副ニユアンスなし1こ

( 一︷レ . u・ 套)ξ召 一く﹀ .

4\ [」ニ』

」k鍾l

J=」〕)Il

國 ■■’ u・ 17

琴1 R:

」電1

少しずつ霧の中から浮き出てくるかのように (Peuムpeusortanじdelabrum¢)

16

#一

#曉

ii ∫ε卯r8控

一b1+

b4 b2+

。墾

夕抑僻gす罐はっきりと #極i即b・+ ツ 「一b4 b2 La1反 c1」

1

δ 短, 1/

#\1/

レ{ジ 侵P

1/’

レ今

ρ脚rg躍 #些: 鯉b1+

b4b2+「

P

b3+一r「

01 コ b4+ 一 7

k

_L

一一

La1反」レ

cl」\ミこイ

一脚菖9 1’ゴ )レ

r亙akマ

7a1麗

ワ7=a2くコ 「;二a1

だんだん強く急がずに Augmentezprogressivement(sa・sprピsser)

20へ177ra2一¶

ワ7「『「(II/令

寅凶

卜b4+r−b4+

1、dニコr‘d「

「、、b4十「一b4十

「「

=卜一

」ま

))

)1

「丁二a1 (−( )1 R= \_』ツ

」コ」1

・葦舞騨

\J

一165一

(34)

闘[一=Jl

1

一a2一一コ 8………

ロて

鳳仕=丑、ヨ土コ..、

1

22

(・{}− ■工・

「甚一

ψ:」1

1溢ワ考

一帯一

甲/ψ 一{

一尋

卿!rd一

¶一

−工・ u・

L認_』亘_ノ1

一一す

』‘∠」\レ

v〔▽nフ

26rrプ2=二r

l

一一

國硬くない響きで Sonoresansduret益

ビbへ1レ〆介]

ワぞ一「一一一粛』a1逆又

ガ 幅 〔1

rr一」+

ra3逆rr、a3反

与・

一欄ロー

苓’蔦・

_一

a3逆 8㌔蹴旦 ▽7〕1〔I

a3

五V

a3 S進行 πVI皿

1

51

elr

ne2

e1 レL_a3逆反_ ) (

一一一{_

o・●青GG・’吾oe・・

)分一ffγ合一r

一ππ工吹皿N斑1▽

o

{レo

1

8巴b“

皿N

1

36丁「=a

一Ne1、1 』

1こrワγe、e1

_」 a2一 ¶V 輔V 一 一 一

)r8鑑一一イ置、γ俘ン←〕r3γ

π

皿1)Nn皿1

一166一

(35)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

1

a2 8’=… 8’ 8二” 8’:”

a∠

41「一コ

』」ρ

』.《

■︷ ρ“: 癖ρ ψ」: 控e Oく

P掘仰虞: 』卜 一レ

苓一

_写’レ)

』_一

〕Vr熔外幸

國今までより遅く(渦

UnPeumoinslent(dansuneexpressi・nallant即andlssant)だんだんと高まる表現で 〕

46

1

40

a2 a2 EH

e1

迎仰γθ∬ザ表情豊かにeκo”σθ”磨集中して

Le1」

=)=

=ニ==

牲’σ_芯一ひ_u・’σ一

1 VII

r−a2

1

〔アf麗rr卜Y7‘=r、

皇」1

51へ_一

塑傘 2 L一一一Z 塑

一『

_一一

℃「口㌔で「

愚’fε_

)一

w

H7

皿 皿7

1皿7 8’

1

56

(一

(((

Y

Y7=ド

一 !

P

Y=へr

)ニ=

tr・τ覧

Ψひで

R

1_尋)

一167一

(36)

ii

0

イ血

イr卜!\

一 一

1〆一

一 漉門. 一 一

川o’rひ ザ =7

ズ辛

二u ・\ 鞘\ “ 一

・一1雰致・

rフ;;ンd}

蔦 構

4

R=

__一

一じ一▽一

64

1

「 [〉e、 「\e2

」一『\1い

一#少 P 特

悔_

」蜂ノ』=ニニ==

▽7

しノ

サ▽

77

守, ▽7

亨一マ亨

1

誉σ: 〕vテ ヂ:

70

UGl+aUMOUV

諒一血’面

前に聞いた旋律のエコーように 夘壊灘翻舗醗 rclr 仰 clr

寿1巨晦伽’糎畷フ」嚇抜曙2」

評:

II

C:・母1

國磁談でワ7k

一c1+一ε一の

浮いているかのように,8“b騒訟 )

そしてくすんだ音で

v〔1

1

3ユII昧rr”てa彗……ミ日継、

十 r一一一一一一d一 8皇b螂真. ▽ 皿 切 皿 1▽皿 (馬)

(37)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

a3

F

e2 76一も 8ab御、

1

a Iv(皿 N 1 ▽ 皿 一a3「;「elr e1一

r

79

1 レ 砂

一 L___一a3逆反

『罰『} 一} 8皿b雌甜.. 四 1 皿 皿 團囮始めの響きの中で DansIaso口ori[6{1ud6b“t

8轟

(.1矧x/

μ鹿鯉 1 す・ 8牡b鱒s巳.

1

)五 皿 〕1 8” 8”

85叢・

一一一

一 一ぺ3 一べ3 3i

歪●一喜τ養一藍一甕

{}:

1ヨミ穿

(..LaCath6draleengloロtie)

沈める寺

一169一

(38)

この曲には物語【注1】の描写としての各局面がある。 曲全体を、導入部(1∼15小節)、移行部(16∼27小節)、主要部(28 ∼83小節)、結尾(84∼89小節)の4部分に分けて、区分図、バスの動き、 調関係、物語、強弱と対応させてみた。

(図1)

区分図 バスの動き r導入部rr移行部へr主要部

圃団國囲翻團國

+論I

H:一。勢

+1”・IIIIV魂gis魂IV

C:EIC抵:C:F:C:ciscisC:F:

171416222832384449557076

〔小節) 瀦尾\ 囮

84

● ● {}uす 一u 一合 一〇

σ▽皿

調関係

E・1

17▽I

H:IESIIG:1 cis:妬▽gis:ICls:▽vl

錺鵡I

1一 導入部 移行部 主要部 結尾 1(小節) 16 28 84 物語朝もや波が動き始める沈める寺が目の前に当時の繁栄して 海面がかすかに揺れ寺院が徐々に浮かび上がり鐘のいた頃の様子 始雌の龍歌が姿を見せ始める音と聖歌力1聞こえて人々のざわめき

遠くから聞こえるくるイスの街の雑踏

強弱仰くガ

静かな波立ち夕もや 寺院沈下していく海面下より 聖歌の残響ま裡歌が

聞こえる

やがて穏やか

な海面に戻る

ザ>

(39)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

函(1∼15小節)國国國の3部分から成る。

國(1∼6小節)

(譜1)

一饗F巧調会

l

c▽一雑一一審一一.

慰防溺興1輿}藁歴・

αIralr繹収久

㌔・lrdr鐸反会

控ノイrL

隠されたゆれDEEDE

GAHGA

・イ丁丁ヨc

}一 ■工・ じ・

■工’③・

u■1)1す。

4父

n二1厚(((垂

︵︶一

一}

一ぴ11U・

).・σ.一

)≦≧}コ匡・

))

L二晩二」u’

皿フ

C−durで始まり、低音部は音階下行する。上声は、同じパターンで第 5小節まで続くが低音との和声関係は変化する。4分音符は、オルガヌ ム【注2】であり、G−A−H−D−Eの5音音階から成る。この中には隠された ゆれがある。左手のG−A−H−G−A、右手のD−E−E−D−Eのラインである。 和声分析の際には、オルガヌムはゆれとして扱うので、和声は細かくは 変化しない。 基本となる音符を、1オクターブ内に集約すると次のようになる。 (譜2)

C:▽

N

皿7 一171一

(40)

1小節目は4分の6拍子で書かれている。2小節目は2分の3拍子で

書かれている。第5小節の6拍目のE音は、2拍延ばし、3拍延ばし、 4拍延ばしと徐々にゆっくりしていく音符のリタルダンドである。 物語と対応させると、付点全音符が鐘の響き、オルガヌムが聖歌を表 している。それらは、相まって霧の立ち上る雰囲気も出している。 この曲もBach的な手法が使われているので、多く出てくる音型に は、記号を付けて譜面に書き込んだ。これらの音型は反行形や逆行形で 用いられる場合もあるし、逆反行形の場合もある。また、2つの音型の 組み合わせで出来た合成型もある。 (図2)

國國國國

ala2a3blb2b3b4clc2dele2

1 6度 5度

縮 5度山型 5度谷型 上行 下行 2庭 2唐 3度下行4度下行

上行型 a1とa3逆反行形の 組み合わせ 4度

Y

Z

2度 山型谷型

錺トリー a1とa1逆行形の 組み合わせ 谷型シンメトリー a3逆行形とa3の 組み合わせ 逆行形(左右反転)

これを上下反転すると 逆反行形になる

反行形(上下反転)

國(7∼13小節)

ここは、47小節目の旋律の先取りをしている。旋律は同じでも、

E−durで書かれている。保続音はE音であり和声はずっと1+6のままで ある。2分の3拍子で書かれている。

(41)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析 (譜3)

・盤舞星∠羅

里巷塾斗甦

r一一一aη一■1 噛 一 一 噌 『

一#轄

+llll愈+6 11

旋律が分かりやすいように単音で抜き出してみると、たくさんのゆれ が目立っ。保続音(E音)も単音にして、旋律と並べてみた(譜4)。 保続音は、第7小節では4拍延ばされ、第8小節では6拍延ばされ、第 9小節からは4拍ずつ小節線に関係なく延ばされ、第13小節で6拍延 ばされて終わる。鐘が常に鳴り響いている状態である。

(譜4)

イイイイイ’イ

7小節676↑47↑4767

1翌1

チ 儲

繹4

叢: 一 } 即 一 # # u: ε)彗蓬

rrてa2一;rσ27

6

7 b 14 ’ 1

+II:o+6 E−durであるのに、固有の音でないAis音が出てくるのは、E音を主 音とするリディア旋法(譜5)で書かれていると解釈できる。リディ ァ旋法を調性の中で使うと、Ais音はドッペルドミナント的な響きがし て、H音に解決する。 一173一

(42)

(譜5) リディア旋法 Eを主音としたリディア旋法 國(14∼15小節) 導入部最後の和音は17である。内声はオルガヌムだが、左手には3 重のゆれがあり、右手にもゆれが隠されている(譜6)。 第15小節の1拍目を中心にして第14、15小節は左右対称である。こ

の音型は波を表し、囲での波の先取りでもある。

(譜6)

一r一_Y,一一一一一一一r

・4鎧rahrω一a卑r一墜r

DEEDEのゆれが

隠れている

(AHHAH

●DEEDE3重のゆれ

す●写’GAAGA

■Σ’工工・

でr・で「・

1マ

1オクターブ内にゆれを集約するとこのようになる。

(譜7)」αo・e・」巳G・

● ■

囲(16∼27小節)

囲(16∼22小節)

「少しずっ霧の中から浮き出てくるかのように」と記されているよう に、曲が動き始める。ここでは霧ではなく波立ちの描写である。第16 ∼18小節はH−durの1である(譜8)。両手とも和音から外れている音 は、ゆれの音とみなす。

(43)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析 (譜8) 少しずつ霧の中から浮き出てくるかのように 囲(Peuムpeus.τ甑ntdεlab『ume) Y

牲曉i し 16

#晴…〒調

##

a1一一rra1垂r

∫θ卯γ8仰 b4 b2+ はっきり ρ用醐卯躍 ##釦: 仰 b2+

一b1+

rb1+一一r−b4

a1反 − 1反 一︷︾ ● C1」 一一 亨 c1」 一一

繍 (I H:

18曉・〆#\!/嬉:

少 ア別4甲♂

匙:隅b・+b4b2+r

帰 a1反 ツ

一{

Lc1レ

ー\

oI”

鳳akマ

7a』属

)藁i一

左手は波を表現している。細かい音型の一っ一つは小さな波であり、 それらが組み合わさって大きな波を作っている。左手のb1+(プラス) とは、b1の音型がいくっも繋がっているという意味である。右手も大 きな波を表している。第16、17小節の右手には、次のようなゆれが隠 されている(譜9)。第17、18小節の1拍目の和音は、ゆれの「ラ」を 1と同時に押した音である。 (譜9)

第18小節の右手からはシンメトリーがなくなり、上行の一方向にな るが、これは次々と転調をしながら、盛り上がる高揚感を表している。 一175一

(44)

囲のバスと調は、H−Es−G(G−durlはC−durのVと同じ

である。譜面ではC−durで書かれている)と長3度ずつ(エンハーモ ニックで)上がっていく。具体的には第19∼21小節で長3度上のEs− durに転調し、22小節からはG−durに転調している(譜10)。

(譜10)

だんだん強く急がずに

Augmentezpr・gressivement(sanspr。sser)

ワ7a2rrコa1−rr7門2rrワプ1漏

19レ{>・ 日コ:・ 、1

]一

7

1/

Ir

P b3+,rrコ。1コ

卜b4+

資_…

「、b4+ 一切σ可 認 )レ

》畜・ レ/ ) o川 (I Es:

1\1

「/〆マ、1 1

/一豊、

r、d⊃r

「、d「

「、一b4+

r−b4+

\J

) 一■王 ・u ・‘

ワ7=〒a勺

r二aヒニニず

)v〔v

第19小節の左手音型c1は、椅音が付いていて音階dの要素も含んで いる(譜11)。椅音のDは、波間から寺院の塔の尖端が見えてきた描写 ではないかと想像する。 (譜11)

匡i劃

19小節21小節23小節

29小節

r−d二ニコ、、.

c1卜d=r8・”一・一”}’………r一龍d−r

轟_轟__

一一一一tく]一一レドシラレドソフ

d’C:

Es:Es:G:V

(G:1)

この音型は第21小節ではっきりとしたd音型になる。ここはEs−dur でレドシラ(移動ド読み)、23小節ではC−durでもレドシラである。波 一“

レドシラ

(45)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

間から寺院の姿を徐々に見せ始め、曲が團に入った時には全貌を 現し、聖歌の旋律へと変わっていく。 第21小節からは、左手の音型も下行の一方向になり高揚感を強めて いく。

囲(22∼27小節)

第22∼27小節はC−durである。國の準備部分とみなすことがで

きる。左右の4分音符にカノン風な動きが見られる。a2は2分音符で、 大きくゆったりと鳴り響く鐘を表している。かなり寺院の姿が浮かび出 してきた描写である。 (譜12) [」=JI

一一r「一a2一一コ

鴨虻ニコ_二宜二二二]… 8

11

(一e’ 22:匝・ 』. oΩ・:

隠ワ7≒

一−一

!ψ 一卿!rを 一

一戸匂

薯:」一』、測ノ1

』≦,∠

︸辱︶

』1、∠

c:V〔▽皿7

267『

26 「=二a2=r

沿

一 口一

一+

ザ 一一 一 一 オ鼎 }一

一一

▽・〕

團3部形式である。便宜上、團、國、國とする。

回(28∼46小節)

寺院が目の前に浮かび上がり、聖歌や鐘が荘厳に響きわたる、曲中一 番の盛り上がりを見せる部分である(譜13)。 一177一

(46)

バスのC音上に、オルガヌムの並行和音が乗っている。これらの並 行和音は保続音を除くとすべて茸の形をしている。古い形の4度のオル ガヌムを意図的に使っていると考えられる。第29∼30小節の連続した S進行も古風な感じを出している。第31∼32小節はII→1の終止形を 用いている。

(譜13)

28ra2rrrd一.e2「ra1逆反一「、a3逆r

l

曾一も一⑧一砂一f

8㌔蜘a−S進行_

1〔1皿V・刷皿一皿π1

第33小節に、B音が出てきてF−durに転調し、第38小節で主調の

C−durに戻る(譜14)。第37、39小節のIIIは▽の代用である。並行和音 であるが、機能が感じられるように作曲されている。

(譜14)

28

一口

一e2rra1逆反

「 ガ 一ぜ ﹃も . 一︷ レ・ 一︷ン ‘ 一タ 32 re1一一r

『、r引一「77

bL_a3逆反_

一_}一

骨令{レ’粉合{卜’

f3γ←一f3ご金一

C:IIv(皿WI▽皿NI

!イa3r

36 e1〕 レ 卜’e1「

P→1.e1

二 a2一 ﹃V 一V

)f産γf評、γf3ご合〕ヒ君ご

1工皿正〉1▽

E皿1

(▽)(▽)

(47)

、ノノン丁{ノ肌’五

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

第32小節よりCの保続音があるため、C音を主音としたミクソリディ ア旋法を用いたとも考えられる(譜15)。ミクソリディア旋法は、我々 の耳にはIV調に聞こえる。 (譜15) ミクソリディア旋法 Cを主音としたミクソリディア旋法 41 az ︵︵ 二 一 晶 − 轟 飛

噌晶

夕虞 ’ 〆ゆ ψ」: 即礁 ︹3 卿仰 4’ EH

{}1 ) 一 レ_ レ_ 甲 レ

(注)一 一レ

苔レ

=# 亨一 第40∼41小節のa2の音型は、初めて単音で鐘を表している。この音 を同時化したものが第42∼45小節の1拍目の和音である。 (譜16) a28=””””「8ご…””「8:一…甲””甲=8=”…’””:

(注)一

〕幾錺

賊,幽

(注)Fisは上方転位(3)のGに置き換えられている

バスは、B−B−As−As音の進行で、Asが異名同音のGisに置き

換えられてcis−mollに転調する。 cis−mollは、「C−durの準ナポリ調(錯)ニDes−durの同主短調(一州) 一des−mollの異名同音調」である。この転調は「主調の増巷(・ヤ多)一ナ ポリ調の’▽7」の転義を利用した異名同音転調である(譜17)。従って、 このcis−mollはC−durの半ずれ調ではない。(総合和声480づ一の(6)と脚注参照) (譜17) 、’つ

hH

Cdur鍔言冒εξ:認1鴇百cis−m・”妬

一179一

(48)

國(47∼71小節)

導入部の国と同じ旋律が使われている。國ではE音が1の保続音で

E−durであったが、ここではGis音がVの保続音になるのでcis−mollで 書かれている。

(譜18)

47

a2a2

皇」!

御認副表情豊かに θ碗側‘8癬ピ集中して Le1」

一一一一_一一

!吾一てy’_u’・

残v〔IViI

cis、gis!

u−u:一す’

w 五7 でFζ w 第50小節からは一時的にV調のgis−mollに転調する。第52小節はL (導7)の響きに椅音が入って、憂いを含んだ響きである。物語は、イ スの街の雑踏を表している。現在は沈んでしまった街なので、憂いや騎 りのある短調で書かれていると考えられる。 第54小節も導7の響きである(譜19)。第54小節からは左右にカノン 風の書き方が見られる。第55小節でcis−mollに戻ってからは、∬7の和 音がずっと続く。∬7は表情豊かな和音である。 (譜19) r一一一カノン 一一一一1 r一一一カノン風一r

Y

53rアぞ”r律

Y

((

( ( イ ( 惣 Z Z 2 鯉 一一 一一 全 Yカノン風=一=「1

一Y

て覧

r

ニu )_

tプ・ =τ覧

叫(Vil〔切 gisコ 五フ

〕lv07

cis1

8−陰

58緊

「「』一一Y一一一r

「』一一一Y一

e2

「「

イ =イデ=カノン風一rI

1

ニニニ=

しu・}77u・

(49)

〆III「一「

62一一__

4伽. ”20’よ0 P

P

k一一一ノ)/二菩葺看

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

ゆれているところは椅音である。特に第60小節のHの椅音(9)は強 烈な響きである。 第62小節からは、属7の形の並行和音で書かれている(譜20)。 第63小節の蠕はV7に解決しているが、第70小節のC−durの・ヤ}は 第72小節の1に偶成解決している。 (譜20)

ワ>dヤ21rf2反rre2r

v廿

7フ

▽7Ψ7▽7

亨)7

マ 68 一も 72

ワ C十 72

(comm

即e“鳳d rC「 聴 瞳

一{翌酊

蓋=壽1、麺ヒb一

智σ: ▽亨 すσ: 喬σ:

母テ

C.dur.母i

7

一c+

なこロ v〔I I 第70小節の・ヤ1のバス音Fisは、潜在的に第72小節の1の第5音G に解決している。 (譜21)

偶成解決

● ● 一合

C−du遵C−durI

C−durへの戻り方をみると、70小節はcis−mollの属7の下変(▽箏)で

一181一

(50)

ある。これはC−durの・ヤ}の異名同音である。従って、ここは「ナポ リ調の▽夢二主調の・ヤ亭」の転義を利用した異名同音転調である。 (譜22)

ci3m・11v缶鮒v瀟C・dur遡

國(72∼83小節) C−durへ戻る。 (譜23)

國撚癖ra2一一一・d−r

1

auM。uvtll

「、、e2a1

、rr’て久

前に聞いたフレーズのエコーように 禦壊躍譲1縮鍋眼

rc1〕clr

颯ヒb2」』2函馬」 ロむりはヨロマ v〔1 「、e2 a1逆反一 五 ▽ 皿

▽1皿

75ぐ「「㌃a3逆∼r

r−a3”一r

「一e2_

一1▽五 1 Iv(皿 N 1 (編)

78rII』

L,a3逆 8豊b 8ぴ蜘”艸

「一『a3r

一a3マーe

皿 N 1 皿

(51)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析

回から國への転調の仕方(C−durから“is−mollへの転調)と國から 國への転調の仕方(cis−mol1からC−durへの転調)が逆向きに同じで あることによって、ナポリ調を強く意識していることが分かる。 ナポリの和音((・)狂)は「主和音(1)の短2度上方へのゆれ」とみ なすことができる(譜24)。同様に、ナポリの調((・淋調)も「主調(1 度)の短2度上方へのゆれ(調のゆれ)」とみなすことができる。【注3】

(譜24)〆ゆれ、

〆 、

和音のゆれC:1。且

調のゆれ1調琳調

I

l調 左手の波は、小さな波(C−D−C音)と大きな波(C−G−C−G−C音)の 揺れで出来ているが、囲の左手の波と異なり、2小節ごとにスラー が付いて、ゆったりとした穏やかな波である。

右手は3拍子、左手は2拍子である。左の最低音Cの鐘の音は、割

り切れないリズムの箇所にあり、強く弾くわけではないが、常に下方で 響いているように書かれている(譜25)。寺院が徐々に沈んで、その波 間から聖歌が残響として聞こえるといった描写が想像できる。

(譜25)同型の反復(2拍子)

一一一一一一一一「一

● ●

i

最低音Cは割り切れない

リズムの個所にある

第81小節からは拡大されてゆっくりの終止である(譜26)。第83小節 は両手とも2拍子で書かれている。 一183一

(52)

(譜26)

81G臨

旦:

P班卿

・一

8旦b日ssa曙−一一一一一・一一一一一・一一・一一・一一・『一一一一一・・一一一一一一・一一一一一・・一一一一一一・一・一一・一一一一・一一一一一…一一一一一一一一一・・一一一一・一一一・一一・一・一一・一一・一

皿1)皿皿

(▽)(▽)

國(84∼89小節)

匡褻では、V上に音型Xが書かれていたが、結尾では1上に書か

れている。86、87小節目のDの椅音は、次の音符のE音に解決してい る。ゆれが最後に解決されてC−E−Gの長3和音だけになる。

(譜27)

國國最初の響きで

DangIasonork6dud6but8””1

1

一ド窮

1

dbut8

4[」・」]x一峯1:.璽イ、ぐ.

一 一一一■田■一一一一■ 仰 一踊 一孤 、、軸』■、』犀.

喜●歪:冒毒智

4分音符のゆれを1オクターブ内に集約するとこのようになる。

(譜28)鉱合趾

エb致」廿』b.血

物語に対応させると、夕もやの中で、海面下より聞こえていた聖歌も やがて静まり、何事もなかったかのような穏やかな海面に戻っていると いう描写である。 次に分割譜を載せる。

(53)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析 圃

1

1

ぐけへ

哩)

ゆしめ

ぐ慈一〉1

較lI占

國團㈱

賦ゆ1

︶1︶1

1循5

Il師 ( & /P 棒 1P 段+1 ’ 1m oり 1Ω

昂落 に菱 鐘’_∼

h

r_rTN

◆ 〉 握 ぐ =〉 1 。ぐ 〉 堀 ぐ ;帆 E ’ぐ 慧 ぐ 毒圖 ゆ P コ 榎 隷 一185一

(54)

1◆1 員. 緬

縫麟

い e 9

・コ∼

el

鷹〔1

懸螺ら奪

ll

』P

1

望ゆ

痺1曝

)/

呼.△

’/

一}/

と/

茄/

1幅■qD

柘___

o

目 自 歴 坐 IIh ll即 順、 ”P」 ll7

悩9

〈一館一1.

フ需婁…

o

受噌慢

橿(、 、 1だ しに

:ヒ

:芋

ノ ∼ 差 ヒ

1

・、

韮§三

ずユ

固田∼隔 ゆ ニ レ 」 僅 叔 ひゆ 結為 享〉麺 lo マ 橿 ぐ 團N

N◆

圏i cq’ ト

1象僧 lIぐ t%暖 嘔堀 ヒ

ノ1

し ! ; セ { 1 」 !l

(55)

『ゆれの理論』から見たDebussy音楽の分析 沈める寺は、前奏曲集の中では大きな曲である。バスの動きに注目し て、上部をゆれとして捉えていくと、複雑な動きに惑わされず、全体が はっきりと見えてくる。 最初はVで始まり、最後は1で終わっていることからも、調性音楽で あることは明らかである。教会旋法は調性の中に組み込んで使われている し、主要部での転調の仕方にもこだわりが感じられる。また、並行和音の 扱いにも、皿を▽の代用として用いたり、S進行を用いたりして機能が 読み取れる。音型操作やカノンなどのBachの手法も上手く取り入れられ ている。 終始鐘の音が響いて、聖歌や波や浮かびあがる寺院などの音楽の描写が 物語と合っているのは、かなり考慮して作曲されたと思われる。 【’注1】ブルターニュ地方の伝説

5世紀に海没したといわれるフランスのブルターニュ地方の「沈

める街イス」の伝説。内容は、美しくわがままな王女のせいで、神 の罰を受けて街ごと海にのまれてしまったという話である。

その街の大寺院は、夜明けになると鐘の音と共に朝もやの中を海

から昇り、朝の太陽が強く昇り始める頃には再び海の中に沈み始

め、夕もやが海面を蔽う頃、完全に没すると言い伝えられている。 【注2】オルガヌム

中世の西洋音楽に於いて、最初に発生した多声音楽。それまで単

旋律で歌われていたグレゴリオ聖歌に4度または5度で並進行する

別の声部を付け加えたものである。

【注3】ナポリの調(和音)へのゆれ

「ナポリの調(和音)へのゆれ」の実例は「沈める寺」の他に

も、多くの名曲中に見ることができる。例えば、Beethovenの「熱 情ソナタ」の冒頭部や、「月光ソナタ」終楽章の長い狂和音(林調)

等。以下にこれらの譜面を載せる。

一187一

参照

Outline

関連したドキュメント

(注 3):必修上位 17 単位の成績上位から数えて 17 単位目が 2 単位の授業科目だった場合は,1 単位と

「旅と音楽の融を J をテーマに、音旅演出家として THE ROYAL EXPRESS の旅の魅力をプ□デュース 。THE ROYAL

具体音出現パターン パターン パターンからみた パターン からみた からみた音声置換 からみた 音声置換 音声置換の 音声置換 の の考察

では、シェイク奏法(手首を細やかに動かす)を音

「1.地域の音楽家・音楽団体ネットワークの運用」については、公式 LINE 等 SNS

 そこで,今回はさらに,日本銀行の金融政策変更に合わせて期間を以下 のサブ・ピリオドに分けた分析を試みた。量的緩和政策解除 (2006年3月

また、手話では正確に表現できない「波の音」、 「船の音」、 「市電の音」、 「朝市で騒ぐ 音」、 「ハリストス正教会」、

・ぴっとんへべへべ音楽会 2 回 ・どこどこどこどんどこ音楽会 1 回 ステップ 5.「ママカフェ」のソフトづくり ステップ 6.「ママカフェ」の具体的内容の検討