Title ニーバー兄弟の経済倫理 : ヴェーバー理論に関連して(ラインホール ド・ニーバー研究 : 共同研究報告)
Author(s) 兼松, 誠
Citation 聖学院大学総合研究所 Newsletter, Vol.20-4 : 20
URL http://serve.seigakuin-univ.ac.jp/reps/modules/xoonips/detail.php?item_i d=2663
Rights
聖学院学術情報発信システム : SERVE SEigakuin Repository for academic archiVE
20
【ラインホールド・ニーバー研究】
ニーバー兄弟の経済倫理
-ヴェーバー理論に関連して-
11月6日㈯、本年度3回目の研究会が聖学院大 学本部新館2階において催された。参加者は21 名。今回は青山学院大学大学院教授の東方敬信氏 に発表していただいた。
東方氏は、これまでキリスト教の経済倫理につ いて多くの論文を発表してきているが、今回の講 演はその延長に位置するものである。今日の金融 危機の問題に対して、アメリカの神学雑誌が特集 を組むなど、経済に対する神学の関心は高い。そ の際、20世紀前半の経済恐慌から出てきたクリス チャン・リアリズムから学ぶことは多いはずであ る。
東方氏の所論をまとめるとこうである。20世紀 初頭の社会的福音運動は経済活動についての神学 であり、神の国が歴史の中で実現するという楽観 的なものであった。ニーバーはこれを批判する。
かわりに彼が提示したのが、神との垂直的な関係
(愛と応答)を大切にしつつ、正確な現実理解(正 義と権力)を徹底する「神学的倫理学」であった。
しかし、彼の「神学的人間学」に欠けているもの があるとしたら、それは垂直的な関係と正確な現 実理解を媒介する先駆的共同体理論ではないか と、東方氏は考える。東方氏が、世界恐慌の時期、
カナダで活躍した「キリスト教社会秩序教会 FCSO」の所論を検討する作業を通じて明らかに したのは、ニーバー的な垂直の関係に人間の逆説 的意味があるだけとするなら、人間の水平の関係 つまり社会的、歴史的関係の中に積極的意味が指 摘できなくなるという問題性である。しかし、ま たFCSOにも問題はある。それは「相互性」を重 視する「神学的人間学」には希望の世界を待ち望 む「忍耐」が欠けているというものである。そこ で模索されるべきは、多元的人間論(センやユヌ ス)などを土台にした「オータナティヴ・エコノ ミーの世界」ではないかと東方氏は結論付ける。
東方氏の発表後、ティータイムを経て、いつも のように質疑応答の流れとなった。その際、東方 氏が学生とともに実施しているフェアトレードの 取り組みが紹介された。
(文責:兼松誠 聖学院大学大学院アメリカ・ヨー ロッパ文化学研究科博士後期課程)
(2010年11月6日、聖学院本部新館2階)
共同研究報告
東方敬信・青山学院大学大学院教授