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競合頻度並びに呈示位置が適合性効果に及ぼす影響

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(1)

1 問題と目的

我々の処理資源は限られている。それゆえ,経 験や文脈によって,処理資源を効率的に配分する ため,これまで用いてきた方略を調整する能力を 備えている。このような認知的制御は,視覚的注 意においても働いており,先行経験や文脈によっ て,重要な視覚情報を優先的に処理する視覚情報 選択性が,どのように調整するかが検討されてい る(Egner,2007)。これらの検討には,刺激-

反応適合性パラダイム(Fitts& Seeger,1953)

が使用される。このパラダイムは,決められた位 置に呈示された標的(ターゲット)に対する反応 を無関連刺激(ノイズ)を無視しながら行うとい

うものである。例えばフランカー課題(Eriksen

& Eriksen,1974)では,ターゲットとノイズが 適合する一致試行(例えば,“SSSSS”)と,そ れらが適合しない不一致試行(例えば,“HHSH H”)が設けられる。典型的には,一致試行に比 べ不一致試行は,ノイズとの競合が大きくなり,

遂行成績が低下する。 この効果は適合性効果

(compatibility effect)と呼ばれ,ノイズを処理 した程度を反映している。つまり,適合性効果の 大きさは,ノイズを効率的に排除できなかった程 度を示し,適合性効果が小さいほど視覚情報選択 性が高まったと推測される。

これらの課題で観察される適合性効果の変動は,

認知的制御を示すものとして注目されている。例 えば,ブロック内における一致・不一致試行の出 現確率(競合頻度)の多寡を操作することによっ て,それに応じて適合性効果が変動する。つまり,

要旨

刺激-反応適合性パラダイムにおいて,一致試行に比べ,不一致試行では刺激自体と反応からの競合が生じるた め,遂行成績が劣る。この効果は適合性効果と呼ばれ,競合を効率的に排除できなかった程度を示している。この 効果は課題文脈によって変動し,一致試行の出現確率が高い事態(低競合)よりも,それが低い事態(高競合)に おいて,適合性効果が減少する。この効果は競合適応効果と呼ばれ,認知的制御が行われた程度を反映している。

本研究は, 課題関連刺激を左右視野, 上下視野それぞれに呈示し, 各視野における一致試行の出現確率

(75%/25%)を操作することによって,視野間競合適応効果が見られるかどうかを検討した。その結果,左右視 野において出現確率を操作した事態では,実験ブロックの前半で視野間競合適合効果が認められたのに対し,上下 視野においては,後半のみ視野間競合適合効果が認められた。この結果は,左右視野と上下視野では別々の視覚情 報選択性の調整機構があることを示唆した。

キー・ワード:認知的制御,視覚情報選択性,競合適応効果,適合性効果

競合頻度並びに呈示位置が適合性効果に及ぼす影響

蔵 冨 恵

※1,※2

・吉 崎 一 人

Effectsofconflictfrequencyandpresentationlocationonthemodulationinvisualselectivity KeiKuratomiandKazuhitoYoshizaki

※1 心理学研究科 博士後期課程

※2 日本学術振興会 特別研究員

(2)

競合頻度が高い事態の適合性効果は,競合頻度が 低い事態に比べて, 減少する (例,Ghinescu, Schachtman, Stadler, Fabiani, & Gratton, 2010;Gratton,Coles,& Donchin,1992)。 こ の競合頻度に依存した適合性効果の変動は,競合 適応効果(conflictadaptation effect:CAE) と呼ばれ, 競合モニタリング仮説 (Botvinick, Braver,Barch,Carter,& Cohen,2001)によっ て説明できる。このモデルは,課題遂行において,

トップダウン制御(課題要求)成分,出力成分,

競合モニタリング成分の三つの成分を想定してい る。競合モニタリング成分によって検出される競 合の量が,トップダウン制御成分に活性値として 伝えられ,適切な反応(出力)が行われる。それ ゆえ,ターゲットとノイズが競合する事態では,

競合を解消する経験が多くなり,トップダウン制 御成分の活性値も高くなる。

この活性値は,特にフランカー課題を遂行する 事態では, 注意のスポットライトアナロジー

(Eriksen & St.James,1986)におけるスポッ トライトの大きさとして考えることもできる。こ の考え方は,焦点を中心に囲む注意の範囲をスポッ トライトに例え,スポットライト内の情報が優先 的に処理されるというものである。スポットライ トは, 二つ以上の空間に分割することができ

(Awh & Pashler,2000;M・ller,Malinowski, Gruber,& Hillyard,2003),そのサイズは知覚 的負荷に応じて調整できる(Awh,Matsukura,

& Serences,2003)。それゆえ,トップダウン制 御成分の活性値は,スポットライトの調整の程度 として捉えることができる。

以上のことを総合すると,競合適応効果は次の ように説明できる。競合頻度の高い事態では,競 合モニタリング成分によって検出された多くの競 合によって,トップダウン制御が活性化し,注意 のスポットライトの大きさを狭く調整する。それ ゆえ,不一致試行を遂行する際もノイズからの影 響を受けにくくなり,適合性効果が減少する。反 対に,競合頻度が低い事態では,競合を検出する 量が少なく,トップダウン制御の活性値が低いた め,スポットライトを狭く調整する必要がない。

その結果,不一致試行が出現した際には,ノイズ

を効率的に排除できず,適合性効果が増加する。

このような競合頻度による適合性効果の変動,つ まり競合適応効果は,視覚情報選択性の調整を反 映していると考えられる。

適合性効果の変動は,フランカー刺激の呈示位 置に依拠して生起することも明らかとなっている

(Corballis& Gratton,2003;蔵冨・吉崎,2010; Vietze & Wendt,2009; Wendt, Kluwe, &

Vietze,2008)。Corballis & Gratton(2003; Experiment2)は,左あるいは右視野にアルファ ベット5文字からなる文字列を瞬間呈示し,文字 列中心の文字同定を要求した。呈示視野毎に競合 頻度を操作した(例えば左視野で一致試行75%,

不一致試行25%,右視野ではその逆)。その結果,

競合頻度の低い視野(一致試行75%,不一致試行 25%)よりも,それが高い視野(一致試行25%,

不一致試行75%)において,適合性効果が減少す ることを示した。つまり,視野間競合適応効果が 生起した。彼らはこの結果を,左右視野の情報が 対側半球に直接入力されることから,各半球で独 立して視覚情報選択性の調整が行われていると主 張した。

それに対してVietze& Wendt(2009)は,凝 視点から上または下視野に呈示されたフランカー 刺激の競合頻度に応じて適合性効果が変動するこ とを示した。彼女らは,上あるいは下視野に呈示 されるフランカー刺激のいずれか一方の視野で競 合頻度を75%,あるいは25%で操作し,もう一方 の視野での競合頻度は50%とした。その結果,競 合頻度を75%(25%)条件で操作された視野での 適合性効果は,50%条件の視野よりも減少(増加)

し,競合適応効果が見られた。その一方で,50%

条件の視野での適合性効果は,対側視野の競合頻 度によって変動しなかった。この上下視野間での 適合性効果の変動は,左右半球の処理資源による 説明はあてはまらない。なぜなら,凝視点を通る 垂直子午線上に課題関連刺激が呈示されており,

左右各半球に冗長に投入されているためである。

この結果から,左右視野空間を含む,呈示位置に 依存して視覚情報選択性の調整が行われることが 示唆された。またWendtetal.(2008)も,左 右各視野内の上下,つまり4箇所にフランカー刺

(3)

激を呈示し,各呈示位置の競合頻度を左視野の上 下それぞれに25%と50%,右視野のそれぞれに50

%と75%に操作した。その結果,各呈示位置の競 合頻度に応じて適合性効果が変動することを示し た。彼らは,この結果から刺激呈示位置に依拠し て視覚情報選択性の調整が行われると主張した。

このような異なる主張を受けて,蔵冨・吉崎

(2010)は,左右視野間と上下視野間における競 合適応効果の比較を行った。彼らは,フランカー 課題を用いて,左視野の上下,右視野の上下に対 して刺激を呈示し,参加者の半数には左右視野に おける競合頻度の多寡を,残りの参加者には上下 視野におけるそれを操作した。その結果,上下視 野間に比べて左右視野間において競合適応効果が 頑健に見られることを示した。彼らはこの結果を 受けて,視覚情報選択性の調整には,視野空間全 体に対して働く機構に加え,左右視野に対して各 半球が寄与する機構が存在する可能性を示唆して いる。

以上の知見から本研究は,視覚情報選択性の調 整が呈示位置に依拠して行われる機構について検 討 す る こ と を 目 的 と す る 。 上 述 し た 知 見

(Corballis& Gratton,2003;蔵冨・吉崎,2010; Vietze& Wendt,2009;Wendtetal.,2008)

に基づけば,半球に寄与した左右視野での調整と 呈示された空間に対して生じる調整の二つの機構 が想定できる。前者の機構は,最近の視覚情報を 左右各視野(半球)で独立に処理されているとす る知見から支持される(Alvarez& Cavanagh, 2005;Delvenne,2005;Nishimura& Yoshizaki, 2010)。またAwh & Pashler(2000)は,二つ 以上の空間にスポットライトを分割することは各 半球の処理資源が関与する可能性を示唆している。

彼らは,二つの手がかり刺激呈示後に呈示される 文字列の中から,手がかかり位置のターゲット再 生を求める課題を用いて,スポットライトが二つ の視野空間に分割できることを示した。さらに,

垂直方向(上下視野間)に比べ,水平方向(左右 視野間)の分割が,遂行成績の向上につながるこ とを明らかにし,左右視野に対するスポットライ トの分割は,それぞれの対側半球に起因する処理 資源が働いたためだと考察している。

以上のことから,左右視野に呈示される情報選 択性の調整には,半球が寄与する神経基盤を持つ 制御と視野空間全般の呈示位置に依拠した制御が 同時に働き,それぞれの制御に伴う効果が重畳し て,視覚情報選択性の調整が観察されると想定さ れた。これに対して,Vietze& Wendt(2009)

のように,上下視野間に呈示され,左右半球での 競合頻度が等しい事態では,二つの制御機構は作 用しているが,呈示される位置に依拠した制御に よる効果だけが適合性効果の変動として顕在化さ れると想定された。したがって,左右半球間での 競合頻度を等しくし,上下視野空間での競合頻度 を操作した事態よりも,左右視野間での競合頻度 を操作した事態の方が,視覚情報選択性の調整は 大きいことが考えられた。また,左右視野間での 調整が対側半球を基盤とすることから,左右視野 間での競合頻度に応じた視覚情報選択性の調整傾 向は,比較的長く維持されることも予想された。

この仮説を検討するために本実験は以下のよう に蔵冨・吉崎(2010)の一部分のデータを使って,

蔵冨・吉崎(2010)で得た知見を,実験参加者内 で再検討した。左右各視野の上下の位置4箇所の いずれかに文字列が呈示され,実験参加者には中 央の文字を同定することを求めた。競合頻度を操 作するためブロック内の一致試行の出現確率を2 水準で操作し,それぞれ低競合視野,高競合視野 とした。この二つの視野は,左右視野間条件では 左視野と右視野に,上下視野間条件では上視野と 下視野にそれぞれ割り当てられた。さらに視覚情 報選択性の調整の維持について検討するため,競 合視野と呈示視野(左右あるいは上下視野)の対 応は,前半4ブロックと後半4ブロックで逆にし た。本実験の仮説は次の二つであった。左右視野 間条件の競合適応効果は,上下視野間条件よりも 大きいことが予想された。さらにこの傾向は,左 右視野空間での制御傾向の維持は強いため,後半 ブロックよりも前半に顕著にみられると考えられ た。つまり,後半ブロックでの左右視野間条件で は,前半の調整が影響して,競合適応効果が小さ くなることが予想された。

(4)

2 方 法

要因計画 競合頻度操作視野(左右視野間,上 下視野間)×視野での競合頻度(低競合視野,高 競合視野)×ターゲットとノイズの適合性(一致,

不一致)×ブロック(前半,後半)の4要因実験 参加者内計画であった。

実験参加者 蔵冨・吉崎(2010)の実験1と2 それぞれから半数の参加者が1年後に本実験に参 加した※3。実験参加への同意書に署名した,19歳 から31歳(M=21.9歳,SD=3.73)の右手利き大 学生16名(女性12名)が参加した。利き手の判定 には八田・中塚きき手テストを用いた(八田・中 塚,1975)。すべての実験参加者は,矯正視力を 含み,正常な視力を有していた。実験参加者は,

500円相当の謝礼を得た。

装置 刺激は, PCとそれに接続された17イン チCRTディスプレイ(SONY社製CPD-E230;リ フレッシュレート70Hz)によって呈示された。

反応の採取はCedrus社製反応キー(Cedrus社製 RB-530)によって行われた。刺激呈示の制御,

および反応の記録にはCedrus社製SuperLabPro forWindows(Ver.2.04)を使用した。また,

画面と目の距離を一定に保ち,頭部を固定するた めに,顔面固定台を使用した。

刺激 ターゲットを囲む形で,その上下左右に それぞれ4箇所にノイズを配置した。すべての刺 激は,白色の背景に黒色で呈示された。ターゲッ トとノイズはMSPゴシックフォントで作成され た“X”と“N”を使用した。それらの大きさは,

視角にして縦.62×横.77であった。文字列は,

ターゲットとノイズが同じ文字である一致試行を 2種類,ターゲットとノイズが違う文字である不 一致試行を2種類用意された。ターゲットの中心 からノイズの中心までの距離は,水平方向,並び に垂直方向に1.08であった。文字列は,左視野 の上下,右視野の上下の4箇所いずれかに一つ呈 示された。凝視点としてプラス記号(“+”;

.46×.46)を使用した。凝視点からターゲット

までの距離は水平垂直方向に3.41であった。

手続き 実験は個別に行われた。目から画面ま での距離を37cmに保つために,実験参加者は顔 面固定台によって固定され,画面中央を凝視する よう強く求められた。この教示は各ブロックの直 前に行われた。

各試行の流れは以下の通りであった。まず画面 中央にチャイム音とともに凝視点が500ms間呈 示され,その後刺激が150ms間呈示された。こ こで実験参加者は,文字列の中心文字が“X”か

“N”であるかの同定をできるだけ速く,できる だけ正確にボタン押しによって行うよう求められ た。反応後,もしくは反応が得られなかった場合 は刺激呈示後1050ms後,1000ms間のブランク 画面が呈示されて,次の試行が開始された。

反応キーは参加者の体の中央に置かれた。ター ゲットが“X”であれば右手人差し指で,“N” であれば左手人差し指でそれぞれ指定されたボタ ンを押すように教示された。左右視野間条件では 右手人差し指で上(奥)のキーを,左手人差し指 で下(手前)のキーを押すよう教示した。上下視 野間条件では,右手人差し指で右側のキーを,左 手人差し指で左側のキーを押すよう教示した。

本試行では,64試行からなるブロックを左右視 野間条件,並びに上下視野間条件でそれぞれ8ブ ロック,計1024試行行った。一致試行が75%,不 一致試行が25%出現する視野を低競合視野条件,

一致試行が25%,不一致試行が75%出現する視野 を高競合視野条件とした。各ブロックでは,低競 合視野と高競合視野が対になるように設定された。

1ブロック64試行の内訳は次のようであった。低 競合視野では,一致試行が24試行,不一致試行が 8試行であった。高競合視野ではその逆で一致試 行が8試行,不一致試行が24試行であった。この 操作によって,ブロック内での一致・不一致試行 の出現頻度,二つのターゲットの出現頻度,文字 列の呈示位置の頻度は,均等であった。高競合視 野を左右(もしくは上下)のどちらの視野にする かは,参加者間でカウンターバランスされた。参

※3 蔵冨・吉崎(2010)の2つの実験よりそれぞれ半数が本実験に参加した。本実験に参加した参加者とそうでな い参加者の間で,競合適応効果に差は見られなかった(実験1:F(1

,

14)=.50

, ns

,実験2:F(1

,

14)=.24

, ns

)。

(5)

加者には,ブロックと一致・不一致試行の出現確 率の関係やその変化については告げられなかった。

各競合頻度操作視野条件の実施前に,練習試行 を行った。この試行は,64試行からなり,視野間 での一致・不一致試行の出現確率が50%であった。

各競合頻度操作視野条件終了後,呈示視野と一致・

不一致試行の呈示確率についての関係や,その変 化について尋ねたが,そのような点について報告 した参加者はいなかった。

結果

各実験参加者に対して正答に要した反応時間と 誤答率の平均値を条件ごとに算出した。なお,反 応時間が200ms以下の試行は誤答としたが,そ のような試行はなかった。各実験参加者より得ら れた正答試行の反応時間と誤答率の平均とSDを Table1に示す。

反応時間 要因計画に沿った4要因実験参加者 内分散分析を行った結果,ターゲットとノイズの 適合性に主効果が見られ (F(1,15)= 148.45, p<.001,ηp2=.91),適合性効果(54ms)が認 められた。また,ターゲットとノイズの適合性×

ブロックの交互作用が有意で(F(1,15)= 7.57, p<.05,ηp2=.34),前半ブロック(50ms)より も後半ブロック(58ms)において適合性効果が 大きいことが明らかとなった。さらに,視野での 競合頻度×ターゲットとノイズの適合性の交互作 用(F(1,15)= 6.70,p<.05,ηp2=.31)がみら れた。これは,低競合視野条件(58ms)に比べ 高競合視野条件の適合性効果(50ms)が減少す る,視野間競合適応効果(8ms)の反映であっ た。またこの交互作用は,操作視野要因を加えて

も か わ ら な か っ た た め (F(1,15)=.07,ns, ηp2=.01),視野間競合適応効果は左右視野間,

上下視野間で同程度に観察されることが明らかと なった。

重要なことに,4要因の交互作用が見られた

(F(1,15)= 8.99,p<.01,ηp2=.38)。Figure1 からもわかるように, 前半ブロックにおける 競合適応効果は, 上下視野間条件 (0ms) に 比べ,左右視野間条件(17ms)の方が大きった

(F(1,30)= 4.71,p<.05)。これに対して後半ブ ロックの競合適応効果は,上下視野間条件(14 ms)に比べ,左右視野間条件(1ms)で小さい 傾向がみられた(F(1,30)= 3.12,p<.10)。そ の他の主効果,並びに交互作用は有意ではなかっ た(Fs<3.17)。

誤答率 反応時間と同様の分析を行った結果,

Note.CE

=compati

bi l i tyeffect;CAE

=confl

i ctadaptati oneffect. SD sareshowni nparentheses.

Tabl e1 Meanreacti onti mes (ms)forcorrectresponsesanderrorratesi neachexperi mentalcondi ti on IN-C

Manipulated VF Conflict frequency CE CAE

Reaction Time (ms) left-right low-conflict VF 458 (57) 517 (59) 59 9

high-conflict VF 460 (62) 511 (59) 50

upper-lower low-conflict VF 496 (97) 553 (89) 57 7

high-conflict VF 503 (99) 552 (94) 50

Error Rate (%) left-right low-conflict VF 5.3 (4.1) 14.6 (7.3) 9.3 0.6 high-conflict VF 4.6 (6.7) 13.3 (6.6) 8.7

upper-lower low-conflict VF 4.6 (3.6) 14.6 (9.5) 10.0 0.7 high-conflict VF 4.4 (4.7) 13.6 (8.3) 9.2

Congruent (C) Incongruent (IN) Compatibility

㪋㪇 㪋㪌 㪌㪇 㪌㪌 㪍㪇 㪍㪌 㪎㪇 㪎㪌

left-right upper-lower left-right upper-lower the first half the last half

Block

Compatibility effect

low-conflict VF high-conflict VF (ms)

Fi gure1Compati bi l i tyeffectofthefi rstandthel ast hal fbl ocksforeachmani pul atedvi sual -fi el dcondi ti on Barsi ndi catestandarderrors.

Low-confl i ctVFreferstothevi sual -fi el dwherethree fourthsofal ltri al si neachbl ockwerecongruenttri al s and one fourth ofthose were i ncongruenttri al s.

Li kewi se,hi gh-confl i ctVF referstothevi sualfi el d

whereonefourthofthosewerecongruenttri al sand

threefourthsofthosewerei ncongruenttri al s.

(6)

視野での競合頻度 (F(1,15)= 5.32,p<.05, ηp2=.26)と適合性(F(1,15)= 45.75,p<.001, ηp2=.75)の主効果が有意であった。このことか ら,高競合視野条件(9.0%)よりも,低競合視 野条件(9.8%)において誤答率が高いこと,適 合性効果(9.3%)が見られたことが明らかとなっ た。さらに,操作視野×視野での競合頻度×ブロッ クにおいて交互作用があり (F(1,15)= 7.37, p<.05,ηp2=.33),左右視野間条件の後半ブロッ クにおいて,高競合視野条件(7.9%)よりも,

低競合視野条件(9.8%)で,誤答率が高かった。

その他の主効果,並びに交互作用は見られなかっ た(Fs<1.15)。

3 考 察

本研究は,競合頻度に応じた視覚情報選択性の 調整が呈示位置に依拠して行われる機構について 検討することを目的とした。左右半球の処理資源 に基づく左右視野空間に働く機構と視野空間全般 の呈示位置に働く機構を想定し,競合頻度の多寡 が左右視野間で操作された条件と,上下視野間で 操作された条件を用意した。

反応時間の結果から,適合性と視野での競合頻 度の交互作用がみられ,この交互作用は左右視野 間,上下視野間条件で同様に認められた。したがっ て,呈示位置に依存して視覚情報選択性の調整が 行 わ れ る と す る 過 去 の 知 見 (Corballis &

Gratton,2003;蔵冨・吉崎, 2010;Vietze &

Wendt,2009;Wendtetal.,2008)を支持し,

適合性効果は競合頻度が低い視野ではより大きく,

高い視野ではより小さくなることが示された。

本研究で得られた重要な知見は,視覚情報選択 性の調整の機序が,左右視野空間と上下視野空間 で異なる可能性を示した点である。本実験の前後 半で見られた適合性効果の変動は,競合頻度を操 作した視野で異なった。実験前半では,視野間競 合適応効果は左右視野間で顕著に見られ,上下視 野間では認められなかった。これに対して後半の 競合適応効果の変動は,左右視野間での競合頻度 操作によっては見られず,上下視野間でのみ見ら れた。この結果は,二つの制御機構,つまり情報

が呈示される視野空間に全般に働く機構と左右大 脳半球を基盤とした左右視野空間に働く機構,が 同時に働くことを想定すれば,おおむね整合的に 解釈できる。

実験前半に顕著に見られた左右視野間条件での 競合適応効果は,上で想定した二つの機構による 効果が重畳してためだと推察された。近年,左右 大脳半球を基盤とした対側視野空間に働く制御機 構を支持する知見が多く見られる。視覚性短期記 憶課題(Delvenne,2005),オブジェクト追従課 題(Alvarez& Cavanaugh,2005),課題無関連 刺激を無視しながらターゲットを同定する課題

(Nishimura& Yoshizaki,2010)においては,

左右各視野で独立に働くことが示されており,こ れは左右視野の対側半球の処理資源に依拠してい ると主張されている。これらの知見を考え合わせ ると,左右視野空間での視覚情報選択性の調整に は,対側半球での処理資源に依拠した関与が考え られた。さらにこの左右大脳半球レベルの制御機 構には,半球間相互作用機構の関与も考えられる。

Cook(1984)の位置抑制説は,解剖学的知見か ら,左右半球の同質領域は,脳梁で相互連結され ていることに基づいている。この説では,片側半 球で活性化された領域は,対側半球の同質領域で は抑制される。これを左右視野間での視覚情報選 択性の調整機構に援用すれば,競合の入力が多い 半球ではノイズ排除の活性化頻度が高く,対側半 球では逆にノイズ排除の抑制化頻度が高くなった と推察された。以上のことから,左右視野空間で の制御には対側半球を基盤とする制御に加えて,

視野空間全般にわたる呈示位置に依存した制御も 同時に働いたことで,視野間競合適応効果が顕著 に認められたと考えられた。

これに対して,上下視野空間で競合頻度を操作 した事態では,呈示された情報は左右半球に冗長 に投入されるため,競合頻度は各半球で50%とな り,左右半球での制御は競合適応効果をもたらさ なかったと考えられた。この事態では同時に,呈 示位置に依存した視覚情報選択性の調整は作用し ていたと推測されるが,その効果が観察されるま でにはいたらなかったと考えられた。これは,

Crump& Milliken(2009)の最近の報告とも整

(7)

合する。彼らは,課題関連刺激に先行して呈示さ れる手がかり呈示位置(上下視野)と課題関連刺 激の競合頻度の対応を操作したところ,競合適応 効果は課題前半では見られず,後半で見られた。

さらに,上下視野の呈示位置に依存した競合適応 効果を明らかにしたVietze& Wendt(2009)で は,上下各視野において呈示位置は1箇所で,試 行数も本実験の1.5倍であった。これらの知見と 今回の結果をあわせて考えると,上下視野空間で 競合頻度に応じた視覚情報選択性の調整が顕在化 するには,左右視野空間よりも多くの学習が必要 であると考えられた。

実験後半での左右視野間競合適応効果の消失は,

前半での視覚情報選択性の調整が各半球並びに各 呈示位置で維持され,後半に影響したためだと考 えられた。前半と後半では競合頻度が左右視野で 逆に設定された。したがって後半においては,前 半で視覚情報選択性の調整傾向を維持した半球並 びに呈示位置に,その傾向を生起させた競合頻度 と逆の頻度で文字列は投入された。このとき,前 半での調整傾向は,逆方向の調整傾向にシフトし,

結果的に競合適応効果が観察されなかったと考え られた。

解釈が難しいのは,前半で認められなかった上 下視野間競合適応効果が後半に出現した点である。

一つの可能性として,前半には左右視野空間に対 して働いていた対側大脳半球の制御が後半になっ て優勢に働かなくなったことが考えられる。左右 視野空間に対する視覚情報選択性の調整に,上述 した脳梁を介した位置抑制の半球間相互作用が関 与すると想定すると,上下視野操作条件では活性 化・抑制化傾向の半球間非対称性は存在しない。

実験前半でこの半球間非対称性が検知されなかっ たことが影響し,後半で対側半球の制御効率が低 下したのかもしれない。これにより,呈示位置に 依存した制御による競合適応効果が顕在化したと も考えられる。

まとめると本研究は,呈示位置に依存して視覚 情報選択性の調整が行われることを明らかにした。

この認知的制御には,視覚刺激が呈示される位置 と左右視野空間で異なる機構が介在している可能 性が示唆された。これらの機構の特性,機構間の

関連性,調整傾向の維持については,今後さらな る検討が必要である。

付 記

本研究は科学研究費補助金(21530777:代表者 吉崎一人)を受けた。

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参照

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