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A  Study about Formation o f  P r o f e s s i o n a l  I d e n t i t y  f o r   Nursing  S t u d e n t s  Ost r e p o r t )  

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(1)

川 崎 医 療 短 期 大 学 紀 要

2 6

号:

15 2 1 2 0 0 6   1 5 

看護学生の職業的アイデンテイティ形成に関する研究(第一報)

一看護学生の対人援助能カ一

新 見 明 子 \ 黒 田 裕 子 \ 合 田 友 美l

小 薮 智 子 \ 岡 野 一 伸 子2

A  Study about Formation o f  P r o f e s s i o n a l  I d e n t i t y  f o r   Nursing  S t u d e n t s  Ost r e p o r t )  

‑ I n t e r p e r s o n a l  H e l p i n g   A b i l i t y  o f   N u r s i n g  S t u d e n t s  ‑ Akiko  N IIMI 1 ,   Yuko  KURODA  1 ,   Tomomi GODA  1 ,  

Tomoko KOY  ABU  1  a nd  No buko  OKANOICHI 

キーワード :看護学生,職業的アイデンテイティ,対人援助能力,教育

概 要

看護の質を向上させる方法の

1

つとして個々の看護師の職業的アイデンティティを確立することが求められている 護学生においても職業的アイデンテイティの形成ぱ必要である今回看護学生に,看護職の職業的アイデンテイティの形 成に関わると考えられる対人関係援助能力について,横断的 縦断的調査を行った.その結果,対人援助を専門とする職 業でありながら,対人関係の基本的要件である人に対する基本的信頼感が十分に備わっていない学生も看護を志してお ,適切な人間関係を築きながらケアするための心理

社会的発達の未熟さがあることがわかったしかしながら,

3

間の教育課程が進み,卒業時には対人関係援助能力は高まって来ていることから,教育の中での支援の重要性が示唆され た.

1 .

は じ め に

看護職では,看護の質を向上させる方法の

1

つとし て個々の看護師の職業的アイデンテイティを確立する ことが求められており,そのために,看護師の職業的 アイデンテイティ尺度の開発1‑3),理論の開発4)や離職 の 問 題 見 看 護 学 生 の 職 業 的 ア イ デ ン テ イ テ ィ の 獲 得 の現状6,7)に関するものなど幅広く検討されている かし,これらの既知の研究では,看護基礎教育から卒 後教育において,職業的アイデンティティの低下や揺 らぎに対するサポートの必要性は指摘されつつも,そ れに対する効果的な介入に関する研究成果は少ないの が現状である

看護職はケアという行為を通して,自己の自立を維

平成

1 8

9

2 8

日受理)

1川崎医療短期大学 第一看護科

2適性科学研究センタ

The F i r s t  Department o f  Nurs i n g ,  Kawasaki C o l l e g e  o f   A l l i e d   H e a l t h  P r o f e s s i o n s  

Measurement a n d   R e s e a r c h  S e r v i c e s ,  I n c .  

持しつつ他者の自立のために援助的役割を担うこの ケアという役割を担う対人援助者について岡本8,9) ケア役割を担う立場の人々は個のアイデンテイティを 獲得

発達させつつ

関係性にもとづくアイデンティ ティを発達させることが重要と指摘し,またこれらは 相 互 に 影 響 し あ う と 述 べ て い る.個 の ア イ デ ン テ ィ ティの獲得は,幼少期から自己信頼感と自己肯定感を 養い,青年期に「自分である感覚」「社会に役立つ自 分」「思想的 ・価値的な信念」などを模索しながらアイ デンテイティを獲得していくが,これには職業選択が 重要な役割を果たす10)といわれている

一方,関係性にもとづくアイデンテイティは成人期 のアイデンティティとして,「他者を世話する」「指導 する」など他者とのかかわりの中で発達する11)といわ れ,個のアイデンテイティが自己の自己実現に向かっ ているのに対してこれは,他者の成長 自己実現への 援助という方向で発達する.国眼12)は,看護師の事例 から自分の働きが人の役に立ち,成果が他 者から認め られることによって職業的アイデンテイティが支えら れ,それは個人のアイデンテイティの成熟をも促して

(2)

1 6 

新見明子・黒田裕子 合田友美小薮智子 岡野一伸子

いること,また職業的アイデンティティの発達には,

専門職の知識体系の獲得とともに対人関係能力がその 基底にあることを指摘している.それは,看護におけ るケアという行為の過程が,他者との相互関係のなか で成り立つ13)という特性をもっために,この他者との 対人関係のとり方が看護実践の成果にも影響するとい

うことに通ずる

したがって,看護職には,良好な対人関係の碁盤のう えに成り立つケアという行為を通して関係性にもとづ

くアイデンティティを発達させ, さらに看護という職 業へのかかわりから個人のアイデンティティを発達さ せるという,両者が統合された成人期のアイデンティ ティが必要といえる

この看護職に必要とされる成人期のアイデンティ ティは,看護学生においても,職業的アイデンティ ィを形成していく上での一つの要素といえるしか

し,学生は,専門職としての教育を受ける過程で,い かに選択・統合して看護職としての自己を確立してい くかという職業選択を行いながら,青年期の心理・社 会的発達課題である個のアイデンテイティ獲得を模索 するという過程にある.それと同時に,関係性にもと づくアイデンティティの獲得を求められることは,成 人中期の「世代性」の達成14)を迫られていることとな り,そこにばし理 社会的発達の順序性から難しさが ある.

そこで,看護墓礎教育では,学生がその難しさに向 き合い,看護職の職業的アイデンティティの形成が進 むように支援が必要である.そのため,どのような教 育的支援が必要であるのかを検討するために,看護職 の職業的アイデンテイティ形成の一要素である関係性 にもとづくアイデンテイティの発達の基盤となる対人 関係における援助能力を調査し,その傾向を明らかに

したので報告する

2.

用 語 の 定 義

「アイデンテイティ」:自分であること,真の自分など の意味を持ち,他者の中で自分が独自の存在であるこ とを認めると同時に,過去から現在,未来に至る時間 の流れの中で一貰した自分らしさを維持できている状 態見 (中心的テーマは,自分は何者であるか)

「職業的アイデンティティ」:アイデンテイティ概念の 一部を構成する職業にかかわるアイデンテイティで,

職業を通しての自分らしさである12).専門職の名称を つけることによって専門職の独自性や特殊性を示す.

「看護職の職業的アイデンテイティ」 看護を通しての 自分らしさへの適合感である.看護師である自分の能 力を信じ,独自の存在であること認め,看護が自分に あっているという感覚が時間の流れのなかでも変化し ないという看護師である自分に対する肯定的な感覚を 維持できている状態である.

関係性にもとづくアイデンティティ」 :他者とのか かわりの中で発達していくアイデンティティで,他者 の成長や自己実現に向けて方向付けられる見(中心的 テーマは,自分は誰のために存在するのか,誰のため に役立つのか)

3 .

研 究 方 法

1)

対人関係における援助能力の特性を捉える尺度の 検討

( 1 ) 

対人援助適性アセスメント用紙の作成

対人関係のなかで看護を遂行する能力を捉えるため に,既存の性格検査や人格検査,および職業特性検査 を検討したが,既存の尺度では研究の意向を反映しな いと考えられた.そこで,心理学研究の専門家と協議 を重ね,適性科学研究センターに対人関係の基礎要件 である人間に対する基本的信頼の要素と組織の中で職 を推進する要件である思考 行動特性を捉える要素

2

つの構造をもつアセスメント用紙

( I n t e r p e r s o n a l H e l p i n g   A p t i t u d e  T e s t  

:以下対人援助適性検査)の作 成を依頼した

(

2

対人援助適性検査紙の構造および評価15)

対人関係の発揮能力の特性を

1 9 0

項目の

i t e m

から,

はい』「どちらでもない」『いいえ

3

段階で心的 エネルギーを測定するものである.この特性の評価は,

以下のパーソナル・コミュニケーション ・リレーショ ン・サポートの

4

つの座標から対人援助能力の適性を 捉える.

① 

対人関係の基礎要件である人間に対する基本的信 頼の要素

パーソナル・マップ〕:自分と自分の関わり方から自 分の生きかたを捉えるもので, 自己受容性 自分自身 を受け入れ信頼している力と自己表現力自分の気持 ちを十分に表現する力)の両軸からなる.両軸の得点 により,

A:A l i v e

充実表現型 自己受容力も自己表現 力も高いタイプ)

B :  B y s t a n d e r

自信内在型自己受 容力は強いが自己表現力は弱いタイプ)

C :  C h i l d i s h  

過剰表現型(自己受容力は弱いが自己表現力は強いタ イプ)

D :  Dependent

消極表現型 自己受容力も自己

(3)

看護学生の職業的アイデンテイティ形成に関する研究

第一報)

1 7  

表現力も弱いタイプ)に分類される

〔コミュニケーション・マ ップ〕:人との関わり方か らコミュニケーションのスタイルを捉えるもので, 者信頼力 人を信頼し信用していく力と対人感受力

対人関係の状況を感じ取る力の両軸からなる両軸 の得点により,

A :  Acceptab l e

積 極 交 流 型 他 者 信 頼 力も対人感受力も強いタイプ,

B :  B e l i e v a b l e

信 頼 先 行型

他者信頼力は強いが対人感受力は弱いタイプ)

C  :  C a r e f u l

感受優先型 他者信頼力は弱いが対人感受 力は強いタイプ)

D :  D i f f i c u l t

消極 交 流 型 他 者信 頼 力も対人感受力も弱いタイプ)に分類される.

② 

職務を推進する要件である思考 行動特性を捉え る要素

リレーション・マップ〕: 団の中での対人行動のス タイルを捉えるもので,対人行動力 自分から積極的 に人に働きかける力)と対人開放性自分の感情をオー プンに表出していく力)の両軸からなる.両軸の得点 により,

A:A b l e

行動開放 型 対人行動力も対人開放 性も強いタイプ),

B:B o l d

行動積極型(対人行動力は 強 い が 対 人 開 放 性 は 弱 い タ イ プ)

C :  C h a n geab l e

人開放型 対人行動力は弱いが対人開放性は強いタイ プ)

D :  D e l i c a t e

抑制定形型 対人行動力も対人開放 性も弱いタイプ)に分類される

サポート マップ〕 人を援助するときの行動特徴を 捉えるもので,対人好感力 人に好感を与える活動性 のもととなる力と現実対処力 与えられた役割のな かで現実に対処していく力)の両軸からなる.両軸の 得点により

A :  A m b i t i o n

援助充実型 対人好感力も 現 実 対 処 力 も 強 い タ イ プ)

B :  B r e a k t h r o u gh

対 人 好 感型 対人好感力は強いが現実対処力は弱いタイプ)

C  :  Commitment

現 実 対 処 型 対 人 好 感 力 は 弱 い が 現 実対処力は強いタイプ)

D :  D e f e n s e

自己限定型 人好感力も現実対処力も弱いタイプ)に分類される これらの座標は,標準値を

5 0

とする.

2) 研 究 対 象 者

横 断 的 調 査 群

2 0 0 4

年〜

2 0 0 5

年に

K

短 期 大 学 に 在 籍 した看護学生.有効回答は

1

年生

1 7 7

( 99% ) , 2

1 7 6

( 96% ) , 3

年生

1 6 4

( 9 2 % ) . 

縦断的調査群:

2 0 0 3

4

月〜

2 0 0 6

3

月の

3

年間

k

短期大学に在籍した看護学生のうち

3

年間継続して調 査できた看護学生.有効回答

6 7

( 74% ) .

3) 倫 理 的 配 慮

各対象者に対して,研究目的および内容を説明し,こ の調査は自由意志により参加するものであり,結果は

個人の評価に関わらないことおよび研究成果の公表に おいて,個人情報の機密が保持されることを説明し 同意を得た

4) 調 査 ・ 分 析 方 法

調査期間は,

2 0 0 3

7

月〜

2 0 0 6

3

月である調査時 期の状況として,

2

年生は,初めて臨地実習を体験し た後であ

3

年生は,臨地実習を全て終了した後で ある.調査は,心的エネルギーを測定することから,

研究者が各学年のクラスに出向き,一定の間隔で

i tem

を読み,直感で回答をする方法を採用した.対人援助 の個人特性の解析は,適性科学研究センターに依頼し た.データの解析には

SPSSVer .  1 4 .   0

を用いた

4.

結 果 1) 看護学生の対人援助特性の傾向

( 1 ) 

横 断 的 調 査 に み る 各学年間の傾向

1 ) 1

年生の得点から入学当初の看護学生の特徴を見る と,パーソナル・マップでは自己受容性, 自己表現 力が標準値に対しともに低い.コミュニケーション ップでは他者信頼力,対人感受力ともにやや高い傾 向にある レーション ップでは,対人行動力,対 人開放性はほぼ標準である.サポート マップでは,

対 人 好 感 力 は 裔 い が , 現実対処力は低い傾向にある 次に

2

年生の特徴は,パーソナル マップの両軸が ともに低く,コミュニケーション マップでは, 他者 信頼力が高い.またリレーション ・マップは標準値 に近く ,サポート・ マップは,対人好感力はやや高い が,現実対処力は低い傾向にある.

3

年生の特徴は,パーソナル マップは両軸ともや や低いものの標準値に近く ,他はやや高い傾向を示し た.そのなかでもコミュニケーション マップの他者 信頼力は非常に高い傾向にあった.

1

年生と

2

年生を比較すると, リレション マッ プの対人開放性が

2

年生に有意に高い

( p < O . 0 5 )

が 他 に有意差はなく ,似た傾向を示していた.

2

年生と

3

年生の比較では, 自己受容性, 自己表現力,他 者 信 頼 カ,対人行動力,対人開放性,現実対処力の

4

領 域

6

項 目 の 得 点 が

3

年生は有意に高く,異なった傾向にあ

る.また

1

年生と

3

年生においても

3

年 生 が , 対 人 感受力,対人行動力以外の

4

領 域

6

目に有意に高く 異なった傾向を示していた

(2縦断的調査における傾向(表

2)

対 人 援 助 特 性 の 傾 向 の 変化を明らかにするために,

学年を追って調査した.その結果

1

年次と

2

年次の比

(4)

1 8  

新 見 明 子 ・ 黒 田 裕 子 ・ 合 田 友 美 ・ 小 薮 智 子

岡 野 一 伸 子

1

横断的群学年別対人援助適正得点の傾向

パーソナル・マップ コミュニケーション・マップ リレーション・マップ サポート・マップ

学年 自己受容性 自己表現力 他者信頼力 対人感受力 対人行動力 対人開放性 対人好感力 現実対処力

mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD 1  ( n = l 7 7 ) 

2  ( n = l 7 6 )  3  ( n= 1 6 4 ) 

4 1 . 2

1 9 .5 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ,   3 9 . 1

1 7 . 8 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ , 5 4 . 2

2 3 . 1 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ , 5 4 . 4

5 . 8 39  5

1 91 ]

4 1  1

1 97 ]

58  8

2 24 ] ・ 53  7

59  4 8 . 7

1 9 . 7 L l 4 7 . 7

2 0 . Q L l 6 6 . 7

2 0 . Q Ll 5 4 . Q

6 . 1

5 3 . 5

1 0 . 5 5 1 . 6

9 . 8 5 4 .   l

9 . 6  ・ ]

.  ﹁

2 4 ,   8 8 7  

5 0 5  

. 

4 7 4 7 4 9  

.  ﹈ 

0 8 0   6 6 7  

5 2 7  

  55 54 53  

.  .  口

2 5 5  

 

7 6 6  

7 3 2  

  50 52 54  

標準=

5 0

2

縦断的群学年別対人援助適正得点の傾向

*  :  p < 0 . 0 5 ,   * *  :  p < 0 . 0 1  

パーソナル

マップ コミュニケーション マップ リレーション マップ

( n=67 ) 

サポート マップ 学年

2 3  

自己受容性 自己表現力 他者信頼力 対人感受力 対人行動力 対人開放性 対人好感力 現実対処力

mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD mean

SD 37  1

1 588  ]•• 39  8

1 7 4  55 

8 土 22

.

2〗.

5 3 . 1

53  5 0 . 4

9 . 7 5 1 . 6

7.3J ・ ] 54  2

62  45  6

7.5J ・

3 6 . 6

1 8

2 拿•39

8

1 85  59  9

2 2 . 1 . .5 3 . 4

49  49  6

1 0 . 1 } ・ 52 4

65 . .540

66  46  1

8 . 1 • 4 6 . 1

1 9 . 1 4 2 . 2

1 8 . 2 64  1

2 1 . 1 54 6

5 4  52 2

96  5 3 . 9

5 . 6 5 4   4

6 . 5 4 9 . 5

7 . 6

標準=

5 0 *  :  p < 0 . 0 5 ,   * *   :  p < 0 . 0 1  

較ではコミュニケーション マップの他者信頼力が

2

年次に有意に上昇している

( p < O . 0 5 )

以外は,ほと んど変化がなく

1

年次と

2

年次は似た傾向にある

しかし

2

年次と

3

年次の比較では,自己受容性, 者信頼力,対人行動力,対人開放性,現実対処力が

3

年次に有意に上昇している

次に,

1

年次,

2

年次

3

年次のパソナル,コミュ ニケーション, リレーション,サポートの各座標の得 点分布を図

l

に示す.

まず,パソナル・マップでは,分布傾向から個人 差の大きいことがわかり

A

タイプは少なく

D

タイ プが多いまた自己受容性,自己表現力の両軸ある いは一方が非常に低い学生が存在することも特徴であ る.

2

年次にはこの傾向が若干分散するが平均値は ほとんど変化がなく,

3

年次では,

A

タイプが増加 両軸の得点が

3 0

以下の低値群が減少している

ミュニケション マップでは, 他者信頼力は分 散が大きく,人を信頼できないタイプの学生から,相 手を尊重し相手を受け入れることがスムーズにできる 学生まで様々であるそれに比べて,対人感受力は,

最小値

4 2

〜最大値

6 6

間に分布し,分散が少なく,相手 の感じ方をキャッチする力や対人関係の状況をつかむ 力は,ある程度備わっている傾向にある

2

年次は 者信頼力の得点が全体的に上昇しているがこの傾向 は変わらない.

3

年次では,他者信頼力がさらに上昇 したため

D

タイプがほとんど見られなくなり,学生の コミュニケーョンのり方が徐々に上手く なる傾向 にある

リレーション マップでは,

1

年次から

3

年次まで 似た分布傾向にあるが,

1

年次がやや分散し

3

年次 の対人開放性の分布は集中している.対人行動力,対 人開放性がともにやや上昇したことに

D

タイプは 減少している

サポー マップでは,平均値を中心に分布してお

3

年次の現実対処力の平均値が上昇しているもの

1

年次から

3

年次まで似た傾向にある

5 .

考 察

k

短期大学に入学してきた学生の対人関係における 援助行動の特性は,対人関係の基本的要件からみると,

個人差はあるがパソナル マップの自己受容性 己表現力がともに低い傾向にあることから,自分に対 して自信が持てない自尊感情の低い学生が多いといえ る.また,コミュニケーション マップにおける対人 感受力はある程度平均的に備わっているが,他者信頼 カのばらつきが大きいことから,人間関係の中での状 況をつかみ取る力はあるが,なかには他人を信頼しに くい傾向の学生がいることがわかるこのことから,

人間関係を築くことに難しさを体験していたり,今後 体験しやすい傾向にある学生が多いと考える.人間の 心理 社会的発達の課題では,人に対する基本的信頼 感の獲得は乳児期の課題であり,青年期ではアイデン テイティの獲得が課題である岡本8)は,人の世話を し,他者の成長や自己実現へ向けて援助を行う役割を 担うためには,個としてのアイデンテイィが形成さ れていることが前提であると述べているしかし,現

(5)

看護学生の職業的アイデンティティ形成に関する研究(第一報)

1 9  

1年次 2年次 3年次

A l i v e   B y s t a n d e r   C h i l d i s h  

D e p e n d e n t  

6 0 7

8 0   9 0  

性容

5 0 受

自4 0

3 0   2 0  

908070605040302010 

自 已 表 現 力

9 0   8 0  

〜 ー

6 0性

容5 0

自4 0

3 0   2 0  

908070605040302010 

自 己 表 現 力

90  80  70 

自60

50

40 30  20  lO 

lO  20  30  40  50  60  70  80  90  自己受容性

コミュニケ—ション

A c c e p t a b l e   B e l i e v a b l e   C

e f u l D i f f i c u l t  

90  80 

: 

: 

40

30  20  10 

lO  20  30  40  50  60  70  80  90  他 者 信 頼 力

9 0   8 0  

頼 6 0

者 5 0 信

他4 0

‑ 1

3 0   ⇔干

゜ 臣

2 0

908070605040302010 

対 人 感 受 力

9 0   8 0  

頼 6 0

者 信5 0

他4 0

1 0  

908070605040302010 

対 人 感 受 力

,  r ‑

! 

リレーション・マ

A b l e   B o l d  C h a n g e a b l e   D e l i c a t e  

90  80  70  160  憐

]50

40 30  20  I O 

10  20  30  40  50  60  70  80  90  対 人 行 動 力

90  80  70 

対60

人 併I50 

40 30 i  20 

10. 

10  20  30  40  50  60  70  80  90  対 人 行 動 力

90  80  70 

対60

l } t 1 5 0  

40 30  I  I 

10  20  30  40  50  60  70  80  90 

対 人 行 動 力

90  80  70  現60 実 対50

40

30  20  10 

10  20  30  40 

5 0  

60  70  80  90  対 人 好 感 力

サポ—ト・マップ

A m b i t i o n   B r e a k e ‑

t h r o u g h   Co m m i t m e n t   D e f e n s e  

90' ・ ・

r ‑‑‑‑

80  70  現60 実

対50

40 30  20  10 

10  20  30  40  50  60  70  80  90  対 人好 感 力

90  80  70 

現 OO

実 対50

処 1

40 30 

: L J  

10  20  30  40 

5 0  

00  70  80  90  対 人 好 感 力

*  n  =  6 7 ,検査結果の解析及びマップヘの展開は適正科学研究センターによる , ー ー 一 ー

は平均値を示す 1

縦断的調査群の学年別推移

実の学生は,個としてのアインテイティ を獲得して いく時期でありながら,乳児期の課題である基本的信

頼感が育っていないことが伺える.このことから看護 学生は役割上,人の世話をするための心の準備として

(6)

2 0  

新見明子

黒田裕子

合田友美

小薮智子・岡野一伸子

成人期という次の「世代性」を期待されているものの,

ケア役割をになうために必要な心理・社会的な発達が 未熟な状態ではないかと考える.

組織のなかで看護という職務を推進していく能力の 側面ではリレーション・マップは,対人行動力およ び対人開放性はともに標準よりやや高く ,分散もあま り大きくないことから,集団の中ではまずまず自分の 感情を出しつつ人に関わることができる.サポート・

マップでは,人を援助するときに必要な対人好感力は 平均よりやや高く,活き活きとしたはつらつさなどよ い印象を他人に与える思考・行動特性を持っている.

しかし,現実対処力は平均よりやや低い傾向にあり,仕 事をしっかりと受け止め現実の課題に対処しようとす

実践は,看護者と患者の対人関係のうえに成立するこ とから,学生においても同様なことがいえる.つまり,

関わる患者,指導を受ける看護師や教員から,適切な 対人関係のうえに成立した看護実践の承認を繰り返し 得ることは,看護師を目指す学生の個のアイデンティ

ティ形成および職業的アイデンティティを確立してい くうえで重要となる.

k

短期大学では,

1

年次における調査で,基本的信頼 感が低迷していたことから,コーチングを取り入れた り,臨地実習指導において個人面接を行ったり,学生 の個を重要視した関わりを実施してきた.その結果,

基本的信頼感の自己受容性や他者信頼力が高くなった とも考えられ,今後はその効果の具体的な検討が必要 る力が弱いため,相手から信頼を得にくいといえる. である.

これらから,看護職の職務を推進していくためには対 人関係が基盤になるにもかかわらず,より良い対人関 係を進めていこうとする力が十分に備わっているとは いえない.

したがって,看護教育のなかで学生が対人関係にお ける援助行動に必要な特性を獲得していく過程を支援 することが重要となる.すなわち,人間関係の基本と なる基本的信頼感を獲得できていない学生に対し再獲 得に向けての働きかけを行うことと勤勉性を高めて現 実対処力を伸ばしていく必要が示唆された.

各学年の対人援助の行動特性の比較から見ると

年生と

2

年生ではあまり違いは見られなかったが,

年生は,他の学年より対人援助力の高い傾向にあり,

違う特性を持っていた.それは横断的調査 縦断的調 査のいずれも同じ傾向であり,

3

年次の学生は対人援 助能力が高まってきているといえる.その要因として

2

年次の学習では臨地実習が

3

週間あるものの,

学内での講義 演習がほとんどであり,対人関係も限 定したなかでの関わりでしかないしかし

3

年次の 学習では医療施設や訪問看護ステーションなどを含む

6

ヶ月余りの多様な臨地実習を体験しているそのな かで年齢性,相手の置かれている立場など様々な人 と関係をとっていかなければ実習は成り立たたない そこで学生は,苦慮しながら人との関係作りを努力し たり,臨地の指導者および教員の指導や患者の反応を 真摯に受けとめたりすることで対人援助能力を発達さ せたと考える.

グレッグ°は,看護職としての職業的アイデンテ ティを確立していくうえで,ケア対象者から看護実践 の承認を得ることが必要であると見出している.看護

6.

看護学生の職業的アイデンティティを形成していく 上で,その形成の一要素と考えられる対人関係におけ る援助能力を調査した.その結果,看護職は,対人援 助を専門とする職業でありながら,対人関係の基本的 な要件である基本的信頼感が十分備わっていない学生 も看護を志していることが窺え,適切な人間関係を築 きながらケアするための心理・社会的発達の未熟さが あることがわかった.また,援助するときの行動特性 である現実対処力もやや低く,入学時には,看護を志 している学生たちではあるが,対人関係の援助能力は 十分備わっているとは言い難い. しかし

3

年間の課 程のなかでは,対人援助能力は高まり, その要因とし ては臨地実習での体験が影響していると考えられた.

さらに,教育の中で個の承認を繰り返し行うことに よって,基本的信頼感の獲得や看護職の職業的アイデ ンテイティの形成を進めていくのではないかと考えら れた

引 用 文 献

l )

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(8)

表 1 横断的群学年別対人援助適正得点の傾向

参照

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