教育 と研究の歩み
藤 本 喜 八
ま えが き
私 は 広 島 県 呉市 に 生 まれ(1910),県 立 呉 中 学 校 を卒 業 し(昭3),岡 山の 第六 高 等 学 校 文 科 乙 類 を経 て(昭6),京 都 帝 大 文 学 部 哲学 科 心 理 学 専 攻 を卒 業 した(昭9)。 心理 学 を選 ん だ 当初 の 考 えは心 理 学 を勉 強 して 田舎 の 小 学 校 教 師 に な りた い と思 った か らで あ る。 しか し卒 業 の 頃 に は 「働 くもの の ため に役 立 つ 心理 学 」 「産 業 心 理 学 」をや りた い と考 え る よ うに な っ た。 それ で卒 業 と と もに,倉 敷 労 働 科 学研 究 所 の研 究 生 と して,桐 原藻 見 先 生 の下 で 産 業 心 理 学 を勉 強 した(昭 和10年10月 まで)。 そ れ か ら広 海 軍工 廠(呉 市 の 隣 り町) で工 員 の適 性 検 査 と疲 労 検 査 の研 究 と実 施 に 当 た っ た(昭 和12年6月 まで)。
昭 和12年 春 内務 省 社 会 局 職 業 課 に職 業 適 性 検 査 研 究 チ ー ム が 編 成 され て, 私 も嘱託 とい う資格 で その 一 員 に加 わ った 。 次 い で 厚 生 技 手,厚 生 技 師 と し
て工 員 の 技 能 測定,技 術 者 養 成 な ど技術 的 な仕 事 を担 当 した が,戦 争 が 進 む に つ れ て 労 務 動 員 の行 政 事 務 に移 っ た。 戦 後 は職 業 訓練 ・技 能 者 養 成 の 仕 事 を担 当 した後t年 少 労 働 課 長 と して 年 少 労 働 者 保 護 とい う行 政 事 務 を担 当 し て い た が,立 教 大 学 の淡 路 円 治 郎 先 生 の招 き を受 けて,昭 和24年9月,労 働 省 を辞 した 。 内務 ・厚 生 ・労働 三 省 を通 じて職 業 ・労働 行 政 に12年 間従 事 し た わ け で あ る。
立 教 大 学 で は文 学 部 社 会 科 職 業 指 導 課程(後 に社 会 学 部 社 会 学 科 職 業 指 導 課 程 に 改 組)の 主 任 教 授 と して,昭 和24年10月 か ら昭 和51年3月(定 年)ま で,学 部 学 生及 び大 学 院 々生 の教 育 に あ た っ た 。 教 育 の か た わ ら著 書3冊, ほ ん 訳4冊,研 究 調 査 報 告 書21件,解 説 論 考 等53点 を書 い た。 調 査 研 究 の 主 な もの は,① 進 学 後,就 職 後 の職 業 行 動 の追 跡 調 査(7件),② 職 業(労 働)
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価 値 観 の 測 定 法 に関 す る研 究(6件),③ 進 路 に関 す る意 識 調 査 法 に 関 す る研 究(4件)青 少 年 の職 業 知 識 に関 す る調 査(4件)な どで あ り,解 説 ・ 論 考 は① 職 業 指 導 の理 論 的 基礎 た る職 業 的発 達 理 論 の解 明 と説 述(6点),② 職 業 概 念 に 関 す る論 考(5点)な どが 含 まれ る。
そ の 間,学 外 で社 会 的 活 動 は か な りや っ た。 国 内 活動 の 一 つ は官 庁 の委 員 会 へ の 参 与 で,総 理 府 関 係 で は 児 童 憲 章 草 案 準備 委 員 会(昭26),中 央青 少年 問 題 協 議 会 専 門委 員(昭26‑32),青 少 年 問 題 審 議 会 委 員(昭41‑‑45)・ 労 働 者 関 係 で は 中央 職 業 安 定 審 議 会 専 門調 査 委 貝(職 業 辞 典,昭25‑‑28)・ 婦 人 少 年 問 題 審 議 会 委 貝(昭25‑36)技 能 者養 成 審 議 会 委 員(昭26‑30),雇 用促 進事 業 団職 業 研 究 所(現 在 日本 労 働 研 究 機 構)顧 門(昭51一 現 在)と して参 与 し,文 部 省 関 係 で は学 徒 厚 生 審 議 会 臨 時委 貝(昭26‑31),中 央 産 業 教 育 審 議 会 専 門委 員(昭26‑29),中 央 産 業 教 育 審議 会 委 貝(昭30‑‑45)と して参 与
した ほか,教 材 等調 査 研 究 会 委 貝 と して 職 業(進 路)指 導 の 手 引(約20点) の 作 成 に協 力 した(昭24‑52)。 な お,文 部 省 の依 頼 を うけ て,文 部 省 と立教 大 学 共 催 に よ る職 業 指 導幹 部 養 成 講 座 を引 き受 け(昭28‑35),毎 夏全 国 の 中
高 の 現 職 教 員 に1〜2週 間 の講 習 を行 い全 国 の レベ ル ア ップ に貢 献 した。
進 路 指 導 の面 に お け る社 会 的 活 動 は,ほ とん どみ な 日本職 業 指 導 協 会(現 在 日本 進 路指 導 協 会)を 通 じて 又 は協 会 の ため に な した。(昭26か ら理 事)例
えば 昭和32〜55年 の 間 に約17の 国 際 会 議 に 出 席 したが,そ れ は み な協 会 代 表 と して で あ っ た 。協 会 は昭 和36年 と44年 の両 度,米 国 のD.E.ス ー パ 』博 士 を 招 いて,職 業 的発 達 理 論 に関 す るセ ミナ ー を開 き,日 本 にお け る そ の普 及 を は か っ た が,私 は そ の組 織 と運 営 に 当 た っ た。 協 会 は,昭 和42年 に協 会 創 立 40周 年 記 念事 業 と して 第1回 ア ジア地 域 職 業 指 導 会議 を開 催 した が,私 は そ の 会 議 の 実 質 的 な組 織 運 営 に 当 た っ た。 また これ を機 縁 と して,昭 和45年 ・ ア ジア 地 域 教 育,職 業指 導 協 会(ARAVEG)が 創 設 され たが,私 は それ の 規 約 の制 定 そ の他 実 質 的 な組 織 運 営 に あ た っ た。
協 会 は また,こ れ よ り先,昭 和39年 に協 会 内 に青 少年 進 路 相 談 所 を開所 し た。 最 初 は所 長 岡 部 弥 太 郎 先 生 の下 で 副 所 長 の一 人 と して(他 の一 人 は 沢 田
一18
教育 と研 究の歩み
慶 輔 氏)こ れ を補 佐 したが,昭 和42年 岡部 先 生 ご逝 去 後 は私 が所 長 とな った 。 (こ の相 談 所 は 資金 難 の ため 昭 和44年 に休 所)。
国 内 の社 会 活 動 と して も う一 つ の 団体,日 本 産 業 カ ウ ンセ ラー 協 会 の組 織 につ い て,私 は昭 和35年 その組 織 化 の キ ッカ ケ を作 った。 同 協 会 は 翌 昭 和36 年 成 立,昭 和45年 法 人化 した。(昭55か ら名 誉 会 員)
国 内 の 学 会 活動 と して は,日 本 心 理 学 会(昭9か ら会 員),白 本 応 用 心 理 学 会(昭9か ら会 員,昭55名 誉 会 員),日 本 産 業 教 育 教 育 学 会(昭35か ら会 貝, 昭35監 事,昭37理 事),日 本 相 談 学 会(昭43か ら会 員,昭46監 事)産 業,組 織 心理 学 会(昭61か ら会 員,昭62名 誉 会 員),の ほ か,昭 和28年 日本 職 業 指 導 学 会 を組 織 しその 幹 事 を勤 め た が,そ の学 会 が不 活 発 だ った の で,昭 和53年11
月 これ を改 組 して 日本進 路 指 導 学 会 と して再 発 足 し,そ の 初 代 会 長 に選 ば れ た2期 つ とめ たが,昭 和59年 名 誉 会 貝 とな り,ま た名 誉 会 長 に推 され,現 在 に至 って い る。
国際 的 活 動 の 第̲̲̲.歩と して は,昭 和29年9月 か ら半 年 間,米 国 コ ロ ン ビ ア 大 学教 育 学 部 の研 究 所 の客 員研 究員 と してD.E.ス ー パ ー博 士 の 「キ ャ リア類 型 研 究 」 に参 加 した。1954(昭29)か らア メ リカ の ア メ リカ生 徒 管 理,指 導 協 会(APGA)と 全 米 職 業 指 導 協 会(NVGA)の 会 員 とな り,1980(昭55>・
名 誉 会 員 とな った 。
1955国 際 職 業 指 導 協 会(IAVG)の 会 員 とな り,1958理 事 候 補1970理 事(79 年 まで3期)を つ とめ た 。 またア ジア地 域 教 育 ・職 業 指 導協 会(ARAVEG) の 創 設 に参 加 した。
以 上 の 国 際 団体 の 会 議 の ため17回 ほ ど海 外 出 張 した 。
私 の 専 門領 域 か らは は ず れ るが,皇 太 子 ご成 婚 記 念 と して,総 理 府 が は じ め た 日本 青 年 海 外 派 遣 事 業 の 北 米 第2班 の 団 長 を委 嘱 さ れ,20〜30歳 の 青 年20人 と共 に,1959年10月 初 旬 か ら約2か 月半 に わ た り,北 米 各 地 を歴 訪 し
た。
「ま えが き」が 大 変 長 くな っ た が,そ の 大体 は雑 誌 「教 育 心 理 」vol・29,No・
4,1981に も 日本 応 用 心 理 学会 の 機 関 誌 「応 用 心 理 学研 究 」 第14巻,1989に 一一一一19‑一
も 「産 業 心理 学 か ら進 路指 導 へ 」 と題 して 述 べ た とこ ろ で あ る。従 って ・本 誌 編 集 者 か らは 「研 究 と教 育 の半 生 を省 み て 」 書 くよ うに と求 め られ た が ・ こ こで は あ えて私 の本 学 着 任 以 来 の約15年 間 の 活 動 を述 べ る こ と と した い。
(一 部分 は前 記 の 回顧 録 と重 複 す るが 。)
(1)職 業(労 働)価 値 観 の 測 定 法(WorkValuesInventory,WVI)に 関 す る研 究
こ こで職 業(労 働)価 値 観 とは,普 通 世 で言 う 「人 は そ の仕 事 を一 所 懸命 にや るべ きだ」「軽 々 に転 職 す べ きで な い」「わ き見 を しな い で専 心 す べ きだ」
な ど とい う風 に 忠 誠 を美 徳 と した り,責 任 感 を強 調 す る よ うな,倫 理 的 な 立 場 か ら評 価 す る見 方 で は な い 。 この よ うな倫 理 的 な職 業(労 働)観 は そ れ 自 体 有 意 義 で あ り,世 間 に最 も普 遍 的 で あ るが,職 業 選 択 とか職 業 適 応 の場 面
で は,も っ とち が った 立 場 か らの と らえ方 が 必 要 で あ る。 それ は,そ の 人 そ の 人 が 自分 の価 値 体 系 か ら,一 つ 一 つ の 職 業 の もつ 諸 側 面 に対 して,ど ん な 価 値 づ け をす るか,と い うこ とで あ る。 その よ うな価 値 づ け は,そ の 人 の職 業 選 択 に お け る ドラ イ ブ の 一 つ とな るだ ろ う し,就 いて い る仕 事 が そ の 人 の 価 値 づ け を許容 す る もの で あれ ば,仕 事 上 の 満 足 又 は働 きが い を感 ず る こ と が で きよ う。 この よ うな価 値 づ け の客 観 的 ・実 証 的 な尺 度 が あれ ば,こ れ ま で の職 業 選 択 に お い て適 性 検査 や パ ー ソナ リテ ィ検 査 が 主 要 な道具 と され て きた の に対 して,そ れ ら と並 ぶ新 しい道 具 を提 供 す る こ と とな ろ う。
価 値 づ け につ い て は,ド イ ツの 心 理 学 者E.シ ュプ ラ ンガ ー が 最 も早 く,そ の著 書 「人 間 の タ イプ 」(1928)に お い て,人 間 が 自 らの 生 活 を律 す る よ り ど こ ろ 中 心 的価 値 づ け に よっ て,す べ て の個 人 を6つ の タ イプ に分 け た。 す な わ ち理 論 的 人 間z経 済 的 人 間,審 美 的 人 間,社 会的 人 間,政 治 的 人 間,宗 教 的 人 間 の6つ で あ る。 オー ル ポー ト.G.E.ヴ ァー ノン.P.E.共 著 の 価 値 尺 度 の 研 究(1931)は,シ ュ プ ラ ン ガー の6つ のパ ー ソナ リテ ィ タイプ
を跡 づ けて 「生 き方 」 に よ る尺 度 化 を は か っ た もの で あ る。
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教 育 と研究の歩 み
職 業 選 択 の場 面 で職 業(労 働)価 値 観 の 重 要 性 に着 眼 した の は コ ロ ン ビア 大 学 のE.ギ ン ツバ ー グ(「職 業 選 択 」1951)が 最 初 の 人 だ ろ う。 彼 は ま た個 人 個 人 の職 業(労 働)価 値 観 が,そ れ ぞ れ の仕 事 に お い て 充 足 され れ ば,ひ と
し く仕 事 上 の満 足 も得 られ る,と も述 べ て い る。 なお 彼 は職 業(労 働)価 値 観 を分 析 して,内 在 的 価値(特 定 の 活動 とか 特 定 目標 の 達 成 とか に 見 出す 喜 び),外 部 的 価 値(金 銭 とか社 会 的 評 価 の よ うな外 部 か ら認 知 で き る もの), 随 伴 的 価 値(特 定 の 物 的 環 境 に対 す る価 値 づ け)の3つ に分 け て い る。
しか しギ ン ツバ ー グは,そ の 職 業(労 働)価 値 観 の 測 定 に まで は踏 み こ ま ず,職 業 選 択 と職 業 適 応 にお け るそ の 重要 陛 を提 起 す る に とど ま っ た とい う
ほ か な いが,そ れ 自体 極 め て 有 意 義 で あ る。
職 業(労 働)価 値 観 の 測 定 を と り上 げ たの は,コ ロ ン ビア 大 学 教 育 学 部 の D.E.ス ー一パ ー で あ る。彼 は,1951年 に ス ター トした キ ャ リア 類 型 に関 す る研 究(CareerPatternStudy,田 各称CPS)に お い て,面 接 に よ る 回答 を5点 尺 度 で 評 価 した。外 部 的 価 値(金 銭 的 報 酬,社 会 的 評 価,作 業 条 件 な どの よ うな 仕 事 そ の もの以 外 の要 因 か ら生 ず る報 酬 を重 し とす る)に 高 点 を与 え,内 在 的 価 値(仕 事 そ の もの の 面 白 さ,創 造 性,挑 戦 的 課題 な どの よ うな仕 事 その
もの に 内在 す る要 因 か ら生 ず る報 酬 を重 し とす る)に 低 点 を与 えた。
彼 は ま た,こ の 面 接 法 と並 行 して,質 問 紙 法 に よ る 測 定 法 を試 行 し た (WorkValuesInventory,略 称WVI)。 これ は,職 業 の特 徴 的 な側 面15項 目 を と り上 げ,そ れ の 相 対 比 較 を させ る もの で,210問 で 構 成 した。 第一 版
(1957)と 第 二 版(1964)は 相 対 比 較 を維 持 した が,第 三 版(1968)か ら5 点 尺 度 法 に改 め た。
私 は 昭和44年,ス ー パ ー のWVIの 日本 版 を作 成 しよ う と思 い立 っ た。日本 版WVIは,ど の 職 業 に も認 め られ る とこ ろの 諸 特 徴 を15カ テ ゴ リー に ま と
め,15カ テ ゴ り一 の 一対 比較(132比 較)に よっ て,ひ と りひ と りに とっ て の 各 カ テ ゴ リー の相 対 的 重 要 度 を と ら え よ う と した もの で あ る。
この よ うな一 対 比 較 法 に よ る調 査 を,昭 和44年 か ら47年 まで,中 ・高 ・大 の 学 生 ・生徒 お よ び有 業 者 会 計 約4,000名 につ い て実 施 して きたが1),そ の 間
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に い くつ か の疑 問 と迷 い を経 験 し た。 そ の 一 つ は15カ テ ゴ リー で よいか ど り か,で あ る。 昭 和48年 度s大 学 生75名,有 業 者30名 を対 象 と して 「仕 事 の 重 要 度 制 断 の よ りどこ ろ」 「仕 事 の選 択 の よ りど こ ろ」 「仕 事 の好 悪 に対 す る よ
・り ど こ ろ」 につ い て調 査 し
,18カ テ ゴ リー を立 て る こ と と した(次 表)
仕 事 の18特 徴
2.収 入
3.社 会 的 評 価
7.奉 仕 的 活 動 8.美 的 活 動
11.対 人接 触 的 活 動
13.多 14.
その仕 事 は長 続 きす る し,不 景 気 の と きで も失 業 の心 配 が 少 な く,老 年 まで 続 け られ る こ と。
仕 事 か らの収 入 に よ って 人並 み な く ら しが で きる こ と。
社 会 か ら良 い 仕事 だ と評 価 され,そ の 仕 事 につ い て い れ ば 人 か ら尊 敬 され る こ と。
働 く時 間 が 長 す ぎず,規 則 的 で,休 日休 暇 もキ チ ン と し て お り,余 暇 も充 分 活 用 で きる こ と。
働 く場 所 が 明 る く,清 潔 で,暑 か らず 寒 か らず,騒 音 も ほ こ り も少 な く,快 適 で あ る こ と。
上 役 は物 事 の 筋 道 を守 る人,部 下 を公 正 に取 扱 う人,思 いや りの あ る 人 で あ る こ と。
人 を助 け る こ と,人 の た め ・社 会 の た め奉 仕 す る こ と。
人 々 の た め 美 を創 造 す る こ と。 社 会 に美 を提 供 し,社 会 の 美 化 に役 立 つ こ と。
新 しい ア イデ ィア を展 開 した り,新 製 品 を考 案 した りす る こ と。
物 事 を調 査 研 究 して,物 事 の真 相 や 因果 関 係 を明 らか に す る こ と。
仕 事 上 他 人 との接 触 が 多 い こ と,も の よ りも人 を相 手 と す る こ と,機 械 器 具 や 書 類 よ り も人事 の 取 扱 いが 主 で あ
るこ と。
人 の上 に立 ち,仕 事 の 計 画 を た て,部 下 に仕 事 を割 り当 て,そ の仕 事 の さ し図 をす る こ と。
仕 事 の 内容 が,多 種 多様 で,時 に応 じて変 化 す る こ と。
仕 事 の や り方(進 め 方,は こび 方,速 さ)が,自 分 の責 任 で きめ られ る こ と。
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教 育 と研 究 の歩 み 15.達 成 感
16.能 力 の 発 揮
17.性 格 の 活 用
18.道 義 性
仕 事 に 「ま とま り」 が あ り充 分 や った とい う感 じを 日々 もち得 るこ と。 努 力 の 結 果 を 自分 の 目で 見 とど け得 る こ
と。
自分 の能 力(知 識 ・技 術 ・技 能)を 試 め した り生 かす こ とが で き,ま た 自分 の能 力 の 向 上 に役 立 つ こ と。
自分 の性 格 ・興 味 に合 って お り,ま た 自分 の性 格 ・興 味 を生 か せ る こ と。
自分 の考 え方,信 念,道 徳 観 か ら見 て,仕 事 の 内容 もや り方 も 自分 に納 得(な っ と く)で きる こ と。
第2点 は,ひ と りひ と りの 相 対 的 重 要 度 が18カ テ ゴ リー に 広 が っ て い て は, 個 人 的 特 徴 が つ か み に くい 。18カ テ ゴ リー を い くつ か の 類 型 に ま とめ られ な
い か,と い う こ とで あ る 。
疑 問 と迷 い の 第3点 は,18カ テ ゴ リ0と 改 め た 場 合 の 一 対 比 較 は,153対 の 比 較 を 強 制 す る こ と とな り,被 検 者 に と っ て 苦 痛 で あ り,こ の こ とが 一 対 比 較 法 の 信 頼 度 を低 下 させ る 一 因 と な っ て い る。 こ の 比 較 対 の 数 を減 らす こ と は で き な い か,と い う こ とで あ る。
第2点 と第3点 に つ い て は,私 が 本 学 へ 移 っ て 後,昭 和53年,中 ・高 ・大 の 学 生 ・生 徒534人 お よ び 某 電 機 会 社 従 業 貝241人 を対 象 と し て 一 対 比 較 法 に
よ る評 価 を求 め,こ れ を処 理 す る に 当 た っ て は 立 教 大 学 岡 太 彬 訓 教 授 の 協 力 に よ っ てJ.D.Carro11のMultidimensionalscalingのMDPREF法 に よ る ヴ ェ ク トル 分 析 を行 っ た2)。 そ の 結 果,内 的 次 元 重 視 型(27.5%),外 的 次 元 重 視 型(20.6%),中 間 混 合 型(41.5%),専 門 職 志 向 型(5.8%),そ の 他(4.4
%)な ど の 類 型 が と ら え られ る こ と,お よ び 総 数153対 の 比 較 を3分 割 した 場 合,欠 測 値(全 デ ー タ の1/3又 は2/3)の 頑 健1生(robust)か ら 見 て,3分 割 して も充 分 にMDPREF法 が 適 用 で き る こ とが わ か っ た 。 こ う して 第2点
と第3点 の 難 点 を の り越 え る 見 込 み が つ い た 。(し か し,実 は 第2点 と第3点 は,次 の 第4点 の 解 決 に 伴 っ て,一 緒 に解 決 し た 。)
疑 問 と迷 い の 第4点 は,あ くま で も一 対 比 較 法 を押 し通 す べ き か,そ れ と
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も5点 尺 度 法 に切 りか え るべ きか,と い う問 題 で あ る。実 はWVIの 原 著 者 ス ー パ ー は1967〜68年 ご ろ か ら,一 対 比較 法 をや め て5点 尺度 法 を採 用 した 。 それ は,個 人 差 を と らえ る に は一 対 比較 法 の 方 が 確 か に 有利 だが,比 較 の 数 が 多 い場 合 は信 頼 度 が低 下 す る,と い う理 由 に よ る。 そ して スー パ ー は5点 尺 度 法 に よ るWVIの 市 販 にふ み切 っ た(1970)。 私 と して は,進 路 指 導 の 用 具 と して個 人差 を と らえ る こ とに力 点 を置 い て,一 対 比 較 法 に 固執 して きた の だ が,昭 和59年 度,大 学 生 約200人 を対 象 と して,両 方 法 に よ る評 価 の 比 較 を実 施 した3)。その 結 果,一 対 比 較 法 に よ る価 値 づ け のプ ロ フ ィー ル と5点 尺 度 法 に よ る そ れ とが非 常 に酷 似 して い る こ と,ど ち らの 方 法 を用 い て もよい
こ と,を 確 か め た 。
そ こ で私 は,昭 和62年 秋,永 年 の 固執 をサ ラ りと捨 て て,5点 尺度 法 に よ る標 準 化 を行 っ た。中 高 の 男 女 生 徒 約3,123名 を対 象 と して 行 い,①5点 尺 度 法 に よ って価 値 づ けの個 人差 が 充 分 と らえ られ る こ とを確 か め た。 す な わ ち 最 高15点 か ら最 低3点 とい う幅 の 狭 い範 囲 な の に,各 個 人 の18側 面 に対 す る 価 値 づ け に は,集 中 化 傾 向,寛 大 化 傾 向,ハ ロー 効 果 は ほ とん ど認 め られ ず, 充 分 に分 化 して い る。 ② 職 業 に対 す る価 値 づ けが職 業 選 択 にお け る一 要 因 で
あ る な らば,青 少 年 の 志望 職 業 と価 値 づ けが 対 応 して い る こ とが必 要 で あ る。
この 調 査 と併 せ て行 な った 志 望 職 業 群 に よ る価 値 づ けの差 異 を調べ た。 彼 ら の 志 望 は20職 業 群 に散 らば りす ぎて,こ の よ うな検 討 に堪 え得 る ほ どの 人数 が 集 ま った の は,男 子 の工 学,女 子 の教 育 福 祉,美 術 音 楽,ビ ジネ ス(事 務), 保 健 衛 生,サ ー ビス の5職 業 群 だ った。 あ わせ て6職 業 群 の 高3男 女 の価 値 づ け は,私 の期 待 をお お む ね裏 づ け て くれ た。 こ う して,色 々 の不 備 は あ る
もの の,一 応 標 準化 完 了 と した4)。
なお,価 値 づ け得 点 を中 高 別,男 女 別 に通 覧 す る と,高 校 生 は男 子 も女 子 も中 学 生 よ り も低 く評 価 す る側 面 が 多 く,高 校 生 は 中学 生 に くらべ て,職 業 に 対 して冷 淡 で あ り,さ め て 見 て い る,と い え る よ うで あ る。 ま た女 子 の価 値 づ け は,中 学校 で は半 数 の 側 面 にお い て, .高校 で は4側 面 にお い て,男 子
よ り明 らか に低 く,女 子 の 方 が 高 く価 値 づ け て い る側 面 は一 つ もな い。
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教育 と研 究 の歩 み
中 高 男 女 の価 値 づ け を総 体 的 に 見 る と,価 値 づ け に3段 階 を区別 で きる よ うで あ る。 安 定 性,収 入,能 力発 揮,性 格 活 用,達 成 感 の5側 面 が(15点 満 点 の)平 均12.0以 上,労 働 時 間,作 業 環 境,上 役,奉 仕 的 活 動,創 造 的 活 動, 道 義 性 の6側 面 は 平均10.5以 上,そ れ 以 下 が 社 会 的 評 価,美 的 活 動,研 究 的 活 動,対 人接 触 的 活 動,管 理 監 督 的 活 動,多 様 性,自 律 性 の7側 面 で あ る。
私 と して は,職 業 経 験 の な い 中 高 の青 年 が 管 理 監 督 的 活動 を最 も低 く価 値 づ け る だ ろ うこ とは,充 分 予 想 して い たが,社 会 的 評 価,研 究 的 活 動,自 律 性 の3側 面 が い ず れ も平 均9.5あ た りで あ るの は,予 想外 だ った 。
こ こで ア メ リカの 原 著(1970)に お け る7〜12学 年(男 子)の15側 面 に対 す る価 値 づ け と くらべ て見 る と,平 均12、0以 上 の 側 面 は,安 定 性,収 入,生 活様 式(日 本 には該 当の 側 面 な し),上 役,愛 他 的 活 動(日 本 の奉 仕 的 活 動 に 相 当),達 成 感 の6側 面 で あ り,平 均10.5以 上 の 側 面 は社 会 的 評 価,作 業 環 境, 創 造 的 活 動,同 僚(日 本 には該 当 の 側 面 な し),多 様 性,独 立性(日 本 の 自律 性 に相 当),知 的 刺 戟(日 本 の 能 力 発 揮 に相 当)の7側 面 で あ り,そ れ 以 下 の 側 面 は美 的 活 動 と管 理 監督 的 活 動 の2側 面 で,総 体 的 にア メ リカ青 年 は 日本 青 年 よ り価 値 づ けが 高 く,中 で も上 役,愛 他 的 活 動,社 会 的 評 価,多 様 性, 独 立 性 な ど は 日本 青 年 の価 値 づ け よ り一 段 階 高 い。 ア メ リカ青 年 の 方 が 低 い
の は知 的 刺戟 だ け で あ る。(な お 前 記 二 つ のWVI研 究 には 本 学 阿部 先 生 の協 力 を得 た)
振 り返 る と,こ れ まで20年 余 に わ た る私 の研 究 は,結 局 の と こ ろ,こ の調 査 票 が 中 学生,高 校 生 を対 象 とす る測 定 の 用 具 と して可 能 か ど うか を確 かめ る こ とだ け に終 始 して きた の で あ った 。 しか し進 路 指 導 の 立 場 か ら大事 な こ とは,こ の調 査 票 で と ら えた個 々 の生 徒 の 価 値 づ け が,果 た して職 業選 択 の 重 要 な要 因 と して働 くの か ど うか を,確 か め る に あ る。
この た め私 は,平 成 元 年8〜11月 の 間,都 内 の デ パ ー ト,銀 行,電 気工 業, 私 立 大 学,病 院等 の有 業 者(現 に諸 種 の職 業 につ い て い る人)男 子689名,女 子317名 合 計1,006名 を対 象 と して,職 業 の18側 面 の価 値づ け に お け る職 業 間
の差 異 ・特 徴 を調 べ,こ れ を,先 に行 った標 準 化 作 業(1988)の デ ー タの う
一25一
ち,高 校 生 の志 望 職 業 別 価 値 づ け との 関 連 を見 よ う と した5)。
その 結 果 を要 約 す る と,(1)「 仕 事 の価 値 づ け」 調 査 票 は,仕 事 の特 徴 的 な 18側 面 をそ れ ぞれ3短 文 で分 解 表 現 した がf各3短 文 に対 す る 回答 の 内部 相 関 を検 討 した結 果,3短 文 構 成 は,お お む ね 妥 当 とい え る。
② 有 業 者 の価 値 づ け を通 覧 す る と,ま ず 収 入 の側 面 が 高 く価 値づ け られ, 次 い で安 定 性,上 役,能 力 発 揮,性 格 活 用 な どの側 面 で あ り,そ れ らに次 ぐ
の が達 成 感 と道 義 性 で あ る。 以 上 の7側 面 を高 点 群 とす れ ば,次 の7側 面 は 中 間群 とい え よ う。 す な わ ち,労 働 時 間,作 業 環 境,奉 仕 的 活 動,創 造 的 活 動,研 究 的 活 動,対 人接 触 的 活 動,自 律 性 で あ る。 そ して社 会 的 評 価,美 的 活動,管 理 監 督 的 活 動,多 様 性 の4側 面 は低 く価 値 づ け られ て い る。 これ ら の4側 面 は前 回 の 中高校 生 も低 く価値 づ けた 。 た だ し社 会 的評 価 と多様 性 に つ い て は,職 業 経 験 の な い 中高校 生 な らば ま だ し も,今 回 の 有業 者 か らこれ
ほ ど低 く価 値 づ け られ た こ とは,私 に とっ て意 外 だ っ た。
(3)企業 内の 職 務 か ら企 業 の枠 を はず して,男 子8職 業,女 子3職 業 の 間 の 差 異 を検 討 す る と,男 子 で は販 売,営 業,コ ン ピ ュー タ,..,....,技能 の5職 業 の 価 値 づ けパ ター ンが 近 似 して い るの に対 して,技 術 職,大 学教 職,医 師 は三 者 そ れ ぞ れ別 個 の価 値づ けパ ター ン を示 して い る。 女 子 につ いて は,3職 業 相 互 の 間 で 有 意 差 が あ るの は4〜5側 面 で あ っ て,販 売,営 業 と看 護 婦 が 著 し く異 な る価 値 づ けパ ター ン を示 す だ ろ う とい う予 想 が ス ッカ リはず れ た。
また 看護 婦 が 奉 仕 的 活動 につ い て,販 売 職,営 業 職 が 対 人 接 触 的 活 動 につ い て,低 く価 値 づ け て い る こ と も,予 想外 だ った。
各職 業 が 高 得 点(12.0以 上)を 与 えて い る側 面 と低 得 点(9.0以 下)を 与 え て い る側 面 を検 討 す る と,収 入,上 役,能 力 発揮 は8職 業 が 高点 を与 え,管 理 監 督 的 活動 は8職 業 が低 点 を与 え て い る。 これ ら4側 面 の価 値 づ けが,わ が 有 業 者 た ち に共 通 の 姿 だ とい って よか ろ う。
(4)最後 に この 「仕 事 の価 値 づ け」 調 査 に よ る価 値 観 が 中 高 生 の進 路選 択 に 役 立 つ か ど うか を検 討 す る ため,1987年 調 査 の デ0タ の うち,高3男 子 の 「工 学 」 志 望 者 の 価 値 づ け パ ター ン と今 回 の 技 術 者,技 能 者 の それ と,高3女 子
一26‑一
教育 と研 究の歩み
の 「ビジ ネ ス(事 務)」 志 望 者,「 保 健 ・衛 生 」 志 望 者 の価 値 得 点 を今 回 の 販 売,営 業,看 護 婦 の そ れ とを比較 した。 前 回 の調 査 の職 業 は職 業 大分 類 に よ
っ た の で あ っ て,今 回 の調 査 の職 業 とは,甚 だ し くず れ て い るが,そ の こ と を念頭 に お い て,比 較 を試 み た の で あ る。
高3男 子 の 「工 学」 志望 者 の 価 値 づ けパ ター ン は,技 術 者 の そ れ よ り も技 能 者 の そ れ に近 い。 また高3女 子 の 「ビ ジネ ス(事 務)」 志 望 者 の価 値 づ けパ タ..̲̲ンは 販 売 職 の そ れ よ り も営 業職 の そ れ に近 く,「 保 健 ・衛 生 」 志 望 者 の価 値 づ けパ ター ン は看 護 婦 の それ に近 い 。
こ う して職 業(労 働)価 値づ けパ タ.̲̲..ンは,あ ま り明快 な,一 義 的 な もの さ し とは な らな いが,ゆ るや か な判 断 材 料 の 一 つ と して有 用 だ とい え よ う。
(2)「 進 路 に 関 す る 意 識 」 調 査 票(CareerAwarenessInventory,CAI) に 関 す る 研 究
私 は,進 路 指 導 の 用 具 と して,最 も よ く使 わ れ て い る適 性 検 査 や パ ー ソナ リテ ィ検 査 の 他 に,ま た 前 述 の 職 業(労 働)価 値 観 の 尺 度(WVI)の 他 に, 職 業 的 発 達 理 論 に 立 脚 し た 「進 路 に 関 す る 意 識 」 の 発 達 を 測 定 す る用 具
「進 路 に 関 す る 意 識 」 調 査 票(CareerAwarenessInventory,CAI)一 の 開 発 に 着 手 した 。
私 のCAIの モ デ ル はD.E.ス ー パ ー のCareerDevelopmentInventory,
CDIで あ る 。 彼 は1951年 か ら職 業 的 発 達 理 論 に 立 っ て,20年 間 継 続 追 跡 す る キ ャ リア 類 型 研 究(CareerPatternStudy,CPS)を 進 め,そ の 終 期 に 近 い 1972年 に,そ の 研 究 の 知 見 に 基 づ い て,CDI。FormIを 作 成 し た 。 こ れ は 進 路 に 関 す る 態 度 的 尺 度2つ と認 知 的 尺 度1つ お よ び 会 計 得 点 の4得 点 で 構 成 す る も の で あ っ た 。
こ の 原 案 が で き た 段 階 で,ス ー一パ ー が こ れ を私 に 送 っ て きて,イ ギ リス, フ ラ ン ス な ど14か 国 の 同 攻 の 学 者 に よ る 国 際 比 較 研 究 に 参 加 し な い か,と 勧 誘 して き た 。こ れ を受 け て,私 はCDI‑FormIの 日本 版 壷作 成 し て ・昭 和47・
‑27
48年,中 高 の 生 徒680名 を対 象 と して,予 備 調 査 を 試 行 し た 。 し か し 中 高 お よ び 男 女 そ れ ぞ れ の4つ の 尺 度 値 の 間 に 整 合 的 な 方 向 づ け が 認 め ら れ な か っ た 。 こ れ は 日本 だ け で な く,国 際 比 較 に 参 加 し た 他 の 諸 国 で も,さ ら に は ア メ リカ に お い て さ え,そ れ の 有 用 性 を立 証 し得 な か っ た 。
そ こ で,ス ー一パ ー は1976年,こ れ を改 訂 してCDI‑FormIIIを 作 成 し,私 に も送 っ て き た 。 しか しそ の 時,私 は 立 教 大 学 か ら本 学 へ 転 じ,且 つ̲̲̲..時体 調 を 崩 した の で,改 訂 版 の 試 行 は しば ら く見 送 ら ざ る を得 な か っ た 。 漸 や く昭 和55年(1980),本 学 阿 部,木 全 両 先 生 の 協 力 を得 て,CDI‑FormIIIを モ デ ル と し た 日本 版CAI‑80を 中3と 高2の 男 女650名 に 試 行 し た6)。 こ の 試 行 の 結 果,64項 目 の 質 問 に対 す る粗 点 の 総 合 計 に よ れ ば,男 子 も女 子 も,高2は 中 3よ り職 業 的 に 成 熟 して い る が,極 め て 顕 著 と い う ほ ど で な く,ま た 男 子 と 女 子 の 間 に は,中3も 高2も 有 意 の 差 あ り とは,い え な か っ た 。 な お 志 望 の 職 業 群 は著 し く分 散 して し ま い,統 計 的 処 理 が 不 可 能 だ っ た 。
そ こ で 昭 和57年 度 に は,上 記CAI‑80の 予 備 調 査 を 踏 ま え て 調 査 票 を 改 訂 し て(CAI‑82),本 学 阿 部 先 生 の 協 力 の 下 に 高2‑2,150名,中3‑‑1,969名 を 対 象 と してt標 準 化 の 試 み を行 っ た7)。 こ の 場 合sCAI‑82の 構 成 は,career Orientationの 題 下 に,①CP尺 度 ‐CareerPlanning,進 路 に つ い て 考 え,計 画 す る(16項 目),②CE尺 度 ‐CareerExploration,'i青 報 ・助 言 を 探 し活 用 す
る(16項 目),③DM尺 度 一CareerDecision‑making,進 路 の 選 択 に つ い て, 考 え行 動 す る(16項 目),④WW尺 度 一一WorldofWorkandCareerInforma‑
tion,職 業 と職 業 生 活 に 関 す る知 識(16項 目)と 前 二 者 を 統 合 したCDA尺 度 (CareerDevelopment‑‑Attitude,態 度 の 発 達),後 二 者 を 統 合 し たCDK尺 度 (CareerDevelopment‑Knowledge,知 識 の 発 達),さ ら にCDAとCDKを 統 合 し たCOT(CareerOrientationTota1総 合 点)お よ びPO尺 度 ‐Knowl‑
edgeofPreferredOccupation志 望 す る職 業 に 関 す る 知 識(40項 目)の8尺 度 で あ る。
こ の 調 査 に お い て,男 女 と も高2は 中3よ り得 点が 高 く,ま た 高2で も 中 3で も女 子 は 男 子 よ り も得 点 が 高 い 。 こ う し て 生 徒 の 「進 路 に 関 す る意 識 」
28‑一 一
教 育 と研 究 の 歩 み
(CareerAwareness)の 発 達 を と ら え る 用 具 と し 「可 な り」 と の 概 念 を 得 た が,設 問 の 適 切 で な い 項 目がDMに4項 目,WWに3項 目 あ っ た こ と,PO 尺 度 に 多 数 の 疑 問 が あ っ た こ と,全 学 年 の デ ー タ が 揃 わ な か っ た こ と,信 頼 度 の 検 討 が 欠 け て い た こ と,な ど に よ っ て,標 準 化 作 業 の や り直 しが 必 要 と
な っ た 。
や り直 しは,昭 和62年 秋 に,改 訂 版CAI‑87を 用 い て,中 嵩 の 男 女 生 徒 延 4,800名(有 効 回 答 延4,165名)を 対 象 と し て 行 な っ た8)。
各 尺 度 ご とに 粗 点 か ら尺 度 値,次 い でPercentilenormを 作 り,各 尺 度 に 対 す る 反 応 を詳 細 に検 討 した 後,尺 度 値 に よ る 学 年 別,男 女 別 得 点 比 較,信 頼 性 検 討,プ ロ フ ィ ー ル ・タ イ プ の 検 討 な ど を行 っ た 。 い ろ い ろ と不 備 ・弱 点 が 残 っ た が,こ れ を も っ て 標 準 化 作 業 の 段 落 と し た 。
(3)職 業 知 識 の発 達 に 関す る研 究
前 述 の 二 つ の 研 究 に 関 連 して,中 高 生 た ち は ど れ ほ ど 多 くの 職 業 を,ど れ ほ ど正 し く知 っ て い る か,と い う こ と を 確 か め る 必 要 が あ る と考 え た 。 そ こ で 昭 和61年9月,小 学 校5・6年 生 か ら 中2,高2,大2の 男 女 学 生,生 徒 ・ 児 童1,437名 を対 象 と して,100職 業 名 を 提 示 して,そ れ ぞ れ の 仕 事 内 容 を 説 明 す る 正 誤 二 つ の 短 文 を付 して,正 し い と思 う方 を 選 択 させ る,と い う方 法 を と っ た 。そ して100職 業 の う ち彼 らが 正 し く答 え た 職 業 の 数 の 平 均 は,大 学 生87.8,高 校 生83,6,中 学 生71.1,小 六65.6,小 五64.1と い う結 果 を得 た 。 な お,ど の 学 年 に お い て も,男 子 よ り も女 子 の 方 が 正 答 し た 職 業 の 数 が 多 か っ た9)。
実 は,私 は 前 任 の 立 教 大 学 時 代 に,昭 和34年 に,小 中 高 生2,003名 にi同 じ 方 法 で50職 業 を提 示 して,同 じ方 法 で 回 答 して も ら っ た 。 そ の 時 の 正 し く答
え た 職 業 の 数 の 平 均 は,高 校44.2,中 学 校40.6,小 学 生38.5だ っ た 。27年 の 間 隔 を置 い た 両 調 査 を単 純 比 例 す る と,今 の 学 生 生 徒 の 方 が,職 業 知 識 が 少 々 貧 弱 だ,と い え よ う10》。
一29一
(4)創 価 大学女 子卒業 生 の初期 の キャ リア(職 業経歴)に 関す る調査
前 記 の3つ の 調査 研 究 と別 種 の調 査 研 究 を昭和54年 度 にや った。 そ れ が標 題 の研 究 で,創 価 大 学女 子 卒 業 生(昭 和50年3月 卒,51年3月 卒 ・52年3月 卒)133名 の 初 期 の キ ャ リア に関 す る調 査 で あ る。 卒 業 時 す ぐに常 用 の職 に就
い た者97名,そ の うち4年 間 勤 続 して い る者62名(63.9%),転 退 者35名 の う ち,結 婚 と無 関係 の 転 退 職 は2年 目が 最 も多 く,結 婚 に伴 う退職 は3年 目が 最 も多 か っ た 。調 査 対 象 が あ ま りに少 な い の で,一一般 化 は で きな い が,自 由 記 述 か らは 多 くの示 唆 が くみ とれ た。す な わ ちt転 職 しな い で勤 続 した理 由 ・ 現 職 に対 す る姿 勢,女 子 で あ る こ との 有 利 ・不 利 と男 女 の 差 別,彼 女 た ちの
キ ャ リア に影 響 を与 えた キー パ ー ソ ン,一 旦 は 転 職 し よ う と志 向 したが そ れ を断 念 した事 情,婚 姻 事 情 と職 業 生 活 な どの 記 述 で あ る11)。
この種 の研 究 は,本 来,初 期 だ けに と ど ま らず,さ らに5年 後,10年 後 ま で 追 跡 す べ きだ った が,そ れ は で きなか った 。
(5)そ の 他 の論 考
以 上 の4つ の 調 査 研 究 の ほ か に,い くつ か の論 考 を発 表 した。 発 表 順 に述 べ る と次 の 通 りで あ る。
(5‑1)
昭 和52年 に 「し ご と,職 業,レ ジ ャ ー の 関 係 に つ い て 」 と題 す る論 文 を発 表 し た12}。そ の 要 旨 は,(1)わ れ わ れ の 日常 生 活 は,人 間 的 諸 活 動 の 集 積 で あ る。
こ れ らの 諸 活 動 の う ち,何 らか の 目 的 を 意 識 した 活 動 を し ご と(work)と 呼 ぼ う。 こ の し ご と を社 会 的 視 点 で 見 れ ば,(2)し ご と(work)の う ち社 会 的 分 業 と し て 認 知 さ れ,従 っ て 報 酬 を 伴 な う も の が 職 業(occupation)で あ る 。 (3)し ご と(work)の う ち社 会 的 分 業 と な っ て い な い も の が,レ ジ ャ ー と家 事
(そ れ は 家 族 内 分 業 で あ る)で あ り,報 酬 を伴 な わ な い 。(4)職業(occupation) に は 雇 わ れ て 従 事 す る もの(employee)と 自営 で 従 事 す る も の とが あ る 。 前
一一一30一
教 育 と研 究 の 歩 み
者 は 労 働 行 政 で は 「労 働 」 と呼 ば れ,職 業 行 政 で は 「職 業 」 と呼 ば れ る。(本 当 は 「雇 用 」 と呼 ぶ べ き な の に,こ れ を職 業 と呼 ぶ こ とか ら,職 業 と い う概 念 の 混 乱 が 生 じ て い る)。(5)職 業(occupation)は,そ れ の 準 備 か ら確 立 を 経 て 引 退 に 至 る ま で,社 会 的 に 踏 み な ら さ れ,形 づ く ら れ,先 後 連 鎖 し曲 折 し て 続 く。 こ の 長 期 に わ た る職 業 経 歴 を キ ャ リア(career)と 呼 ぶ 。
こ の し ご と(work)を 個 人 的 視 点 か ら見 る と,(6)個 人 は 日 々 何 らか の し ご と(work)を し て い る。 職 業(occupation),レ ジ ャ ー,家 事 を通 じて,ま た は そ の い ず れ に も分 類 で き な い 活 動 を通 じて 。(7)個 人 は 職 業 に 就 き,そ れ を 通 じて 社 会 的 分 業 に 参 与 し,そ の 報 酬 に よ っ て 生 計 を 立 て て い る 。 職 業 に 就 か な い で 家 事 に 専 念 す る も の も あ り,職 業 と家 事 の 二 筋 道 を 歩 む も の も あ り, そ れ の ど れ で も な い もの(年 金 生 活 者 な ど)も あ る 。(8)職 業(occupation)
に 就 い て い る 者 の う ち,そ の 職 業 に 自 ら の 存 在 価 値,心 理 的 意 味 を 感 得 し, こ れ を 自 ら の 中 に と ひ 込 む 者 が あ る 。 こ の 場 合,そ の 職 業(occupation)は
彼 に と っ て 「心 理 的 意 味 の あ る職 業 」(vocation)一 一働 きが い の あ る職 業 一 一 に 転 化 す る
。(天 職 と い え ば 宗 教 的 な 含 意 が 強 い の で,そ れ を避 け る と,適 訳 が な い 。)働 きが い の あ る職 業 は,一 般 の 職 業(occupation)こ こ で は 讐 喩 的 に,身 す ぎ世 す ぎ の 職 業 とい っ て よか ろ うか 一 と は 別 個 に 存 在 す る の で は な くて,「 職 業(occupation)と 自分 」の 関 係 に お い て 成 立 した り成 立
し な か っ た りす る。(9)た だ 身 す ぎ世 す ぎ の 職 業(occupation)に 就 い て い る 者,そ れ が 心 理 的 意 味 の あ る職 業(vocation)に 転 化 し た 者,あ る い は 家 事 に 専 念 して い る 者,家 事 と職 業 の 二 筋 道 を歩 む 者sそ れ ら の い ず れ で あ ろ う と, 自 由 な 時 間 に 自発 的 な 活 動 を楽 しむ こ とが で き る(レ ジ ャ ー)。 そ の レ ジ ャ ー に は 遊 び も レ ク リエ ー シ ョ ン も含 ま れ る 。 レ ジ ャ ー を,例 え ば 気 晴 ら しの よ うに,職 業 的 な し ご との 対 立 物 と して 補 償 的 な 楽 し み とす る も の も あ れ ば, 両 者 を う ま く調 和 的 に 融 合 す る も の も あ る 。(10)個人 の 生 涯 に わ た る 職 業 生 活
を総 覧 す る と,彼 は 社 会 的 諸 力 の 働 き合 う社 会 的 状 況 の 中 で,最 大 の 努 力 を 傾 け な が ら彼 の 人 生 目標 の 実 現 を め ざ して 迂 余 曲 折 を 辿 る。 そ れ は 自 己 充 実 の 欲 求 を 実 現 せ ん とす る努 力 と い っ て も よ い 。 彼 の 努 力 の 跡,彼 の 追 い 求 め
一一31
て 踏 む 軌 跡 を,個 人 的 な キ ャ リア(career)と 呼 ぶ 。
こ う見 て く る と,尾 高 邦 雄 氏 の 有 名 な 定 義 「職 業 とは 個 性 の 発 揮 ・ 連 帯 の 実 現 お よ び 生 計 の 維 持 を 目指 す 。 人 間 の 継 続 的 な る行 為 様 式 で あ る」(「職 業 社 会 学 」岩 波 書 店,昭 和16年)は,occupationとvocationと い う視 点 の 異 な る概 念 を結 び つ け た も の とい え る。 職 業 が 職 業(occupation)と し て 成 り立 っ た め の 必 要 条 件 は 社 会 的 分 業 と報 酬 で あ り,職 業(occupation)の は じ ま
り と終 り も,こ の 二 条 件 を満 た す か 否 か で あ っ て,そ れ が 個 人 に と っ て 職 業 (vocation)と な る か ど うか は,職 業(occupation)の 成 立 要 件 で は な い の で あ る 。
(5‑‑2)
昭 和53年 に 「職 業 的 発 達 」 とい う論 文 を書 い た。 これ は,D.E.ス ー パ ー一博 士 の職 業 的 発 達 理 論 を要 約 した もの で,こ の概 念 の お こ り,こ の理 論 の検 題
この理 論 に お け る キー 概 念(キ ャ リア 類 型,職 業 生 活 の諸 段 階,職 業 的 発達 課 題),職 業 的発 達 に関 す るNVGAの 見解 な どの 節 に分 け て論 じた13)。
(5‑3)
私 は 昭和54年 に 「ス ウ ェー デ ンの 職 業(進 路)指 導 」 と題 す る報 告 書 を書 い た 。 これ は その 前 年 昭 和53年 に創 価 大 学 在 外 研修 貝 として ヨー ロー パ にお け る三 つ の 国 際 学 会 に 出 席 した ほ か12か 国 を歴 訪 して,そ れ ぞれ の 国 の 職 業 指 導,進 路 指 導 の 実 情 を調 査 し視 察 した 中の0部 の報 告 で あ る。 そ れ らの 中
で私 に とっ て最 も興 味 深 か っ たの は ス ウ ェー デ ンの 職 業(進 路)指 導 だ った。
特 に労働 市 場 庁 と学 校 との 協 力 関係,学 校 進 路 指 導 と実 際 的職 業 指 導(プ リ オ),学 校 にお け る進 路 指 導 担 当者 の 活 動 な ど を紹介 した14》。余 談 だ が この 出 張 で は,ア エ ロ フ ロー ト(ソ 連)の 東 京 発 ロ ン ドン着,パ リ発 東 京 着 の 往 復 を柱 と して,そ の 間 の ヨー η ッパ はユ ー ロ レー ル(周 遊 券)で 移 動 した。 そ して そ の移 動 を旅 行 社 に頼 らず,ト ー マ ス ・ク ッ ク社 の 国 際 時刻 表 を利 用 し て 自由 に動 き,且 つ 宿 舎 も主 と して駅 の 案 内所 を利 用 した 。 こ う して 極 め て
一32‑一
教 育 と研 究の歩み 印象 的 な研修 旅行 がで きた。
(5‑4)
昭 和54年 に 「年 少 労 働 の 問題 と進 路指 導 」とい う論文 を書 い たIS》。 これ は 同 年 が 国際 児童 年 な の で 教 育 学 部 論 集 が 特 集 を組 ん だ 中 に 参 加 した もの で あ る。 標 題 の年 少 者 とはminorworkerの 訳 語 で,労 働 保 護 法 上 の一 定 の 年 令 階 層 と して 国 際 的 に通 用 して い る こ とば だ が,わ が 国 の労 働 基 準 法 で は,こ の こ とば をそ の もの ズバ リで は用 いて い な い。 労 働 基 準 法 で は最 低 年 令15歳
(同 法56条)か ら満18歳(第60条,62条,63条,64条)ま で の就 業 制 限 な ど 特 別 の保 護 規 定 下 に お か れ て い る者,い わ ゆ る 「保 護 年 令 」 の 人 々 で あ る。
この 意 味 で の 年 少 労 働 者(中 卒 就 職 者)は,高 校 へ の 進 学 者 の 急 増 に伴 っ て急 減 した。 昭 和35年 当 時 は年 々32万 人 だ っ た の が 昭和53年 当 時 は3万 人 と な っ た。 私 は この 人 々 に対 す る 中学 校 教 師 か ら見 た実 態,企 業 側 か ら見 た 実 態,某 産 業 カ ウ ンセ ラー の 観 察,所 見 を紹 介 して,彼 らが 今 や 「忘 れ られ た 存 在 」 とな って い る こ と,労 働 保 護 行 政 か ら さえ も,ま と も に扱 わ れ な くな
っ た こ とを指 摘 した 。
(5‑5}
私 た ち 同学 者 は,昭 和53年 に そ れ まで の 日本 職 業 指 導 学 会 が 不 活発 だ っ た の を改組 して 日本 進 路指 導 学 会 を設立 した。 私 は その 学 会 の初 代 会 長 と して 第1回 研 究 大 会(昭54)の 記 念 講 演 と して 「職 業 的 発 達 理 論 の 実 践 的展 開 」 を述 べ た16)。
(5‑6}
職 業(進 路)指 導 が わ が 国 に導 入 され て 以 来75年 余,そ の 間 に そ の理 論 と 実 践 は大 い に進 歩 した し,そ れ を要 約 す る定 義 に幾 多 の変 化 を遂 げ た 。
わ が 国 で は昭 和59年9月 臨 時教 育 審 議 会 の 発 足 を契 機 に教 育 界 は 騒 然 とな った 。 この 激 動 の 中 で教 育 活 動 と して の学 校 進 路 指 導 の立 場 を確 立 して行 く
一33一
に は,関 係 者 の 思 想 を統 合 し歩調 を そ ろ え る こ とが 必 要 で あ る。 と りわ け説 得 力 の あ る定 義 が 必 要 で あ る。 さ らに教 員 養 成 と教 育 課 程 の 審議 会 も動 きだ した の に対 して,日 本進 路 指 導 学 会 と して 適 時適 切 に対 応 す るため ・ 学 会 総 会 で 早 急 に定 義 を きめ る こ とが 必要 だ と考 え た。 この よ うな課 題 に 応 え るた め,昭 和56年7月,学 会 内 に定義 委 員 会 が 設 置 され た 。(委 員 長 藤 本 喜 八)。
私 は直 接 に は そ の 定義 委 員 会 の メ ンバ ー の た め に,広 くは学 会 々員 全 体 の ため に,さ らに は進 路 指 導 関係 者 全 員 の た め に,「 職 業 指 導,進 路指 導 の 定 義 の 系 譜 」を書 い た 。そ れ は1920〜36年 代,1937〜45年 代,1945〜70年 代,1970 年 代 以 降 と年 代 を区 切 っ て わ が 国 の 定 義 の変 遷 と系 譜 を,諸 外 国(特 に影 響 の 強 い ア メ リカ)の それ をか ら ませ なが ら,論 述 した の で あ る17,18)。(なお上 記 委 貝 会 が 立 案 した 定義 は昭 和62年10月 学 会 総 会 で承 認 され た。)
(5‑7)
元 コ ・ロ ン ビ ヤ 大 学 教 育 学 部 教 授D.E.ス ー パ ー 博 士 は,1950年 代 は じめ 「キ ャ リア 類 型 の 研 究 」(CareerPatternStudy,CPS)に 着 手 して そ の 基 礎 的 理 論 た る職 業 的 発 達 理 論 を提 唱 し て 戦 後 の ア メ リカ の 進 路 指 導 理 論 の 先 達 とな っ た 人 で あ る 。 同 博 士 は1961年 と69年 に 来 日 して 職 業 的 理 論 に 関 す る集 中 講 義 を行 い,わ が 国 の 同 学 者 を大 い に 啓 蒙 した が,1990年(平 成2年)三 た び 来 日 して,わ れ わ れ の 学 会 の た め に特 別 講 演 を し て くれ た 。1954(昭 和29年) 以 来 同 氏 と親 交 を も っ て い る私 は,同 博 士 の 「人 と業 績 」 に つ い て 紹 介 の 論 文 を書 い た19)。
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日本 進 路 指 導 学 会 の あ る研 究 会 で 若 い 人 々 と雑 談 し な が ら,初 期 の こ ろ の エ ピ ソー ドめ い た こ と を話 して い た ら,そ う い う 四 方 山 話 をぜ ひ 聞 き た いs
と い う要 望 が あ っ た 。 そ こ で 気 づ い た こ とは,私 は そ うい う古 い こ と を知 っ て い て,今 の 若 い 人 々 との 中 間 の 人 間 で あ る 。 そ の こ ろ の こ と を,語 り部 的 に 話 す の は よ い こ とだ,と 思 っ た 。そ して 学 会 の 研 究 会 で 私 の 見 た 職 業 指 導
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教 育 と研 究 の歩 み
進 路 指 導 の 歩 み を,戦 前 と戦後 の 二 回 に分 け て 話 した20)。
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本 年9月 末,単 行 本 「進 路 指 導 論 」を恒 星 社 厚 生 閣 か ら出版 した21)。私 が進 路 指 導 の 研 究 に専 心 したの は昭 和24年 か ら40年 余 に 及 ぶ が,そ の 間,一 般 向 け の 啓 蒙 書 は数 冊 あ るが,進 路 指 導 に 関 す る専 門書 を単独 ぞ書 く機 会 が なか っ た。 同学 の諸 士 との 共 同分 担 で 執 筆 したの は 十指 に余 るが,分 担 執 筆 で は 意 に満 た な い思 い を く り返 し味 わ っ た。 今 回,単 独 で首 尾 一 貫 した本 を書 く
こ とが で きて,最 上 の 喜 び で あ る。(も っ と も,発 刊 後 す ぐ,書 きた りな か っ た個 所 が 多数 あ るの に気づ いて い るが。)
なお,本 年 度 中 に は,ス ー パ ー らの 「キ ャ リア 類 型 の研 究 」(CareerPattern Study,CPS)の20年 間追 跡 研 究 の全 貌 を ま とめ る仕事 を した い,と 考 え て い
る。 また進 路指 導 に 関 す る行 政 側 の 諸 文 献 の 原 本 を集 収 す る仕 事 に着 手 した い,と 計 画 して い る。
(6)教 育
「研 究 と教 育 の 歩 み 」 とい う標 題 な の に,研 究 の 歩 み ば か り述 べ た。 教 育 の歩 み は至 極 単 純 で あ る。 私 は本 学 で は,15年 ず っ と進 路指 導 概 説,進 路 指 導 の 技 術1(進 路 情 報 論),産 業 心 理 学,演 習1及 びIIの5科 目 を担 当 した。
そ して私 の 演 習 を うけ て 巣立 った の は45名 で あ る。
私 の 教 育 の 歩 み は,今 述 べ た よ うに外 見 上 至 極 単 純 だ が,上 来 述べ た調 査 研 究 が 内実 を豊 富 に して くれ た は ず だ,と 自負 して い る。
引 用 文 献
1)藤 本 喜 八 「職 業(労 働)価 値 観 の 測 定 法 に つ い て(そ の2)」(日 本 進 路 指 導 学 会 研 究 紀 要 「進 路 指 導 研 究 」,第3号,1982)
2)藤 本 喜 八,岡 太 彬 訓 「労 働 職 業 価 値 観 の 測 定 法 に つ い て,(4)MDPREFに よ る 研 究 」(立 教 大 学 社 会 学 部 研 究 紀 要 「応 用 社 会 学 研 究 」,第22号,1981)
3)藤 本 喜 八,阿 部 謙 一,木 全 力 夫,岡 太 彬 訓,松 井 賢 二 「職 業(労 働)価 値 観 の 測
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