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〈 論 説 〉
イ ギ リス にお ける不 当条 項規制改 革案
に つ い て
ヨ ー ロ ツパ 契 約 法 統 合 へ の 対 応 の 一 側 面
須 藤 悦 安
目 次 1は じめに
IIイ ギ リスの消費者 契約 における不 当条項規制 の現状 III立 法 の勧 告 一 法律委員会報告書
IVむ す び
1は じめ に
欧 州 に お け る市 場 統 合 に よ り、域 内 の 契約 法 統 一 が 強 く望 まれ 、 欧 州 委 員会 が そ の た め の努 力 を続 けて い る こ とは よ く知 られ る とお りで あ る。 これ まで の ところ、 そ の取 り組 み は、特 定 の分 野 にお け るEC指 令 とい う形 式 で な され て お り、 対 象 とな った 分 野 に お け る各 加 盟 国 の 国 内法 の 最 小 限 の共 通 化 を図 る とい うア プ ロー チが とられ て きた。 欧 州 委 員 会 は、 さ らに一 般 的 な契 約 法 の 共通 化
1}
も視 野 に入 れ 、2001年 に 「ヨー ロ ッパ 契約 法 にっ い て 」 と題 す る声 明 を発 表 し、
今 後 の方 向 につ いて4つ の選 択 肢 を示 して広 く意 見 募 集 を行 い、 そ の後 一 連 の
2)
声 明 、 緑 書 を 公 表 して い る。 そ の 中 で 、 委 員 会 は 、 現 在 の 特 定 分 野 ご との 立 法 と い う ア プ ロ ー チ が 問 題 とな り、 あ る い は廃 止 さ れ るべ き こ と を示 唆 す る よ う 憶 見 が な か っ た こ とか3}、 この 方 式 を 継 続 す る と と も に、 これ ま で の 立 法 の 見 直 し を 行 い 、 各 国 法 の よ り い っ そ う の 共 通 化 を 図 る た め に 、 共 通 準 拠 枠 (CommonFrameofReference)を 作 成 して い く こ と と し、 現 在 そ の 作 業 が
4)
進 行 中で あ る。
で あ るが・ その取 り組 み に お け る一 つ の 問題 は、 ロー マ 法 の伝 統 に基 礎 を お く 大 陸 諸 国 とロー マ 法 ない し大 陸 法 の影 響 を受 けつ つ も独 自の 法 を発 展 させ て き た イ ギ リス との問 に お い て 、 どの よ うに法 の統 一 を実 現 して い くの か とい う こ とで あ る・ これ が 法 の統 一一 に とって大 き な障 害 とな りう る こ とは、 か つ て イ ギ リス が試 み た 契約 法 の法 典 化 に挫 折 した 際 に、 ス コ ッ トラ ン ドの法 律 委 員 会 が そ の理 由 の一 つ と して 、 大 陸 法 の背 景 を もつ ス コ ッ トラ ン ド法 とイ ン グ ラ ン ド 法 との不 一 致 が か な りの領 域 に お いて 存在 す る こ とを挙 げて い た こ とか ら も、
5)
容 易 に予 測 す る こ とがで き る。 実 際 に法 を統 一 す る過 程 に お い て 、 これ ら異 な る伝 統 を背 景 に もつ 法 の統 合 が どの よ うな様 相 を見 せ るのか は、 比 較 法 的観 点 か ら も興 味 が持 た れ る と ころで あ ろ う。
しか し、 この 問題 は、 ヨー ロ ッパ 契 約 法 の統 一 とい う、大 規 模 な作 業 の 中で だ け生 じるわ けで はな く、 む しろ現 在 まで行 われ て きた特 定 分野 に お け るEC指 令 に よ る各 国 法 の 部 分 的 統 一 の プ ロセ ス にお いて も、 そ の一 部 が 生 じて きて い
るはず で あ る・ これ まで 、EC指 令 に基 づ い て イ ギ リス の契 約 法分 野 で い くつ か
s)
の 規 則 が 制 定 さ れ て い る が 、 そ の うち の 一 つ で あ る、1999年 消 費 者 契 約 に お け る 不 公 正 条 項 規 則(UnfairTermsinConsumerContractsRegulations
l999・SIl999,No・2083、 以 下 、UTCCRと い う。)は 、 ま さ に そ う した 問 題 を 内 包 して い る と い っ て よ い 。 同 規 則 は 、 消 費 者 契 約 に お け る不 公 正 条 項 に 関 す
の
るEC指 令 を 国 内 法 化 した も の で あ るが 、後 に述 べ る よ うに 、イ ギ リス 国 内 に は 、 す で に契 約 内 容 の 公 正 さ を 担 保 す る制 定 法 と して 機 能 して き た1977年 不 公 正 契 約 条 項 法(UnfairContractTermsActl977、 以 下 、UCTAと い う。)が あ り・UTCCRは これ と適 用 対 象 が 一 部 競 合 して い る う え 、 不 当 条 項 規 制 の 仕 方 が 異 な っ て い る た め 、 こ れ ら両 法 の 適 用 関 係 が 複 雑 で あ り、 法 律 の 専 門 家 で な い と著 し く理 解 が 困 難 で あ る こ とが 指 摘 さ れ て い た
8)。 特 に 、 い か な る条 項 を 不 当 な も の と して 無 効 とす る か とい う基 準 に 関 す る一 般 条 項 と して 、UCTAは 合 理 性(reasonableness)と い う イ ギ リ ス 法 的 概 念 に よ っ て い る の に 対 し
、 UTCCRは 公 正 さ(fairness)を 基 準 と し、そ の判 断 に お い て 誠 実(9。 。9)dfaith) と い う大 陸 法 的 概 念 を用 い て い る と い う点 は 、 上 に 述 べ た よ うな イ ギ リス 法 と ヨ ー ロ ッパ 法 の 基 本 的 な 法 概 念 の 相 違 を 象 徴 的 に 表 して い る と同 時 に
、 そ れ ら
イ ギ リス におけ る不 当条項規制改 革案 にっいて 73
の適 用 関係 を難 解 に して い るの で あ る。 つ ま り、 イ ギ リス 国 内 に お い て、 伝 統 的 な コモ ン ・ロー の概 念 を用 いた 法 と、 大 陸 法 的 な概 念 に よ る規 制 とが 同居 し て い るの で あ り、 この状 態 を両 法 の統 合 に よ り解 消 し、 法 の 状 態 を よ り明 快 に しよ う とす れ ば、 これ ら異 な る二 つ の法 概 念 の調 整 が必 要 に な って くる。 これ を どの よ うに調 和 させ て い くのか とい う問題 は、 先 に指 摘 した問 題 の一 断 片 と い う こ とにな るで あ ろ う。
さて 、2005年2月 に、 イ ギ リス の 法 律 委 員 会(LawCommission)は 不 当 条項 規 制 に関 す る現 在 の状 態 に対 す る批 判 を受 け、 両 法 の統 合 へ 向 けて報 告書
10)
を公 表 した。 この報 告書 は、UCTAとUTCCRと の統 合 を提 案 す る もので あ り、
上 の 問題 に対 して イ ギ リス の法 律 家 の一 つ の、 しか し主要 な見 解 を示 す もので 、 非常 に興 味深 い。 また、UTCCRが 基 づ いて い るEC指 令 は、 わが 国 の消費 者 契
11)
約 法 にお け る不 当条 項 規 制 で も参 考 に され た と考 え られ るの で、 そ の イ ギ リス 法 との 統 合 が 消 費 者 契 約 法 の解 釈 に何 らか の 示 唆 を与 え る もの とな るか も しれ ない 。 この よ うな関 心 に従 って 、本 稿 で はイ ギ リス法 律 委 員 会 が 大 陸 法 の特 徴 を有 す るUTCCRの 抽 象 的 判 断基 準 に どの よ うな解 釈 を与 え、 どの よ うにイ ギ
リス 法 との統 合 を図 るの か を探 る こ とを 目的 とす るが 、 以下 で は、 まず 、 イ ギ リス にお け る不 当条 項 規 制 の現 状 を概 観 し、つ いで 、 本報 告書 の 内容 につ い て、
不 当条 項 の判 断基 準 を 中心 に、簡 単 に紹 介 す る こ とに した い。
IIイ ギ リス の消 費者 契 約 に お け る不 当条 項 規 制 の現 状
報 告書 に よ るUCTAとUTCCRの 統合 の提案 の理解 の前提 として、 現状 にお いて 、 これ ら両 法 が どの よ うな関 係 に あ るの か を確 認 して お くこ とにす る。 こ の点 につ い て 、筆 者 は以 前 に それ ぞれ の不 当 条 項 規 制 の 内容 を簡 単 に紹介 した
12}
こ とが あ るの で、 以 下 で は、必 要 な範 囲 で そ の 内容 を確 認 し、 その適 用 関 係 と 両 者 の主 な相 違 点 を ま とめて お くこ とに す る。
1.適 用 範 囲
(1)UCTAの 適 用 対 象
まず、 それ ぞれ の 法 の適 用 対象 とな る契 約 で あ るが 、UCTAで は一 般 的 に契
約 類 型 に よ って 適用 対 象 を 限定 せ ず、 主 と して 事 業 者 の責 任 お よび相 手 方 が 消 費者 で あ る場合 の 、制 定 法 に規 定 され た売 主 等 の 推認 条 項 に基 づ く責任 を排 除 ・ 制 限 す る条 項 を無 効 とし、 これ ら以外 の 免 責条 項 等 にっ い て は合 理 性 の基 準 に
よ り無 効 判 断 をす る もの と して い る。 したが って 、UCTAは 事 業者 対 消 費者 の 契約 だ けで はな く、 事 業 者 同士 の契 約 に お い て も適 用 が あ り、 規 制 の対 象 とな
るの は、 免責 条 項 ・責 任 制 限条 項 だ けで あ る。
(2)UTCCRの 適 用 対 象
13}
これ に対 して 、UTCCRは 、売 主 また は供 給 者(asellerorasupplier)
と消 費者 との 間 の 契 約 にの み適 用 され るが 、無 効 か ど うか の判 断 の対 象 にな る の は 免 責条 項 等 だ けで は な く、 広 く契 約 条 項 一一 般 で あ る。 ただ し、 目的物 の定 義 お よび価 格 につ いて の 妥 当性 に 関 す る条 項 、 す な わ ち、 い わ ゆ る中心 的条 項 (coreterms)に つ いて は適 用 対 象外 とされ 、 また 、 契 約 当事 者 間 で個 別 に交 渉 され た条 項 につ いて も同規 則 に よ る無 効 判 断 はな され な い。 あ らか じめ 印刷 され た約 款 等 の条 項 で 、 消 費 者 が そ の 内容 に影 響 を及 ぼ し得 な い もの は個 別 に 交 渉 され て い な か った もの と推 定 され 、 当該 条 項 が個 別 に交 渉 され た こ とにつ い て は売主 等 に立 証責 任 が あ る。 また 、制 定 法 や 規 則 の規 定 、EC加 盟 国等 が 当 事 者 で あ る国 際 条約 の規 定 等 の 内容 を反 映 した契 約 条 項 に も本規 則 の適 用 は な
い 。
したが って 、これ らの例 外 を除 く、消 費者 契約 にお け る条 項 がUTCCRに よっ て規 定 され る 「 公 正 さの テ ス ト」(testoffairness)に よ り無 効 か 否 か を判 断
され る こ とにな る。
(3)UCTAとUTCCRの 適 用 対象 の 異 同
この よ うに、 これ ら両 法 は、 異 な る観 点 か ら適 用 対 象 の 限定 を して い るた め、
あ る契 約 に対 す る両 法 の適 用 関 係 は複 雑 に な り、法 律 の専 門 家 で な い契 約 当事 者 が 一 見 した だ けで それ を判別 す るの は確 か に困難 で あ る とい え よ う。 ご く単 純 化 して い え ば、UCTAは 免 責条 項 ・責 任 制 限 条 項 にの み適 用 され るの に対 し て、UTCCRは 消 費者 契約 に お け る契 約 条 項 一一 般 に適 用 され る とい う こ とに な
る。つ ま り、UCTAは 契約 条項 の種類 に よって適用 対 象 を限 定 して お り、UTCCR は契 約 類 型 に よっ て適 用 対 象 を絞 って い るので あ る。
この よ うに異 な る対象 の 限定 の仕 方 をす る こ とに よ り、 対 象 が 重 複 す る部 分
イギ リス におけ る不当条項規制改革案 につ いて 万
が 生 じ る こ とに な る。 それ は、 消 費者 契約 にお いて 、 事 業 者 の責 任 を免 除 な い し制 限 す る条 項 で あ っ て 、 中心 的条 項 で は な く、 か つ 、 個 別 に交 渉 され て お ら ず 、 制 定 法 等 に よ るの で もな い条 項 とい う こ とに な ろ う。 そ して、 これ 以 外 の 条項 につ いて は、 それ ぞれ の適 用 範 囲 に よ るこ とに な る。 す な わ ち、UCTAは 、 消 費 者 契 約 にお い て は、 事 業者 の 免 責 条 項 等 で あ っ て、 か っ 中心 的条 項 ・個 別 に交 渉 され た条 項 に適 用 され 、 また 、 消 費 者 契 約 以外 の契 約 にお け る免 責 条 項 等 が その 固有 の適用 範 囲 とい う こ とにな る。 他 方 、UTCCRは 消 費者 契約 中の 、 中心 的条 項 ・個 別 交渉 条 項 等 お よび免 責 条 項 ・責 任 制 限条 項 を除 い た契 約 条 項 が単 独 の適 用 対 象 とな る。
以 上 に見 た と ころか らわか る よ う に、契 約 条 項 の規 制 につ いて 、 イ ギ リスで はUCTAの みが適 用 され る場 合 、UTCCRの みが 適用 され る場 合 、 そ して これ ら両 者 の適 用 領 域 が 重 複 す る場合 が考 え られ る。 以 下 に見 る とお り、UCTAと UTCCRで は不 当条 項 規 制 の 態様 が 異 な るた め、 適 用 領 域 が 重 複 す る場 面 で は
いず れ に よ る規 制 が な され るの か 、 また 、 いず れ か が 単 独 で 適 用 され る場 合 に も、 異 な る法 規 制 を そ の ま ま に して お いて よ いの か とい っ た こ とが 問題 とな る ので あ る。
2.不 当 条 項 規 制 の 態 様
(1)UCTAに よ る不 当 条 項 規 制 の 内 容
UCTAで は 、す で に触 れ た とお り、一 定 の条 項 を 当 然 無 効 と し、 それ 以 外 の 免 責 条 項 お よび 責 任 制 限 条 項 の 効 力 を 合 理 性 の テ ス ト(testofreasonableness)
に よ っ て 個 別 に判 断 す る とい う方 法 を と っ て い る。 ま ず 、 当 事 者 が 事 業 者 で あ る か 消 費 者 で あ るか に 関 わ りな く、 当 然 無 効 と さ れ る 契 約 条 項 は 、1979年 動 産 売 買 法(SaleofGoodsAct,1979.1979年 法 とい う。)12条 お よ び これ と同 趣 旨 の 規 定 で あ る1973年 動 産 供 給(推 認 条 項)法(SupplyofGoods(Implied
Terms)Act,1973.1973年 法 と い う。)8条 に よ っ て 認 め られ る売 主 等 の 権 原
に つ い て の 担 保 責 任 を免 除 ま た は制 限 す る条 項 で あ る(UCTA6条1項)。 ま た 、
消 費 者 を 相 手 方 とす る契 約 の 場 合 に は、1979年 法13条 乃 至15条 お よ び1973年
法9条 乃 至ll条 に よ る 目 的 物 の 説 明(description)と の 一 致 、 目 的 物 の 品 質
お よ び 買 主 の 目 的 へ の 適 合 性 、 見 本 との 一・ 致 に つ い て の 売 主 ま た は供 給 者 の 担
保 責 任 を契約 条 項 に よ り免 除 な い し制 限 す る こ ともで きな い(同2項)。 この2 項 が 排 除 ・制 限 で き ない とす る制 定 法 上 の責 任 は、 相 手 方 が 消 費 者 で な い場 合 に は、 それ が合 理1生の要 件 を満 た す限 りに お い て、 契 約 条 項 に よ り排 除 な い し 制 限 す る こ とが 可能 で あ る(同3項)。
これ と同様 に 、 上述 の 動産 売 買 、 ハ イ ヤ ー ・パ ー チ ェス に関 す る法 が 適 用 さ れ な い契 約 に お い て 、事 業 者 が 消 費 者 に対 して 動 産 の 占有 な い し所 有 権 を移 転 す るべ き場 合 に は 、動 産 が そ の説 明 や 見 本 と一 致 すべ き こ とに関 す る責 任 お よ び、 そ の品 質 や 特 定 の 目的 に適 合 す べ き こ とに関 す る責 任 を契約 条 項 に よ り排 除 ・制 限 す る こ とはで きな い(同7条2項)。 消 費者 以外 に対 す る場 合 には、 以 上 の責 任 を合 理 性 の要 件 を満 た す 限 りに お いて 排 除 ・制 限 す る こ とが 可 能 で あ
る(同3項)。 ま た 、1982年 動 産 及 び 役 務 提 供 法(SupplyofGoodsand
ServicesAct,1982>2条 に よって規 定 され る、 一定 の 契約 にお け る権 原 等 に 関 す る推 認 条 項 に よ る責 任 につ い ての 免 責条 項 も無 効 とされ る(3A項)。 動産 の所 有権 を移 転 す る権 利 また は 占有 を させ る権 利 に関 す る責 任 、 契 約 に従 って 動産 を取得 す る者 に対 す る静 穏 な 占有 の保 証 に関 す る責 任 は 、3A項 が 適用 さ れ な い場 合 に お いて は、 合 理 性 の 要件 を満 た す場 合 を除 い て、 排 除 ・制 限 で き な い(4項)。
以 上 の よ うに、 消 費 者 に対 す る売 主 等 の一 定 の 責任 は、 契 約 条 項 に よ って排 除 ない し制 限 す る こ とはで きな い が 、 それ 以 外 の 事業 者 に よ る責 任 は、 合 理 性 の要 件 を満 たせ ば、 排 除 ・制 限が 可 能 で あ る。 この合 理 性 の 判 断 につ い て、ll 条1項 は、 問題 とな る条 項 が 、 契 約 締 結 時 に 、両 当事 者 が 知 り、 あ るい は予 期
して い た状 況 、 また は予 期 す べ き こ とが 合 理 的 で あ る と考 え られ る状 況 を考 慮 した うえで 、 契 約 に含 まれ るべ き公 正 か つ 合 理 的 な もの で あ るか ど うか を基 準 とす る こ とを規 定 して い る。
具 体 的 な考 慮 事 項 として は、 同法 の附則2に お いて ガ イ ドライ ンが 定 め られ 、 そ こで5項 目が あ げ られ て い る。 それ らは、(a)(特 に)顧 客 の要 求 が満 た され 得 た で あ ろ う代 替 手段 を考 慮 に入 れ た 上 で の 、 両 当事 者 の相 対 的 な交 渉 上の 地 位 の 強 さ、(b)消 費者 が 当該 条 項 に同意 す る よ う誘 引 され た か否 か 、 あ る い は、
それ を承 諾 す るに あ た っ て、 類 似 の条 項 を承 諾 す る必 要 な しに、 他 の者 と類似
の契 約 を締 結 す る機 会 を有 して いた か、(c)(特 に取 引慣 習 お よび 当該 当事者 間
イ ギ リス にお け る不 当条項規制改革案 にっいて 77
にお け る以 前 の取 引 の経 過 を考 慮 して)顧 客 が 当該 条 項 の存 在 お よび その範 囲 を知 っ て い た か、 あ るい は合理 的 に知 りうべ きで あ っ た か否 か 、(d)当 該 条 項 が 、 何 らか の条 件 が 成 就 しな い と きに何 らか の関 連 す る責 任 を免 除 な い し制 限 す る場 合 、 締 約 時 に お い て その条 件 が成 就 す る こ とが実 際 的 で あ る と予 期 す る こ とが 合 理 的 で あ っ た か 否 か 、(e)当 該 動 産 が 顧 客 の特 別 な注 文 の た め に製 造 され 、 処 理 され、 あ るい は適合 させ られ た もので あ っ た か否 か、 で あ る。
以 上 の事 項 を考 慮 して 、 問題 とな る契 約 条 項 が 合 理 的 で あ るか ど うか が判 断 され るので あ るが 、 それ が 合理 的 で あ る こ との立 証 責 任 は事 業 者 側 に あ る(11 条5項)。
(2)UTCCRに よ る不 当 条項 規 制 の 内容
UCTAに よ る不 当条 項 規 制 は上 にみ た よ うに非 常 に複 雑で あ る。 これ に対 し てUTCCRは よ り単 純 な構成 を採用 して い る。 す な わ ち、対 象 とな る契 約条 項 につ い て、 単 一 の基 準 で あ る公 正 さの テ ス トに よっ て不 公 正 とされ た もの が 消 費 者 に対 して拘 東 力 を有 さ な い、 と され て い るので あ る(規 則8(1))。
この公 正 さ の テ ス トは 、 「 個 別 に交 渉 され て い な い契 約 条 項 は、 それ が 誠 実 (goodfaith)の 要 件 に反 し、 当該 契約 に基 づ い て生 ず る両 当事者 の権 利 義務 関 係 に、 消費 者 の不 利益 とな る重 大 な不 均衡(significantimbalance)を もた ら す ときは、不 公 正 で あ る とみ な され る もの とす る。」(規 則5(1))と い うもの で、
93年 のEC指 令 をそ の ま ま翻訳 した ものだ とされ る。 これ に は、UCTAの よ う なガ イ ドライ ンはな いが、不 公正 とな りう る条 項 の例 示 リス ト(indicativelist)
19)
が 同規 則 の附 則2に お か れ て い る。
こ こで 、 この条 文 の解 釈 、特 に 「 誠 実 」 と 「 重 大 な不 均 衡 」 とい う2つ の鍵 とな る要 件 の意 味 お よび両 者 の 関係 が 問題 とな る。 これ につ い て の 唯0の 判 例
15)
で あ る公 正 取 引 庁 長 官 対 フ ァ ー ス トナ シ ョナ ル バ ン ク事 件 に お い て 、 ビ ン ガ ム 卿(LordBinghamofCornhill)は 「 誠 実 」 の 意 味 す る と こ ろ に つ い て 次 の
よ う に 述 べ て い る 。 「こ の 文 脈 に お け る 誠 実 の 要 件 は 公 正 か つ 明 朗 な 取 引(fair andopendealing)の 要 件 で あ る。 明 朗 さ は 、 諸 条 項 が 、 隠 れ た 落 と し穴 や 罠 を 含 まず 、 完 全 、 明 瞭 に か っ 読 解 可 能 な 文 言 で 明 示 され るべ き こ と を要 件 と す る。 顧 客 に とっ て 不 利 益 に作 用 す る こ と と な り う る条 項 は 、 適 切 に 注 意 を 引
く よ う に して お か れ る べ き で あ る 。 公 正 な 取 引 は 、 供 給 者 が 、 意 図 的 にせ よ あ
るい は無 意 識 で あ るにせ よ、 消 費 者 の窮 乏 、 困 窮 、無 経験 、 契 約 目的物 に つ い て の無 知 、脆 弱 な 交 渉 上 の地 位 そ の他 、 本 規 則 の 附 則2に 掲 記 され た要 素 な い しそれ と類 似 す る事柄 に よ って利益 を得 べ きで な い こ とを要件 として い る。 … …
lf}
規 則4(1)は 契 約 の成 立 お よび 内容 の双 方 を対 象 とす る複 合 的 な テ ス トを定 立 し て い るの で あ り、 本 規 則 が 促 進 す る こ とを意 図 され た 目的 を明 瞭 に念 頭 に置 い
アラ
て適 用 され な けれ ば な らな い。」
この ビ ンガ ム卿 の見 解 は、 「 誠 実 」 が もっ ぱ ら契 約成 立過 程 の手 続 き的 な公 正 さ、 す な わ ち、 消 費 者 に とって 不 意 打 ち とな る よ うな 条 項 が な い こ とや 現 実 の 選 択 が不 可 能 と され るよ うな こ とが な い こ とを 目的 とす る もの で あ る と述 べ て い る よ うに見 え る。 しか し、 そ こで 「 誠 実 」 とい う要 件 がUTCCRに お い て い か な る意 味 を もつ こ とに な るの か が 問題 とな る。 す な わ ち、 「 重 大 な不 均衡 」 が あ る と きに は誠 実 の違 反 が あ る と考 え るの か 、 重大 な 不 均 衡 が な くて も誠 実 の 違反 が あ りうるの か 、 これ らが それ ぞれ 異 な る意 味 を もつ とす る と、 これ ら2 っ の要 件 を満 た さな い と不 公 正 な条 項 とな らな いの か 、 あ るい は、 い ず れ か一 方 の要 件 を満 たせ ば よい のか 、 とい っ た両 要 件 の 関係 につ いて 疑 問 が生 じ るの で あ る。本 規 則 の 文 言 は これ ら二 つ の要 素 を別 個 か っ 重 畳 的 な要 件 、 っ ま り、
双方 を満 た して は じめて 不 公 正 条 項 と判 断 され る もの と して い る よ う に一 応 読 め る。 そ こで 、 また 「 重 大 な不 均衡 」 の意 味 が 問題 とな っ て くる。 「 重 大 な不均 衡 」 は、 契約 内容 の実体 的不 公 正 さに焦 点 を当 て た概 念 で あ り、 本 規 則 が 実体 的不 公 正 に重 点 を置 い て公 正 さの判 断 を しよ う と して い る よ うに見 え るが 、 も
し、 そ うだ とす る と、 ま さに実 体 的不 公 正 さ にか か わ る契 約 目的物 と価 格 に関 す る条 項 に は、 平 易 か っ 認 識 し うる言 葉 で書 か れ て い る限 り、 本 規 則 が適 用 さ
18)
れ な い とされ て い る こ と と矛 盾 す るの で は な いか 、 と指 摘 され て い るの で あ る。
この不 公 正 な条 項 の判 断 基 準 につ い て 唱 え られ て い るい くつ か の解 釈 が本 報 告書 で ま とめ られ て い るので 、 それ ら につ い て は、 法 律 委 員 会 の見 解 とあ わせ て後 に述 べ る こ とにす る。
(3)そ の他 の相 違 点
この他、 両 法 の重要 な相 違 点 と して、UCTAで は契約 条 項 の合理 性 につ い て、
そ の条 項 に依 拠 す る当事 者 に立 証 責 任 が あ るの に対 し、UTCCRで は あ る条 項
が不 公 正 で あ る こ とにつ き、 消 費者 側 に立 証 責 任 が あ る こ と、UCTAは 直 接 の
イ ギ リスにおけ る不 当条項規制 改革案 につ いて 79
当事 者 間 にお いて の み 効 力 が あ るの に対 して、UTCCRで は具 体 的紛 争 の 当事 者 だ けで な く、一 定 の 団 体 等 に不 公 正 条 項 の使 用 差 止 を求 め る権 限が 認 め られ て い る こ と、UCTAで は ス コ ッ トラ ン ドだ け別 の規 定 が 適 用 され るの に対 し、
UTCCRは 連 合 王 国 全 体 に適用 され る こ と、UCTAで は不 法 行為 責任 を排 除す る契 約 条 項 や告 知(notice)に も適 用 が あ るの に対 して 、UTCCRで は不 法 行
19)
為 責 任 は 対 象 と さ れ て い な い こ と、 な どが あ る。
以上 が イ ギ リス に お け る不 当条 項 規 制 の現 状 で あ り、 そ もそ も2つ の異 な る 適 用 対 象 と規制 方 法 とを定 め る法 律 が存 在 す る こ とに よって 、 前 に も述 べ た よ
うに不 当条 項規 制 の 理 解 が 困難 に な って い るの で あ るが 、 そ の一 方 のUTCCR にお け る不 公 正 の テ ス トの 解釈 が 明 晰 さ を欠 い て い るた め、UCTAに お け る合 理性 の テ ス ト との関 係 が 不 明瞭 とな り、理 解 の 困 難 さが い っ そ う増 して い る と い え るで あ ろ う。 この よ うな状 態 を解 消 し、 不 当条 項 規 制 を よ り明快 な もの に す るた め 、 以 下 に見 る よ うに法 律 委 員 会 は今 般 の報 告 書 を公 表 した の で あ る。
そ こで 、 次 に そ の報 告 書 で法 律 委 員 会 が いか な る提 案 を した のか 、 その 内 容 を 紹介 す る こ とに し よ う。
皿 立法の勧告 一 法律委 員会報告書
1.経 緯
こ う した現 状 に お い て 、UTCCRがEC指 令 を 命 令(StatutoryInstrument)
とい う形 で 国 内 法 化 した 当 初 か ら、 前 述 の とお り、UCTAと の 適 用 関 係 の複 雑 さ を 批 判 す る声 が 上 が り、 通 商 産 業 省 は 寄 せ られ た 苦 情 に 対 応 す る た め 、 この 問 題 を 法 律 委 員 会 に付 託 し、 そ れ を 受 け た 法 律 委 員 会 は 消 費 者 法 分 野 に お け る 不 当 条 項 規 制 を よ り理 解 しや す い も の に す る と と も に 、 事 業 者 間 取 引 に お い て もUTCCRと 同 様 の 保 護 が 適 用 可 能 か ど う か も検 討 す る こ と と な っ た 。 す な わ ち 、2001年1月 に 、法 律 委 員 会 及 び ス コ ッ トラ ン ド法 律 委 員 会 は 、消 費 者 問 題 担 当 の 政 務 次 官(ParliamentaryUnderSecretaryofStateforConsumers)
よ り、 以 下 の よ うな 付 託 を 受 け た の で あ る。
「[次の 事 項 に つ い て の]望 ま し さ及 び 実 現 可 能 性 を検 討 す る こ と…
(1)1977年 不 公 正 契約 条 項 法及 び1999年 消 費 者契 約 にお け る不公 正 条 項規 則 を、 消 費者 契 約 に お け る不 公 正 条項 に関 す るEC指 令93/13/EECと 調 和 す る統 合 され た制 度 に置 き換 え る こ と。
(2)消 費 者 契約 にお け る不公 正条 項 規 則(な い し上 の(1)に 従 っ て これ らの規 則 に代 え る こ とが 推 奨 され る何 らか の立 法 にお いて これ に相 当す る もの)の 適 用 範 囲 を事 業 者 、 こ とに小 規 模 事 業 者 の保 護 に まで拡 大 す る こ と。
(3)代 替 立 法 を、 単純 な文 章 で 技 術 的 で な い用 語 を用 い、 明 瞭 な論 理 に添 っ た単 純 な構 造 で法 を表 し、 さ らに容 易 に理解 で き る表 現 を用 い るこ とに よって 、 可 能 な 限 り法 を実 質 的 に不 安 定 に す る こ とな く、 読 み 手 に とって よ り明 瞭 か つ
zo)
よ り利 用 しや す い もの とす る こ と。」
こ れ に よ り、 法 律 委 員 会 は 、 付 託 事 項 の 検 討 に入 り、2002年8月 に ス コ ッ ト
2[)
ラ ン ド法 律 委 員会 と共 同 の コ ンサ ル テー シ ョンペ ーパ ー を発 表 し、 これ に対 す る各 界 か らの反 応 を見 た 上 で、 上 記3点 にっ い て2005年2月 に報 告書 「 契 約 に
22)
お け る不 公 正 条 項 」 を公 表 した 。
2.報 告 書 に お ける勧 告
同報 告 書 は上 述 の とお り、3点 の付 託 事 項 を受 けて これ に答 申 をす る もの で あ るが 、 その 内容 は主 と して、UCTAとUTCCRを 統 合 し簡 略 化 す る こ と、 お よび不 公 正 契 約 条 項 か らの小 規 模 事業 者 の保 護 の可 能 性 、 の2つ に分 け る こ と が で き る。 後 者 の 問題 も非 常 に興 味深 い が 、 本 稿 の 目的 は主 に前 者 の 問題 を本 報 告 書 が どの よ うに扱 っ た か を紹 介 す る こ とに あ るの で 、 以 下 で は この 問題 、 特 に契 約条 項 の効 力 の判 断 に関 す る内容 を中 心 的 に取 り上 げ、後 者 の 問題 につ いて は ご く簡 単 に触 れ るに留 め る こ とに す る。 なお 、本 報 告 書 は、 その他 に も、
個 別 の 問題 として 、雇 用 契 約 の問題 や不 法 行為 責任 に関 す る告 知 の 問題 、 また、
国 際 的 契 約 と法 の選 択 の 問 題 な どの検 討 を行 っ て お り、 立 法 草 案 等 も含 め242 頁 に及 ぶ か な り詳細 な もの で あ るが 、 この小 稿 にお い て は、 これ らの 問 題 につ い て の 委員 会 の 見解 の紹 介 を省 略 せ ざ るを得 な い こ とをお 断 りして お く。
(1)UCTAとUTCCRの 統 合 法
本 報 告書 で は、 付託 事 項 第 一 点 目につ い て、UCTAとUTCCRが 並 存 す る状
態 に よっ て生 ず る、 消 費者 契約 に お け る不 当条 項 規 制 の難i解さ を解 消 す るた め
イギ リス にお ける不 当条項規制改革案 にっいて 81
に 、 これ ら両 法 を 統 合 して 、 単 一 の 、 よ り理 解 しや す い 新 立 法 を勧 告 して い る 。 そ の 際 の 全 体 的 な 方 針 と し て 、 イ ン グ ラ ン ド、 ウ ェ ー ル ズ 、 北 ア イ ル ラ ン ド と
23)
ス コ ッ トラ ン ドの 法 を 統 合 す る こ と、 消 費 者 保 護 の レベ ル を 実 質 的 に 下 げ な い こ と、 新 立 法 に 、 消 費 者 動 産 売 買 お よ び そ れ に 関 連 す る保 証 の 一 定 の 側 面 に つ い て の1999年EC指 令(CouncilDirective99/44/EConCertainAspects
oftheSaleofConsumerGoodsandAssociatedGuarantees.以 下 SCGDと す る。)の 要 求 は反 映 させ るが 、 消 費 者 契 約 に お け る そ の 他 の 不 公 正 条 項 に つ い て 適 用 され る制 定 法 な い し コモ ン ・ロ ー の 準 則 は取 り入 れ な い こ とが
24)
述 べ られ て い る。
25)
① 適 用 対 象
統 合 法 の 適 用 対 象 を 画 定 す るた め 問 題 とな る の は 、i消 費 者 お よ び 消 費 者 契 約 の 定 義 とii適 用 対 象 か ら除 外 さ れ る契 約 条 項 の2つ で あ る。
i消 費 者 お よび 消 費 者 契 約 の 定 義
ま ず 、 本 報 告 書 に お い て 、 消 費 者 の 定 義 に つ い て 、UCTA、UTCCR双 方 と も事 業 の 過 程 で(inthecourseofbusiness)行 為 す る者 で な い こ と と して い る が 、 この 点 を よ り明 瞭 に す る た め 、 「自 らの 事 業 に 関 連 しな い 目 的 の た め に 行 為 す る 人(apersonactingforpurposesunrelatedtohisorher
business)」 と し、 さ ら に 、UCTAの も とで は 、 法 人 が 消 費 者 とな る こ と も あ
26)27)
り得 たが 、UTCCRと 同様 に、 自然 人 に限 るこ とを提 案 して い る。 また、UCTA にお い て、 自 らを事 業 の 過 程 にお い て行 為 す る もの と表 示 して い る場 合 に は、
消費 者 とな らな い 旨 の規 定 が あ るが 、UTCCRお よびSCGDの 双 方 にお い て 同 様 の規 定 が な いた め、 この よ うな例 外 を設 けず 、 単 に事 業 の 過 程 で 行 っ て い る と表 示 した だ けで は、 消 費 者 た る地 位 を失 わ な い と して い る。 さ らに、事 業 の 定 義 に関 して 、 政 府 機 関 や 地 方 当局 の 行為 も含 め る こ と とされ 、 公 的機 関 と消 費者 の 間 の契 約 に も不 当条 項 規 制 を及 ぼ す こ とが 確 認 され て い る。
一 方 、個 人 が 直接 参加 す る中古 品 の オ ー クシ ョンにつ いて は、2002年 消 費者 に 対 す る動 産 売 買 及 び 供 給 規 則(TheSaleandSupplyofGoodsto
2s>
ConsumersRegulation2002以 下SSGCRと す る。)の 規 則14(3)に よ り修 正 され たUCTA12条 が 買 主 の 消 費 者 性 を否 定 して い る た め 、 現 状 で は 、 こ う し
た 場 合 にUCTAに よ る保 護 は受 け られ な い。 しか し、 これ はUTCCRの 適 用 を
否 定 す る もの で は な いの で 、 現 状 どお り、 立 法 草 案 に記 載 され る、 当 然 無 効 と な る契 約条 項 につ い ての規 定 に関 して は、 個 人 の買 主が 直 接参 加 す る公 開 の オ ー
クシ ョンに お け る中 古 品 の 売 買 につ いて適 用 しな い こ と と して い る。
この他 、特 にUCTAもUTCCRも 詳 細 に扱 っ てい な い もの として、個 人 が0 部 私 的 目的 の た め、 一一 部 事 業 目的 の た め に事業 者 と行 う取 引 を適 用 対 象 とす る か ど うか とい う問題 が あ る。 これ に つ い て は特 に規 定 を設 けず 、 私 的 目的 と事 業 目的 の い ず れ が 主 要 な 目的で あ るか につ い て 裁判 官 の 判 断 に ゆ だ ね る と して い る。 また 、新 た な立 法 の うち の 消費 者 契 約 に適 用 され る部 分 は、 契 約 に 関連
30)
す る責 任 に つ い て の み適 用 され る もの と し、 契 約 の概 念 につ いて は特 に定 義 せ ず に、 裁 判 所 が 大 陸 法 の無 償 契 約 を含 む契 約 概 念 に そ っ た解 釈 をす る こ とも可 能 に してい る。 さ らに、 消 費者 が 事業 者 に対 す る関係 で売 主 とな る契 約 、UCTA
に お い て除 外 され て い る保 険 契 約 、 不 動産 権 に 関す る契 約 、証 券 に関 す る契 約
31)
も新 法 の適用 対 象 とす る こ と とされ て い る。
3?}
ii例 外 的 に不 当条 項 判 断 の 対 象 とされ な い契 約 条 項
UTCCRで は、 同規 則 の不 公 正 契約 条 項 の 規 制 に服 さな い もの と して 、個 別
33)
に交 渉 され た条 項 と中心 的条 項 を あ げて い る。UCTAに は こ うした適 用 除 外 が な い が 、法 律 委 員 会 は以 下 の よ うな検 討 を加 え、 一 部 留保 つ きで 中心 的条 項 だ
け を不 当条 項 規 制 の 対 象 外 とす る こ とを提 案 す る。
まず 、 個 別 に 交 渉 され た 条 項 につ いて で あ るが、 消 費者 は、 意 味 の あ る交 渉
をす るた め に必 要 な 付 随 的 条項 につ いて の十 分 な理 解 が な い こ とが ほ とん どで
あ る こ とか ら、 コ ンサ ル テ ー シ ョンペ ー パ ー に お い て、 これ も規制 の 対 象 に含
め る とす る提 案 が な され た 。 これ に対 して 、 大 部 分 の意 見 が 以 下 の よ うな理 由
に よ り賛 同す る もの だ っ た 。 す なわ ち、 どの よ うな場 合 に個 別 的 な 交 渉 が あ っ
た か の判 断 が か な り不 確 実 で あ る こ と、 消 費 者 は交 渉 す る こ との含 意 、 つ ま り
それ に よ り当 該 条 項 が 不 当条 項 規 制 の対 象 外 に な る こ とを認 識 して い な い こ と
が あ る こ と、 さ らに、 交 渉 され た条 項 を規 制 対 象 と して も、 あ ま り多 くの場 合
に影 響 を与 え な い上 、 立 法 が よ り単 純 化 され る こ と、 で あ る。 また、 公 正 取 引
庁 は、 企 業 がUTCCRの 適 用 除外 を悪用 して い る こ とを示 して い る。 これ に対
して、 消 費 者 に説 明 され た条 項 や 消 費 者 が そ れ にっ い て 助 言 を得 た 条 項 を不 公
正 とす べ きで は な い とす る意 見 もあ った が 、 そ れ は 当該 条 項 が 不公 正 か ど うか
イギ リス におけ る不当条 項規制改革案 につ いて 83
の判 断 に関 す る問 題 で あ っ て、 交 渉 され た 条 項 を審 査 の対 象 か ら除 外 す る理 由 に はな らな い として 、 この よ うな条 項 も規 制 対 象 に含 め る と した。
次 に、 い わ ゆ る中心 的条 項 で あ るが 、UTCCRに お い て、 契約 の 主 た る 目的 物 の定 義(defin、itionofthemainsubjectmatterofthecontract)と 価 格 の適 正 さ(adequacyoftheprice)に 関 す る条項 は、平 明 か っ 理解 可 能 な 文 言 で あ る限 り、 不公 正 条項 規 制 の 対象 外 とされ て い る。 しか し これ はEC指 令 に よっ て要 求 され た もの で は な い た め、 必 ず しも この よ うな 適用 除外 を設 け る 必 要 は な い 。 それ に もか か わ らず 、 法 律 委 員会 は、 主 た る 目的 物 につ い て の条 項 を規 制 対 象 として も、 それ が 不 当条 項 とされ る こ とは稀 で あ り、 また 、 そ う す る こ とが 契 約 の 自由 に対 す る侵 害 とな るで あ ろ う こ とか ら、 この適 用 除 外 を 残 す こ とに して い る。 そ れ は また 、 中心 的条 項 を審 査 の対 象 と して も、企 業 に とって 主 た る 目的物 が何 か を消 費者 に対 して よ り明 瞭 に す るイ ンセ ン テ ィ ブ を 与 え な いで あ ろ う とい う考 慮 に も基 づ いて い る。
た だ し、UTCCRに お いて 、 あ る条 項 が 目的物 の定 義 に関 す る もの で あ るか どうか の判 断 は、 そ の 内 容 が 、 消 費 者 が 契 約 か ら期 待 した と ころの もので あ る か ど うか に よ るの で あ り、 あ る条 項 の 内容 が、 契 約 の 目的物 と して 消 費 者 が 合 理 的 に期 待 す る と ころ と異 な る こ とを示 して い る場 合 に は、 契約 の 目的物 の定 義 に関 す る も ので は な い と考 え られ て い る。 つ ま り、 契 約 の 目的 物 の定 義 が不 当条 項 規 制 の 対 象 か ら除 外 され るの は、 消 費者 は、 通 常 、 主 た る 目的物 につ い て理 解 して い るか らで あ り、 消費 者 が理 解 して い る内容 、 す な わ ち、 事業 者 側 の表 示 に よ り、 消 費 者 が 合 理 的 に期 待 し うる もの と異 な る内容 が 記 され た条 項
34)
は規 制 対 象 か ら除 外 すべ きで はな い こ とにな るの で あ る。 さ ら に、 それ が平 明 か つ 理 解 可 能 な文 言 で書 か れ て い るだ けで な く、 消 費 者 に対 して 明確 に提 示 さ れ 、読 む こ とが 可能 で あ る こ とも求 め られ 、 これ を 「 透 明性(transparency)」
とい う要 件 とす る こ とが 提 案 され た。
そ こで 、 法 律 委 員 会 は、 契 約 の主 た る 目的 物 の定 義 とされ る ものが 、 実 質 的 に消 費者 が合 理 的 に期 待 した とこ ろ と伺 じ もの で あ り、 か つ 、 透 明 で あ る限 り にお い て 、 不 当条 項 規 制 の対 象 とな らな い こ と と し、価 格 につ い て も同様 に、
それ が実 質 的 に消 費 者 が 合 理 的 に期 待 した と ころ と同 じ状 況 に お い て、 か つ、
同 じ方法 で 計 算 され た額 を支 払 うべ き もの で あ り、 不 履 行 に関 す る条 項 な い し
付 随 的条 項 に基 づ い て支 払 う もの で な く、 透 明 で あ る限 りに お いて 、 不 当条 項
35)
規 制 の対 象 とは な らな い もの と した。
この他 、 他 の制 定 法 に よ り求 め られ て い る条 項 、 国 際 条 約 に よ り要 求 され ま た は認 可 され て い る条 項 、 管 轄 当局 に よ り要 求 され て い る条 項 、 さ らに コモ ン ・ ロー の 法 準 則 を適 用 した場 合 と同様 の結 果 とな る条 項 も規 制 対象 か ら除 外 す る
36)
こ とが 提 案 さ れ て い る。
② 不 当 条 項 規 制 の 態 様
不 当 条 項 規 制 の あ り方 に っ い て は 、 消 費 者 保 護 の レベ ル を 下 げ な い とい う全 体 の 方 針 か ら、UCTAに よ っ て 当 然 無 効 と され る条 項 とUTCCRの 一・ 般 条 項 に よ る公 正 さ の 判 断 と を併 存 さ せ る形 態 を 採 用 した 。 しか し、 一 一般 条 項 に よ る不 当 条 項 の 判 断 とい う構 造 はUCTAも 採 用 して い る た め 、UCTAとUTCCRの
不 当 条 項 の 判 断 基 準 を統0す る必 要 が あ り、 法 律 委 員 会 は 新 た な 判 断 基 準 と し て 公 正 さ と合 理 性 の テ ス ト("Fairandreasonable"test)を 提 案 した 。 以 下 で は 、 まず 、i当 然 無 効 と さ れ る 条 項 を確 認 し、 次 に 、ii公 正 さ と合 理 性 の テ ス トに つ い て 、 そ の 内 容 を見 て い く こ と に し た い 。
3r)
i当 然無 効 とされ る条 項
この範 疇 の 条項 はUCTAに よっ て無効 とされ る、 免 責 な い し責任 制 限条 項 で
38)
あ る。報 告書 で は、 以 下 の責 任 を 免 除 な い し制 限 す る条 項 を無 効 とす る もの と して い る。
・あ らゆ る形 式 の契 約 に お い て 、 ネ グ リジ ェ ンス(義 務 違 反)に よ って 生 ず る死 亡 な い し人 身侵 害 に対 す る責 任
・(売買 また はハ イ ヤ ーパ ー チ ェス 契約 にお け る)売 主 が売 却 の権原 を有 して い る 旨あ るい は(動 産 の権 利 を移 転 す るそ の他 の契 約 類 型 に お け る)供 給 者 が 財 産 権 を移 転 す る権 原 を有 す る 旨の推 認 条 項 の違 反 に対 す る責 任
・説 明 との一 致 お よび 品 質 につ いて の4つ の推 認 条 項 の いず れ か の 違 反 に対 す る責 任(こ れ らの推 認 条 項 は、 動産 が 、 表 示 また は見 本 に一致 す べ き こ
と、 満 足 で き る品質 を 有 す べ き こ と、 お よび買 主 の 目的 に適 合 す べ き こ と
39)
を内容 とす る。)
また 、UCTAI3条 は、 これ らの違 反 に対 す る救済 手段 を、 請 求 者 に とって不
利 な制 限 的 な い し負 担 とな る条 件 に服 せ しめ、 あ る い は これ らの推 認 条 項 に よ
イギ リス にお ける不当条項規制改革案 にっいて 85
る義務 の発 生 を妨 げ、 また は その範 囲 を制 限 す る条 項 を も無 効 と して お り、 こ れ ら も新 法 にお い て採 用 され る こ とが 提 案 され て い る。
他 方 、 特 に事業 者 の ネ グ リジ ェ ンス に よる消 費 者 の 死 亡 また は人 身 侵 害 の責 任 を 免 除 ・制 限 す る条 項 につ い て は、 それ が 土地 の 権 利 の設 定 、 移 転 、 消 滅 に 関 す る契 約 にお け る条 項 で あ る場 合 に は、適 用 対 象 外 とす る こ とがUCTAで は
4a)
規定 され て い るが 、 本 報 告 で は、 その よ うな条 項 も無 効 とす る こ とを提 案 して い る。
ii公正 さ と合 理 性 の テ ス ト
以 上 の条 項 と先 に述 べ た 一 部 の規 制 対 象 外 とな る条 項 の他 は、 すべ て不 当条 項 規 制 の 審 査 対 象 とな り、 消 費 者 か らその 不 当性 が 主 張 され た場 合 に は、 そ れ が公 正 か っ 合 理 的 で な けれ ぼ、 事 業 者 は 当該条 項 に基 づ く主 張 はな しえな い と され る。
前 述 の とお り、 こ こで は いか な る判 断 基 準 に よ って 契約 条 項 の 不 当性 を判 断 す るか が 問 題 とされ た。UCTAで は合 理 性 の テ ス トが用 い られ 、 ガ イ ドライ ン
に示 され た考 慮 事項 に よ りつ つ 当該 条 項 の効 力 を判 断 す るの に対 して 、UTCCR で は公 正 さの テス トに よっ て判 断 が な され 、 その 内容 は誠 実 に反 し、 消 費者 の 不利 益 とな る当事 者 間 の重 大 な利 益 の 不 均衡 が 生 じて い るか ど うか 、 とい うも ので あ った 。 こ こで 問題 とな った の は、 合理 性 、 公 正 さ と並 ん で 、誠 実 とい う イ ン グ ラ ン ドお よび ス コ ッ トラ ン ドの法 律 家 に とっ て はな じみ の な い概 念 が使 用 され て い る こ とで あ り、 この 言 葉 の解 釈 を め ぐって様 々 な 見 解 が 主 張 され て い る こ と も既 述 の とお りで あ る。 法 律 委 員会 は統 合 法 の 立 法 に あ た っ て、 次 の よ うな検 討 をふ ま えて 、 この誠 実 とい う概 念 の使 用 を見 送 り、 公 正 さ と合 理 性 の テ ス トを採 用 す る こ と と した の で あ る。
まず、UCTAとUTCCRの テ ス トが異 な るの か ど うか につ いて で あ るが 、 そ の前 提 と して 、UTCCRの 公 正 さの テ ス ト、 す な わ ち、 「 誠 実 に反 し、 消費 者 の 不 利 益 とな る当事 者 間 の 重 大 な利 益 の不 均 衡 を生 じ させ る」 とい う要 件 の解 釈 が 定 ま らな けれ ば な らな い 。 これ につ いて 法 律 委 員会 は、 コンサ ル テ ー シ ョン ペ ーパ ー にお いて 、 不公 正 さを判 断 す る際 の鍵 とな る、 これ ら両 要 件 の関 係 に つ い て 、 以 下 の4つ の説 が あ る こ とを述 べ、 これ を ど う考 え るべ きか につ い て
検 討 す る 。
(a)誠 実 に反 す る こ とが 手 続 上 の不 公正 さの 要 件 で 、 重 大 な不 均 衡 が実 体 的 不 公 正 さの要 件 で あ って 、 両 者 を充 た した とき に当該 条 項 は無 効 とな る。
(b)重 大 な不 均 衡 は入 り口 の要 件 で あ り、 あ る条 項 に よ る利益 の不 均 衡 が重 大 で な いか 消 費 者 の利 益 にな る場 合 は不 公 正 とは い えず 、 主 た る判 断基 準 で あ る不 公 正 で あ るか ど うか は誠 実 に反 す るか ど うか に よ っ て判 断 され る。
(c)誠 実 は、EC指 令 に影 響 を与 えた ドイ ッ法 へ の 会釈 にす ぎず 、重 要 な の は
4'L)
重 大 な不 均 衡 の要 件 で あ る。
(d)不 公 正 とな る に は2っ の ル ー トが あ り、1つ は 重大 な不 均 衡 を もた らす 条 項 は誠 実 に反 し不 公 正 とな る とい う もので 、 他 の1っ は実 体 的 に不 公 正で な
くて も手 続 上 誠 実 に反 して い れ ば不公 正 とな る、 とい うもの で あ る。
これ につ いて 法 律 委 員 会 は まず 、実 体 的 に不 公 正 な結 果 を もた らす条 項 は、
手続 的 な不 公 正 さが な く とも、 そ れ 自体 で不 公 正 な条 項 とされ う る こ とを確 認 す る。 その根 拠 と して 、 第1に 、公 正 取 引庁 長 官 らが 、 具 体 的 に あ る条 項 が 消 費 者 に対 して どの よ うに提 示 され たか に か か わ らず 、不 公 正 な条 項 を一 般 的 に
43}
禁 止 す る権 限 を与 え られ て い る こ とが 挙 げ られ る。 第2に 、 前 出 の公 正 取 引庁 長 官 対 フ ァー ス トナ シ ョナ ル バ ン ク事件 の控 訴 院 判 決 にお け る ピー ター ・ギ ブ
44)
ソ ン控 訴 院 裁 判 官(PeterGibsonL.J.)の 意 見 お よ び 貴 族 院 判 決 に お け るス
4らラ
テ イ ン卿(LordSteyn)の 意 見 が、 実 体 的 な不 公 正 さだ けで、 あ る条 項 が 不公 正 で あ る と判 断 され う る こ とを示 唆 して い る と考 え られ る こ とで あ る。
他 方 、法 律 委 員 会 は、 手 続 上 の不 公 正 さ につ い て も、 単 独 で 契 約 条 項 を不 公 正 とす る こ とが で き る要件 で あ る と して い る。 これ は、UTCCRの 例 示 リス ト
に、 「 消費 者 が 契約締 結 前 に それ を知 るた めの現 実 の機 会 が全 くなか った条 項 に、
46)
消 費 者 を撤 回不 可 能 な形 で拘 束 す る趣 旨の 条 項 」 が 含 まれ て い る こ とを根 拠 と して い る。 これ は契 約 条 項 の 内 容 に関係 な く、 消 費 者 が 知 る機 会 が な い とい う 手続 上 の問題 だ けで 当該 条 項 が 不公 正 と評価 され う る こ とを示 す もの だ か らで
あ る。 そ うす る と、 実 体 的 に は公 正 で あ る条 項 が 、 はた して、UTCCR規 則5 (Dに よ る不 公 正 さの要 件 で あ る、 消 費者 に不 利 益 な、 当事 者 間 の権 利 義務 の 重 大 な不 均 衡 を もた ら し う るの か とい う疑 問 が生 ず るが 、 これ に対 して 、 法 律 委 員 会 は、 消 費 者 が 自分 の権 利 義務 の 内容 を知 らず 、 も し知 って い た と した ら、
自 らの 利 益 を守 るた め の措 置 を講 じる こ とが で きたか 、 あ るい は 、 契約 を締 結
イギ リス にお ける不当条項規制改革案 につ いて 87
しなか っ たか も しれ な い よ うな場 合 に は、UTCCRに 規 定 され た 意 味 に お け る
「 消 費 者 に不 利益 な、 当事 者 間 の権 利 義 務 の重大 な不 均 衡 が 生 じて い る と考 え る、 と して い る。
そ の結 果 、 あ る条 項 につ いて 、 実 体 的不 公 正 で も あ るい は手 続 的 不 公 正 で も い ず れ か が 認 め られ れ ば、 当該 条 項 は不 公 正 で あ る とされ る こ とに な るが 、 そ の 際 、 「 誠 実 」 と 「 重大 な不 均 衡 」 の文 言 は実 際 上 明 確 な役 割 が 割 り当て られ て い る わ けで は な く、 そ の 意 味 は大 部分 重 な って い る と考 え られ て い る。 い ず れ にせ よ、裁 判 所 には、93年EC指 令 の前 文16で 述 べ られ て い る よ うに、 関連 す る利 害 関係 を総 合 的 に評 価 して 、 売 主 等 が 他 方 当事 者 を公 正 か っ 衡 平 に扱 った か どうか を判 断 す る こ とが 求 め られ て い るの で あ るか ら、 か な り広 範 な 自由が 認 め られ て い るの で あ って 、 「 誠 実 」 と 唾 大 な不 均 衡 の 明確 な 区別 を論 じ る 意 味 は き わ め て少 な い とす る。
さて 、 以上 の よ うなUTCCRの 解 釈 の も とに、UCTAに お け る合 理性 のテ ス トとの異 同が検 討 され る こ とに な るが 、UCTAに お いて も、実 体 的不 公 正 と手 続 的 不公 正 の 双方 を それ ぞれ 契約 条 項 を不 合理 と判 断 す る要 素 と して い るの で 、
その 点で はUTCCRと 類似 して い る と考 え られ る。 これ につ いて 、両 者 の判 断 基 準 は、 異 な る要 素 を考 慮 して判 断 すべ き こ とが 求 め られ て い るか ら、 異 な る
47)
もの で あ る と評価 す る もの もあ るが 、 それ は結 局 、 それ ぞれ の法 が 対象 とす る 契 約 お よび契 約 条 項 の種 類 の違 い に 由来 す る もので あ っ て、 これ らの判 断基 準
48)
が きわ め て類 似 した もの で あ る とい う結 論 に達 して い る。
そ うで あ る とす る と、 両 判 断 基 準 を統 合 す る こ とは可能 で あ るが 、 いか な る 文言 に よ るべ きか が次 の問 題 とな る。特 に93年EC指 令 で 示 され た 「 誠 実 」 の 概 念 を用 い る こ とも考 え られ るが 、法 律 委 員会 は、EC指 令 を国 内法 化 す るにあ た って 、 そ の実 質 が 確 保 され て い れ ば、形 式 等 は各 加 盟 国 に ゆ だ ね られ て い る こ と、 ま た、 この分 野 にお け る 「 誠 実 」概 念 は イ ン グ ラ ン ドお よび ス コ ッ トラ ン ドの法 律 家 が精 通 して い る概 念 で は な い こ とか ら、条 文 で は これ を用 い な い
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こ とに して い る。条 文 で は、 「 公 正 か つ合 理 的」 とい う文 言 を用 い る こ とに して 、
単 に公 正 さだ け を契 約 条 項 の有 効 要 件 と して あ げ る よ りも、 要 件 のハ ー ドル を
高 くす る こ とに よ り消 費 者 に とっ て よ り望 ま しい 内容 とす る もの と した の で あ
る。 そ こで 、 基本 的 な条 文 の案 として は、 「 消 費者 契 約 に お け るあ る条 項 が 消 費
者 に とっ て不 利 益 で あ る ときは、 当該 条 項 が公 正 か っ合 理 的 で な けれ ば 、事 業
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者 は 当該 条 項 に依 拠 す る こ とが で きな い」 と した。
さ らに、 この判 断基 準 の具 体 的適用 に あた っ て は、 契 約締 結 時 を基 準 として 、 問題 とな る条 項 の公 正 さ と合 理 性 が判 断 され るべ き こ とが提 案 され て い る。 そ
して ・公 正 さ と合 理 性 は、 当該 条 項 の透 明性 、 その 実 体 と効 果 お よび締 約 時 の あ らゆ る状 況 に従 って 評価 され るべ きで あ り、主 と して あ るい は もっ ぱ ら透 明 性 を欠 くとい う理 由で 、 当 該条 項 が 不 公 正 で あ る とされ て もよ い とされ て い る。
透 明 性 は手 続 的公 正 を担 保 す る もの で あ るか ら、 これ を 欠 くこ とに よ っ て手 続 上 の公 正 さ を欠 い て い る と評価 され うる ので あ り、 それ だ けで も契 約 条 項 を不 公 正 とす る こ とを可能 とす る趣 旨で あ る こ とは、 前述 の議 論 か ら明 らか で あ る。
な お、 こ こで 、 「 透 明 」 で あ る こ と とは、合 理 的 に平 明 な言葉 で表 現 され 、 判 読 可 能 で あ り、 明 瞭 に提 示 され 、 か つ 、 問 題 の 契約 条 項 な い し通 知 に よっ て影 響 を受 け る可 能 性 の高 い 、 い か な る人 に よっ て も容 易 に入 手 可 能 で あ る、 とい う
らり
こ とを意 味 す る もの とされ て い る。
法律 委 員 会 は 同時 に また、 この 判 断基 準 の適用 の た め に詳 細 なガ イ ドライ ン を設 け る こ とを提 案 して い る。 これ はUCTAに お い て採 用 され て い た方 式 で あ り、 ガ イ ドライ ン は あ くまで 裁 判 所 が 考 慮 すべ き こ とを列 挙 して あ るだ けで 、 そ の他 の事 項 を考慮 す る こ とを妨 げ る もの で はな い 。提 案 され た考 慮 事 項 は以
52)
下 の とお りで あ る。
(a)当 該 契 約 の他 の条 項
(b)当 該 契 約 が 依 存 す る他 の 契約 中 の条 項 (c)両 当 事 者 の利 益 のバ ラ ンス
(d)当 該 条 項 に よ って 不 利 な影 響 を受 け る当 事 者 の リス ク (e)保 険 の 可能 性 お よび 蓋 然 性
(f)当 該 条 項 に よ って不 利 な影 響 を受 け る当事 者 の利 益 が保 護 され う るそ の 他 の 方 法
(9)当 該 条 項 の存 在 に よ る(そ の条 項 の み あ るい は他 の条 項 とあわせ て)、 そ れ が存 在 しなか っ た場 合 との相 違 の程 度
(h)当 該 条 項 に よ り不 利 な影 響 を受 け る当 事者 の 知 識 お よび理 解
(i)両 当事 者 の交 渉上 の 地 位 の強 さ
イギ リス にお ける不当条項規制改革案 について 89
(j)当 該 契 約 が 関係 す る動 産 また は役務 の性 質
これ らは、0部UCTAの ガイ ドライ ン と重複 す る もの で あ るが 、 その 内容 が よ り詳 細 にな っ て い る。 さ らにUTCCRで 採 用 され た例 示 リス トを拡充 して20 項 目か らな る例 示 リス トを 附則2に お き、 以 下 の よ うな条 項 は、 公 正 か つ合 理
うヨラ
的 で な い とされ う る もの とす る。
(Aを 消 費者 、Bを 事 業者 とす る)
・Aに 対 す るBの 契 約 違 反 の 責任 を排 除 な い し制 限 す る条 項
・Bの 履 行 すべ き債 務 が 専 らBの 支 配 圏 内 に あ る条 件 の成 就 にか か って い る 状 況 に お い て、Aに 債 務 を課 す 条 項
・Aが 契 約 の解 除権 を行 使 す る場 合 、 あ るい はAの 違反 の 結 果 としてBが 契 約 を終 了 させ る場 合 に、Aが 支 払 っ た不 相 当 な金 額 をBが 保 持 す る権 利 を 与 え る条 項
・契 約 違 反 の 場 合 に、Bに 生 じ る可 能性 の高 い 損 害 を大 き く超 え る金 額 をA に支 払 う こ とを要 求 す る条 項
・Aに は何 ら責 任 を負 わ ず に契約 を解 除 で き る条 項 が な い に もか か わ らず 、 Bに は責 任 を負 わず に契約 を解 除 で きる権 利 を与 え る条 項
・Aが 契 約 解 除権 を行 使 した 場 合 に、Bが まだ提 供 しな けれ ぼ な らな い役務 に 関 してAが 支 払 った 金 額 をBが 保 持 す る権 利 を与 え る条 項
・期 間 の 定 めの あ る契 約 な い し期 間 の定 め の な い契 約 にお いて 、Aに 対 す る 合 理 的 な事 前 の 通 知 な しにBに 契 約 を終 了 させ る権 利 を与 え る条 項(緊 急
の場 合 を除 い て)
・(a)期 間 の定 め の あ る契 約 につ い て 、Aが 反 対 の意 思 を示 さな けれ ば更 新 され る こ とを規 定 す る条 項 、(b)Aに 対 して 、 契 約 期 間が 終 了 す る不 相 当 に長 期 間 前 に、 そ の表 示 をす る こ とを要 求 す る条 項
・契 約 締 結 前 にAが 知 る機 会 を得 なか っ た条 項 にAを 拘 束 す る条 項
・契 約 中 に具体 的 に記 され た 相 当 な理 由 な しに 、Bに 契約 条 項 を変 更 す る権 利 を与 え る条 項
・相 当 な 理 由 な しに、Bに 当該 の動 産 な い し役 務 の 特性 を変 更 す る権 利 を与 え る条 項
・Aに 、 引渡 し時 に 当該 動 産 につ いて 定 め られ た いか な る価 格(当 該 価 格 が
価 格 表 に よ って 定 め られ る場 合 も含 む)も 支 払 う こ とを要 求 す る条 項 で、
契約 締 結 時 にAに 示 され た価 格 よ りもそ の価 格 が 高 い場 合 にAに 契 約 の解 除権 を与 え る条 項 が な い場 合
・Bに 契 約 中 に明 示 され た価 格 を引 き上 げ る権 利 を与 え る条 項 で 、 事 業 者 が 価 格 を 引 き上 げ た場 合 に、Aに 契 約 解 除権 を与 え る条 項 が な い場 合
・Bに 、(a)供 給 され た動 産 また は役務 が 当該 契 約 に お いて それ らに与 え られ た定 義 に合 致 して い るか ど うか、(b)当 該 契約 にお け るいか な る条 項 の意 味、
を決 定 す る排他 的(し たが っ て裁 判 所 の い か な る権 限 を も排 除す る)権 利 を与 え る条 項
・Bの 被 用 者 な い し代 理 人 に よって な され た表 示 また は約 束 に対 す るBの 責 任 を排 除 な い し制 限 し、 あ るい は、Bの 表 示 な い し約 束 に対 す る責 任 につ
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いて何 らか の形 式 的 手続 を条 件 とす る条 項
・Bが そ の債 務 を完 全 に履 行 しなか った 状 況 に お い て 、Aに そ の債 務 を完全 に履 行 す る こ と(特 に、 契 約 に明示 され た価 格 の 全 部 を支 払 う こ と)を 要 求 す る条 項
・Aの 同 意 な く、Bに そ の債 権 債 務 関 係 を移 転 す る権 利 を与 え る条 項
・Bに 、Aの 立 場 が そ の結 果 と して弱 くな る よ うな 状 況 で 、 そ の権 利 を譲 渡 す る権 利 を与 え る条 項
・Aの(a)訴 訟 また は他 の法 的 手続 き を提 起 な い し抗 弁 をす る 、(b)他 の法 的 救 済 手 段 を行 使 す る、 権 利 を排 除 な い し制 限 す る条 項
・Aが 依 拠 しう る証 拠 方 法 を制 限 す る条 項
これ に関 して、 附則2のPart3で は、 金 融 サ ー ビス契 約 、 期 間 の定 め の ない 契約 、 証 券 ・外 国 通 貨 等 の販 売 契約 の そ れ ぞ れ につ いて 、 例 外 とな る条 項 が あ
げ られ て い る。
この他、 重要 な立 法提案 として、 契約条 項 の公正 さ と合 理性 につ い て、UCTA
と同様 に、 常 に事業 者側 に立 証 責 任 を負 わせ る と して い る。 これ は、 あ る条項
の合 理 性が 問題 とな るの は、 消 費 者 の権 利 義 務 が 通 常 の法 準 則 に よ る状 態 か ら
変 更 され る場 合 だ けで あ り、 そ の よ うな場 合 に は、 事 業 者 が 利 益 を得 よ う と し
て い るので あ っ て、 それ ゆ え、 事 業者 が そ う した 立場 を正 当化 す る負 担 を負 う
べ きで あ る とい うス コ ッ トラ ン ド消 費者 会 議(ScottishConsumerCouncil)
イギ リスにおけ る不当条項規制改革案 につ いて 91
が述 べ た 理 由 に よ る もの で あ る。 た だ し、 事業 者 は、 問 題 とな る条 項 が、 消 費 者 な い し裁 判 所 に よっ て現 実 に争 点 とされ た とき に始 め て立 証 責 任 を負 うの で あ っ て、 一 般 的 に、 自 らの用 意 した 約 款 中の 条 項 の正 当性 を立証 す る必要 が あ
るわ けで は な い。
(2)そ の他 の 契約 類 型 に対 す る提 案
前 述 の とお り、本 報 告 書 は これ まで見 て きた消 費者 契約 の他 、 特 に不 公 正 条 項 の規 制 に よ る小規 模 事 業 者 の保 護 につ い て も0定 の提 案 を して い る。 以下 、 その他 の 契 約 類 型 に関 す る もの も含 め て 、簡 単 に そ の提 案 内容 に触 れ て お く。
5f)
① 事 業 者 間 契 約(BusinessContracts)
まず 、通 常 の事業 者 同士 の契約 につ いて は、基 本 的 にUCTAの 下 で行 われ て きた 規 制 を維 持 す る方針 で あ る。 す な わ ち、 事 業 者 間 の契 約 にお いて も、 ネ グ リジ ェ ンス に よ る死 亡 な い し人 身 侵 害 の責 任 を排 除 す る条 項 、 お よび、 動 産 の 財 産 権 移 転 にか か わ る契 約 に お い て、 売 主 等 の財 産 権 移 転 の権 原 に関 す る推 認 条 項 に よ る責 任 を排 除 な い し制 限 す る条 項 は、 無 効 とな る。
た だ し、従 来 の 合 理 性 の テ ス トが 消 費者 契約 にお け る と同 じ、 公 正 さお よび 合理 性の テ ス トに変 更 され、 そ の ガ イ ドライ ンが 適 用 され るな ど、 若 干 の変 更 点 が あ るだ け で あ る。
ら の
② 小 規 模 事 業 者 契 約(SmallBusinessContracts)
これ に対 して 、小 規 模 事 業 者 が 当事 者 で あ る契約 にお い て は、 相 手 方 に よ り 提 示 され た 約 款 に記 載 され た、 非 中心 的条 項 で あ って 、 交 渉 に よって 変 更 され て い な い もの につ いて 、 そ れが 公 正 か つ合 理 的 で な けれ ば無 効 とす る こ とがで き る。 この場 合 の小 規 模 事 業 者 とは、 前年 の平 均 的 被 用 者 数 が9人 以 下 の 事業 者 で あ り、 大 企 業 の関 連 会 社 や 、 小 規 模 事 業 者 に よ る契 約 で あ っ て も、価 格 が 50万 ポ ン ド以上 の契 約 は規 制 対 象 外 とされ る。 た だ し相 手 の事 業 者 の規 模 は問 題 とな らな い た め 、相 手 も小 規 模 事 業 者 で あ る場 合 も保 護 の 対 象 とな る。
不 公 正 な条 項 を判 断 す る基 準 は 消 費者 契約 にお け る と同様 で あ り、 例 示 リス トも同 じ く適 用 され る。 しか し、小 規 模 事業 者 契 約 に お い て は、 問題 とな る条 項 が 不 公 正 で あ る こ とを主 張 す る当 事者 が その 立 証 責 任 を負 う こ と とされ て い
る。
58?
③ 私 的売 買(PrivateSales)
消 費 者 が 事 業 者 に動 産 を売 る場 合 と私 人 同士 の動 産 売 買 お よび 、 私 人 が 供 給 者 とな るハ イ ヤ ーパ ー チ ェ ス契 約 に お いて は、UCTAの 下 で認 め られ た、 売 却 権 原 、 説 明 な らび に見 本 との一 致 に関 す る推 認条 項 に よ る責 任 につ い て の 免 責 条 項 等 の規 制 が 存 続 す る。
Nむ す び
以 上 に紹介 した法律 委 員会 の報 告書 は2005年2月 に公 表 され た もので あ るが 、 現 時 点(2007年8月)で は、 い まだ 立法 化 され て い な い の で、 あ くまで 立 法 の 提 案 に と ど ま る もの で あ る。 しか し、 これ につ いて は比 較 的早 期 に立 法 され る
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